更正通知書が届いたら|再調査の請求と審査請求の選び方・期限 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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更正通知書が届いたら|再調査の請求と審査請求の選び方・期限

税務調査の後に、税務署長などから更正通知書や加算税の賦課決定通知書が届き、その内容に納得できない場合は、不服申立て(再調査の請求又は審査請求)によって処分の取消しや変更を求めることができます。ただし、不服申立てには期限があり、何を争うのかを処分ごとに特定する必要があります。

結論として、まず通知を受けた日と対象となる処分を確認し、原則3か月の申立期限を管理します。再調査の請求は必須ではなく、最初から国税不服審判所に審査請求をすること(直接審査請求)も選べます。そのうえで、本税と加算税を税目・年分等ごとに特定し、処分の理由に対する反論と資料を整理します。どの手続を選び、どこまで争うかは、処分の理由と手元の資料によって異なります。

期限と手続の要点

  • 最初の不服申立ては、通知を受けた日の翌日から原則3か月以内です。通知書に記載された日付や、開封した日が基準になるとは限りません。
  • 再調査の請求を選んだ場合、その決定後の審査請求は、再調査決定書の謄本の送達を受けた日の翌日から原則1か月以内です。
  • 不服申立てをしても、納税や徴収の手続は原則として止まりません。納期限は、申立期限とは別に確認します。
  • 申立書では、取消しを求める範囲と処分の理由に対する反論を分けて書き、主張ごとに資料を対応させます。

申立期限が近い場合は、資料がそろうのを待たずに、期限の確認と相談の予約を検討してください。税務署への問合せや相談の予約をしても、申立期限は延びません。相談の予約はお問い合わせページから行えます。

更正通知書を受け取ったら、最初に確認すること

不服申立ての対象となるのは、税務署長等が行った処分です。更正、決定、加算税の賦課決定は、それぞれ不服申立ての対象となり得ます(国税通則法第75条)。通知書を受け取ったら、内容の当否を検討する前に、通知を受けた日、対象となる処分、納期限の三つを別々に記録します。

これに対し、自分で提出した修正申告は処分ではないため、修正申告そのものは不服申立ての対象になりません。申告した税額が過大であった場合の是正には、更正の請求という別の手続があります。修正申告の後に加算税の賦課決定を受けた場合は、その賦課決定について別に検討します(不服申立てができる場合、できない場合(国税庁))。なお、本記事は国税の処分を扱うもので、住民税などの地方税の処分には、ここでの説明をそのまま当てはめることはできません。

通知書と封筒を保存し、本税・加算税を分ける

通知書は全頁を保存し、処分の理由を記載した別紙、封筒、配達の記録(追跡番号など)も保管します。誰が、いつ、どのように受け取ったかも記録しておきます。あわせて、当初の申告書と、提出していれば修正申告書を手元にそろえます。

一通の通知書に本税の更正と加算税の賦課決定がまとめて記載されていても、両者は別の処分です。処分ごとに次の項目を一覧にしておくと、申立書の作成と期限の管理の両方に使えます。

  • 処分をした税務署長等(原処分庁)と、通知書に記載された教示(不服申立ての方法についての案内)や付記の内容
  • 税目(所得税、法人税、消費税、相続税など)と、年分・事業年度・課税期間
  • 処分の名称(更正、決定、加算税の種類ごとの賦課決定)
  • 通知書に記載された日付と、通知を受けた日
  • 不服申立ての期限と納期限
  • 争う範囲(処分の全部か、一部か)

本税の更正だけを記載して申し立てても、加算税の賦課決定まで当然に争ったことにはなりません。加算税も争うのであれば、その賦課決定も対象として特定します。一通の申立書にまとめるか分けるかにかかわらず、対象とする処分は一つずつ特定して記載します。また、国税局の職員の調査に基づく旨が付記されている場合など、原処分庁や申立ての提出先が通常と異なることがあるため、通知書の教示と付記を確認します(国税通則法第75条第2項)。

原則3か月と再調査後1か月の期限

最初の不服申立ては、再調査の請求と直接審査請求のどちらを選ぶ場合も、処分があったことを知った日(通知を受けた場合は、その受けた日)の翌日から起算して原則3か月以内にする必要があります(国税通則法第77条第1項)。起算点は通知を受けた日であり、通知書に記載された日付や、本人が実際に開封した日と同じとは限りません。家族や従業員が受け取った場合も含め、通知書がいつ届いたのかを確認します。手続の全体像は国税庁の不服申立手続案内でも確認できます。

表1 不服申立ての期限(通常の課税処分の場合)
手続 起算点 原則の期間 注意点
最初の再調査の請求 通知を受けた日の翌日 3か月 処分をした税務署長等に対する申立てです。提出先は通知書の教示で確認します。
直接審査請求 通知を受けた日の翌日 3か月 再調査の請求を経ずに、国税不服審判所長に対して申し立てます。提出先は原処分庁の管轄によって決まります。
再調査決定後の審査請求 再調査決定書の謄本の送達を受けた日の翌日 1か月 対象は再調査の決定を経た後の原処分であり、決定そのものではありません。再調査の請求が不適法であった場合は、この経路が当然に確保されるわけではありません。

期間は暦に従って計算し、3か月を90日、1か月を30日と置き換えることはしません。例えば、10月20日に通知を受けた場合、起算日は10月21日で、3か月の期間は翌年1月20日に満了します。期限の末日が土曜日、日曜日、祝日などの休日等に当たるときは、休日等の翌日(休日等が続く場合は、その最後の日の翌日)が期限となります(国税通則法第10条、同法施行令第2条)。

郵便又は信書便で送付した場合は、原則として、郵便物等の通信日付印に表示された日に提出されたものとみなされます(国税通則法第77条第4項・第22条)。それ以外の配送方法にはこの扱いが当てはまらないため、期限直前の発送は避けます。

国税通則法第77条第3項には、処分があった日の翌日から起算して1年を経過すると不服申立てができないとする規定もあります(正当な理由がある場合を除きます)。もっとも、国税庁の不服審査基本通達(国税不服審判所関係)は、行政上の取扱いとして、処分の相手方には第1項の3か月の規定を適用し、第3項は適用しないとしています(不服申立期間に関する国税庁の取扱い)。更正通知書などを受け取った方は、「1年以内なら間に合う」と考えるのではなく、受領日から数えた3か月を期限として管理します。

3か月や1か月の期限には、正当な理由がある場合の例外があります。国税庁の通達では、例えば、誤って法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示され、その期間内に申し立てた場合や、本人の責めに帰すことができない災害などにより、期間内の提出が客観的に不可能であった場合が挙げられています。これとは別に、災害等による期限の延長の制度もあります(国税通則法第11条)。他方で、多忙や期限の失念、税務署と話合いを続けていたことだけで、期限後の申立てが当然に認められるわけではありません。期限を過ぎた可能性があるときは、その経緯を直ちに記録し、早めに相談してください。

差押えや公売などの滞納処分に対する不服申立てには、国税徴収法第171条による期限の特例があり、公売期日等との関係で通常より早く期限が来ることがあります。到達の時期や休日の扱いも通常の課税処分と同じとは限らないため、表1を当てはめず、個別に確認してください(滞納処分を含む審査請求の期限)。

不服申立てと納税の期限は別に確認する

不服申立てをしても、処分の効力、処分の執行、手続の続行は、原則として妨げられません(国税通則法第105条第1項)。申立てをしただけで納税が自動的に猶予されるわけではなく、納期限は、申立期限とは別の規定(同法第35条等)によって定まります。

他方で、その国税の徴収のために差し押さえた財産の換価(公売等による売却)は、財産の価額が著しく減少するおそれがある場合などの例外を除き、再調査の決定又は裁決があるまでできません(同項ただし書)。また、徴収の猶予、滞納処分の続行の停止、担保を提供したうえでの差押えの差控えや解除といった手続もありますが(同条第2項以下)、不服申立てとは別に、それぞれの規定に基づいて判断されます。

このように、「申立てさえすれば納付しなくてよい」とも、「徴収の手続は一切止まらない」とも言い切れません。税務署からの書類で納期限を確認し、資金繰りの見通しとあわせて、申立期限と並行して管理します。

再調査の請求と直接審査請求はどう選ぶか

税務署長等が行った更正などに不服がある場合は、処分をした税務署長等に対する再調査の請求と、国税不服審判所長に対する審査請求のいずれかを選ぶことができます(国税通則法第75条第1項)。再調査の請求を経なければ審査請求ができないわけではありません。ただし、選択制であることは、同じ処分について両方を無条件に並行して申し立てられるという意味ではありません。

再調査の請求は、処分をした税務署長等が、提出された主張や資料を踏まえて処分を見直す手続です。審査請求は、国税不服審判所長に処分の取消しや変更を求める手続です。国税不服審判所は国税庁に置かれた特別の機関で、公正な第三者的立場で審理し、裁決を行う行政機関と位置付けられています。裁判所ではなく、国税庁から完全に独立した外部の機関でもありません。

追加資料での見直しを求めるか、審判所で争点を整理するか

二つの手続の主な違いは、表2のとおりです。

表2 再調査の請求と直接審査請求の比較
比較項目 再調査の請求 直接審査請求
審理の主体 処分をした税務署長等(原処分庁)が見直します。 国税不服審判所が審理し、国税不服審判所長が裁決します。
検討に適する状況 調査の段階で提出できなかった資料があり、それによって事実関係や計算についての認識の違いを解消できる見込みがある場合 調査の段階で資料の提出と議論が尽くされており、法令の解釈や証拠の評価について、処分庁とは別の立場での審理を求めたい場合
準備・負担 再調査の請求書を提出し、追加資料と説明を整理します。決定後に審査請求へ進む場合は、改めて審査請求書を準備します。 審査請求書を提出した後も、答弁書への反論、証拠の提出や閲覧、口頭意見陳述など、審理の進行に応じた対応が続きます。
標準審理期間 3か月(補正に要した期間は含みません)。処理の目安です。 1年。処理の目安です。
次の手続 決定後もなお不服があれば、原処分について審査請求をします(決定書謄本の送達を受けた日の翌日から原則1か月以内)。決定がないまま3か月を経過した場合などは、決定を待たずに審査請求をすることもできます。 裁決後もなお不服があれば、原処分の取消訴訟を検討します(裁決があったことを知った日の翌日から原則6か月以内)。

表2は、どちらの手続が認められやすいかという優劣を示すものではありません。「事実の争いなら再調査の請求、法律の争いなら審査請求」と一律に決めるのではなく、次の事情を総合して選びます。

  • 追加の資料や説明で解消できる認識の違いか、法令の解釈や証拠の評価が中心の争いか
  • 調査の段階で、処分庁に資料を示して議論を尽くしたか
  • 答弁書への反論や証拠の閲覧など、審査請求の審理手続を通じて争点を整理する必要があるか
  • 再調査の請求を経てから審査請求に進む場合も含めた、全体の期間と準備の負担

国税不服審判所に審査請求をすること自体に手数料はかかりませんが、証拠書類等の写しの交付には手数料がかかり、代理人に依頼する場合の報酬や郵送費なども別に生じます。

再調査を選んだ後に審査請求へ進む場合

再調査の決定後もなお不服がある場合は、再調査決定書の謄本の送達を受けた日の翌日から原則1か月以内に審査請求をします(国税通則法第75条第3項・第77条第2項)。審査請求の対象は、再調査の決定を経た後の原処分(当初の更正処分等)であり、再調査の決定そのものではありません。

再調査の請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても決定がない場合は、決定を待たずに審査請求をすることができます(同法第75条第4項第1号)。ただし、再調査の請求書の不備について補正を求められた場合は、補正をした日の翌日から3か月を数えます。このほか、再調査の決定を経ないことについて正当な理由がある場合も、決定を経ずに審査請求をすることができます(同項第2号)。

申立書と証拠は、どの順序で準備するか

申立書は、対象となる処分の特定、取消しを求める範囲、処分の理由に対する反論、それを裏付ける証拠、提出先の順に固めていくと、記載漏れを防ぎながら期限を管理しやすくなります。再調査の請求書の書式は国税庁の再調査の請求書と記載要領に、審査請求書の書式や記載要領、提出前チェックシートは国税不服審判所の審査請求書・記載要領・提出前チェックシートの案内に掲載されています。

請求の趣旨と理由を分けて書く

申立書には、処分の内容、通知を受けた年月日、請求の趣旨及び理由、請求の年月日などを記載します(国税通則法第81条・第87条)。審査請求書については、請求の趣旨は処分の取消し又は変更を求める範囲が明らかになるように記載し、理由では、通知書等に示された処分の理由に対する主張を明らかにすることとされています(同法第87条)。

請求の趣旨は、先に作成した処分ごとの一覧のうち、原処分庁、処分の日付(通常は通知書に記載された日付)、税目、年分等、処分の名称を基に、取消しを求める範囲を加えて組み立てます。処分の全部の取消しを求めるのか、一部の取消しを求めるのかを明らかにし、一部の場合は金額等で範囲を特定します。

請求の理由では、処分の理由のうち、どの事実認定、法令の解釈、当てはめ、計算が、なぜ誤っているのかを具体的に書きます。「納得できない」という記載だけでは、どの判断を争うのかが特定されません。加算税を争う場合は、本税の計算の誤りとは別に、加算税を課す要件に当たるかどうかという固有の争点があり得るため、本税についての主張と分けて整理します。

審査請求書の記載に不備があれば補正を求められますが、補正に応じない場合や、補正できない不適法なものである場合は、却下されることがあります(同法第91条・第92条)。再調査の請求書も、不備があれば補正を求められます。期限が迫っていても、内容をほとんど書かない申立書を出して後から補えばよいと考えるのではなく、資料の収集と並行して、対象となる処分、取消しを求める範囲、理由の骨格を期限内に整えます。補正や主張の追加によって、期限後に別の処分を対象に加えたり、取消しを求める範囲を広げたりできるとは限りません。

指摘ごとの主張と証拠を対応させる

証拠は、帳簿や資料をまとめて提出すれば足りるものではありません。処分の理由に示された指摘ごとに、処分庁の認定、こちらの主張、それを裏付ける資料、不足している資料を対応させ、各資料が何を示すのかを説明できるようにします。次の表3は法定の様式ではなく、取引の実在、金額、計上時期が争われた場合を想定した一般的な仮定例です。

表3 主張と証拠の対応表(仮定例)
処分庁の認定 こちらの主張 裏付け資料と確認事項 不足資料と入手方法
外注先への支払について、業務の提供を受けた事実が確認できない 業務は実際に行われ、成果物の納品を受けている 契約書、発注書、成果物、作業の報告、当時のメール、振込の記録。日付と作成者が資料間で整合しているか 成果物の一部が手元にない場合は、外注先に写しの提供を依頼し、依頼の日付と経緯を記録する
売上の金額が、帳簿の記載より多い 差額は値引きと返品によるもので、売上の金額は帳簿のとおりである 請求書、値引きの合意を示す書面やメール、返品伝票、入金の記録。値引きの時期と金額が帳簿と一致するか 値引きの合意が口頭の場合は、当時のやり取りの記録を探す。後日に確認書を作成するときは作成日を明記し、当時の資料と区別する
翌期に計上した売上は、当期の売上である 納品と検収が完了したのは翌期である 契約書の引渡し条件、納品書、検収書、出荷の記録。検収日の記載が資料間で一致するか 検収の記録が取引先にしかない場合は、写しの提供を依頼する

この整理は、主張が認められるという結論を示すものではありません。経費や売上の計上時期についての税務上の扱いは、税法の要件と事実関係によって判断されます。不利に見える資料も含めて、資料同士の整合性を確認しておきます。

事実の経緯を後からまとめる場合は、作成日を記載し、原資料に基づく部分と記憶に基づく部分を分けて書きます。既存の資料を書き換えたり、日付をさかのぼって資料を作成したりしてはいけません。審査請求では、担当審判官が職権で質問や検査等を行うこともありますが(国税通則法第97条)、それを理由に請求人が主張や証拠を出さなくてよいことにはなりません。審査請求人は、証拠書類や証拠物を提出することができます(同法第96条)。

提出方法と提出先を決め、提出記録を残す

再調査の請求書は、処分をした税務署長等に提出します。提出先は、通知書の教示と付記で確認します。

審査請求書は、原処分庁の管轄区域を管轄する国税不服審判所の支部又は支所に提出します。国税不服審判所の提出先一覧では、兵庫県欄に大阪国税不服審判所神戸支所(〒652-0802 神戸市兵庫区水木通2-1-4、電話078-577-3600)が掲載されています。提出先は、審査請求をする人の現在の住所ではなく原処分庁の管轄によって決まるため、転居した場合や、国税局の職員の調査に基づく処分の場合は、一覧と通知書の教示で確認します。処分をした税務署等を経由して提出することもできます。

書面で審査請求をする場合は、正本と副本の2通を提出します。国税不服審判所の書式は法定の固定様式ではありませんが、記載要領や提出前チェックシートとあわせて使うと、記載漏れを防ぎやすくなります。代理人が提出する場合の委任状(代理人の権限を証する書面)や、個人番号(マイナンバー)の記載と本人確認書類の扱いは、提出方法に応じて公式の案内で確認します。

再調査の請求書と審査請求書は、いずれもe-Taxで提出することもできます。ただし、利用開始の手続や対応するソフトウェア等が必要です。税務署の窓口の受付時間や、電子手続を利用できる時間も、提出前に確認します。提出した後は、提出日、提出先、提出した書類の一覧を記録し、郵送の場合は送付の控えと配達の記録を、電子提出の場合は送信結果を保存します。

審査請求後は答弁書への反論と証拠確認を進める

審査請求書が提出されると、国税不服審判所では、記載事項や期限などの形式面を確認したうえで、担当審判官が審理を進めます。審査請求をした後は、担当審判官の進行に応じて、主張と立証を続けることになります。

答弁書の認定と証拠を照合する

原処分庁から答弁書が提出されると、その副本が審査請求人に送付されます(国税通則法第93条)。審査請求人は、答弁書に記載された事項に対する反論を記載した反論書や、証拠書類等を提出することができ、担当審判官が提出期間を定めたときは、その期間内に提出します(同法第95条・第96条)。提出期間は事件ごとに示されるため、決まった日数があるものと考えず、送付された書面で確認します。

答弁書を受け取ったら、原処分庁の主張を、争わない事実、争う事実、法令の解釈や評価、計算に分け、それぞれについて、こちらの主張、証拠、不足している証拠を対応させます。表3のような整理を答弁書の項目に合わせて更新していくと、反論書の構成が明確になります。

証拠の閲覧・写しの交付を利用する

審査請求人は、審理手続が終結するまでの間、原処分庁が提出した証拠書類等や、担当審判官が職権で提出を受けた書類等について、閲覧や写しの交付を求めることができます(国税通則法第97条の3)。ただし、税務署の内部資料のすべてが当然に開示されるわけではなく、担当審判官が作成した質問調書などは対象外です。第三者の利益を害するおそれがある場合などには、閲覧等が制限され、一部が黒塗りされることもあります。

請求の際は、閲覧等を求める書類を具体的に特定し、どの書類が対象になるか分からない場合は担当審判官に相談します。写しの交付には手数料がかかります。手続の詳細は証拠の閲覧・写しの交付手続で確認できます。なお、原処分庁の側にも、審査請求人が提出した証拠書類等の閲覧等を求める制度があります。

口頭意見陳述と審理終結までの対応

審査請求人は、口頭で意見を述べる機会(口頭意見陳述)を申し立てることができ、申立てがあれば、原則としてその機会が設けられます。口頭意見陳述では、担当審判官の許可を得て、原処分庁に質問をすることもできます(国税通則法第95条の2)。ただし、裁判の証人尋問とは異なり、事件に関係のない事項や繰り返しの陳述などは制限されることがあります。説明したい事項の概要と質問事項を事前に整理し、書面での主張の要点を補う場として使います。申立ての方法は口頭意見陳述の申立てで確認できます。

担当審判官は、必要な審理を終えたと認めるときなどに審理手続を終結し、その旨を通知します(国税通則法第97条の4)。提出期間を重ねて示されても書類等が提出されない場合なども、審理手続を終結できる場合として定められています。審理手続が終結すると、通常、反論書や証拠の提出、口頭意見陳述の申立て、閲覧等の請求、主張の追加や変更はできなくなります。終結後に補充できることを前提とせず、必要な主張と証拠の提出、閲覧等の請求は早めに行います。

標準審理期間と裁決後の対応

3か月・1年は処理の目安であり、申立期限ではない

不服申立ての処理には標準審理期間が定められており、再調査の請求は3か月、国税不服審判所への審査請求は1年とされています(国税通則法第77条の2、国税庁及び国税不服審判所の各事務運営指針)。これは標準的な処理の目安であり、その期間内に終わることを保証するものでも、期間が過ぎれば主張が認められるものでもありません。再調査の請求で補正に要した期間は、標準審理期間に含まれません。審査請求については審査請求の標準審理期間で確認できます。

この記事に出てくる「3か月」には、意味の異なるものがあります。次のとおり区別して管理します。

  • 最初の不服申立ての期限:通知を受けた日の翌日から原則3か月以内
  • 再調査の決定を待たずに審査請求ができる時期:再調査の請求をした日(補正を求められた場合は補正をした日)の翌日から3か月を経過しても決定がないとき
  • 再調査の請求の標準審理期間:3か月(処理の目安)
  • 裁決を経ずに取消訴訟を提起できる場合の一つ:審査請求をした日の翌日から3か月を経過しても裁決がないとき

裁決後の取消訴訟を検討する

不服申立てをすることができる国税の処分の取消しを求める訴訟は、原則として、審査請求についての裁決を経た後でなければ提起できません(国税通則法第115条第1項)。再調査の決定を経ただけで当然に訴訟へ進めるわけではありません。ただし、審査請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても裁決がない場合や、裁決を経ることで生じる著しい損害を避けるため緊急の必要がある場合などには、裁決を経ずに訴訟を提起できる例外があります。標準審理期間の1年が経過するまで待たなければならないわけではありません。

裁決後もなお原処分に不服がある場合は、更正処分等の原処分の取消しを求める訴訟(取消訴訟)を検討します。国税の処分に関する訴訟には、国税に関する法律に特別の定めがあるものを除き、行政事件訴訟法が適用されます(国税通則法第114条)。出訴期間は、原則として裁決があったことを知った日の翌日から6か月以内であり、裁決の日から1年を経過したときも、正当な理由がない限り提起できません(行政事件訴訟法第14条第3項)。裁決書の謄本の送達を受けた日を記録し、裁決が出た段階で、訴訟によるかどうかの検討を始めます。

よくある質問

修正申告をした後でも争えますか。

自分で提出した修正申告は処分ではないため、修正申告そのものを不服申立てで争うことはできません。税額が過大であった場合の是正には、更正の請求という別の手続があります。一方、修正申告の後に受けた加算税の賦課決定は、不服申立ての対象となり得ます。

資料がそろっていないと申立てできませんか。

資料がすべてそろうのを待つ必要はなく、期限内に申し立てることを優先します。ただし、対象となる処分、取消しを求める範囲、処分の理由に対する反論の骨格は、期限内に整えます。補正の制度があっても、内容が特定されない申立書で足りるわけではありません。不足する資料は並行して集め、審理の進行に応じて提出します(審査請求では、審理手続の終結後は通常提出できません)。

3か月を過ぎたら絶対に争えませんか。

期限を過ぎた不服申立ては原則としてできませんが、正当な理由がある場合の例外があります。国税庁の通達では、誤って法定の期間より長い期間を教示され、その期間内に申し立てた場合や、本人の責めに帰すことができない災害などにより期間内の提出が客観的に不可能であった場合が例に挙げられています。多忙や失念、税務署と話合いを続けていたことだけでは、例外が当然に認められるわけではないため、通知を受けた日と経緯を直ちに記録し、早めに相談してください。

更正通知書を確認したうえで相談するには

相談の際は、申立期限の確認を最優先にします。資料がすべてそろうのを待つ必要はなく、手元の通知書と申告書から確認を始め、不足する資料は並行して集めます。税務調査や不服申立てに関わる資格ごとの役割は、税務調査での弁護士・公認会計士・税理士の役割分担の記事で説明しています。

相談前に確認・用意するもの

  • 通知書(全頁と、処分の理由を記載した別紙)、封筒、配達の記録
  • 通知を受けた日、受け取った人、受け取った経緯の記録
  • 処分ごとの一覧(税目、年分等、処分の名称、申立期限、納期限、争う範囲)
  • 当初の申告書と、提出していれば修正申告書(別表や明細を含む)
  • 税務調査の結果の説明を受けた際の資料と、調査で提出した資料の控え
  • 税務署や税理士とのやり取りの記録(日時、相手、内容)
  • 指摘ごとの主張と、関係する帳簿、契約書、請求書、入出金の記録
  • 再調査の決定書や裁決書を受け取っている場合は、その謄本と受け取った日の記録

相談予約の段階では、マイナンバー(個人番号)が記載された書類を送らないでください。

相談の予約と、相談方法・費用の確認

更正通知書などを受け取った後の相談は、お問い合わせページから予約できます。相談の方法と利用条件は「初めての方へ」のページで、費用は「弁護士費用」のページで確認できます。税務の不服申立てについての相談の可否、依頼の範囲、費用は、事案の内容を伺ったうえで個別にご案内します。

予約の申込みは相談の日時を調整するためのもので、依頼(委任契約)の成立を意味するものではありません。予約や相談によって、不服申立ての期限が延びることもありません。

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事務所と弁護士の紹介

弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所に在籍する弁護士の氏名と資格は、事務所の弁護士紹介のページで確認できます。

参考資料

法令

国税庁

国税不服審判所

本記事は、国税の通常の課税処分に対する不服申立てについて一般的な情報を提供するものです。地方税の処分や滞納処分、個別の事案での期限の判断や手続の選択は、通知書と資料を確認したうえで行う必要があります。

情報基準日:2026年10月17日

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