店舗・駐車場の出入りで起きた事故の過失割合|道路に出る車・右折で入る車 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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店舗・駐車場の出入りで起きた事故の過失割合|道路に出る車・右折で入る車

店舗や駐車場の出入口で車同士がぶつかり、保険会社から「道路を走っていたあなたにも1割の過失があります」と告げられると、納得しにくいものです。実務で参照される基準では、駐車場などから道路に出る車と直進車の事故も、道路から店舗へ右折する車と対向直進車の事故も、基本の割合は直進車10:出入りする車90です。しかし、両者は別の類型であり、割合を修正する事情が異なります。店舗へ右折しようとした車が後ろから来た車に追い越されて衝突した場合は、さらに別の類型で検討します。

この記事では、3つの場面を分けたうえで、停止・合図・速度・見通しなどの事情と、保険会社の提示を確かめるための証拠を整理します。いずれの割合も法令で定められたものではなく、実際の過失割合は事故の状況と証拠によって異なります。

この記事の前提

  • 対象は、店舗や駐車場などの敷地と道路の間を出入りする四輪車と、道路を走る四輪車の事故です。
  • 駐車場の中だけで起きた事故、バック駐車や後退しながらの出入り、歩行者・自転車・バイクとの事故は扱いません。
  • 過失割合は、「直進車10:道路外から出る車90」のように、どちらの車の割合かを示して記載します。

まず、事故を3つの類型に分ける

店舗の敷地や駐車場のように、通常は道路の外にある場所を、法令では「道路外」、基準書では略して「路外」と呼びます。『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕』(別冊判例タイムズ39号。以下「認定基準」)284~287頁を基に、出入口の事故を整理すると次のとおりです。

店舗・駐車場の出入口で起きる事故の3つの類型
類型 衝突した相手 基本割合 注意点
①道路外から
出る車
道路を直進してきた車 直進車10:
道路外から出る車90
(【Ⅲ-50】)
右折か左折か、相手が左右どちらから来たかで、当てはまる修正が変わります。
②店舗へ
右折する車
反対方向から直進してきた車(対向車) 直進車10:
店舗へ右折する車90
(【Ⅲ-51】)
交差点での右折車と直進車の事故とは、別の類型です。
③店舗へ
右折する車
同じ方向の後ろから来た車(後続車・追越車) 【Ⅲ-51】は使わず、【Ⅲ-38】~【Ⅲ-41】などを参照して別に検討します。 後続車の中央線越え、中央への寄せ、合図、道路幅、停止までの経緯を確かめます。

道路に出る車と、道路から店舗へ入る車の違い

駐車場から道路に出る車は、道路外から道路に進入する車です。これに対し、道路から店舗へ右折して入る車は、法律上「道路外に出るため右折する」車として扱われます(道路交通法第25条第2項)。店舗に入る動きが「道路外に出る」と表現されるため、言葉だけで判断すると取り違えやすい点に注意が必要です。どちらの車も、歩行者や他の車の正常な交通を妨げるおそれがあるときは、出入りのための右折・左折をしてはならないとされています(同法第25条の2第1項)。

①と②は基本割合が同じでも、修正の対象となる事情が異なります。例えば、合図を出さなかったことは、①の道路外から出る車では独立した修正要素とされていませんが、②の店舗へ右折する車では不利な修正要素とされています。まず、双方の進行方向と、衝突した相手がどの方向から来た車かを特定することが出発点です。

なお、道路交通法の「道路」には一般の交通に使われている場所も含まれるため(同法第2条第1項第1号)、私有地だから一律に道路外になるとは限りません。敷地内の通路が道路に当たるかが問題になる事故は、個別の確認が必要です。

基本割合は最終的な過失割合ではない

民法第722条第2項は、被害者に過失があったときは、裁判所がこれを考慮して損害賠償の額を定めることができると規定しています(過失相殺)。出入口の事故の割合を定めた法令はなく、認定基準の割合は、具体的な事情に応じて用いる実務上の参考基準です(認定基準22頁、24頁)。警察の処理や保険会社の提示によって、民事上の過失割合が確定するわけでもありません。

認定基準の基本割合は、出入りする車が減速や徐行をし、直進車にも前方への注意がやや不十分だった態様を想定しています(284頁)。そのため、「直進車も動いていたのだから1割の過失がつく」という説明は正確ではありません。反対に、相手が出てきたというだけで、直進車に過失がないと自動的に認められるわけでもありません。実際の事故が基準の想定と一致するかを、証拠で確かめます。

修正要素は、割合の数字に加算・減算する形で示されています。直進車側に10ポイントを加える修正だけが当てはまる場合、直進車10:道路外から出る車90は直進車20:道路外から出る車80になります。このように「10ポイント」は割合の数字そのものに10を加減する意味であり、割合に10%を掛ける計算ではありません。複数の修正要素があるときは、同じ事情を二重に数えていないか、一方だけを適用する関係ではないか、基本割合で考慮済みの事情ではないかを確かめます。

金額への影響を単純化して示すと、直進車側の損害額が100万円と認められ、直進車の過失が10%とされた場合、ほかに差し引くものがなければ、過失相殺後の額は100万円×(1-0.10)=90万円です。相手の損害のうち負担する額、既に支払われた額、保険からの給付などは別に計算するため、これが実際に受け取る額になるわけではありません。物損事故で修理費や時価額、代車費用が争われている場合は、修理費・時価額・代車費用の確認点をご覧ください。

駐車場から道路に出る車の過失割合

駐車場などの道路外から道路に出る車と直進車の事故は、認定基準【Ⅲ-50】で検討します(285~286頁)。基本割合は直進車10:道路外から出る車90です。なお、出入りのために歩道などを横切るときは、その直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないようにする義務があります(道路交通法第17条第2項)。

【Ⅲ-50】の主な修正要素は、次のとおりです。

  • 見通しのよい出入口:直進車側に10ポイント加算
  • 頭を出して待機した後の発進:直進車側に10ポイント加算
  • 既右折(右折して道路に出た車と、その車から見て左から来た直進車との事故に限る):直進車側に10ポイント加算
  • 直進車の速度違反:直進車側に10ポイント又は20ポイント加算(後述)
  • 道路外から出る車の徐行なし(徐行せずに進み、減速しないまま道路に入った場合や、著しく加速して飛び出した場合など):道路外から出る車側に10ポイント加算

道路外から出る車が合図(方向指示器、いわゆるウインカー)を出さなかったことは、【Ⅲ-50】では独立した修正要素とされていません。ただし、法令上の合図の義務(道路交通法第53条)がなくなるわけではありません。

頭を出して待機した場合と、出入口の見通し

「頭出し待機」は、道路外から出る車がゆっくり進み、車の前部を道路に少し出して待機した後、発進して事故になった態様をいいます(285頁注②)。一度止まった事故のすべてにこの修正が当てはまるわけではなく、待機した位置と時間、そこから発進したのか、接触まで止まり続けていたのか、直進車から待機中の車が見えたかを確かめます。接触まで止まり続けていた場合は、この修正をそのまま当てはめず、止まるまでの進み方や停止位置、直進車が危険に気付いて避けられたかを含めて検討します。

見通しのよい出入口の修正は、直進車が道路外から出る車の進出を予測しやすいことを理由とするものです(285頁注①)。反対に、見通しが悪かったことだけで、道路外から出る車の安全確認の義務が軽くなるわけではありません。

先に出ていた場合と、右折を終えていた場合

先に道路へ出始めていたことは、それだけでは修正の理由になりません。【Ⅲ-50】と【Ⅲ-51】には、先に出たこと(先入)を理由とする独立の修正要素は設けられていません。

これに対し、既右折の修正は、道路外から出る車が右折して道路に入り、右折を終えていた場合のものです(285頁注③)。ただし、右折した車から見て左から来た直進車、つまり右折後に同じ方向へ進む直進車との事故に限られ、左折して出た場合や、右から来た直進車との出会い頭の事故には当てはまりません。また、右折を終えてしばらく直進した後に後ろから衝突された場合は、右折を終えた直後の衝突と区別し、時間の間隔などによっては追突事故として検討します。

道路から店舗へ右折で入る車の過失割合

道路から店舗や駐車場へ右折して入ろうとした車と、反対方向から直進してきた車の事故は、認定基準【Ⅲ-51】で検討します(287頁)。基本割合は直進車10:店舗へ右折する車90で、同じ方向の後ろから来た車との事故は含まれません。

道路外に出るために右折する車は、あらかじめできる限り道路の中央(一方通行の道路では右側端)に寄り、徐行しなければなりません(道路交通法第25条第2項)。交差点での右折は、同法第34条・第37条が定める別の場面で、認定基準でも別の類型です。交差点での右折車と直進車の事故の割合を、出入口の事故にそのまま当てはめることはできません。

合図・徐行・直進車の速度

店舗へ右折する車が合図を出さなかった場合は、店舗へ右折する車側に10ポイントを加える修正があります。合図が遅く相手が認識しにくかった場合は合図なしと同じように扱われることがあり、反対に、右折することが外から明らかに分かる状況では、この修正を限定的に考える余地があります(認定基準46~47頁、287頁注⑥)。道路外へ右折する際に徐行しなかった場合(道路交通法第25条第2項の義務違反)も、店舗へ右折する車側に10ポイントを加える修正があります(287頁注⑤)。

直進車が規制速度を時速15キロメートル以上超えていた場合は直進車側に10ポイント、時速30キロメートル以上超えていた場合は20ポイントを加える修正があり、【Ⅲ-50】も同じです(認定基準24頁、285頁、287頁)。これは走行速度そのものではなく規制速度を超えた幅であり、時速30キロメートル以上超えていた場合に、10ポイントと20ポイントを重ねて加えることはしません。速度は印象だけで判断せず、規制速度の標識や、時間と距離を検証できる映像などの裏付けを確かめます。

右折がほぼ終わっていた場合

店舗へ右折する車が、衝突地点の手前で右折を終えていたか、それに近い状態だった場合(既右折)は、直進車側に10ポイントを加える修正があります(287頁注②)。右折を早く始めた、あるいは衝突の直前に止まったというだけでは足りません。右折を始めた位置、衝突時の車の位置と向き、損傷した部位から、右折の進み具合を確かめます。

後続車に追い越されて衝突した場合は別に検討する

店舗へ右折しようと減速や停止をしていたところに、同じ方向の後ろから来た車(後続車・追越車)が衝突した事故は、【Ⅲ-51】の対象ではありません(287頁注①)。この場面は、認定基準の【Ⅲ-38】~【Ⅲ-41】など(270~277頁)を参照して検討するため、対向直進車との事故の基本割合(直進車10:店舗へ右折する車90)をそのまま当てはめることはできません。この記事では、これらの類型の割合は取り上げていません。

法令では、道路外へ右折するために中央へ寄ろうとして合図をした車があるとき、後ろの車は、速度や方向を急に変えなければならなくなる場合を除き、その進路の変更を妨げてはならないとされています(道路交通法第25条第3項)。合図をすれば無条件に優先されるわけではありません。また、前の車が同法第25条第2項により道路の中央(一方通行の道路では右側端)に寄って通行しているときは、その車を追い越そうとする車は、その左側を通行しなければなりません(同法第28条第2項)。主に確かめる事情は、次のとおりです。

  • 後続車が中央線や道路の中央を越えて追い越そうとしたか、追越しが禁止された場所ではなかったか
  • 店舗へ右折する車が、あらかじめ道路の中央へ寄り、合図を出していたか
  • 道路の形状や車の長さからみて、中央へ寄ることができたか
  • 店舗へ右折する車の左側を、後続車が並んで通過できる道路幅があったか
  • 止まるまでにどのように進み、どこで、どのくらい止まっていたか

合図の時期は、右折では右折しようとする地点の30メートル手前に達したとき、同じ方向に進みながら進路を変える場合は進路を変えようとする3秒前とされており(道路交通法第53条、道路交通法施行令第21条)、両者を混同しないよう注意が必要です。なお、この30メートルという時期は、駐車場から道路に出る短い動作にそのまま当てはめるものではありません。

また、中央へ寄るために進路を変えている途中の衝突であれば進路変更の事故、単純に後ろからぶつけられた衝突であれば追突事故との区別も必要です。交差点ではない場所での右折だという理由だけで、店舗へ右折する車が不利に扱われるわけではありません。

過失割合を確かめるために残す証拠

過失割合を確かめるには、接触の瞬間だけでなく、その前からの双方の動きを時間の順に復元することが大切です。争点ごとに、確かめる資料を対応させておきます。

映像・現場写真・車両の損傷から確認すること

ドライブレコーダーの映像は、衝突の前後を含めて元のデータのまま保存し、内容の確認には複製を使います。店舗などの防犯カメラは上書きされることがあるため、早めに管理者へ保存を依頼しておくことをおすすめします。ただし、任意に提供されるかどうかは管理者の判断によるため、入手できるとは限りません。

争点ごとに確認する事情と、役立つ証拠・確認の限界
確認する事情 役立つ証拠 確認の限界
頭出し・停止・
再発進
衝突の前後を含むドライブレコーダーや防犯カメラの映像、事故の直前からの動きを時間の順に書いたメモ 映像の時刻表示がずれていることがあります。撮影範囲の外の動きは分かりません。
合図・
中央への寄せ
方向指示器の点滅や車の位置が分かる映像 撮影の角度や画質によっては、点滅や車の位置が判別しにくいことがあります。
速度 規制速度の標識の写真、時間と距離を検証できる映像 映像の印象だけでは判断できません。遠近感による見え方の違いにも注意します。
見通し 事故当時の障害物、道路幅、双方の位置関係が分かる写真 後日撮影した写真では、障害物の位置など事故当時の状況が変わっていることがあります。
進路・
接触の角度
双方の車の損傷写真、現場の図面 損傷の位置だけで、過失割合が決まるわけではありません。

人身事故として捜査が行われた場合は、実況見分調書などの刑事記録が作成されていることがあります。記録の有無や取得できる範囲は事件によって異なり、物損事故で当然に作成されるものではありません。取得の方法は、実況見分調書などの刑事記録を確認する方法で説明しています。

現場の写真は、交通の安全を確保できる場所から撮影し、店舗の敷地内では管理者の了解を得てください。映像や写真には相手方や第三者が写っていることがあるため、交渉や手続に必要な範囲で扱い、インターネット上で公開することは控えてください。

保険会社に確認する事項

保険会社から過失割合を示されたら、次の3点を分けて確認します。

  • 基準と類型:どの基準書(版)のどの類型番号を用い、どのような事故状況図を前提としたか
  • 基本割合:基本割合はいくつで、どちらの当事者が何割とされているか
  • 修正:修正要素ごとの理由、加算・減算したポイント数、根拠とした資料は何か

そのうえで、食い違う点が「事故状況の認識の違い」なのか、「同じ事実の評価の違い」なのかを整理し、手元の証拠と照らし合わせます。納得できないまま過失割合に同意したり、示談書に署名したりする前に、根拠を確認しておくことをおすすめします。交渉がまとまらない場合は、ADR(裁判外紛争解決手続)、調停、訴訟などの選択を検討します。手続の選び方は、交通事故の示談交渉がまとまらない場合の手続で説明しています。

よくある質問

止まっていたのにぶつけられた場合、過失は0になりますか。

止まっていたという事情だけで、過失が0と決まるわけではありません。止まるまでの進み方、停止の位置と時間、相手が危険に気付いて避けられたかを確かめます。頭を出して待機した後に発進した場合と、接触まで止まり続けていた場合は区別し、店舗へ右折しようと止まっていて後続車に衝突された場合は、対向直進車との事故とは別の類型で検討します。

道路を直進していた側にも、常に過失がつくのですか。

常につくわけではありません。基本割合は法令で定められたものではなく、基準が想定する態様(出入りする車の減速・徐行と、直進車の軽い前方不注意)と実際の事故が一致するかを、証拠で確かめて判断します。反対に、直進していたことだけで過失がないと認められるわけでもありません。

先に駐車場から出ていれば、過失割合は有利になりますか。

先に出始めていたというだけでは、修正の理由になりません。既右折の修正も、道路外から出る車が右折を終えており、その車から見て左から来た直進車と衝突した場合に限られます。

神戸で店舗・駐車場の出入口事故について相談するには

出入口の事故は、どの類型に当たるか、修正要素の前提を満たすかが、映像や写真の細かな点で変わることがあります。保険会社の提示に納得できないときや示談書に署名する前に、事故の状況と基準の当てはめを弁護士と確認することができます。ご相談は、お手元の資料から始められます。資料が揃うのを待つ必要はありません。次のようなものがあれば、お持ちください。

  • 保険会社から示された過失割合の説明(類型番号や事故状況図が分かる書面・メールなど)
  • ドライブレコーダーの映像の複製、入手できていれば防犯カメラの映像
  • 事故現場と双方の車の写真、修理の見積書など損害が分かる資料
  • 事故の日時・場所や相手方が分かる資料
  • 事故の直前からの動き(止まった位置、動き出した時点、合図を出した時点など)を時間の順に書いたメモ
  • ご自身の自動車保険の保険証券

弁護士費用特約を利用できるか、費用の負担がどうなるかは、保険の契約内容によって異なります。事前に、弁護士費用特約を使う前の確認事項もご確認ください。

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過失割合の根拠や証拠の確認についてご相談を希望される方は、相談の方法と費用をご確認のうえ、相談予約フォームからご予約ください。フォームの送信は予約のお申込みであり、相談の実施やご依頼の受任をお約束するものではありません。

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参考資料と情報基準日

この記事は、令和8年(2026年)10月10日時点で施行されている法令と、同日に確認した資料に基づく一般的な説明です。過去の事故については事故当時の法令を確認する必要があり、個別の事故の過失割合は、事故の状況と証拠によって異なります。

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