交通事故で大腿骨を骨折し、手術のあとに「骨がまだ付いていない」「偽関節かもしれない」と説明され、不安を抱えたまま過ごしておられる方は少なくありません。荷重をかけると痛む、松葉杖が手放せない、骨移植や再固定の手術を勧められた、その一方で保険会社からは治療費対応の終了や症状固定を打診されている。医学的な判断と賠償上の判断が同時に押し寄せ、何から手を付けるべきか分かりにくくなる場面です。
この記事では、交通事故による大腿骨骨幹部骨折に絞って、遷延癒合と偽関節(ゆ合不全)の違い、後遺障害等級の第7級10号と第8級9号がどこで分かれるのか、再手術が検討されている段階で症状固定・申請・示談をどの順序で考えるのか、申請前に確保したい資料と損害項目を整理します。第7級と第8級の分岐は、痛みの強さや手術の回数だけで決まるものではなく、ゆ合不全の部位と状態、常時の硬性補装具の必要性を示す資料によって検討されます。再手術の要否は主治医が判断する事項であり、申請や示談の時期は治療計画と資料を確認したうえで検討する必要があります。
再手術の話が出ている段階で症状固定や示談を打診され、判断に迷っておられる場合は、書面と資料を確認したうえで手続の順序を整理することができます。
先に押さえておきたい五つの結論
- 遷延癒合と偽関節は同じではありません。骨癒合に時間がかかっている状態と、癒合の機転が止まったとされる状態は区別して評価されます。
- 第7級10号と第8級9号を分けるのは、常時の硬性補装具の必要性です。杖や松葉杖を使っていることと、硬性補装具が常に必要と認められることは別の事柄です。
- 再手術の予定があるからといって、常に症状固定前だとも、常に申請できるとも言えません。その手術が骨癒合を得るためのものか、骨癒合後の抜釘等かで検討が変わります。
- 先に確保したいのは、時系列のX線・CT、手術記録、装具の処方資料です。症状固定後に取り寄せようとすると、記載の補充が難しくなることがあります。
- 示談前に、将来の手術費や休業の見込みが損害項目に入っているかを確認してください。示談書の清算条項により、後日の追加請求が制限されることがあります。
大腿骨骨幹部骨折と、他の大腿骨骨折の違い
日本整形外傷学会の一般向け解説によれば、大腿骨骨幹部とは大腿骨の中央部分を指します。成人では、交通事故や高所からの転落など非常に強い外力が直接加わることで骨折するとされ、骨折部が大きくずれて明らかな変形がみられ、足が外側に向き短縮していることが多く、歩行は困難となる、と説明されています。治療は、大腿骨内に芯棒を挿入し上下を数本のネジで固定する髄内釘が標準的な方法とされています。
同学会は、骨幹部について「血流が豊富で骨癒合は比較的容易ですが、癒合が遅れる場合があります。超音波骨折治療を併用したり、癒合を促進する手術を行うこともあります」と説明しています。後遺障害の等級認定で問題になるのは、この骨癒合が得られないまま症状が固定した場合です。
検索して見つかる「大腿骨骨折」の情報の多くは、高齢者に多い大腿骨頚部骨折や転子部骨折(大腿骨近位部骨折)の解説です。大腿骨骨幹部骨折は、これらとは受傷の仕方も治療も異なる別の傷病です。頚部・転子部・転子下・遠位部の骨折や人工関節周囲骨折の情報を、骨幹部骨折にそのまま当てはめることはできません。
遷延癒合・偽関節(ゆ合不全)・変形治癒は別の状態です
| 状態 | おおまかな内容 | 評価上の位置付け |
|---|---|---|
| 遷延癒合 | 骨癒合に通常より時間がかかっているが、癒合が進む余地が残っているとされる状態 | 治療継続中の状態として扱われることが多く、この一事で偽関節の等級に該当するとは言えません |
| 偽関節(ゆ合不全) | 骨片の間の癒合機転が止まり、異常可動を示すとされる状態 | 部位と状態により、第7級10号又は第8級9号として検討される場面です |
| 変形治癒 | 骨はつながったが、屈曲や回旋などの変形を残して癒合した状態 | 長管骨の変形障害(第12級8号)として検討される場面です |
「半年たっても痛みが続く」「画像に骨折線が残っている」「再手術を勧められた」という事情だけで、法律上の偽関節に当たると判断することはできません。診断名、骨折の部位、時系列の画像所見、異常可動の有無、骨癒合の推移、固定性、医師の所見を確認したうえで検討する必要があります。
「異常可動」をご自身で確かめようとしないでください。患肢に荷重をかけたり骨折した部分を動かす行為は危険です。異常可動の有無は、医師の診察、時系列の画像、固定性の評価によって確認される事項です。なお、体内の固定材が動きを抑えているために診察の場で異常可動がはっきりしないこともあり、その一事でゆ合不全が否定されるとは限りません。
第7級10号と第8級9号は何によって分かれるか
認定基準上の区分
自賠責保険の後遺障害等級は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第一・別表第二に定められています。他方、国土交通省・金融庁の支払基準は「等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。」と定めています。そのため具体的な評価にあたっては、厚生労働省が労災について定める障害等級認定基準(「せき柱及びその他の体幹骨、上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準について」)の内容が参照されます。
| 確認項目 | 第7級10号 | 第8級9号 |
|---|---|---|
| 障害の内容 | 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの | 1下肢に偽関節を残すもの |
| 大腿骨との関係 | 骨幹部等にゆ合不全を残すもので、常に硬性補装具を必要とするもの | 骨幹部等にゆ合不全を残すもので、第7級に当たらないもの |
| 分岐点 | 常時の硬性補装具の必要性が認められること | ゆ合不全は認められるが、常時の必要性までは認められないこと |
| 誤解しやすい点 | 手術の回数や痛みの強さで決まるものではありません | 装具が全く不要な場合に限られる区分ではありません |
| 主な確認資料 | 時系列のX線・CT、読影レポート、手術記録、後遺障害診断書、硬性補装具の処方箋・装具意見書・製作費の資料、荷重制限と歩行状況の記録 | |
認定基準は「骨幹部又は骨幹端部」を「骨幹部等」と定義しており、骨端部のゆ合不全はこの区分ではなく別の項目で検討されます。診断書に「大腿骨骨折」とだけ記載されていることをもって直ちに第7級・第8級の対象と判断することはできず、画像、手術記録、医師の所見で部位を特定する必要があります。
労災の障害等級認定基準に記載された号数と、自賠責保険の別表第二の号数は、項目によって一致しません。認定基準の号数をそのまま自賠責の号数として読み替えることはできませんので、個別の事案では等級表と認定基準の双方を確認する必要があります。
「常に硬性補装具を必要とするもの」の意味と、よくある誤解
- 杖・松葉杖・歩行器・軟性サポーターは、硬性補装具とは異なります。歩行の補助のために杖を使うことと、患肢を支持するために硬性補装具が常に必要と認められることは別の事柄です。
- 本人が装具を使用している事実だけでは足りません。処方の有無と時期、装着の指示内容、実際の使用状況に加えて、なぜ常時の装着が必要なのかという医学的な理由が確認されます。
- 髄内釘・プレート・スクリューは、認定基準上の硬性補装具そのものではありません。ただし体内の固定によって患肢の支持性がどの程度保たれているかは障害の状態の評価に関係し得ます。
- 診断書に「偽関節」と書かれれば自動的に認定される、というものでもありません。診断名の記載だけでなく、部位、画像所見、骨癒合の推移、固定性が確認されます。
なお、ここでいう「著しい運動障害」は、関節の可動域を評価する機能障害の「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは別の概念です。混同しないようご注意ください。
後遺障害診断書や画像が、どの区分の検討に必要な情報を含んでいるかは、資料を確認しなければ判断できません。申請前に確認しておくことで、不足している記録を早い段階で把握できます。
第12級8号(長管骨の変形)との境界
骨がつながったものの変形を残した場合や、骨端部にゆ合不全が残った場合には、長管骨の変形障害(第12級8号)の検討対象になり得ます。認定基準は下肢について、大腿骨又は脛骨に15度以上屈曲して不正ゆ合した変形を残すもの、大腿骨若しくは脛骨の骨端部にゆ合不全を残すもの又は腓骨の骨幹部等にゆ合不全を残すもの、骨端部のほとんどを欠損したもの、直径が3分の2以下に減少したもの、大腿骨が外旋45度以上又は内旋30度以上回旋変形ゆ合しているものといった項目を挙げています。
骨幹部等のゆ合不全について第7級又は第8級が認定されなかったからといって、当然に第12級8号へ振り替えられるわけではありません。第12級8号を検討する場合は、骨端部のゆ合不全、屈曲変形、回旋変形、骨欠損、骨径の減少といった項目を、それぞれ独立に確認する必要があります。骨折後の変形障害全般は骨折後に残る変形障害と後遺障害等級の考え方を確認するで整理しています。
再手術が予定・検討されている場合の症状固定と示談
「再手術の見通し」という言葉は、手術が成功するかどうかの予測を意味しません。整理すべきなのは、いまどの場面にいるのかと、その場面で何を確認しておくべきかです。
| 場面 | 主治医に確認したいこと | 保険会社へ回答する前に確認したいこと |
|---|---|---|
| 提案され、時期も決まっている | 手術の目的(骨癒合を得るためか否か)、術式、入院期間と荷重開始時期 | 治療費対応の継続、休業損害の見込み、症状固定の検討を手術後に置くか |
| 可能性は説明されたが未確定 | いつの時点で適応を判断するのか、判断の材料は何か | 未確定であることを前提に、症状固定日を先に決めてよいか |
| 行わず経過観察の方針 | 経過観察とする理由、今後の見通し、装具と荷重の指示 | 現状の症状と機能が診断書に反映されているか |
| 再手術後で経過を観察中 | 骨癒合の評価、固定性、追加治療の要否 | 症状固定の時期、追加の休業損害と通院費 |
| 骨癒合後の抜釘だけが予定 | 抜釘の時期と必要性、抜釘後に想定される症状 | 費用と入院期間を、将来治療費と現在の治療費のいずれで扱うか |
| 症状固定後に将来の手術があり得る | 必要となり得る手術の内容、時期の見込み、費用の概算 | 示談書の内容と清算条項、将来手術費の取扱い |
骨癒合を得るための再手術と、抜釘は分けて考えます
同じ「再手術」でも、骨癒合を得るための再固定や骨移植と、骨癒合が得られた後に行う抜釘・金属固定材の除去とでは、治療上の意味も症状固定の検討における位置付けも異なります。認定基準には、骨折部にキュンチャーを装着し、あるいは金属釘を用いたため、それが機能障害の原因となる場合には、当該キュンチャー等の除去を待って等級の認定を行うこととする定めがありますが、これは金属が機能障害の原因となっている場合の取扱いです。すべての事案について「抜釘前は症状固定にも等級認定にも進めない」と一般化することはできません。
治療費対応の終了と、医学上の症状固定は同じではありません
保険会社による一括対応の終了は支払方針の変更であり、医学上の治療の終了や症状固定と同じ意味ではありません。症状固定については医師の医学的判断が重要な基礎となりますが、診断書に記載された日付や保険会社が提示した日付だけで、損害賠償上の症状固定日が常に確定するわけではありません。詳しくは治療費対応の終了を打診されたときの対応を確認する、症状固定と言われたときに確認したいことを見るをご覧ください。
再手術を受けるかどうかは、賠償上有利かどうかではなく、主治医との十分な相談を前提に決めるべき事柄です。手術を受けない選択について、「拒めば認定上不利になる」とも「拒んでも賠償に影響しない」とも言い切ることはできません。説明を受けた目的、期待される効果、危険性、代替手段、受けないと判断した理由を記録に残し、治療上の判断と損害賠償上の評価を分けて検討してください。
後遺障害の申請に向けて確保したい資料
資料は、何を証明する資料なのかと結び付けて整理すると、不足が見えやすくなります。
| 資料 | 確認できる事項 |
|---|---|
| 事故直後・手術前後・経過観察中・再手術前後・症状固定時のX線、CT、画像データ、読影レポート | 骨折の部位、骨癒合の推移、固定材の位置、変形や骨欠損の有無 |
| 診断書、後遺障害診断書、診療録、診療報酬明細書 | 傷病名、治療経過、症状固定日、残存症状の記載 |
| 手術記録、退院時サマリー、診療情報提供書、インプラント情報 | 術式、固定方法、術中所見、再手術に至る経緯 |
| 硬性補装具の処方箋、装具意見書、製作費の資料、装着指示と使用状況 | 装具の必要性、装着の頻度、常時装着とされる医学的理由 |
| 荷重制限、歩行補助具、リハビリ、可動域、筋力、脚長差の記録 | 運動障害の程度と経過 |
| 痛み、歩行、階段、立位、運転、家事への影響の時系列記録と、職務内容・欠勤・収入減の資料 | 日常生活上の支障、就労への影響、休業損害・逸失利益の基礎 |
| 治療費打切り通知、症状固定の打診書面、示談提示書、交通事故証明書 | 保険会社の対応経過と提示内容、事故の事実関係 |
X線、CT、MRIのいずれが必要かは、骨折の部位、固定材料、既存の画像、医学的必要性によって異なります。申請のために新たな検査を受けるべきかどうかは主治医が判断する事項であり、自賠責へ画像資料を提出する必要性と、新たな検査を実施する医学的必要性は別の問題です。また、医師に特定の診断名や等級の要件を書いてもらうよう求めるのではなく、実際の診察結果と医学的判断が正確に記載されているかを確認するという姿勢が基本になります。詳しくは後遺障害診断書の作成前に確認したい資料と画像検査の注意点を見る、後遺障害の証拠の集め方を確認するをご覧ください。
あわせて検討する後遺障害と損害項目
大腿骨骨幹部骨折では、ゆ合不全のほかに、股関節や膝関節の可動域制限(機能障害)、疼痛やしびれ(神経症状)、脚長差(下肢短縮障害)、手術痕が問題になることがあります。もっとも、同じ骨折から生じたこれらの症状が、常に別個に評価されて単純に併合されるとは限りません。通常派生する関係にあるとされる場合の取扱いや、同一系列・別系列の区別、準用の可否は、資料に基づく個別の検討を要します。
脚長差については下肢短縮障害の等級と測定方法を確認するで整理しています(認定基準は、上前腸骨棘と下腿内果下端間の長さを健側と比較するとしています)。大腿部の手術痕については、下肢の醜状障害として評価される「露出面」の範囲が問題になるため、当然に別の等級として評価されるわけではありません。
損害の面では、治療費・再手術費・入院費・リハビリ費、装具費・通院交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、将来治療費・将来手術費が問題になり得ます。等級だけで賠償の総額が決まるわけではありません。金額を検討する際は、①自賠責保険の等級別の支払限度額、②自賠責保険の支払基準に定められた後遺障害慰謝料等の額、③民事上の損害賠償として検討される損害を区別してください。自賠責保険の限度額は、慰謝料の額でも最終的な受取額でもありません。
将来手術費を検討する場合
症状固定後の治療費や将来の手術費が、当然に全額認められるわけではありません。必要性、相当性、蓋然性、事故との因果関係、実施の時期、内容、金額の裏付けが問題になります。検討の材料としては、医師の意見書、診療情報提供書、治療計画、費用の見積り、手術・入院の予定、想定される休業期間の資料が考えられます。
また、示談が成立すると、清算条項により後日の追加請求が制限される可能性があります。将来手術費を金額として織り込む方法や、一定の費目を留保する条項を設ける方法も検討の対象となりますが、いずれも相手方の同意と文言の設計が必要であり、必ず実現できるものではありません。既に確定した損害、将来発生し得る損害、後遺障害による損害を二重に計上しないよう整理することも必要です。示談成立後の考え方は示談後に症状や後遺障害が判明した場合の考え方を確認するで解説しています。
手続の前に確認したいチェックリスト
症状固定の打診を受けたとき
- 骨癒合の現在の評価について、主治医の説明を受けているか
- 再手術の提案や可能性の説明があるか、あるとして目的と時期はどうか
- 治療費対応の終了と症状固定を、同じものとして受け取っていないか
- 症状固定日を先に決める必要が本当にあるのか、確認したか
後遺障害診断書を作成する前
- 骨折の部位が、骨幹部・骨幹端部・骨端部のいずれかとして特定できる資料があるか
- 時系列のX線・CTが揃っており、骨癒合の推移を追えるか
- 硬性補装具を使用している場合、処方の資料と装着の指示が残っているか
- 可動域、筋力、脚長差、疼痛の部位と程度が診察で確認されているか
- 実際の診察結果と医学的判断が正確に記載されているか
後遺障害の申請をする前
- 画像データ、手術記録、装具資料など、提出できる資料が揃っているか
- 被害者請求と、任意保険会社を通じた手続のいずれによるかを検討したか
- 期限を確認したか(自賠責保険への後遺障害に関する被害者請求は、症状固定日の翌日から3年以内とされています)
- 就労や日常生活への影響を示す資料を用意しているか
示談書へ署名する前
- 将来の手術や治療の可能性が、損害項目として検討されているか
- 清算条項の文言と、その効果を理解しているか
- 休業損害、逸失利益、装具費、通院交通費の計上漏れがないか
- 後遺障害の等級と、その前提となる資料の内容を確認したか
- 時効までの残り期間を確認したか
期限は、請求の相手方と根拠によって異なります。自賠責保険への被害者請求、加害者に対する不法行為に基づく損害賠償請求、任意保険会社への保険金請求、自賠責保険・共済紛争処理機構への申請は、それぞれ請求先も起算点も異なります。事故日や請求の経過によって扱いが変わるため、個別の確認が必要です。
弁護士に相談するタイミング
ご相談によって等級が保証されるものではありませんが、資料を確認することで次のような点を整理できます。
- 治療計画と法的手続の順序(症状固定・後遺障害申請・示談をどの順で検討するか)
- 等級該当性を検討するうえで、現時点で不足している資料
- 硬性補装具の必要性を示す資料が揃っているかどうか
- 将来手術費や休業損害を含め、検討すべき損害項目の抜け漏れ
- 示談書の条項、特に清算条項の内容とその効果
再手術の要否や術式は主治医が判断する事項であり、弁護士が医療上の判断に立ち入ることはありません。相談では、医学的な判断を前提として、賠償上の手続と資料を整理します。
画像、診断書、手術記録、装具の資料、保険会社からの書面をご用意いただければ、現時点で確認できる点と、これから確保しておきたい記録を整理することができます。当事務所では、交通事故に関する初回のご相談を無料でお受けしています(事前予約制)。
よくあるご質問
骨癒合が遅いだけで第8級9号になりますか。
遷延癒合と、認定基準がいう「ゆ合不全」は同じではありません。骨癒合に時間がかかっている段階では治療の継続が検討される場面であることが多く、この一事で等級が決まるわけではありません。時系列の画像、骨癒合の推移、固定性、医師の所見を確認する必要があります。
第7級10号と第8級9号は何で分かれますか。
認定基準は、大腿骨の骨幹部等にゆ合不全を残し常に硬性補装具を必要とするものを第7級に、それに当たらないゆ合不全を第8級に区分しています。分岐点は常時の硬性補装具の必要性であり、痛みの強さや手術の回数ではありません。
杖や松葉杖が必要なら第7級ですか。
杖や松葉杖は、認定基準にいう硬性補装具とは異なります。硬性補装具の処方の有無、装着の指示、実際の使用状況に加えて、常時の装着が必要とされる医学的な理由が確認されます。
再手術を受ける前に症状固定としてよいですか。
一律には決まりません。予定されている手術が骨癒合を得るためのものか、骨癒合後の抜釘等かによって検討が変わります。症状固定は医師の医学的判断が重要な基礎となりますが、損害賠償上の評価は治療経過と資料を踏まえた検討を要します。
再手術を受けないと後遺障害は認定されませんか。
手術を受けないことが直ちに認定を妨げるとは言えず、賠償上まったく影響しないとも言えません。治療方針は主治医と相談して決める事柄です。そのうえで、説明を受けた目的、期待される効果、危険性、代替手段、受けないと判断した理由を記録に残しておくことをおすすめします。
再手術で骨が付いたら、偽関節の等級は認定されませんか。
後遺障害は、症状固定の時点で残っている障害を対象に検討されます。骨癒合が得られた場合、ゆ合不全としての評価は難しくなりますが、変形、可動域制限、脚長差、神経症状など別の障害が残っていないかを個別に確認する必要があります。
将来の再手術費は請求できますか。
請求を検討できる場合がありますが、当然に全額が認められるわけではありません。必要性、相当性、蓋然性、事故との因果関係、時期、内容、金額の裏付けが問題になります。医師の意見書、治療計画、費用の見積りなどの資料を確認したうえで判断する必要があります。
痛みや脚長差も別に評価されますか。
別に評価される場合もありますが、同じ骨折から生じた症状が常に別個に併合されるとは限りません。通常派生する関係にあるとされる場合の取扱いなどがあり、資料に基づく個別の検討が必要です。
まとめ
- 大腿骨骨幹部骨折は、高齢者に多い頚部・転子部骨折とは別の傷病です。調べる際は部位を確認してください。
- 遷延癒合、偽関節(ゆ合不全)、変形治癒は別の状態であり、検討される等級の区分も異なります。
- 第7級10号と第8級9号を分けるのは、常時の硬性補装具の必要性です。杖の使用、痛みの強さ、手術の回数では決まりません。
- 再手術の目的が骨癒合を得るためのものか、骨癒合後の抜釘等かによって、症状固定と申請の検討は変わります。
- 時系列のX線・CT、手術記録、装具の処方資料は、早い段階で確保しておくことをおすすめします。
- 示談書へ署名する前に、将来手術費を含む損害項目と清算条項を確認してください。
監修者
神戸みらい法律会計事務所 代表弁護士・公認会計士 藤井 貴之
兵庫県弁護士会所属/日本公認会計士協会兵庫会所属
交通事故の後遺障害について、診断書、画像、手術記録、装具の資料、保険会社からの書面を確認したうえで、等級の検討、症状固定と申請の時期、示談条項の確認に対応しています。休業損害や逸失利益で収入資料の分析が必要な場合には、公認会計士としての実務も踏まえて検討します。
参考資料
この記事は一般的な解説です。実際の結論は、受傷した部位、治療経過、画像所見、硬性補装具の必要性、症状固定の時期、事故の状況、既往症、そろえられた資料によって異なります。治療に関する判断は主治医とご相談ください。

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