飲食店経営者の自己破産|店舗・厨房機器・仕入代金と閉店の進め方 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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飲食店経営者の自己破産|店舗・厨房機器・仕入代金と閉店の進め方

 「仕入代金が払えていない」「家賃を2か月ためてしまった」「給与日が来るのに手元の現金が足りない」「来月の宴会予約をもらったが、その日まで店を開けていられるか分からない」——。飲食店を経営される方からのご相談では、支払の問題と、お店をどうたたむかという問題が同時に持ち込まれます。

 自己破産は借金を整理する手続です。しかし飲食店の場合、借金だけを切り離して整理することはできません。店舗の賃貸借と原状回復、厨房設備やリース物件、仕入先への買掛金と在庫、従業員の未払賃金、そして予約や食事券として受け取った前払いのお金が、同じ時期に処理を求められます。順番を誤ると、後から「あの支払はしない方がよかった」「あの記録は残しておくべきだった」という事態になりかねません。

この記事で分かること

  • 個人事業として営んでいる場合と、法人で営んでいる場合で、債務と資産の扱いがどう違うか
  • 店舗の解約・明渡し・原状回復・敷金について、契約書のどこを確認し、費用がどう扱われるか
  • 厨房機器やリース物件を売却・搬出・返還する前に確認する必要があること
  • 仕入代金、生鮮在庫、キャッシュレス決済の未入金の整理のしかた
  • 従業員の未払賃金の順位と、個人事業主の場合に免責されない債権があること
  • 宴会予約金・食事券への対応と、返金を約束する前に確認すること
  • 閉店前の支払・資産処分・資料廃棄で問題になる行為
  • 廃業に伴う税務の届出、営業許可の廃止と地位承継、再出発の際に別問題となること

 設備を処分する前、解約合意書に署名する前、従業員や予約のお客様に説明する前に、契約書と支払の予定を一度確認しておくと、対応の方針を検討しやすくなります。神戸市・兵庫県内で飲食店を経営されている方は、ご相談ください。

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自己破産を考えた飲食店経営者が最初に確認すること

 結論から申し上げます。この段階で最初に必要なのは、借金をどう減らすかを決めることではなく、誰の債務なのか、誰の財産なのかを契約ごとに切り分けることです。飲食店では、店舗の賃貸借、厨房設備のリース、仕入の継続取引、雇用、予約の受付という五つの関係が並行して動いており、名義も相手方も異なります。ここを整理しないまま閉店だけを進めると、後から取り消される可能性のある支払をしてしまったり、他人の物を処分してしまったりする危険があります。

「店じまい」「借金の整理」「生活の再建」は別の作業

 閉店届や廃業届を出せば借金が消えることはありません。営業をやめることと、債務の支払義務がなくなることは、法律上まったく別の問題です。個人の場合、支払義務が免除されるのは、裁判所が免責許可の決定をし、それが確定したときであり(破産法第253条第1項本文)、しかも免責されない債権があります(同項ただし書)。次のことはすべて別の手続で、必要な書類も判断する主体も違います。

  • 店舗の営業をやめること(営業停止・閉店)
  • 保健所への営業許可に関する届出(許可済証の返納、又は地位の承継の届出)
  • 税務署への廃業に関する届出
  • 法人の場合の解散・清算の手続
  • 裁判所への破産手続開始の申立てと、開始決定
  • 個人についての免責許可の決定

順序を自分で確定させない

 「破産するなら先に店を閉めなければならない」「原状回復を終えてからでないと申立てができない」と考えて相談を先延ばしにされる方がいらっしゃいますが、いずれもそうではありません。営業停止、明渡し、申立ての前後関係は、資金の残り、賃貸借契約の条項、設備の権利関係、従業員の有無、予約の状況によって変わり、全員に共通する固定の日程はありません。

先に決めつけない方がよいこと

 「明渡しを完了させてから申立てをする」「設備を売って費用を作ってから相談する」という順序をご自身で確定させないことをおすすめします。設備の売却や特定の支払は後の手続で問題になる場合があり、いったん実行すると順序を変えられなくなることがあります。手元の資金が少ない状態でも、まず現在の状況を確認する意味があります。

個人事業と法人経営では債務・資産の扱いが違う

個人事業主の場合|屋号と個人は別人格ではない

 個人事業として営んでいる場合、事業のために負った債務(仕入代金、事業性の借入、リース料、賃料)と、生活のために負った債務(クレジットカード、生活費の借入)は、いずれも同一の個人の債務です。屋号を付けていても、屋号が債務を負うことはありません。したがって、事業の債務だけを整理して生活の債務を残す扱いはできず、原則としてすべての債権者を対象にすることになります。財産についても同じで、事業用と生活用の口座、店の売上金と家計の現金は、いずれもご本人の財産として扱われます。飲食店に限らない個人事業の廃業の段取りは、個人商店の廃業と借金整理|閉店前に確認する手順でも解説しています。

法人で経営している場合|会社の破産と代表者の破産は別

  • 会社が破産しても、代表者個人が自動的に破産するわけではありません。法人の申立てと個人の申立ては別です(もっとも、代表者が保証をしている場合など、同時に申し立てることを検討する場面は多くあります)。
  • 代表者個人が免責許可を得ても、会社の債務が消えるわけではありません。免責は個人についての制度です。
  • 法人には、個人の免責に相当する制度はありません。法人の場合は、破産手続が終わることで法人格が消滅し、結果として弁済されなかった債務の請求先がなくなるという構造です。
  • 会社の未払賃金や仕入代金が、代表者という立場だけを理由に当然に個人の債務になることはありません。代表者個人が責任を負うかどうかは、連帯保証をしているか、個人名義で契約しているか、任務を怠ったことによる責任(会社法第429条第1項等)が問題になるかで決まります。保証人として請求を受けた場合の考え方は連帯保証人として請求されたら|支払前に確認したい点と整理方法、法人の手続については法人破産・事業者破産の取扱業務をご覧ください。
個人事業と法人経営で確認する対象・名義・保証
確認する対象 個人事業の場合 法人経営の場合 確認する名義・保証
金融機関からの借入 本人の債務。事業性・生活費のいずれも本人に帰属 法人の債務。代表者の保証があれば代表者にも請求が及ぶ 借入名義、連帯保証人、担保、保証協会の保証
店舗の賃貸借 本人が借主。保証会社や個人保証が付くことが多い 法人が借主でも代表者が連帯保証していることが多い 借主名義、連帯保証人欄、保証会社
厨房設備・リース 本人所有かリース会社所有かを個別に確認 法人所有・リース・代表者の個人所有が混在しやすい 契約類型、所有権留保、保証
従業員の雇用 本人が雇用主。未払賃金は本人の債務 法人が雇用主。代表者は保証等がなければ当事者でない 雇用契約書の使用者名、労働保険の適用事業所
予約・食事券 本人が契約当事者。返金請求も本人に向かう 法人が契約当事者。予約サイト等との契約名義も確認 予約規約の事業者名、決済事業者との契約名義
税金・社会保険料 所得税・消費税・国民健康保険料等は本人が納税義務者 法人税・法人の消費税・社会保険料は法人が納付義務者 滞納通知の宛名、第二次納税義務や保証

 この切り分けは、契約書と請求書を並べて一件ずつ確認する以外に方法がありません。実際に確認すると「法人の店舗なのに賃貸借契約が個人名義のままだった」「リースだと思っていた機器が割賦販売で所有権留保が付いていた」という食い違いが見つかります。

店舗の解約・明渡し・原状回復・敷金

 飲食店の閉店で最も金額が動きやすく、見通しが立てにくいのが店舗の賃貸借です。契約書の条項で結論が大きく変わるため、一般論として「何か月前に解約予告」「敷金は戻る」と決めることはできません。

契約書のどこを確認するか

  • 借主の名義(個人か法人か)と、連帯保証人・保証会社の有無
  • 契約期間、中途解約の可否と予告期間、違約金・残存期間の賃料相当額の定め
  • 滞納賃料と遅延損害金の額、催告や解除の通知が届いているか
  • 敷金・保証金の額、償却(敷引き)の定め、返還の時期と条件
  • 原状回復の範囲(いわゆるスケルトン返しを求める条項があるか)
  • 造作・内装・厨房設備のうち、貸主に帰属するもの・借主が持ち出せるものの区別
  • 賃借権の譲渡・転貸を認めるかどうか(居抜きで譲る場合に必要)
  • 破産・支払停止等を解除事由とする条項(いわゆる倒産解除条項)の有無

破産手続と賃貸借契約の関係

 破産の申立てをしただけで賃貸借契約が当然に終了することはありません。契約は、解約の合意、解約予告、契約に基づく解除、あるいは破産手続の中での処理によって終了します。

 破産手続開始の決定があると、破産財団に属する財産の管理処分権は破産管財人に専属します(破産法第78条第1項)。双方の履行が完了していない双務契約について、破産管財人は、契約を解除するか、破産者の債務を履行して相手方の履行を請求するかを選択することができます(同法第53条第1項)。店舗の賃貸借の処理は、この枠組みの中で判断されます。

破産法第56条についてよくある誤解

 破産法第56条第1項は、「破産者の相手方」が賃借権等について登記・登録その他の対抗要件を備えている場合に第53条第1項・第2項を適用しないと定めた規定です。つまり貸主の側が破産した場合に借主の権利を守るための規定であり、店舗の借主が破産する場合に借主の契約が当然に保護される規定ではありません。また、契約に破産を解除事由とする条項があるからといって、その条項が常にそのまま効力を認められるとは限りません。どの条項が、誰が破産する場面を想定したものかを、契約書の文言に沿って確認する必要があります。

原状回復の範囲は、住宅の基準では決まらない

 民法第621条は、賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷を原状に復する義務を負うとしつつ、通常の使用及び収益によって生じた損耗(通常損耗)と経年変化を除くと定めています。もっとも、これは特約がない場合の原則です。

 通常損耗の補修費用を賃借人に負担させる特約について、最高裁判所は、賃借人が負担する損耗の範囲が契約書自体に具体的に明記されているか、賃貸人が口頭で説明し賃借人がその旨を明確に認識して合意の内容としたと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である旨を判示しています(最高裁判所第二小法廷平成17年12月16日判決・集民218号1239頁)。ただし、この事案は住宅の賃貸借に関するものです。

 店舗の賃貸借では、事業用であることを前提に原状回復の範囲が契約書に具体的に定められていることが少なくありません。国土交通省が公表している住宅向けの原状回復ガイドラインは、店舗の賃貸借にそのまま当てはまるものではありません。飲食店では次の項目が争いになりやすいので、契約書の記載と現況の写真を突き合わせて確認してください。

  • 躯体だけの状態に戻す(スケルトン返し)義務があるか、入居時の状態に戻すのかの区別
  • 排気ダクト、グリストラップ、給排水設備、ガス配管、給湯設備の撤去範囲
  • 床の防水、壁面の耐火措置、天井の内装の扱い
  • 看板、ファサード、テント、外部の設置物の撤去
  • 前の借主から引き継いだ造作について、誰が撤去義務を負うか

賃料・違約金・原状回復費用は、発生時期と原因で扱いが変わる

 これらを「全部が同じ順位の借金」と考えることも、「全部が免責される」と考えることも正確ではありません。破産手続では、いつ発生した債権か、誰の行為によって発生したかによって扱いが分かれます。

店舗賃貸借に関する費用と、確認する条文・資料
費用の種類 扱いを左右する事情 確認する条文・資料
開始決定前の滞納賃料 発生時期が開始前であること。遅延損害金の起算日 賃貸借契約書、入金記録、催告書
開始後、契約終了までの賃料相当額 破産手続の開始によって解約の申入れ等があった場合、開始後その契約の終了に至るまでの間に生じた請求権は財団債権とされる 破産法第148条第1項第8号、明渡しの時期を示す書面
中途解約による違約金 契約上の要件を満たすか、金額の定め方、発生時期 中途解約条項、違約金条項、解約の通知書
解除に伴う損害賠償 破産管財人が解除した場合、相手方は損害賠償について破産債権者として権利行使する 破産法第54条第1項、貸主からの請求書
原状回復費用 義務が具体化した時期、実際に誰が工事を発注するか、契約処理の内容 原状回復条項、見積書、工事範囲図、現況写真
電気・ガス・水道 継続的給付を目的とする双務契約について、申立て後開始前の給付に係る請求権は財団債権とされる 破産法第55条第2項、各社の請求書

 原状回復費用は、金額が大きい一方で扱いの見通しが立てにくい項目です。義務が発生する時期、貸主との合意の内容、破産管財人が選任されるかどうか、実際に工事を発注するのは誰かによって変わり、一律の結論はありません。貸主と工事の範囲や金額について合意書を交わす前に、内容を確認することをおすすめします。

敷金・保証金は「戻るお金」ではなく「精算するお金」

 敷金は、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる借主の債務を担保する目的で交付される金銭であり、貸主は、賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに、受け取った敷金の額から借主の債務の額を控除した残額を返還する義務を負います(民法第622条の2第1項第1号)。

  • 滞納賃料、違約金、原状回復費用が控除されると、残額がないこともあります。
  • 償却(敷引き)の定めがある場合は、その分が先に差し引かれます。
  • 借主の側から、敷金を最後の家賃に充ててほしいと請求することはできません(同条第2項後段)。貸主が充てることはできますが、それは貸主の権利です。
  • 返還される見込みがある敷金は、破産手続では換価すべき財産として扱われる可能性があります。「最後の家賃に消えるから財産ではない」と決めつけないでください。

 解約の合意書、原状回復の見積書、敷金の精算書に署名する前であれば、内容を確認したうえで対応の方針を検討する余地があります。契約書と見積書をお手元に置いてご相談ください。

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厨房設備・リース物件・居抜き譲渡

まず所有関係を分ける

 厨房機器は、見た目では誰の物か分かりません。同じ厨房の中に、次のものが混在しているのが通常です。

厨房設備・店内設備の権利関係と、処分前に確認すること
権利関係 飲食店での典型例 処分・返還の前に確認すること
本人(又は法人)が所有 自己資金で購入した冷蔵庫、調理台、食器、家具 購入時の請求書、減価償却資産台帳、中古市場での処分見込額
リース・レンタル 製氷機、食器洗浄機、コーヒーマシン、POSレジ、券売機 物件明細、残リース料、中途解約と規定損害金、返還場所と費用負担
所有権留保付きの割賦販売 オーブン、フライヤー、冷凍庫を分割払で購入した場合 所有権に関する条項、残債務額、引揚げの申入れの有無
貸主(家主)が所有 入居時から設置されていた空調、給湯設備、ダクト、グリストラップ 賃貸借契約書の設備一覧、入居時の物件確認書、原状回復条項
取引先からの貸与品 ビールサーバー、ディスペンサー、通い箱、おしぼり 取引基本契約書、貸与品の一覧と数量、返還の手順
前の借主から引き継いだ造作 居抜きで入った際の内装・厨房一式 造作譲渡契約書、代金の支払記録、貸主の承諾書、撤去義務の所在

 リース物件や貸与品を、ご自身の判断で売却したり廃棄したりすることはできません。他人の物を処分したことになり、後の手続で問題になるだけでなく、損害賠償の請求を受ける可能性もあります。

「返せば残りのリース料が消える」わけではない

 リース物件を返還すれば未払・残存のリース料が当然になくなるわけではありません。契約類型(ファイナンス・リースかレンタルか)、中途解約の可否、規定損害金の定め、返還後の物件の処分価格をどう清算するかによって、残る債務の額が変わります。会計上どう資産計上していたかは、所有権の帰属を決める要素ではありません。

 なお、担保権を持つ債権者は、破産手続によらないでその権利を行使することができます(破産法第65条第1項)。また、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利について、破産手続の開始は影響を及ぼしません(同法第62条)。所有権留保が付いている場合やリース会社が返還を求める場合の扱いは、契約と権利関係の整理が前提になります。

帳簿価額と処分見込額は別のもの

 「もう減価償却が終わっているから価値はない」という判断は避けてください。破産手続で問題になるのは帳簿上の未償却残高ではなく、実際にいくらで処分できるかです。取得価額、帳簿価額(未償却残高)、中古市場での処分見込価額、撤去・運搬・保管費用を差し引いた後に手元に残る金額は、それぞれ別の金額です。厨房機器は機種や年式によって中古の需要が大きく異なり、帳簿価額がゼロでも相当額で売れるものがあります。査定を受ける場合は査定書を残しておいてください。

「仕事に必要な設備だから残せる」とは限らない

 差押えが禁止される動産として、主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者の、その業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く)が定められています(民事執行法第131条第6号)。差し押さえることができない財産は破産財団に属しません(破産法第34条第3項第2号)。また、裁判所は、破産者の生活の状況等を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができます(同条第4項)。

 もっとも、これらの規定から「飲食店の厨房設備一式は必ず残せる」という結論は出てきません。該当性は、事業の規模、従業員を雇用しているか、事業を廃止するのか継続するのか、その器具が業務に欠くことができないものかによって判断されます。商品(在庫)は明文で除かれています。自由財産の範囲を広げるかどうかは裁判所の判断であり、申立人が選べるものではありません。手元に残せる財産の一般的な枠組みは、自己破産で手元に残せる財産はある?現金・預貯金・車・保険の扱いで解説しています。

居抜き譲渡は五つの引継ぎに分けて考える

 「居抜きで買い手が見つかったので、そのまま引き継いでもらえる」というお話をよく伺います。しかし居抜き譲渡は、実際には次の五つが別々に処理され、どれか一つでも整わなければ成立しません。

  1. 設備・造作の売買——所有権が譲渡人にあるものだけが対象です。リース物件や貸主所有の設備は含められません。
  2. 店舗の賃貸借——賃借権の譲渡や転貸には貸主の承諾が必要です(民法第612条第1項)。承諾を得ずに使用・収益させると、貸主は契約を解除することができます(同条第2項)。
  3. 営業許可——営業の譲渡があったときは、譲り受けた者が許可営業者の地位を承継し、遅滞なくその事実を証する書面を添えて届け出る必要があります(食品衛生法第56条)。
  4. 雇用——従業員が引き継がれるかどうかは、譲渡の方式と個々の合意によります。当然に引き継がれるものではありません。
  5. 予約・食事券——既存の予約や販売済みの食事券を譲受人が引き受けるかは合意次第です。引き受けてもらえなければ、対応は譲渡人に残ります。

親族や別会社への譲渡を考えている場合

 「家族名義にすれば店を続けられる」「知り合いの会社に安く譲って、あとで戻してもらう」という方法は、再出発の手段になりません。相当な対価を伴わない財産の処分や、特定の相手に利益を与える処分は、後に取り消される(否認される)可能性があり、個人の場合は免責の判断にも影響します。破産財団の価値を不当に減少させる行為は免責不許可事由として定められています(破産法第252条第1項第1号)。

 譲渡そのものが常に問題になるわけではありません。適正な評価に基づく価格か、代金が実際に入金されて何に使われたか、必要な承諾や届出を経ているかが確認できることが前提になります。査定書、契約書、入金記録を残してください。

家主が厨房設備に先取特権を持つ場合がある

 見落とされやすい点として、不動産の賃貸の先取特権があります。賃料その他の賃貸借関係から生じた借主の債務について、貸主は借主の動産について先取特権を有し(民法第312条)、建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在します(同法第313条第2項)。賃料を滞納している状態で店内の設備を搬出しようとすると、貸主との間で争いになることがあります。搬出の前に、滞納の状況と貸主の意向を確認してください。

仕入代金・在庫・決済未入金の整理

仕入債務は取引先別に残高と納品日をそろえる

 仕入先への支払は「買掛金」として一括りにできません。納品済みで請求書が届いている分、納品済みだが請求書が届いていない分、発注済みで未納品の分、継続取引の基本契約に基づく分と単発の分、所有権留保・委託販売・預り品として扱われているものに区分し、取引先ごとに残高を確認してください。資料は、取引先別の残高一覧、請求書、納品書、発注書、通帳の支払記録を突き合わせます。飲食店では複数の業者から日々小口の納品を受けているため、記憶や口頭の確認では正確な残高が出ません。

生鮮食品・預りボトル・貸与容器の扱い

 「腐るものだから自由に処分してよい」「代金を払っていないのだから仕入先に返せばよい」という判断は、いずれもそのままには通りません。他方で、食品衛生や施設の安全のために必要な措置を止めるべきでもありません。

  • 食材・酒類・調味料について、数量、保存可能期間、仕入先、支払済みか未払いかを確認する
  • お客様から預かっているボトル(ボトルキープ)は、店の在庫と分けて台帳で管理する
  • 酒販店等からの貸与容器・通い箱・ケースは、返還すべきものとして分けておく
  • 衛生上ただちに処分が必要な食品等については、写真、数量、処分の理由、処分日、処分方法、費用を記録に残す
  • 相談できる状況であれば、処分の前に範囲と記録の方法を確認する

現金・預金・キャッシュレス決済の未入金

 飲食店の売上は、決済の日と入金の日が一致しません。閉店を検討する段階では、次のものを一覧にしてください。

売上・入金関係で確認する項目と資料
確認する項目 問題になりやすい点 確認する資料
レジ現金・釣銭準備金 営業終了時点の残高と、家計の現金との区別 現金出納帳、レジ精算表、金庫の残高記録
預金口座 事業用・生活用の区別、口座振替の予定、引落し日 通帳、取引明細、口座振替の依頼書
クレジットカード決済の未入金 決済日と入金日のずれ、締日と入金サイクル 決済事業者の入金予定、加盟店契約書
コード決済・電子マネー 入金サイクルが事業者ごとに異なる、最低入金額の設定 各サービスの入金明細、規約
デリバリー・予約サイト 手数料の控除、返金・キャンセル分の相殺、入金留保条項 各サービスの精算書、規約、加盟契約
売掛金(掛売・宴会の後払い) 回収の見込み、請求書の発行状況、相手方の支払意思 売掛金台帳、請求書控、契約書

 規約に、加盟店の信用状態が悪化した場合の入金留保や相殺の条項が置かれていることがあります。「決済は済んだのだから入金される」と考えず、規約と直近の精算書を確認してください。

借入先と売上の入金口座が同じ金融機関のとき

 借入をしている金融機関の口座を売上の入金先にしている場合、返済が滞った段階で口座の入出金が制限されたり、預金と貸金債権が相殺されることがあります。破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで相殺をすることができます(破産法第67条第1項)。もっとも、相殺が制限される場合も定められており、時期と経緯によって扱いが変わります。

 この点を踏まえて確認していただきたいのは、資金繰りと記録の保全です。口座の名義を変えたり、現金を引き出して所在を分からなくしたりすることは、いずれも問題を大きくします。入金予定と引落し予定を一覧にし、どの支払が止まるかを事前に把握することが、現実的な対応になります。

従業員の未払賃金・解雇・必要書類

未払賃金は種類と発生時期で扱いが変わる

 従業員がいる場合、未払賃金は最も優先して確認すべき項目です。「未払給与」と一括りにせず、雇用主が誰か、どの種類の債権か、いつの分かを分けてください。

未払賃金等の種類と、破産手続上の主な扱い
債権の種類 破産手続上の主な扱い 確認する資料
開始前3か月間の給料 財団債権とされる(破産法第149条第1項) 賃金台帳、給与明細、勤怠記録、就業規則
それより前の未払給料 雇用関係によって生じた債権には一般の先取特権があり(民法第306条第2号)、一般の先取特権がある破産債権は優先的破産債権として他の破産債権に優先する(破産法第98条第1項) 賃金台帳、タイムカード、雇用契約書
退職手当 退職前3か月間の給料の総額(開始前3か月間の総額を下回る場合はその額)に相当する額が財団債権とされる(同法第149条第2項) 退職金規程、算定根拠、退職日を示す書面
未払の残業代 給料の請求権として、発生時期に応じて上記の区分に従う 勤怠記録、シフト表、打刻データ
解雇予告手当 賃金そのものではないため、給料と同じ扱いになるとは限らない 解雇通知書、平均賃金の算定資料
預り金(社内預金等) 返還請求権として別に確認する 預り金の台帳、労使間の協定・規程

 破産法第149条が財団債権とするのは開始前3か月間の給料と一定額の退職手当です。未払賃金の全額が財団債権になるわけではありませんので、「優先債権だから全額が支払われる」という前提で従業員に説明しないでください。

個人事業主が雇用主の場合、未払賃金は免責されない

 ここは飲食店の個人事業主にとって特に重要な点です。免責許可の決定が確定しても、雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権については、責任を免れません(破産法第253条第1項第5号)。租税等の請求権も同様に免責されません(同項第1号)。したがって、個人事業として営み、従業員の給与を滞納したまま自己破産をした場合、その未払賃金の支払義務は免責後も残ります。「破産するので給与は払わなくてよい」という理解は誤りです。

 他方で、法人が雇用主である未払賃金について、代表者という立場だけを理由に当然に個人が負担することにはなりません。会社の未払賃金と代表者個人の債務は別に検討します。免責されない債権の全体像は自己破産で免除されない借金とは|非免責債権を弁護士が解説、労務に関するご相談は労働法務の取扱業務をご覧ください。

解雇予告、除外認定、休業手当

 閉店するのだから解雇予告は不要、という扱いにはなりません。使用者は、労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならず、予告をしないときは30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(労働基準法第20条第1項本文)。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合は、この限りではなく(同項ただし書)、この場合にはその事由について行政官庁の認定を受けなければならないとされています(同条第3項、同法第19条第2項)。経営が悪化したことは、それだけで「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」に当たるとは限りません。

 解雇そのものが有効かどうかは別に判断されます。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法第16条)。有期契約の従業員やアルバイトの雇止めについても、契約の種類に応じた検討が必要です。また、営業を停止したものの雇用関係が続いている期間については、使用者の責に帰すべき事由による休業として、平均賃金の100分の60以上の休業手当の支払が問題になり得ます(労働基準法第26条)。

未払賃金立替払制度は「全額・即時」の制度ではない

 独立行政法人労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度は、事業主に代わって未払賃金の一部を立替払する制度です(賃金の支払の確保等に関する法律第7条)。従業員に説明する際は、内容を正確に伝える必要があります。

未払賃金立替払制度の主な要件(労働者健康安全機構の公表内容)
確認項目 公表されている内容 説明時の注意
対象となる事業主 労災保険の適用事業として1年以上事業活動を行ってきた事業主で、法律上の倒産(破産手続開始の決定等)又は事実上の倒産(中小企業事業主について労働基準監督署長の認定を受けた場合)に該当すること 事業主の事業活動期間と、労働者本人の勤続期間は別
対象となる労働者 裁判所への破産手続開始等の申立日の6か月前から2年の間に退職した者 退職の時期によって対象外となる
対象となる賃金 定期賃金と退職手当のうち、退職日の6か月前から請求日の前日までに支払期日が到来したもの 賞与、解雇予告手当、延滞利息は対象外。総額2万円未満も対象外
立替払の割合 未払賃金総額の100分の80 全額ではない
限度額 退職日の年齢が45歳以上は総額の限度額370万円(立替払の上限296万円)、30歳以上45歳未満は220万円(同176万円)、30歳未満は110万円(同88万円) 年齢区分ごとに上限が異なる
請求期間 法律上の倒産は裁判所の決定日の翌日から2年以内、事実上の倒産は労働基準監督署長の認定日の翌日から2年以内 起算点が倒産の類型で異なる
手続 法律上の倒産は破産管財人等に証明を申請して機構に請求する。事実上の倒産は労働基準監督署長に認定を申請し、確認を経て機構に請求する 自動的に支給される制度ではない

 あわせて、立替払は事業主の責任を消滅させる制度ではありません。機構が立替払をすると、機構は労働者に代わって賃金請求権を取得し、その部分について事業主に求償することになると公表されています。個人事業主の場合、この求償に係る債権についても、雇用関係に基づいて生じた債権としての性質を検討する必要があります。

従業員への説明と、渡す書類

  • 賃金台帳、勤怠記録(タイムカード・打刻データ・シフト表)、雇用契約書、就業規則、退職金規程を保全する
  • 労働者が退職の場合に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求したときは、遅滞なく交付する必要がある(労働基準法第22条第1項)
  • 労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還する必要がある(同法第23条第1項)
  • 雇用保険の離職票、源泉徴収票、健康保険の資格喪失に関する書類の交付・手続を確認する
  • 説明の場では、支払の見込みや金額を確定的に約束せず、手続の枠組みと、まだ確認できていない事項を分けて伝える

予約前受金・食事券・既存予約への対応

まず区分し、台帳にする

 飲食店に固有で、最も対応の判断が難しいのが前払いを受けているお金です。次のように区分し、契約主体、受領日、提供予定日、受領額、決済方法、キャンセル規約、予約サイト等の関与を一覧にしてください。

前払いを受けているお金の区分と、確認すること
区分 多い疑問 確認すること
宴会・貸切の予約金 キャンセルになったら返さなければならないのか 予約日、提供予定日、受領額、キャンセル規約、申込書やメールの記録
コース代金の事前決済 決済済みの分は預かっているお金なのか 決済事業者、決済日、取消しの可否と申出期限、規約
回数券・食事券・商品券 販売済みの分はどうなるのか 発行枚数、未使用残高、有効期間、発行の形態、販売経路
ボトルキープ 預かっている酒は返せるのか 預り台帳、本数、預り日、保管場所、店内在庫との区別
予約サイト経由の予約 サイトが返金してくれるのか 加盟契約、規約上の補償・返金の定め、申出期限、精算の状況
サブスク・月会費 前受けした会費はどうなるのか 契約期間、未提供期間、規約の解約条項、決済の停止方法

返金請求権があるかどうかと、実際に返せるかは別

 次の三つは別の問題です。第一に、お客様に返金請求権があるか、その内容は何か。これは契約の内容、キャンセル規約、提供が不能になった原因によって決まります。第二に、破産手続上どう扱われるか。返金請求権は原則として破産債権として扱われることになり、前受金が当然にお客様の所有物として分別して保全されているわけではありません。第三に、実際にいくら回収できるか。これは財産の状況によります。

 したがって、「前受金は必ず全額返せる」とも、「破産する予定だから返金は不要」とも説明できません。返金の可否や順序を、その場でお客様に約束しないことをおすすめします。まず予約台帳と前受金台帳を整理し、新規の受付や事前決済を止める必要があるか、既存のお客様への連絡をいつ、誰の名前で、どういう内容で行うか、問い合わせの窓口をどこにするかを確認してください。

提供の見込みがないまま予約と前払いを受け続けることの問題

 提供できる見込みがない時期の予約や前払いを受け続けることは、返金請求の相手が増えるだけでなく、後の手続で受領の経緯について説明を求められる要因になります。他方で、閉店したことや履行できなくなったことだけを理由に、直ちに詐欺に当たると判断されるものでもありません。受領した時点で提供できると考えていたか、お客様にどのような説明をしていたか、履行の可能性がどの程度あったかによって評価が変わります。予約の受付を止める時期は、資金と営業の見通しを確認したうえで判断してください。

カード決済の取消しと、食事券が前払式支払手段に当たり得る場合

 クレジットカード決済の取消し、チャージバック、予約サイトの補償・返金は、いずれも各社の契約と規約、申出の期限によって扱いが異なります。「カード決済だから必ず返金される」という説明はできません。加盟店契約と規約の該当箇所、申出の期限、手続の窓口を確認してください。

 また、販売した食事券や回数券が、資金決済に関する法律の前払式支払手段に該当する場合があります。同法第3条第1項は、対価を得て発行される証票等であって、発行者等に対して物品等の給付又は役務の提供を請求することができるものなどを前払式支払手段と定義しています。もっとも適用除外が定められており、そのうち同法第4条第2号は「発行の日から政令で定める一定の期間内に限り使用できる前払式支払手段」を挙げ、この期間は同法施行令で6月とされています。したがって、有効期間を発行日から6か月以内としている食事券は、この適用除外に当たり得ます。他方で、有効期間を長く設定している場合や未使用残高が一定額を超える場合には、発行保証金の供託等の規制(同法第14条第1項)を検討する必要が生じます。すべての予約前受金に同法が適用されるわけではありません。食事券や商品券を発行している場合は、発行枚数と未使用残高、有効期間の設定を確認してください。

閉店準備と破産手続の進め方、支払・処分前の注意点

段階ごとに準備・確認することと、先に決めつけないこと
段階 準備・確認すること 先に決めつけないこと
相談・方針決定 契約書・請求書・通帳・賃金台帳・予約台帳を集める。個人事業か法人か、営業中か閉店済みかを整理する 資料が全部そろうまで相談を待つ必要はない。手続の種類をこの段階で確定させる必要もない
受任通知の検討・送付 誰にどの範囲で通知するか、営業を続ける必要があるかを踏まえて判断する 受任通知で仕入先・家主を含む全債権者の請求、口座引落し、差押えが当然に止まるとは考えない
営業停止・閉店準備 予約の新規受付と事前決済の停止、従業員への説明、在庫と設備の状況の記録、記録類の取得 停止の日を全員共通の固定日程で決めない。衛生管理や施設の保全に必要な措置を一律に止めない
明渡し・設備の処分 所有関係の確認、査定書の取得、貸主・リース会社の意向確認、搬出の範囲と費用 明渡しの完了が申立ての前提だと考えない。設備を先に売って費用を作る方法を自分で決めない
破産申立て 債権者一覧、財産の一覧、家計の状況、事業の資料を整える 同時廃止になるか管財事件になるかを申立人が選べると考えない
開始決定後 破産管財人の調査に対応し、資料と説明を提供する 開始前の行為のすべてに管財人の許可が必要になると考えない。反対に、開始後も自分で財産を処分できると考えない
免責(個人の場合) 免責されない債権を把握し、手続後の生活と支払の見通しを立てる すべての債務が消えると考えない。租税等と雇用関係に基づく使用人の請求権は免責されない

受任通知で全部が止まるわけではない

 弁護士が受任通知を送ることで、貸金業者等からの直接の督促は止まります。しかし、仕入先や家主を含むすべての債権者の請求、口座からの自動引落し、すでに始まっている訴訟や強制執行が当然に止まるわけではありません。継続的な取引先や賃貸人への通知は、営業を続ける必要があるかどうかも含めて、範囲と時期を判断します。受任通知によって何が変わるかは、債務整理を弁護士に依頼すると変わること|受任通知と取立てで解説しています。

調査が必要な事情があると、破産管財人が選任される

 破産手続開始の決定があった場合、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属します(破産法第78条第1項)。裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、開始決定と同時に破産手続廃止の決定をしなければならず(同法第216条第1項)、これが同時廃止です。ただし、費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には適用されません(同条第2項)。

 飲食店の場合、次の事情があると財産や取引の調査が必要と判断されやすくなります。もっとも、「飲食店なら必ず管財事件」「閉店済みで資産がなければ必ず同時廃止」と決まるものではありません。

  • 厨房設備や什器の換価価値、敷金の返還見込額があること
  • 在庫、売掛金、キャッシュレス決済の未入金が残っていること
  • 従業員がいること、未払賃金があること
  • 申立てに近接した時期に設備を売却したこと、特定の債権者に支払をしたこと
  • 事業の資産と個人の資産の区別に調査が必要なこと
  • 法人の代表者として、法人の清算が完了していないこと

支払・処分・資料の廃棄の前に確認する

 閉店前の支払や処分について、「すべて違法だから何もしてはいけない」という理解も、「自分の店なのだから自由にしてよい」という理解も、どちらも正確ではありません。問題になり得る行為と、その根拠を分けて把握してください。

閉店前の行為ごとに検討される問題と根拠
行為 検討される問題 主な根拠
親族・特定の仕入先・家主だけに返済する 特定の債権者に対する担保の供与等の否認、免責の判断への影響 破産法第162条第1項、第252条第1項第3号
保証人が付いている債務を先に返済する 同上。保証人への影響と併せて検討する必要がある 破産法第162条第1項、第252条第1項第3号
設備・在庫を著しく安く譲渡する 破産債権者を害する行為の否認、破産財団の価値を不当に減少させる行為 破産法第160条第1項、第252条第1項第1号
家族名義に移す・名義を変える 財産の隠匿として免責不許可事由に当たり得る 破産法第252条第1項第1号
帳簿・予約記録・売上データを廃棄する 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件の隠滅に当たり得る 破産法第252条第1項第6号
一部の債権者を一覧から除く 知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権は免責されない 破産法第253条第1項第6号
営業停止までの必要経費・賃金・衛生管理費の支払 目的、時期、債権の性質、資産の状況から個別に判断される。一律に止めるべきものではない 個別の検討(破産法第162条第1項ただし書等)

 なお、偏頗行為が否認の対象になり得ることと、免責が許可されないこと、犯罪が成立することは、いずれも別の問題です。「支払をしたら必ず免責されない」という説明も正確ではありません。破産法第252条第2項は、同条第1項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所が破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができると定めています。

記録は、解約する前に取得する

 POSレジ、予約管理システム、決済サービス、デリバリーサービス、会計ソフトは、解約すると過去のデータにアクセスできなくなることがあります。解約や退会の前に、売上データとレジ精算の記録、各決済サービスの入金明細と精算書、予約台帳と前受金・食事券の記録、会計データと試算表・総勘定元帳・仕入先別残高、勤怠データと賃金台帳、店内の現況写真(厨房・客席・外装・看板・設備の型番が分かるもの)を取得して保存してください。顧客情報や従業員の個人情報を含むデータは、保管先とアクセスできる範囲を決めておいてください。公開されている問い合わせ欄やSNSで、お客様や従業員の個人情報を集めることは避けてください。

閉店資金・税務届出・許認可・再出発の確認

閉店にかかるお金は、種類ごとに分けて把握する

 「閉店に使うお金がない」というご相談は少なくありません。手元資金が少ない状態でも、無理な追加借入れ、クレジットカードの現金化、貸主やリース会社に伝えないままの設備売却は、いずれも後の手続を難しくします。まず、弁護士費用、裁判所に納める予納金、設備の撤去・運搬・廃棄・保管の費用、原状回復工事の費用、明渡しが完了するまでの賃料相当額と光熱費の基本料金、従業員への支払に関する費用、ご本人とご家族の生活費を、種類ごとに分けて把握してください。

 金額は、店舗の規模、契約の内容、設備の量、業態によって大きく異なります。弁護士費用と予納金については弁護士費用のご案内を、費用の準備が難しい場合の考え方については自己破産・個人再生の費用が払えないときの選択肢|神戸の申立先をご確認ください。

税金・社会保険料は、免責の対象外になり得る

 個人の場合、租税等の請求権は免責されません(破産法第253条第1項第1号)。「税金も借入金と同じように免責される」という理解は誤りです。他方で、法人の滞納がすべて代表者個人の支払義務になるわけでもありません。法人の納税義務と代表者個人の納税義務は別に検討します。

 破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権のうち、開始当時まだ納期限が到来していないもの、又は納期限から1年を経過していないものは、財団債権とされています(同法第148条第1項第3号)。滞納がある場合は、税目、納期限、滞納の時期が分かる通知書を整理してください。事業を続けながら滞納に対応する場合の考え方は、消費税・社会保険料が払えない事業者へ|滞納時の対応と事業継続の判断で解説しています。

廃業に伴う税務の届出

 ここは古い記事に誤った期限が残っていることが多い項目です。所得税法第229条は、事業を廃止した場合には、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに税務署長に提出しなければならないと定めています。

 この期限は、令和8年(2026年)1月1日に施行された改正(令和5年法律第3号)によって、それまでの「その事実があった日から1月以内」から変更されたものです。したがって、「廃業から1か月以内」という記載がある解説は、現行の規定と一致しません。

個人事業の廃業に伴う主な税務の届出(国税庁の公表内容)
届出書 提出時期 確認すること
個人事業の開業・廃業等届出書 その事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限まで(所得税法第229条) 屋号、事業所の所在地、廃業日、納税地
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 移転又は廃止の事実があった日から1か月以内 従業員を雇用していた場合の源泉徴収に関する手続
事業廃止届出書(消費税) 事由が生じた場合、速やかに 課税事業者であったか、適格請求書発行事業者の登録に関する手続

 このほか、青色申告の取りやめ、予定納税額の減額の申請、都道府県税事務所・市町村への届出、年金事務所・ハローワークへの手続を、それぞれ確認する必要があります。廃業した年分の確定申告と、帳簿・書類の保存義務は、廃業後も残ります。税務上の届出と保健所への届出は別の手続であり、どちらか一方を出せば足りるものではありません。

営業許可の廃止と地位の承継

 飲食店営業は、都道府県知事(保健所を設置する市では市長)の許可を受けて営む必要があります(食品衛生法第55条第1項)。許可には、5年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができるとされています(同条第3項)。

 神戸市の場合、営業を廃止するときは許可済証を添付して衛生監視事務所に届け出て返納する取扱いが案内されています。また、営業を譲渡したときや相続・合併・分割があったときは、譲り受けた者等が許可営業者の地位を承継し、遅滞なくその事実を証する書面を添えて届け出る必要があります(同法第56条)。神戸市の案内では、令和3年(2021年)6月1日の食品衛生法改正により営業許可制度が見直されたことに伴い、2021年5月31日までに許可を受けた施設と、2021年6月1日以降に許可を受けた施設で手続が分かれるとされ、紙の申請書で許可を取得した施設と食品衛生申請等システムで許可を取得した施設で提出方法が異なります。ご自身の施設がどちらに当たるかを確認して、該当する案内に従ってください。

業態によって、破産の影響は異なる

 「営業許可は必ず失効する」という説明も、「飲食店なら破産の影響はない」という説明も、いずれも正確ではありません。業態ごとに根拠が違います。

  • 食品衛生法上の飲食店営業の許可——許可を与えないことができる場合として定められているのは、同法又は同法に基づく処分に違反して刑に処せられた場合、許可を取り消された場合、法人の役員にこれらに該当する者がある場合です(同法第55条第2項各号)。破産手続開始の決定を受けたことは挙げられていません。
  • 風営法上の風俗営業の許可——欠格事由として「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」が定められています(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第4条第1項第1号)。
  • 深夜における酒類提供飲食店営業——許可ではなく、営業所ごとに所在地を管轄する公安委員会への届出が必要とされています(同法第33条第1項)。同条は風俗営業の欠格事由(同法第4条第1項)を準用していません。なお、当該営業を廃止したときは、公安委員会に届出書を提出する必要があります(同法第33条第2項)。
  • 酒類販売業免許——申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合は、免許を与えないことができるとされています(酒税法第10条第10号)。国税又は地方税の滞納処分を受けた者である場合についても定めがあります(同条第6号)。

 なお、個人の場合、免責許可の決定が確定したときは復権します(破産法第255条第1項第1号)。復権すると、復権を得ないことを前提とする欠格事由には当たらなくなります。資格や職業の制限と復権については、破産で就けない職業はある?資格制限と復権をわかりやすく解説で解説しています。

再出発と、破産以外の整理方法

 「二度と開業できない」という説明も、「家族名義にすればそのまま続けられる」という説明も、いずれも正確ではありません。飲食店で従業員として働くこと、再び自分の店を開くこと(許認可の取得を含む)、同じ店舗・同じ設備で営業すること(賃貸借契約、設備の所有権、貸主の承諾が必要)、金融機関からの融資やリース契約の締結(信用情報の登録状況が影響します)は、それぞれ別の問題です。

 また、自己破産だけが選択肢ではありません。もっとも、いずれの方法にも要件があり、資料を確認しないと選べません。

主な整理方法と、飲食店経営者が確認する点
方法 対象と主な特徴 確認する点
任意整理 個人・法人いずれも。対象とする債権者を選んで交渉する私的な手続 返済の原資を確保できるか。仕入先や家主との継続取引を維持できるか。保証人への影響
個人再生 個人のための手続。要件を満たせば債務の一部を分割で支払い、残りの支払義務を免れる 継続的な収入が見込めるか。法人の手続としては使えない
自己破産 個人・法人いずれも申立てが可能。個人については免責の可否が問題になる 免責されない債権の有無。設備・敷金・未入金の扱い。従業員への影響
私的整理(ガイドラインに基づくもの) 金融機関等との間で、法的手続を用いずに債務を調整する枠組み 対象となる債権者の範囲、必要な資料、経営者の保証債務の扱い
事業譲渡を伴う整理 店舗や設備を譲渡し、その代金を債務の弁済に充てる 譲渡の対価が適正か。貸主の承諾、許認可の承継、代金の使途の説明

 個人再生は個人のための手続であり、法人の手続として使うことはできません。住宅ローンがある場合の取扱いなど手続の選び方の詳細は任意整理・個人再生・自己破産の違いと選び方、自己破産と任意整理のどちらを選ぶかという観点からの整理は大正筋・新長田で店をたたむとき|自己破産と任意整理の選び方、事業性の融資が返せない場面の判断は個人事業主のコロナ融資が返せない|継続・廃業・手続選択を解説をご覧ください。

相談前にそろえる資料と、相談するタイミング

 資料が全部そろうまで相談を待つ必要はありません。手元にあるものから確認を始めれば、次に何を取り寄せるかが決まります。

相談時の資料と、その資料で確認できること
区分 具体的な資料 この資料で確認できること
店舗 賃貸借契約書、特約・覚書、保証契約書、敷金・保証金の領収書、店内と外装の写真 借主の名義、解約の条件、違約金、原状回復の範囲、敷金の精算の見通し
設備 減価償却資産台帳、購入時の請求書、リース契約書、割賦販売の契約書、買取業者の査定書 所有関係、残債務、処分見込額、撤去費用を控除した後に残る金額
仕入・在庫 取引先別の残高一覧、請求書、納品書、発注書、棚卸表、貸与品の一覧 買掛金の額と発生時期、返還すべき物の有無、在庫の処分の必要性
お金の動き 通帳(全口座)、現金出納帳、レジ精算表、POSの売上データ、各決済サービスの入金予定 手元資金、入金と引落しの予定、資金が不足する時期
従業員 雇用契約書、賃金台帳、勤怠記録、就業規則、退職金規程 未払賃金の種類と額、解雇に関する手続、必要な書類
予約・前受金 予約台帳、前受金台帳、食事券の販売記録、キャンセル規約、予約サイトの加盟契約 返金請求の見込み、受付を止める必要性、連絡すべき範囲
借入・保証 金銭消費貸借契約書、返済予定表、保証契約書、担保に関する書類、督促状 債権者の全体像、保証人への影響、担保権の有無
会計・税務 確定申告書、決算書、試算表、資金繰り表、税金・社会保険料の滞納通知 事業の状況、免責されない債権の額、届出が必要な手続
許認可 営業許可証(許可済証)、届出の控え、風営法・酒類販売に関する書類 業態ごとに必要な届出、破産が許認可に及ぼす影響

相談するタイミング

 次のいずれかに当たる場合は、判断を先に固めるより、状況を確認してから決める方が選択の幅が残ります。

  • 厨房設備を売却したり搬出したりする前
  • 貸主と解約や原状回復について合意書を交わす前
  • 従業員に閉店を伝える前、解雇の通知を出す前
  • 予約のお客様に返金について回答する前
  • 特定の仕入先や親族に支払をする前
  • POSや予約管理、決済サービスを解約する前
  • 閉店の資金を作るために追加の借入れを考えているとき

 相談の際は、「個人事業か法人か」「営業中か閉店済みか」「直近の支払や明渡しの予定」「従業員と前受金の有無」「借入と保証の状況」の五点を整理していただけると、確認の順序を早く決められます。

よくある質問

Q.自己破産の前に、必ず店を閉めなければならないのですか。

A.必ず先に閉店しなければならないという決まりはありません。営業を停止する時期と申立ての時期の前後関係は、手元の資金、賃貸借契約の条項、設備の権利関係、従業員や予約の状況によって変わります。ただし、提供できる見込みがないまま予約や前払いを受け続けることには別の問題があるため、営業を続けるかどうかは資金と契約の見通しを確認してから判断してください。

Q.厨房機器を売って、閉店の費用に充ててもよいですか。

A.売却の前に、その機器が誰の所有かを確認する必要があります。リース物件、所有権留保が付いている物、貸主や取引先からの貸与品は、ご自身で売却することができません。ご自身の所有であっても、申立てに近接した時期の売却は、経緯と代金の使途について説明を求められることがあります。また、賃料を滞納している場合、貸主が店内に備え付けた動産について先取特権を有する場合があります(民法第313条第2項)。査定書を取得し、売却の前に範囲と方法を確認することをおすすめします。

Q.原状回復の費用を払えないと、どうなりますか。

A.原状回復費用の扱いは、義務が具体化した時期、貸主との合意の内容、契約の処理、実際に工事を発注するのが誰かによって変わり、一律の結論はありません。開始決定後に契約が終了するまでの間に生じた請求権は財団債権とされる場合があります(破産法第148条第1項第8号)。払えないことを理由に相談や申立てができなくなるわけではありませんので、契約書と見積書を確認したうえで方針を検討してください。

Q.従業員の未払給与は、破産すれば払わなくてよくなりますか。

A.いいえ。個人事業主が雇用主である場合、雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権と使用人の預り金の返還請求権は、免責許可の決定が確定しても責任を免れません(破産法第253条第1項第5号)。他方、法人が雇用主である未払賃金について、代表者という立場だけを理由に当然に個人が負担することにはなりません。反対に、優先する債権だから閉店前に全額を支払ってよいというものでもありません。支払の法的義務と、資金が不足する中でどう支払うかは分けて検討します。

Q.未払賃金立替払制度を使えば、従業員に全額が支払われますか。

A.全額ではありません。立替払の額は未払賃金総額の100分の80で、退職日の年齢に応じた限度額があります。対象となるのは定期賃金と退職手当であり、賞与、解雇予告手当、賃金の延滞利息は対象外です。対象となる退職の時期、対象となる賃金の支払期日の期間、請求の期限もそれぞれ定められています。従業員に説明する際は、制度の要件を確認してから伝えてください。

Q.来月の宴会予約でいただいた予約金は、返さなければなりませんか。

A.返金請求権があるかどうか、破産手続でどう扱われるか、実際にいくら回収できるかは、それぞれ別の問題です。前受金が当然にお客様の所有物として分別して保全されているわけではなく、返金請求権は原則として破産債権として扱われることになります。その場で返金の可否や順序を約束するのではなく、予約台帳を整理し、新規の受付を止める必要があるか、既存のお客様への連絡をいつどのような内容で行うかを確認してください。カード決済の取消しや予約サイトの返金は、各社の契約と規約、申出の期限によって扱いが異なります。

Q.会社で店をやっています。会社が破産すると、私も破産することになりますか。

A.会社の破産と代表者個人の破産は別の申立てです。会社が破産しても、代表者が自動的に破産するわけではありません。もっとも、代表者が会社の借入や店舗の賃貸借を連帯保証している場合、その保証債務の請求は代表者個人に向かいます。この場合、会社と代表者個人の手続を同時に検討することが多くなります。また、代表者個人が免責許可を得ても、会社の債務が消えるわけではありません。まず契約ごとの名義と保証の有無を確認してください。

Q.破産したら、もう飲食業には関われないのですか。

A.飲食店で従業員として働くこと、再び自分の店を開くこと、同じ店舗・同じ設備で営業すること、融資や契約を受けることは、それぞれ別の問題です。食品衛生法上の飲食店営業について、破産手続開始の決定を受けたことは許可を与えないことができる場合として挙げられていません(同法第55条第2項各号)。他方、風俗営業の許可については「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」が欠格事由とされ(風営法第4条第1項第1号)、酒類販売業免許についても同様の定めがあります(酒税法第10条第10号)。個人の場合、免責許可の決定が確定したときは復権します(破産法第255条第1項第1号)。

まとめ|要点と次の行動

  • 閉店届や廃業届を出しても借金は消えません。営業をやめること、届出をすること、破産手続を申し立てること、個人が免責を受けることは、すべて別の手続です。
  • 個人事業なら、事業の債務も生活の債務も同じ本人の債務です。法人経営なら、会社の破産と代表者個人の破産・免責は別です。契約ごとに名義、所有者、支払主体、保証人を確認してください。
  • 店舗の解約・明渡し・原状回復・敷金は、契約書の条項で結論が変わります。住宅向けの原状回復の考え方を、店舗にそのまま当てはめることはできません。
  • 厨房設備は、所有関係を分けることが最初の作業です。リース物件や貸与品を自分の判断で売却・廃棄することはできません。帳簿価額がゼロでも処分価値があることがあります。
  • 生鮮在庫は、衛生上必要な処分を止める必要はありませんが、写真・数量・理由・処分日・方法・費用を記録に残してください。
  • キャッシュレス決済の未入金は、決済日と入金日が違います。規約の入金留保・相殺条項を確認してください。
  • 個人事業主の場合、従業員の未払賃金は免責されません(破産法第253条第1項第5号)。租税等も免責されません(同項第1号)。
  • 予約金・食事券は、返金請求権の有無、手続上の扱い、実際の回収の見込みを分けて考え、その場で返金を約束しないでください。
  • 親族や別会社への安値譲渡、特定の債権者への返済、帳簿や予約記録の廃棄は、否認・免責・責任の問題につながります。
  • 所得税の廃業に関する届出の期限は、令和8年(2026年)1月1日施行の改正後の規定では「その事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限まで」です。古い解説の「1か月以内」ではありません。
  • 次の行動——賃貸借契約書、リース契約書、取引先別の残高一覧、通帳、賃金台帳、予約台帳の六点をまず集めてください。全部そろわなくても、手元にあるものから確認を始められます。

 飲食店の閉店は、店舗、設備、仕入、従業員、予約のお客様への対応が同時に進みます。設備を処分する前、解約や原状回復について合意する前、従業員や予約のお客様に説明する前にご相談いただければ、契約書と支払の予定を確認したうえで、進め方を整理することができます。

 初回のご相談は無料としています(ご予約制です。無料相談の対象・条件は「初めての方へ」でご確認ください)。お電話でのご予約は078-797-5227(受付時間9時から20時まで)、フォーム・メールからのご予約は24時間受け付けています。

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弁護士紹介

藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士・公認会計士/兵庫県弁護士会所属・日本公認会計士協会兵庫会所属
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所 代表弁護士

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参考資料

 この記事は、一般的な法律上の考え方を説明したものです。実際の結論は、契約書の条項、資料の内容、支払や処分の時期などの個別の事情によって変わります。具体的な対応については、資料をご確認のうえ、弁護士にご相談ください。

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