保証人がいる借金を債務整理する前に確認したい影響と注意点 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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保証人がいる借金を債務整理する前に確認したい影響と注意点

保証人がいる借金の返済が難しくなったとき、「自分が債務整理をすると、保証人になってくれた親や配偶者に迷惑がかかるのではないか」「保証人付きの借金だけは払い続けたほうがよいのか」「保証人に知られずに手続できるのか」と悩む方は少なくありません。

保証人がいる借金では、本人の返済だけでなく、債権者から保証人への請求・通知や、保証人が立て替えて支払った場合の本人への求償(立替分の返還請求)まで含めて確認する必要があります。整理方法(任意整理・個人再生・自己破産)によって保証人への影響は変わり、自己破産や個人再生をしても、本人の免責や返済額の圧縮がそのまま保証人に及ぶわけではありません。

この記事では、保証人・連帯保証人・連帯債務者・物上保証人の違い、債務整理の方法ごとの保証人への影響、奨学金・住宅ローン・事業借入などの注意点、相談前に準備したい資料を整理します。事案により結論は異なります。自己判断で特定の借金だけを返済したり、財産を家族に移したりする前に、契約書や請求書を確認したうえで方針を整理することをおすすめします。

保証人がいる借金の整理を検討している方へ

保証人付きの借金は、整理方法によって保証人への請求・通知・求償関係が変わります。契約書・請求書・保証人情報・支払状況を確認し、任意整理・個人再生・自己破産のどの手続が適切かを整理しましょう。

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この記事で分かること

  • 保証人・連帯保証人・連帯債務者・物上保証人の違い
  • 債務整理をしたときの保証人への影響(請求・一括請求・求償・差押え・信用情報)
  • 任意整理・自己破産・個人再生で、保証人への影響がどう違うか
  • 奨学金・住宅ローン・自動車ローン・事業借入で確認すべきこと
  • 保証人付きの借金だけを返済する場合の注意点
  • 保証人に説明すべきタイミングと、保証人自身の対応
  • 弁護士に相談するタイミングと、相談前に準備したい資料

最初に確認したい結論|整理方法ごとに保証人への影響が変わります

まず押さえておきたい結論は、次のとおりです。いずれも一般的な整理であり、個別の結論は契約内容・債務額・支払状況・保証人の立場・債権者の対応・裁判所の運用により変わります。

  • 保証人がいる借金を債務整理すると、債権者から保証人へ請求が及ぶ可能性があります。
  • 自己破産で本人が免責を受けても、債権者が保証人に対して持つ権利には当然には影響しないとされています(破産法第253条第2項)。個人再生で本人の返済額が圧縮されても、再生計画は保証人に対する債権者の権利に影響しないとされています(民事再生法第177条第2項)。
  • 任意整理では、整理の対象とする債権者を選べる場合があり、保証人付きの借金を対象から外して支払いを続けることを検討できることがあります。ただし、その支払いを継続できるか、将来の自己破産・個人再生との関係で問題にならないかを確認する必要があります。
  • 保証人付きの借金だけを自己判断で優先返済したり、保証人や親族へ返済・財産移転をしたりすることは、後に自己破産・個人再生へ進む場合に手続上の問題になる可能性があります。
  • 保証人への説明の要否・時期、保証人自身の対応の要否を含めて、事前に方針を整理することが重要です。
手続 保証人への影響(概要) 検討されることがあるケース 主な注意点
任意整理 対象から外せば従前どおり支払いを続けられる場合があるが、対象に入れれば保証人へ請求が及ぶ可能性 保証人付き以外の借金が中心で、保証人付き債務の支払いを継続できる場合 支払継続の可否、将来の破産・再生に移る場合の偏頗弁済の問題
個人再生 原則すべての債権者を手続に含める。本人の返済額が圧縮されても保証人の責任は当然には減らない 住宅を残したい、本人に継続的な収入がある場合など 住宅資金特別条項や担保・連帯債務の確認、保証人への一括請求の可能性
自己破産 原則すべての債権者を手続に含める。本人が免責を受けても保証人の責任は当然には消えない 支払不能で、継続的な返済が難しい場合 保証人付きだけを外せない、申立前の偏頗弁済・免責不許可の問題
時効援用 主債務・保証債務それぞれの経過を別途確認する必要がある 最終返済から長期間が経過している可能性がある場合 支払・承認で時効が更新される可能性、保証人側の経過も確認
経営者保証ガイドライン(事業) 金融機関との私的整理により、保証人の自己破産回避を検討できる場合がある 法人の事業借入に経営者が保証している場合 主債務の整理手続が前提、全対象債権者の同意が必要

どの手続が適切かは、保証人への影響だけでなく、本人の収入・財産・債務総額・住宅・自動車・税金、保証人の支払能力などを総合して検討する必要があります。「この手続なら必ず保証人に迷惑がかからない」と言い切れるものではありません。手続全体の比較は借金問題(債務整理)の取扱業務を見るもご参照ください。

保証人・連帯保証人・連帯債務者・物上保証人の違い

「保証人」と一口に言っても、立場によって責任の重さや請求のされ方が異なります。まずはご自身の借金に付いている保証がどの類型かを、契約書で確認することが出発点です。

立場 意味 請求される可能性 確認資料 注意点
保証人(単純保証) 主たる債務者が払わないときに、二次的に支払う立場 まず本人に請求するよう求める催告の抗弁・検索の抗弁を主張できる場合がある 保証契約書、金銭消費貸借契約書 複数の保証人がいる場合、頭数で分けた範囲(分別の利益)に留まることがある
連帯保証人 本人と連帯して債務を負う、より重い保証 本人より先でも、全額の請求を受ける可能性がある 連帯保証契約書 催告・検索の抗弁を主張できず(民法第454条)、分別の利益もないのが原則
連帯債務者 保証人ではなく、本人と同じく借りた当事者の立場 各自が全額の支払義務を負う 金銭消費貸借契約書、住宅ローン契約書 本人が債務整理をしても、他の連帯債務者の負担は当然には消えない
物上保証人 自分の不動産等を担保に提供している人(人的な保証はしない場合もある) 担保物の競売等により責任を負う可能性がある 抵当権設定契約書、登記事項証明書 担保物の範囲・順位・被担保債権の確認が必要
保証会社 本人に代わって債権者へ立替払い(代位弁済)する会社 代位弁済後、保証会社から本人へ請求(求償)される 保証委託契約書、代位弁済通知 債権者が銀行等から保証会社へ移っても、本人の支払義務はなくならない
機関保証(保証機関) 奨学金等で、親族の保証人に代えて保証機関が保証する仕組み 本人へ求償される(親族への請求は原則生じない) 保証料の記載がある書類、奨学金関係書類 保証料を払っていても、本人の返還義務はなくならない

とくに「保証人」と「連帯保証人」は同じではありません。また、奨学金でよく問題になる「人的保証(親族が保証)」と「機関保証(保証機関が保証)」は仕組みが異なります。どの類型かによって、債務整理をしたときの影響が変わります。

保証人がいる借金を債務整理すると何が起きるか

本人が弁護士に債務整理を依頼すると、通常はその時点で対象債権者への支払いを止め、債権者へ受任通知を送ります。これにより本人への直接の取立ては止まりますが、保証人への請求まで当然に止まるわけではありません。一般的には、次のような流れが生じる可能性があります。

  • 本人が支払いを止めると、契約上、期限の利益を失い(残額を一括で支払う義務が生じ)、債権者が保証人へ請求することがあります。
  • 保証人へは、残額の一括請求が来る可能性があります。分割で応じてもらえるかは、債権者の対応・保証契約・保証人の支払能力により異なります。
  • 保証会社が付いている場合、保証会社が債権者へ代位弁済し、その後、保証会社から本人へ求償請求がされることがあります。
  • 保証人が支払った場合、保証人は本人に対して立替分の返還を求める求償権を持つことがあります。本人の自己破産・個人再生では、この保証人の将来の求償権を債権者一覧表に記載する必要がある場合があります。
  • 保証人が支払えないと、保証人に対して支払督促・訴訟・給料差押え・不動産の差押え等が及ぶ可能性があります。
  • 本人・保証人の信用情報に影響する場合がありますが、登録される内容や期間は信用情報機関・契約内容・登録事由により異なるため、最新の公式情報の確認が必要です。

請求や通知の時期・方法は、債権者・契約・手続・裁判所の運用によって異なります。「保証人への請求や連絡を絶対に避けられる」とは言えませんし、逆に「必ず一括請求される」と決まっているわけでもありません。保証人へ請求が及んだ後の給料差押え等の対応は、給料差押えの記事を見るもあわせてご確認ください。

任意整理をする場合の保証人への影響

任意整理は、裁判所を通さずに、対象とする債権者と返済方法を交渉する手続です。原則としてすべてを含める自己破産・個人再生と異なり、整理の対象とする債権者を選べる場合があります。

  • 保証人がいる借金を任意整理の対象から外し、従前どおり支払いを続けることで、保証人への請求を避けられる可能性があります。
  • ただし、その支払いを家計上継続できるかの確認が必要です。他の借金を任意整理しても、保証人付き債務の支払いが重すぎれば、計画が破綻するおそれがあります。
  • 反対に、保証人付きの借金を任意整理の対象に入れた場合は、債権者から保証人へ請求が及ぶ可能性があります。
  • 将来的に自己破産や個人再生へ移行する可能性がある場合、保証人付き債務だけを優先して支払い続けることが、後で偏頗弁済(特定の債権者だけを有利に扱う返済)として問題になる可能性があります。
  • 保証人と本人の双方で、今後の返済の見通しを整理する必要がある場合があります。

「任意整理なら必ず保証人に知られない」と言い切ることはできません。対象の選び方や支払継続の可否は、収入・借金総額・保証人の事情を踏まえて検討する必要があります。

自己破産をする場合の保証人への影響

自己破産は、支払不能になった場合に、原則としてすべての借金の支払義務の免除(免責)を裁判所に求める手続です。

  • 自己破産では、原則としてすべての債権者を債権者一覧表に記載する必要があります。保証人がいる借金だけを外すことは、原則としてできません。
  • 本人が免責許可決定を受けても、債権者が保証人に対して持つ権利は当然には消えません(破産法第253条第2項)。保証人に残額を請求される可能性があります。
  • 保証人がまだ支払っていない場合でも、保証人は本人に対する将来の求償権を持つことがあり、手続上、将来の求償権者として通知の対象になる場合があります。
  • 保証人付きの借金だけを申立前に優先して返済することは、偏頗弁済・否認(破産管財人による取消し)・免責不許可の問題になる可能性があります。
  • 保証人への請求を避ける目的で財産を移す、事実と異なる説明をする、債権者を一覧から漏らす、といった行為は避ける必要があります。
  • 保証人も返済が難しい場合、保証人自身の任意整理・個人再生・自己破産を検討することがあります。

保証人への事前説明をするかどうかは、関係性・緊急性・利益相反の有無を踏まえ、慎重に検討します。

個人再生をする場合の保証人への影響

個人再生は、裁判所の手続により、借金の総額を法律で定める範囲まで圧縮し、原則3年(事情により延長されることがあります)で分割返済する計画を立てる手続です。

  • 個人再生でも、原則としてすべての債権者を手続に含めます。
  • 再生計画により本人の返済額が圧縮されても、再生計画は保証人に対する債権者の権利には影響しないとされています(民事再生法第177条第2項)。債権者が保証人に対し、保証債務の履行(残額の支払い)を求める可能性があります。
  • 本人の再生計画上の返済と、保証人への請求との関係を整理する必要があります。保証人が支払った場合の求償権の扱いも確認が必要です。
  • 住宅を維持するために住宅資金特別条項の利用を検討できる場合がありますが、住宅ローンの保証人・連帯債務者・物上保証人・保証会社・担保権の関係を確認する必要があります。
  • 連帯債務型の住宅ローン、ペアローン、親族による保証、親族所有地への担保設定がある場合は、とくに慎重な検討が必要です。

「個人再生をすれば保証人の支払いも減額される」というものではない点に注意が必要です。自己破産との比較を含む各手続の整理は借金問題(債務整理)の取扱業務を見るもご覧ください。

保証人へ請求が行くか不安な方へ

保証人付きの借金だけを支払ったり、親族へ返済・財産移転をしたりする前に、保証契約と手続選択を確認することが重要です。資料を確認したうえで、保証人への影響と説明の時期を整理しましょう。

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保証人付きの借金だけを返済してよいか

「保証人に迷惑をかけたくないので、保証人付きの借金だけ払いたい」というご相談は多くあります。結論として、これは手続の選択とセットで慎重に検討すべき事項です。

  • 任意整理では、対象債権者を選べる場合があるため、保証人付き債務を外して支払いを続ける方針を検討できることがあります。
  • もっとも、すでに支払不能の状態で自己破産や個人再生を見据えている場合、特定の債権者だけへの優先返済は、偏頗弁済・否認・免責不許可、再生手続上の問題になる可能性があります。
  • 保証人や親族へだけ返済することも、同様に問題になる可能性があります。
  • 「保証人付きだけ払えば問題ない」とは言えません。自己判断で返済や財産移転をせず、手続選択と一体で検討することが大切です。

借金の種類別に確認すべきこと

保証関係や注意点は、借金の種類によって異なります。契約名だけで判断せず、保証契約書・金銭消費貸借契約書・保証委託契約書・債権者からの書類を確認することが重要です。

借金の種類 よくある保証関係 確認資料 注意点
奨学金 人的保証(連帯保証人・保証人)または機関保証 奨学金関係書類、返還誓約書の控え 人的保証では本人延滞時に連帯保証人・保証人へ請求が及ぶことがある
住宅ローン 保証会社、連帯債務者、ペアローン、物上保証 住宅ローン契約書、登記事項証明書 自宅処分や保証人・連帯債務者への影響を要確認
自動車ローン 保証会社、所有権留保、保証人 自動車ローン契約書、車検証、残債証明 車両の引き上げや保証人への請求が問題になることがある
事業借入 経営者(代表者)保証、第三者保証、物上保証 事業借入契約書、保証契約書、決算書 法人と個人保証を一体で検討する必要がある
信用保証協会付き借入 信用保証協会の保証、経営者保証 信用保証関係書類 代位弁済後の協会からの求償が問題になる
賃貸借契約 連帯保証人、家賃保証会社(個人根保証) 賃貸借契約書、保証会社の通知 滞納時に保証人・保証会社へ請求が及ぶことがある
教育ローン 連帯保証人、保証会社 教育ローン契約書 奨学金とは制度が異なる点に注意
親族・知人からの借入 個人間の貸借、保証人なしのことが多い 借用書、振込履歴 親族への優先返済は手続上問題になり得る
リース契約 連帯保証人、物件の所有権はリース会社 リース契約書 解約・残リース料・保証人への請求を要確認
保証会社付き契約 保証会社による代位弁済 保証委託契約書、代位弁済通知 債権者が保証会社へ移っても支払義務は残る

奨学金に保証人がいる場合の注意点

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、親族が保証する「人的保証」と、保証機関が保証する「機関保証」があり、仕組みが異なります。

  • 人的保証では、本人が延滞すると連帯保証人へ請求が及び、本人・連帯保証人ともに返還が難しい場合に保証人へ請求が及ぶ、という順序が説明されています。
  • 連帯保証人と保証人では責任の重さが異なり、保証人は分別の利益(頭数で分けた範囲に留める主張)を検討できる場合があります。
  • 機関保証では、親族の連帯保証人・保証人は不要ですが、保証機関が代位弁済した場合、その後に本人へ求償されることがあります。保証料を払っていても本人の返還義務はなくなりません。
  • 返還が難しい場合は、奨学金を債務整理に含める前に、減額返還・返還期限猶予などの制度を確認することが考えられます。
  • 奨学金を債務整理に含めるか、返還猶予制度を先に検討するかは、収入・延滞状況・保証人との関係・他の借金総額により異なります。最新の制度内容はJASSOの公式情報でご確認ください。

住宅ローン・自動車ローンに保証人がいる場合

住宅ローンや自動車ローンは、担保や保証関係が複雑になりやすく、整理方法の選択に大きく影響します。

  • 住宅ローンに保証会社・連帯債務者・物上保証人・保証会社が付いているかを確認します。ペアローンや連帯債務型の場合は、配偶者等の負担との関係を要確認です。
  • 住宅ローンを自己破産に含めると、自宅の処分や保証人・連帯債務者への請求が問題になる可能性があります。自宅を残したい場合、個人再生の住宅資金特別条項の利用を検討できることがありますが、利用には条件があります。
  • 自動車ローンでは、ローン会社・保証会社・所有権留保の有無を確認します。所有権留保がある場合、本人が債務整理をすると車両が引き上げられたり、保証人へ請求が及んだりすることがあります。
  • 車が通勤・通院・介護・事業に必要な場合、任意整理や個人再生、自由財産の拡張なども含めて比較検討します。

「住宅は必ず残せる」「保証人に影響しない」と言い切ることはできません。自己判断で特定のローンだけを払い続ける前に、手続全体への影響を確認することが大切です。費用面の見通しは弁護士費用を確認するもご参照ください。

事業借入・経営者保証がある場合

法人の借入に代表者個人が連帯保証しているなど、事業に関する保証は、影響が個人の生活と事業の双方に及びます。本記事では概要にとどめますが、次のような確認が必要です。

  • 法人の返済が難しくなると、代表者個人の保証債務に影響します。法人の破産・再生・私的整理と、代表者個人の破産・個人再生・任意整理を一体で検討する必要があります。
  • 経営者保証については、「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証債務の整理を検討できる場合があります。これは金融機関との私的整理であり、すべての対象債権者の同意が前提となります。
  • 同ガイドラインでは、破産の場合の自由財産に加えて一定の資産を残存資産として検討する余地があり、信用情報機関への登録の扱いが個人破産と異なるとされています。要件・効果は事案と金融機関の対応により異なります。
  • 信用保証協会付きの融資では、代位弁済後の協会からの求償が問題になります。個人事業の場合は、事業用借入・リース・買掛金・在庫・担保・保証のほか、税金・社会保険料・従業員給与・取引先への影響も確認します。

経営者保証は論点が多く、個別性が高い分野です。早い段階での確認が、選択肢を広げることにつながります。

保証契約の有効性・範囲で確認すること

保証契約の内容によって、誰が・どの範囲まで・どのような手続を経て責任を負うかが変わります。次の点を契約書で確認します。

  • 保証契約書(書面または電磁的記録)があるか。保証契約は書面でしなければ効力を生じないのが原則です(民法第446条第2項)。
  • 保証人本人が署名・押印しているか。連帯保証人か単純保証人か。
  • 保証する債務の範囲(元本・利息・遅延損害金・費用が含まれるか)。
  • 根保証契約(一定の範囲の不特定の債務をまとめて保証する契約)か。個人の根保証契約は、極度額(上限額)を定めなければ効力を生じないとされています(民法第465条の2)。賃貸借の保証などで問題になります。
  • 事業のために負担する貸金等債務について個人が保証する場合、契約締結前に公証人が保証意思を確認する保証意思宣明公正証書が必要とされ、これを欠くと保証契約が無効となる場合があります(民法第465条の6。一定の経営者等は例外)。契約締結時期が2020年(令和2年)4月1日の前後どちらかも確認します。

もっとも、「保証契約は簡単に無効にできる」というものではありません。有効性や範囲の判断には、契約書や締結の経緯の確認が必要です。

保証人に事前説明すべきタイミング

保証人がいる場合、いつ・どのように説明するかは悩ましい問題です。次のような場面が説明や対応を検討すべきタイミングになり得ます。

  • 延滞が始まる前、受任通知を出す前、自己破産・個人再生の申立て前。
  • 債権者から保証人へ請求が行きそうなとき、保証人自身の対応(分割交渉や保証人自身の債務整理)が必要になりそうなとき。
  • 説明の方法・時期は、関係性・緊急性・通知の有無・利益相反を踏まえて慎重に検討します。

なお、本人と保証人とは利益が対立する場合があります。同じ弁護士が本人と保証人の双方を相談・受任できるかは、利害対立の有無により異なります。場合によっては、保証人に別の弁護士への相談を勧めることが適切なこともあります。家族関係を損なわないためにも、請求の見込みや通知の時期を整理しておくことが重要です。

保証人が請求を受けた場合の対応

すでに保証人へ請求が来ている場合、保証人自身にも複数の選択肢があります。

  • まず、請求額・保証契約書・利息・遅延損害金・保証の範囲(極度額の有無など)を確認します。
  • 債権者へ分割払いを相談する、時効の可能性を確認する、といった対応が考えられます。
  • 保証人自身が支払えない場合は、保証人自身の任意整理・個人再生・自己破産を検討することがあります。事業の経営者保証であれば、経営者保証ガイドラインの活用を検討できる場合があります。
  • 保証人が支払った場合は、本人に対する求償権を、本人の破産・再生手続でどう扱うかを確認します。
  • 保証人にも財産・収入・家族・住宅・車・税金などの事情があり、個別の相談が必要です。

支払督促・訴訟・差押えへ進んだ場合の対応は、給料差押えの記事を見るもあわせてご確認ください。

債務整理前に避けたい対応

保証人への影響を心配するあまり、かえって手続を不利にしてしまう行動があります。次のような対応は、自己判断で行う前に弁護士に相談することをおすすめします。

  • 保証人付きの借金だけを自己判断で優先返済する、保証人や親族にだけ返済する。
  • 親族へ財産を移す、保証人名義で借り入れし直す、保証人に新たなローンやカードを組ませる。
  • 保証人に内緒で延滞を続ける、保証人に事実と異なる説明をする。
  • 債権者一覧表から保証人付き債務や保証人の将来求償権を漏らす、契約書を確認せずに手続を選ぶ。
  • 時効援用できると思い込んで支払いや債務の承認をする、公的な返済猶予制度を確認せずに放置する。

過度に不安になる必要はありませんが、自己判断で財産や返済を動かす前に相談することが、結果的に保証人への影響を見通しやすくします。

弁護士に相談するタイミング

次のような時点が、相談を検討するよいタイミングです。相談によって、保証人への影響・手続選択・通知や説明の時期・保証人自身の対応を整理できます。

  • 保証人付きの借金があると分かったとき、延滞する前、受任通知を出す前。
  • 任意整理・自己破産・個人再生のどれを選ぶか迷っているとき、保証人へ説明する前。
  • 保証人付き債務だけを返済しようとしているとき、保証人も返済が難しいとき。
  • 奨学金・住宅ローン・事業借入があるとき、法人の借入と経営者保証があるとき。
  • 保証人へ請求書・訴状・支払督促・差押命令が届いたとき。
  • 弁護士費用や法テラスの利用を確認したいとき。

費用面では、収入・資産が一定の基準以下の方を対象に、無料法律相談や弁護士費用の立替え(分割・無利息)を行う法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度があります。当所での法テラスの利用可否を含め、費用の見通しは弁護士費用を確認するでご確認ください。

相談前に準備したい資料

次の資料があると、保証人への影響や手続選択の検討がスムーズになります。すべてそろっていなくても相談できる場合がありますので、まずは手元にあるものをお持ちください。

区分 主な資料
借入・保証関係 借入先・債権者の一覧、保証人がいる借金の一覧、金銭消費貸借契約書、保証契約書・連帯保証契約書、保証委託契約書、各種ローン契約書
種類別の契約書 奨学金関係書類、住宅ローン契約書、自動車ローン契約書、賃貸借契約書、事業借入契約書、信用保証協会・経営者保証の関係書類
請求・通知関係 保証会社からの通知、代位弁済通知、請求書・督促状、期限の利益喪失通知、保証人への請求書、保証人とのやり取りのメモ
裁判手続関係 支払督促、訴状、判決・和解調書、差押命令
本人の収入・財産 通帳・入出金履歴、給与明細、源泉徴収票、確定申告書、家計収支表、財産目録、住宅・自動車・保険・退職金の資料
事業関係(該当者) 決算書、帳簿、資金繰り表、税金・社会保険料の資料
その他 奨学金の返還猶予・減額返還の申請資料、住宅ローンの返済方法変更資料、保証人の支払能力に関する資料、本人確認資料

よくある質問

保証人がいる借金を自己破産すると、保証人に請求されますか?

本人が免責を受けても、債権者が保証人に対して持つ権利は当然には消えないとされており、保証人へ残額が請求される可能性があります。請求の有無・時期・分割の可否は債権者の対応により異なります。

個人再生をすれば、保証人の支払いも減額されますか?

いいえ。再生計画は保証人に対する債権者の権利には影響しないとされており、保証人の責任は当然には減りません。本人の返済額の圧縮と保証人への請求は別に考える必要があります。

任意整理なら保証人に迷惑をかけずに済みますか?

任意整理では対象とする債権者を選べる場合があり、保証人付き債務を外して支払いを続けられる可能性があります。ただし支払いを継続できるか、将来の破産・再生で問題にならないかの確認が必要で、必ず避けられると言い切れるものではありません。

保証人付きの借金だけ支払い続けてもよいですか?

任意整理では検討できる場合がありますが、すでに支払不能で破産・再生を見据えている場合は、偏頗弁済として後で問題になる可能性があります。自己判断で返済する前に、手続選択と一体で検討することをおすすめします。

保証人に知られずに債務整理できますか?

手続や債権者の対応により、保証人へ請求や通知が及び、結果として知られる場合があります。「絶対に知られない」とは言えません。いつ・どのように説明するかを含めて事前に整理することが重要です。

奨学金を債務整理すると、親の連帯保証人に請求されますか?

人的保証の場合、本人が延滞すると連帯保証人へ請求が及び、本人・連帯保証人ともに難しい場合に保証人へ請求が及ぶと説明されています。債務整理に含める前に、減額返還・返還期限猶予などの制度の確認も検討されます。

保証人が支払った場合、本人に請求されますか?

保証人が立て替えて支払うと、保証人は本人に対して立替分の返還を求める求償権を持つことがあります。本人の破産・再生手続では、この将来の求償権の扱いを確認する必要があります。

連帯保証人と連帯債務者は違いますか?

違います。連帯保証人は本人の債務を保証する立場、連帯債務者は本人と同じく借りた当事者の立場です。いずれも責任は重くなりますが、求償や手続上の扱いが異なるため、契約書での確認が必要です。

まとめ

  • 保証人付きの借金は、本人だけでなく保証人への請求・通知・求償まで含めて確認します。
  • 任意整理・自己破産・個人再生で保証人への影響は異なり、本人の免責や返済額の圧縮は当然には保証人に及びません。
  • 保証人付き債務だけの優先返済、親族返済、財産移転は慎重に検討します。
  • 奨学金・住宅ローン・自動車ローン・事業借入では、確認すべき制度と資料が異なります。
  • 契約書・請求書・保証人情報を整理し、資料を準備して相談することが、見通しを立てる近道です。
  • 事案により結論は異なります。自己判断で手続や返済を進めず、まずは確認することをおすすめします。

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監修・執筆弁護士

神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所)では、借金問題(債務整理)・相続・交通事故・企業法務などを取り扱っています。代表弁護士は弁護士・公認会計士の資格を有し、財務・税務の観点も踏まえた検討を行っています。

弁護士氏名:藤井貴之/所属弁護士会:兵庫県弁護士会/資格:弁護士・公認会計士/取扱分野:借金問題(債務整理)、相続、交通事故、企業法務 ほか

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