税理士に申告を任せていたのに追徴課税を受けた、適用できたはずの特例が使われていなかった――このようなとき、税理士に損害賠償を請求できるかが問題になります。
最初に押さえておきたいのは、税額を正しくする手続(税務上の救済)と、税理士への民事上の請求(損害賠償)は別の問題で、期限も別々に進むことです。税務署から通知を受けている場合は、受け取った日と救済手続の期限を先に確認します。また、適切に申告していても納める必要があった本税は、後から納付しても、通常それ自体は損害になりません。賠償の対象となる余地があるのは、適切な申告・届出・助言があれば適用できた特例や還付を失った不利益や、加算税などのうち税理士の義務違反との因果関係が認められる部分などです。
以下では、法人の経営者・経理担当者、個人事業者、相続税の申告を依頼した相続人の方に向けて、納税者の立場から整理します。請求できること、交渉や裁判で認められること、実際に回収できることは区別して考える必要があり、結論は契約の内容や資料によって異なります。
税理士のミスが疑われたら、税務救済と民事請求を並行して確認する
税額が法律上正しいかという問題と、税理士が契約上の義務に違反して損害を生じさせたかという問題は別です。追徴が税務上は正しくても税理士の責任が問題となることがあり、反対に、税額に誤りがあっても税理士の責任が当然に認められるわけではありません。
税理士と話し合うだけでは、税務上の期限は止まらず、民事上の時効も進みます。税務署との関係では救済手続の期限と納付への対応を、税理士との関係では証拠の確保と時効の管理を、並行して進めます。請求額の確定や訴えを提起する時期は、税務救済の見通しも踏まえて個別に判断します。税務調査や税務救済での関与の仕方は「税務調査での弁護士・公認会計士・税理士の役割分担」で解説していますが、責任が問題となっている税理士本人との連携は、独立性の観点から見直しが必要です(後述)。
自分で提出した申告と税務署の処分では手続が異なる
税務調査の後に勧めに応じて提出した修正申告は、納税者自身の申告で、税務署長の処分ではありません。そのため、修正申告そのものに不服申立てはできませんが(国税庁「『不服申立て』ができる場合、できない場合」)、内容が過大であれば更正の請求を検討できます(国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」)。
これに対し、税務署長がした更正・決定や、修正申告とは別に通知された加算税の賦課決定、更正の請求に対する「更正をすべき理由がない旨の通知」は処分であり、不服申立ての対象となり得ます。修正申告に応じるかどうかは、常に応じる、常に拒むと決めるのではなく、指摘の根拠と税額を確認して判断します。
更正の請求・不服申立ての期限と納付対応
国税の主な手続の期限は次のとおりです。いずれも、税理士のミスに気付いた日から数えるものではありません。
| 手続 | 期限の目安と起算点 | 確認すること |
|---|---|---|
| 更正の請求 | 原則として、法定申告期限から5年以内 | 法律の規定に従っていないことや計算の誤りにより、税額が過大であることなどが要件です。法人税の欠損金額に係る請求など、例外があります |
| 更正の請求 (後発的な事由) |
判決の確定など法令で定める事由に応じた日の翌日から2か月以内。相続税では、未分割だった財産の分割など一定の事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内 | 事由ごとに起算点が異なります。単に申告の誤りを発見したことは、この事由に当たりません |
| 再調査の請求・ 審査請求 |
処分の通知を受けた日(通知がない場合は、処分があったことを知った日)の翌日から3か月以内。処分の日の翌日から1年を経過するとできません | 再調査の請求を経ずに、審査請求をすることもできます |
| 再調査の決定後の 審査請求 |
再調査決定書の謄本の送達を受けた日の翌日から1か月以内 | 決定書を受け取った日を記録します |
| 取消訴訟 | 原則として審査請求の裁決を経た後、裁決があったことを知った日の翌日から6か月以内。裁決の日から1年を経過すると提起できません | 審査請求をした日の翌日から3か月を経過しても裁決がない場合などは、裁決を経ずに提起できます |
根拠は国税通則法第23条・第77条・第115条、相続税法第32条第1項、行政事件訴訟法第14条です。不服申立てと取消訴訟の期間には正当な理由がある場合の例外がありますが、期限内の対応を前提にします。住民税や事業税などの地方税は、別の法律に基づく手続と期限を確認してください。手続の流れは国税庁「税務署長等の処分に不服があるときの不服申立手続」、相続税の更正の請求は国税庁「相続税及び贈与税の更正の請求手続」でも確認できます。
期限内であっても、提出を失念した届出や、申告の際に選択が必要だった特例は、更正の請求をしても後から適用を受けられないことがあります。このように税務救済で回復できない不利益が、税理士への請求で問題になります。
更正の請求や不服申立てをしても、納付や徴収の手続は原則として止まりません(国税通則法第23条第5項、第105条第1項)。不服申立ての間は、差し押さえた財産の換価(公売など)が一定の場合を除いて制限されますが、差し押さえた預金などの債権の取立ては制限の対象外であり、徴収手続の全てが止まるわけではありません(国税不服審判所「不服申立てをした場合の『徴収の手続』はどうなるの?」)。一度に納付することが難しいときは徴収の猶予などを別に検討し、税理士との交渉を理由に納付を先送りしないようにします。
また、税理士に任せていたことや税理士のミスを理由に、本税や加算税が当然に免除されるわけではありません。国税不服審判所の平成4年12月9日裁決(裁決事例集No.44・36頁)は、相続税の財産評価の誤りについて、税理士に申告を依頼していたことを理由に過少申告加算税を免れるという主張を認めませんでした。裁判所の判決ではなく過少申告加算税についての裁決であり、重加算税などの扱いをここから一律に判断することはできません。
税理士の責任は、依頼範囲と説明・資料授受から判断する
税理士に申告などの事務を依頼した場合、税理士は受任者として、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います(民法第644条。準委任には同法第656条で準用)。具体的な義務に違反して損害を生じさせた場合は、債務不履行による損害賠償責任(同法第415条)が問題となりますが、契約などの債務の発生原因と取引上の社会通念に照らして税理士の責めに帰することができない事由によるときは、責任を負いません。不法行為(同法第709条)の要件を満たせば、その請求も検討します。
検討の順序は、依頼された事務の内容、その義務への違反、違反と損害との因果関係、損害の額です。結果が不利だったというだけで責任が認められるわけではなく、債務不履行と不法行為とでは主張・立証すべき事項も同じではありません。
誰が何を依頼し、いつ資料を渡したか
まず、契約の当事者が税理士個人か税理士法人か、依頼者が法人か代表者個人か、相続税ではどの相続人が依頼したのかを、担当者の名前や請求書の宛名だけでなく契約書などで確認します。損害も、法人、代表者個人、相続人ごとに区別します。
次に、依頼の範囲を特定します。顧問契約があっても、全ての税目・年度・届出を任せていたとは限りません。契約書がなくても、見積書、請求書、メール、資料の授受、過去の処理の状況から依頼の内容を検討できるため、契約書がないことだけで請求できないとは限りません。賠償額の上限などを定めた責任制限の条項があれば、その適用範囲と有効性を確認します。あわせて、いつ、どの資料を渡したかを時系列で整理します。
申告だけでなく、説明・助言が問題となる場合
依頼の内容によっては、申告書の作成・提出に付随して、必要な説明や依頼者の意向の確認が問題となります。他方で、あらゆる税目について全ての節税策を提案する義務があるとはいえず、契約書の記載だけで判断することも、不利な結果から逆算して判断することも適切ではありません。
日本税理士会連合会による裁判例の紹介によれば、東京高等裁判所平成7年6月19日判決は、相続税の修正申告に関連して、納付の方法を説明し依頼者の意向を確認する義務を認めた例とされています(第一審の横浜地方裁判所平成6年7月15日判決は請求を棄却し、控訴審は請求の一部を認めたとされています)。一方、同連合会による別の裁判例の紹介によれば、神戸地方裁判所平成10年12月9日判決は、連絡の記録、担保の提供が難しかった事情、遺産分割への関与の状況などの具体的な事情から、税理士の責任を否定した例とされています。
いずれも紹介資料による概要です。事実関係の異なる二つの事件の結論の違いは、個別の事情が重視されることを示すにとどまり、一般的な基準や特定の裁判所での扱いを示すものではありません。また、遺産分割は税負担だけで決まるものではないため、相続税の負担が増えたことから、直ちに税理士の責任が認められるとは限りません。
追徴本税・失われた特例・加算税を分けて損害を計算する
損害は、税理士が適切に処理していた場合と現実との差を、費目ごとに検証して算定します。追徴された金額をそのまま合計しても、損害額にはなりません。
本来の本税と、避けられた税負担の違い
適切に申告していても納める必要があった本税を後から納付しただけなら、通常、その本税自体は損害ではありません。もともと負担すべき税額だからです。他方、適切な申告・届出・助言があれば適法に軽減できた本税や、受けられたはずの還付を失った場合は、その不利益の賠償を検討します。本税は、常に全額が賠償の対象になるわけでも、常に全額が対象外になるわけでもありません。
特例や還付を失った損害を主張するには、次の点を資料で検証します。有利になった可能性があるというだけでは、その差額がそのまま損害と認められるとは限りません。
- 当時、特例や還付の実体的な要件を満たしていたか
- 申告・届出の要件を満たし、期限内に手続できるだけの資料と日程があったか
- 説明を受けていれば、実際にその選択をしたといえるか
- 課税が後の年度に繰り延べられるだけではないか、他の年度や他の税目で不利益が生じないか(生じる場合は比較に含めます)
- 相続税では、関係する相続人の合意が得られたか
加算税・延滞税・追加費用と二重計上の防止
加算税、延滞税、修正申告などのための追加の報酬、納付資金を調達する費用も、全額が当然に損害となるわけではありません。税理士の義務違反との因果関係、支出の必要性と相当性、負担が生じた原因と対象期間を確認します。加算税は税務上は納税者に課されますが、税理士の義務違反によって生じたといえる部分は、民事上の損害として検討の対象になり得ます。
| 項目 | 賠償対象となる可能性 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 本来納付すべき だった本税 |
通常、それ自体は損害とならない | 適切に申告していても納める必要があった税額か |
| 使えなかった特例など | 要件や選択の意思などが立証されれば、対象となる余地がある | 当時の適用要件、届出・申告の期限、説明を受けていれば選んだか、繰延べにすぎないか、他の年度・税目への影響 |
| 受けられなかった還付 | 要件と期限内の手続の可能性が立証されれば、対象となる余地がある | 還付の要件、期限内に手続できたか、税務救済で回復できる部分があるか |
| 加算税・延滞税 | 義務違反との因果関係が認められる範囲で、対象となる余地がある | 負担が生じた原因(資料提出の遅れなど依頼者側の事情を含む)と対象期間、本来の本税との対応 |
| 追加報酬・ 資金調達の費用 |
必要性と相当性が認められる範囲で、対象となる余地がある | もともと必要だった申告の報酬との区別、領収書などの裏付け |
民事上の請求のための弁護士費用も、その全額や一定の割合が当然に損害に加算されるわけではありません。また、税務救済による還付と税理士からの賠償を重複して回収しないよう差額を調整し、和解の後に還付を受ける可能性があるときは、その精算方法も和解の際に検討しておきます。
仮定の設例(実際の事件ではなく、税率から税額を計算した例でもありません。法律に従った税額を仮定して、損害の考え方を比べるものです。)
設例1 法律に従った本税が500万円であるのに、当初は300万円で申告し、後から200万円を追加で納付した。この200万円は本来の本税であり、通常それ自体は損害になりません。
設例2 適切に処理していれば特例を適用でき、本税は300万円で済んだのに、現実には500万円を納付した。特例の適用要件、説明を受けていれば特例を選んだこと、期限内に手続ができたことが立証されれば、差額の200万円が損害の検討対象になります。この差額に当たる本税のうち50万円が税務救済で還付されたときは、残る150万円が検討対象です。
いずれも、加算税等、過失相殺、他の年度への影響、既に支払われた賠償金、賠償金に対する課税は別に検討します。
因果関係・過失相殺と、賠償金を受け取る際の税金
請求額と手元に残る金額は一致しないことがあります。依頼者側の事情で賠償額が減ることがあり、受け取った賠償金に課税されることもあるためです。
資料提供の遅れや説明済みという反論への備え
税理士からは、「資料を期限までに受け取っていない」「説明したうえで依頼者が選んだ」「依頼の範囲外だった」といった反論が考えられます。資料の提出の遅れ、事実と異なる説明や不十分な説明、説明を受けた後の選択、損害の拡大を防ぐ対応の有無は、義務違反や因果関係の判断、又は過失相殺(民法第418条、第722条第2項)の判断に影響します。
他方で、税理士の側に、資料の不足に気付いて確認や照会をすべき事情がなかったかも検討の対象です。依頼者が申告書の内容を承認しただけで、税理士の責任が当然になくなるわけではありません。依頼、資料の提供、確認、選択の経緯を、当時のメールや記録で時系列に整理しておくことが基本になります。
法人と個人では賠償金の課税関係が異なる
個人が受け取る損害賠償金は、名目だけで非課税とも一時所得とも決まりません。心身に加えられた損害や、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金などのうち政令で定めるものは非課税ですが、必要経費に算入される金額を補塡するための部分や、業務の収益の補償として受けるものなどは、事業所得などの収入金額として課税の対象となり得ます(所得税法第9条第1項第18号、所得税法施行令第30条・第94条、国税庁「個人事業者が事業所得の必要経費を補てんするための損害賠償金を受け取ったとき」)。
東京国税局の文書回答事例「関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について」(平成30年(2018年)12月7日回答)は、税理士の説明不足で消費税の還付を受けられなかった不動産賃貸業者について、賠償金に相当する額を既に控除対象外消費税額として必要経費に算入していたことを前提に、賠償金は受領が確定した年分の不動産所得の総収入金額に算入するとしています。照会された事実関係を前提とする見解であり、照会者の申告内容等を拘束しないとの留保も付されているため、相続税の申告の誤りについての賠償金など、前提の異なる場合にそのまま当てはめることはできません。
法人が受け取る損害賠償金は、原則として益金の額に算入されます。法人税基本通達2-1-43は、支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入し、実際に支払を受けた日の属する事業年度に算入している場合にはこれを認めるとしています。これは税務上の取扱いで、会計処理を自由に選べるという意味ではありません。損害として負担した税額などを損金の額に算入できるかどうかも、別に確認します。
このように賠償金に課税されることがあるため、和解の前に税負担を含めた手取り額を試算しますが、税金分を上乗せした請求が当然に認められるわけではありません。個別の課税関係は、責任が問題となっている税理士とは別の税理士や税務署に確認してください。一般的な考え方は「損害賠償金の課税関係の基本」でも解説していますが、同記事の心身の損害に対する賠償金の非課税の説明は、税理士の誤りによる賠償金にそのまま当てはまるものではありません。
時効・保険・顧問税理士との利益対立を確認して請求を進める
保険会社の回答や税務救済の結論を待つ間も、民事上の時効は進みます。期限を確保しながら、独立した立場での検証と費用対効果の判断を進めます。
民事時効は税務手続と別に進む
現行の民法では、契約上の義務違反に基づく損害賠償請求権は、権利を行使することができることを知った時から5年、又は権利を行使することができる時から10年のいずれかが経過すると、時効が完成します(民法第166条第1項)。不法行為に基づく請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為の時から20年です(同法第724条)。いつから進むかは請求の根拠と事案によって異なり、追徴の通知を受けた日、税務訴訟の判決が確定した日、納付した日から当然に数えるものではありません。また、令和2年(2020年)4月1日より前に生じた債権や、その前に締結された契約に基づく債権などには、改正前の規定が適用される場合があるため(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則第10条・第34条・第35条など)、顧問契約の締結・更新や個別の依頼の時期も確認します。
税理士との話合い、税務救済の手続、税理士会への相談、保険会社への事故の連絡だけでは、時効は当然には止まりません。内容証明郵便などで支払を求める催告をすると、相手方に届いた時から6か月を経過するまで時効は完成しませんが、その間に改めて催告をしても延長されません(民法第150条)。協議を行う旨の書面などによる合意(同法第151条)、権利の承認(同法第152条)、訴えの提起などの裁判上の請求(同法第147条)には、それぞれ別の要件と効果があります。「確認中です」「保険会社に連絡します」との返答が当然に債務の承認になるわけではないため、時効の完成が近いときは、方法と効力を早めに弁護士に確認してください。
保険への連絡、交渉・調停・訴訟の選び方
税理士職業賠償責任保険は、税理士が法律上の損害賠償責任を負うことを前提に、保険期間中に損害賠償請求を受けたことなどの条件と補償の範囲が定められた保険です。事前税務相談などの特約の有無、対象外の業務、支払の限度額などは個々の契約によります。加入していることは、責任を認めたことにも全額の支払を保証することにもならず、逆に、未加入や補償の対象外であっても、税理士の民事上の責任が当然になくなるわけではありません。依頼者が保険会社に当然に直接請求できるわけでもないため、税理士の事故連絡の状況を確認しつつ、時効の管理を続けます。
進め方の目安は、期限と証拠の確保、責任が問題となっている税理士とは別の税理士による税額の比較、責任と損害の書面での整理、交渉の順で、合意が難しければ民事調停や訴訟などを検討します。時効の完成が迫っているときは、この順序にこだわらず、完成を防ぐ手続を優先します。手続を選ぶ際は、見込まれる回収額だけでなく、証拠の状況、税額の検証費用、弁護士費用、解決までの期間、相手方の資力を比べます。
責任が問題となる税理士との役割を見直す
顧問税理士自身の責任が問題となっている場合、その税理士だけに、ミスの評価、税額の検証、交渉の方針を委ねることは避け、別の税理士を含めて役割を見直します。他方で、急に契約を解除すると、次の申告期限の管理や資料の引継ぎに支障が出るおそれがあるため、移行の時期と方法を調整します。
弁護士の側でも、相手方となる税理士・税理士法人との関係(顧問関係や紹介関係を含みます)を受任の前に確認します。そうした関係があることだけで直ちに受任できないとも、常に受任できるとも限りません。
相談前に確保したい資料と、最初に伝える事項
資料は、何を確認するためのものかと対応させて準備します。全てがそろっていなくても、期限が迫っているときは、期限についての相談を先にしてください。
| 資料 | 確認できること | 保存の注意 |
|---|---|---|
| 契約書・見積書・ 請求書 |
依頼の範囲と契約の当事者 | 更新や追加の依頼の時期も分かるようにする |
| 資料授受のメール・ 添付データ |
渡した資料の内容と時期 | 添付ファイルと送受信の日時が分かる元の形で保存する |
| 助言のメール・面談記録 | 説明の内容と、選んだ方法 | 当時のメモは手を加えずに保存する |
| 届出の控え・ 電子申告の受信通知 |
提出した内容と日時 | 電子データのまま保存する |
| 申告書・ 税務署の通知・封筒 |
当初と修正後の税額、期限(通知を受け取った日) | 封筒は受け取った日の手掛かりになるため捨てない |
| 適切な処理との 比較計算 |
適切な処理との差額 | 計算の前提とした資料と一緒に保存する |
| 更正の請求・裁決・ 還付の記録 |
税務救済の結果と、賠償との重複の調整 | 還付金の入金の記録もそろえる |
| 追加費用の領収書 | 是正や資金調達にかかった費用 | もともと必要だった報酬と区別する |
| 各相続人の依頼・ 分割協議の資料 |
(相続税の場合)誰が依頼し、誰に損害が生じたか、当時の遺産分割協議で特例の選択に合意できたか | 相続人ごとに整理する |
後日まとめる経緯のメモには、作成日と、記憶に基づいて書いた部分を明記し、当時の記録と区別して保管します。当時の記録を書き換えたり作り直したりすることは避けてください。
税理士に経緯の説明や預けた資料の返還を求めたときは、求めた内容と相手方に届いた日を記録します。受任者には、委任者の請求に応じて事務の処理状況を報告する義務(民法第645条)や、事務の処理に当たって受け取った物を引き渡す義務(同法第646条)がありますが、事務所内部の資料の全てを無条件に開示させる権利まで認められるとは限りません。
税理士の責任と税務救済を整理したい方へ
ご相談では、税理士との契約と資料の授受の経緯を伺い、税務上の救済手続の期限、責任が問題となる点、損害の考え方と時効を確認したうえで、交渉・調停・訴訟などの進め方を整理します。相談方法・費用はご予約時にご確認ください。
ご予約の際は、次の事項をお知らせください。資料がそろう前でもご予約いただけます。
- 税目と対象年度
- 税務署からの通知を受け取った日
- 申告・届出の期限(更正の請求や不服申立ての期限が分かれば、その期限も)
- 相手方となる税理士・税理士法人の名称
相手方の名称は、当事務所との関係(顧問関係や紹介関係を含みます)を受任の前に確認するために伺います。確認の結果、ご相談やご依頼をお受けできない場合があります。また、お問い合わせやご予約によって、時効や税務上の期限が止まることはありません。
相談の方法と条件は「相談方法と相談条件」、当事務所の弁護士費用は「弁護士費用」のページに掲載しています。
事務所紹介
弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所(兵庫県弁護士会所属)は、神戸市須磨区中落合2丁目2-5 名谷センタービル7階でご相談をお受けしています。在籍する弁護士については「弁護士紹介」のページをご覧ください。
よくある質問
税理士がミスを認めれば、追徴された本税も全額戻ってきますか。
当然には戻りません。適切に申告していても納める必要があった本税は、通常それ自体は損害にならないためです。対象となる余地があるのは、特例や還付を失った不利益や、ミスとの因果関係が認められる加算税・追加費用などです。ミスを認めたことと、賠償額の合意も別の問題です。
税務署に勧められて修正申告をした後でも、できることはありますか。
修正申告そのものに不服申立てはできませんが、税額が過大であれば、原則として法定申告期限から5年以内に更正の請求を検討できます。別に通知された加算税の賦課決定などの処分は、不服申立ての対象となり得ます。
保険会社の回答を待っている間も、時効は進みますか。
保険会社への事故の連絡や回答待ちだけでは、時効は当然には止まりません。時効の完成が近いときは、催告、協議を行う旨の書面などによる合意、訴えの提起などの方法と効力を、早めに弁護士に確認してください。
参考資料と情報基準日
- 民法(e-Gov法令検索)
- 国税通則法(e-Gov法令検索)
- 行政事件訴訟法(e-Gov法令検索)
- 相続税法(e-Gov法令検索)
- 所得税法(e-Gov法令検索)
- 所得税法施行令(e-Gov法令検索)
- 国税庁「No.7200 税務署長等の処分に不服があるときの不服申立手続」
- 国税庁「No.7210 『不服申立て』ができる場合、できない場合」
- 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
- 国税庁「B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続」
- 国税不服審判所「不服申立てをした場合の『徴収の手続』はどうなるの?」
- 国税不服審判所 公表裁決事例(平成4年12月9日裁決・裁決事例集No.44・36頁)
- 日本税理士会連合会による裁判例の紹介(東京高等裁判所平成7年6月19日判決)
- 日本税理士会連合会による裁判例の紹介(神戸地方裁判所平成10年12月9日判決)
- 東京国税局「関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について」
- 国税庁「No.2201 個人事業者が事業所得の必要経費を補てんするための損害賠償金を受け取ったとき」
- 国税庁「法人税基本通達 第7款 その他の収益等」
この記事は、令和8年(2026年)10月17日時点の法令と公表資料に基づく一般的な情報です。具体的な事件には、契約、申告、相続開始などの時点に応じた法令が適用され、結論は契約の内容や資料によって異なります。

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