後遺障害慰謝料は等級でどう変わる?基準別の考え方を解説 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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後遺障害慰謝料は等級でどう変わる?基準別の考え方を解説

交通事故でけがの治療を続けても、痛みやしびれ、関節の動かしにくさ、見た目の変化などの症状が残ってしまうことがあります。こうした症状について後遺障害等級が認定されると、加害者側の保険会社から、後遺障害慰謝料を含む示談金が提示されます。しかし、その金額がどの基準で計算されているのか、認定された等級に見合った内容なのかは、提示書を見ただけでは判断しにくいものです。

後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級と、計算に用いる基準によって目安が変わります。この記事では、後遺障害慰謝料の基本的な考え方、等級による違い、自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準(弁護士基準)の関係、示談前に確認しておきたい資料、弁護士に相談するタイミングを、交通事故の被害に遭われたご本人やご家族に向けて整理します。

結論として、後遺障害慰謝料は「等級が重いほど目安は高くなる」一方で、「同じ等級でも個別事情により最終的な金額は変わる」点に注意が必要です。まずは、お手元の示談提示書や認定資料を確認し、押さえるべきポイントを整理することをおすすめします。

後遺障害等級認定票や保険会社の示談提示書をお手元にご用意のうえご相談いただくと、損害項目の整理や今後の対応方針の検討がしやすくなります。

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後遺障害慰謝料の結論と最初に確認したいこと

はじめに、本記事の要点を整理します。後遺障害慰謝料を考えるうえでは、慰謝料の金額そのものだけでなく、他の損害項目や前提となる資料もあわせて確認することが大切です。

本記事の要点

  • 後遺障害慰謝料は、認定された等級と用いる基準によって目安が変わります。
  • 自賠責基準と裁判基準(弁護士基準)では、考え方や金額の水準が異なります。
  • 自賠責の「後遺障害による損害の支払限度額」と「後遺障害慰謝料」は別物です。
  • 慰謝料だけでなく、後遺障害逸失利益、過失割合、既払金もあわせて確認する必要があります。
  • 示談書に署名する前に、認定資料や提示額を確認することをおすすめします。

後遺障害慰謝料とは(傷害慰謝料・逸失利益との違い)

後遺障害慰謝料を正しく理解するには、交通事故で生じる損害の中での位置づけを押さえることが出発点になります。似た名称の損害項目があり、混同されやすいため、まず違いを整理します。

後遺障害慰謝料の位置づけ

後遺障害慰謝料とは、交通事故によって後遺障害が残ったこと自体による精神的苦痛に対する賠償です。けがが治りきらず、一定の症状が将来にわたって残ると見込まれる状態について、後遺障害等級が認定された場合に問題となります。

傷害慰謝料(入通院慰謝料)との違い

傷害慰謝料(入通院慰謝料)は、事故によるけがの治療期間中に受けた精神的苦痛に対する賠償です。治療中の苦痛に対するものであり、治療が終わった後に残った後遺障害に対する後遺障害慰謝料とは、別の損害項目として扱われます。両方が問題となる場合、それぞれ別個に検討します。

後遺障害逸失利益との違い

後遺障害逸失利益は、後遺障害によって労働能力が低下し、将来の収入が減少すると見込まれることに対する賠償です。精神的苦痛に対する後遺障害慰謝料とは目的が異なり、これも別の損害項目です。後遺障害が認定された場合、慰謝料と逸失利益の双方が問題となることが多く、示談の際にはどちらも確認することが重要です。

後遺障害等級認定の流れ(症状固定・診断書・被害者請求と事前認定)

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級が認定されてはじめて問題になります。一般的な流れは次のとおりです。治療を続けても症状の改善が見込めなくなった状態を「症状固定」といい、その時点の状態を医師が後遺障害診断書に記載します。この診断書などをもとに、損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)で等級の審査が行われます。

等級認定の申請方法には、被害者側が必要書類を集めて自ら請求する「被害者請求」と、加害者側の任意保険会社を通じて手続を進める「事前認定」があります。どちらの方法を選ぶかによって、提出資料や進め方が変わることがあります。後遺障害診断書の内容は等級認定に影響するため、作成前後に資料を確認しておくことが望まれます。

後遺障害診断書の作成前に確認したい資料や、診断書の役割については、関連記事もあわせてご覧ください。

後遺障害診断書の作成前に確認したい資料を見る

等級によって後遺障害慰謝料が変わる理由

後遺障害慰謝料の目安が等級によって変わるのは、後遺障害等級が、残った障害の内容や程度に応じて段階的に定められているためです。

後遺障害等級の全体像

後遺障害等級は、症状の重さに応じて区分されています。自動車損害賠償保障法施行令では、介護を要する重い後遺障害について定めた別表第一(第1級・第2級)と、それ以外の後遺障害について第1級から第14級までを定めた別表第二があります。一般に、等級が重くなるほど後遺障害慰謝料の目安は高くなります。

たとえば、むちうち後の局部的な神経症状などは比較的軽い等級で問題となることが多く、四肢の欠損や高次脳機能障害など重い障害は上位等級で問題となります。ただし、症状が残っていることと、後遺障害等級が認定されることは同じではなく、医学的な所見や検査結果などをふまえて審査されます。

同じ等級でも最終的な金額が変わる要素

同じ等級であっても、最終的な賠償額は次のような要素によって変わり得ます。慰謝料の目安はあくまで出発点であり、個別事情により結論は異なります。

  • 事故の状況や態様
  • 既存の障害(既往症)の有無や程度
  • 過失割合(被害者側にも過失があるか)
  • 素因(事故前からの身体的・心理的要因)による減額の主張の有無
  • 将来の介護の要否
  • 症状を裏づける検査結果や記録などの証拠関係

三つの基準(自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準/弁護士基準)

後遺障害慰謝料を含む損害賠償額の計算には、立場によって用いられる基準が異なります。代表的な三つの基準を整理します。

基準 主な位置づけ 水準の考え方
自賠責基準 交通事故被害者への基本的な補償を確保するための基準。支払基準が告示で定められている 法令・告示で定められた水準
任意保険会社基準 各任意保険会社が独自に定める社内基準。一般に詳細は公開されていない 保険会社や事案により異なる
裁判基準/弁護士基準 過去の裁判例の蓄積をふまえ、実務上参照される基準としてまとめられているもの 自賠責基準とは考え方・水準が異なる

自賠責基準

自賠責基準は、自賠責保険による基本的な補償を前提とした基準で、後遺障害慰謝料を含む支払基準が告示で定められています。法令上の基準であるため、金額が明確である一方、被害者に生じた損害のすべてを当然にカバーするものとは限りません。

任意保険会社基準

任意保険会社基準は、各保険会社が独自に定める社内基準で、その詳細は一般に公開されていません。保険会社から示談金が提示された場合、その金額がどの基準を前提に計算されているのかを、提示書や計算書で確認することが重要です。

裁判基準/弁護士基準

裁判基準(弁護士基準)は、過去の裁判例の蓄積をふまえ、裁判実務上参照される基準としてまとめられているものです。具体的な金額は実務資料に基づき、事故日や認定等級、最新の基準などによって確認する必要があります。弁護士に依頼すれば必ず金額が上がるというものではなく、最終的な結論は資料の内容や個別事情により異なります。

提示額がどの基準かを確認する重要性

保険会社の提示額がどの基準に近いのかを確認することで、提示内容を見直す余地があるかどうかを検討しやすくなります。提示額のみで判断せず、計算の前提を確認することが、後悔のない示談につながります。

自賠責の「支払限度額」と「後遺障害慰謝料」は別物です

ここは特に誤解が生じやすい点です。自賠責保険における「後遺障害による損害の支払限度額」と、「後遺障害慰謝料の金額」は別のものです。

混同しやすいポイント

支払限度額は、逸失利益や慰謝料などを含めた「後遺障害による損害全体」に対する自賠責保険の上限額です。これに対して後遺障害慰謝料は、その損害の中の一項目にすぎません。たとえば第14級では、後遺障害による損害の支払限度額が75万円であるのに対し、後遺障害慰謝料(自賠責基準)は32万円です。限度額と慰謝料額を同じものと考えると、損害の全体像を見誤るおそれがあります。

後遺障害等級 後遺障害による損害の支払限度額(自賠責) 後遺障害慰謝料(自賠責基準)
別表第二 第1級 3,000万円 1,150万円
別表第二 第7級 1,051万円 419万円
別表第二 第12級 224万円 94万円
別表第二 第14級 75万円 32万円

このように、支払限度額の中で、逸失利益・慰謝料・その他の費用が支払われます。慰謝料の額だけを見るのではなく、後遺障害による損害全体の中での位置づけを確認することが大切です。

自賠責基準の後遺障害慰謝料額(等級別)

自賠責基準による後遺障害慰謝料の額は、支払基準(告示)で等級ごとに定められています。以下は、令和2年4月1日以降に発生した事故に適用される金額です。事故日が令和2年4月1日より前の場合は、異なる基準が適用される点にご注意ください。

別表第二(介護を要しない後遺障害)

等級 後遺障害慰謝料(自賠責基準)
第1級 1,150万円
第2級 998万円
第3級 861万円
第4級 737万円
第5級 618万円
第6級 512万円
第7級 419万円
第8級 331万円
第9級 249万円
第10級 190万円
第11級 136万円
第12級 94万円
第13級 57万円
第14級 32万円

別表第二の第1級から第3級については、被扶養者がいる場合に金額が加算され、第1級は1,350万円、第2級は1,168万円、第3級は1,005万円となります。

別表第一(介護を要する重い後遺障害)

等級 後遺障害慰謝料(自賠責基準) 被扶養者がいる場合
第1級 1,650万円 1,850万円
第2級 1,203万円 1,373万円

別表第一に該当する場合は、上記の慰謝料に加えて、初期費用等として第1級には500万円、第2級には205万円が加算されます。

なお、裁判基準(弁護士基準)による後遺障害慰謝料は、過去の裁判例をふまえた実務資料に基づいて検討されるもので、一般に自賠責基準とは考え方や水準が異なります。具体的な金額は、認定された等級、用いる基準、事故日、資料の内容によって確認する必要があります。提示額が妥当かどうかを検討する際は、どの基準を前提としているかを確認することが出発点になります。

後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の違い

後遺障害が認定された場合、慰謝料とあわせて後遺障害逸失利益が問題となることが多くあります。両者は別の損害項目です。

  • 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する賠償。
  • 後遺障害逸失利益:労働能力の低下による将来の収入減少に対する賠償。

後遺障害等級は、慰謝料の目安だけでなく、逸失利益の算定に用いる労働能力喪失率にも影響します。逸失利益は、収入、労働能力喪失率、喪失期間などをもとに計算され、その内容は争いになりやすい項目です。詳しい計算方法は関連記事で扱っていますので、あわせてご確認ください。示談前には、慰謝料と逸失利益の双方を確認することが重要です。

後遺障害逸失利益の計算方法や、争いになりやすいポイントについては、関連記事で詳しく解説しています。

後遺障害逸失利益の計算方法を確認する

よく問題になるケース

後遺障害慰謝料に関する相談では、次のようなケースで判断に迷う方が少なくありません。いずれも個別事情により結論が変わるため、一般的な注意点として整理します。

第14級・第12級などの相談

第14級や第12級は、むちうちなどの後に局部的な神経症状が残った場合などに問題となることがあり、相談の多い等級です。等級が一段階異なるだけでも慰謝料の目安は変わるため、認定結果と資料を確認することが大切です。

むちうち・可動域制限・醜状障害・高次脳機能障害

むちうちによるしびれや痛み、関節の可動域制限、傷あとなどの醜状障害、高次脳機能障害などは、症状の裏づけとなる検査結果や記録の有無が、等級認定の判断に影響することがあります。どのような資料が必要かは症状によって異なります。

非該当・低位認定・異議申立て

症状が残っていても、後遺障害等級が認定されない(非該当)場合や、想定より低い等級にとどまる場合があります。認定結果に納得できない場合には、異議申立てなどの手続を検討する余地があります。手続を検討する際は、認定結果の理由や提出資料を確認する必要があります。

過失割合・既往症・素因減額

被害者側にも過失があるとされる場合や、既往症・素因による減額が主張される場合には、最終的な賠償額が変わり得ます。これらの主張が妥当かどうかは、事故状況や医療記録などの資料を確認したうえで判断する必要があります。

示談前に確認したい資料チェックリスト

示談書に署名する前、後遺障害等級の申請前、保険会社へ回答する前には、次の資料を確認しておくことをおすすめします。示談が成立すると、原則としてその後の追加請求が難しくなる可能性があるため、内容を十分に確認することが大切です。

  • 後遺障害等級認定票(認定結果の通知)
  • 後遺障害診断書
  • 診断書、診療報酬明細書
  • 画像検査(レントゲン、CT、MRI)の結果や検査所見
  • 保険会社の示談金提示書、損害賠償額計算書
  • 自賠責保険の支払通知(被害者請求をした場合)
  • 過失割合の根拠資料(事故状況がわかる記録)
  • 休業損害証明書、収入資料
  • 弁護士費用特約の有無(自動車保険の証券)
  • 示談書、免責証書の文言

弁護士に相談するタイミング

後遺障害が関係する事案では、次のような場面が、弁護士への相談を検討するタイミングとして挙げられます。相談は結果を保証するものではありませんが、認定資料や提示額をもとに損害項目を整理し、今後の対応方針を検討する材料を得やすくなります。

  • 後遺障害診断書を作成してもらう前
  • 後遺障害等級認定の結果が出た後
  • 非該当、または想定より低い等級だった場合
  • 保険会社から示談金の提示を受けた場合
  • 過失割合・既往症・素因減額を主張された場合
  • 後遺障害逸失利益の金額や期間が争われている場合
  • 示談書に署名する前

弁護士費用特約に加入している場合、相談や依頼の費用に特約を利用できることがあります。特約の適用範囲は保険契約により異なるため、ご自身の自動車保険の証券を確認することをおすすめします。

後遺障害等級認定票、後遺障害診断書、示談金提示書などをご用意のうえご相談いただくと、損害項目の整理や提示額を見直す余地があるかの検討がしやすくなります。交通事故の取扱業務や弁護士費用については、各ページもあわせてご覧ください。

交通事故の取扱業務を見る

よくある質問

後遺障害慰謝料は等級だけで決まりますか。

等級は大きな要素ですが、用いる基準や、過失割合・既往症・素因などの個別事情によっても最終的な金額は変わります。等級認定の結果だけでなく、関連する資料を確認したうえで判断する必要があります。

自賠責基準と弁護士基準では何が違いますか。

自賠責基準は基本的な補償を確保するための法令・告示上の基準で、金額が明確に定められています。裁判基準(弁護士基準)は過去の裁判例をふまえ実務上参照される基準で、考え方や水準が異なります。どちらが適用されるかは事案により異なります。

第14級でも後遺障害慰謝料を請求できますか。

後遺障害等級が認定されれば、第14級であっても後遺障害慰謝料は請求の対象になります。具体的な金額は、用いる基準や個別事情によって変わります。

第12級と第14級では慰謝料が変わりますか。

等級が異なれば、後遺障害慰謝料の目安も変わります。等級が一段階違うだけでも目安が変わるため、認定された等級と資料を確認することが大切です。

後遺障害慰謝料と逸失利益は別ですか。

別の損害項目です。後遺障害慰謝料は精神的苦痛に対する賠償、後遺障害逸失利益は将来の収入減少に対する賠償で、示談の際にはどちらも確認することが重要です。

保険会社の提示額をそのまま示談してよいですか。

提示額がどの基準を前提に計算されているか、慰謝料以外の項目(逸失利益・過失割合・既払金など)が適切に反映されているかを確認したうえで判断することをおすすめします。示談成立後は、原則として追加請求が難しくなる可能性があります。

後遺障害等級に納得できない場合はどうすればよいですか。

異議申立てなどの手続を検討する余地があります。認定結果の理由や提出した資料を確認したうえで、対応方針を整理する必要があります。結果は資料の内容や個別事情により異なります。

弁護士に相談するときは何を準備すればよいですか。

後遺障害等級認定票、後遺障害診断書、保険会社の示談金提示書や損害賠償額計算書、自動車保険の証券(弁護士費用特約の確認)などをご用意いただくと、相談がスムーズになります。

まとめ

  • 後遺障害慰謝料は、認定された等級と用いる基準によって目安が変わります。
  • 自賠責の「後遺障害による損害の支払限度額」と「後遺障害慰謝料」は別物です。
  • 慰謝料だけでなく、後遺障害逸失利益、過失割合、既払金もあわせて確認しましょう。
  • 示談書に署名する前、申請前、回答前には、認定資料や提示額を確認することが大切です。
  • 個別事情により結論は異なるため、判断に迷う場合は早めに相談することをおすすめします。

後遺障害慰謝料や示談提示額についてお困りの方は、認定資料や提示書をもとに、損害項目の整理や今後の対応方針を検討できます。弁護士紹介や問い合わせ方法は各ページをご覧ください。

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監修者情報

神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご支所)/兵庫県弁護士会所属

当事務所には弁護士・公認会計士の資格を有する弁護士が在籍し、交通事故をはじめとする民事事件に対応しています。本記事は、交通事故案件に対応する弁護士が監修しています。後遺障害慰謝料や示談提示額に関するご相談を承っています。

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参考資料

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