交通事故で肝臓や膵臓(すいぞう)を損傷し、開腹手術や胆のう(胆嚢)の摘出を受けた方から、「これだけ大きな手術をしたのだから、後遺障害の等級はつくのだろうか」「何を検査して、何を提出すればよいのか」「保険会社から示談の話が来ているが、応じてよいのか」というご相談をいただくことがあります。
結論から申し上げると、肝損傷、胆のう摘出、膵損傷といった診断名や手術名だけでは、後遺障害の等級は決まりません。自賠責保険の後遺障害は、急性期にどれだけ重い損傷であったかではなく、症状固定の時点で、その臓器を失ったこと又は機能に障害が残っていることを、認定基準の要件に沿って資料で確認できるかどうかで判断されます。
なお、強い腹痛、発熱、黄疸、嘔吐、意識がもうろうとするなど体調に急な変化があるときは、法律相談よりも医療機関の受診を優先してください。本記事は交通事故の損害賠償と自賠責保険の後遺障害を中心とした法律情報であり、診断、治療方針、検査の要否や食事指導に代わるものではありません。制度の異なるB型肝炎給付金、医療過誤、障害年金、身体障害者手帳、生命保険の高度障害については扱っていません。
この記事で分かること
- 肝臓、胆のう・胆管、膵臓で、それぞれ何が後遺障害として検討されるのか
- 胸腹部臓器の等級は第1級から第13級まであり、臓器別の基準が定めるのはそのうち一部であること
- 自賠責保険の等級表と労災保険の障害等級表の関係、号数表記が違う理由
- 肝硬変・慢性肝炎、胆のうの亡失、膵臓の外分泌・内分泌機能障害の要件と、その根拠
- 急性期の臓器損傷分類と、症状固定後の後遺障害等級がどう違うのか
- 後遺障害診断書の作成前・申請前に確認しておきたい医療記録と事故前資料
- 等級が認定された後に、逸失利益や将来治療費で争われやすい点
後遺障害診断書の作成前、被害者請求の前、示談書に署名する前であれば、お手元の手術記録、画像、検査結果と、認定基準が求めている資料との対応関係を確認できます。何が足りないのかを早い段階で把握しておくと、その後の手続の見通しを立てやすくなります。当事務所が交通事故でどのような対応をしているかは、次のページでご確認いただけます。
肝臓・胆のう・膵臓の後遺障害で最初に確認したいこと
次の表は、臓器ごとに、後遺障害として検討の対象になり得る状態、その裏付けとなる主な客観資料、検討対象となる等級又は個別に確認すべき事項を並べたものです。いずれも「この状態であれば必ずこの等級になる」という意味ではありません。
| 臓器 | 後遺障害として問題となる状態 | 主な客観資料 | 検討対象となる等級又は個別確認事項 |
|---|---|---|---|
| 肝臓 | 認定基準に定める肝硬変又は慢性肝炎(いずれもウイルスの持続感染とAST・ALTの持続的低値が要件) | 肝炎ウイルス検査、肝機能検査の時系列、線維化・肝硬変の診断根拠、画像 | 肝硬変は第9級11号、慢性肝炎は第11級10号が検討対象。肝損傷・肝部分切除・塞栓術それ自体は等級に直結しない |
| 胆のう | 胆のうを失ったもの | 手術記録、術式、退院時要約、必要に応じた病理記録、急性期画像 | 第13級11号が検討対象。事故による損傷の治療として摘出されたといえるかを確認する |
| 胆管・胆道 | 胆管損傷、胆管狭窄、胆道再建後の胆汁通過障害、反復する胆管炎 | 手術記録、胆道再建の術式、胆道画像、黄疸・胆管炎の経過が分かる診療記録 | 胆のうの亡失とは要件が異なり、臓器別基準に固有の定めがない。残存する機能障害の内容と治療継続の要否を個別に確認する |
| 膵臓(外分泌) | 上腹部痛、脂肪便、頻回の下痢等の症状があり、かつ、膵臓の一部切除又は所定の検査所見のいずれかが認められる状態 | 診療録上の症状の記載、手術記録、実施済みであればふん便中脂肪、BT-PABA(PFD)試験、ふん便中キモトリプシン活性等の結果 | 内分泌機能障害も伴えば第9級11号、外分泌のみなら第11級10号が検討対象 |
| 膵臓(内分泌) | 経口糖負荷試験による判定、空腹時血漿中C-ペプチドの低値、2型糖尿病でないことのすべてを満たす状態 | 実施済みであれば異なる日の経口糖負荷試験と空腹時C-ペプチドの結果、事故前の血糖値・HbA1c、既往歴 | 外分泌機能障害も伴えば第9級11号、内分泌のみなら第11級10号が検討対象。インスリン投与を必要とする場合は療養を要する状態として扱われる |
| 膵臓(膵液瘻) | 軽微な膵液瘻を残したために皮膚に疼痛等を生じるもの | 創部の皮膚所見、処置記録、疼痛の経過 | 局部の神経症状として第12級13号又は第14級9号が検討対象 |
損傷名や手術名だけでは等級は決まらない
後遺障害の等級は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第一及び別表第二に定められています。胸腹部臓器の等級表の文言は、たとえば第13級11号が「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」というように、臓器名を挙げずに機能障害の程度を示す形になっています。そのため、「肝損傷」「膵損傷」といった診断名や、「肝部分切除術」「膵体尾部切除術」といった術式名だけでは、どの号に当たるかは決まりません。臓器ごとの具体的な要件は、後述する労災保険の障害等級認定基準を参照して判断されるのが実務の取扱いです。
臓器の亡失、機能障害及び治療中の状態を分ける
胸腹部臓器の後遺障害は、三つに分けて考えると整理しやすくなります。第一は、胆のうのように、臓器を失ったこと自体が認定基準に定められているものです。第二は、膵臓のように、症状と検査所見の組合せによって機能の障害が認められるものです。第三は、なお治療を要する状態にあり、そもそも症状固定として評価する段階に至っていないものです。
肝臓はこのいずれとも異なる建て付けになっており、後の章で改めて説明します。いずれにしても、必要な資料も次に取るべき行動も異なりますので、ご自身の状態がどれに当たるのかを、主治医の説明と診療記録を踏まえて確認することが出発点になります。
急性期の損傷分類と後遺障害等級は別のもの
救急搬送時のカルテや紹介状に、「肝損傷Ⅲ型」「膵損傷Ⅲb型」といった記載がある場合があります。これは日本外傷学会の臓器損傷分類による記載です。肝損傷分類では、被膜下損傷をⅠ型、創の深さ3cm未満の表在性損傷をⅡ型、3cm以上の深在性損傷をⅢ型とし、Ⅲ型はさらに細分されます。膵損傷分類では、被膜が損傷され実質損傷の深さが実質径の1/2未満で主膵管損傷を伴わないものをⅡ型、主膵管損傷を生じたものをⅢb型としています。
臓器損傷分類は、急性期の損傷形態や重症度を示す医学的な分類であり、自賠責保険の後遺障害等級ではありません。Ⅲ型だから第9級、Ⅰ型だから非該当、という対応関係はありません。分類上重い損傷であっても症状固定時に認定基準上の障害が残っていないことはありますし、逆に分類上は軽くても、経過中に生じた病態が残ることもあります。
自賠責と労災では号数表記が異なる
後遺障害について調べていると、「第9級の7の3」「第11級の9」「第13級の3の3」という表記を目にすることがあります。これらは労災保険の障害等級表の号であり、自賠責保険の号数とはそのままでは一致しません。同じ内容の障害でも、自賠責では第9級11号、第11級10号、第13級11号となります。
肝臓・胆のう・膵臓の損傷と治療後の状態
等級の話に入る前に、資料を読むために必要な範囲で用語を整理します。医学的な診断と評価は主治医が行うものです。
肝損傷、肝切除及び塞栓術
肝臓は腹部で最も大きな臓器で、シートベルトやハンドルによる圧迫などで損傷することがあります。出血が持続する場合には、血管造影による動脈塞栓術、開腹による止血、損傷部の切除が行われることがあります。肝臓に大きな予備能と再生力があることが、後述するとおり現在の認定基準の背景になっています。
胆のう摘出と肝外胆管損傷・胆道再建の違い
胆のうは、肝臓で作られた胆汁を一時的にためて濃縮する臓器です。認定基準は、胆のうを損傷し非観血的療法が無効な場合等には胆のうの摘出が行われるとしています。また、厚生労働省の専門検討会報告書は、胆のうを摘出した場合には脂肪の消化吸収機能の低下をもたらし、食事制限や食事の摂取時間に制約が生じるなど一定の支障を生じるのが通常であるとして、第13級に該当するとするのが妥当としています。これが等級評価の理由です。ただし、賠償額の算定においては、後述のとおり個別の立証が別に必要になります。
これに対して、肝外胆管(総胆管など)の損傷は別の問題です。胆管空腸吻合などの胆道再建術が行われた後に、胆管の狭窄、胆汁の通過障害、黄疸、反復する胆管炎が問題になることがあります。胆のうを摘出したかどうかと、胆管に障害が残っているかどうかは分けて確認してください。
膵損傷、膵部分切除、主膵管損傷、膵液瘻及び仮性嚢胞
膵臓は、消化酵素を十二指腸に出す外分泌の働きと、インスリンなどのホルモンを血中に出す内分泌の働きを併せ持つ臓器です。腹部の強い圧迫により、脊椎に押し付けられる形で損傷することがあります。
主膵管が損傷されると、膵液が漏れ出す膵液瘻や、漏れた膵液がたまる仮性嚢胞が生じることがあり、膵体尾部切除などの手術が行われることがあります。膵液瘻や仮性嚢胞は長期の処置やドレナージを要することがあり、後述のとおり、この点が症状固定の時期に直結します。
回復した急性期の検査異常と永続的機能障害の違い
受傷直後には、肝損傷によりAST・ALTが著しく上昇したり、膵損傷によりアミラーゼが上昇したりすることがあります。しかし、後述のとおり認定基準上の慢性肝炎・肝硬変はAST・ALTが持続的に低値であるものに限るとされており、急性期に数値が高かったことはこの要件と直接には結び付きません。急性期の記録と症状固定時期の記録は、別の意味を持つ資料として扱ってください。
自賠責の後遺障害等級と労災認定基準の関係
自賠法施行令別表第一・別表第二の文言
自賠責保険で支払われる後遺障害の等級と保険金額は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第一(介護を要する後遺障害)及び別表第二に定められています。胸腹部臓器については、次のとおり第1級から第13級までの段階が置かれています。
| 自賠責の等級 | 等級表の文言 | 保険金額 | 労災の障害等級表の号 |
|---|---|---|---|
| 別表第一 第1級2号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 4000万円 | 第1級の4 |
| 別表第一 第2級2号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 3000万円 | 第2級の2の3 |
| 別表第二 第3級4号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 2219万円 | 第3級の4 |
| 別表第二 第5級3号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1574万円 | 第5級の1の3 |
| 別表第二 第7級5号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 1051万円 | 第7級の5 |
| 別表第二 第9級11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 616万円 | 第9級の7の3 |
| 別表第二 第11級10号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの | 331万円 | 第11級の9 |
| 別表第二 第13級11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの | 139万円 | 第13級の3の3 |
ここで押さえておきたいのは、肝臓・胆のう・膵臓について臓器別の認定基準が直接定めているのは、このうち第9級、第11級及び第13級であるという点です(膵液瘻による皮膚の疼痛は、別に局部の神経症状として第12級13号又は第14級9号が検討されます)。第7級以上は、多数の臓器に障害が残り、それらが複合的に作用して重い状態となる場合の総合評価などによって検討される領域です(後述)。肝臓・胆のう・膵臓については、いずれか一つの臓器の障害だけを前提に第7級以上を主張することは、通常は想定されていません。
保険金額は、その等級に対応する自賠責保険からの支払の限度額であり、実際の損害賠償額そのものではありません。
臓器別の労災認定基準を参照する理由
等級表の文言は「胸腹部臓器の機能に障害を残し……」という抽象的なものですから、これだけでは肝臓や膵臓がどのような状態であれば当たるのかが分かりません。この点について、自賠責保険の支払基準(金融庁・国土交通省告示)は、後遺障害による損害に関して、等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行うと定めています。
そこで、臓器別の具体的な要件は、厚生労働省の「胸腹部臓器の障害に関する障害等級認定基準について」(平成18年1月25日付け基発第0125002号)を参照して検討します。この通達の「第2 障害等級認定の基準」の「3 腹部臓器の障害」に、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、すい臓、ひ臓、ヘルニアの順で認定基準が置かれています。また、同通達の別添「胸腹部臓器の障害に関する医学的事項等」に、治ゆの判断と評価の考え方が示されています。
労災の号数を自賠責へ転記してはいけない理由
労災保険の障害等級表(労働者災害補償保険法施行規則別表第一)と自賠責保険の等級表は、障害の内容を示す文言が共通していても、号の振り方が異なります。労災の等級表は、改正のたびに「七の三」「三の三」といった枝番号が加えられ、削除された号もそのまま「削除」と残されているのに対し、自賠責の別表第二は各級の中で号数が通し番号になっているためです。この違いは通達の書き方の問題ではなく、二つの等級表そのものの違いです。
前掲の表のとおり、第3級・第7級・第14級のように結果として号数が一致する級もありますが、肝臓・胆のう・膵臓で問題になる第9級・第11級・第13級は一致しません。一致する級があることが、かえって取り違えの原因になります。
労災の通達を読んだまま「第9級の7の3」「第13級の3の3」と書いてしまうと、自賠責保険の請求書や異議申立書としては号数が特定できません。逆に、労災の号数を自賠責の号数として機械的に読み替えると、まったく別の障害の号を指してしまうことがあります。自賠責の号数は、必ず自賠法施行令別表第二の文言に戻って確認してください。
等級表に明記のない障害の評価(相当・準用)
等級表は、あらゆる後遺障害を号として書き尽くしているわけではありません。そこで自賠法施行令の別表第二は、備考において、各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とすると定めています(別表第一にも同じ趣旨の備考があります)。これがいわゆる「相当等級」の根拠です。
労災の側では、これに対応する処理が「準用」と呼ばれ、労働者災害補償保険法施行規則第14条第4項がその根拠です。前掲の通達も、胸腹部臓器の障害が単一である場合には臓器別の基準により認定し、複数認められる場合には併合の方法を用いて準用等級を定めるとしています。後で述べる複数障害の処理は、この枠組みによるものです。
もっとも、これらは条文にない障害を自由に評価してよいという意味ではありません。等級表の序列と既存の号との均衡を踏まえた判断が必要ですので、この枠組みで主張する場合は、残存する機能障害の内容と程度を資料で具体的に示すことが前提になります。
治療継続中と症状固定後の区別
国土交通省は、症状固定について、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった時をいい、医師により判断されるものと説明しています。労災の認定基準では「治ゆ」という言葉が用いられますが、いずれも、なお治療により改善が期待できる段階では、その段階に至っていないという考え方に立っています。前掲通達の別添も、腹部臓器についていくつもの場面で、療養の対象であって治ゆとすることはできないとしています。
肝臓と膵臓では、この治ゆの判断が等級の要件そのものと結び付いていますので、後の各節で具体的に説明します。症状固定の時期は主治医の医学的判断であり、申請を急ぐために治療を打ち切るという発想は、医学的にも賠償上も適切ではありません。症状固定と言われたときの確認点を見るページも参考になります。
肝臓の損傷で後遺障害を検討する際の注意点
肝損傷、部分切除又は塞栓術だけで等級が決まらない理由
肝臓を損傷して手術を受ければ胸腹部臓器の等級が認定される、といった趣旨の記述を見かけることがあります。しかし、現行の臓器別認定基準が肝臓の障害として明記しているのは、所定の肝硬変と慢性肝炎の二つです。
厚生労働省の専門検討会報告書は、肝臓には大きな予備能があり、相当部分を失った場合でも比較的短期間で再生する力があることから、肝硬変等が存している場合を除き、部分切除等により一時的に機能が低下してもその後通常は正常に復すると考えられるとし、基本的には障害には該当しないとしています。肝損傷や肝切除の事実だけを理由に第9級11号又は第11級10号になると考えるのは正確ではありません。
認定基準にある肝硬変・慢性肝炎の位置付け
現行の認定基準における肝臓の障害は、次のとおりです。括弧内の限定が付されている点が重要です。
| 認定基準上の障害 | 要件(括弧内の限定を含む) | 労災の号 | 自賠責で検討される号 |
|---|---|---|---|
| 肝硬変 | ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に低値であるものに限る | 第9級の7の3 | 第9級11号 |
| 慢性肝炎 | ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に低値であるものに限る | 第11級の9 | 第11級10号 |
要件は「ウイルスの持続感染」と「AST・ALTの持続的低値」の両方を求めており、この基準は主としてウイルス性の慢性肝疾患を想定した内容になっています。
なぜ「AST・ALTが持続的に低値」が要件なのか
数値が低いことが要件とされている点は直感に反しますが、症状固定(治ゆ)の判断と結び付けて読むと理解しやすくなります。通達の別添は、慢性肝炎及び肝硬変について、ウイルスが陰性化した場合のほかは、ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に低値であるものに限り治ゆと判断することができるとしています。つまり、AST・ALTが高い状態は、なお治療を要する段階=療養の対象であって、そもそも症状固定として評価する場面ではない、という整理です。
さらに同じ箇所は、抗ウイルス剤、免疫調節薬の投与又はグリチルリチンの注射等、積極的治療を目的とする薬剤を持続的に投与することでAST・ALTが正常な状態に保たれている場合についても、治療を中止すれば病態の悪化が避けられないことから治ゆと判断することはできない、としています。
「交通事故による肝損傷の後遺症は、肝硬変又は慢性肝炎である」と一般化することはできません。実際の事案では、事故前からの肝疾患の有無や、他の原因の有無が問題になることが少なくありません。他方で、肝硬変・慢性肝炎に当たらない外傷後の肝機能障害を、どの等級に相当するものとして評価するかについては、公開されている一次資料から明確な定めを確認できていません。この点は、個別の事案で医療記録と認定理由を確認したうえで検討すべき事項です。
肝機能検査の推移と事故前の肝疾患
輸血その他の治療を契機とするウイルス感染が問題となる事案もあり得ますが、一般的な可能性を指摘するだけでは足りず、感染の時期を推認できる検査結果、輸血記録、事故前の検査結果など、事故及びその治療との因果関係を裏付ける資料が必要です。あわせて、事故前の肝機能、飲酒歴、脂肪肝や代謝性肝疾患の指摘、服薬歴も確認の対象になります。被害者側に不利な材料になることもありますが、争点を早く把握し反論を準備するために不可欠な資料です。
事故との因果関係及び素因が争われる場面
肝臓では、事故の衝撃で損傷したことを事故態様・救急記録・初期画像で裏付けられるか、症状固定時にも永続的な機能障害が残っているか、事故前の肝疾患や飲酒等の他原因がないか、という三つの局面で争いになりやすい傾向があります。もっとも、既往症があること自体から当然に賠償額が減額されるわけではありません。いわゆる素因減額が問題となる場合でも、事故と損害との因果関係、既往の疾患が損害の発生・拡大にどの程度寄与したか、損害の公平な分担という観点を踏まえた検討が必要であり、事案ごとに結論は異なります。
就労上の支障を示す資料
認定基準上の要件を満たす場合であっても、賠償の場面では実際の労務への支障が問われます。通院や服薬の頻度、疲労や倦怠感による勤務時間の制約、出張・夜勤・運転の可否、勤務先の配慮の内容など、就労の実態を示す資料を医療資料とは別に用意してください。
胆のうの亡失(第13級11号)と胆管の障害
「胆のうを失ったもの」の意味
認定基準は、胆のうの障害について、胆のうを失ったものを労災の第13級の3の3としています。自賠責では、同じ文言の号である第13級11号が検討の対象になります。要件は、機能の低下の程度を測定することではなく、胆のうという臓器を失ったことです。
そのため、確認すべきは、手術記録、術式、退院時要約、必要に応じた病理記録など、摘出の事実と範囲を示す資料です。胆のうを摘出したのか、温存して胆管の処置のみを行ったのかは術式名だけでは判別が難しいことがあり、手術記録の記載で確認するのが確実です。
事故による摘出か、胆石症等による摘出か
胆のう摘出は、交通事故による損傷の治療として行われる場合もあれば、以前からの胆石症や胆のう炎に対する治療として行われる場合もあります。事故後の入院中に、たまたま発見された胆石に対して同時に摘出が行われることもあります。
「胆のうを摘出したから第13級11号になる」と考えるのは早すぎます。事故による損傷の治療として摘出が必要だったといえるか(相当因果関係)、急性期の画像や術中所見にその裏付けがあるか、適用される基準はどれか、必要な資料が提出されているか、を確認する必要があります。個別事情により結論は異なります。
胆管狭窄、胆道再建及び胆管炎は別に確認する
胆管の損傷、胆管狭窄、胆道再建後の胆汁通過障害、黄疸、反復する胆管炎は、「胆のうを失ったもの」とは要件が異なります。胆のうを失っていないのに胆のうの基準を当てはめることも、胆管の障害を胆のうの亡失と同じ扱いにすることも、いずれも正確ではありません。
臓器別の認定基準は、胆管・胆道の障害に固有の号を設けていません。したがって、胆管に関する事案では、まず、なお治療を要する段階ではないかを確認したうえで、残存する機能障害の内容と程度、肝臓その他の臓器への影響を診療記録に基づいて具体的に示し、前述した「相当」「準用」の枠組みで評価を求めることになります。ステント留置や定期的な処置が続いている場合は、そもそも症状固定として評価する段階かどうかから確認が必要です。
胆のう摘出後の逸失利益が等級だけで決まらない理由
胆のう摘出について等級が認定された場合でも、逸失利益が等級別の労働能力喪失率どおりに当然に認められるとは限りません。加害者側から、現実の減収がない、業務内容に支障がない、という反論が出やすい類型だからです。
そこで、食事の回数や時間の制約、脂質の多い食事の後の下痢や腹部症状、それによる勤務や外回りへの影響、勤務先の配慮、通院のための休務など、具体的な支障を示す事実と資料を積み上げます。減収がない場合でも、本人の努力や勤務先の配慮によって収入が維持されている事情を示すことができれば、評価は変わり得ます。計算方法は後遺障害逸失利益の計算方法を確認するページをご覧ください。
膵臓の外分泌・内分泌機能と後遺障害等級
膵臓については、認定基準が細かい要件を定めています。文言は「いずれにも該当する」「いずれか」「未満」「以下」といった条件の組合せであり、一つでも読み違えると結論が変わります。まず等級の枠組みを整理します。
| 膵臓の障害の内容 | 労災の号 | 自賠責で検討される号 |
|---|---|---|
| 外分泌機能の障害と内分泌機能の障害の両方が認められるもの | 第9級の7の3 | 第9級11号 |
| 外分泌機能の障害又は内分泌機能の障害のいずれかが認められるもの | 第11級の9 | 第11級10号 |
| 軽微な膵液瘻を残したために皮膚に疼痛等を生じるもの(局部の神経症状として) | 第12級の12又は第14級の9 | 第12級13号又は第14級9号 |
外分泌機能と内分泌機能の双方に障害がある場合
両方が認められる場合は、第9級11号が検討の対象になります。注意が必要なのは、第11級10号を二つ認定して併合するという処理はしないという点です。認定基準が、両方が認められるものを一つの等級として定めているためです。
外分泌・内分泌のいずれか一方に障害がある場合
いずれか一方が認められる場合は、第11級10号が検討の対象になります。どちらの機能の障害を主張するかによって必要な検査資料が異なりますので、診療録上どこまでの資料が存在するのかを早めに把握しておくことが有用です。
外分泌機能障害の症状と客観的資料
認定基準は、外分泌機能の障害を、次のいずれにも該当するものと定義しています。つまり、症状に関する要件と、客観的所見に関する要件の両方が必要です。
| 区分 | 要件の内容 |
|---|---|
| 症状の要件 | 上腹部痛、脂肪便(常食摂取で1日ふん便中脂肪が6g以上であるもの)、頻回の下痢等の外分泌機能の低下による症状が認められること |
| 客観的所見の要件 (次のいずれか一つに該当すれば足りる) |
|
客観的所見の要件に「膵臓を一部切除したこと」が挙げられているため、部分切除さえあれば外分泌機能障害になる、と誤解されることがあります。しかし、部分切除は客観的所見の要件の選択肢の一つにすぎず、これとは別に症状の要件を満たす必要があります。膵部分切除の事実だけで外分泌機能の障害が成立するわけではありません。
実際上の分かれ目になるのは、診療録に上腹部痛、脂肪便、頻回の下痢等の記載があるか、体重の推移がどうか、脂肪便について検査が実施されているか、といった点です。どの検査を行うかは医学的な必要性に基づき主治医が判断する事項であり、認定のために特定の検査を受けるべきだという趣旨ではありません。
内分泌機能障害と2型糖尿病の区別
内分泌機能の障害も、次のいずれにも該当するものと定義されています。三つの要件のすべてを満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①経口糖負荷試験(OGTT) | 異なる日に行った経口糖負荷試験によって、境界型又は糖尿病型であることが2回以上確認されること |
| ②空腹時血漿中C-ペプチド | 空腹時血漿中のC-ペプチド(CPR)が0.5ng/ml以下(インスリン異常低値)であること |
| ③糖尿病の型 | 2型糖尿病(通達上の表記は「Ⅱ型糖尿病」)に該当しないこと |
| (注) | 内分泌機能に障害があるためにインスリン投与を必要とする場合は、療養を要するものであること |
①の「境界型」「糖尿病型」の意味について、通達の別添は、日本糖尿病学会の委員会報告(1999年)の「糖代謝異常の判定区分」により判断するとしたうえで、その区分を次のように示しています。
| 判定区分 | 通達の別添が示す内容 |
|---|---|
| 正常型 | 空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ75gOGTTの2時間値が140mg/dl未満であるもの |
| 境界型 | 空腹時血糖値が110mg/dl以上又は75gOGTTの2時間値が140mg/dl以上であって、糖尿病型に該当しないもの |
| 糖尿病型 | 空腹時血糖値が126mg/dl以上又は75gOGTTの2時間値が200mg/dl以上のいずれかを満たすもの |
この判定区分は、空腹時血糖値と75gOGTTの2時間値によるものであり、HbA1cは含まれていません。他方、日本糖尿病学会はその後に委員会報告を改訂しており、現在公表されている診断基準ではHbA1cも判定に用いられています。認定基準上の法的な判定項目と、現在の臨床上の診断基準は同一ではありませんので、臨床で用いられる指標をそのまま認定要件と読み替えないよう注意が必要です。
③の要件は、実務上もっとも誤解が生じやすい部分です。事故後に糖尿病と診断されたことや、血糖値・HbA1cが高かったことは、それ自体では内分泌機能の障害を基礎づけません。膵臓の損傷による内分泌機能の障害なのか、事故とは別の原因による2型糖尿病なのかを区別する必要があるためです。事故前の健康診断の結果、血糖値、HbA1c、体格、家族歴、服薬歴、既往の糖尿病や慢性膵炎の有無が、この区別の資料になります。
軽微な膵液瘻による皮膚の疼痛
軽微な膵液瘻を残したために皮膚に疼痛等を生じるものは、局部の神経症状として、第12級13号又は第14級9号が検討の対象になります。
ここでいう「軽微」の意味は、通達の別添の治ゆの判断を読むと具体化します。別添は、難治性の軽微な膵液瘻があり瘻孔からしみ出た膵液によって皮膚のびらんを生じることがあるとしたうえで、このうち、補液、電解質の補正等の治療は不要であって、通院加療を要しないと判断されたものについては、治ゆと判断することができるとしています。つまり、なお補液等の治療を要する状態ではなく、瘻孔と皮膚の症状だけが残っている状態が、この号の想定する場面です。
資料としては、創部の皮膚所見、処置の記録、疼痛の部位・頻度・程度の経過、必要に応じた写真が挙げられます。第12級13号と第14級9号のいずれが検討されるかは、他覚的所見によって症状が説明できるかどうかという、神経症状一般の考え方に沿って判断されます。
インスリン投与、難治性膵液瘻等の治療中に症状固定を急がない
通達の別添は、膵臓について、次のように治ゆとすることができない場面を明示しています。
- 重症で難治性の膵液瘻が形成され、多量の膵液漏出のために電解質バランスの異常、代謝性アシドーシス、蛋白喪失及び局所の皮膚びらんが生じ、膵液ドレナージや補液、電解質の補正等の治療が必要な場合
- 外傷後に生じた仮性嚢胞について、腫瘤の増大傾向を認めたり、疼痛等の自覚症状を伴い、治療が必要となる場合
また、認定基準本文も、内分泌機能に障害があるためにインスリン投与を必要とする場合について、療養を要するものであることを注記しています。
申請を進めたいという気持ちから治療を早く終わらせようとすることは、健康の面でも賠償の面でも適切ではありません。弁護士の役割は、主治医の判断を前提として、どの資料をどの時点でどのように整えるかを整理することにあります。
手術記録、術中所見、画像、検査結果の推移、後遺障害診断書の記載、自賠責の認定理由は、それぞれ意味が異なります。これらを認定基準の要件と突き合わせることで、どの要件が資料で裏付けられていて、どの要件の資料が不足しているのかを整理できます。ご相談の際は、お手元にある資料をそのままお持ちいただいて構いません。
後遺障害申請前に集めたい医療記録と証拠
次の表は、資料と、そこから確認できる事実、対応する争点を並べたものです。すべての事案ですべての資料が必要になるわけではありません。受傷内容と主張したい障害の種類に応じて必要な範囲を選んでください。
全臓器に共通する資料
| 資料 | 確認できる事実 | 対応する争点 |
|---|---|---|
| 交通事故証明書、実況見分調書等 | 事故態様、衝撃の方向と程度 | 腹部臓器損傷が生じ得る事故であったか |
| 救急搬送記録、初診記録、診療録、退院時要約、紹介状 | 受傷直後の所見、治療の経過、症状の推移 | 事故との因果関係、治療の必要性 |
| 造影CT・MRI・超音波・血管造影の画像及び読影報告 | 損傷部位、範囲、経時的変化 | 損傷の存在と部位、治療の相当性 |
| 手術記録、術式図、麻酔記録、輸血記録、病理記録 | 切除・摘出の範囲、再建の有無、輸血の有無 | 臓器の亡失、切除範囲、輸血後感染の検討 |
| 診療報酬明細書、治療計画、服薬・栄養管理の記録 | 治療内容の全体像、通院頻度 | 治療継続の要否、症状固定時期 |
| 後遺障害診断書 | 症状固定時の所見と残存症状 | 認定基準の要件との対応 |
| 自賠責の認定票、認定理由、提出済み資料の一覧 | どの資料に基づき、どう判断されたか | 異議申立ての要否と方向性 |
| 事故前の健康診断、血液検査、画像、既往歴、服薬歴 | 事故前の状態 | 因果関係、素因、既往症の影響 |
肝臓で確認する資料
- 肝損傷の部位と範囲が分かる急性期の画像及び読影報告
- 肝切除の範囲、塞栓術その他の治療内容が分かる手術記録・手技記録
- AST、ALTその他の肝機能に関する検査の時系列(急性期・回復期・症状固定時期)
- 肝炎ウイルス検査の結果、線維化や肝硬変の診断根拠となる所見
- 抗ウイルス剤その他の薬剤の投与内容と期間が分かる記録
- 事故前の肝機能、飲酒歴、肝疾患の指摘、服薬歴
AST・ALTは認定基準の要件に直接現れる検査項目です。その他の肝機能・肝予備能に関する検査は、病態や因果関係、事故前後の推移を確認するための補助資料という位置付けですので、区別して整理してください。
胆のう・胆管で確認する資料
- 胆のう摘出術の手術記録、術式、退院時要約、必要に応じた病理所見
- 摘出の原因が外傷であることを示す急性期画像及び術中所見
- 胆管損傷又は胆道再建がある場合の手術記録と再建方法
- 医学的に実施済みであれば、MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)その他の胆道画像の結果
- 胆汁通過障害、黄疸、胆管炎等の経過が分かる診療記録
- ステント留置や定期的な処置が続いているかが分かる記録
- 事故前の胆石症、胆のう炎、胆道疾患の記録
膵臓で確認する資料
- 膵損傷の部位、主膵管損傷の有無、切除範囲、残存膵の状態
- 手術記録、ドレーン排液の量と性状、膵液瘻・仮性嚢胞の経過
- 補液や電解質の補正を要したかどうか、通院加療の要否に関する記載
- 上腹部痛、脂肪便、頻回の下痢、体重変化に関する診療録の記載
- 認定基準に掲げられた外分泌機能の検査のうち、医学的に実施された検査の結果
- 医学的に実施済みであれば、異なる日に行われた経口糖負荷試験、空腹時血漿中C-ペプチドその他の内分泌機能に関する検査の結果
- 事故前後の血糖値、HbA1c、既往歴、体格、服薬歴、家族歴
- 膵液瘻による創部の皮膚所見、処置記録、疼痛の経過、必要に応じた写真
事故前の健康診断・既往資料が重要になる理由
いずれの臓器についても、事故と無関係の疾患が同じような検査異常を生じさせることがあります。事故前の資料は、事故前が正常であったこと、あるいは異常があってもその程度がどうであったかを示すもので、因果関係と素因減額の双方に影響します。健康診断や人間ドックの結果、他院での通院歴、健康保険の受診履歴は時間が経つと入手が難しくなりますので、早い段階で所在を確認してください。
医療資料と就労・生活資料の役割の違い
医療資料は主として機能障害の存在と事故との因果関係を、就労・生活の資料は主として損害の内容と労働能力への影響を裏付けるものです。役割が異なるため、一方が他方を代替することはできません。
後者に当たるのは、休業損害証明書、勤怠記録、給与明細、源泉徴収票、確定申告書のほか、配置転換、業務軽減、勤務時間の短縮、出張や夜勤の制限が分かる勤務先の資料です。あわせて、通院・服薬・食事時間・トイレ利用・低血糖への配慮が業務に与えている影響、家事や育児・外出への支障、症状と処置の経過を、時系列で記録しておくと役立ちます。
症状の記録や生活記録は有用ですが、これらによって認定基準上の医学的要件を代替することはできません。医学的要件は医療資料で、損害の内容は就労・生活資料で、それぞれ裏付ける必要があります。資料の集め方の全体像は、後遺障害申請で確認したい証拠と資料を見るページで整理しています。
症状固定から申請・認定・異議申立てまでの流れ
手続の流れ自体は他の後遺障害と大きく変わりません。臓器別の資料をどの段階で整えるかが、この分野に特有の課題です。
- 治療を継続し、主治医と症状固定の時期を検討する
- 後遺障害診断書、画像、手術記録、臓器別の検査資料を整える
- 事前認定と被害者請求のいずれで進めるかを選択する(事前認定と被害者請求の違いを確認する)
- 認定結果と認定理由を確認し、どの要件が認められ、どの要件が認められなかったのかを読み解く
- 非該当又は想定より低い等級であった場合、異議申立て、自賠責保険・共済紛争処理機構への申請、訴訟のいずれを選ぶかを検討する(非該当後の異議申立ての判断材料を見る)
- 等級認定後、損害額、逸失利益、将来治療費、示談条項を検討する
自賠責保険への請求については、国土交通省が、後遺障害について症状固定日の翌日から3年以内という請求期限を案内しています。これは自賠責保険に対する請求の期限であり、加害者や任意保険会社に対する損害賠償請求権の消滅時効とは別の問題です。
民法上の不法行為による損害賠償請求権については、民法第724条が損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年間と定め、同法第724条の2が、人の生命又は身体を害する不法行為については前者を5年間に読み替える旨を定めています。起算点の解釈、完成猶予・更新の有無、改正法の経過措置は事案により異なりますので、期間が迫っている場合は早めに条文と事案を照らして確認してください。
肝臓・胆のう・膵臓の障害で請求対象となり得る損害
症状固定前の損害
症状固定前については、治療関係費、入院雑費、通院交通費、必要な場合の付添費、休業損害、傷害慰謝料が請求の対象になります。腹部臓器の損傷では入院が長期化することがあり、栄養管理に関する費用の扱いが問題になることもあります。なお、自賠責保険では傷害による損害の限度額が被害者一人につき120万円とされており、治療が長期化した場合には、この枠を超える部分を任意保険や加害者本人に請求することになります。
後遺障害慰謝料と逸失利益
症状固定後については、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が問題になります。自賠責保険の支払基準は、等級ごとの慰謝料額と労働能力喪失率を定めています。本記事で扱う等級の範囲では、次のとおりです。
| 等級 | 自賠責の保険金額(限度額) | 支払基準の後遺障害慰謝料 | 支払基準別表Ⅰの労働能力喪失率 |
|---|---|---|---|
| 第9級11号 | 616万円 | 249万円 | 35/100 |
| 第11級10号 | 331万円 | 136万円 | 20/100 |
| 第12級13号 | 224万円 | 94万円 | 14/100 |
| 第13級11号 | 139万円 | 57万円 | 9/100 |
| 第14級9号 | 75万円 | 32万円 | 5/100 |
この表の金額は、あくまで自賠責保険の支払に関する基準です。自賠責保険の支払額、裁判実務上参照される後遺障害慰謝料の水準、最終的な損害賠償の総額は、いずれも別のものです。また、支払基準の慰謝料には被扶養者がいる場合の加算が定められています。裁判実務上参照される基準を前提とする検討は、資料を確認したうえで個別に行う必要があります。
将来治療費・検査費の立証
膵液瘻の処置、胆道系の定期的な検査、継続的な薬剤など、症状固定後も費用の発生が見込まれる場合には将来治療費・将来検査費が問題になります。もっとも、「悪化するかもしれない」という抽象的な可能性だけで当然に認められるものではなく、医学的必要性、発生の蓋然性、内容、頻度、期間、単価のそれぞれについて、主治医の意見や過去の実績を含めた立証が求められます。治療継続中の費用と症状固定後の将来費用は分けて整理してください。
等級と現実の労働能力低下は別に検討する
等級が認定されたことと、現実に労働能力が低下していることは、賠償の場面では別に検討されます。胆のう摘出のように加害者側から「日常生活や業務に支障はない」と主張されやすい類型がある一方、膵臓の外分泌・内分泌機能の障害のように、食事時間、下痢、低血糖、疲労、通院の必要、夜勤・運転・危険作業の制限といった形で職務に具体的な影響が及ぶ類型もあります。職業、実際の業務内容、勤務先の配慮、減収の有無と程度、将来の昇進・転職への影響、医師による就業上の指示を、証拠と結び付けて主張することが重要です。
複数障害の併合・準用及び二重評価
腹部の外傷では、複数の臓器に障害が残ることが珍しくありません。ここで注意が必要なのは、脾臓の亡失や腹壁瘢痕ヘルニアも、肝臓・胆のう・膵臓と同じ「胸腹部臓器の障害」として同じ認定基準の中に置かれているという点です。たとえば認定基準は、脾臓を失ったものを労災の第13級の3の3とし、腹壁瘢痕ヘルニア等については、常時又は立位をしたときにヘルニア内容の脱出・膨隆が認められるものを第9級の7の3、重激な業務に従事した場合等腹圧が強くかかるときに脱出・膨隆が認められるものを第11級の9としています。
そのため、胸腹部臓器に認定基準に該当する障害が二つ以上ある場合は、前述のとおり、労働者災害補償保険法施行規則第14条第4項により併合の方法を用いて準用等級を定めるという処理になります。単純に等級を足し算するのではなく、また別々の等級を二つ認定するのでもありません。
さらに通達は、多数の臓器に障害を残し、それらが複合的に作用するために介護が必要な程度に重度の障害が残ることとなる場合のように、併合の方法により得られた等級が総合評価による等級を明らかに下回るときは、介護の程度及び労務への支障の程度を総合的に判断して障害等級を認定するとしています。前掲の第7級以上の等級は、主にこの場面で検討されます。
また、胸腹部臓器の障害と「系列を異にする障害」が「通常派生する関係」にある場合には、併合することなくいずれか上位の等級により認定するとされています。種類の違う障害であっても、一方が他方から通常生じる関係にあるときは、二つを足さずに上位の等級だけで評価する、という意味です。骨折や神経症状などが併存する場合も、同じ症状や同じ機能低下を二重に評価しないことが必要です。併合・加重・準用の一般的なルールは複数の後遺障害が残った場合の評価を確認するページで整理しています。
弁護士費用特約の確認
ご自身又は同居のご家族が加入している自動車保険、火災保険、傷害保険、クレジットカード等に、弁護士費用特約が付帯していることがあります。付帯していれば、約款の定める範囲で弁護士費用が保険から支払われます。適用の可否、範囲及び上限額は約款により異なりますので、保険証券や加入先にご確認ください。
よく争われる場面
次のような場面で判断に迷うことが多くみられます。いずれも、まず確認すべき資料を挙げる形で整理します。
| 場面 | まず確認する資料・事項 |
|---|---|
| 大きな手術を受けたが、認定基準上の機能障害が残っていない | 症状固定時の症状の記載、実施済みの検査、治療がなお継続していないか |
| 画像所見はあるが、症状固定時の機能障害を示す検査が不足している | 診療録上どの検査が実施済みか、後遺障害診断書に症状が記載されているか |
| 肝炎、胆石、糖尿病、慢性膵炎等の既往症がある | 事故前の健康診断・血液検査・画像、服薬歴、事故後の経過との比較 |
| 胆管損傷を胆のうの亡失と同様に扱えるか争いがある | 手術記録上の術式、胆のう摘出の有無、胆道再建の内容、残存する症状と治療の要否 |
| 肝臓・膵臓のほかに脾臓摘出、腹壁瘢痕ヘルニア、神経症状等が併存する | 各障害の認定理由、胸腹部臓器としての準用の可否、系列と通常派生の関係、二重評価の有無 |
| 等級は認定されたが、逸失利益を否定又は減額された | 職務内容、勤務先の配慮、減収の有無、医師の就業上の指示 |
| 将来治療費・検査費の必要性又は期間を争われている | 主治医の意見、これまでの実績、頻度と単価が分かる資料 |
| 自賠責と労災で号数や評価が違い混乱している | 自賠法施行令別表第二の文言、労災則別表第一の号、それぞれの決定通知 |
手続前チェックリスト
段階ごとに、確認しておきたい事項を整理します。
症状固定前
- 膵液瘻、仮性嚢胞、胆道の処置、インスリン投与など、なお治療を要する状態が続いていないか
- 肝臓について、抗ウイルス剤等の積極的治療を目的とする薬剤の投与が続いていないか
- 主治医に、現在の症状と今後の見通しをどのように説明されているか
- 上腹部痛、脂肪便、下痢、体重変化、低血糖症状などが診療録に記載されているか
後遺障害診断書の作成前
- 主張したい障害が、肝臓、胆のう、胆管、膵臓のどれに関するものかを整理できているか
- その障害について、認定基準が求めている要件と、手元の資料の対応関係を確認したか
- 手術記録、画像、検査結果の写しを取り寄せているか
- 脾臓摘出、腹壁瘢痕ヘルニア、骨折、神経症状など、他に残っている症状を漏れなく整理したか
- 事故前の健康診断や血液検査の所在を確認したか
事前認定・被害者請求の選択前
- 提出する資料の範囲を自分で決められるかどうかという違いを理解しているか
- 臓器別の検査結果や手術記録が、提出資料に含まれる見込みか
- 他覚的所見と自覚症状の記載に食い違いがないか
異議申立て前
- 認定理由を入手し、どの要件が認められなかったのかを特定したか
- 不足していた資料を、新たに提出できる見込みがあるか
- 異議申立て、紛争処理機構への申請、訴訟のいずれが適するかを比較したか
示談書への署名・押印前
- 前提とされている等級と、損害項目の内訳を確認したか
- 逸失利益の労働能力喪失率と喪失期間の根拠を確認したか
- 将来治療費・検査費が必要な場合、その扱いが示談条項でどうなっているか
- 既払金、健康保険や労災保険からの給付との調整、過失相殺の内容を確認したか
- 清算条項の範囲と、症状悪化時の取扱いを確認したか
弁護士に相談するタイミング
次の場面では、資料と争点を整理しておくことで、その後の判断がしやすくなります。
- 症状固定を打診されたとき なお治療を要する状態でないか、どの資料が症状固定時に必要かを整理できます。
- 後遺障害診断書を作成してもらう前 認定基準の要件と、診断書に記載される事項の対応関係を確認できます。
- 事前認定と被害者請求の選択に迷うとき 提出資料の範囲と手続の進み方を比較して検討できます。
- 非該当又は想定より低い等級だったとき 認定理由を読み解き、どの要件について資料が足りなかったのかを検討できます。
- 等級認定後に逸失利益や将来治療費を争われたとき 職務への具体的影響と、費用の必要性・蓋然性を示す資料を整理できます。
- 示談案又は示談書が届いたとき 前提となっている等級、損害項目、条項の効果を確認できます。
弁護士が行うのは法律面の検討であり、医学的な診断や検査・治療の要否の判断ではありません。検査の医学的な必要性は主治医が判断します。弁護士は、医療記録と認定基準の対応関係を確認し、申請方法や示談の可否を資料に基づいて検討する役割を担います。
よくある質問
交通事故で肝臓を損傷したり一部切除したりしたら、必ず後遺障害になりますか。
必ずしもそうではありません。現行の認定基準が肝臓の障害として定めているのは、所定の肝硬変と慢性肝炎です。専門検討会報告書も、肝臓には予備能と再生力があり、肝硬変等がなければ部分切除等による機能低下は通常回復するとして、基本的には障害に該当しないとしています。もっとも、診断名だけで非該当と決まるわけでもありませんので、症状、検査の推移、就労への影響を資料で確認する必要があります。
肝損傷の重症度分類と後遺障害等級は同じものですか。
別のものです。日本外傷学会の臓器損傷分類は、急性期の損傷形態や重症度を示す医学的な分類であり、自賠責保険の後遺障害等級ではありません。分類上重い損傷であっても、症状固定時に認定基準上の障害が残っていないことがあります。
なぜ肝臓の要件は「AST・ALTが持続的に低値」なのですか。数値が高いほうが重いのではありませんか。
通達の別添は、慢性肝炎・肝硬変について、ウイルスが陰性化した場合のほかは、ウイルスの持続感染が認められ、かつAST・ALTが持続的に低値であるものに限り治ゆと判断することができるとしています。数値が高い状態は、なお治療を要する療養の対象であって、症状固定として等級を評価する場面ではない、という整理です。また、薬剤の持続的な投与によって数値が正常に維持されている場合も、治ゆとは判断できないとされています。
交通事故で胆のうを摘出した場合は、第13級11号になりますか。
検討の対象にはなります。認定基準は胆のうを失ったものを労災の第13級の3の3とし、自賠責では同じ文言の第13級11号が対応します。ただし、事故による損傷の治療として摘出が行われたといえるかどうかが確認されます。事故前からの胆石症や胆のう炎による摘出であれば結論は異なりますので、手術記録、術中所見、急性期画像、事故前の記録を確認する必要があります。
胆管を損傷して再建手術を受けた場合、胆のう摘出と同じ扱いですか。
同じではありません。「胆のうを失ったもの」は臓器の亡失を要件とするもので、胆管の狭窄や胆汁の通過障害はこれとは別の問題です。臓器別の認定基準は胆管・胆道に固有の号を設けていませんので、なお治療を要する段階でないかを確認したうえで、残存する機能障害の内容と程度を資料で具体的に示し、等級表の備考にある「相当」や、労災でいう「準用」の枠組みで評価を求めることになります。
膵臓を部分切除しただけで、第11級10号になりますか。
それだけでは要件を満たしません。認定基準上、外分泌機能の障害は、上腹部痛・脂肪便・頻回の下痢等の症状の要件と、部分切除又は所定の検査所見という客観的所見の要件のいずれにも該当することを求めています。部分切除は客観的所見の選択肢の一つにすぎず、症状の要件を別に満たす必要があります。
事故後に糖尿病と診断されれば、膵臓の後遺障害になりますか。
それだけでは要件を満たしません。内分泌機能の障害は、異なる日の経口糖負荷試験で境界型又は糖尿病型が2回以上確認されること、空腹時血漿中C-ペプチドが0.5ng/ml以下であること、2型糖尿病に該当しないことのすべてを満たす必要があります。なお、認定基準が用いる判定区分は空腹時血糖値と75gOGTTの2時間値によるもので、HbA1cは含まれていません。事故前の血糖値、HbA1c、体格、家族歴、服薬歴などから、2型糖尿病その他の原因との区別が問題になります。
膵液瘻や仮性嚢胞が残っていますが、症状固定として申請できますか。
状態によります。認定基準は、重症で難治性の膵液瘻について、膵液ドレナージや補液、電解質の補正等の治療が必要であるから治ゆとすることはできないとし、仮性嚢胞についても、増大傾向や疼痛等の自覚症状があり治療が必要な場合は治ゆと判断することはできないとしています。他方、難治性であっても軽微で、補液等の治療は不要かつ通院加療を要しないと判断されたものについては治ゆと判断できるとされ、この場合に皮膚の疼痛等が残れば第12級13号又は第14級9号が検討されます。判断は主治医の医学的評価が前提になります。
まとめ
- 認定の軸は臓器ごとに異なります。肝臓は所定の肝硬変・慢性肝炎、胆のうは臓器の亡失、膵臓は外分泌・内分泌の機能障害と膵液瘻による神経症状が検討の対象です。
- 胸腹部臓器の等級は第1級から第13級までありますが、この三つの臓器について臓器別基準が直接定めるのは第9級・第11級・第13級です(膵液瘻による皮膚の疼痛は、局部の神経症状として第12級13号又は第14級9号)。より上位の等級は、多数の臓器の障害が複合する場合の総合評価などによって検討されます。
- 急性期の臓器損傷分類や手術の大きさは、症状固定後の後遺障害等級とは別のものです。診断名や術式名だけで等級は決まりません。
- 自賠責の号数と労災の号数は、等級表そのものが異なるため一致しません。自賠責の号は、必ず自賠法施行令別表第二の文言に戻って確認してください。
- 肝臓の「AST・ALTが持続的に低値」、膵臓の「軽微な膵液瘻」は、いずれも治ゆ(症状固定)の判断と結び付いた要件です。治療を要する状態のまま申請を急ぐことは適切ではありません。
- 手術記録、画像、検査の時系列、後遺障害診断書、自賠責の認定理由を、認定基準の要件と対応させて整理してください。事故前の健康診断や既往の記録は因果関係と素因の双方に影響し、時間が経つほど入手が難しくなります。
- 等級の認定と、逸失利益・将来治療費の認否は別の問題です。職務への具体的な影響と、費用の必要性・蓋然性を、資料で示す準備が必要です。
- 脾臓摘出や腹壁瘢痕ヘルニアが併存する場合は、同じ胸腹部臓器の障害として準用等級を定める処理になります。示談前には、前提とされている等級と損害項目の内訳、清算条項の範囲を確認してください。
次の行動としては、主治医の治療方針を確認したうえで、手術記録、画像、検査結果、後遺障害診断書、自賠責の認定理由、事故前の健康診断の所在を確認することをおすすめします。示談案が届いている場合は、署名・押印の前に交通事故の示談案で確認すべき項目を見るページもご確認ください。
なお、脾臓摘出を含む胸腹部臓器の後遺障害の全体像は内臓損傷の後遺障害等級と平成18年改正の要点を見るページで、腎臓の摘出や腎機能障害については腎臓の摘出・腎機能障害の等級と資料を確認するページで、それぞれ整理しています。
神戸みらい法律会計事務所では、交通事故による後遺障害についてのご相談をお受けしています。初回のご相談は無料です。交通事故については、可能な範囲でお電話による無料相談にも対応しており、オンラインでのご相談も承っています(出張相談は出張費用が必要です)。事案により平日夜間・土日祝にも対応しています。なお、初回相談は事前のご予約が必要です。
手術記録、画像、検査結果、後遺障害診断書、自賠責の認定理由、保険会社からの提示資料を確認したうえで、検討すべき障害の枠組み、不足している資料、逸失利益や将来治療費の主張の組み立て方、示談案の可否を整理します。
監修者・執筆者
代表弁護士・公認会計士 藤井 貴之
兵庫県弁護士会所属。日本公認会計士協会兵庫会所属。弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所の代表弁護士・公認会計士として、交通事故、相続、企業法務、労働問題、損害賠償など、個人・法人双方の法律相談に対応しています。
本記事は、弁護士による法律面の監修を経たものであり、医師による医療監修を受けたものではありません。診断、治療方針、検査の要否、食事指導については主治医にご確認ください。
本記事は、2026年9月時点で公表されている法令、告示、通達及び公的資料に基づく一般的な解説です。後遺障害等級の認定結果や請求できる損害の範囲は、事故態様、受傷内容、治療経過、検査所見、就労状況、既往歴、証拠関係などにより異なります。個別事情により結論は異なりますので、具体的な事案は資料を確認したうえでご相談ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」(別表第一・別表第二)
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」(別表第一 障害等級表)
- e-Gov法令検索「民法」(第724条、第724条の2)
- 厚生労働省「胸腹部臓器の障害に関する障害等級認定基準について」(平成18年1月25日付け基発第0125002号)
- 同通達 別添「胸腹部臓器の障害に関する医学的事項等」(腹部臓器の治ゆの判断及び評価の考え方)
- 厚生労働省「胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会報告書」
- 同報告書(腹部臓器の部分・PDF)
- 金融庁・国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(PDF)
- 国土交通省「別表Ⅰ 労働能力喪失率表」(PDF)
- 国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」
- 国土交通省「支払までの流れと請求方法」(請求期限を含む)
- 損害保険料率算出機構「自賠責保険(共済)損害調査のしくみ」(PDF)
- 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構「紛争処理制度の概要」
- 一般社団法人日本外傷学会 臓器損傷分類委員会「日本外傷学会臓器損傷分類2008」
- 一般社団法人日本糖尿病学会「糖尿病診断基準」

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