「毎月の返済が給与から引かれていて、手取りでは生活費が足りない」「しょくしんの借入れがあるので、自己破産をすれば職場に分かってしまうのではないか」「退職金で返してから辞めたほうがよいのだろうか」。神戸市で働きながら返済に行き詰まった方から、こうしたご相談をうかがうことがあります。
結論から申し上げます。神戸市の一般の職員について、自己破産をしたこと自体が当然に失職の事由となる仕組みは、地方公務員法に置かれていません。在職したまま手続を進めることは、制度上可能です。他方で、給与からの控除の停止、退職手当の資料の取得、給与差押命令の送達など、勤務先の給与事務が関与する場面はあり、「絶対に知られない」と申し上げることはできません。どの手続が適するかも、借入先、保証人の有無、退職の予定、退職手当の見込額により変わります。
この記事では、神戸市職員の方を念頭に、神戸市職員信用組合(しょくしん)の借入れと過去の神戸市職員共済組合の貸付の違い、給与・賞与から引かれているお金の正体、手続の段階ごとに控除がどうなるか、退職手当の資料と評価、保証人への影響、職場に知られ得る経路を整理します。以下は一般的な整理であり、個別の見通しは資料を確認したうえで判断する必要があります。
まず確かめたいのは、「どこから借りているか」と「何がどの仕組みで引かれているか」の二点です。給与明細の控除欄の名称だけでは、債権者も、引かれている理由も確定できません。契約書、償還表、残高通知、通帳の入出金を突き合わせることで、手続の選択肢と連絡の順序を検討できます。
神戸市職員でも自己破産は検討できる――最初に確認したいこと
この節の要点
- 地方公務員法第16条の欠格条項に、破産や債務整理は含まれていません。破産したことを理由に当然に職を失う仕組みはありません。
- ただし、公金の私的流用、虚偽の申告、職務上の義務違反など、借金の経過に別の非違行為が伴う場合は、懲戒(同法第29条第1項)や信用失墜行為(同法第33条)の問題が別に生じ得ます。破産の可否とは別の判断です。
- 借入額の多さそれ自体が要件ではありません。破産手続開始の原因は「支払不能」です(破産法第15条第1項)。収入があっても、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態であれば支払不能となり得ます(同法第2条第11項)。
- 破産手続の開始と、免責の許可は別の裁判です。免責不許可事由(同法第252条第1項各号)に当たる事情があっても、裁判所が一切の事情を考慮して免責を許可することがあります(同条第2項)。
- 職員の区分によって、適用される法令、共済組合、融資の利用資格、退職手当の制度が異なります。「神戸市の施設で働いている」というだけでは、神戸市職員とは限りません。
自己破産それ自体は、失職の事由とされていません
地方公務員法第16条は、職員となることができない事由として、拘禁刑以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者、当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受けて2年を経過しない者などを定めていますが、破産手続開始の決定を受けたことは含まれていません。したがって、自己破産を理由に当然に退職しなければならない、という関係にはありません。
破産手続開始の決定から復権までの間に一部の資格・職に制限が生じる点は別の問題で、これは各資格の法令が「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を欠格事由と定めている場合に限られます。神戸市の一般の職員の身分について、そのような定めはありません。ただし、教育長及び教育委員会の委員は、復権を得ない者はその職に就くことができず、在任中に該当するに至ったときは失職します(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第3項第1号、第9条第1項第1号)。学校に勤務する一般の教職員は、この「委員」には当たりません。資格制限の一般的な仕組みは、破産による資格制限と復権の仕組みを確認するで整理しています。
なお、任命権者の内部規程により身上に関する報告が求められる職場があり得ますが、その有無と内容は職場ごとに異なりますので、確認が必要です。「どの職員にも報告義務がない」と一律に申し上げることはできません。
職員の区分によって、適用される法令と制度が異なります
神戸市に勤務しているというだけでは、適用される制度は決まりません。とくに、給与からの控除の根拠、共済組合の所属、しょくしんの融資資格、退職手当の制度は、次の区分によって扱いが分かれます。ご自身がどこに当たるかを、辞令、給与明細の発令区分、共済組合の組合員証で確認してください。
| 区分 | 給与からの控除の根拠となる法令 | 確認しておきたい点 |
|---|---|---|
| 市長部局等の一般職(常勤) | 地方公務員法第25条第2項(法律又は条例により特に認められた場合を除き、通貨で、直接、全額払い) | この記事の中心的な説明が当てはまる区分です。神戸市職員共済組合の組合員となります。 |
| 地方公営企業の職員(企業職員) | 労働基準法第24条第1項。地方公営企業法第39条第1項により、地方公務員法第25条及び第58条が適用除外とされているためです。 | 民間企業と同じく、労使協定による控除の枠組みが問題となり得ます。給与事務の取扱いが一般職と異なるため、控除の根拠を個別に確認します。 |
| 会計年度任用職員・再任用職員・育児休業代替の任期付職員 | 一般職であれば地方公務員法第25条第2項 | 神戸市職員信用組合の多目的ローンは、これらの職員は利用できないとされています。共済組合の資格区分(一般組合員・短期組合員)も勤務形態により異なります。 |
| 市立学校の教職員 | 一般職であれば地方公務員法第25条第2項 | 共済組合は公立学校共済組合であり、神戸市職員共済組合ではありません。貸付の償還・即時償還・償還猶予の仕組みが異なります。 |
| 市立施設に勤務していても、雇用主が委託先・指定管理者・地方独立行政法人等である場合 | 民間の労働者として労働基準法第24条第1項 | 神戸市職員ではありません。共済組合ではなく健康保険・厚生年金の適用となるのが通常で、退職金制度も勤務先によります。まず雇用主を確認します。 |
市立学校の教職員、兵庫県職員、警察官の詳細は、共済組合と退職手当の制度が異なるため、この記事では扱っていません。神戸市職員と教職員に共通する職場への影響と手続の選び方は、神戸市職員・教員の債務整理の全体像を読むで整理しています。
しょくしん融資と過去の共済貸付を区別する
相談の入口で最も多い取り違えが、借入先の混同です。名称が似ている団体が複数あり、制度も債権者も別です。給与明細の控除欄の名称だけで判断せず、契約書と償還表で確定してください。
| 名称 | 性質 | 貸付の取扱い |
|---|---|---|
| 神戸市 | 雇用主であり、給与及び退職手当の支給者 | 給与支給機関として控除を行う立場です。市自身が貸付債権者かどうかは、貸付金・返納金の有無により個別に確認します。 |
| 神戸市職員信用組合(しょくしん) | 主として神戸市役所職員を対象とする職域信用組合 | 住宅ローン、多目的ローン、教育ローン、自動車ローン、奨学金借換ローン、えるポケットローン(カードローン)などを取り扱っています。 |
| 神戸市職員共済組合 | 地方公務員等共済組合法に基づく共済組合(指定都市職員共済組合) | 公式サイトに「平成19年10月から新規貸付を休止しています」と記載され、新規貸付を希望する場合は神戸市職員信用組合(融資課)に相談するよう案内されています。既存の貸付は償還が続いています。 |
| 神戸市職員共助組合 | 互助団体 | 公式サイトの事業案内は給付金・保険・施設割引・購買・旅行割引等で、貸付の案内は見当たりません。 |
共済組合の新規貸付は休止されており、既存の貸付の償還が続いています
神戸市職員共済組合の公式サイトには、平成19年10月から新規貸付を休止していること、退職時に債務が残っている場合は退職手当から一括して引き去ること(本人の手続は不要とされています)が記載されています。したがって、いま共済組合の貸付が残っている方は、平成19年より前に借り入れたものを償還している状態です。
ここで注意していただきたいのは、共済組合が新規貸付を休止し、信用組合を案内していることは、既存の共済組合の債権が信用組合に移った(譲渡された)という意味ではない、という点です。二つの債権は別々に残り得ます。両方に残高がある方は、それぞれの契約書と償還表を分けて確認してください。
しょくしんの商品は、保証人・返済方法が商品ごとに異なります
「しょくしんの融資は保証人が要らない」「必ず必要だ」と一括りにすることはできません。公式サイトの商品案内を確認すると、商品によって条件が異なります。
| 商品 | 利用資格として記載されている事項 | 返済方法・保証人として記載されている事項 |
|---|---|---|
| 多目的ローン | 現職の個人組合員で、勤続1年以上かつ満20歳以上、同組合に普通預金口座がある方。再任用職員、育児休業代替任期付職員、会計年度任用職員は利用できないとされています。 | 「返済金は給与・ボーナスから天引き」と記載されています。保証人・保証会社に関する記載は、この商品案内のページには見当たりません。 |
| 奨学金借換ローン | 現職の個人組合員で、条件付採用期間終了後に本採用された組合員、満18歳以上。 | 「連帯保証人1名(原則3親等までの親族)が必須」と記載されています。 |
| えるポケットローン(カードローン) | 勤続1年以上で申込みができるとされています。 | 毎月給与から返済資金を天引きして返済用口座に入金し、その口座から返済する仕組みと記載されています。保証人・保証会社に関する記載は、この商品案内のページには見当たりません。 |
商品案内に保証人の記載がないことは、「保証人がいない」ことの確認にはなりません。ご自身の契約時の条件は、現在の商品案内ではなく、契約書、保証委託契約書、償還表で確認してください。契約の時期によって条件が変わっている可能性があります。金利や限度額は、手続の選択そのものを左右する事項ではないため、この記事では扱いません。
給与・賞与の天引きはどうなるか
「給与から引かれているものは、弁護士に依頼すれば止まるのか」。これは相談で必ず出る質問です。答えは、何が、どの仕組みで、どの根拠に基づいて引かれているかによって変わります。まず種類を分けます。
| 仕組み | 何が起きているか | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 給与控除による直接返済 | 給与支給機関が給与から差し引き、債権者に払い込みます。共済組合の貸付の償還金がこの類型です。 | 給与明細の控除欄、共済組合の償還表、残高通知 |
| 給与天引きによる預金への入金 | 給与から差し引いた額が、いったんご自身の預金口座に入金されます。この段階では返済ではありません。 | 給与明細の控除欄、通帳の入金記録 |
| その預金からの返済 | 入金された預金から、約定日に返済が行われます。えるポケットローンの案内はこの仕組みを説明しています。 | 通帳・取引明細の出金記録、契約書 |
| 給与振込後の口座振替 | 給与が振り込まれた後、金融機関が口座から引き落とします。勤務先の給与事務は関与しません。 | 通帳・取引明細、口座振替依頼書 |
| 裁判所の給与差押え | 債権者が債務名義に基づいて申し立て、差押命令が第三債務者である神戸市に送達されます。 | 差押命令正本、債務名義(判決・支払督促等) |
共済掛金、所得税・住民税、社会保険料、財形貯蓄や職員互助の積立金は、いずれも借金の返済ではありません。控除欄に並んでいるという理由だけで、返済と混同しないようにしてください。控除の名称は勤務先の事務上の略称であることが多く、名称から債権者を確定することはできません。契約書、償還表、残高通知、通帳・取引明細の順に突き合わせて、債権者と債権額を確定します。
給与から控除できる根拠は、職員の区分で異なります
市長部局等の一般職の給与は、「法律又は条例により特に認められた場合を除き、通貨で、直接職員に、その全額を支払わなければならない」とされています(地方公務員法第25条第2項)。民間企業で用いられる労働基準法第24条第1項の賃金全額払いと労使協定による控除の仕組みは、この区分の職員には適用されません(同法第58条第3項は、労働基準法第24条第1項を職員に適用しないと定めています)。したがって、「労使協定があるから控除できる」という説明は、一般職には当てはまりません。
これに対して、地方公営企業の職員については、地方公営企業法第39条第1項により地方公務員法第25条及び第58条が適用除外とされ、労働基準法第24条第1項が適用されます。同じ神戸市の職員でも、控除の根拠となる法令が異なります。
共済組合の貸付の償還金については、法律に直接の根拠があります。地方公務員等共済組合法第115条第2項は、組合員が組合に対して支払うべき掛金等以外の金額があるときは、給与支給機関が「報酬その他の給与(地方自治法第二百四条第二項に規定する退職手当又はこれに相当する手当を含む。)」からその金額に相当する額を控除して、組合員に代わって組合に払い込まなければならない、と定めています。退職手当が括弧書きで明示されている点が、この条文の特徴です。
手続の段階ごとに、控除を続けられるかの判断が変わります
ここが実務上いちばん誤解の多いところです。通常の給与事務として控除する根拠があることと、倒産手続に入った後もその控除を続けられるかは、別の問題です。共済組合の貸付に法律上の控除の仕組みがあるからといって、それだけで破産債権を他の債権者に優先して回収できる、免責されない、本人の意思にかかわらずいつまでも控除してよい、ということにはなりません。
| 段階 | 債権の性質と、弁済・控除についての考え方 | この段階ですること |
|---|---|---|
| 相談・受任前 | 通常の債権債務関係です。控除も口座振替も続きます。 | 借入先と控除の根拠を確定します。届いた書面と期限を確認します。 |
| 受任通知後・開始決定前 | 受任通知は、弁護士が窓口となったことを債権者に知らせる通知です。これだけで給与控除、口座振替、給与差押えが自動的に停止するわけではありません。停止の可否と方法は、控除の根拠と契約により異なります。 | 弁護士が、控除の根拠、給与事務の締切、生活費の確保を踏まえて、停止の申入れの要否と時期を検討します。 |
| 破産手続開始決定後 | 破産債権は、原則として破産手続によらなければ行使できません(破産法第100条第1項)。破産財団に属する財産に対する強制執行等はすることができず、既にされているものは効力を失います(同法第42条第1項・第2項)。 | 控除が続いている場合は、その法的根拠と、破産管財人・給与事務との連絡方法を弁護士が検討します。 |
| 免責許可決定の確定後 | 破産債権についての責任を免れます(同法第253条第1項本文)。ただし、非免責債権(同項ただし書各号)と、保証人の責任(同条第2項)は別です。 | 控除が続いていないか、残高通知が届いていないかを確認します。 |
控除を止める法的な判断と、給与事務に反映される時期も分けて考える必要があります。給与計算には締切があり、申入れをした月の給与に間に合わないことがあります。生活費の見通しを立てるうえで、この時間差は重要です。
退職手当からの控除について、最高裁が判断した事案があります
最高裁判所第二小法廷平成18年1月23日判決(平成17年(受)第1344号・不当利得返還請求事件・最高裁判所民事判例集60巻1号228頁)は、地方公務員共済組合の組合員の破産手続中に、自由財産である退職手当の中から、地方公務員等共済組合法第115条第2項所定の方法により組合の貸付金債務について弁済がされた事案について、判断を示しています。
判決は、破産者は破産手続中に自由財産の中から破産債権に対して任意の弁済をすることを妨げられないとしたうえで、それが「組合員による任意の弁済であるというためには、組合員が、破産宣告後に、自由財産から破産債権に対する弁済を強制されるものではないことを認識しながら、その自由な判断により、上記方法をもって上記貸付金債務を弁済したものということができることが必要である」としています。
この判決は旧破産法のもとでの事案ですが、実務上の意味は明快です。法律に控除の方法が定められていることだけを理由に、回収の優先性や弁済の有効性が当然に認められるわけではなく、任意の弁済といえるかどうかは厳格に判断される、ということです。もっとも、この判断から、受任通知後のあらゆる天引きや、しょくしんとの別個の契約に基づく返済まで一律に無効になる、と導くことはできません。適用の範囲は、債権者が誰か、どの財産から、どの段階で引かれたかによって変わります。
実際に確認していただきたいのは、判例の細かな射程ではなく、次の三点です。すなわち、借入先はどこか、給与と退職手当を支給しているのはどこか、そして引かれた時期がどの段階かです。この三点が分かれば、弁護士が控除の根拠と手続の段階を踏まえて、停止や返還を求める余地があるか、誰にどの順序で連絡するかを検討できます。違法な控除があった場合に返還が問題となる余地はありますが、全額が返還されると申し上げることはできません。
給与明細の控除欄、しょくしんと共済組合の償還表、退職の予定、保証人の有無。この四つが分かる資料があれば、控除を止める順序、生活費の確保、手続の選択について、具体的な方針を検討できます。資料が全部そろっていなくても差し支えありません。届いている書面と、いま分かる範囲の借入先からご相談ください。
職場に知られる可能性がある経路
破産手続にも個人再生手続にも、裁判所や弁護士が勤務先に手続を通知する仕組みはありません。勤務先が知り得るのは、勤務先が債権者・第三債務者・給与支給機関のいずれかの立場で手続に関わる場合か、資料の作成を求められる場合です。「勤務先だから一律に通知される」という制度と、これらの関わりは区別してください。
| 場面 | 誰が情報を知り得るか | 届く書類・必要な事務 | 事前に確認すること |
|---|---|---|---|
| 共済組合の貸付の控除を停止・変更する | 給与支給機関の給与事務担当、共済組合の担当 | 控除の停止・変更に関する連絡と、給与計算への反映 | 控除の根拠、停止を申し入れる時期、給与計算の締切、生活費への影響 |
| しょくしんの返済方法を変更する | 信用組合の担当。給与天引きの場合は給与事務担当 | 天引きの停止に関する事務 | 天引きか口座振替か、天引きの根拠、返済用口座の残高と他の引落し |
| 退職手当の見込額を示す資料を取得する | 人事・給与の担当 | 支給見込額の証明書等の作成 | 裁判所がどの資料を求めるか、代わりの資料で足りるか、請求の時期 |
| 給与差押命令を受ける | 第三債務者として神戸市の担当部署 | 差押命令正本の送達、陳述催告への回答、差押分の支払 | 債務名義の有無、送達の時期、差押禁止の範囲、申立て可能な対抗手段 |
| 勤務先や職員団体が債権者である | 債権者としての担当部署・団体 | 債権者としての通知の受領、債権の届出 | 貸付金・返納金・立替金の有無と残額、根拠となる書面 |
| 同僚・上司が保証人又は貸主である | その同僚・上司本人 | 保証人としての請求、債権者としての通知の受領 | 保証契約書の有無、借用書、返済の経過 |
| 官報に公告される | 閲覧した者 | 破産手続開始の決定等の公告 | 勤務先が日常的に閲覧しているかは職場により異なります |
給与・人事の担当者が事務として知ることと、上司や職場全体に共有されることは同じではありません。どの範囲に伝わるかは、その職場の事務の運用によります。「必ず知られない」「必ず全職員に伝わる」といった説明はいずれも正確ではありませんので、確率としてお答えすることはできません。なお、資料を請求する際に虚偽の理由を伝えることは、後の手続で説明が求められる場面をかえって増やしますので、おすすめしません。
債権者からの督促については、貸金業者が正当な理由なく勤務先に連絡することは制限されています(貸金業法第21条第1項第3号)。共済組合や信用組合はこの規制の対象となる貸金業者ではありませんが、弁護士が受任した後は、通常、連絡の窓口が弁護士になります。詳しくは受任通知で取立てがどう変わるかを読むをご覧ください。
退職手当は資料・退職時期・受領状況で扱いが変わる
退職手当は、自己破産で最も評価が分かれる財産です。まず、次の三つを分けてください。同じ「退職金」でも、法的な扱いが異なります。
| 状態 | 法的な位置付け | 主に必要となる資料 |
|---|---|---|
| 在職中で、将来受け取る見込みがある | 破産手続開始前に生じた原因に基づく将来の請求権として、破産財団に属し得ます(破産法第34条第2項)。ただし差押えが禁止される部分は破産財団に属しません(同条第3項第2号)。 | 退職手当の支給見込額を示す資料、適用される条例・規則、基準日時点の給料月額、勤続期間と休職等の情報 |
| 退職済みで、退職手当が未払い | 具体的な金銭債権として存在します。差押えが禁止される範囲は、給付の4分の3です(民事執行法第152条第2項)。 | 退職日が分かる資料、支給決定通知書、支給予定日が分かる資料 |
| 既に受領して、現金・預金になっている | 退職手当請求権としての保護をそのまま受けるとは限りません。受領後の使途について説明を求められることがあります。 | 入金が分かる通帳・取引明細、使途が分かる資料(領収書、振込記録等) |
条文上の差押禁止の範囲と、裁判所の評価は別の問題です
退職手当については、その給付の4分の3に相当する部分を差し押さえてはならないとされています(民事執行法第152条第2項)。破産法第34条第3項第2号は差押禁止財産を破産財団から除いていますので、条文の上では4分の1に相当する部分が評価の対象となります。
もっとも、実際の申立てでは、これとは別に、退職の時期がまだ先で支給が確実でないことを踏まえた評価の運用や、同時廃止とするか管財事件とするかの振分けの運用があり、これらは裁判所ごと、時期ごとに異なります。個人再生における清算価値の算定も、破産の自由財産の拡張(破産法第34条第4項)も、それぞれ別の枠組みです。
この記事では、神戸地方裁判所の現在の振分けの運用について、公表資料により確認できる範囲がありませんでしたので、割合や金額の数値は記載していません。数値を示している解説を見かけた場合は、それが条文上の基準なのか、特定の裁判所の運用なのか、いつの時点のものなのかを確かめてください。「8分の1を納めれば必ず済む」「自己破産のためには退職が必要」「退職手当は全額失う」というのは、いずれも正確ではありません。退職の予定と資料の内容によって評価は変わります。
そろえておきたい資料
- 退職手当の支給見込額を示す資料(勤務先が発行する証明書等)。定年まで勤めた場合の額と、基準日時点で自己都合により退職した場合の額は別のものです。取り違えないようにしてください。
- 適用される退職手当に関する条例・規則
- 基準日時点の給料月額が分かる資料
- 勤続期間と、休職・育児休業・派遣等の期間が分かる資料
- 退職の予定がある場合は、その予定日
- 退職済みの場合は、支給決定通知書
- 既に受領している場合は、入金後の通帳・取引明細と使途が分かる資料
条例の計算方法と給料月額から見込額を計算した書面を、証明書に代えて裁判所が受け付けるかどうかは、事前に確認が必要です。給与明細だけで足りるとは限りません。
「退職して退職手当で返す」を決める前に
この判断は、複数の問題が同時に生じるため、慎重な検討が必要です。第一に、自己都合による退職では支給率が下がることが多く、退職後は収入も途絶えます。第二に、共済組合の貸付は退職手当から一括して引き去られる取扱いとされており、しょくしんの債権については契約により扱いが異なります。第三に、退職手当を受領した後に自己破産を申し立てる場合、受領した金額と使途について説明を求められます。
また、借入残高を退職手当の見込額から当然に差し引けるわけではありません。退職手当の支払義務者と貸付の債権者が同一なのか、相殺や控除が許されるのか、計算上二重に控除していないかを、順に確認する必要があります。使用者からの借入れとの相殺、共済組合の貸付についての法律上の控除、しょくしんによる債権回収は、それぞれ別の問題として検討してください。
保証人と給与口座への影響
免責の効力は、保証人には及びません
免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利に影響を及ぼしません(破産法第253条第2項)。ご本人が免責を受けても、保証人の責任はそのまま残り、保証人に対する請求が始まることがあります。奨学金借換ローンのように連帯保証人が必須とされている商品では、この点の検討が特に重要です。
保証会社が付いている場合、保証会社が代位弁済をしても、ご本人の債務が単純に消滅するわけではありません。保証会社が求償権を取得し、債権者が入れ替わります。保証料を支払っていることと、ご本人のために返済が免除される保険とは別のものです。連帯保証人として請求されたときの整理方法を読むもあわせてご確認ください。
家族や同僚という関係だけで返済義務が生じることはありません。結論を分けるのは、保証契約や共同債務の有無です。保証人にいつ、何を伝えるかは、契約の内容と今後の手続を踏まえて検討する必要があります。保証人がいる借入れだけを先に返す、という対応は、次の節で述べる問題を生じますので、その前にご相談ください。
給与振込口座と借入先が同じ金融機関の場合
借入先と給与の振込先が同じ金融機関である場合は、預金、定期積金、給与の振込、生活費の引落し、保証会社の有無を確認したうえで、取引の制限や相殺の可能性と、対応の順序を検討する必要があります。
破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで相殺をすることができます(破産法第67条第1項)。他方で、支払不能や支払停止、破産手続開始の申立てを知った後に負担した債務については、相殺が禁止される場合があります(同法第71条第1項各号)。要件に当たるかどうかは、時期と認識によって変わりますので、「必ず凍結される」「給与はすべて相殺される」と決めつけることはできません。実際の取扱いは、個別の契約と金融機関の判断にもよります。
口座の変更を検討する場合は、生活費の確保、給与事務の締切、変更が反映される時期、債権者に通知する時期を、弁護士と一緒に整理してください。あわせて、資金の移動は必ず記録が残る方法で行い、財産はすべて申告することが前提です。財産を隠す、事実と異なる説明をする、他人名義に移す、通帳を提出しない、理由を説明できないまま全額を引き出すといった対応は、免責の判断に影響し得ますので避けてください。給与振込口座の取扱いは、銀行カードローンの任意整理と口座凍結の記事を読むでも整理しています。
特定の借入れだけを返す、名簿から外す、という対応について
「職場に知られたくないので、しょくしんと共済組合の分だけは返し続けたい」「同僚から借りた分は名簿に書きたくない」。お気持ちは理解できますが、いずれも手続に影響します。
偏った返済は、二つの別々の問題を生じ得ます
特定の債権者への優先的な返済、期限前の一括返済、退職手当を原資とする返済、家族の資金による返済については、その時期、原資、目的、法的な根拠を確認する必要があります。そのうえで、次の二つは別の問題として検討します。
- 否認の対象となるか。既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為のうち、支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にされたもので、債権者が一定の事実を知っていた場合などが対象となり得ます(破産法第162条第1項)。
- 免責不許可事由に当たるか。特定の債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、債務者の義務に属しない方法・時期により債務の消滅に関する行為をしたことが定められています(同法第252条第1項第3号)。義務に属する通常の弁済がこれに当たるとは限りません。
要件が異なりますので、偏った返済がすべて直ちに免責不許可になるわけではありません。また、免責不許可事由に当たる場合でも、裁判所が一切の事情を考慮して免責を許可することがあります(同条第2項)。判断の材料になるのは、いつ、どの資金で、なぜ返したのかを説明できる資料です。心当たりがある場合ほど、隠さずに弁護士にお伝えください。
債権者名簿から外すことはできません
破産手続では、すべての債権者を申告する必要があります。しょくしん、共済組合、同僚や親族からの借入れ、保証や代位弁済、求償の関係も含めてお伝えください。ここでも二つを区別します。
- 虚偽の債権者名簿を提出したことは、免責不許可事由とされています(破産法第252条第1項第7号)。
- 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権は、免責の効力が及びません。ただし、その破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権は除かれます(同法第253条第1項第6号の括弧書き)。
単純な記載漏れが常に非免責となるわけではありませんが、「知りながら記載しなかった」と評価されれば、その債権は残ります。職場に知られたくないという理由で外すことは、結果としてその債権だけが残る事態を招きかねません。誰をどのように記載するかは、弁護士と整理してください。非免責債権の全体像は、自己破産で免除されない借金の整理を読むをご覧ください。
任意整理・個人再生との比較
自己破産だけが選択肢ではありません。神戸市職員の方が気にされる観点で、三つの手続を並べます。どれが適するかは、収入、財産、住宅、保証人、退職の予定によって変わりますので、この表は結論ではなく検討の入口としてご覧ください。
| 観点 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
|---|---|---|---|
| 返済の継続可能性 | 合意した内容で返済を続けます。対象外の返済も含めて家計が維持できることが前提です。 | 再生計画に基づいて返済を続けます。継続的な収入が必要です。 | 原則として返済を続けません。免責により責任を免れます。 |
| 対象債権者の扱い | 対象とする債権者を選べる場合があります。ただし債権者の合意が必要です。 | すべての債権者を対象とします。選べません。 | すべての債権者を対象とします。選べません。 |
| 給与控除の調整 | 対象から外せば控除が続く可能性があります。続けられる家計かどうかを確認します。 | 控除の停止と、計画に基づく弁済への切替えを検討します。 | 控除の根拠と手続の段階を踏まえて、停止と連絡の方法を検討します。 |
| 退職手当の影響 | 直接の評価対象とはなりません。 | 清算価値の算定に影響し、資料の提出が必要となることがあります。 | 財産の評価と、同時廃止か管財かの振分けに影響します。 |
| 保証人への影響 | 対象から外せば、保証人への請求を避けられる場合があります。 | 保証人に請求が及ぶことがあります。 | 免責の効力は保証人に及びません(破産法第253条第2項)。 |
| 住宅を維持する条件 | 住宅ローンを対象から外して返済を続ける方法が検討されます。 | 住宅資金特別条項を定められる場合があります。要件があり、必ず残せる制度ではありません(民事再生法第198条)。 | 住宅は原則として処分の対象となります。 |
任意整理を検討する場合
任意整理では対象とする債権者を選べる場合があり、しょくしんや共済組合を対象から外して控除を続ける方法も選択肢になり得ます。ただし、これは債権者との合意によるものですから、将来の利息の免除や特定の分割回数が保証されるわけではありません。対象から外した返済を含めて家計が維持できるか、後に自己破産や個人再生へ移行することになった場合にどのような問題が生じるかを、あらかじめ検討しておく必要があります。給与所得者の任意整理の進め方を読むもご参照ください。
個人再生を検討する場合
公務員だから給与所得者等再生に限られる、ということはありません。小規模個人再生も選択肢です。小規模個人再生では、再生計画案に同意しない旨を回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権の総額の2分の1を超えないときに、可決があったものとみなされます(民事再生法第230条第6項)。「頭数の半数以上」と「議決権額の2分の1超」は別の要件ですので、いずれか一方に当たれば否決となります。
しょくしんや共済組合が特定の議決方針を採るかどうかは、こちらで推測できることではありません。保証会社が代位弁済をしていれば債権者の構成そのものが変わりますので、まず債権者と債権額を確定させることが先になります。
給与所得者等再生は、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、その額の変動の幅が小さいと見込まれる方が求めることができる手続です(同法第239条第1項)。この手続では、可処分所得の2年分以上を弁済することが要件とされており(同法第241条第2項第7号)、清算価値との関係で計画弁済総額が決まります。三つの手続の違いは、自己破産と任意整理の違いを読むでも整理しています。
相談前に確認したい資料と、先に相談したい場面
資料が全部そろうまで相談を先延ばしにする必要はありません。分かる範囲で結構です。次の順序で確認できると、初回の相談で検討できることが増えます。
- 借入先の一覧。しょくしん、共済組合、銀行、消費者金融、カード会社、勤務先からの貸付金・返納金、家族・同僚からの借入れを、漏らさず挙げます。
- 給与明細(直近数か月分)と、控除欄の各項目が何であるかのメモ。
- しょくしん・共済組合の契約書、償還表、残高通知。
- 給与振込口座の通帳・取引明細。返済用口座が別にある場合はその分も。
- 保証人・連帯保証人・保証会社の有無が分かる書面。
- 退職の予定と、退職手当に関する資料。
- 住宅ローン、自動車ローン、保険(解約返戻金)の状況。
- 届いている書面。封筒も含めて保管し、受け取った日と書面に書かれた期限を控えておいてください。
届いた書面は、種類によって次にすべきことが違います
| 書面の種類 | 性質 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 債権者からの督促状・催告書 | 債権者が任意に送付するものです。 | 差出人、債権の内容、残額、支払期限として記載されている日 |
| 裁判所からの支払督促 | 裁判所書記官が発するものです。異議を述べる期間が定められています。 | 受け取った日、書面に記載された異議の期間、債権者名 |
| 訴状・期日呼出状 | 訴訟が提起されたことを示すものです。 | 答弁書の提出期限、第一回期日、請求の内容 |
| 差押命令 | 既に強制執行の段階に入っています。給与の場合、勤務先に送達されます。 | 債務名義の種類、送達の日、差し押さえられた債権の範囲 |
期限を確認する際は、いつから数えるのか(起算点)と、どの手続の期限なのかをあわせて確認してください。受任通知を送っただけで訴訟や差押えが止まるわけではありません。給与が差し押さえられた場合の範囲と対応は、給料差押えの通知が届いたら確認することを読むと給与差押え予告が届いたときの対応を読むで整理しています。
とくに、次の場面では早めのご相談をおすすめします。退職や異動の予定があるとき、特定の借入れだけを一括で返そうとしているとき、退職手当で返済することを考えているとき、給与振込口座と借入先が同じとき、保証人がいる借入れがあるとき、そして裁判所からの書面が届いたときです。いずれも、決めてしまった後では選択肢が狭くなります。
よくある質問
- 自己破産をすると、神戸市職員の職を失いますか。
- 地方公務員法第16条の欠格条項に破産は含まれていないため、破産を理由に当然に失職する仕組みはありません。在職したまま手続を進めることは制度上可能です。ただし、教育長・教育委員会の委員のように、復権を得ない間はその職に就けないと定められている職があります(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第3項第1号、第9条第1項第1号)。ご自身の職や、任命権者の内部規程に定めがないかは、個別に確認する必要があります。
- しょくしんの返済だけを続けることはできますか。
- 任意整理であれば、対象とする債権者を選べる場合がありますので、選択肢になり得ます。他方、自己破産や個人再生では、すべての債権者が対象となり、特定の債権者だけに返済を続けることはできません。特定の債権者への返済は、否認の対象となるか(破産法第162条第1項)と、免責不許可事由に当たるか(同法第252条第1項第3号)という別々の問題を生じ得ます。時期、原資、目的により結論が変わりますので、返す前にご相談ください。
- 弁護士に依頼すれば、給与からの天引きはすぐ止まりますか。
- 受任通知だけで自動的に止まるものではありません。共済組合の貸付の償還金は法律に基づく控除であり(地方公務員等共済組合法第115条第2項)、しょくしんの天引きは契約と給与事務の取扱いによります。停止できるか、いつから反映されるかは、控除の根拠と手続の段階、給与計算の締切によって変わります。停止の申入れは、生活費の確保と債権者への連絡の順序を踏まえて検討します。
- 退職手当はどのように扱われますか。証明書は必ず必要ですか。
- 在職中で将来受け取る見込みの場合、退職済みで未払いの場合、既に受け取って預金になっている場合で、扱いが異なります。差押えが禁止される範囲(民事執行法第152条第2項)と、裁判所が申立てにあたって行う評価や事件の振分けの運用は別の枠組みです。資料としては勤務先が発行する支給見込額の証明書が用いられることが一般的ですが、代わりの資料で足りるかは裁判所の運用によりますので、事前に確認します。給与明細だけで必ず足りるとは限りません。
- 自己破産をするには、神戸市を退職しなければなりませんか。
- そのようなことはありません。在職のまま手続を進めることは制度上可能です。むしろ、自己都合による退職では退職手当の支給率が下がることが多く、退職後は収入も途絶えます。退職手当を受領した後に申し立てる場合には、受領額と使途について説明が求められます。退職を決める前に、資料を確認したうえで検討する必要があります。
- 職場に知られずに手続を進められますか。
- 手続そのものとして勤務先に通知する仕組みはありません。もっとも、共済組合の貸付の控除の停止、退職手当の資料の取得、給与差押命令の送達など、勤務先の給与事務が関与する場面があります。給与・人事の担当者が事務として知ることと、職場全体に共有されることは同じではありませんが、確率としてお答えすることはできません。どの経路が生じ得るかは、借入先と手続の選択によって変わります。
- 同僚に保証人になってもらった借入れがあります。どうなりますか。
- 免責許可の決定は、債権者が保証人に対して有する権利に影響を及ぼしません(破産法第253条第2項)。ご本人が免責を受けても保証人の責任は残り、保証人に請求が及ぶことがあります。保証人がいる借入れだけを先に返す対応は、前記の否認や免責不許可の問題を生じ得ますので、返済ではなく、いつ何を伝えるかを含めて弁護士と検討してください。
- 公務員は個人再生を選べないと聞きましたが、本当ですか。
- そのようなことはありません。小規模個人再生も、給与所得者等再生も選択できます。小規模個人再生では、同意しない旨を回答した議決権者が総数の半数に満たず、かつ議決権額の2分の1を超えないときに可決があったものとみなされます(民事再生法第230条第6項)。しょくしんや共済組合がどう対応するかを事前に断定することはできませんので、まず債権者と債権額を確定させ、清算価値と可処分所得の見込みを踏まえて検討します。
まとめ
- 神戸市の一般の職員について、自己破産それ自体を失職の事由とする定めはありません。在職のまま手続を進めることは制度上可能です。
- 神戸市、神戸市職員信用組合(しょくしん)、神戸市職員共済組合、神戸市職員共助組合は別の主体です。共済組合の新規貸付は平成19年10月から休止されており、いま残っているのは既存の貸付の償還です。
- 給与から引かれているお金は、控除による直接返済、預金への入金、その預金からの返済、口座振替、給与差押えのいずれかです。名称ではなく契約書と償還表で確定します。
- 控除できる根拠は職員の区分により異なり、共済組合の貸付には法律上の根拠があります。もっとも、それだけで手続開始後の回収の優先性が認められるわけではありません。
- 退職手当は、在職中の見込額、退職済みの未払い、受領済みの預金で扱いが分かれます。割合や金額を示す説明を見たときは、条文上の基準か、特定の裁判所の運用かを確かめてください。
- 免責の効力は保証人には及びません。しょくしんの商品でも、連帯保証人が必須とされているものがあります。
- 特定の借入れだけを返す、名簿から外す、という対応は、否認と免責不許可という別々の問題を生じ得ます。退職や一括返済を決める前にご相談ください。
神戸市職員の方の自己破産では、借入先の確定、給与からの控除を止める順序と時期、退職手当の資料、保証人への連絡、生活費の確保を、順序立てて検討する必要があります。当事務所では、給与明細、償還表、契約書、退職手当に関する資料を確認したうえで、在職と生活を踏まえた手続の選択と、連絡の順序についての方針を検討します。
神戸みらい法律会計事務所では、初回の法律相談を無料としています(事前のご予約が必要です)。借金問題(債務整理)については、可能な範囲でお電話での無料相談にも対応しています。無料相談の対象・条件は、初めての方へのご案内を確認するでご確認ください。
お電話:078-797-5227(受付9:00〜20:00。事案によって平日夜間・土日祝にも対応しています。)
弁護士紹介
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所
代表弁護士・公認会計士 藤井貴之
兵庫県弁護士会所属・日本公認会計士協会兵庫会所属
債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)、相続、交通事故、企業法務などを取り扱い、弁護士と公認会計士の資格を活かして、家計や税務の視点も含めた生活再建の方針を検討しています。
参考資料
- e-Gov法令検索|地方公務員法(第16条・第25条・第29条・第33条・第58条)
- e-Gov法令検索|地方公営企業法(第39条)
- e-Gov法令検索|地方公務員等共済組合法(第112条・第115条)
- e-Gov法令検索|地方自治法(第204条)
- e-Gov法令検索|破産法(第2条・第15条・第34条・第42条・第67条・第71条・第100条・第162条・第252条・第253条)
- e-Gov法令検索|民事再生法(第198条・第230条・第239条・第241条)
- e-Gov法令検索|民事執行法(第152条・第155条)
- 裁判所|裁判例検索(最高裁判所第二小法廷平成18年1月23日判決・平成17年(受)第1344号・民集60巻1号228頁)
- 裁判所|破産手続の案内を確認する
- 裁判所|個人再生手続の案内を確認する
- 神戸市職員共済組合|貸付(新規貸付の休止・繰上償還・退職時の取扱い)を確認する
- 神戸市職員信用組合|多目的ローンの商品案内を確認する
- 神戸市職員信用組合|奨学金借換ローンの商品案内を確認する
- 神戸市職員信用組合|えるポケットローンの商品案内を確認する
- 神戸市|神戸市例規(給与・退職手当に関する条例の掲載先)
- 金融庁|多重債務についての相談窓口を確認する
本記事は、2026年9月10日時点で確認した法令及び公式資料に基づく一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。制度の内容、共済組合・信用組合の取扱い、裁判所の運用は変更されることがあります。個別事情により結論は異なりますので、退職、一括返済、口座の変更などを決める前に、資料を確認したうえでご判断ください。

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