借金の整理を考え始めても、「弁護士費用や裁判所の費用をまとまった金額で用意できないと、自己破産や個人再生は依頼できないのではないか」と感じて、相談自体をためらう方は少なくありません。この記事では、自己破産・個人再生にかかる費用がどのような項目で構成されるのか、費用を一括で用意できない場合にどのような選択肢があるのか、そして神戸市内ではどの裁判所に申し立てるのかを整理します。費用の額は手続の種類や個別の事情、裁判所の運用によって変わるため、最終的には資料を確認したうえで判断する必要がありますが、まずは全体像をつかんでいただくことを目的としています。
費用の見通しや申立先の確認も含めて、まずは現在の状況を整理することから始められます。債務整理に関するご相談は、相談予約フォームからお問い合わせいただけます。
この記事で分かること
- 自己破産・個人再生の費用が何で構成されるか(費用の4つの層)
- 費用を一括で用意できない場合の選択肢(分割・法テラスの立替え・裁判所費用の扱い)
- 神戸市内の申立先(神戸地方裁判所本庁・明石支部)の確認方法
Contents
結論・全体像
- 費用は大きく、①弁護士費用、②裁判所に納める実費(申立手数料・予納郵券)、③予納金(特に管財事件で必要となる管財予納金)、④官報公告費用の4つの層で構成されます。
- 一括で用意できない場合の主な選択肢は、弁護士費用の分割、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助による立替え、裁判所費用の準備方法の検討です。ただし、すべての費用が分割・立替えの対象になるわけではありません。
- 神戸市内では、お住まいの区によって申立先が分かれます。西区は神戸地方裁判所明石支部、その他の区は神戸地方裁判所本庁が管轄です。
- 自己破産・個人再生は地方裁判所に申し立てる手続であり、家庭裁判所ではない点に注意が必要です。
- 具体的な金額や、どの選択肢が利用できるかは、収入・財産・債務の状況など個別事情により異なります。
自己破産・個人再生の費用は何で構成されるか
自己破産や個人再生の費用は、一つの金額として決まっているわけではなく、性質の異なる複数の費用の合計です。内訳を理解しておくと、どの費用が分割や立替えの対象になり得るのか、どの費用は別に準備が必要なのかを整理しやすくなります。
費用の4つの層
| 費用項目 | 概要 | 主な支払先 |
|---|---|---|
| 弁護士費用(着手金・報酬) | 手続を弁護士に依頼する場合の費用。額や支払方法は事務所の方針により異なります。 | 弁護士・弁護士法人 |
| 申立手数料・予納郵券 | 申立ての際に裁判所へ納める手数料と、書類郵送のために予め納める郵便切手です。 | 裁判所 |
| 予納金 | 手続の進行に必要な費用。管財人が選任される場合(管財事件)は管財予納金が必要です。 | 裁判所 |
| 官報公告費用 | 破産手続開始や免責などが官報に掲載される際の費用です。 | 裁判所(官報) |
これらの具体的な額は、手続の種類、事案の内容、申し立てる裁判所の運用によって異なります。確定した額は、依頼する弁護士や申立先の裁判所に確認する必要があります。
自己破産の費用を左右する「同時廃止」と「管財事件」
自己破産では、手続の進み方によって必要な費用、とりわけ予納金が大きく変わります。これは「同時廃止」と「管財事件」という振り分けによるものです。
同時廃止
めぼしい財産がなく、免責について特に調査が必要な事情もないと裁判所が判断した場合、破産手続の開始と同時に手続を終える「同時廃止」となることがあります。この場合、管財人は選任されず、予納金は比較的少額にとどまる傾向があります。
管財事件(少額管財を含む)
一定の財産がある場合や、免責について調査を要する事情がある場合、事業を営んでいた場合などには、管財人が選任される「管財事件」となることがあります。この場合、管財人の報酬等にあてるための管財予納金が必要となります。運用上、手続を簡略化した少額管財として扱われることもありますが、いずれにしても同時廃止より多くの費用がかかる傾向があります。
どちらの手続になるかは、財産や免責に関する事情など個別の事情によって変わり、最終的には裁判所が判断します。事前に資料を確認したうえで見通しを検討することになります。
個人再生の費用の考え方
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。いずれも、裁判所に納める費用と弁護士費用がかかる点は自己破産と共通しますが、再生委員が選任される場合の費用など、運用上の取扱いは裁判所によって異なります。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合
住宅ローンが残っている自宅を手放さずに、その他の債務を整理することを目指す場合には、住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特則)の利用を検討することがあります。利用には法律上の要件があり、住宅ローンの状況や担保の状況によって利用できるかどうかが変わります。利用できるかは資料を確認したうえで判断する必要があります。
費用を一括で用意できない場合の選択肢
費用を一度にまとめて用意することが難しい場合でも、検討できる方法があります。ここでは、考えられる選択肢を中立的に整理します。いずれも条件があり、利用できるかどうかは個別の事情によります。
①弁護士費用の分割
弁護士費用については、分割での支払いに対応している事務所もあります。ただし、対応の有無や条件は事務所の方針によって異なります。本記事の掲載事務所における取扱いについては、相談の際にご確認ください。
②法テラスの民事法律扶助(立替え)
法テラス(日本司法支援センター)には、経済的に余裕のない方を対象に、弁護士費用等(着手金・実費等)を立て替え、後から分割で返済する民事法律扶助という制度があります。利用には、①収入・資産が一定の基準以下であること、②免責の見込みがあるなど勝訴の見込みがないとはいえないこと、③制度の趣旨に適することという要件があります。立て替えられた費用は無利息で分割返済します。
注意したいのは、裁判所に納める予納金の扱いです。法テラスの公表情報によれば、生活保護を受給している方を除き自己破産の予納金は立替えの対象とならず、民事再生の予納金は生活保護の受給の有無にかかわらず立替えの対象とならないとされています。つまり、弁護士費用は立替えの対象になり得ても、予納金は別に準備が必要になる場合があります。要件・対象の詳細や金額は、法テラスの公式情報で確認する必要があります。
③裁判所に納める費用(予納金・実費)の扱い
裁判所に納める予納金や実費については、分割が当然に認められるわけではありません。取扱いは申し立てる裁判所の運用によるため、準備方法を含めて確認しておく必要があります。
費用の分割や立替えが利用できるかどうかは、収入・財産・債務の状況や、申し立てる裁判所・依頼する事務所の取扱いによって変わります。本記事の内容は一般的な整理であり、個別の事情により結論は異なります。
どの手続が選択肢になり得るか、費用をどのように準備するかは、資料を確認することで検討しやすくなります。弁護士費用の考え方については費用ページもご参照ください。
神戸市内の申立先(神戸地方裁判所本庁・明石支部)
自己破産・個人再生は、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。神戸市内にお住まいの場合、お住まいの区によって申立先が分かれます。裁判所が公表している管轄区域表によると、神戸市内の申立先は次のとおりです。
区ごとの申立先
| お住まいの区 | 申立先(地方裁判所) |
|---|---|
| 中央区・東灘区・灘区・兵庫区・長田区・須磨区・垂水区・北区 | 神戸地方裁判所本庁 |
| 西区 | 神戸地方裁判所明石支部 |
ご自身の住所地がどちらの管轄にあたるかは、裁判所の公式情報で確認することをおすすめします。引っ越しの予定がある場合など、住所地によって申立先が変わる点にも注意が必要です。
自己破産・個人再生は地方裁判所の手続です。離婚や相続などを扱う家庭裁判所とは申立先が異なります。
判断に迷いやすいケース
費用や手続を検討するなかで、迷われやすい場面を整理します。いずれも個別の事情によって結論が変わるため、資料を確認したうえで判断することになります。
管財事件になるか同時廃止になるか
財産の有無や免責に関する事情によって、自己破産が同時廃止になるか管財事件になるかが変わり、必要な予納金も変わります。事前に財産や家計の状況を整理しておくことで、見通しを検討しやすくなります。
住宅を残せるか
住宅ローンの残る自宅を残したい場合、個人再生の住宅資金特別条項の利用を検討することになりますが、利用できるかは要件次第です。自己破産では、財産の取扱いとの関係で住宅を維持できないことがあります。
保証人がいる借入れがある場合
保証人や連帯保証人がいる借入れについて手続をとると、債権者が保証人に請求することがあります。保証人への影響も含めて、事前に整理しておく必要があります。
税務上の取扱い
債務の免除に関連して税務上の論点(債務免除益の取扱いなど)が問題となる場合があります。税務の取扱いについては、税理士・公認会計士による確認が必要です。
申立て前に確認・準備しておきたいこと
申立てに向けては、次のような資料・情報を整理しておくと、見通しの検討や手続がスムーズになります。
- 債権者の一覧と債務の総額(借入先・残額・契約時期がわかる資料)
- 収入の状況(給与明細・源泉徴収票・確定申告書など)
- 財産の状況(預貯金・保険・自動車・不動産など)
- 家計の収支(毎月の収入と支出がわかる資料)
- 住所地(申立先の管轄を判断するため)
- 手続に必要となる費用の準備方法
これらは事案によって追加で必要になる資料があります。何を準備すべきかは、相談の際に確認するとよいでしょう。
弁護士に相談するタイミング
費用が用意できるか不安な段階でも、早めに相談することで、利用できる手続や費用の準備方法を含めて対応方針を整理しやすくなります。相談は結果を保証するものではありませんが、資料を確認することで、どの手続が選択肢になり得るか、どのような準備が必要かといった見通しを検討する材料になります。
自己破産・個人再生を検討されている方は、債権者一覧や収入・財産の資料を整理したうえで、一度ご相談ください。相談により、費用の準備方法や申立先を含めて対応方針を整理しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1 自己破産や個人再生は、費用を全額用意してからでないと依頼できませんか。
必ずしもそうとは限りません。弁護士費用の分割に対応する事務所や、法テラスの立替え制度などの選択肢があります。ただし利用には条件があり、予納金など立替えの対象外となる費用もあるため、個別の事情に応じて確認する必要があります。
Q2 自己破産の費用は総額でいくらかかりますか。
費用は弁護士費用・裁判所の実費・予納金・官報公告費用で構成され、同時廃止か管財事件かによっても変わります。具体的な額は手続の種類・事案・申立先の裁判所の運用によって異なるため、依頼する弁護士や裁判所に確認する必要があります。
Q3 同時廃止と管財事件では費用がどのくらい違いますか。
管財事件では管財予納金が必要となるため、同時廃止より費用が多くかかる傾向があります。ただし具体的な額は裁判所の運用や事案によって異なります。どちらの手続になるかは財産や免責に関する事情によって変わり、最終的には裁判所が判断します。
Q4 法テラスを使えば予納金も立て替えてもらえますか。
法テラスの公表情報によれば、生活保護を受給している方を除き、自己破産の予納金は立替えの対象とならず、民事再生の予納金は受給の有無にかかわらず立替えの対象とならないとされています。弁護士費用は立替えの対象になり得ても、予納金は別に準備が必要になる場合があります。詳しくは法テラスの公式情報で確認してください。
Q5 神戸市内では、どこの裁判所に申し立てますか。
債務者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。裁判所公表の管轄区域表によると、神戸市内では西区が神戸地方裁判所明石支部、その他の区が本庁の管轄です。ご自身の区の管轄は裁判所の公式情報で確認することをおすすめします。
Q6 自己破産・個人再生は家庭裁判所に申し立てるのですか。
いいえ。自己破産・個人再生は地方裁判所に申し立てる手続です。家庭裁判所が扱う離婚や相続などの手続とは申立先が異なります。
Q7 住宅ローンが残っている自宅を残したまま借金を整理できますか。
個人再生では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで、自宅を残しながら他の債務を整理できる可能性があります。ただし利用には法律上の要件があり、利用できるかは住宅ローンや担保の状況などによって変わります。資料を確認したうえで判断する必要があります。
Q8 弁護士費用は分割で支払えますか。
分割払いに対応している事務所もありますが、対応の有無や条件は事務所の方針によって異なります。本記事の掲載事務所での取扱いについては、相談の際にご確認ください。
まとめ
- 自己破産・個人再生の費用は、弁護士費用・裁判所の実費・予納金・官報公告費用の4つの層で構成されます。
- 一括で用意できない場合、弁護士費用の分割や法テラスの立替えなどが選択肢になりますが、予納金は立替えの対象外となる場合があるなど、すべての費用が対象になるわけではありません。
- 神戸市内では、西区は明石支部、その他の区は本庁が申立先です。地方裁判所の手続である点に注意してください。
- 具体的な金額や利用できる選択肢は個別事情により変わるため、資料を確認したうえで判断する必要があります。
- まずは債権者一覧・収入・財産・家計の資料を整理し、費用の準備方法と申立先を確認したうえで、相談を検討することが考えられます。
監修者・執筆者
氏名:
所属:神戸みらい法律会計事務所
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