「自己破産をすると、家財道具まで全部処分されてしまうのではないか」「車や預金、保険、退職金は手元に残せないのか」「家族名義の財産まで取り上げられてしまうのか」。返済が難しくなり自己破産を検討し始めると、こうした不安を抱える方は少なくありません。
結論として、自己破産をしても、生活を立て直すために必要な一定の財産は手元に残せる可能性があります。もっとも、何をどこまで残せるかは、財産の種類、評価額、手続の時期、裁判所の運用、生活状況などによって異なり、「全部なくなる」わけでも「何でも残せる」わけでもありません。
この記事では、自己破産で財産がどのように扱われるのか、手元に残せる可能性がある財産は何か、預貯金・車・保険・退職金・住宅・家族名義の財産はどう確認すべきか、そして財産を残したいときにやってはいけないことを、申立て前に確認できる形で整理します。記載した法令や金額の根拠は本文中に示しますが、最終的な見通しは資料を確認したうえで個別に判断する必要があります。
自己破産を検討している方へ
自己破産をしても、生活再建に必要な一定の財産を手元に残せる可能性があります。ただし、残せる財産は、財産の種類、評価額、裁判所の運用、生活状況により異なります。預貯金、車、保険、退職金、住宅、家族名義の財産などを確認し、自己破産・個人再生・任意整理のどの手続が適切かを整理することが第一歩です。
Contents
- この記事で分かること
- 最初に確認したい結論:生活再建に必要な財産を残せる可能性があります
- 自己破産で財産はどう扱われるのか
- 破産財団と自由財産の違い
- 手元に残せる可能性がある財産の全体像
- 99万円以下の現金と預貯金の注意点
- 家財道具・スマートフォン・パソコンは残せるか
- 車・バイクは残せるか
- 持ち家・住宅ローンは残せるか
- 保険・退職金・敷金・過払金の確認
- 給与・賞与・年金・公的給付の扱い
- 家族名義の財産はどうなるか
- 個人事業主の財産で注意すべきこと
- 自己破産で免責されない債務もある
- 財産を残したいときにやってはいけないこと
- 自己破産以外の手続を検討すべきケース
- 弁護士に相談するタイミング
- 相談前に準備したい資料
- よくある質問
- まとめ
- 監修者・執筆者
- 参考資料
この記事で分かること
- 自己破産で財産がどのように扱われるか
- 破産財団と自由財産の違い
- 99万円以下の現金、差押禁止財産、自由財産拡張の基本的な考え方
- 預貯金・家財・車・住宅・保険・退職金・給与・年金の確認ポイント
- 家族名義の財産や個人事業用財産で注意すべき点
- 財産隠しや名義変更で避けるべきこと
- 自己破産で免責されない可能性がある債務
- 弁護士に相談するタイミングと、相談前に準備したい資料
最初に確認したい結論:生活再建に必要な財産を残せる可能性があります
自己破産は、原則として破産手続開始時に持っている財産をお金に換えて債権者に配当し、個人の場合は免責許可決定を受けることで借金の支払責任を免れる手続です。生活を立て直すという制度の趣旨から、一定の財産は手元に残せる可能性があります。
ただし、手元に残せるかどうかは、財産の種類、評価額、手続の時期、裁判所の運用、同時廃止か管財事件かの別、生活状況によって変わります。「自己破産をすれば無一文になる」というのも、「99万円までなら何でも残せる」というのも、いずれも正確ではありません。まずは財産を一覧化し、種類ごとに扱いを確認することが出発点になります。
自己破産で財産はどう扱われるのか
破産手続と免責は別の手続
破産手続は、裁判所が破産手続の開始を決定し、破産管財人を選任して、その破産管財人が財産をお金に換えて債権者に配当する手続です。通常は、破産手続開始の決定時点の財産が対象になります。これに対して、借金の支払責任そのものを免れるためには、別に免責許可を受ける必要があります。個人が破産を申し立てた場合は、原則として免責許可の申立ても併せてしたものとして扱われます。なお、浪費や詐欺的な行為など、破産に至った事情によっては免責が認められないこともあります。
破産財団と破産管財人
破産手続開始の時に破産者が有する一切の財産は、原則として破産財団となり、管理・換価・配当の対象になります(破産法第34条第1項)。管財事件では、破産管財人が選任され、財産の調査、換価、配当、免責に関する調査が行われます。
同時廃止と管財事件
財産が少なく、手続費用すら用意できないことが明らかな場合などには、破産管財人を選任せずに開始決定と同時に手続を終了させる同時廃止として進むことがあります。もっとも、法律上は管財事件として進めるのが原則で、同時廃止は例外的な扱いです。同時廃止か管財事件かは裁判所が審理のうえで判断するため、申立人が希望しても必ず同時廃止になるとは限りません。振り分けの基準や予納金の額は裁判所ごとに異なり、本記事では具体的な金額は示しません(神戸地方裁判所等の運用は個別にご確認ください)。
破産財団と自由財産の違い
破産しても破産財団に属さず、破産者が自由に管理・処分できる財産を自由財産といいます。自由財産には、法律上当然に残せる財産と、裁判所の判断(自由財産拡張)によって残せる可能性がある財産があります。
| 用語 | 内容 | 手元に残せるか |
|---|---|---|
| 破産財団 | 破産手続開始時に破産者が有する財産で、管理・換価・配当の対象となるもの(破産法第34条第1項)。原則として開始時の財産が含まれます。 | 原則として配当の対象(残せない) |
| 法定の自由財産 | 99万円以下の現金や差押禁止財産など、法律上当然に破産財団に属さないとされる財産(破産法第34条第3項各号)。 | 残せる可能性が高い |
| 新得財産 | 破産手続開始後に新たに取得した財産。開始前の原因に基づく将来の請求権などを除き、原則として破産財団に属しません。 | 残せる可能性がある |
| 自由財産の拡張 | 本来は破産財団に入る財産でも、裁判所が範囲を拡張すれば手元に残せる場合がある制度(破産法第34条第4項)。申立てには期間制限があり、破産管財人の意見が聴かれます。 | 裁判所の判断による |
手元に残せる可能性がある財産の全体像
主な財産について、残せる可能性の目安と確認資料を整理します。あくまで一般的な整理であり、実際の扱いは評価額・時期・裁判所の運用・個別事情によって変わります。
| 財産の種類 | 手元に残せる可能性 | 主な確認資料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 現金(紙幣・硬貨) | 99万円以下は残せる可能性が高い | 手持現金の確認 | 預貯金は「現金」に含まれない。直前の現金化は問題になりうる |
| 預貯金 | 金額・時期・運用により異なる | 通帳、入出金明細、残高証明書 | 現金とは別扱い。直前の出金・送金は説明が必要 |
| 家財道具(家具・家電・衣類等) | 生活に通常必要な範囲は残せる可能性が高い | - | 高額品・複数・貴金属・ブランド品は換価対象になりうる |
| スマートフォン・パソコン | 生活・仕事に必要なものは残せる可能性がある | ローン契約書(ある場合) | 高額品・複数台、ローン中・所有権留保は確認が必要 |
| 自動車・バイク | 評価額・ローン・必要性により異なる | 車検証、査定書、ローン契約書、残債証明 | ローン中は引上げの可能性。完済・高評価でも換価対象になりうる |
| 住宅(持ち家) | 換価対象になる可能性が高い | 登記事項証明書、住宅ローン残高証明、査定書、固定資産評価証明書 | 残したい場合は個人再生(住宅資金特別条項)等を比較。名義変更・廉価売却は問題 |
| 保険(解約返戻金) | 返戻金の有無・金額・運用により異なる | 保険証券、解約返戻金証明書 | 返戻金があると財団に属する可能性。直前の解約・名義変更は問題 |
| 退職金見込額 | 在職中は一定割合が評価されることがある | 退職金見込額証明書、就業規則、退職金規程 | 評価方法・換価範囲は裁判所の運用により異なる |
| 給与・賞与 | 開始後の給与は残せる可能性がある | 給与明細、源泉徴収票 | 開始前に発生した分は確認が必要。口座入金後は預貯金として扱われうる |
| 年金・公的給付 | 制度上の保護が問題になる | 各給付の通知・決定書類 | 口座入金後の扱いは別。制度ごとに確認が必要 |
| 敷金・保証金 | 返還請求権として扱われうる | 賃貸借契約書 | 発生時期・金額により財団に属する可能性 |
| 過払金・還付金 | 発生原因・時期・金額により異なる | 取引履歴、還付通知 | 申立前後で扱いが変わりうる |
| 家族名義の財産 | 原則対象外だが実質で判断 | 資金源・管理状況が分かる資料 | 実質的な負担者・形成者が本人なら本人財産と評価されうる |
| 個人事業用財産(売掛金・在庫等) | 営業に必要な器具等は残る可能性、在庫等は換価対象になりうる | 確定申告書、帳簿、売掛金・在庫一覧、リース契約書 | 事業継続の可否や他手続も含めた検討が必要 |
車・保険・退職金・預金を残せるか不安な方へ
財産を処分したり、家族名義に移したりする前に、通帳・保険証券・車検証・退職金資料などを確認し、手続の見通しを整理しましょう。どの手続を選ぶかによって、手元に残せる可能性が変わることがあります。
99万円以下の現金と預貯金の注意点
法律上、一定額以下の現金は破産財団に属さない自由財産とされています。具体的には、破産法第34条第3項第1号が「民事執行法第131条第3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭」を破産財団に属しないものと定めており、民事執行法施行令でこの額が66万円とされていることから、66万円×2分の3=99万円以下の現金が法定の自由財産になります。
ここで重要なのは、「現金」と「預貯金」は別物だという点です。99万円以下で当然に残せるのは原則として手元の現金であり、銀行口座の預貯金はこれに含まれません。預貯金を残せるかどうかは、金額・時期・裁判所の運用・自由財産拡張の可否によって変わります。裁判所によっては普通預金を現金と同様に扱う運用もありますが、これも個別の確認が必要です。
また、「申立前に預金を引き出して現金にしておけば安全」とは限りません。申立直前の大きな出金、家族への送金、保険の解約による現金化などは、その経緯の説明を求められ、不自然な財産移転とみなされると手続上問題になる可能性があります。通帳、入出金明細、残高証明書を準備し、口座の動きは自己判断で操作せず、事前にご相談ください。
家財道具・スマートフォン・パソコンは残せるか
生活に通常必要な家具、家電、衣類、寝具などは、差押えが禁止される動産として、手元に残せる可能性が高い財産です。スマートフォンやパソコンも、連絡手段・生活・仕事に必要なものであれば、同様に考えられる場合があります。
一方で、高額な機器、複数台の高価な端末、換価価値の高いブランド品、貴金属、時計、コレクションなどは、換価の対象として確認が必要になることがあります。ローン中の商品や所有権留保が付いている物は、所有者が誰かや契約内容を確認する必要があります。売却・譲渡・隠匿は問題になりうるため、自己判断で処分しないことが大切です。
車・バイクは残せるか
自動車を残せるかどうかは、評価額、ローンの有無、所有者、使用目的、生活・仕事・通院・介護などへの必要性によって異なります。ローンが残っている場合、所有権留保により車が引き上げられることがあります。ローンを完済していても、評価額が高ければ換価の対象になりうるため、車検証、自動車査定書、ローン契約書、残債証明、任意保険証券などで状況を確認します。
車がないと通勤・通院・介護・送迎が難しいなど、残す必要性が高い場合は、自由財産拡張が問題になることがありますが、認められるかは裁判所の判断によります。「古い車なら必ず残せる」とは限りません。車を残すことを優先したい場合には、自己破産だけでなく、個人再生や任意整理も含めて比較検討することがあります。
持ち家・住宅ローンは残せるか
自己破産では、持ち家は換価の対象になる可能性が高い手続です。住宅ローンが残っている自宅を残したい場合には、住宅資金特別条項付きの個人再生を検討することがあります。ただし、個人再生が利用できるかは、収入の安定性、債務総額、住宅ローンの内容、担保権の状況、滞納の有無などによって異なり、必ず使えるわけではありません。
登記事項証明書、住宅ローン残高証明書、不動産査定書、固定資産評価証明書などで状況を確認します。なお、親族へ名義を変更する、相場より安く売却する、離婚に伴う財産分与として移すといった行為は、否認や免責不許可の問題になる可能性があります。自宅を残したい場合は、財産を動かす前に必ず弁護士に確認してください。
保険・退職金・敷金・過払金の確認
保険(解約返戻金)
生命保険、医療保険、学資保険、個人年金保険などは、解約返戻金の有無を確認します。解約返戻金がある場合、その金額に応じて破産財団に属する可能性があります。自由財産拡張で残せる可能性もありますが、これも裁判所の運用と個別事情によります。保険証券、解約返戻金証明書を準備し、契約者・被保険者・受取人・保険料の実質的な負担者を確認します。学資保険や家族名義の保険でも、実際に保険料を負担しているのが誰かが問題になることがあります。申立前に自己判断で解約・名義変更をしないでください。
退職金(見込額・請求権)
退職金請求権や在職中の退職金見込額は、財産として評価されることがあります。実際に退職して受け取る退職金と、在職中の見込額とでは扱いが異なり、差押禁止債権との関係も問題になります。評価方法や換価対象となる範囲は裁判所の運用によって異なります。退職金見込額証明書、就業規則、退職金規程、勤続年数などを確認します。退職を強制されるとは限りませんが、退職金の扱いは重要な確認事項です。公務員・会社員・退職金制度がない場合・確定拠出年金などで扱いが異なることがあります。
敷金・保証金・過払金・還付金など
賃貸住宅の敷金・保証金の返還請求権、過払金返還請求権、税金の還付金、保険金請求権、交通事故などの損害賠償請求権、相続で取得する財産、離婚に伴う財産分与請求権などは、発生の時期・原因・金額によって破産財団に属する可能性があります。申立ての前後で扱いが変わることがあるため、資料を確認したうえで判断する必要があります。
給与・賞与・年金・公的給付の扱い
破産手続開始後に得る給与は、原則として生活再建のための収入(新得財産)として扱われる可能性があります。一方で、開始前にすでに発生していた給与請求権、賞与、退職金、未払賃金などは確認が必要です。給与・賃金・賞与・退職手当などは、民事執行法上、原則として一定割合(おおむね4分の3相当の部分)が差押禁止とされていますが、いったん口座に入金されると預貯金として別に扱われる場合があります。
年金、児童手当、生活保護費、傷病手当金、失業給付などは、差押禁止や制度上の保護が問題になりますが、これも口座入金後の預貯金としての扱いは別途検討が必要です。給付金・還付金・保険金・損害賠償金・相続財産などは、発生原因や時期によって扱いが変わります。年金や公的給付の具体的な扱いは、年金事務所・自治体・保険者への確認も必要です。
なお、すでに給料の差押えを受けている場合の対応や、差押禁止債権の範囲については、別の記事で詳しく整理しています。あわせてご確認ください。給料差押えの通知が届いたら確認することを見る。
家族名義の財産はどうなるか
自己破産の対象は、原則として破産者本人の財産です。もっとも、家族名義であれば必ず無関係というわけではありません。実質的に本人が購入し、管理し、保険料を負担し、預金を形成しているような場合には、家族名義であっても本人の財産と評価される可能性があります。
配偶者名義の車、子ども名義の預金、親族名義の保険、家族口座への送金などは、名義・資金源・管理状況を確認する必要があります。破産直前に財産を家族へ移すことは、否認や免責不許可、場合によっては詐欺破産罪などの問題になりうるため避けてください。家族の財産が直ちに処分されるとは限りませんが、名義だけでなく実質を確認することが重要です。
個人事業主の財産で注意すべきこと
個人事業を営んでいる場合は、事業用口座、売掛金、在庫、機械、工具、車両、リース物件、保証金、事務所備品、取引先に対する債権などを確認します。営業に必要な器具等は差押禁止財産や自由財産拡張の対象となる可能性がありますが、在庫、売掛金、事業用車両、高額な設備などは換価の対象になりうるため、確認が必要です。
事業を継続できるか、廃業するか、法人がある場合は法人の破産も必要か、個人再生・任意整理・私的整理が選べるかなどを、財産を残す観点も含めて比較します。税金、社会保険料、買掛金、リース、従業員の給与、保証人の有無も確認が必要です。事業用財産の扱いは個別性が高く、公開前に弁護士の確認が必要な領域です。
自己破産で免責されない債務もある
免責許可決定を受けると、原則として借金の支払責任を免れます。ただし、すべての債務が免責されるわけではなく、免責されない可能性がある債務もあります。代表的には、税金、国民健康保険料、社会保険料、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償、故意または重大な過失によって人の生命・身体を害した場合の損害賠償、養育費・婚姻費用などの扶養義務に関する債務、罰金等、そして知りながら債権者名簿に記載しなかった債権などです。
これらは「手元に残せる財産」とは別の問題ですが、生活再建を考えるうえで重要です。また、浪費やギャンブルなどの免責不許可事由がある場合には免責が認められないこともあります(裁判所の裁量で免責が認められる場合もあります)。具体的に何が免責されるか・されないかは個別の事情によるため、確認が必要です。
財産を残したいときにやってはいけないこと
財産を手元に残したいという気持ちから、次のような行為をすると、かえって不利になることがあります。
- 財産を隠す、通帳や口座を申告しない
- 財産を親族名義に移す
- 車や不動産を相場より安く売る
- 保険を解約して解約返戻金を隠す
- 特定の債権者や親族だけに返済する(偏頗弁済)
- クレジットカードで換金目的の買い物をする
- 申立直前に高額な浪費やギャンブルをする
- 虚偽の財産目録を出す
これらは、否認、管財事件への移行、免責不許可、詐欺破産罪などの問題になる可能性があります。良かれと思って行った財産の移動が、結果として残せたはずの財産まで失う原因になることもあります。財産は自己判断で動かさず、動かす前に弁護士へご相談ください。
自己破産以外の手続を検討すべきケース
残したい財産がある場合、自己破産以外の手続が適していることがあります。たとえば、住宅を残したい、車を残したい、保証人に迷惑をかけたくない、資格や職業の制限が気になる、個人事業を続けたい、税金や養育費の負担が大きい、一定の返済原資がある、といった場合です。
こうしたケースでは、任意整理、個人再生、住宅資金特別条項付きの個人再生、時効援用などを比較検討します。ただし、これらの手続にもそれぞれ利用できる条件があり、どの手続が適切かは個別事情によって異なります。財産を残す観点からも、手続の選択は重要です。
弁護士に相談するタイミング
次のような場面では、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。自己破産を考え始めたとき、財産を処分する前、親族へ返済する前、車や住宅を残したいとき、保険・退職金・預金があるとき、給与の差押えを受けているとき、税金・養育費・保証人があるとき、個人事業を続けたいとき、裁判所から書類が届いたとき、法テラスや費用の分割を検討したいときなどです。
弁護士に相談することで、財産目録の作成、自由財産拡張の見通し、同時廃止か管財事件かの見込み、自己破産・個人再生・任意整理の比較などを整理できます。これは結果を保証するものではなく、判断材料と方針を整理するためのものです。なお、費用の支払が難しい場合には、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助を利用できる場合がありますが、利用には資力等の要件があり、利用の可否は確認が必要です。
相談前に準備したい資料
次の資料があると、財産の確認や手続の見通しの整理がスムーズになります。
| 区分 | 主な資料 |
|---|---|
| 借入・債務 | 借入先一覧、督促状・請求書・訴状・支払督促・差押命令、クレジットカード明細、ローン契約書、保証人が分かる資料 |
| 収入 | 給与明細、源泉徴収票、賞与明細、退職金見込額証明書、就業規則・退職金規程、年金通知書、生活保護・児童手当・傷病手当金・失業給付などの資料 |
| 預貯金・金融資産 | 通帳・入出金明細(ネット銀行・電子マネー・決済アプリを含む)、証券・投資信託・株式・暗号資産の資料 |
| 不動産・自動車 | 登記事項証明書、住宅ローン残高証明、固定資産評価証明書、不動産査定書、車検証、自動車査定書、自動車ローン契約書 |
| 保険・その他財産 | 保険証券、解約返戻金証明書、敷金・保証金・過払金・還付金・損害賠償金・相続財産に関する資料 |
| 家計 | 家計収支表、家賃・住宅ローン・光熱費・通信費・保険料・医療費・教育費の資料 |
| 個人事業 | 確定申告書、帳簿、売掛金一覧、在庫一覧、リース契約書、事業用口座の資料 |
| 税・公的債務 | 税金・国民健康保険料・社会保険料の滞納通知 |
| 家族・身分 | 養育費・婚姻費用に関する公正証書・調停調書、家族名義財産に関する資料、本人確認資料 |
すべてがそろっていなくても相談できる場合があります。手元にある資料からご相談ください(相談の方法・条件は事前にご確認ください)。
よくある質問
自己破産すると家財道具も全部処分されますか?
生活に通常必要な家具・家電・衣類などは、差押えが禁止される動産として手元に残せる可能性が高いです。ただし、高額な機器、複数台の高価品、貴金属、ブランド品などは換価の対象になることがあります。
99万円以下なら預金も必ず残せますか?
99万円以下で当然に残せる可能性があるのは原則として「現金」であり、預貯金は現金とは別に扱われます。預貯金を残せるかは、金額・時期・裁判所の運用・自由財産拡張の可否により異なります。
自己破産しても車を残せますか?
評価額、ローンの有無、所有者、使用目的、生活や仕事での必要性により異なります。ローン中は所有権留保により引き上げられることがあり、完済車でも評価額が高いと換価対象になりえます。車を残したい場合は、個人再生や任意整理も含めて検討します。
住宅ローンのある自宅を残せますか?
自己破産では持ち家が換価対象になる可能性が高い手続です。住宅を残したい場合は、住宅資金特別条項付きの個人再生を検討することがありますが、利用できるかは収入や債務の状況などにより異なります。
生命保険は必ず解約しなければなりませんか?
解約返戻金の有無や金額によります。返戻金がある場合は財産として扱われることがありますが、自由財産拡張で残せる可能性もあり、裁判所の運用と個別事情によります。申立前に自己判断で解約せず、確認することをおすすめします。
破産手続開始後の給料はどうなりますか?
破産手続開始後に得る給与は、原則として生活再建のための収入として扱われる可能性があります。ただし、開始前に発生していた給与や賞与などは確認が必要です。差押え中の給与の扱いは個別に確認してください。
自己破産前に財産を家族名義に移してもよいですか?
申立前に財産を親族へ移したり、特定の債権者だけに返済したりすると、否認や免責不許可、場合によっては詐欺破産罪などの問題になる可能性があります。自己判断で動かす前にご相談ください。
税金や養育費も免責されますか?
税金、国民健康保険料、社会保険料、養育費、婚姻費用などは、自己破産をしても免責されない可能性があります。該当するかは個別の確認が必要です。
まとめ
- 自己破産をしても、生活再建に必要な一定の財産は手元に残せる可能性がある。
- 残せるかは、財産の種類・評価額・時期・裁判所の運用・生活状況により異なる。
- 99万円以下の現金・差押禁止財産・新得財産は重要な確認対象。現金と預貯金は別物。
- 預貯金・車・保険・退職金・住宅・家族名義財産・事業用財産は資料確認が必要。
- 住宅や車を残したい場合は、個人再生や任意整理との比較が必要なことがある。
- 財産隠し・名義変更・偏頗弁済は避け、自己判断で財産を動かさない。
- 税金・養育費など、免責されない可能性がある債務もある。
- まず財産を一覧化し、資料を準備して、処分や返済の前に相談する。
神戸市須磨区・垂水区・西区・北区・長田区・明石市周辺で、自己破産後の生活や財産に不安がある方へ
通帳、保険証券、車検証、退職金資料、住宅ローン資料、家計収支表などを確認し、手元に残せる可能性がある財産と、自己破産・個人再生・任意整理といった手続の選択肢を整理しましょう。事案により結論は異なります。財産を処分する前、親族へ返済する前に、一度ご相談ください。
監修者・執筆者
本記事は、神戸みらい法律会計事務所の弁護士が監修しています。
事務所名:神戸みらい法律会計事務所
監修弁護士:藤井貴之
所属弁護士会:兵庫県弁護士会
資格:弁護士・公認会計士
主な取扱分野:債務整理(任意整理・個人再生・自己破産・過払金)ほか
参考資料
- E-GOV法令検索「破産法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075
- E-GOV法令検索「民事執行法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
- E-GOV法令検索「民事執行法施行令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230/
- 裁判所「破産」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_16/index.html
- 日本司法支援センター(法テラス) https://www.houterasu.or.jp/

24時間365日受付