取締役会の廃止手続|取締役を1名にする定款変更と登記の流れ |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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取締役会の廃止手続|取締役を1名にする定款変更と登記の流れ

「取締役が3名いるが、経営に関与しているのは実質1名だけである」「親族に名前だけ取締役になってもらっているが、改選のたびに手間と費用がかかる」「取締役会を廃止したいが、監査役や代表取締役をどう扱えばよいか分からない」。会社の経営者や管理部門の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

株式会社は、一定の要件を満たす場合、取締役会を置かない株式会社(取締役会非設置会社)に移行し、取締役を1名又は2名とすることができます。もっとも、これは単なる役員の人数の変更ではありません。取締役会を置く旨の定款の定めを廃止する機関設計の変更であり、定款変更、株主総会の決議、現任取締役の退任、変更登記という複数の手続を、順序と効力発生日を整理して進める必要があります。

この記事では、公開会社でない株式会社のうち、大会社に当たらず、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社・特例有限会社のいずれでもない株式会社を中心に、取締役会を廃止して取締役を減らす手続と、移行後の権限・会社運営を整理します。会社の類型、定款の内容及び株主構成によって結論は異なりますので、手続に入る前に、定款、履歴事項全部証明書、株主名簿、直近の貸借対照表及び過去の議事録をお手元でご確認ください。

この記事で分かること

  • 自社が取締役会を廃止できる会社かどうかの判定方法
  • 取締役会の廃止と、個々の取締役の退任が別の手続であること
  • 取締役会の廃止に連動して見直す定款条項
  • 廃止後に株主総会・業務執行・代表権がどう変わるか
  • 監査役を残す場合と廃止する場合の分岐
  • 取締役1名体制の利点と、単一障害点への備え
  • 変更登記の期限、登記事項の分け方及び登録免許税の考え方

取締役会を廃止できるか、どの順序で決議と登記を行うかは、定款と登記事項証明書、株主名簿を確認して初めて判断できます。決議や登記の前にご相談いただければ、選択肢と手続の順序を整理しやすくなります。

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結論|取締役会の廃止と取締役の減員は、別々の手続です

公開会社でない株式会社で、監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社・会計監査人設置会社のいずれにも当たらない会社であれば、定款を変更して取締役会を廃止し、取締役を1名又は2名とすることができます(会社法第326条第1項、第327条第1項)。

ただし、次の4つは別々の法律関係です。混同すると、登記が通らない、想定外の人が代表権を持つ、退任させたい取締役が退任していない、といった事態が生じます。

  • 取締役会を置く旨の定款の定めを廃止すること(機関設計の変更・定款変更の特別決議)
  • 定款の取締役の員数条項を変更すること(定款変更の特別決議)
  • 現任の取締役が退任すること(任期満了、辞任、解任等)
  • 変更登記を申請すること(登記事項ごとに区分して申請)
取締役会の廃止を検討するときに最初に確認する資料と確認事項
確認する資料 確認する事項
定款(現行全文) 取締役会を置く旨の定め、取締役・監査役の員数、任期、代表取締役の選定方法、株主総会の招集権者及び議長、株式譲渡の承認機関、決議要件の加重の有無
履歴事項全部証明書 株式の譲渡制限に関する規定、取締役会設置会社である旨、監査役設置会社である旨、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨、役員の氏名及び代表取締役の住所、資本金の額
株主名簿 議決権を行使できる株主と議決権数、相続や名義に争いのある株式の有無、特別決議の要件を満たせるか
直近の貸借対照表 資本金の額及び負債の合計額(大会社に当たるかどうかの判定)
過去の議事録 現任役員の選任日と任期の起算点、代表取締役の選定の根拠

取締役会を廃止できる会社かどうかを確認する

取締役会を置かなければならない会社

会社法は、公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社に取締役会の設置を義務付けています(会社法第327条第1項)。これらに当たる場合、取締役会だけを廃止することはできません。

逆にいえば、いずれにも当たらない株式会社は、定款変更により取締役会を廃止できます。株式会社は株主総会と1名以上の取締役があれば足り、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等は、定款の定めによって任意に置くものとされているからです(会社法第326条)。

会社法上の「公開会社」は「上場会社」ではありません

会社法上の公開会社とは、発行する全部又は一部の株式について、譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいいます(会社法第2条第5号)。証券取引所に上場しているかどうかとは関係がありません。

したがって、上場していない会社でも、発行する株式の一部にでも譲渡制限が付されていなければ会社法上は公開会社に当たり、取締役会を置かなければなりません。履歴事項全部証明書の「株式の譲渡制限に関する規定」の欄と、定款の株式に関する条項の両方で確認してください。

「大会社」に当たるかは貸借対照表で確認します

会社法上の大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表において、資本金の額が5億円以上であるか、又は負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である株式会社をいいます(会社法第2条第6号)。いずれか一方に該当すれば大会社です。

資本金の額は登記事項ですが、負債の合計額は登記事項ではありません。履歴事項全部証明書だけを見て大会社に当たらないと判断することはできません。また、大会社が必ず取締役会設置会社であるわけでもありません。公開会社でない大会社は会計監査人を置かなければならず(会社法第328条第2項)、会計監査人設置会社は監査役を置かなければならないため(会社法第327条第3項)、機関設計の組合せが限定されます。大会社に当たる可能性がある場合は個別に確認してください。

この記事が中心的に想定していない会社

公開会社、大会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社、監査役会設置会社、会計監査人設置会社、特例有限会社では、機関設計の可否、必要な決議、任期の取扱い及び登記事項が異なります。同じ手順をそのまま当てはめることはできませんので、個別に確認してください。

取締役の最低人数と、定款で定めた員数

株式会社には1名以上の取締役を置かなければならず(会社法第326条第1項)、取締役会設置会社においては、取締役は3名以上でなければなりません(会社法第331条第5項)

取締役会設置会社と取締役会を置かない株式会社の主な比較
項目 取締役会設置会社 取締役会を置かない株式会社
取締役の最低人数 3名以上(会社法第331条第5項) 1名以上(会社法第326条第1項)
監査役の設置 原則として必要(会社法第327条第2項。公開会社でない会計参与設置会社を除く) 法律上の設置義務はない(会計監査人設置会社等を除く)
株主総会の権限 会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限られる(会社法第295条第2項) 会社に関する一切の事項を決議できる(会社法第295条第1項)
業務執行の決定 取締役会が決定する 取締役が行い、2名以上のときは取締役の過半数で決定する(会社法第348条)
代表権 取締役会が代表取締役を選定する 各取締役が代表するのが原則。定款、定款の定めに基づく互選又は株主総会の決議で代表取締役を定められる(会社法第349条)
競業取引・利益相反取引の承認 取締役会(会社法第365条第1項) 株主総会(会社法第356条第1項)

定款の員数条項を見落とさない

法律上の下限を満たしても、それだけでは足りません。定款に「当会社の取締役は3名以上とする」といった員数条項がある場合、取締役会を廃止しても定款上の下限は残ります。取締役を1名にするのであれば、員数条項も併せて変更する必要があります。定款で定めた員数を欠いた状態は、後述する権利義務取締役の問題にも直結します。

会議の負担だけが問題なら、取締役会の決議の省略という選択肢もあります

取締役会の開催そのものが負担であるという理由であれば、廃止の前に決議の省略を検討する余地があります。会社法第370条は、定款にその旨の定めがある場合に、取締役が提案した事項について、議決に加わることができる取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社では、監査役が異議を述べたときを除く)に、取締役会の決議があったものとみなすことを認めています。多数決による書面決議ではない点に注意が必要ですが、取締役会を維持したまま運営負担を下げられる場合もあります。

取締役会を廃止して取締役を減らす手続の流れ

取締役会の廃止と取締役の減員に関する手続の流れ
段階 行うこと 主な確認事項
第1 現状確認 定款、履歴事項全部証明書、株主名簿、貸借対照表、過去の議事録を確認する 公開会社・大会社に当たらないか、定款の員数・任期・決議要件
第2 変更案の設計 変更後の機関設計、定款条項、役員構成、効力発生日と決議の順序を決める 員数変更、代表取締役の選定方法、監査役の扱い、譲渡承認機関の連動
第3 総会の招集 取締役会で招集事項を決定し、招集通知を発する 通知期限、議題・議案の記載、招集手続の省略を用いるか
第4 総会の決議 定款変更(特別決議)その他必要な決議を行う 定足数と議決権数、定款で決議要件を加重していないか
第5 書面の整備 株主総会議事録、株主リスト、辞任届、就任承諾書等を整える 法定記載事項、押印、添付書面としての要件
第6 変更登記 登記事項ごとに区分して、期間内に申請する 効力発生日、登記期間、添付書面、登録免許税の課税区分
第7 社内外の更新 定款原本、社内規程、金融機関、許認可、契約、印章、電子権限を更新する 届出又は承認が必要な契約・制度の有無

株主総会の招集は、原則として従前の規律で行います

取締役会を廃止する株主総会を招集する時点では、会社はまだ取締役会設置会社です。株主総会は取締役が招集し(会社法第296条第3項)、日時及び場所、目的である事項などの招集事項を定めますが(会社法第298条第1項)、取締役会設置会社では、その決定は取締役会の決議によらなければなりません(同条第4項)。

招集通知の期限は、株主総会の日の2週間前までが原則です。書面又は電磁的方法による議決権行使を定めた場合を除き、公開会社でない株式会社では1週間前まででよく、さらに取締役会設置会社以外の株式会社では定款でこれを下回る期間を定められます(会社法第299条第1項)。取締役会設置会社である間は、定款で1週間を下回る期間を定めることはできません。

招集手続の省略と、決議の省略を混同しない

招集手続の省略と株主総会の決議の省略(みなし決議)の違い
項目 招集手続の省略(会社法第300条) 決議の省略(会社法第319条第1項)
内容 株主全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく株主総会を開催できる 提案につき、議決権を行使できる株主の全員が書面又は電磁的記録で同意したときは、可決する決議があったものとみなす
総会の開催 実際に開催する(招集手続だけを省略する) 開催しない
同意が必要な範囲 株主の全員 当該事項について議決権を行使することができる株主の全員
使えない場合 書面又は電磁的方法による議決権行使を定めた場合 反対株主や連絡が取れない株主がおり、全員の同意が得られない場合
登記での扱い 株主総会議事録を添付する 決議があったものとみなされる場合に該当することを証する書面を添付する(商業登記法第46条第3項)

株主総会の決議要件と議事録

定款の変更は株主総会の決議によって行い(会社法第466条)、この決議は特別決議です。すなわち、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合はその割合以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合はその割合)以上に当たる多数をもって行います(会社法第309条第2項第11号)。定款で決議要件を加重している会社もありますので、必ず現行の定款で確認してください。

なお、公開会社が発行する全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更を併せて行う場合は、決議要件や種類株主総会の要否を別途検討する必要があり(会社法第309条第3項等)、取締役の任期にも影響します。この場合は本記事の範囲を超えた個別の検討が必要です。

株主総会の議事については議事録を作成しなければならず(会社法第318条第1項)、記載事項は会社法施行規則第72条に定められています。議事録は本店に10年間備え置き(会社法第318条第2項)、登記すべき事項につき株主総会の決議を要するときは申請書に添付します(商業登記法第46条第2項)。

取締役会の廃止に連動して見直す定款条項

取締役会を置く旨の条項だけを削除すると、定款の内部で矛盾が生じたり、想定していなかった機関が権限を持つことになったりします。少なくとも次の条項を通しで点検してください。

取締役会の廃止に伴って点検する定款条項
定款条項 点検の視点
取締役会の設置 取締役会を置く旨の定めを廃止し、取締役会の招集・決議・議事録に関する条項も整理する
取締役の員数 「3名以上」等の下限を、変更後の人数に合わせて改める
取締役の任期 公開会社でない株式会社は、定款で選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長できる(会社法第332条第2項)。伸長と短縮のいずれが適するかを検討する
代表取締役の選定方法 定款、定款の定めに基づく取締役の互選、株主総会の決議のいずれによるかを明確に定める(会社法第349条第3項)
株主総会の招集権者・議長 「取締役会の決議により社長が招集する」等の条項が残っていないかを確認する
株式譲渡の承認機関 承認機関を取締役会としている場合、株主総会その他の機関に改める必要がある(会社法第139条第1項)
監査役・会計参与・会計監査人 監査役を残すか廃止するか、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めをどうするかを決める
重要な業務執行の決定方法 取締役が2名以上の場合の決定方法と、各取締役に委任できない事項の取扱いを整理する(会社法第348条第2項・第3項)
社内規程との整合 取締役会規程、職務権限規程、稟議規程、印章管理規程を併せて改廃する

定款条項のひな形や議事録の完成書式は、会社の株主構成、既存条項の文言及び登記の内容によって適切な表現が変わります。この記事ではそのまま使用できる書式を掲載していません。実際の文案は、弁護士又は司法書士に個別にご確認ください。

現任の取締役を実際に減らす方法

取締役会を廃止しても、取締役は当然には退任しません

定款を変更して取締役会を廃止しても、それだけで現任の取締役が当然に退任するわけではありません。ここは最も誤解の多い点です。

会社法は、定款の変更によって取締役の任期が満了する場合を、監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更、これらを置く旨の定めを廃止する定款の変更、及び発行する株式の全部の内容としての譲渡制限の定めを廃止する定款の変更の3つに限定しています(会社法第332条第7項)。取締役会を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更は、ここに含まれていません。

定款の員数条項を変更しても、それによって特定の取締役が当然に退任するわけでもありません。取締役を実際に減らすには、任期満了、辞任、解任といった退任事由が別途必要です。

任期満了・辞任・解任・任期短縮の比較

現任の取締役に退任してもらう方法の比較
方法 本人の同意 必要な手続 主な留意点
任期満了により再任しない 不要 任期満了時の定時株主総会で再任の決議をしない 任期の到来を待つ必要がある。任期の起算点を過去の議事録で確認する
辞任 必要 本人からの辞任の意思表示。登記には辞任を証する書面が必要 本人が応じない場合は使えない。辞任の時期と効力発生日を整理する
解任 不要 株主総会の決議(会社法第339条第1項) 正当な理由がない解任では、会社に対する損害賠償請求を受ける可能性がある(同条第2項)
任期の短縮 不要 定款又は株主総会の決議により任期を短縮する(会社法第332条第1項ただし書) 形式的には任期満了でも、実質は解任と評価され紛争になる可能性がある

取締役の解任は、株主総会の決議によっていつでも行うことができます(会社法第339条第1項)。この決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合はその割合以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行い(会社法第341条)、定足数を3分の1未満に引き下げることはできません。もっとも、累積投票により選任された取締役の解任、監査等委員である取締役の解任及び監査役の解任は特別決議によります(会社法第309条第2項第7号)。役員の種類によって決議要件が異なる点に注意してください。

権利義務取締役に注意する

役員が欠けた場合又は会社法若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなった場合、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有します(会社法第346条第1項)。この場合、退任の登記をすることができず、登記上も取締役として残ります。

取締役を3名から1名に減らす場面では、定款の員数条項の変更が先に効力を生じているかが決定的に重要です。員数条項を「3名以上」のままにして2名を辞任させると、定款で定めた員数を欠くこととなり、辞任した取締役が権利義務取締役として残ってしまいます。定款変更と退任の効力発生日の順序は、必ず事前に設計してください。なお、この規定が及ぶのは任期満了又は辞任により退任した役員であり、解任された役員には及びません。

任期の短縮は「紛争が起きない方法」ではありません

任期を途中で短縮する定款変更等により、形式的には任期満了として退任させる方法が用いられることがあります。しかし、形式上は任期満了であるという一事をもって、紛争リスクがないと考えることはできません。実質的には解任に当たるとして、会社法第339条第2項の損害賠償請求が問題となる余地があります。目的、経緯、対象者の選び方、代替措置の有無などの個別事情によって評価は分かれ、役員報酬の水準や残存任期が大きい場合には請求額も大きくなり得ます。対立が予想される場面では、決議の前に方法の選択と証拠の整え方を検討することをおすすめします。

なお、取締役としての地位(会社法上の委任関係。会社法第330条)と、従業員としての地位や個別の契約上の地位は別のものです。役員報酬の打切り、退職慰労金、従業員兼務の場合の雇用契約と社会保険、秘密保持や競業避止の取決め、会社財産・印章・データの返還は、会社法上の地位の変動とは切り分けて整理してください。

取締役会を廃止すると、権限はどう変わるか

取締役会の廃止による権限の変化
場面 廃止前(取締役会設置会社) 廃止後(取締役会を置かない株式会社)
株主総会の決議事項 会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限られる(会社法第295条第2項) 会社の組織、運営、管理その他一切の事項を決議できる(会社法第295条第1項)
招集事項の決定 取締役会の決議による(会社法第298条第4項) 取締役が決定する。2名以上のときは取締役の過半数で決定し、各取締役に委任できない(会社法第348条第3項第3号)
招集通知の期限 公開会社でない会社は原則1週間前まで 公開会社でない会社は原則1週間前まで。定款でこれを下回る期間を定められる(会社法第299条第1項)
業務執行の決定 取締役会が決定する 定款に別段の定めがある場合を除き取締役が執行し、2名以上のときは取締役の過半数で決定する(会社法第348条第1項・第2項)
会社の代表 取締役会が代表取締役を選定する 各取締役が代表する。ただし他に代表取締役その他会社を代表する者を定めた場合を除く(会社法第349条第1項・第2項)
代表取締役の選定方法 取締役会の決議 定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議(会社法第349条第3項)
競業取引・利益相反取引 取締役会の承認(会社法第365条第1項)。取引後は遅滞なく取締役会に報告する(同条第2項) 株主総会において重要な事実を開示し、承認を受ける(会社法第356条第1項)
株式譲渡の承認機関 取締役会(定款に別段の定めがある場合を除く) 株主総会(定款に別段の定めがある場合を除く)(会社法第139条第1項)
取締役に対する監督 取締役会が職務の執行を監督する 取締役会による監督はなくなる。善管注意義務・忠実義務は変わらない(会社法第330条、第355条)

「代表権」と「業務執行の決定」を混同しない

代表権については、他に代表取締役その他会社を代表する者を定めない限り、取締役が会社を代表し、その取締役が2名以上あるときは各自が会社を代表します(会社法第349条第1項・第2項)。「社長だけが代表する」という取扱いが当然に生じるわけではありません。他方、業務執行の決定については、取締役が2名以上ある場合、定款に別段の定めがある場合を除き取締役の過半数をもって決定します(会社法第348条第2項)。支配人の選任及び解任、支店の設置・移転・廃止、株主総会の招集事項の決定などは、各取締役に委任することができません(同条第3項)。

各自代表になってしまう場面に注意してください

取締役会を廃止した後も取締役を2名以上残す場合、代表取締役を定める根拠(定款の定め、定款の定めに基づく互選、株主総会の決議)を整えないと、全員が各自代表となる可能性があります。代表取締役の氏名及び住所は登記事項ですので(会社法第911条第3項第14号)、想定していなかった取締役の住所が登記事項証明書に記載されることにもなります。従前の代表取締役の登記がそのまま維持されると決めつけず、変更後の代表権の所在と登記の内容を、申請前に管轄法務局又は司法書士に確認してください。

監査役を残すか、廃止するか

取締役会を廃止しても、監査役は当然には退任しません

取締役会設置会社は、原則として監査役を置かなければなりません(会社法第327条第2項。公開会社でない会計参与設置会社を除く)。取締役会を廃止すればこの設置義務はなくなりますが、設置義務がなくなることと、監査役が当然に退任することは別です。取締役会を置く旨の定款の定めを廃止しただけでは、監査役の任期は満了しません。

監査役を置く旨の定めを廃止すると、任期は満了します

会社法は、次の定款の変更をした場合に、監査役の任期が当該定款の変更の効力が生じた時に満了すると定めています(会社法第336条第4項)。

  • 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
  • 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
  • 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
  • 発行する全部の株式の内容としての譲渡制限の定めを廃止する定款の変更

監査役を残すのか廃止するのかは、取締役会の廃止とは別に、意識的に決議する必要があります。廃止する場合は、監査役設置会社である旨の登記の抹消と監査役の退任の登記が必要になります。

監査の範囲を会計に関するものに限定している場合

公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く)は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができます(会社法第389条第1項)。この定めがある会社も、登記上は監査役設置会社である旨とともにその定めがある旨が登記されます(会社法第911条第3項第17号)。会計限定の定めを廃止する定款変更をした場合も、監査役の任期はその効力発生時に満了します。

なお、会計監査人設置会社は監査役を置かなければならず(会社法第327条第3項)、公開会社でない大会社は会計監査人を置かなければなりません(会社法第328条第2項)。これらに当たる会社では、監査機関を任意に廃止することはできません。

取締役1名体制の利点と、単一障害点

取締役を1名にすると、取締役会の招集・開催・議事録作成の負担がなくなり、意思決定が速くなります。役員の改選及び変更登記の頻度も抑えられ、名目的な取締役を置く必要もなくなります。

他方で、その1名が会社運営の単一障害点になります。次の点を、利点と同じ重みで検討してください。

  • 取締役会による相互牽制がなくなり、独断による判断や利益相反取引を社内で発見しにくくなる
  • 取締役の死亡、事故、疾病、判断能力の低下により、会社の意思決定と代表行為が止まる
  • 取締役が欠けると、後任を選ぶ株主総会を招集する者もいなくなり、選任と登記が遅れる
  • その取締役が唯一の株主でもある場合、株式が相続されて準共有となり、権利行使者の指定をめぐって争いが生じることがある
  • 銀行口座、法人印、電子証明書、ネットバンキング、会計・給与・クラウドサービスの権限が1名に集中する
  • 許認可の要件として役員体制が定められている場合、要件を満たさなくなる可能性がある
取締役会の廃止を検討する際の機関設計案の比較
意思決定の速さ 相互牽制 緊急時の代替 代表権の管理 会議・登記・運用の負担
取締役1名+補欠取締役 速い 働きにくい 欠員には備えられるが、一時的な職務不能には対応しない 単純(1名が代表) 小さい
取締役1名+補欠取締役+監査役 速い 監査による一定の牽制 同上。監査役による状況把握は期待できる 単純(1名が代表) やや小さい(監査役の改選・登記が生じる)
取締役2名・取締役会なし・代表取締役1名 比較的速い 過半数決定による一定の牽制 もう1名が残るため業務は継続しやすい 代表取締役の選定方法を定款等で明確にする必要がある 中程度
取締役2名以上・複数の代表権者 速い(各自が代表できる) 働きにくい場合がある いずれかが代表行為を継続できる 各自代表となるため、権限の範囲と社内ルールの整理が不可欠 中程度(各代表者の住所が登記事項となる)
取締役会を維持(取締役3名以上) 会議が必要な分だけ遅い(決議の省略の定めがあれば緩和され得る) 取締役会による監督が働く 代替が利きやすい 取締役会が代表取締役を選定・解職できる 大きい(招集・開催・議事録・改選)

どの案が適切かは、株主構成、後継者の有無、許認可の要件、金融機関との契約内容、対外的な信用への影響によって変わります。いずれかが常に正しいということはありません。

事前にできる備え

  • 補欠の取締役を株主総会で選任しておく(会社法第329条第3項)。ただし、補欠役員の選任決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までです(会社法施行規則第96条第3項)。毎年選任し直す運用が必要になる場合があります
  • 補欠取締役は役員が欠けた場合等に就任するものであり、疾病による一時的な職務不能には直接対応しません。両者を区別して備える
  • あえて取締役を2名残す、又は監査役を残し、社内に状況を把握できる者を確保する
  • 株主名簿で株主を確定し、名義株や相続未了の株式を整理したうえで、後継者と株式の承継方法を検討する
  • 法人印、銀行口座、電子証明書、ネットバンキング、会計・給与・クラウドサービスの管理者権限と、主要取引先・金融機関・顧問先の緊急連絡先を文書化して共有する

実際に職務不能となった場合の手続

取締役1名が死亡し、又は職務を行えなくなった場合、状況に応じて次の制度が問題となります。いずれも要件があり、どれかを使えば直ちに解決するというものではありません。

取締役が欠けた場合等に問題となる主な制度と前提条件
制度 内容 前提となる確認事項
招集手続の省略(会社法第300条) 株主全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく株主総会を開催できる 株主全員を確定できるか。反対株主や連絡が取れない株主がいないか
決議の省略(会社法第319条第1項) 議決権を行使できる株主全員が書面又は電磁的記録で同意すれば、決議があったものとみなされる 株式の相続や名義に争いがないか。全員の同意書面を実際に得られるか
株主による招集請求(会社法第297条) 一定の議決権を有する株主は招集を請求でき、一定の場合には裁判所の許可を得て招集できる 持株要件を満たすか。請求から所定の期間の経過等の要件を満たすか
一時取締役の選任(会社法第346条第2項) 役員が欠けた場合等において、裁判所は必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより一時役員の職務を行うべき者を選任できる 権利義務役員がいないか。株主総会で選任できる状況にないか。申立費用及び予納金の負担

裁判所の運用では、権利義務役員が存在する場合や、役員を選任するための株主総会を開催できる場合には、一時取締役を選任する必要性が原則として認められないものとされています。申立てには申立手数料及び登記嘱託の手数料のほか、報酬等を担保するための予納金が必要となる場合があります。

変更登記・登録免許税・必要書類

登記の期限と、登記事項の区分

会社法第911条第3項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において変更の登記をしなければなりません(会社法第915条第1項)。この期間は、登記事項ごとに、それぞれの変更の効力が生じた日から起算します。登記を怠ったときは、100万円以下の過料に処せられることがあります(会社法第976条第1号)。

取締役会の廃止に伴う登記は、ひとまとまりの「機関変更登記」ではありません。取締役会設置会社である旨の登記の抹消(同項第15号)、監査役設置会社である旨の登記の抹消及び監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止(同項第17号)、取締役の退任・就任(同項第13号)、代表取締役の氏名及び住所の変更(同項第14号)、監査役の退任、株式の譲渡制限に関する規定の変更(同項第7号)というように、登記事項ごとに区分して考える必要があります。

必要書類は、変更内容によって変わります

変更登記の添付書面として問題となる主な書類
書類 必要となる主な場面
株主総会議事録 登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合(商業登記法第46条第2項)
みなし決議に該当することを証する書面 会社法第319条第1項による決議の省略を用いた場合(商業登記法第46条第3項)
株主リスト 登記すべき事項につき株主総会の決議又は株主全員の同意を要する場合。議決権の割合が上位の株主について、10名又は割合の合計が3分の2に達するまでの人数のいずれか少ない人数を記載する(商業登記規則第61条第2項・第3項)
辞任届その他の退任を証する書面 取締役又は監査役が退任する場合(商業登記法第54条第4項)
就任承諾書 取締役、監査役、代表取締役等が就任する場合(商業登記法第54条第1項)
本人確認証明書 取締役、監査役等の就任による変更の登記の場合(商業登記規則第61条第7項)。印鑑証明書を添付する場合の取扱いは別途確認が必要
互選書、印鑑証明書、印鑑届書 代表取締役を互選により選定する場合、代表取締役が変更となる場合等。要否と範囲は事案ごとに異なる

申請書の様式と記載例は法務局が公開しています。自社の変更内容に対応する記載例を確認し、添付書面の要否は申請前に管轄法務局又は司法書士にご確認ください。

登録免許税

登録免許税は登記事項の課税区分ごとに定められており、変更する項目をすべて足し合わせれば総額が決まるという単純なものではなく、同時に申請する場合の合算の仕方も申請内容によって異なります。

法務局が公開している「取締役会設置会社の定めの廃止等をする場合」の申請書記載例では、取締役会設置会社の定めの廃止、監査役設置会社の定めの廃止、監査役の変更、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止及び株式の譲渡制限の定めの変更を同時に申請する事例について、登録免許税を金7万円(又は金9万円)とし、その内訳を、取締役会設置会社の定めの廃止につき3万円、監査役設置会社の定めの廃止及び株式譲渡制限の定めの変更につき3万円、監査役の退任及び監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止につき1万円(資本金の額が1億円を超える株式会社については3万円)としています。

これはその記載例の事例における金額です。自社の変更内容が異なれば金額も変わりますので、申請前に最新の記載例と登録免許税法別表第一で確認してください。

誰に何を依頼するかを整理してください

機関設計の設計、定款変更の内容、退任方法の選択、紛争の予防と対応は弁護士、変更登記の申請の代理は司法書士(弁護士も登記申請の代理を行うことができます)、役員報酬・退職慰労金の税務は税理士、社会保険の手続は社会保険労務士、許認可の要件は所管の官庁というように、担当する資格者・窓口が分かれます。着手前に整理しておくと手戻りを防げます。

決議・登記の後に更新するもの

登記が完了しても手続は終わりではありません。次の項目について、届出又は承認が必要かどうかを契約・制度ごとに確認してください。すべてについて変更手続が必要になるとは限りません。

  • 定款原本及び定款の管理データ(変更後の全文を確定し、保管場所を決める)
  • 取締役会規程、職務権限規程、稟議規程、印章管理規程の改廃
  • 役員名簿、組織図、社内の決裁フロー
  • 金融機関への届出、借入契約及び個人保証の取扱い、各種保険、役員賠償責任保険
  • 許認可、登録、補助金、入札参加資格における役員変更の届出
  • 主要取引先との契約における表明保証条項、支配権の変動に関する条項
  • 法人印、銀行印、電子証明書、ネットバンキング、会計・給与・クラウドサービスの権限
  • 役員報酬及び退職慰労金に関する会計・税務・社会保険上の取扱い

よく問題になるケース

少数株主又は退任対象の取締役と対立している

定款変更には特別決議が必要です。議決権の3分の2以上を確保できるかを株主名簿で先に確認してください。対立が予想される場合、招集手続の瑕疵、議事録の不備、通知の到達といった形式面が後日の争点になりやすいため、手続の履践を証拠として残すことが重要です。

定款と登記事項証明書が一致していない

過去の定款変更が登記に反映されていない、登記はされているが定款原本が更新されていないという状態は少なくありません。この場合、現状を正確に把握しないと変更の要否も決議の内容も決まりませんので、定款の変遷を過去の議事録で確認する作業から始める必要があります。

代表取締役の選定を忘れ、各自代表になっていた

取締役会を廃止した後に取締役を2名以上残す場合、代表取締役を定める根拠を定款等に置かないと、各取締役が会社を代表することになります。対外的な取引や登記される住所の範囲に影響しますので、変更案の設計段階で必ず決めてください。

取締役1名が唯一の株主でもある

取締役1名かつ株主1名の会社では、その方に何かあった場合、後任の取締役を選任する株主総会を開催する主体が事実上いなくなります。相続が発生すると株式は相続人間で準共有となり、権利行使者を定めなければ議決権を行使できないのが原則です。相続人間で意見が分かれると、会社運営が長期間停止するおそれがあります。事前の株式承継の設計が特に重要になる類型です。

許認可、保証、役員報酬が絡む

建設業、宅地建物取引業、産業廃棄物処理業、運送業その他の許認可では、役員に関する要件や変更の届出が定められていることがあります。金融機関との取引では、代表者の交代や機関設計の変更が期限の利益や個人保証の取扱いに影響することがあり、役員報酬の減額・打切りは税務上の取扱いにも関係します。決議の前に、これらの外部制約を洗い出しておくことをおすすめします。

手続前チェックリスト

資料の確認

  • 現行の定款の全文(変更履歴を含む)を確認したか
  • 履歴事項全部証明書で、株式の譲渡制限、機関、役員、資本金の額を確認したか
  • 株主名簿で、議決権を行使できる株主と議決権数を確定したか
  • 直近の貸借対照表で、資本金の額と負債の合計額を確認したか
  • 現任役員の選任日を過去の議事録で確認し、任期の起算点を特定したか

決議の前に決めること

  • 変更後の機関設計(取締役の人数、監査役を置くか、会計限定の定めをどうするか)
  • 代表取締役の選定方法と、誰が代表権を持つか
  • 株式譲渡の承認機関その他の連動条項
  • 各取締役の退任方法(任期満了、辞任、解任、任期短縮)とその理由
  • 定款変更、退任、代表取締役の選定の効力発生日の順序(員数条項の変更が退任より先に効力を生じるか)
  • 特別決議の要件を満たせるか。定款で決議要件を加重していないか
  • 招集手続を省略するのか、決議の省略によるのか、通常どおり開催するのか

登記と引継ぎ

  • 登記事項ごとの効力発生日と、2週間の登記期間を管理しているか
  • 添付書面の要否を、変更内容ごとに確認したか
  • 登録免許税の課税区分と金額を、最新の記載例で確認したか
  • 退任者からの会社財産、印章、鍵、データの返還と、アカウント権限の変更を予定しているか
  • 金融機関、許認可、契約、社内規程の更新の要否を洗い出したか

弁護士に相談するタイミング

取締役会の廃止と取締役の減員は、定款、登記、株主構成、役員の任期という複数の要素が絡み合います。決議をしてから順序の誤りに気付くと、決議のやり直しや登記の補正が必要になり、対立がある場合には決議の効力自体が争われることもあります。次のような場面では、決議や登記を行う前にご相談いただくことで、選択肢と手続の順序を整理しやすくなります。

  • 自社が取締役会を廃止できる会社かどうかを判断したい
  • 任期満了、辞任、解任、任期短縮のどの方法を選ぶか検討したい
  • 退任対象の取締役や少数株主との対立が予想される
  • 定款と登記事項証明書の内容が一致しているか分からない
  • 取締役を1名にした後の緊急時の備えを設計したい
  • 事業承継に合わせて機関設計と株式の承継を整理したい

定款、履歴事項全部証明書、株主名簿及び過去の議事録を拝見したうえで、取締役会を廃止できるか、どの順序で決議と登記を行うか、退任方法ごとの紛争リスクをどう評価するかを整理します。個別事情により結論は異なりますので、資料を確認したうえでの検討が必要です。

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相談の費用及び方法は弁護士費用の案内をご確認ください。お問い合わせの際は、会社名、ご相談者のお名前、相手方となり得る方のお名前、事案の概要及び期限の有無をお知らせください。利益相反の確認が済むまでは、機密資料の送付はお控えください。

よくある質問

取締役会設置会社の取締役を2名又は1名にできますか。

取締役会設置会社のままでは3名以上が必要です(会社法第331条第5項)。2名又は1名にするには、定款を変更して取締役会を置く旨の定めを廃止し、取締役会を置かない株式会社に移行する必要があります。定款に員数の下限がある場合は、その条項も併せて変更します。

どのような株式会社が取締役会を廃止できますか。

公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、取締役会を置かなければなりません(会社法第327条第1項)。これらに当たらない株式会社は、定款変更により廃止できます。ここでいう公開会社は上場会社という意味ではなく、株式の全部又は一部に譲渡制限が付されていない会社をいいます(会社法第2条第5号)。

取締役会を廃止すると、現在の取締役は自動的に退任しますか。

退任しません。定款の変更によって取締役の任期が満了するのは会社法第332条第7項に定められた場合に限られ、取締役会を置く旨の定めの廃止はこれに含まれません。取締役を実際に減らすには、任期満了、辞任、解任といった退任事由が別に必要です。

取締役会を廃止する場合、監査役も必ず廃止する必要がありますか。

必ず廃止する必要はありません。取締役会を廃止すると監査役の設置義務はなくなりますが(会社法第327条第2項)、監査役を残すこともできます。もっとも、監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款変更をした場合は、その効力が生じた時に監査役の任期が満了します(会社法第336条第4項第1号)。残すか廃止するかは意識的に決議してください。

取締役の任期を短縮して減員することはできますか。

取締役の任期は、定款又は株主総会の決議によって短縮することができます(会社法第332条第1項ただし書)。ただし、形式上は任期満了であっても、実質的には解任であるとして会社法第339条第2項に基づく損害賠償が問題となる余地があります。目的、経緯及び対象者の選び方によって評価が分かれますので、対立が予想される場合は事前の検討をおすすめします。

取締役会を置かない会社では、誰が代表し、誰が業務執行を決めますか。

他に代表取締役その他会社を代表する者を定めない限り、取締役が会社を代表し、取締役が2名以上あるときは各自が代表します(会社法第349条第1項・第2項)。代表取締役は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって定めることができます(同条第3項)。業務執行の決定は、取締役が2名以上あるときは取締役の過半数によります(会社法第348条第2項)。

取締役を1名にした場合、その取締役が死亡又は職務不能になるとどうなりますか。

会社の意思決定と代表行為が止まり、後任を選任する株主総会の招集も困難になります。株主全員の同意による招集手続の省略(会社法第300条)、決議の省略(会社法第319条第1項)、株主による招集請求(会社法第297条)、裁判所による一時取締役の選任(会社法第346条第2項)などが問題となりますが、いずれも要件があり、株主構成や株式の相続の状況によって使えるかどうかが変わります。事前の備えが重要です。

取締役会廃止・役員変更の登記は、いつまでに行う必要がありますか。

登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店の所在地において変更の登記をしなければなりません(会社法第915条第1項)。期間は登記事項ごとに、それぞれの効力発生日から起算します。登記を怠ると100万円以下の過料に処せられることがあります(会社法第976条第1号)。添付書面と登録免許税は変更内容によって異なりますので、法務局の最新の記載例で確認してください。

まとめ

  • 公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社以外の株式会社は、定款変更により取締役会を廃止し、取締役を1名又は2名にできます
  • 会社法上の「公開会社」は上場会社という意味ではありません。まず定款と登記事項証明書で譲渡制限の有無を確認してください
  • 取締役会の廃止、定款の員数条項の変更、個々の取締役の退任、変更登記はそれぞれ別の手続です。効力発生日の順序を設計してください
  • 取締役会を廃止しても、取締役も監査役も当然には退任しません。監査役を置く旨の定めを廃止する場合は、その効力発生時に監査役の任期が満了します
  • 移行後は株主総会の権限が広がり、業務執行は取締役の過半数で決定し、代表権は各自代表が原則となります
  • 取締役1名体制は意思決定が速い一方で単一障害点となります。補欠取締役、株式の承継、権限とアクセスの整理を併せて検討してください
  • 変更登記は登記事項ごとに区分し、効力発生日から2週間以内に申請します。必要書類と登録免許税は変更内容によって異なります

次の行動としては、定款と履歴事項全部証明書を取り寄せ、株主名簿と直近の貸借対照表を揃えたうえで、変更後の機関設計と効力発生日の順序を書き出してみてください。その段階でご相談いただくと、選択肢を整理しやすくなります。

取締役会の廃止、取締役の減員、監査役の扱い、変更登記までの工程を、会社の類型と資料に即して整理します。決議や登記を行う前の段階でも、既に対立が生じている段階でも、確認できることがあります。

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監修者

弁護士・公認会計士 藤井 貴之(兵庫県弁護士会所属)

神戸みらい法律会計事務所。会社法・企業法務、事業承継、相続、交通事故等を取り扱っています。

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参考資料

この記事は、2026年8月時点の法令に基づく一般的な説明です。会社の類型、定款の内容、株主構成及び個別の事情により結論は異なります。実際の手続に当たっては、資料を確認したうえで、弁護士、司法書士その他の専門資格者にご相談ください。

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