自社株の相続・事業承継と納税資金の確保|評価と手続の要点 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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自社株の相続・事業承継と納税資金の確保|評価と手続の要点

会社を経営されている方やそのご家族にとって、自社の株式(自社株)をどのように次の世代へ引き継ぐかは、避けて通れない課題です。とりわけ、株式を発行する会社が上場していない場合、その株式は市場で売買できず、換金しにくい一方で、相続税の評価額は高くなることがあります。後継者へ経営権を集めたいという思いと、ほかの相続人との公平性、そして相続税の納税資金の確保が、同時に問題になりやすいのが自社株承継の特徴です。

この記事では、中小企業の経営者・後継者・相続人・親族株主の方に向けて、自社株を相続・承継する際に押さえておきたい次の点を整理します。読み終えたときに、ご自身の状況で次に何を確認し、いつ専門家へ相談すればよいかの見通しを持っていただくことを目的としています。

この記事で分かること

  • 自社株の相続がなぜ問題になりやすいのか(経営権・評価・分散・公平性)
  • 非上場株式の評価がどのような考え方で決まるのか
  • 相続税の納税資金が不足しやすい理由と、確保策の全体像
  • 法人版事業承継税制のしくみと、手続・期限の注意点
  • 遺言・遺留分・会社法上の手続で確認しておきたいこと
  • 相談前に準備しておくとよい資料

なお、自社株の具体的な評価額、相続税額、各制度の適用可否は、会社の決算内容や株主構成、ご家族の状況などの個別事情によって結論が変わります。本記事は一般的な考え方の整理であり、実際の判断には資料の確認が必要です。具体的な税額計算や税務申告は、税理士等による確認が必要となる点もあわせてご理解ください。

自社株の承継は、株式評価・納税資金・経営権・相続人間の公平性が絡み合う分野です。何から整理すればよいか迷う段階でも、資料を確認しながら論点を整理することができます。

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自社株の相続・事業承継で最初に押さえる全体像

自社株の承継では、次の論点が相互に関係します。一つだけを切り離して考えると、別の問題が後から表面化することがあります。まずは全体像を俯瞰し、ご自身の状況でどこに課題があるかを把握することが出発点になります。

論点 確認するポイント
株式評価 会社規模の区分、株主区分(同族株主か否か)、評価方式、特定の評価会社に当たらないか
経営権 後継者の議決権割合、株式を集中させる方法、株式が分散するリスク
納税資金 相続税額の見込み、金銭一括納付ができるか、確保策の比較
相続人間の公平 株式を取得しない相続人への代償金、遺留分、ほかの財産とのバランス
事業承継税制 適用できるか、特例承継計画、都道府県の認定、各種期限
会社法上の手続 定款、株主名簿、譲渡制限、種類株式、相続人等への売渡請求

これらは、相続が起きてから慌てて対応すると選択肢が限られることがあります。生前の段階で確認できると、取り得る手段の幅が広がりやすいといえます。

なぜ自社株の相続は問題になりやすいのか

自社株は会社の経営権に直結する

株式は、会社の議決権と結びついています。誰がどれだけの株式を持つかによって、役員の選任、重要な経営判断、配当、株式の譲渡承認などに影響します。後継者が安定して経営するためには、一定割合以上の議決権を確保できるかが重要になります。相続によって株式が複数の相続人に分かれると、後継者の議決権が不足し、会社の意思決定が滞るおそれがあります。

換金しにくい一方で相続税評価が高くなることがある

非上場株式は市場での売買ができないため、すぐに現金化することが難しい財産です。ところが、会社の純資産や利益の状況によっては、相続税を計算する際の評価額が高くなることがあります。「手元に現金は入らないのに、相続税の計算上は高く評価される」という状況が、納税資金の問題を生みます。

株式が分散すると会社運営に支障が生じ得る

株式が複数の相続人に分散すると、議決権の行使、配当、株式の買取りなどをめぐって意見が対立することがあります。とくに、後継者以外の相続人が株式を持ち続けた場合、将来の経営判断に時間がかかったり、株式の買取りを求められたりする場面が生じ得ます。

他の相続人との公平性・遺留分の問題

自社株を後継者に集中させると、株式を取得しないほかの相続人との間で取り分の公平性が問題になります。さらに、一定の相続人には遺留分という最低限の取り分が法律上保障されているため、株式の承継方法によっては遺留分侵害額の請求を受ける可能性があります。代償金や生命保険などをどう組み合わせるかが、検討のポイントになります。

自社株(非上場株式)の評価の基本

上場株式と非上場株式の違い

上場株式は証券取引所での取引価格を基準に評価できますが、非上場株式には市場価格がありません。そのため、相続税・贈与税では「取引相場のない株式」として、国税庁の財産評価基本通達に定められた方法で評価します。評価方式は一つではなく、株式を取得した人の立場や会社の規模などによって変わります。

同族株主かどうかで評価方法が変わる

取引相場のない株式は、その株式を取得した株主が、会社の経営支配力を持つ同族株主等か、それ以外の株主かによって、原則的評価方式か、特例的な評価方式(配当還元方式)かに分かれます。配当還元方式は、その株式から受け取る一年間の配当金額を一定の利率で還元して評価する方法で、原則的評価方式よりも低い評価になる場合があります。どちらに当たるかは、株主の構成や取得後の議決権割合によって判断されます。

会社規模による評価方式

原則的評価方式では、会社を総資産価額・従業員数・取引金額により大会社・中会社・小会社に区分し、おおむね次のように評価します。具体的にどの区分・方式になるかは、決算資料等の確認が必要です。

会社規模 主な評価方式
大会社 原則として類似業種比準方式(類似業種の株価を基に、配当・利益・純資産で比準)
小会社 原則として純資産価額方式(相続税評価に洗い替えた純資産を基礎に評価)
中会社 類似業種比準方式と純資産価額方式の併用

特定の評価会社に注意

会社の資産構成などによっては、通常の方式ではなく特別な評価が用いられる場合があります。たとえば、総資産に占める株式等の割合が高い会社(株式等保有特定会社)、土地等の割合が高い会社(土地保有特定会社)、開業後間もない会社、開業前・休業中の会社などです。自社がこれらに当たるかどうかで評価が大きく変わることがあるため、早めの確認が望まれます。

具体的な評価額や採用すべき評価方式の判断は、決算書・申告書・資産内訳などを確認したうえで、税理士等による計算が必要です。本記事では考え方の整理にとどめています。

評価の検討にあたっては、次のような資料を準備しておくと、論点の整理がスムーズになります。

資料 主に確認する内容
定款 株式の譲渡制限、種類株式の有無、機関設計
株主名簿 株主構成、持株比率、同族関係
法人税申告書・決算書 純資産、利益、配当の状況
勘定科目内訳明細書 資産・負債の内訳
固定資産台帳・不動産資料 土地等の保有状況(特定の評価会社の判定等)
借入金資料 負債の状況

相続税の納税資金が問題になる理由

相続税は、金銭で一括して納付するのが原則です。納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内とされています。この期限までに、申告と納税の両方を行う必要があります。

自社株は換金性が低いため、株式の評価額に対応する相続税を現金で用意しなければならない場面で、資金が不足しやすいといえます。会社の業績が良いほど株式評価が高くなり、結果として相続税も増える一方、その株式自体は売却しにくいというジレンマが生じます。さらに、後継者が株式を取得して経営権を確保しつつ、ほかの相続人へ代償金を支払う必要がある場合には、必要となる資金がさらに大きくなることがあります。

重要なポイント

「経営権の確保」と「納税資金の確保」と「相続人間の公平性」は、別々の問題ではなく、同時に検討すべき一つの課題です。どれか一つだけを優先すると、ほかの面で支障が出ることがあります。

納税資金の確保策を比較する

納税資金が不足しそうな場合に取り得る方法には、次のようなものがあります。それぞれにメリットと検討事項があり、会社の状況やご家族の事情によって適否が異なります。複数の手段を組み合わせることもあります。

方法 概要 主な検討事項
延納 担保を提供し、年賦で分割して納付する 利子税の負担、担保、要件の充足
物納 相続した財産そのもので納付する 要件が限定的、財産の順位、収納価額
生命保険 保険金を納税の原資にあてる 受取人、保険料の負担、課税関係
役員退職慰労金 退職金を遺族の納税原資にあてる 規程の整備、株主総会決議、税務上の取扱い
自己株式の取得 会社が後継者等から株式を買い取る 財源の規制、みなし配当課税、会社の資金繰り
融資・資産売却 借入や資産売却で現金を確保する 返済計画、担保、売却に伴う損益
生前の対策 生前贈与・遺言などで事前に準備する 個別事情により適否が異なる

延納

延納は、相続税額が10万円を超え、金銭で一度に納付することが困難な事由がある場合に、担保を提供したうえで年賦により納付する方法です。延納期間中は利子税がかかります。延納できる期間や利子税の割合は、相続財産に占める不動産等の割合によって異なります。延納を希望する場合は、申告期限までに延納申請書などを提出して許可を受ける必要があります。なお、延納税額が一定額以下で延納期間が短い場合には、担保の提供が不要となることがあります。

物納

物納は、相続などで取得した財産そのもので相続税を納める方法です。金銭による納付や延納によっても納付が困難な場合に検討されますが、物納に充てられる財産には種類や順位の定めがあり、要件を満たさないと認められないことがあります。物納を希望する場合も、申告期限までに申請して許可を受ける必要があります。自社株を物納できるかどうかは、要件の確認が必要です。

生命保険・役員退職慰労金

経営者を被保険者とする生命保険の保険金や、死亡退職に伴う役員退職慰労金は、遺族にとって納税の原資となり得ます。いずれも、契約内容や規程の整備、課税上の取扱いを確認する必要があります。生前の段階で設計しておくことが前提となる手段です。

会社による自己株式の取得

会社が後継者やほかの相続人から自社株を買い取ることで、株式を現金化し、納税資金や代償金にあてる方法です。ただし、自己株式の取得には会社法上の財源規制があり、また売却した側に税務上の課税(みなし配当など)が生じることがあります。会社の資金繰りへの影響も含め、慎重な検討が必要です。

融資・資産売却

金融機関からの借入や、会社・個人が保有する資産の売却によって現金を確保する方法もあります。返済計画や担保、売却に伴う損益などを踏まえて判断します。

生前の対策

生前贈与や遺言などにより、あらかじめ株式の承継先や納税資金を準備しておく方法です。どの手段が適しているかは、株主構成、ご家族の関係、会社の状況によって大きく変わります。生前贈与の方法(暦年課税・相続時精算課税)、持株会社の活用、種類株式の設計などは個別性が高いため、状況に応じて専門家と検討することが望まれます。

法人版事業承継税制の基本

制度の概要(猶予と免除)

法人版事業承継税制は、後継者が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)の認定を受けた非上場会社の株式等を相続・遺贈または贈与により取得した場合に、一定の要件のもとで、その株式等にかかる相続税・贈与税の納税を猶予する制度です。後継者の死亡など一定の事由が生じたときには、猶予されていた税額が免除されます。

特例措置と一般措置の違い

この制度には、期間限定の特例措置と、恒久的な一般措置の二つがあります。特例措置は、対象となる株式や納税猶予割合などの面で一般措置より拡充されています。主な違いは次のとおりです。

項目 特例措置 一般措置
事前の計画策定 特例承継計画の提出が必要 不要
対象となる株数 全株式 総株式数の最大3分の2まで
納税猶予の割合 100% 相続等は80%、贈与は100%
承継のパターン 複数の株主から最大3人の後継者 複数の株主から1人の後継者
雇用確保の要件 弾力化されている 承継後5年間平均で8割の雇用維持が必要

手続と期限

特例措置を利用するには、あらかじめ特例承継計画を作成し、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けたうえで、都道府県へ提出する必要があります。中小企業庁の公表では、特例承継計画の提出期限は令和9年9月30日までとされています。また、特例措置の対象となるのは、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの間の相続・遺贈または贈与です。

制度の適用を受けた後も、都道府県への年次報告書や税務署への継続届出書の提出など、継続的な手続が必要です。これらを怠ると、納税猶予が打ち切られることがあります。期限や要件は改正されることがあるため、利用を検討する際は、最新の公式資料を確認し、税理士等と相談することが重要です。

「免除」ではなく「猶予」である点の注意

事業承継税制は、税金がはじめから「免除」される制度ではなく、要件を満たす間、納税が「猶予」される制度です。後継者が株式を継続して保有し、経営を続けるなどの要件を満たし続けることが前提となります。途中で要件を満たさなくなった場合には、猶予されていた税額に加えて利子税を納付しなければならないことがあります。制度の利用は、こうした将来の負担や継続的な手続も含めて判断する必要があります。

事業承継税制の適用可否、猶予される税額、継続要件の充足については、会社や後継者の個別事情によって結論が変わります。具体的な判断は、最新の公式資料を確認のうえ、税理士等による検討が必要です。

遺産分割・遺留分・経営権の注意点

税務上の手当てと並んで、相続法・会社法の観点からの整理も欠かせません。次のような点が、後の紛争を防ぐうえで重要になります。

遺言による承継先の指定 遺言書で、自社株を誰に承継させるかをあらかじめ定めておくことで、相続開始後の遺産分割協議による不確実性を減らすことができます。遺言の内容や形式に不備があると効力が争われることがあるため、作成にあたっては確認が必要です。

遺留分への配慮 後継者に株式を集中させる場合でも、ほかの相続人の遺留分に配慮しないと、遺留分侵害額の請求を受ける可能性があります。代償金の準備、生命保険の活用、ほかの財産の配分などを組み合わせて、全体のバランスを設計することが考えられます。経営承継円滑化法には、遺留分に関する民法の特例も設けられており、要件を満たす場合に活用が検討されます。

会社法上の確認事項 定款の譲渡制限の定め、株主名簿の整備、種類株式や議決権の設計、相続によって株式を取得した者に対する売渡請求の制度など、会社法上の論点も確認が必要です。これらの整備状況によって、取り得る承継の方法が変わってきます。

株式の共有状態のリスク 遺産分割が済むまでの間、株式が相続人の準共有状態となることがあります。この状態では権利行使に制約が生じ、会社の意思決定に支障が出ることがあるため、早期の整理が望まれます。

相談前に準備しておくとよい資料・チェックリスト

相続が起きる前か後かによって、確認すべき事項は異なります。状況に応じて、次の点を整理しておくと、相談や手続が円滑に進みやすくなります。

区分 確認・準備しておきたいこと
相続開始前 株主構成と持株比率、株式評価の概算、後継者の決定、遺言の有無、納税資金の見込み、事業承継税制の検討、特例承継計画の要否
相続開始後 相続人の確定、株式の所在と数量、遺産分割の方針、申告期限(10か月)の管理、納税資金の確保、延納・物納・事業承継税制の検討

相談時には、会社と相続に関する資料があると、論点の整理が進みやすくなります。具体的には、定款、株主名簿、法人税申告書、決算書、勘定科目内訳明細書、固定資産台帳、不動産資料、借入金資料、役員退職金規程、生命保険証券、遺言書、相続人関係図、戸籍関係資料、遺産目録、過去の贈与契約書、株式譲渡契約書、金融機関との融資資料、税理士が作成した自社株評価資料、特例承継計画や認定申請の書類などが挙げられます。すべてが揃っていなくても、ある資料から相談を始めることができます。

自社株の承継は、相続が起きる前か後かによって取り得る手段が変わります。資料を確認しながら、株式評価・納税資金・遺産分割・経営権・事業承継税制を横断して論点を整理することができます。

相続の相談について確認する

弁護士に相談するタイミング

自社株の承継について、弁護士への相談は「結論が出てから」ではなく、「何から考えればよいか分からない段階」でも有用です。相談によって、ご自身の状況における論点や、確認すべき資料、検討の順序を整理しやすくなります。次のような場面が、相談を検討する一つの目安になります。

タイミング 整理できること
後継者を決めたいとき 株式を集中させる方法、遺言、遺留分への配慮
株式評価が高くなりそうなとき 納税資金の確保策の比較、生前にできる準備
相続が起きたとき 申告期限までの段取り、遺産分割、納税方法の選択
相続人間で意見が分かれたとき 代償金、公平性、合意形成の進め方

自社株の承継は、相続法・会社法・税務・資金繰りが交差する分野です。法律面の整理と並行して、具体的な税額計算や税務申告は税理士等との連携・確認が必要となります。論点を早めに整理しておくことで、選択できる手段の幅を確保しやすくなります。

自社株を相続すると、なぜ相続税の納税資金が問題になりますか。

非上場株式は市場で売却しにくい一方、会社の純資産や利益の状況によっては相続税評価が高くなることがあります。相続税は金銭での一括納付が原則で、期限は10か月以内とされているため、換金しにくい株式の評価額に見合う現金を用意する必要が生じ、資金が不足しやすくなります。

非上場株式の評価はどのように決まりますか。

取引相場のない株式として、財産評価基本通達に基づき評価します。株式を取得した人が同族株主等かそれ以外か、会社の規模が大・中・小のいずれかなどによって、類似業種比準方式、純資産価額方式、その併用、配当還元方式などに分かれます。具体的な評価額は資料を確認のうえ税理士等の計算が必要です。

自社株を後継者に集中させるにはどうすればよいですか。

遺言による承継先の指定、生前贈与、種類株式の活用、会社による自己株式の取得など、複数の方法が考えられます。いずれもほかの相続人の遺留分や会社法上の手続を確認する必要があり、適した方法は個別事情によって異なります。

事業承継税制を使えば相続税は払わなくてよいのですか。

事業承継税制は、税金がはじめから免除される制度ではなく、要件を満たす間、納税が猶予される制度です。後継者の死亡など一定の事由で猶予税額が免除されますが、途中で要件を満たさなくなると、猶予されていた税額と利子税の納付が必要になることがあります。適用可否や期限は最新の公式資料の確認と税理士等への相談が必要です。

相続税の納税資金が足りない場合、どのような方法がありますか。

延納、物納、生命保険の活用、役員退職慰労金、会社による自己株式の取得、融資、資産売却などが考えられます。それぞれ要件や課税上の取扱い、資金繰りへの影響が異なるため、複数の手段を比較し、組み合わせて検討することが一般的です。

遺留分と自社株承継はどのように関係しますか。

後継者に株式を集中させると、ほかの相続人の遺留分を侵害する可能性があり、遺留分侵害額の請求を受けることがあります。代償金や生命保険、ほかの財産の配分などで全体のバランスを設計することが考えられます。経営承継円滑化法の遺留分に関する民法の特例の活用が検討される場合もあります。

相続開始後でも事業承継の対策はできますか。

相続が起きた後でも、遺産分割の方針、納税方法の選択、事業承継税制の適用検討など、できることはあります。ただし、申告期限が10か月以内と限られており、生前にできた対策に比べて選択肢が狭まることがあるため、早めの確認が望まれます。

相談時にはどのような資料を準備すればよいですか。

定款、株主名簿、法人税申告書、決算書、勘定科目内訳明細書、固定資産台帳、不動産資料、借入金資料、生命保険証券、遺言書、相続人関係図、戸籍関係資料などがあると整理が進みやすくなります。すべて揃っていなくても、手元の資料から相談を始めることができます。

まとめ

  • 自社株の承継では、株式評価・納税資金・経営権・相続人間の公平性が同時に問題になりやすいといえます。
  • 非上場株式の評価は、株主区分や会社規模などによって方式が変わり、具体的な評価額は税理士等の確認が必要です。
  • 相続税は金銭一括納付が原則で、期限は10か月以内です。延納・物納・生命保険・自己株式取得などの確保策を比較検討します。
  • 法人版事業承継税制は納税の猶予・免除の制度ですが、手続・期限・継続要件があり、最新の公式資料の確認が必要です。
  • 遺言・遺留分・会社法上の手続を併せて整理し、生前の段階で確認できると選択肢が広がりやすくなります。
  • 次の行動として、手元の資料を整理し、相続が起きる前後のいずれの段階でも、早めに専門家へ相談することが考えられます。

自社株の相続・事業承継について、株式評価・納税資金・遺産分割・経営権・事業承継税制を横断して論点を整理したい方は、資料を確認しながら見通しを検討することができます。具体的な税額計算や税務申告は税理士等との確認が必要です。なお、相談の方法や費用については、あらかじめご確認ください。

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監修者・執筆者情報

神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご支所)

弁護士・公認会計士 藤井 貴之

所属:兵庫県弁護士会、日本公認会計士協会兵庫会

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参考資料

  • 国税庁「No.4638 取引相場のない株式の評価」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4211 相続税の延納」
  • 国税庁「No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)」
  • 国税庁「法人版事業承継税制」「事業承継税制特集」
  • 中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」
  • e-Gov法令検索「相続税法」「会社法」「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」

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