税務調査で修正申告を求められたら|提出前に確認すべきこと |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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税務調査で修正申告を求められたら|提出前に確認すべきこと

税務調査の結果について説明を受けた際、税務署の職員から修正申告を勧められることがあります。修正申告に応じるかどうかは納税者が判断するもので、提出は義務ではありません。もっとも、応じなければ調査結果に基づいて更正処分が行われることになるため、一律に拒否すればよいわけではなく、内容を理解しないまま提出することもおすすめできません。修正申告で追加の本税を納める場合、その納期限は原則として提出した日です。どこまで認め、どこを争うかは指摘の内容と証拠によって異なるため、提出の前に、指摘の根拠と争点、裏付けとなる証拠、追加の税額と納付の準備、その後の救済手続を確認しておくことが大切です。

修正申告を提出する前に確認したいこと

  • 税務署の指摘が、事実認定・法律解釈・計算のどれに関わるのか
  • 指摘を裏付ける資料と、当方の説明を裏付ける資料
  • 本税・加算税・延滞税の内訳と、それぞれの納期限
  • 一度に納められない場合の猶予の要件と申請の時期
  • 提出後の更正の請求と、更正処分を受けた場合の不服申立て

修正申告の勧奨と更正処分は何が違うのか

修正申告に応じるかは任意

修正申告は、すでに提出した申告書の税額に不足がある場合などに、納税者自身がその内容を訂正するために提出する申告です(国税通則法第19条)。純損失等の金額や還付金の額が過大だった場合の訂正も含みますが、本記事では追加の納税が生じる場合を中心に説明します。これに対し、更正は、税務署長が調査に基づいて申告の課税標準や税額を改める処分です(同法第24条)。

調査の結果、更正等をすべきと認める場合、税務署の職員は調査結果の内容を説明し、その際に修正申告を勧奨することができます(国税通則法第74条の11第2項・第3項)。国税庁の税務調査手続に関するFAQは、勧奨に応じるかどうかは納税者の任意であること、応じない場合には調査結果に基づいて更正等が行われること、応じなかったことを理由として、応じた場合より不利に扱われることは基本的にはないことを説明しています。

ただし、これは、応じなければ不利益がまったく生じないという意味でも、拒否するほうが常に得策であるという意味でもありません。更正処分がされれば追加の税額を納付すべきことになり、加算税や延滞税の問題も生じます。また、勧奨に応じるかどうかの判断は、調査への協力や、適法な質問・検査への対応とは別の問題です。

調査結果の説明と交付書面を区別する

同じFAQによれば、調査結果の説明は原則として口頭で行われ、希望すれば調査結果を記載した書面が交付されるとは限りません。説明を受けたら、日時、説明した職員、指摘された税目・年度・項目、金額、理由をメモに残し、作成した日と誰から聞いた内容かも書いておきます。説明に用いられた資料があれば、それも保管します。

一方、修正申告を勧奨する場合、職員は、修正申告書を提出すると不服申立てはできないが更正の請求はできることを説明し、その旨を記載した書面を交付しなければなりません(国税通則法第74条の11第3項)。この書面は修正申告の法的な効果を知らせるもので、調査結果の内容を記載した書面ではありません。また、書面を受け取っただけで修正申告をしたことにはなりません。修正申告は、修正申告書を提出することによって行うものです。

事前通知を受けた段階での準備や調査当日の対応は、税務調査の事前通知を受けた段階での準備で解説しています。

納得できない指摘を事実認定・法律解釈・計算に分ける

何が争点なのかを1項目ずつ整理する

「納得できない」という受け止めのままでは、税務署にも相談先にも、何をどう争うのかが伝わりません。指摘を税目・年度ごと、さらに指摘項目ごとに分け、税務署が認定した事実、適用された条文や通達等、増減する金額、当方の説明、裏付けとなる資料、まだ確認できていない点を対応させます。争点は、次の3つの区分で整理すると見通しを立てやすくなります。

指摘を整理する3つの区分
区分 確認する内容 照合する資料
事実認定 取引が実際にあったか、いつ、誰との取引か。税務署が認定した事実が実態と合っているか 契約書、納品記録、請求書、入出金の記録など
法律解釈・評価 前提となる事実について、どの条文や通達等が適用され、どう評価されるか 税務署が示した条文や通達等、当方の解釈を支える法令や公表資料
計算 税目・年度・金額の転記、二重計上、計算の前提に誤りがないか 修正申告書の案と計算明細、総勘定元帳などの帳簿、当初の申告書

この表は整理の目安で、税目ごとの結論がこの区分だけで決まるわけではありません。契約書があっても、実際の履行や入出金と食い違っていれば、それだけでは十分な裏付けにならないことがあります。当方に不利な資料も含めて検討し、説明が付く点と認めざるを得ない点を見極めます。資料は原本や電子データのまま保存し、後から作り直したり、書き換えたり、処分したりしないでください。

認める点と確認中の点を分けて回答を準備する

指摘の全部に応じるか、全部を拒むかの二択で考える必要はありません。同じ調査の指摘の中に、明らかな計上漏れや計算誤りのように当方も誤りと認める点と、重要な事実や法的評価に争いが残る点とが混在することがあります。争点ごとに、認める点、確認中の点、争う点を分け、確認に必要な事項と回答の予定日を税務署の担当者と共有します。

確認したい事項と理由を示して検討の時間を求め、具体的な回答予定日を調整することは、実務上の対応として考えられます。ただし、回答を待ってもらうことが法律上の権利として保障されているわけではなく、更正処分の手続が止まるわけでもありません。認める部分だけを反映した修正申告とするか、その場合に残りの指摘がどう扱われるかは、指摘の内容と調査の状況に応じて個別に検討する必要があります。修正申告書に不服の意思を書き添えても、修正申告が不服申立ての対象になるわけではありません。

当方も誤りと認める点については、修正申告に応じることが合理的な場合があります。その場合も、修正後の税額の計算、加算税の種類、納付の準備は提出前に確認します。重要な事実や法的評価に争いが残る点については、修正申告をした後に減額を求めるには更正の請求の要件を満たす必要があることを踏まえ、更正処分を受けて不服申立てで争う経路と比べて検討します。

修正申告に応じる場合と更正処分を受ける場合

修正申告に応じた場合と、応じずに更正処分を受けた場合とでは、その後に使える救済手続や、追加の本税の納期限が異なります。

修正申告と更正処分の主な違い(追加の納税が生じる場合)
確認事項 修正申告 更正処分
行為の主体 納税者が修正申告書を提出する(国税通則法第19条) 税務署長が調査に基づいて行う処分(国税通則法第24条)
救済の経路 修正申告自体には不服申立てができない。要件を満たせば更正の請求ができる 原則として、再調査の請求又は審査請求を選択できる
手続の期限 更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内(例外・特則あり) 原則として、更正の通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内
追加の本税の納期限 原則として、修正申告書を提出した日 原則として、更正通知書が発せられた日の翌日から起算して1か月を経過する日

納期限は通知書が「発せられた日」を、不服申立ての期間は通知を「受けた日」を基準に数えるため、起算点が異なります。どちらの対応が適切かは、争点の内容、証拠の状況、手続に要する費用と時間、納付資金の計画によって異なり、この表だけで決まるものではありません。

修正申告後は更正の請求の要件と期限を確認する

修正申告は納税者自身の申告であり、税務署長の処分ではないため、修正申告そのものについて再調査の請求や審査請求をすることはできません。ただし、申告した税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことや、計算に誤りがあったことにより、税額が過大である場合などには、更正の請求をすることができます(国税通則法第23条第1項)。

もっとも、後から納得できなくなったというだけで税額が減る制度ではありません。更正請求書には、更正前と更正後の課税標準や税額、請求の理由、請求をするに至った事情の詳細などを記載する必要があり(同条第3項)、理由を裏付ける資料も求められます。税務署長は調査のうえ、更正をするか、更正をすべき理由がない旨を通知します(同条第4項)。理由がない旨の通知に不服があれば、その通知について不服申立てをすることができます(国税庁の不服申立ての対象となる処分の案内)。

通常の更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内で、修正申告書を提出した日から数えるものではありません。ただし、法人税の純損失等の金額に係る一定の場合には期間が異なり、一定の後発的な事由がある場合の更正の請求(同条第2項)や税目ごとの特則もあるため、税目と事由に応じて期限を確認します。また、更正の請求をしても、原則として、納付すべき税の徴収は猶予されません(同条第5項)。

更正処分には不服申立ての経路がある

修正申告に応じなかった場合、税務署長は調査結果に基づいて更正処分をします。更正の理由と、それを支える証拠を検討し、不服があるときは、原則として、処分をした税務署長に対する再調査の請求と、国税不服審判所長に対する審査請求のいずれかを選ぶことができます(国税通則法第75条)。

最初の不服申立ては、原則として更正の通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内にする必要があり、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときも、正当な理由がない限りすることができません(同法第77条)。再調査の請求をした後に審査請求をする場合の期間は、別に定められています。具体的な期限は、通知書に記載された教示と、国税不服審判所の不服申立手続の案内で確認してください。

不服申立てをしても、処分の効力や徴収の手続は原則として止まりません。差し押さえた財産の換価が原則として制限されるなどの定めはありますが(同法第105条)、納付や徴収が自動的に停止するわけではないため、納付の方法は別に検討します。更正処分を待つことを、納付を先送りする手段として選ぶことはおすすめしません。争点と証拠の見通し、手続に要する費用と時間、資金計画を併せて判断します。

加算税の処分は本税と分けて検討する

修正申告や更正によって追加の本税が生じると、過少申告加算税などの加算税が、本税とは別の処分である税務署長の賦課決定によって課されることがあります。そのため、修正申告をした場合でも、加算税の賦課決定に不服があれば、その処分について不服申立てができます(国税庁「『不服申立て』ができる場合、できない場合」)。もっとも、加算税について不服申立てをしても、修正申告で確定した本税が当然に減額されるわけではありません。本税の減額を求めるには、更正の請求の要件を検討します。

また、調査結果の説明を受けた後に修正申告をしても、それだけで加算税が課されなくなるわけではありません。過少申告加算税は、修正申告が調査の通知の前か後か、更正があるべきことを予知してされたものかなどによって取扱いが分かれます(国税通則法第65条)。重加算税は、課税標準等や税額等の計算の基礎となるべき事実の隠蔽・仮装と、それに基づく申告書の提出などの要件を満たす場合に課されるもので(同法第68条)、修正申告に応じないこと自体がその要件になるわけではありません。本税の指摘を認める場合でも、隠蔽・仮装の認定に争いがあれば、加算税の処分は別に検討します。

本税・加算税・延滞税と納付時期を別々に確認する

追加税額の内訳と納期限を確かめる

追加で納める金額は、本税、加算税、延滞税に分けて確認します。それぞれ性質も、金額が確定する時期も、納期限も異なるため、総額だけを見て資金を準備すると、納期限を取り違えるおそれがあります。

本税・加算税・延滞税の確認事項
区分 確認する内容 納付時期の注意
本税 税目・年度ごとに、修正申告又は更正によって追加で納める税額 修正申告では原則として提出した日が納期限となるため、提出日までに納付資金を用意する
加算税 過少申告加算税・重加算税などの種類と、計算の基礎となる税額 過少申告加算税・無申告加算税(これらに代えて課される重加算税を含む)は、賦課決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1か月を経過する日が納期限(国税通則法第35条第3項)
延滞税 本税について、本来の法定納期限の翌日から完納する日までの期間に応じて計算される(国税通則法第60条)。加算税には課されない 修正申告の提出日に本税を納めても、それ以前の期間について生じ得る。本税を納める日によって金額が変わる

延滞税には、一定の期間を計算の対象から除く特例がありますが(国税通則法第61条)、不正の行為により税を免れた場合などには適用されないことがあります。詳しくは、国税庁の延滞税の対象と計算期間の特例の案内で確認できます。なお、源泉所得税に係る不納付加算税など、本記事で扱っていない税目や加算税には別の定めがあります。

一度に納められない場合は提出前から相談する

追加の税額を一度に納めることが難しい場合には、納税の猶予や換価の猶予の制度があります(国税庁の国税を期限内に納付できない場合の制度の案内)。いずれも要件があり、申請すれば認められるとは限りません。資金が足りないというだけで、自動的に分割して納められるわけでもありません。

特に、法定申告期限から1年を経過した日以後に税額が確定した場合の納税の猶予は、原則として、その国税の納期限までに申請する必要があります(国税通則法第46条第3項)。修正申告では本税の納期限が原則として提出した日となるため、提出後に相談を始めたのでは間に合わないことがあります。やむを得ない理由があると認められる場合には納期限後の申請が認められることもありますが、例外的な扱いです。

納付の見通しが立たないときは、修正申告書を提出する前から、顧問税理士と所轄税務署の徴収担当に相談し、申請の準備を進めておくことが考えられます。手続の概要は、国税庁の一定期間後に税額が確定した場合の納税猶予の案内で確認できます。

顧問税理士と弁護士の分担と相談に持参する資料

顧問税理士がいても法的な争点を相談できる

顧問税理士には、当初の申告に至った経緯、帳簿と修正申告書の案との照合、追加の税額や関連する申告への影響を確認します。弁護士には、事実認定や法的な争点の見立て、証拠の整理、更正の請求や不服申立てといった手続の選択を相談する、という分担が考えられます。もっとも、税理士も税法の解釈や不服申立ての手続に関与することがあり、役割は固定したものではありません。同じ資料を共有し、連携して確認することが大切です。

申告書の作成や税務代理を誰が担当するかは、資格や登録、委任の範囲によって異なります。弁護士が所属弁護士会を経て国税局長に通知することにより税理士業務を行う制度もありますが(税理士法第51条。国税庁の国税局長に通知を行った弁護士の案内)、弁護士や公認会計士の資格があることだけで、申告書の作成や税務代理まで担当できるとは限りません。担当の範囲は相談の際に確認してください。役割分担の考え方は、税務調査における税理士と弁護士・公認会計士の役割でも解説しています。

手元にある資料と回答期限を伝える

相談の際は、次の資料のうち手元にあるものをご用意ください。すべてそろうまで相談を待つ必要はありません。回答の予定日や納期限が近い場合は、そろっている範囲で相談するほうが、検討に使える時間を確保できます。

  • 税務署から受け取った書面、説明に用いられた資料(ある場合)と説明内容のメモ:指摘の内容と理由を確認するため
  • 税務署との連絡の記録と、回答を求められている日:経緯と回答の期限を確認するため
  • 提出前の修正申告書の案と計算明細:追加の税額と計算の前提を確認するため
  • 当初の申告書、過去の修正申告書、決算書:当初の申告内容と比べるため
  • 争点に関係する契約書、帳簿、請求書、入出金の資料:事実関係を裏付け、又は検証するため
  • 調査の際に提出した資料や説明書面の控え:税務署に何を示したかを確認するため
  • 資金繰りの資料:納付の見込みと猶予の申請の要否を検討するため

相続人の方は、指摘に関係する財産の内容や評価、資金の移動に関する資料も用意します。相続税の調査に向けた準備は、相続税の税務調査に備える資料と確認事項で解説しています。また、顧問税理士が修正申告書の案を作成している場合は、その案がまだ提出されていないか、最終的な内容を誰が確認し、いつ提出するのかを確認しておきます。

よくある質問

調査の場で、修正申告をするかどうかすぐに答えるよう求められたら、どうすればよいですか。

内容を確認できていない段階で、その場で結論を出す必要はありません。確認したい事項と理由を伝え、いつまでに回答するかを具体的に調整することが考えられます。ただし、回答を待ってもらうことは法律上の権利として保障されたものではなく、更正処分の手続が進むこともあるため、連絡を絶たずに検討を進めます。

修正申告の提出を顧問税理士に任せている場合は、何に注意すればよいですか。

顧問税理士が税務代理人になっている場合、実地の調査では、納税者の同意があれば、調査結果の説明や書面の交付が税理士に対して行われることがあります(国税通則法第74条の11)。説明の内容や受け取った書面を税理士から確認し、納得できない点は修正申告書を提出する前に相談してください。

修正申告を提出したら、その後は何も争えないのですか。

修正申告そのものに不服申立てはできませんが、要件を満たせば、原則として法定申告期限から5年以内に更正の請求ができます。加算税の賦課決定は、別の処分として不服申立ての対象になります。ただし、更正の請求には正しい税額と理由を裏付ける資料が必要で、認められるとは限りません。

修正申告を提出する前に、指摘の根拠と対応方針を整理したい方へ

税務調査の結果説明を受け、修正申告への回答を求められている段階で、税務署の指摘の根拠を確認し、認める点と争点、納付の準備を整理するご相談をお受けしています。税務署から受け取った書面や説明のメモ、修正申告書の案、回答を求められている日をお知らせください。資料がすべてそろっていなくてもご相談いただけます。

相談のお申込みによって、税務署への回答の予定日、納期限、不服申立ての期間が延びるわけではありません。また、お問い合わせフォームの送信によって、ご依頼(委任契約)が成立するものではありません。

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参考資料

本記事は一般的な情報の提供を目的とするものです。個別の事案については、指摘の内容と資料を確認したうえで判断する必要があり、課税関係は対象となる年分や事業年度に適用される法令によって異なることがあります。

情報基準日:2026年10月17日

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