会社の経営をめぐって、ほかの株主や役員と意見が対立することがあります。「相手が会社の通帳を管理していて見せてくれない」「役員を辞めさせたいが、どう進めればよいか分からない」「自分が何株持っていて、何を決められるのか分からない」——このような不安を抱えたとき、感情的なやり取りや一方的な手続にすぐ進んでしまうと、かえって紛争が複雑になることがあります。
この記事では、神戸市・兵庫県周辺の中小企業、同族会社、非公開会社で株主間・役員間の対立が生じたときに、最初に確認しておきたい資料と整理のポイントを、会社側・株主側・役員側のいずれの立場からも読めるように整理します。会社法の体系的な解説ではなく、「まず何を見るか」「相談前に何をそろえるか」という実務的な視点を中心に説明します。
なお、ここで示す内容は一般的な整理であり、実際の結論は、会社の機関設計、定款、株主名簿、議事録、議決権割合などの個別事情によって変わります。具体的な対応方針は、資料を確認したうえで判断する必要があります。
株主間・役員間の対立では、最初に確認する資料や手続の順番を誤ると、紛争が複雑になることがあります。株式、役員構成、定款、議事録などを整理したうえで、早い段階で対応方針を確認することが重要です。
Contents
この記事で分かること
- 株主間・役員間で対立したとき、最初に確認したい資料の全体像
- 株式・議決権割合、役員構成、代表権、定款、議事録、会計資料の確認ポイント
- 会社資料を見せてもらえない場合の考え方(株主名簿・議事録・会計帳簿の閲覧)
- 対立が起きた直後に避けたい対応
- 相談前にそろえておきたい資料と、相談するタイミング
株主間・役員間の対立で最初に確認したい結論
結論として、株主間・役員間の対立では、感情的な交渉や一方的な手続に進む前に、株式・議決権割合、役員構成、代表権、定款、株主名簿、株主総会・取締役会の議事録、会計資料、契約書、相手方とのやり取りの記録を整理することが重要です。これらは、誰が会社の意思決定に関与できるのか、どの手続が必要になるのかを判断するための土台になります。
先に内容証明の送付、役員の解任、代表者の変更登記、会社資金の移動などに進んでしまうと、手続の前提を欠いていたり、後から決議の効力を争われたりして、紛争が長期化・複雑化することがあります。まずは現状の資料を落ち着いて確認することをおすすめします。
もっとも、最終的な結論は、会社が公開会社か非公開会社か、取締役会設置会社か、監査役設置会社か、種類株式や株主間契約があるか、定款でどのような定めがあるか、といった個別事情によって変わります。以下では、立場の違いにも触れながら、確認すべきポイントを順に整理します。
会社内部の対立で最初に整理すべき全体像
誰と誰が、どの立場で対立しているか
同じ「会社の内部対立」でも、立場によって確認すべき点は異なります。たとえば、会社側(経営権を握る側)、代表取締役側、少数株主側、現任の取締役側、退任した(あるいは退任を求められている)役員側、相続によって株式を取得した親族側では、関心と取り得る選択肢が変わります。まずは、自分がどの立場で、相手がどの立場かを整理しましょう。
所有・経営・会計・証拠を分けて考える
会社内部の問題は、「株式を誰が持っているか(所有)」「会社を誰が動かしているか(経営)」「お金がどう動いているか(会計)」「何を証拠として残せるか(証拠)」の4つに分けて考えると整理しやすくなります。所有と経営が一致していない同族会社では、株主名簿上の株主と実際に出資した人が異なるなど、所有関係そのものが争点になることもあります。
最初に確認すべき資料一覧
対立の入口でそろえておきたい主な資料は次のとおりです。すべてが直ちに必要になるわけではありませんが、手元にある資料を確認しておくと、相談時の見通しが立てやすくなります。
| 確認資料 | 確認する内容 | 注意点 | 相談時の持参 |
|---|---|---|---|
| 登記事項証明書(履歴事項全部証明書) | 商号・本店・代表取締役・取締役・監査役・取締役会設置の有無・発行可能株式総数・発行済株式総数・株式の譲渡制限の有無 | 株主の氏名や持株数は原則として登記されません | 持参が望ましい |
| 定款 | 株式の譲渡制限、株主総会・取締役会の決議要件、役員の任期、代表取締役の選定方法、種類株式、相続人への売渡請求、招集手続、公告方法 | 原始定款と現行定款(変更後)を区別して確認 | 持参が望ましい |
| 株主名簿 | 株主の氏名・住所、株式数、取得日、名義株・相続株式・譲渡承認の有無 | 会社が作成・備置きしていない例もある | あれば持参 |
| 株式の取得・譲渡・出資に関する資料 | 出資の払込資料、株式譲渡契約書、譲渡承認の記録、増資の経緯 | 名義と実質的出資者が異なる場合の重要証拠 | あれば持参 |
| 株主間契約 | 議決権行使、株式譲渡、役員指名、買取りに関する取り決め | 定款と異なる合意がある場合がある | あれば持参 |
| 株主総会議事録 | 招集通知、議案、出席株主、議決権数、決議結果、議長 | 内容が実態と合っているかも確認 | あれば持参 |
| 取締役会議事録 | 決議事項、出席取締役、代表取締役の選定、重要な業務執行、利益相反取引 | 取締役会設置会社かどうかで扱いが異なる | あれば持参 |
| 計算書類・事業報告 | 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表、事業報告 | 直近数期分があると経緯を把握しやすい | あれば持参 |
| 会計帳簿・入出金資料 | 総勘定元帳、現金出納帳、預金通帳、入出金明細、伝票、領収書 | 閲覧・謄写には会社法上の要件がある | 手元の範囲で持参 |
| 役員報酬・貸付金・経費の資料 | 役員報酬の決定経緯、会社・役員間の貸付け、経費精算、関連当事者取引 | 会計・税務判断を伴う場合がある | あれば持参 |
| 会社印・通帳・ネットバンキングの管理状況 | 誰が代表者印・銀行印・通帳・IDを管理しているか | 事実関係の整理にとどめ、無断使用はしない | 状況をメモして持参 |
| 相手方とのやり取り | メール、チャット、通知書、議事のメモ | 適法に取得・保存できる範囲で保管 | 整理して持参 |
| 取引先・金融機関との契約書 | 主要取引契約、融資契約、保証の状況 | 会社の信用・資金繰りに影響し得る | 関係する範囲で持参 |
株式・議決権割合で確認するポイント
誰が何株持ち、議決権割合はどうか
会社の重要な意思決定は、株主総会の決議によって行われます。決議の成否は、出席した株主の議決権数によって決まるため、誰が何株を持ち、議決権割合がどうなっているかを把握することが出発点になります。一般に、株主総会の普通決議(役員の選任・解任を含む多くの事項)と特別決議(定款変更、組織再編など重要事項)とでは必要となる賛成の割合が異なり、定款による加重・緩和の定めがある場合もあります。具体的な決議要件と数値は、定款と会社法の条文を確認したうえで判断する必要があります。
名義株・相続株式・譲渡承認・種類株式・自己株式
同族会社では、株主名簿上の名義と実際の出資者が一致しないこと(いわゆる名義株)、相続によって株式が複数の相続人に承継され権利関係が複雑になっていること、譲渡制限株式の譲渡承認の有無、議決権制限株式や拒否権付種類株式(いわゆる黄金株)などの種類株式の存在、会社が保有する自己株式(議決権がありません)などが、議決権割合を左右します。これらは登記や決算書だけでは分からないことが多く、株主名簿・出資資料・株式譲渡契約書・定款の確認が重要になります。
登記には株主名が載らない点に注意
登記事項証明書には、代表取締役や取締役の氏名は記載されますが、株主の氏名や持株数は原則として記載されません。したがって、「登記を見れば株主構成が分かる」とは限らず、株主名簿や出資の経緯を示す資料を別途確認する必要があります。株主名簿の備置きや、株主・債権者による閲覧・謄写の請求については会社法第125条に定めがあり、会社が一定の拒絶事由に該当しない限り、請求に応じることとされています。なお、株主名簿の閲覧・謄写については、かつて「会社と実質的に競争関係にある事業を営む者」であることが拒絶事由とされていましたが、現在は削除されています(会計帳簿の場合とは扱いが異なります)。請求の可否や進め方は、目的や状況によって変わるため、確認が必要です。
株主総会や取締役会を開く前、役員の解任や代表者の変更を検討する前には、定款、議決権割合、招集手続、議事録の案を確認する必要があります。資料を確認したうえで、手続の進め方を整理しましょう。
役員構成・代表権・任期で確認するポイント
代表取締役・取締役・監査役・機関設計の確認
会社を対外的に代表し、契約や登記申請を行う権限を持つのは代表取締役です。まず、登記事項証明書で代表取締役が誰か、取締役・監査役が誰か、取締役会設置会社か、監査役設置会社かを確認します。機関設計によって、誰がどの決定をできるか(たとえば代表取締役の選定・解職を株主総会で行うのか取締役会で行うのか)が変わります。
任期満了・辞任・解任・登記の状況
役員には任期があり、任期満了や辞任、解任によって地位が変動します。登記上は役員のままでも、実際には任期が満了している、あるいは辞任届が提出されている、というずれが生じていることもあります。役員の解任や代表取締役の変更を検討する場合は、どの機関の決議が必要か、どのような手続・登記が必要か、解任に「正当な理由」があるか(正当な理由なく解任された役員から会社に対して損害賠償が請求される場合があります)といった点を、定款と会社法の条文に照らして確認する必要があります。これらは個別事情により結論が変わるため、断定はできません。
役員と会社の利害が対立する場面(利益相反)
役員だからといって、会社の資産や資金を自由に扱えるわけではありません。役員個人と会社の利害が対立する取引(会社・役員間の貸付け、会社資産の役員への売却など)は、利益相反取引として承認手続が必要になる場合があります。対立局面では、自分や相手の行為がこうした規律に触れていないかを確認しておくことが重要です。
株主総会・取締役会の議事録で確認するポイント
いつ・誰が・どの議案で・どう決議したか
過去にどのような意思決定がなされたかは、議事録から確認します。招集通知の有無、議案の内容、出席株主・出席取締役、議決権数、決議の結果、議長などを確認し、手続が適切に踏まれているか、議事録の内容が実態と合っているかを点検します。招集手続に疑問がある場合や、議事録の内容が実際の会議と異なると考えられる場合には、決議の効力をめぐる問題に発展することがあります。その場合の対応(適法な記録化、決議の効力を争う手続の検討など)は、事案により異なります。
議事録の備置きと閲覧・謄写(株主総会と取締役会の違い)
議事録の備置きや閲覧・謄写については、株主総会議事録(会社法第318条)と取締役会議事録(会社法第371条)とで扱いが異なります。一般に、株主総会議事録は株主・債権者が比較的広く閲覧・謄写を請求できるのに対し、取締役会議事録は「権利を行使するため必要があるとき」に請求でき、さらに監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では裁判所の許可が必要とされています。請求の可否・方法は機関設計や事情によって変わるため、確認が必要です。
| 資料 | 主な根拠条文 | 閲覧・謄写の請求者と要件(概要) |
|---|---|---|
| 株主名簿 | 会社法第125条 | 株主・債権者が、請求の理由を明らかにして請求。一定の拒絶事由あり |
| 株主総会議事録 | 会社法第318条 | 株主・債権者が営業時間内に請求(持株要件なし)。親会社社員は裁判所の許可 |
| 取締役会議事録 | 会社法第371条 | 株主は権利行使に必要なとき請求。監査役設置会社等では裁判所の許可が必要 |
| 会計帳簿 | 会社法第433条 | 総株主の議決権または発行済株式の100分の3以上を持つ株主が、理由を明らかにして請求。一定の拒絶事由あり |
上記はあくまで概要です。実際の要件・拒絶事由・手続は、条文と個別事情を確認したうえで判断する必要があります。
会計資料・会社資金で確認するポイント
役員報酬・貸付金・経費・関連当事者取引
会社資金をめぐる対立では、役員報酬の決定経緯、会社と役員間の貸付け、経費処理、会社資産の使用、関連当事者との取引、配当などが争点になりがちです。これらは会計処理と税務処理の両面に関わり、会社法上の論点(利益相反取引、役員の責任など)とも結びつきます。会計・税務上の評価が必要になる場合は、公認会計士・税理士の確認が必要になることがあります。
通帳・ネットバンキング・代表者印の管理
一方の当事者が会社の通帳・銀行印・代表者印・ネットバンキングのIDを管理している、という状況は珍しくありません。事実関係(誰が何を管理しているか)を整理しておくことは重要ですが、無断での使用や一方的な資金移動は避けるべきです。後に責任を問われたり、紛争を悪化させたりするおそれがあります。
会計帳簿の閲覧・謄写を検討する場合の注意点
少数株主が会社の会計状況を確認したい場合、会計帳簿の閲覧・謄写の請求(会社法第433条)を検討することがあります。一般に、総株主の議決権または発行済株式の一定割合(条文上は100分の3。定款で引き下げ可能)以上を持つ株主が、請求の理由を明らかにして請求でき、会社は一定の拒絶事由に該当しない限りこれに応じることとされています。株主名簿と異なり、会計帳簿では「会社と実質的に競争関係にある事業を営む者」であることが拒絶事由として残っている点に注意が必要です。要件・拒絶事由・具体的な進め方は事案により異なるため、確認が必要です。
よく問題になるケース
代表取締役が会社資料を見せてくれない
「会社の通帳や帳簿を見せてもらえない」という相談は多くあります。立場(株主か、役員か、その両方か)によって、利用を検討できる手段が異なります。まずは自分が株主名簿・議事録・計算書類・会計帳簿のどれについて、どの立場で確認できるのかを整理します。
少数株主が会社の会計状況を知りたい
少数株主であっても、一定の要件のもとで計算書類の閲覧や会計帳簿の閲覧・謄写を求められる場合があります。請求の可否は持株割合や請求の理由によって変わります。
役員を解任したい、または解任された
役員の解任や代表者の変更は、機関設計・定款・議決権割合・任期などによって、必要な手続や見通しが変わります。「正当な理由」の有無が損害賠償の問題に関わることもあり、すぐに手続できるとは限りません。
株主総会・取締役会の手続に疑問がある
招集通知が届いていない、定足数や決議要件を満たしていないのではないか、といった疑問がある場合、決議の効力をめぐる問題に発展することがあります。
議事録の内容が実際と違う
実際には開催していない会議の議事録がある、決議結果が事実と異なる、といったケースでは、事実関係を適法に記録・整理したうえで、決議の効力を争う手続を検討することがあります。
新株発行や株式譲渡で支配権が変わりそう
新株の発行や株式譲渡によって議決権割合が変動すると、支配権そのものが争点になります。手続の適法性や、差止め等の検討が問題になることがあります。
会社の通帳・代表者印を一方が管理している
資金管理が一方に偏っている場合、まずは事実関係を整理し、適法な範囲で資料を確保することが重要です。無断使用は避けてください。
親族会社で相続後に株式の所在が分からない
株主の死亡により株式が相続されると、誰がどれだけの株式を承継したか、権利行使は誰が行うか(複数の相続人による準共有の場合の権利行使者の問題など)が争点になります。出資の経緯や遺産分割の状況の確認が必要です。
対立が起きた直後に避けたい対応
初動を誤ると、立場を悪くしたり、紛争を長期化させたりすることがあります。次のような対応は避けることをおすすめします。
- 事実と異なる、または不正確な議事録を作成しない
- 会社の資料を無断で持ち出さない
- 会社資金を一方的に動かさない
- 相手方・従業員・取引先へ感情的な連絡をしない
- SNSや口コミで相手方を非難しない
- 根拠を確認しないまま登記や解任の手続に進まない
- 会社のシステムへの不正アクセスや無断ログインをしない
証拠の確保は重要ですが、適法に取得・保存できる範囲で行うことが前提です。取得方法に問題があると、かえって不利になることがあります。
相談前に準備したい資料チェックリスト
相談をスムーズに進めるために、次の資料をできる範囲でそろえておくと、見通しを立てやすくなります。すべてがそろっていなくても構いません。
| 区分 | 準備したい資料 |
|---|---|
| 会社の基本情報 | 登記事項証明書、定款 |
| 株式関係 | 株主名簿、株式の取得・譲渡・出資に関する資料、株主間契約 |
| 意思決定 | 株主総会議事録、取締役会議事録、招集通知 |
| 会計関係 | 計算書類、会計帳簿または入出金資料、役員報酬・貸付金・経費の資料 |
| 資金管理 | 会社印・通帳・ネットバンキングの管理状況が分かるメモ |
| やり取りの記録 | 相手方とのメール・チャット・通知書 |
| 関係の整理 | 相談者・会社・相手方・関係会社の関係図、相手方名・会社名・役員名・株主名 |
弁護士に相談するタイミング
弁護士への相談は、結果を保証するためのものではなく、確認できる資料をもとに、取り得る選択肢と対応方針を整理するためのものです。次のような場面では、早めに相談を検討することをおすすめします。
- 株主総会や取締役会を開く前に、招集手続や決議要件を確認したいとき
- 役員の解任や代表取締役の変更を検討しているとき
- 資料の開示を求めたい、または相手方から開示を求められたとき
- 会社資金や会計処理に疑問があるとき
- 新株発行、株式譲渡、相続による株式の承継が問題になっているとき
- 内容証明、通知書、訴訟、仮処分、登記を検討しているとき
- 取引先や従業員への説明が必要になりそうなとき
早い段階で資料を整理しておくと、選択肢を落ち着いて検討しやすくなります。
よくある質問
Q1.株主間で対立したら、まず何を確認すべきですか。
まずは、株式・議決権割合、役員構成、代表権、定款、株主名簿、株主総会・取締役会の議事録、会計資料、相手方とのやり取りの記録を整理することをおすすめします。これらは、誰が会社の意思決定に関与できるか、どの手続が必要かを判断する土台になります。具体的な進め方は事案によって異なります。
Q2.株主名簿や議事録を見せてもらえない場合はどうすればよいですか。
会社法には、株主名簿(第125条)、株主総会議事録(第318条)、取締役会議事録(第371条)、会計帳簿(第433条)について、株主等による閲覧・謄写の請求に関する定めがあります。請求できる人の範囲や要件、会社が拒絶できる場合は資料ごとに異なり、取締役会議事録は機関設計によって裁判所の許可が必要になることもあります。状況に応じて確認が必要です。
Q3.少数株主でも会社資料を確認できますか。
少数株主であっても、一定の要件のもとで計算書類の閲覧や会計帳簿の閲覧・謄写を求められる場合があります。たとえば会計帳簿については、総株主の議決権または発行済株式の一定割合(条文上は100分の3。定款で引き下げ可能)以上を持つことなどが要件とされています。可否は持株割合や請求の理由によって変わります。
Q4.取締役を解任したい場合、すぐに手続できますか。
役員の解任は、機関設計・定款・議決権割合・任期などによって、必要な手続や見通しが変わります。解任に「正当な理由」がない場合、解任された役員から会社に対して損害賠償が請求されることもあります。すぐに手続できるとは限らず、事前の整理が重要です。
Q5.代表取締役が会社の通帳や印鑑を管理している場合、何に注意すべきですか。
まずは、誰が何を管理しているかという事実関係を整理することが大切です。無断での使用や一方的な資金移動は避けてください。後に責任を問われたり、紛争を悪化させたりするおそれがあります。資料は適法に取得・保存できる範囲で確保しましょう。
Q6.議事録の内容が実際と違うと思う場合、どうすればよいですか。
実際の会議と議事録の内容が異なると考えられる場合、まずは事実関係を適法に記録・整理することが出発点になります。そのうえで、決議の効力をめぐる手続を検討することがあります。とり得る手段は事案によって異なるため、確認が必要です。
Q7.弁護士に相談するときは、どの資料を持っていけばよいですか。
登記事項証明書、定款、株主名簿、株式の取得・譲渡・出資に関する資料、株主総会・取締役会の議事録、計算書類、会計帳簿または入出金資料、役員報酬・貸付金・経費の資料、相手方とのやり取りの記録、関係者の関係図などを、できる範囲でお持ちいただくと見通しを立てやすくなります。
Q8.会社側と株主側のどちらからでも相談できますか。
いずれのお立場でも、ご相談をお受けできる場合があります。ただし、株主間・役員間の対立では、相手方や関係会社との関係によって利益相反が生じ、ご相談・ご依頼をお受けできないことがあります。相談予約の際に、会社名・相手方名・関係会社名・役員名をお知らせください。
まとめ
- 株主間・役員間の対立では、最初の資料整理が重要です。
- 株式・議決権割合、役員構成、代表権、定款、株主総会・取締役会議事録、会計資料を確認します。
- 登記には株主名が載らないことが多く、株主名簿・出資資料・定款の確認が欠かせません。
- 手続や権利行使の結論は、機関設計・定款・個別事情によって変わります。
- 虚偽・不正確な記録や、無断での資料持ち出し・資金移動などの不適切な対応は避けます。
- 株主総会・取締役会、登記、通知、訴訟、仮処分に進む前に、資料を整理して相談を検討しましょう。
神戸市・兵庫県周辺で、株主間・役員間の対立、会社内部の意思決定、議事録、会計資料、役員の解任、代表権をめぐる問題にお悩みの場合は、会社名・相手方名・株主構成・役員構成・議事録などの資料を整理してご相談ください。利益相反の確認が必要となるため、相談予約時に関係者名をお知らせください。
監修者・執筆者
弁護士・公認会計士 藤井貴之(神戸みらい法律会計事務所)
所属:兵庫県弁護士会
取扱分野:企業法務、会社内部の紛争、相続、交通事故ほか
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な対応は、資料を確認したうえで個別にご相談ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「会社法」
- e-Gov法令検索「会社法施行規則」
- 法務省「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ」
- 法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求」
- 裁判所「会社関係訴訟・民事保全に関する案内」
- 神戸みらい法律会計事務所「法人のお客様へ」「法律顧問」「弁護士紹介」

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