「会社を設立するので定款を作らなければならないが、何を書けばよいのか分からない」「新しい事業を始めるにあたり、いまの定款のままで大丈夫か確認したい」「会社の定款が見つからず、どこで取り直せるのか分からない」――。定款は、会社を運営するうえで何度も立ち返ることになる基本的な書類ですが、いざ内容を確認したり変更したりしようとすると、手続や必要書類が分かりにくいものです。
この記事では、株式会社の定款について、記載事項の種類、作成と公証人による認証、電子定款と紙の定款の違い、設立後の定款変更と変更登記、原始定款と現行定款の違い、保管・閲覧・紛失時の確認方法までを、会社の設立を検討している方や、既存の会社で定款の見直しを考えている経営者・ご担当者に向けて整理します。結論の方向性を先にお伝えすると、株式会社では設立時に定款の認証が必要で、設立後に内容を変えるときは、変更する事項によって株主総会の決議や変更登記が必要になる場合があります。もっとも、必要な手続は会社の機関設計や変更内容によって異なります。
なお、定款のルールは合同会社や一般社団法人など会社・法人の種類によって異なるため、本記事は株式会社を中心に説明します。また、法令・手数料・登記の取扱いは改正され得るため、本文の記載は2026年7月時点の法令・公的資料に基づくものです。実際の手続の際は、末尾の参考資料に挙げた公式情報もあわせてご確認ください。
「いまの定款で新規事業を始めてよいか」「役員の任期や機関設計を見直したい」といったお悩みはありませんか。まずは、現在保管している定款・登記事項証明書・株主名簿など、手元の資料をご確認ください。何を確認すればよいかの整理からお手伝いできます。
結論:定款を確認する前に整理したい6つのポイント
定款についての疑問は、「設立前か設立後か」「どの手続が必要か」で答えが大きく変わります。まずは次の6点を整理すると、この後の説明が自分のケースにどう当てはまるか分かりやすくなります。
| 確認ポイント | 何を見るか |
|---|---|
| 設立前か設立後か | これから定款を作るのか、すでにある定款を変更するのかで、必要な手続が異なります。 |
| 株式会社か合同会社か | 公証人による認証の要否や変更手続が異なります。本記事は株式会社が対象です。 |
| 原始定款か現行定款か | 設立時に作った定款(原始定款)か、その後の変更を反映した最新版(現行定款)かを区別します。 |
| 変更する事項は登記事項か | 目的・商号・本店・公告方法・機関・役員などは、変更すると登記が必要になる場合があります。 |
| 株主構成・機関設計 | 株主総会の特別決議が成立するか、種類株主の同意が必要かなど、決議要件に影響します。 |
| 必要な手続はどれか | 公証人の認証・株主総会の決議・変更登記のうち、どれが必要かを見極めます。 |
以下では、この6点を意識しながら、定款とは何かという基本から、記載事項、作成・認証、変更、保管・紛失時の対応までを順に説明します。
定款とは何か(会社の基本ルールを定めた書類)
定款とは、会社の目的や組織、運営に関する基本的なルールを定めた書類です。「会社の憲法」と表現されることもありますが、これはあくまで比喩です。定款に書けることは会社法などの法令の枠内に限られ、法令に反する定めは効力を持ちません。定款は会社が自由に何でも決められる万能の書類ではなく、法令が認めた範囲で会社ごとのルールを定めるものだと理解しておくと、後の変更手続も整理しやすくなります。
原始定款と現行定款は別のもの
定款には、大きく分けて二つの状態があります。設立のときに作成し、公証人の認証を受けた最初の定款を原始定款といいます。これに対し、設立後の変更をすべて反映した、現在有効な内容の定款を現行定款と呼びます。
ここで注意したいのは、原始定款を見つけても、その後の変更が反映されているとは限らないという点です。設立から年数が経ち、目的の追加や役員に関する規定の変更などをしている会社では、原始定款と現行定款の内容が食い違っていることがあります。事業承継やM&A、金融機関への提出などで「現在有効な定款」を求められた場合は、変更の履歴を確認したうえで、現行定款を整えておく必要があります。
定款と登記事項証明書は別物
定款と混同されやすいのが、法務局で取得できる登記事項証明書(登記簿謄本)です。両者は次のように役割が異なります。
| 項目 | 定款 | 登記事項証明書 |
|---|---|---|
| 性質 | 会社の基本ルールを定めた内部の書類 | 登記所に登記された事項を証明する公的な書面 |
| 取得できる場所 | 会社が保管(設立時の原始定款は公証役場にも保存) | 法務局(登記所)で誰でも取得可能 |
| 記載される範囲 | 目的・機関設計・株式の内容など、定款で定めた事項全般 | 商号・本店・目的・役員・資本金など、法律で登記が必要とされた事項 |
登記事項証明書には、商号や目的など登記が必要な事項は載りますが、定款で定めたすべての内容が載るわけではありません。逆に、定款には登記されない事項も含まれます。「定款の内容を確認したい」場面で登記事項証明書だけを見て判断すると、必要な情報が抜けてしまうことがあります。
株式会社と合同会社では定款の扱いが違う
定款は会社の種類ごとにルールが異なります。特に、設立時に公証人の認証が必要かどうかが大きな違いです。株式会社の原始定款は公証人の認証が必要ですが、合同会社(持分会社)の定款には、その認証は不要とされています。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立時の定款認証 | 公証人の認証が必要 | 公証人の認証は不要 |
| 出資者の呼び方 | 株主 | 社員(出資者のこと) |
| 運営の基本 | 株主総会・取締役などの機関で運営 | 原則として社員が業務を執行 |
合同会社の設立を検討している場合は、株式会社とは手続や費用が異なります。詳しくは、合同会社の設立についての解説記事をご確認ください。以下では、株式会社の定款に絞って説明します。
定款の記載事項(絶対的・相対的・任意的の3種類)
株式会社の定款に書く事項は、法律上の効果によって絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の3種類に分けられます。この区別を押さえておくと、「書き忘れると何が起きるのか」「後から変更できるのか」が理解しやすくなります。
| 分類 | 意味 | 定款に定めないと | 主な例 |
|---|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 必ず記載しなければならない事項 | 定款全体が無効になる | 目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名又は名称及び住所(会社法第27条) |
| 相対的記載事項 | 定款に定めて初めて効力が生じる事項 | 定款は有効だが、その定めの効力が生じない | 株式の譲渡制限、種類株式、取締役会など機関の設置、取締役の任期の伸長、公告方法、変態設立事項など |
| 任意的記載事項 | 定款に書くかどうかが会社の判断に委ねられる事項 | 効力に影響しない(定款外でも定め得る) | 事業年度、定時株主総会の招集時期、役員の員数、株主総会の議長など |
絶対的記載事項は正確に
絶対的記載事項は、一つでも欠けると定款全体が無効になります(会社法第27条)。特に「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」は、「資本金」や「出資金」とは別の概念です。俗に「出資金額」と略されがちですが、条文どおりの記載が求められます。
発行可能株式総数は、第27条の絶対的記載事項には含まれません。ただし、会社が発行できる株式の上限である発行可能株式総数は、会社の成立の時までに定款で定める必要があります(会社法第37条)。原始定款に定めがない場合は、発起人全員の同意で設定します。「絶対的記載事項ではないから書かなくてよい」という意味ではない点に注意が必要です。
相対的記載事項は「定めておかないと使えない」ルール
相対的記載事項は、定款に定めなくても定款自体は有効ですが、定款に書いておかないとその仕組みを使えない事項です。中小企業の運営で特に重要になりやすいものとして、次のような例があります。
- 株式の譲渡制限……株式の譲渡に会社の承認を必要とする定め。株主を限定したい非公開会社では基本的な条項です(会社法第107条・第108条)。
- 取締役の任期の伸長……公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)は、定款で取締役の任期を選任後10年以内まで伸ばすことができます(会社法第332条第2項)。役員変更登記の頻度に関わります。
- 株主総会の招集通知期間の短縮……招集通知は公開会社で2週間前、公開会社でない株式会社では1週間前が原則ですが、取締役会を置かない会社では、定款でさらに短い期間を定めることができます(会社法第299条第1項)。
- 機関設計……取締役会や監査役などをどう置くかは、定款の定めによります。
- 公告方法……官報・日刊新聞紙・電子公告のいずれによるかを定款で定めます(会社法第939条)。
これらは会社の実情に合わせて設計すべき事項で、ひな形をそのまま使うと、後で「思っていた運営ができない」という事態になりかねません。
任意的記載事項は明確化のための定め
任意的記載事項は、定款に書かなくても効力に影響しませんが、社内のルールを明確にするために定款に記載しておく事項です。事業年度や定時株主総会の招集時期、役員の員数などが典型例です(会社法第29条)。
設立時の定款の作成・認証と費用
株式会社を設立するときは、発起人が定款を作成し(会社法第26条)、その定款について公証人の認証を受けます(会社法第30条)。認証を受けていない原始定款は効力を生じません。認証後、出資の履行などを経て、法務局に設立登記を申請するという流れになります。
紙の定款と電子定款
定款は、紙(書面)で作成する方法と、PDFなどの電磁的記録で作成する電子定款の方法があります。電子定款では、発起人が電子署名を行い、オンラインで認証手続を進めます。内容の適法性などについては公証人による事前確認を経るのが一般的です。
認証手数料と印紙税
費用として押さえておきたいのが、公証人に支払う認証手数料と、紙の定款に必要な収入印紙(印紙税)です。認証手数料は、令和6年(2024年)12月1日から、資本金の額などに応じて次のように定められています。
| 資本金の額等 | 認証手数料 |
|---|---|
| 100万円未満(下記の特例を満たす場合) | 1万5000円 |
| 100万円未満(特例を満たさない場合) | 3万円 |
| 100万円以上300万円未満 | 4万円 |
| 300万円以上 | 5万円 |
1万5000円となる特例は、発起人が全員自然人で3人以下であること、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける発起設立であること、取締役会を置かないことのすべてを満たす場合に適用されます。これらの費用は改定され得るため、実際の手続前には日本公証人連合会の公式情報をご確認ください。
紙の定款と電子定款で、印紙税の負担が変わります。紙の定款には印紙税として収入印紙4万円の貼付が必要ですが、電子定款にはこの収入印紙は不要とされています。ほかに、認証後の定款の謄本交付などに別途手数料がかかります。なお、認証手数料・印紙税は、会社設立の登記で必要となる登録免許税や、弁護士・司法書士などに手続を依頼する場合の報酬とは別の費用です。
定款を作成・見直すときに実務上確認したい条項
定款は、単にひな形の空欄を埋めれば足りるものではありません。次の条項は、後になって「変更したい」「トラブルの原因になった」となりやすいポイントです。作成時にも、既存会社の見直し時にも確認しておくと安心です。
- 目的……将来行う可能性のある事業を含められているか。許認可が必要な事業では、目的の記載が要件になることがあります。
- 本店の所在地……定款で最小行政区画(市区町村)まで定めるか、具体的な住所まで定めるかにより、移転時に定款変更が必要になる範囲が変わります。
- 株式の譲渡制限……株主を限定したい会社では、譲渡制限の有無と承認機関を確認します。
- 発行可能株式総数……将来の増資(新株発行)に対応できる枠になっているか。
- 機関設計・役員の任期……取締役会や監査役を置くか、任期をどうするか。共同創業や事業承継の想定と整合しているか。
- 公告方法・事業年度……実際の運営や決算の実情に合っているか。
これらは、共同創業者間の役割分担、将来の資金調達、事業承継といった会社の先々の計画と結びついています。設立時の設計が、数年後の変更手続の負担や、株主間の関係に影響することがあります。
「この条項のままで将来の増資や事業承継に対応できるか」を判断するには、定款と株主構成をあわせて確認する必要があります。資料を確認することで、変更すべき条項と変更しなくてよい条項を整理しやすくなります。ご自身での判断が難しい場合は、定款と登記事項証明書をお手元にご相談ください。
設立後の定款変更(決議・登記・現行定款の整備)
設立後に定款の内容を変えるときは、「定款変更の決議」「変更登記」「社内で保管する現行定款の更新」の三つを分けて考えると混乱しません。これらは連動することもありますが、常にすべてが必要になるわけではありません。
定款変更は原則として株主総会の特別決議
定款の変更は、原則として株主総会の決議によります(会社法第466条)。この決議は、通常の決議より要件が重い特別決議で、議決権の過半数を有する株主が出席し(定款で緩和・加重が可能)、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です(会社法第309条第2項)。
ただし、変更する内容によっては、特別決議に加えて、ある種類の株主による種類株主総会の決議や、特定の株主の同意が必要になる場合があります。また、決議した日と変更の効力が生じる日が異なることもあります。変更を決議したときは、内容に応じて株主総会議事録を作成し、変更を反映した現行定款を整えておきます。なお、通常の定款変更では、原始定款のように公証人の認証を改めて受ける必要はありません。
変更登記が必要な場合・不要な場合
ここが特に誤解されやすい点ですが、「定款を変更したら必ず登記が必要」というわけではありません。定款変更のうち、登記事項にあたる事項を変更したときに登記が必要になります。
| 区分 | 主な例 | 変更登記 |
|---|---|---|
| 登記事項にあたる | 商号、目的、本店の所在地、公告方法、発行可能株式総数、機関設計、役員に関する事項など | 原則として必要 |
| 通常は登記事項でない | 事業年度、定時株主総会の招集時期、株主総会の議長に関する定めなど | 原則として不要(定款・議事録の整備は必要) |
登記の期限と過料
登記が必要な事項を変更したときは、原則として変更が生じた時から2週間以内に本店所在地で変更登記を申請しなければなりません(会社法第915条第1項)。この登記を怠ると、会社の代表者などが100万円以下の過料の対象となることがあります(会社法第976条第1号)。従来の記事で「期間制限に違反すると過料」とだけ書かれていることがありますが、起算点(変更が生じた時)と期限(2週間)を意識しておくことが大切です。
さらに、定款変更の内容によっては、登記とは別に、税務署・許認可を所管する官公庁・金融機関・取引先などへの届出が必要になることもあります。「株主総会で決議した」だけで手続が完了したと考えず、登記と各種届出を含めて確認する必要があります。
定款の保管・閲覧・紛失時の確認方法
会社は、定款を本店と支店に備え置かなければなりません(会社法第31条第1項)。定款が電磁的記録で作成されている場合には、支店での備置きに関する例外があります。株主および会社の債権者は、会社の営業時間内はいつでも、定款の閲覧や、費用を支払ったうえでの謄本・抄本の交付などを請求することができます(同条第2項)。
「定款は法務局で取得できる」という誤解
「定款も法務局で取れる」と思われがちですが、法務局(登記所)で取得できるのは、原則として登記事項証明書であって、定款そのものではありません。設立時の原始定款は公証役場にも保存されており、一定の範囲で閲覧や謄本の請求ができますが、請求できる人や保存期間には条件があります。また、公証役場で確認できるのはあくまで設立時の原始定款であり、その後の変更が反映されているとは限りません。
定款を紛失したとき
現在の定款が見当たらない場合、まず社内で保管状況を確認し、次のような資料を照らし合わせて現行定款を再構成していくことになります。
- 設立時の原始定款(公証役場での確認を含む)
- これまでの定款変更に関する株主総会議事録
- 登記事項証明書(登記されている事項の確認)
- 株主名簿や株式の内容が分かる資料
ただし、議事録や変更の履歴がそろっていないと、現在有効な定款の内容を正確に復元できないことがあります。事業承継や重要な取引を控えている場合は、早めに資料を確認しておくことが大切です。
よく問題になる場面
定款に関して実際に確認が必要となりやすいのは、次のような場面です。いずれも、定款・議事録・登記事項証明書などを確認しないと結論が出ない点に注意が必要です。
- 新規事業を始めたいが、現在の目的に含まれているか分からない……目的の追加(定款変更・登記)が必要か確認します。
- 本店を移転する……定款の本店所在地の定め方によって、定款変更が必要かどうかが変わります。
- 取締役を減らす、取締役会を廃止する……機関設計の変更にあたり、定款変更と登記が関わります。取締役の減員についての解説記事もあわせてご確認ください。
- 共同創業者間で株式や議決権が問題になった……株式の内容や譲渡制限、機関設計の見直しが検討課題になります。
- 事業承継やM&Aの前に定款を確認したい……現行定款の整備状況が、手続の前提になります。
- 原始定款はあるが、その後の変更が反映されていない……変更履歴を確認し、現行定款を整える必要があります。
- 株主総会で決議したが、変更登記をしていない……登記懈怠による過料のリスクを確認します。
手続前に確認したい資料チェックリスト
定款の作成・変更・確認を進める前に、次の資料を整理しておくと、必要な手続の見通しが立てやすくなります。すべての事案で全部が必要になるわけではなく、目的に応じて必要なものを確認します。
- 現在保管している定款……原始定款か、変更を反映した現行定款かを確認します。
- 登記事項証明書……商号・目的・役員・資本金など、登記されている事項を確認します。
- 定款変更に関する株主総会議事録……これまでの変更の履歴をたどる資料になります。
- 株主名簿・株式の内容が分かる資料……決議要件や種類株式の有無を確認します。
- 役員構成が分かる資料……任期や機関設計の確認に用います。
- 予定している変更の内容……目的追加・本店移転・機関変更など、何を変えたいかを整理します。
- 新規事業や許認可に関する資料……目的の記載が要件を満たすかを確認します。
- 事業承継・株式譲渡・M&Aに関する資料や、金融機関・行政機関から求められた書類……提出先が求める定款の要件を確認します。
弁護士に相談するタイミング
定款は、ひな形をそのまま使っても形式上は作成できますが、会社の実情や将来の計画に合っているかは別の問題です。次のような場面では、資料を確認したうえで対応方針を整理することが役立ちます。相談によって手続の結果を保証できるものではありませんが、必要な決議・登記・定款整備の見通しを早い段階で把握できる点に意味があります。
- 現行定款を確認し、変更する条項と変更しなくてよい条項を整理したい。
- 株主構成をふまえ、特別決議などの要件を満たせるか確認したい。
- 変更内容について、登記が必要かどうかを確認したい。
- 株主総会議事録案や定款案の内容に、法的な不整合がないか確認したい。
- 株式・機関・役員・事業承継などが、定款の内容とどう関係するか整理したい。
- 将来の株主間の紛争を避けるために、条項を見直しておきたい。
なお、定款の認証手続そのものは公証人が、登記の申請は事案によって司法書士などが関与することがあります。会社法上の論点の検討と、これらの手続との関係を整理するうえで、弁護士への相談を活用いただけます。
よくある質問(FAQ)
- 定款とは何ですか。
- 会社の目的・組織・運営に関する基本的なルールを定めた書類です。「会社の憲法」と呼ばれることもありますが、定められる内容は会社法などの法令の範囲内に限られます。株式会社では、設立時に作成し、公証人の認証を受ける必要があります。
- 株式会社の定款には何を記載しますか。
- 記載事項は、必ず書かなければならない絶対的記載事項(目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名等)、定めて初めて効力が生じる相対的記載事項(株式の譲渡制限、機関設計、公告方法など)、任意的記載事項(事業年度など)の3種類に分けられます。会社の実情により、定めるべき内容は異なります。
- 株式会社の定款は必ず公証人の認証が必要ですか。
- 株式会社の設立時の原始定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(会社法第30条)。一方、合同会社などの持分会社では、この認証は不要とされています。なお、設立後の通常の定款変更では、改めて公証人の認証を受ける必要はありません。
- 電子定款と紙の定款は何が違いますか。
- 紙の定款は書面で作成しますが、電子定款はPDFなどの電磁的記録で作成し、電子署名を用いてオンラインで手続します。紙の定款には印紙税として収入印紙4万円が必要ですが、電子定款には不要とされています。公証人の認証手数料自体は、作成方法による差はありません。
- 定款を変更したら必ず登記が必要ですか。
- いいえ。定款変更のうち、登記事項にあたる事項(商号・目的・本店・公告方法・機関・役員など)を変更したときに、登記が必要になります。事業年度など登記事項でない事項の変更では、原則として登記は不要ですが、定款や議事録の整備は必要です。登記が必要な場合は、原則として変更が生じた時から2週間以内に申請します(会社法第915条第1項)。
- 定款は法務局で取得できますか。
- 法務局(登記所)で取得できるのは、原則として登記事項証明書であって、定款そのものではありません。設立時の原始定款は公証役場にも保存されており、一定の条件のもとで閲覧・謄本請求ができますが、その後の変更が反映されているとは限りません。現在有効な内容は、会社が保管する現行定款で確認します。
- 定款を紛失した場合はどうすればよいですか。
- まず社内での保管状況を確認したうえで、設立時の原始定款(公証役場での確認を含む)、定款変更に関する株主総会議事録、登記事項証明書などを照らし合わせて、現行定款を再構成していきます。ただし、変更の履歴がそろっていないと正確な復元が難しい場合があるため、重要な取引を控えているときは早めの確認をおすすめします。
まとめ
- 定款は会社の基本ルールを定めた書類で、書ける内容は法令の範囲内に限られます。株式会社では設立時に公証人の認証が必要です。
- 記載事項は絶対的・相対的・任意的の3種類に分かれ、それぞれ「書かないとどうなるか」が異なります。
- 認証手数料は資本金の額などに応じて1万5000円〜5万円(2026年7月時点)。紙の定款には印紙税4万円が必要ですが、電子定款は不要です。
- 設立後の定款変更は、原則として株主総会の特別決議によります。「定款変更」「変更登記」「現行定款の更新」は分けて考えます。
- 登記事項を変更したときは、原則として2週間以内に変更登記が必要で、怠ると過料の対象になることがあります。
- 法務局で取得できるのは登記事項証明書であり、定款そのものではありません。紛失時は原始定款・議事録・登記事項証明書などを照合します。
- 必要な手続は会社の機関設計や変更内容によって異なるため、定款・議事録・登記事項証明書を確認したうえで判断することが大切です。
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執筆者・監修者
藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所 代表弁護士・公認会計士
兵庫県弁護士会所属・日本公認会計士協会兵庫会所属
2012年(平成24年)司法試験合格、2013年弁護士登録。2020年(令和2年)公認会計士試験合格。兵庫県・山口県・東京都での実務経験を経て、2023年に淡路島(南あわじ市)へ事務所を開設。企業法務・会社法に関するご相談のほか、相続・交通事故・離婚・労働問題など、個人・法人のご相談に対応しています。

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