警備員は自己破産すると働けない?就業制限・復権・仕事の続け方 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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警備員は自己破産すると働けない?就業制限・復権・仕事の続け方

警備員として働きながら返済が苦しくなったとき、「自己破産をすると警備の仕事ができなくなるのではないか」「会社に知られて辞めさせられるのではないか」という不安から、相談そのものをためらう方は少なくありません。警備業法には破産に関する定めが置かれており、その内容を正確に把握しないまま判断すると、必要以上に手続を先延ばしにしたり、逆に説明のないまま勤務を続けて勤務先に迷惑をかけたりすることになります。

この記事は、警備員として働いている方ご本人が自己破産を検討する場面を想定しています。制限を受けるのは「警備業務に従事すること」であって、自己破産を申し立てること自体でも、勤務先に在籍し続けることでもありません。この違いを出発点として、制限が始まる時点と終わる時点、勤務先と相談すべき事項、収入が減ることを見込んだ家計の確認方法、申立て・退職・復帰の前にそろえる資料を整理します。

「いつから警備業務を外れる必要があるのか」「勤務先に何をどう伝えるか」は、雇用契約書や配置の資料を確認することで見通しを立てやすくなります。資料がすべてそろっていない段階でも、現状の整理はできます。

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結論|警備員も自己破産を申し立てられます。制限されるのは警備業務への従事です

先に結論を整理します。警備業法は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者を警備員としてはならないと定めていますが(警備業法第14条第1項、第3条第1号)、自己破産の申立てそのものを禁止する法律はありません。また、警備業務に従事できなくなることと、勤務先との雇用契約が終了することとは、別の問題として検討する必要があります。

警備員の自己破産で問題になる論点と、確認できる範囲の結論
論点 条文から確認できる結論 最初に確認する資料・行動
申立てができるか 警備員であることを理由に自己破産の申立てを制限する規定はありません。 借入先・残高・保証人の一覧、家計の状況
何が制限されるか 制限されるのは警備業務への従事です(警備業法第14条第1項・第2項)。勤務先に在籍すること自体を禁止する規定ではありません。 雇用契約書、実際に担当している業務の内容
いつから制限されるか 破産手続開始の決定がされた時からです。決定はその決定の時から効力を生じます(破産法第30条第2項)。 裁判所からの決定書、代理人弁護士への確認
いつまで制限されるか 復権するまでです。多くの場合、免責許可の決定が確定したときに復権します(破産法第255条第1項第1号)。免責許可の決定は確定しなければ効力を生じません(同法第252条第7項)。 免責許可決定書、確定証明書
雇用はどうなるか 警備業務に従事できないことから雇用契約が当然に終了するという規定はありません。解雇・雇止めの有効性は労働契約法第16条・第17条第1項・第19条の枠組みで個別に判断されます。 雇用契約書、就業規則、休職規程
資格者証はどうなるか 警備員指導教育責任者資格者証等は、公安委員会が返納を命ずることが「できる」とされています(警備業法第22条第7項第1号ほか)。当然に失効するとは定められていません。 保有している資格者証・合格証明書の現物

個別の事情によって結論が変わる部分は、主に「実際に担当している業務が警備業務に当たるか」「勤務先に警備業務以外の配置があるか」「就業規則や雇用契約がどうなっているか」の三点です。制度の仕組みは条文で確認できますが、この三点は資料を確認しなければ判断できません。

なぜ警備員に制限がかかるのか|警備業法第3条第1号と第14条の関係

警備業法は「警備業者」と「警備員」を別々に規制しています

警備業法は、まず第3条で「次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない」と定め、その第1号に「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」を挙げています。これは警備業を営む側、すなわち都道府県公安委員会の認定を受けて営業する者に向けられた規定です(同法第4条)。

これに対して、雇われて働く警備員については第14条が置かれています。第1項は「18歳未満の者又は第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員となつてはならない」と定め、第2項は「警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない」と定めています。第3条第1号がここで引用されているため、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は、警備員となることができず、警備業者もその者を警備業務に従事させることができません。

したがって、「破産すると警備会社を経営できない」という話(第3条)と、「破産すると警備業務に従事できない」という話(第14条)は、条文上の根拠が分かれています。ご自身が経営者ではなく雇われて働く立場であれば、直接の根拠は第14条です。

制限の対象は警備業務であり、勤務先に在籍することではありません

第14条第1項の文言は「警備員となつてはならない」であり、第2項の文言は「警備業務に従事させてはならない」です。警備業法上の「警備員」は、「警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事するもの」と定義されています(同法第2条第4項)。つまり、警備業務に従事しない従業員は、警備会社に在籍していても警備業法上の警備員には当たりません。

警備業法には、破産手続開始の決定を受けた者を解雇しなければならないという規定も、雇用契約が当然に終了するという規定もありません。雇用関係をどうするかは、後述するとおり労働契約法などの枠組みで別に検討することになります。

自分の業務が警備業務に当たるかは、業務の名称ではなく内容で決まります

警備業法第2条第1項は、警備業務を「次の各号のいずれかに該当する業務であつて、他人の需要に応じて行うもの」と定義し、四つの類型を挙げています。条文が定めているのは業務の内容であり、社内での呼び名や職種名ではありません。

警備業法第2条第1項が定める警備業務の四類型
条文の文言 確認するポイント
第1号 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(警備業務対象施設)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 常駐・巡回・出入管理・防災センター業務など、施設で事故の発生を警戒し防止する要素が含まれているか
第2号 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務 工事現場や催事での交通誘導・雑踏整理に当たる作業を担当しているか
第3号 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 現金輸送や貴重品輸送の車両乗務・警戒に関与しているか
第4号 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務 身辺警護に当たる業務を担当しているか

なお、警察庁の「警備業法等の解釈運用基準について」(令和6年6月27日付け警察庁丙生企発第240号)は、「他人の需要に応じて行う」とは「他人との契約に基づき、他人のために行うこと」であるとしたうえで、警備業務に該当しない業務の例として、運送業者・倉庫業者・建設業者が自己の従業員を配置して自らの業務に伴う事故防止を行う程度の業務、労働安全衛生法の規定により事業者がその従業員を使用して行う労働災害防止の業務、デパート等においてその従業員が通常必要とされる範囲で行う保安業務、飛行場において行う航空機の誘導業務、貸ビル業者が通常必要とされる範囲で自己の所有建物においてその建物自体の保全管理を行う業務を挙げています。いわゆる自家警備が警備業務に当たらないのは、他人の需要に応じて行うものではないためです。

「受付」「巡回」「管理人」「施設管理」「清掃」といった呼び名に変えれば制限を受けないという整理はできません。警備業法第2条第1項各号のいずれかに当たる業務を、他人の需要に応じて実際に行っていれば、呼び名にかかわらず警備業務です。他方、警備業務に当たらない業務を新たに担当するのであれば、それは第14条の制限の対象外となります。名目を変えるのではなく、実際の業務内容を変えられるかどうかが分かれ目です。判断が微妙な場合は、担当業務の具体的な作業内容を書き出したうえで、勤務先および弁護士に確認してください。

正社員・契約社員・アルバイトといった雇用形態の名称によって第14条の適用が変わる規定はありません。短時間勤務であっても、警備業務に従事するのであれば同じ扱いになります。

制限はいつ始まり、いつ終わるのか|開始決定から復権までの時系列

相談・受任・申立ての段階では警備業務の制限は生じません

警備業法第3条第1号が定めるのは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」です。弁護士に相談した時点、委任した時点、受任通知を送って返済を止めた時点、裁判所に申立書を提出した時点のいずれも、まだ破産手続開始の決定はされていません。この段階で警備業務に従事できなくなるわけではありません。

もっとも、この期間は「何もしなくてよい期間」ではありません。開始決定後の配置をどうするかを勤務先と調整するには時間がかかります。申立ての時期は、弁護士と相談して調整できる場合があります。

制限が始まるのは破産手続開始の決定の「時」です

破産法第30条第2項は「前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる」と定めています。開始決定の効力は、決定が確定した日でも、官報に掲載された日でも、勤務先が知った日でもなく、決定の時から生じます。したがって、警備業務への従事制限も開始決定の時から問題になります。

開始決定は官報に公告されますが(破産法第32条第1項、第10条第1項)、公告は制限の開始時期を決めるものではありません。公告は掲載があった日の翌日に効力を生じます(同法第10条第2項)。

同時廃止でも開始決定に伴う制限は生じます

破産手続には、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときに、破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をする取扱いがあります(破産法第216条第1項)。いわゆる同時廃止です。同時廃止であっても、破産手続開始の決定自体はされています。したがって、開始決定に伴う警備業務への従事制限は生じます。「同時廃止なら制限がない」「同時廃止ならすぐ働ける」という理解は誤りです。

また、破産手続が廃止されたり終結したりすることと、免責が許可されることは別の手続です。破産手続開始決定後の破産手続廃止(破産法第217条第1項。いわゆる異時廃止)や破産手続の終結によって、当然に免責や復権が生じるわけではありません。

制限が終わるのは免責許可の決定が「確定」したときです

破産法第252条第7項は「免責許可の決定は、確定しなければその効力を生じない」と定めています。免責許可の申立てについての裁判に対しては即時抗告をすることができ(同条第5項)、その裁判の公告があった場合の即時抗告の期間は、公告が効力を生じた日から起算して2週間とされています(同法第9条第2項)。免責許可の決定は、その主文を記載した書面を破産債権者に送達することとされていますが(同法第252条第3項)、送達は公告をもって代えることができます(同法第10条第3項)。

そして、免責許可の決定が確定したときに復権します(破産法第255条第1項第1号)。復権の効果は「人の資格に関する法令の定めるところによる」とされており(同条第2項)、警備業法との関係では、第3条第1号の「復権を得ない者」に当たらなくなります。

免責許可の決定が出た日と、その決定が確定した日は異なります。したがって、「免責許可決定が出たから翌日から警備業務に戻ってよい」という判断はできません。実際に要する期間は、手続の種類、財産や免責に関する調査の内容、不服申立ての有無などによって変わります。

手続の段階と警備業務への影響、確認する書類・行動
段階 警備業務への影響 確認する書類・行動
弁護士への相談・受任、返済の停止 警備業法上の従事制限は生じません。 雇用契約書、就業規則、担当業務が分かる資料を集める
裁判所への破産手続開始の申立て 申立てだけでは従事制限は生じません。 申立ての時期と勤務先への説明時期を弁護士と調整する
破産手続開始の決定 決定の時から、警備業務に従事できません(破産法第30条第2項、警備業法第14条第1項)。同時廃止の場合も同じです。 決定書の写しを確認し、代理人弁護士と勤務先の担当者に連絡する
破産手続の廃止・終結 これだけでは制限は解消しません。免責の判断とは別の手続です。 免責許可の申立ての状況と今後の予定を確認する
免責許可の決定 決定が出ただけでは効力を生じません(破産法第252条第7項)。制限は続いています。 決定書を受領し、確定の見込み時期を代理人弁護士に確認する
免責許可の決定の確定 確定により復権します(破産法第255条第1項第1号)。第3条第1号の欠格事由には当たらなくなります。 確定証明書を取得し、勤務先に提示する時期と方法を確認する

復権を確認する書類と、その使い分け

復権したことを勤務先に示す資料としては、免責許可決定書と、その決定が確定したことを示す確定証明書が中心になります。裁判所は「破産手続で使う書式」として免責許可決定確定証明申請書の書式を公開しており、申請により証明書の交付を受けることができます。申請に必要な書類、手数料、郵送の可否は申立てをした裁判所の取扱いによるため、代理人弁護士または当該裁判所に確認してください。

証明書を取得した日が復権の日になるわけではありません。復権は免責許可の決定が確定した時点で生じ、証明書はその事実を後から証明するための書類です。

裁判所が交付する証明書、本籍地の市区町村が交付する身分証明書、信用情報機関が保有する情報は、それぞれ目的も内容も異なります。復権によって法律上の欠格事由は解消しますが、信用情報の登録がそれによって直ちに消えるわけではありません。たとえば神戸市は、本籍地が神戸市にある方について「禁治産・準禁治産・後見および破産に関する証明(身分証明)」を交付しており、破産手続開始決定の通知を受けていないことなどを証明するものと説明しています。請求先は本籍地の市区町村であり、記載内容への反映時期や必要書類は自治体により異なります。勤務先からどの書類の提出を求められているのかを確認したうえで、取得先を選んでください。

仕事を続けるための選択肢|配置転換・休職・勤務条件の調整

警備業務への従事制限と、雇用契約の終了は別の問題です

破産手続開始の決定を受けると警備業務に従事できなくなりますが、それによって雇用契約が当然に終了するとは法律上定められていません。他方で、「自己破産を理由とする解雇は必ず無効である」とも、「会社には配置転換や休職を認める義務がある」とも言えません。いずれも個別事情による判断が必要です。

解雇・雇止め・退職勧奨・合意退職を区別する

雇用が終わる場面にはいくつかの類型があり、それぞれ適用される規定と判断の枠組みが異なります。会社から示された書面がどの類型に当たるのかを確認しないまま署名すると、後から争うことが難しくなります。

雇用が終わる場面の類型と判断の枠組み
類型 内容 主な根拠 確認する資料・事実
期間の定めのない契約の解雇 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効となります。 労働契約法第16条 解雇通知書、解雇理由証明書、就業規則の解雇事由、配置転換の検討経過
有期契約の期間途中の解雇 やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間に解雇することはできません。 労働契約法第17条第1項 雇用契約書の契約期間、残存期間、解雇の理由
有期契約の雇止め 反復更新の実態がある場合や更新を期待する合理的な理由がある場合、更新拒絶が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められないときは、従前と同一の労働条件で申込みを承諾したものとみなされます。 労働契約法第19条第1号・第2号 過去の更新回数と手続、更新に関する説明、契約書の不更新条項
退職勧奨 会社が退職を勧めるもので、応じるかどうかは本人が決めます。応じた場合は自己都合退職ではありません。 厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」 勧奨の日時・回数・態様の記録、提示された条件
合意退職 会社と本人の合意で雇用契約を終了させるものです。退職届や合意書に署名すると合意の成立が主張されやすくなります。 民法上の合意 退職届・合意書の文案、署名を求められた経緯、退職日と条件
休職期間の満了 就業規則の休職規程により、期間満了時に復職できない場合の取扱いが定められていることがあります。 就業規則・休職規程 休職事由に該当するか、期間、復職の要件、期間満了の効果

就業規則に「破産手続開始の決定を受けたとき」「資格を喪失したとき」を退職事由や解雇事由とする条項が置かれていることがあります。もっとも、そのような条項があるという事実だけで、その適用が有効であると決まるわけではありません。条項の文言、実際に警備業務以外の配置が可能だったか、会社が検討した経過などを踏まえた判断が必要です。退職届や合意書への署名を求められた場合は、署名する前に書面と経緯を弁護士に確認してください。

配置転換と休職を具体化する

制限期間中の働き方として現実的に検討できるのは、同じ勤務先の警備業務以外の業務への配置転換、休職、年次有給休暇その他の休暇の利用、警備業務に当たらない仕事への転職です。いずれも、制度があることと、実際に利用できることは別です。

制限期間中の対応案と、確認すべき事項
対応案 実現に必要な確認 給与・家計への影響 復帰時の確認
警備業務以外の業務への配置転換 雇用契約で職種が限定されていないか、社内に警備業務に当たらない業務があるか、会社の規模と配置の実情はどうか 基本給、夜勤手当・現場手当・資格手当の有無、時間外労働の減少による手取りの変化 復権後に元の警備業務へ戻る場合の手続と時期、配置と賃金の取扱い
休職 就業規則に休職制度があるか、破産に伴う就業制限が休職事由に含まれるか、期間の上限、期間満了時の取扱い 休職中の賃金の有無、社会保険料の本人負担分の納付方法、住民税の納付方法 復職の要件、復職を申し出る時期、提出を求められる資料
年次有給休暇その他の休暇 残日数、取得の手続、繁忙期の時季変更との関係 取得中の賃金の取扱い、残日数を使い切った後の取扱い 制限期間が休暇の残日数を超える場合の次の手段
警備業務に当たらない仕事への転職 転職先の業務が警備業法第2条第1項各号に当たらないか、離職の時期、失業給付の取扱い 収入の増減、通勤費、社会保険の切替え 復権後に警備業へ戻る意向があるか、その場合の時期

休職中の賃金・社会保険料・住民税は個別に確認が必要です

休職すれば給与や公的給付が必ず支給されるわけではありません。賃金請求権の有無は、契約と就業規則、休職に至った事情によって判断されます。労働基準法第26条の休業手当は「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」に平均賃金の100分の60以上の支払を義務づけるものであり、休業であれば当然に支給されるという規定ではありません。民法第536条第2項は、債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは債権者は反対給付の履行を拒むことができないと定めていますが、本件のような場面で適用があるかどうかは個別の検討を要します。

また、休職して賃金が支払われない期間も、社会保険料の本人負担分や住民税は発生します。給与から控除できない分をどのように納付するかは、勤務先の取扱いを確認したうえで家計に織り込んでください。

配置転換や休職を勤務先に相談する前に、雇用契約書・就業規則・担当業務の資料を確認しておくと、何を申し入れるかを整理しやすくなります。手続の見通しと勤務の調整は、あわせて検討する必要があります。

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勤務先への説明と、知られる可能性の整理

警備業者には欠格事由を確認する義務があります

「勤務先には絶対に知られない」とも「裁判所から必ず勤務先に連絡が来る」とも言えません。もっとも、警備業には他の職種にはない仕組みがあります。

警備業法第45条は、警備業者に対し、営業所ごとに警備員の名簿その他の書類を備えて必要な事項を記載することを義務づけています。これを受けた警備業法施行規則第66条第1項第1号は、警備員の名簿に氏名、本籍、住所、生年月日、採用年月日、警備員教育の実施状況、従事させる警備業務の内容などを記載することを求めています。さらに同項第2号は、警備員ごとに、法第14条第1項に規定する者に該当しないことを誓約する書面の提出を受けた旨その他同項に規定する者に該当しないことを確認するために講じた措置を記載した書類を備えることを求めています。

前掲の警察庁の解釈運用基準は、第14条第2項について、警備業者は警備員の欠格事由該当の有無を確認するため一般私人として可能な範囲内で必要な調査をしなければならないとし、採用に当たっては本人から欠格事由に該当しない旨の誓約書の提出を受けることに加え、履歴書、診断書等の提出を受けたり、面接調査を行ったり、事前に本人の承諾を得て前の警備業務に係る職場に問い合わせるなどの十分な措置を執るよう指導することとしています。また、営業所への立入検査では、警備員の名簿と、警備業者が実際に講じた措置を記載した書類の備付け状況を検査するものとしています。

つまり、警備業者の側には、警備員が欠格事由に当たらないことを確認し、記録として残す仕組みが法令上組み込まれています。この点は、資格制限のない一般の会社員の場合とは事情が異なります。従業員一律の申告義務を定めた規定があるわけではありませんが、勤務先の就業規則や誓約書の内容によって、届け出るべき事項が定められている場合があります。まずは自分が提出した誓約書と就業規則の記載を確認してください。

官報公告の位置づけと、令和7年4月からの公開期間

破産手続開始の決定は官報に公告されます(破産法第32条第1項、第10条第1項)。免責許可の決定についても、破産債権者への送達に代えて公告がされることがあります(同法第252条第3項、第10条第3項)。公告は掲載があった日の翌日に効力を生じます(同法第10条第2項)。

官報については、令和7年4月1日に「官報の発行に関する法律」が施行され、官報発行サイトに掲載される電子データが正本となりました。内閣府は、発行から原則90日間は官報全体を閲覧・ダウンロードできるとしたうえで、90日経過後はプライバシーへの配慮が必要な一部の記事が非公開となると説明しています。非公開の対象には破産、再生、免責等に関する記事が含まれるとされています。

もっとも、これは官報発行サイト上の公開期間の話です。公告がされた事実がなくなるわけではなく、第三者が独自に収集・保存した情報がこれによって消えるわけでもありません。「官報を見られなければ知られない」という前提で方針を決めることは適切ではありません。

なお、個人再生を選んだ場合にも官報公告があります。「個人再生なら勤務先に知られない」と保証することはできません。

既に破産手続開始の決定を受けて警備業務を続けている場合

既に破産手続開始の決定を受けているにもかかわらず警備業務に従事している場合は、まず裁判所からの決定書を確認し、代理人弁護士と勤務先の担当者に速やかに連絡して、制限に抵触しない勤務方法を確認してください。会社に伏せたまま制限期間中も警備業務を続けるという選択は、この記事では検討の対象としません。

警備業法は、第14条第1項・第2項に違反した警備員本人を直接処罰する規定を置いていません。制度上は、公安委員会が警備業者に対し、当該警備員を警備業務に従事させない措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができ(同法第48条)、警備業務の適正な実施が著しく害されるおそれがあると認められるときなどには6月以内の期間を定めて営業の停止を命ずることができるとされています(同法第49条第1項)。営業停止命令等に違反した場合の罰則は同法第56条第2号にあります。つまり、影響が及ぶのは主として勤務先の営業です。この点は、勤務先に早く相談すべき実際上の理由になります。

保有している資格者証・合格証明書がある場合の追加確認

通常の警備員としての従事制限とは別に、警備員指導教育責任者資格者証、機械警備業務管理者資格者証、警備業務の検定の合格証明書を保有している場合には、それぞれの規定を確認する必要があります。

保有する証明書の種類と、破産に関する条文上の定め
証明書の種類 交付の根拠 破産に関する条文上の定め 確認先
警備員指導教育責任者資格者証 警備業法第22条第2項 第3条第1号から第6号までのいずれかに該当する者には交付を行わない(第22条第4項第2号)。交付を受けた者が同各号のいずれかに該当するに至ったときは、公安委員会は返納を命ずることができる(同条第7項第1号)。 資格者証を交付した都道府県公安委員会(窓口は都道府県警察)
警備業務の検定の合格証明書 警備業法第23条第4項 第22条第4項から第7項までの規定が準用され、読替えにより第3条第1号から第7号までが基準となります(第23条第5項)。 合格証明書を交付した都道府県公安委員会
機械警備業務管理者資格者証 警備業法第42条第2項 第22条第4項から第7項までの規定が準用されます(第42条第3項)。 資格者証を交付した都道府県公安委員会

返納命令は「命ずることができる」という定め方です

警備業法第22条第7項は、公安委員会が返納を「命ずることができる」と定めています。破産手続開始の決定を受けたことにより資格者証が当然に失効するとは定められていません。返納命令がされた場合、警備業法施行規則第44条第1項により、命令は理由を付した返納命令書を交付して行うものとされ、同条第2項により、交付を受けた者はその交付の日から10日以内に返納しなければならないとされています。返納命令に違反した場合には罰則の定めがあります(警備業法第58条第4号)。

3年間の交付制限は、返納の理由によって適用が異なります

警備業法第22条第4項第3号は、「第7項第2号又は第3号に該当することにより警備員指導教育責任者資格者証の返納を命ぜられ、その日から起算して3年を経過しない者」に対しては資格者証の交付を行わないと定めています。ここで引用されているのは第7項第2号(偽りその他不正の手段により交付を受けたとき)と第3号(法令違反等で不適当と認められるとき)であり、破産による欠格を定める第7項第1号は含まれていません。

したがって、破産手続開始の決定を理由とする返納に、第4項第3号の3年間の交付制限を一律に当てはめることはできません。もっとも、返納処分がされたかどうか、その根拠がどの号か、復権後に改めて交付を受けるためにどのような手続が必要かは、保有する証明書ごとに、交付を受けた公安委員会の取扱いを確認する必要があります。「復権すればすべての資格者証が自動的に復活する」とも「すべての警備員資格が永久に失われる」とも整理できません。

資格者証や合格証明書を保有している場合は、現物(種別、交付年月日、交付した公安委員会、番号が分かるもの)を持参して相談してください。証明書の種類によって根拠条文と読替えの範囲が異なるため、現物を確認しないと必要な手続を特定できません。

自己破産・個人再生・任意整理をどう選ぶか

手続の選択は、警備業法上の欠格事由だけで決めるものではありません。三つの手続の一般的な違いは自己破産と任意整理の違いを解説した記事でも整理しています。返済を継続できるか、収入の見通しはどうか、財産にどのような影響があるか、勤務の調整が可能か、そして実際に最後まで実行できるかを併せて検討します。

三つの手続の比較(警備員として働く場合の検討軸)
検討軸 自己破産 個人再生 任意整理
警備業法第3条第1号の欠格事由 破産手続開始の決定により該当します。復権により解消します。 破産手続開始の決定を受けないため、この欠格事由は生じません。 破産手続開始の決定を受けないため、この欠格事由は生じません。
返済の継続 原則として返済を継続しません。免責許可の決定が確定すれば債務の責任を免れます。 再生計画に基づく弁済を継続します。 合意した内容に基づく分割弁済を継続します。
主な法律上の要件 破産手続開始の原因となる事実があること。免責については破産法第252条第1項各号の不許可事由の有無と、同条第2項の裁量免責の判断がされます。 小規模個人再生は、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、再生債権の総額が5000万円を超えないこと(民事再生法第221条第1項)。給与所得者等再生は、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、その額の変動の幅が小さいと見込まれること(同法第239条第1項)。 法律上の要件ではなく、各債権者との合意によります。
債権者の関与 債権者の同意は要件ではありません。 小規模個人再生では、再生計画案に同意しない旨を回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつその議決権の額が総額の2分の1を超えないときに可決とみなされます(民事再生法第230条第6項)。給与所得者等再生では債権者の決議は行われませんが、可処分所得に関する要件があります(同法第241条第2項第7号)。 債権者ごとに個別の合意が必要です。合意が得られない債権者がある場合があります。
弁済額に関する定め 配当は破産財団の範囲で行われます。 再生計画の弁済総額について民事再生法第231条第2項第3号・第4号に下限の定めがあり、再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するときは不認可となります(同法第174条第2項第4号)。 元本の減額、将来利息の免除、分割回数はいずれも保証されません。
勤務への調整の要否 開始決定から復権までの配置転換・休職等の調整が必要です。 この欠格事由に伴う調整は不要ですが、弁済を継続できる収入の確保が前提になります。 同上です。

警備員であることを理由に個人再生や任意整理を選ぶという発想には注意が必要です。個人再生は再生計画に基づく弁済を、任意整理は合意に基づく分割弁済を、それぞれ続けることが前提です。シフトの減少や配置転換によって手取りが下がる見込みがあるにもかかわらず弁済を続ける計画を立てれば、途中で行き詰まる可能性が高くなります。返済余力を検討せずに手続を選ぶことは適切ではありません。

他方で、自己破産の免責はすべての債務を当然に消す制度ではありません。破産法第253条第1項各号に定める非免責債権は免責の対象外です。また、免責許可の決定は保証人その他共に債務を負担する者に対する債権者の権利に影響を及ぼしません(同条第2項)。保証人がいる借入れがある場合は、保証人への影響を含めて検討してください。

既に破産手続開始の決定を受けている場合に、別の手続を申し立てたり方針を変更したりすれば直ちに制限が消えるわけでもありません。段階に応じて取り得る選択肢は変わりますので、現在の手続の状況を確認したうえで検討する必要があります。

収入が減ることを見込んだ家計の確認

手取りがどう変わるかを先に見積もる

警備業務を外れる期間は、シフトの減少、夜勤手当や現場手当の減少、配置転換後の基本給・手当の変更、無給期間の発生、転職までの空白期間などにより、手取りが変わる可能性があります。返済を継続する手続を選ぶかどうかは、この見積りを踏まえて判断します。

家計を確認するときの区分と確認項目
区分 確認する項目 確認の方法
収入 基本給、夜勤手当、現場手当、資格手当、時間外手当、賞与の有無と変動 直近1年分の給与明細と源泉徴収票を並べ、手当ごとに増減を確認する
制限期間中の収入見込み 配置転換後の想定給与、休職中の賃金の有無、無給期間の長さ 勤務先に確認した内容を書面またはメールで残す
必要生活費 家賃・住宅ローン、食費、光熱費、通信費、教育費、医療費、交通費 直近3か月分の通帳・明細から実額を拾う
継続する公租公課・保険料 住民税、社会保険料の本人負担分、国民健康保険料、国民年金保険料 納付書、給与明細の控除欄、勤務先の説明を確認する
手続費用と予備費 弁護士費用、裁判所に納める費用、予備費 費用の総額と支払時期を確認し、月々の負担に置き換える
返済余力 手取りから必要生活費、公租公課・保険料、手続費用、予備費を差し引いた残額 制限期間中と復帰後の2通りで試算する

この家計確認は、手続を選ぶための実行可能性の検討です。破産法上の支払不能の判断や、個人再生の弁済額の算定と同じものではありません。数値の当てはめは、資料を確認したうえで弁護士と行ってください。

手を出してはいけない対応

収入が減る見込みが立つと、当面をしのぐための行動をとりたくなりますが、次のような対応は手続の見通しを悪くします。

  • 財産を親族等の名義に変更する、安値で処分する、贈与する
  • 預貯金を引き出して現金で保管し、申告しない
  • 新たに借入れをする、クレジットカードで換金目的の買い物をする
  • 親族、勤務先、保証人がついている債権者など、特定の債権者にだけ返済する
  • 家計簿や取引の記録を廃棄する

また、破産手続では、手元に残せる財産の範囲が法律と裁判所の運用によって定まります。預貯金を自由に取り置けるわけではありません。何を残せるかは、資料を確認したうえで検討する事項です。

申立て・退職・復帰の前にそろえる資料

資料がすべてそろうまで相談できないわけではありません。手元にあるものから確認を始め、不足分は相談の過程で補えば足ります。何を判断するために使う資料なのかを整理しておくと、優先順位を付けやすくなります。

用意する資料と、その資料で判断する事項
資料 何を判断するために使うか
雇用契約書、労働条件通知書 職種が限定されているか、契約期間の定めがあるか、更新の有無
就業規則、休職規程、賃金規程 退職事由・解雇事由の定め、休職制度の有無と期間、手当の支給要件
担当業務・配置・シフトが分かる資料 実際の業務が警備業法第2条第1項各号に当たるか、警備業務以外の配置があるか
警備員としての誓約書の控え 勤務先に対してどのような届出義務を負っているか
資格者証・合格証明書の現物 種別ごとの根拠条文、返納・再交付に関する確認事項
直近1年分の給与明細、源泉徴収票 手当の内訳、手取りの推移、制限期間中の減収見込み
借入先・残高・保証人の一覧、請求書、督促状 債務の総額、非免責債権の有無、保証人への影響
預貯金通帳、保険証券、車検証、不動産の資料、退職金に関する資料 財産の内容と評価、手続の種類の見通し
家計の支出が分かる資料 必要生活費、返済余力
勤務先からの通知・メール、退職届や合意書の文案 雇用終了の類型、署名の可否、交渉の余地
裁判所からの決定書、免責関係の書類、確定証明書 現在の手続段階、制限の始期と終期、復帰の可否
  • 退職届や合意書に署名する前に、書面の文案と提示された経緯を確認する
  • 破産手続開始の申立てをする前に、勤務先への説明時期と伝える範囲を決めておく
  • 復権後に警備業務へ戻る前に、免責許可決定の確定を書面で確認する

弁護士に相談するタイミング

相談によって結果が保証されるわけではありませんが、資料を確認することで、制限が始まる時期と終わる時期の見通し、勤務先と相談すべき事項、返済余力の有無といった判断材料を整理しやすくなります。次のような場面では、早めに相談することで選択肢が広がります。

  • 返済が難しくなってきたが、警備の仕事を続けられるかどうかが分からないとき
  • 破産手続開始の申立てをする前に、勤務先への説明の時期と範囲を決めたいとき
  • 会社から配置転換、休職、退職について打診を受けたとき
  • 退職届や合意書への署名を求められたとき
  • 既に破産手続開始の決定を受けており、現在の勤務を続けてよいか確認したいとき
  • 免責許可の決定が出て、警備業務への復帰時期を確認したいとき

神戸みらい法律会計事務所では、借金問題(債務整理)に関する初回の法律相談を無料でお受けしています(事前のご予約が必要です)。交通事故や借金問題(債務整理)等の分野では、可能な範囲でお電話での無料相談にも対応しています。無料相談の対象と条件は「初めての方へ」でご確認ください。

ご相談の際は、雇用契約書、就業規則、担当業務が分かる資料、給与明細、借入先の一覧、裁判所からの書類のうち、お手元にあるものをお持ちください。すべてそろっていなくても、現状の整理と次に確認すべき事項をお伝えできます。

電話 078-797-5227(受付時間 9時00分から20時00分まで)

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よくある質問

弁護士に依頼して受任通知を送った段階で、警備業務を外れる必要がありますか。
警備業法第3条第1号が定めるのは「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」です。相談、委任、受任通知の送付、返済の停止、裁判所への申立てのいずれの段階でも、まだ破産手続開始の決定はされていません。この段階で警備業務への従事が制限されるわけではありません。ただし、開始決定後の配置の調整には時間がかかるため、この期間に勤務先との相談方法を整理しておくことをおすすめします。
同時廃止になれば、警備業務の制限は生じませんか。
生じます。同時廃止は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときに、破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をするものです(破産法第216条第1項)。破産手続開始の決定自体はされていますので、警備業務への従事制限は生じます。また、破産手続が廃止されたことは、免責や復権を意味するものではありません。
免責許可の決定が出たら、その日から警備業務に戻れますか。
戻れるとは限りません。免責許可の決定は、確定しなければその効力を生じないとされています(破産法第252条第7項)。復権は、免責許可の決定が確定したときに生じます(同法第255条第1項第1号)。決定が出た日と確定した日は異なりますので、復帰の時期は、確定を確認したうえで勤務先と調整してください。確定の見込み時期は、依頼している弁護士にご確認ください。
自己破産を理由に解雇された場合、その解雇は無効ですか。
個別の事情により結論は異なります。期間の定めのない契約の解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に無効とされます(労働契約法第16条)。有期契約であれば、期間途中の解雇は同法第17条第1項、雇止めは同法第19条の枠組みで判断されます。就業規則に破産を退職事由とする条項があるというだけで有効性が決まるものでもありません。会社が警備業務以外の配置を検討したかどうかなども踏まえた判断が必要ですので、通知書や就業規則を確認したうえでご相談ください。
休職や配置転換は認めてもらえますか。休職中の給与は支払われますか。
会社に休職や配置転換を認める一般的な義務があるとは言えません。就業規則に休職制度があるか、休職事由に該当するか、社内に警備業務以外の業務があるか、雇用契約で職種が限定されていないかによって取扱いが変わります。休職中の賃金についても、支払われることが当然に決まっているわけではありません。労働基準法第26条の休業手当は「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」の定めであり、あらゆる休業に適用されるものではありません。賃金が支払われない期間も社会保険料の本人負担分や住民税は発生しますので、家計への影響を含めて確認してください。
勤務先に自己破産のことを伝えなければなりませんか。官報を見られますか。
従業員一律の申告義務を定めた規定はありませんが、警備業には固有の事情があります。警備業者は警備員の名簿と、欠格事由に該当しないことを確認するために講じた措置を記載した書類を備える義務を負い(警備業法第45条、同法施行規則第66条第1項第1号・第2号)、採用時には本人から誓約書の提出を受けることなどが求められています。まずは提出した誓約書と就業規則の記載を確認してください。官報については、破産手続開始の決定が公告されます(破産法第32条第1項)。令和7年4月1日施行の「官報の発行に関する法律」により、官報発行サイトでの公開は発行から原則90日間とされ、破産・再生・免責等の記事は90日経過後に非公開となると説明されていますが、これは同サイト上の公開期間の話であり、「見られなければ知られない」という前提で方針を決めることは適切ではありません。伝える時期と範囲は、申立て前に弁護士と整理してください。
個人再生や任意整理を選べば、警備の仕事に影響はありませんか。
個人再生や任意整理では破産手続開始の決定を受けないため、警備業法第3条第1号の欠格事由は生じません。ただし、これらの手続は返済を継続することが前提です。個人再生には法律上の要件があり(民事再生法第221条第1項、第239条第1項)、小規模個人再生では債権者の意見が結果に影響します(同法第230条第6項)。任意整理は債権者の同意が必要で、元本の減額、将来利息の免除、分割回数はいずれも保証されません。シフトの減少などで手取りが下がる見込みがある場合、返済余力を検討せずにこれらの手続を選ぶことは適切ではありません。
アルバイトの警備員でも同じ扱いですか。資格者証を持っている場合はどうなりますか。
警備業法第14条は雇用形態の名称によって適用を区別していません。警備業務に従事するのであれば、アルバイトや短時間勤務でも同じ扱いになります。資格者証や合格証明書を保有している場合は、通常の従事制限とは別の確認が必要です。公安委員会は返納を命ずることが「できる」とされており(警備業法第22条第7項第1号ほか)、当然に失効するとは定められていません。他方、返納命令を受けた場合は返納命令書の交付の日から10日以内に返納しなければならないとされています(同法施行規則第44条)。復権後に改めて交付を受けるための手続は証明書の種類と公安委員会の取扱いによりますので、現物を持参してご相談ください。

まとめ|要点と次の行動

  • 警備員であることを理由に自己破産の申立てが制限されることはありません。制限されるのは警備業務への従事です(警備業法第14条第1項・第2項、第3条第1号)。
  • 制限が始まるのは破産手続開始の決定の時です(破産法第30条第2項)。同時廃止でも同じです。相談・受任・申立ての段階では制限は生じません。
  • 制限が終わるのは復権したときです。多くの場合、免責許可の決定が確定したときに復権します(破産法第252条第7項、第255条第1項第1号)。決定が出た日と確定した日は異なります。
  • 警備業務への従事制限と雇用契約の終了は別の問題です。解雇・雇止め・退職勧奨・合意退職・休職期間満了を区別し、書面に署名する前に内容を確認してください。
  • 配置転換は業務の名称ではなく実際の業務内容で判断されます。休職を選ぶ場合は、賃金の有無、社会保険料、住民税を家計に織り込んでください。
  • 資格者証・合格証明書を保有している場合は、種類ごとに根拠条文と公安委員会の取扱いを確認してください。破産による返納に、他の返納理由に係る3年間の交付制限が当然に適用されるわけではありません。
  • 手続の選択は、欠格事由の有無だけでなく、収入の見通しと返済余力を踏まえて検討してください。

次の行動としては、まず雇用契約書、就業規則、担当業務が分かる資料、直近の給与明細を手元に集めてください。そのうえで、制限が始まる時期と終わる時期、勤務先に相談する事項、返済余力の三点を整理すると、手続の方向性を判断しやすくなります。

警備業務を外れる時期の見通し、勤務先との調整事項、返済余力の検討は、資料を確認することで整理しやすくなります。示談や合意書と同じく、退職届への署名や破産手続開始の申立ては、いったん進めると後戻りが難しい場面があります。署名前・申立て前に一度ご確認いただくことをおすすめします。

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取扱分野 借金問題(債務整理)、遺産相続、交通事故、労働問題、企業法務ほか

本記事は一般的な情報を整理したものであり、個別の事案についての法律的な判断を示すものではありません。結論は事案により異なりますので、資料を確認したうえでご相談ください。

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参考資料

本記事は2026年9月10日時点で確認できた法令、通達及び公的資料に基づいて作成しています。法令の改正や運用の変更により取扱いが変わることがありますので、実際の手続にあたっては最新の情報をご確認ください。

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