交通事故で後遺障害が残り、保険会社から逸失利益の提示を受けたとき、会社役員や個人事業主の方からは、ほぼ同じ内容のご相談をいただきます。「役員報酬が1000万円あるのに、そのうち300万円しか基礎収入として認められていない」「後遺障害等級は認定されたのに、事故後も報酬が変わっていないから逸失利益はないと言われた」「代表者が動けなくなって会社の売上が落ちたのに、会社の損害は関係ないと説明された」。いずれも、提示の根拠が示されないまま示談を求められている、という点が共通しています。
この記事では、後遺障害等級の認定を受けた個人事業主・自営業者の方と、会社役員・代表取締役・オーナー経営者の方に向けて、症状固定後の後遺障害逸失利益をどのような順序で検討するのかを整理します。役員報酬のうち労務提供の対価と評価される部分の考え方、後遺障害を実際の職務へ当てはめて労働能力喪失率と喪失期間を検討する方法、事故後も報酬や所得が維持されている場合の考え方、法人自身に生じた企業損害・間接損害の位置づけ、そして決算書・法人税申告書・勘定科目内訳明細書・確定申告書・月次試算表・職務資料のどこをどう見るかまでを扱います。
先に結論の方向性をお伝えします。第一に、役員報酬の全額が当然に基礎収入になるわけではなく、逆に一定割合が当然に除外されるわけでもありません。第二に、後遺障害等級に対応する労働能力喪失率は出発点にすぎず、実際の職務との関係で個別に検討されます。第三に、法人に生じた損失は、役員個人の逸失利益とは別の権利主体の損害であり、同じ経済的不利益を重ねて計上することはできません。いずれも資料を確認したうえで判断する必要があり、個別事情により結論は異なります。
保険会社の提示書で、役員報酬の一部しか基礎収入に含まれていない場合や、会社の損失との区別が明確でない場合には、示談前に「誰の、どの損害を、どの期間について請求しているのか」と、その計算根拠を確認しておくことをおすすめします。
結論|「等級」ではなく「職務への支障」から検討する
後遺障害逸失利益は、等級表の数字を機械的に当てはめて決まるものではありません。検討の順序は、後遺障害の内容を確定し、それが具体的な職務のどの部分にどのような支障を生じさせたのかを特定し、その支障が本人の労務に帰属する収益にどう影響したのかをたどり、最後に「誰が請求主体か」を確定する、という流れになります。この順序を飛ばして等級と年収だけで計算しようとすると、提示に対して有効な反論を組み立てることが難しくなります。
まず、ご自身の事案がどの行に当てはまるかを確認してください。個人事業主の方と、法人の役員である方とでは、出発点となる金額も、請求する主体も異なります。
| 請求主体 | 損害項目 | 対象期間 | 金額の出発点 | 中心になりやすい争点 | 主な証拠 | 二重計上の注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 個人事業主・自営業者(本人) | 後遺障害逸失利益 | 症状固定日以後の将来 | 事業所得のうち本人の労務に帰属する部分 | 本人の寄与と資本・従業員・家族の寄与の切り分け、喪失率、喪失期間、事業継続性 | 複数年の確定申告書・青色申告決算書、月次試算表、職務資料、後遺障害診断書 | 症状固定前の休業損害と期間を重ねない |
| 会社役員・代表取締役(役員個人) | 後遺障害逸失利益 | 症状固定日以後の将来 | 役員報酬のうち労務提供の対価と評価される部分 | 労務対価性、報酬が将来も継続する蓋然性、職務への具体的支障、減収の有無 | 法人税申告書・決算書、勘定科目内訳明細書、役員報酬台帳、議事録、職務資料 | 法人側の利益減少・代替費用と重ねない |
| 法人(会社そのもの) | 企業損害・間接損害(純利益の減少、追加費用) | 事故後、影響が続いた期間 | 事故がなければ得られた合理的な純利益と実績との差、現実に負担した相当な代替費用 | 法人固有の損害といえるか、代表者の負傷との相当因果関係、事故以外の変動要因 | 月次・年次の損益推移、部門別・顧客別の売上と粗利、代替人件費・外注費の支払資料 | 役員個人の労務対価部分、代替費用、仮想の売上減少を重ねない |
| 法人(会社そのもの) | 役員報酬・治療費等を継続支給又は立替えした部分 | 支給・立替えを行った期間 | 実際に支給・立替えを行った金額 | 会社の損害として構成するか、代位・求償・債権譲渡等の別構成によるか | 支給記録、議事録、立替えの経緯を示す資料 | 本人の逸失利益と法人の請求を重ねない |
| 本人(症状固定前) | 休業損害 | 事故日から症状固定日まで | 事故前の収入水準 | 休業の必要性、休業日数、部分稼働 | 診断書、稼働記録、収入資料 | 症状固定後の逸失利益と期間を重ねない |
この表で最も重要なのは、役員個人と法人が別の権利主体だという点です。同じ一つの労務価値を、役員個人の逸失利益としても、法人の利益減少としても、代替人件費としても計上することはできません。どの構成で請求するかを先に決めてから、対応する資料を揃えることになります。
症状固定前の休業損害と、症状固定後の逸失利益の区別
収入に関する賠償は、症状固定の前と後で名前も計算方法も変わります。症状固定までの期間は休業損害として、現実に生じた収入の減少や、事故により追加で生じた相当な費用を検討します。症状固定後は、後遺障害によって将来にわたり労働能力が制限されることに対応する逸失利益として検討します。両者の期間が重なることはありません。
本記事は症状固定後の後遺障害逸失利益を扱います。症状固定前の休業損害、確定申告書や決算書からどのように収入を立証するかという総論、業種ごとの資料の整え方については、別の記事で扱っています。
症状固定前の休業損害と、収入立証の進め方については、次の記事をご覧ください。
後遺障害逸失利益の計算構造と、争点になる要素
実務上、後遺障害逸失利益は、基礎収入に労働能力喪失率を乗じ、さらに労働能力喪失期間に対応する係数を乗じて算出します。将来の収入をまとめて受け取ることに対応する中間利息を控除するため、この係数にはライプニッツ係数が用いられます(民法第417条の2、第722条第1項)。控除に用いる法定利率は民法第404条により3年ごとに見直される変動制で、令和8年4月1日から令和11年3月31日までの期における法定利率は年3パーセントとされています(令和7年法務省告示第73号)。適用される利率は損害賠償請求権が生じた時点を基準に判断されるため、事故の時期によって異なります。令和2年4月1日より前に発生した事故については、現行の係数表をそのまま用いることはできません。
争点になるのは、基礎収入をいくらと見るか、労働能力喪失率をどう評価するか、労働能力喪失期間をどこまでとるか、という三つの要素です。なお、ここでいう中間利息の控除は、後述する遅延損害金とは別のものです。計算式そのものや、等級別の喪失率表、ライプニッツ係数表の一覧は、別の記事で扱っています。
計算式、等級別の労働能力喪失率、就労可能年数とライプニッツ係数の一般的な説明は、次の記事をご覧ください。
保険会社の提示で用いられる労働能力喪失率表や就労可能年数の表は、自賠責保険の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)の別表です。最高裁は、自動車損害賠償保障法第16条第1項に基づく請求訴訟において、裁判所は同法第16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支払を命じることができる旨を判示し、支払基準は「保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合に従うべき基準にすぎない」と述べています(最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決、平成17年(受)第1628号、民集60巻3号1242頁)。等級に対応する率は検討の出発点であり、民事上の損害額を機械的に拘束する法定額ではありません。
個人事業主の基礎収入と、本人の労務に帰属する部分
個人事業主の基礎収入は、売上高ではなく、原則として事業収入から必要経費を控除した所得を出発点として検討します。もっとも、税務上の事業所得の金額と、損害算定上「本人の労務によって生み出されていた収益」とは、必ずしも一致しません。症状固定後の将来収入を検討する場面では、次の点を確認することになります。
本人・家族・従業員・資本設備の寄与を分ける
事業の収益は、本人の労務だけでなく、従業員、家族専従者、設備、資本、取引先との既存関係などによっても生み出されています。逸失利益として評価されるのは、原則として本人の労務に帰属する部分です。従業員が多く、本人が現場を離れても事業が回る体制であれば評価は下がりやすく、本人が個々の受注や施工に不可欠であれば評価は上がりやすくなります。組織図、職務分掌、担当顧客と担当案件の一覧、従業員の給与水準などから、寄与の分布を説明することになります。
単年度の数字だけで判断しない
事故前年の所得だけを取り出すと、たまたま大口案件があった年、逆に設備投資や貸倒れが重なった年の数字に引きずられます。複数年の申告内容、月次の推移、季節性、一時的要因、事業の継続性を確認したうえで、どの期間の数字がその事業の正常な収益水準を示しているのかを説明する必要があります。複数年平均を用いる場合も、それが法令上定められた計算方法であるかのように扱うのではなく、なぜその期間が正常収益を示すといえるのかを述べることになります。
勘定科目名だけで機械的に加減算しない
青色申告特別控除、減価償却費、専従者給与、固定費と変動費、家事按分は、いずれも科目名だけで加算又は控除の可否が決まるものではありません。減価償却費は現金支出を伴わない費用ですが、資産の更新が事業継続に不可欠であれば単純に戻し入れてよいとは限りません。専従者給与は本人以外の労務に対応する部分を含みます。また、症状固定後の将来逸失利益に、休業期間中に負担した固定費をそのまま上乗せすることはできません。休業損害と逸失利益は、対象とする期間も損害の性質も異なるためです。
申告額が低い場合、申告がない場合
申告所得が低い場合や無申告の場合であっても、申告額が常に絶対の上限になるとは限りません。ただし、申告額を超える収入を主張するには、帳簿、預金通帳、請求書、契約書、元請からの支払明細、売上帳、販売時点情報管理のデータ、仕入・棚卸資料など、相互に整合する客観的な資料が必要になります。資料の裏付けを欠いたまま金額だけを主張しても、信用性が問われる結果になりかねません。なお、賃金構造基本統計調査(賃金センサス)の平均賃金を当然の代替値として用いることはできず、用いる場面と資料の裏付けを個別に検討する必要があります。
逸失利益の算定にあたっては、営業収益に対して課されるべき所得税その他の租税額を控除すべきではないとした最高裁判例があります(最高裁昭和45年7月24日第二小法廷判決、昭和44年(オ)第882号、民集24巻7号1177頁)。基礎収入を税引後の手取り額で計算するという前提で提示を受けている場合には、計算の前提そのものを確認する余地があります。
会社役員の役員報酬と、労務提供の対価と評価される部分
会社役員の場合、役員報酬の全額が当然に基礎収入になるわけではなく、一定割合が当然に除外されるわけでもありません。損害算定上は、支給されている報酬のうち、本人の労務提供の対価と評価される部分を個別に検討することになります。実務上、これに対置される部分は「利益配当的部分」と呼ばれますが、これは損害額を検討するための評価概念であり、会社法上の剰余金の配当そのものではなく、税務上の所得区分でもありません。
取締役の報酬等は、定款に定めがないときは株主総会の決議によって定めるものとされています(会社法第361条第1項)。会社法上は報酬の全体が職務執行の対価と整理されます。また、税務上、役員給与の全額が損金に算入されている(法人税法第34条)としても、損害算定上も全額が労務対価部分と評価されるとは限りません。逆に、損害算定上「利益配当的部分がある」と評価されたことが、会社法上又は税務上の問題を意味するものでもありません。三つの制度は目的が異なるため、区別して検討する必要があります。
使用人兼務役員の「使用人職務分」をどう扱うか
法人税法上、部長や課長など法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する役員は「使用人としての職務を有する役員」(使用人兼務役員)とされ、その使用人としての職務に対して支給される給与は、役員給与の損金不算入の判定から除かれます(法人税法第34条第1項、第6項)。勘定科目内訳明細書の「役員給与等の内訳書」にも「使用人職務分」の欄が設けられています。使用人職務分が区分して支給されている場合、その部分については、労務の提供に対応する支給であることを説明しやすくなります。
もっとも、代表取締役・代表執行役・代表理事及び清算人、副社長・専務・常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員、合名会社・合資会社・合同会社の業務を執行する社員、会計参与・監査役・監事等、並びに同族会社の役員のうち持株割合について一定の要件を満たす者は、使用人兼務役員とされません(法人税法施行令第71条第1項)。したがって、代表取締役については、決算書や内訳書の上では報酬の全額が「使用人職務分以外」として整理されることになります。
ここで注意が必要なのは、この区分が税務上の取扱いを定めたものであって、損害算定上の労務対価性を直接決めるものではないという点です。代表取締役であるために税務上「使用人職務分」がないことは、その方が実際に労務を提供していなかったことを意味しません。反対に、税務上すべてが損金に算入されていることも、全額が労務提供の対価であることを意味しません。税務上の区分は、労務の実態を説明する材料の一つとして用いるにとどめ、実際の職務内容を示す資料と併せて検討する必要があります。
役員報酬分解表|労務対価性を検討する考慮事情
次の表は、労務対価性を検討する際に実務上検討される事情を整理したものです。点数化された基準や、一律の割合が存在するわけではありません。どの事情をどこまで重視するかは事案により異なり、複数の事情が反対方向を向くことも珍しくありません。
| 考慮事情 | 確認資料 | 労務対価性を補強し得る方向の事情 | 反対方向に働き得る事情 | 留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 会社の規模・組織 | 決算書、勘定科目内訳明細書、組織図、従業員名簿 | 従業員数・事業所数が相応にあり、本人が担当する職務が明確に区分されている | 実体のある業務がごく限られ、報酬額が会社の規模と釣り合わない | 規模が大きいことは、代替可能性を高める方向にも働き得る |
| 株主構成・持株割合・配当実績 | 株主名簿、登記事項証明書、決算書、議事録 | 持株割合と報酬額が連動しておらず、配当が別途行われている | 持株割合に比例して報酬が定められ、配当実績がない | 同族会社であること自体が労務対価性を否定するものではない |
| 報酬の決定・改定の経緯 | 株主総会・取締役会議事録、報酬規程、報酬額の推移表 | 職務の変更や責任範囲の拡大に対応して改定されている | 会社の利益額に連動して毎期増減している | 議事録を事故後にさかのぼって作成し直すことはしない |
| 実際の職務内容と稼働 | 業務日報、予定表、メール、商談記録、現場記録、稟議・決裁記録、運行記録 | 営業、設計、技術、施工、仕入、資金調達、採用など具体的な業務を継続的に担っている | 出社実績が乏しく、意思決定も他の役員が行っている | 経営判断中心であることは、労務提供がないことを意味しない |
| 使用人としての職務の有無 | 役員給与等の内訳書、組織図、職務分掌、雇用契約・辞令 | 部長・工場長等の地位を兼ね、使用人職務分が区分して支給されている | 使用人としての職務を示す資料がなく、支給区分も分かれていない | 代表取締役等は税務上使用人兼務役員とされないため、区分がないこと自体は不利に働かない |
| 本人が獲得した売上・粗利 | 顧客別・案件別の売上と粗利、担当契約書、受注記録 | 本人が獲得・維持した売上や粗利を金額で示せる | 売上が特定の取引先との既存関係や設備に依存している | 売上額をそのまま労務対価額とすることはできない |
| 他の役員・従業員との比較 | 賃金台帳、給与規程、他の役員の報酬額、同等職務の求人条件 | 同種の職務を担う人材を雇用する場合の賃金水準と対比できる | 同程度の職務の従業員と比べて報酬額が著しく高い | 比較対象の職務内容が同等かを確認する |
| 代替可能性・後継者の有無 | 組織図、職務分掌、後継者の在籍状況、資格・許認可の名義 | 本人の資格・許認可・技能に事業が依存している | 同等の職務を担える役員・従業員が在籍している | 代替可能性は喪失率・喪失期間の検討にも影響する |
| 事故後の職務・報酬・業績の変化 | 事故前後の報酬額、稼働記録、月次試算表、外注費・人件費の推移 | 本人の稼働低下に対応して、外注費や人件費が実際に増加している | 職務も報酬も業績も事故前後で変化していない | 変化がないことの理由を確認する必要がある |
| 複数法人からの報酬 | 各法人の決算書、報酬台帳、各法人での職務資料 | 法人ごとに職務内容と報酬額が対応している | 実体のある職務がない法人からの報酬が含まれている | 報酬の合計額だけを基礎に主張すると裏付けが弱くなる |
決算書・法人税申告書のどこを見るか
保険会社から決算書や申告書の提出を求められても、どの数字が何を意味するのかが分からないまま提出すると、相手方の読み方だけが前提になってしまいます。労務対価性と職務の実態を説明するうえで、実際に手掛かりになる箇所を整理します。
| 資料・様式 | 確認する箇所 | そこから分かること | 照合する資料 | 留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 損益計算書(販売費及び一般管理費、製造原価報告書) | 役員報酬、給料手当、賃金手当、外注費、法定福利費の金額と期別推移 | 報酬の水準と人件費構造、事故後に外注費・人件費が増えたかどうか | 月次試算表、総勘定元帳、賃金台帳 | 科目の組替えや部門の変更があると期間比較がそのままではできない |
| 勘定科目内訳明細書「役員給与等の内訳書」(令和6年3月1日以後終了事業年度用) | 役職名、氏名、代表者との関係、常勤・非常勤の別、役員給与計、左の内訳(使用人職務分/使用人職務分以外=定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与・その他)、退職給与 | 役員ごとの支給区分と勤務形態。特に「常勤・非常勤の別」と使用人職務分の有無は、労務の実態を説明する手掛かりになる | 株主総会・取締役会議事録、賃金台帳、業務日報、組織図 | 記載は税務上の区分であり、損害算定上の労務対価性を直接決めるものではない |
| 法人税申告書の別表、株主名簿、登記事項証明書 | 同族会社の判定、株主構成と持株割合、取締役の就任時期と任期 | 会社と本人の関係、報酬決定に対する影響力、役員としての継続性 | 定款、議事録、決算書 | 同族会社であることや持株割合が高いことだけで労務対価性が否定されるわけではない |
| 月次試算表、部門別・顧客別の損益 | 事故前後の売上、売上総利益、変動費、固定費の月次推移 | 本人の稼働低下による影響と、事故以外の変動要因との切り分け | 受注・失注記録、取引先との連絡記録、業界統計 | 単月の増減ではなく、複数期の趨勢と季節性を併せて確認する |
| 賃金台帳、給与規程、組織図、職務分掌 | 他の役員・従業員の給与水準、職務の分担、事故後の分担変更 | 同種の職務を担う人材を雇用した場合の賃金水準との対比 | 雇用契約書、求人条件、人事記録 | 比較対象の職務内容が同等といえるかを先に確認する |
| 青色申告決算書(個人事業主の場合) | 月別売上金額、専従者給与、減価償却費、地代家賃、青色申告特別控除 | 本人以外の寄与の大きさと、現金支出を伴わない費用の分布 | 総勘定元帳、預金通帳、請求書控え、固定資産台帳 | 科目名だけで加算・控除の可否は決まらない |
事故後も役員報酬や事業所得が減っていない場合
後遺障害等級の認定を受けたにもかかわらず、事故後も役員報酬や事業所得が減っていないことを理由に、逸失利益を否定されることがあります。現実の減収がないことは重要な事情ですが、それだけで常に否定されるとも、常に認められるとも言えません。
最高裁は、交通事故による後遺症のために身体的機能の一部を喪失した場合でも、後遺症の程度が比較的軽微であり、被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないときは、「特段の事情のない限り」労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害は認められないとしています(最高裁昭和56年12月22日第三小法廷判決、昭和54年(オ)第354号、民集35巻9号1350頁)。同判決は、その「特段の事情」として、本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど、そうした要因がなければ収入の減少を来していたと認められる場合と、昇給・昇任・転職等に際して不利益な取扱いを受けるおそれがあると認められる場合を挙げています。
この判断枠組みを事業主・会社役員の事案に当てはめる場合、後遺症の程度が比較的軽微といえるのか、職業の性質からみて収入減少が認められないといえるのか、そして特段の事情に当たる事実があるのかを、それぞれ資料で示していくことになります。事故後の報酬や売上が維持されている場合には、それが誰の追加負担、無償労働、外注、あるいは本人の無理な稼働によって実現したのかを確認することが出発点になります。
会社役員の場合、報酬額が事故後も変わらない背景に、税務上の制約があることも少なくありません。定期同額給与に該当するためには、原則として事業年度の各支給時期における支給額が同額である必要があり、期の途中の減額改定が認められるのは、役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更等による臨時改定事由、又は経営の状況が著しく悪化したこと等による業績悪化改定事由に限られます(法人税法第34条第1項第1号、法人税法施行令第69条第1項第1号イからハまで)。国税庁は、業績悪化改定事由について「法人の一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれません」と注記しています。つまり、報酬が減額されていないという事実は、本人が従前どおりの労務を提供できていたことを当然に意味するものではありません。なぜ減額しなかったのかを、税務上の制約、金融機関との関係、対外的な信用の維持といった事情も含めて確認する必要があります。
| 確認する事情 | 具体的に見る内容 | 対応する資料 | 一律に結論を出せない理由 |
|---|---|---|---|
| 後遺障害の程度と職業の性質 | 後遺障害の内容が、実際に担っている職務のどの部分に影響するか | 後遺障害診断書、等級認定票、診療録、画像・検査資料、職務分掌 | 同じ等級でも職務内容により支障の程度が異なる |
| 本人の特別の努力 | 痛みや制限を抱えたまま従前の稼働量を維持していないか、休息・服薬・通院で補っていないか | 業務日報、予定表、通院記録、服薬記録、家族・従業員の陳述 | 努力の程度と収入維持との関係は事案ごとに評価される |
| 他者による代替 | 家族、従業員、他の役員が本人の職務を肩代わりしていないか | 賃金台帳、勤怠記録、業務分担の変更記録、組織図の改定 | 代替の範囲と、それが無償か有償かで評価が分かれる |
| 会社の配慮による支給継続 | 報酬の支給継続が労務の対価か、恩恵的・一時的な措置か | 株主総会・取締役会議事録、資金繰り表、決算への影響 | 支給継続の理由と会社の実態により評価が分かれる |
| 減額しなかった理由 | 期中の減額が税務上・資金調達上どのような制約を受けていたか | 議事録、顧問税理士との協議記録、金融機関への提出資料 | 制約の有無と程度は、会社の状況と時期により異なる |
| 受注できる範囲の縮小 | 断らざるを得なくなった案件、対応できなくなった業務の種類 | 失注記録、見積・問合せ記録、顧客とのやり取り、案件別売上 | 縮小の原因が後遺障害か市況かを切り分ける必要がある |
| 将来の減収の蓋然性 | 役員としての再任の見込み、事業の継続可能性、後継者の有無 | 任期に関する定款・議事録、事業計画、後継者の在籍状況 | 将来の見込みは資料の裏付けの程度により評価が分かれる |
| 昇給・昇任・転職等の不利益 | 職位や職責の変更、他社での就業可能性への影響 | 報酬改定の履歴、職務変更の記録、保有資格と就業要件 | 会社役員では給与所得者と同じ形では現れにくい |
| 事故以外の変動要因 | 市況、季節性、主要顧客の変化、価格改定、競合の状況 | 月次試算表、顧客別売上推移、業界統計、価格改定の記録 | 相手方から必ず指摘される点であり、先に整理しておく |
事故後に役員報酬を減額して減収の外形を作ることは、立証方法として適切ではありません。前記のとおり期中の減額改定が損金算入の対象となる場面は限られており、減額の理由・時期・決議の内容によっては法人税法上の取扱いにも影響します。また、株主総会・取締役会議事録、帳簿、稼働記録、請求書を事故後にさかのぼって作成し又は改変することは、証拠としての信用性を失わせるだけでなく、会社法上・税務上、場合によっては刑事上の問題を生じさせるおそれがあります。事故時点で存在する資料をそのまま整理することが基本です。
労働能力喪失率と喪失期間を、実際の職務へ当てはめる
等級に対応する率を示すだけでは、保険会社との間で議論がかみ合いません。次の順序で、後遺障害を具体的な作業単位へ落とし込んでいきます。
- 事故前の職務を、営業・対外交渉、現場作業・手作業、移動・出張、書面作成・パソコン作業、判断・意思決定、管理・監督などの作業単位に分解する。
- 後遺障害による身体的、認知的又は精神的な制約を、各作業単位に対応させる。
- 事故後にできなくなった作業、時間が余分にかかるようになった作業、品質や安全の面で問題が生じた作業、代替した者、本人が続けている努力を特定する。
- 職務上の支障を、業務日報、予定表、メール、商談記録、現場記録、担当案件、顧客別の売上と粗利、医療記録によって裏付ける。
- 現実の減収、将来の減収の可能性、役員としての在任期間や事業の継続期間、代替可能性へ結び付ける。
職務分解表
次の表は、記入の枠組みとして用いるものです。作業単位ごとに、事故前の内容、後遺障害による制約、事故後の対応、代替者の有無、客観的証拠、収入・利益への影響を書き出すと、喪失率と喪失期間について何を主張するのかが具体的になります。職種ごとの喪失率をあらかじめ定めた基準は存在しません。
| 事故前の職務(作業単位) | 後遺障害による制約 | 事故後の対応 | 代替者 | 客観的証拠 | 収入・利益への影響 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業・対外交渉 | 訪問・商談の可否、集中力や発話の持続、痛みによる中断 | 訪問回数の減少、オンラインへの切替え、同行者の付添い | 他の役員・営業担当が同行又は代行 | 予定表、訪問記録、商談メモ、メール、交通費精算 | 新規受注件数、担当顧客の売上・粗利の推移 |
| 現場作業・手作業 | 可動域制限、握力低下、しゃがむ・持ち上げる動作の制限 | 作業範囲の限定、工程の分担変更、作業時間の延長 | 職人・作業員の増員、外注への切替え | 作業日報、施工写真、工程表、外注先への発注書 | 自社施工分の粗利、外注費の増加額 |
| 移動・出張 | 運転可能時間の制限、長時間の乗車・歩行の制限 | 担当エリアの縮小、出張の中止、送迎の手配 | 従業員による送迎、他の役員が出張を代行 | 運行記録、高速道路・給油の利用履歴、出張旅費精算書 | 遠隔地案件の受注状況、移動費用の増減 |
| 書面作成・パソコン作業 | 座位保持の制限、上肢の痛み、視覚・注意の障害 | 作業時間の短縮、口述筆記、担当者への委任 | 事務担当者・他の役員が作成 | 文書の作成者情報、更新履歴、決裁記録 | 見積・提案の作成件数、事務人件費の増加 |
| 判断・意思決定 | 高次脳機能障害、易疲労性、痛みによる持続的思考の困難 | 決裁事項の限定、会議時間の短縮、助言者の関与 | 他の役員・顧問による補完 | 稟議・決裁記録、会議の出席記録、議事メモ | 意思決定の遅延による受注機会の変化 |
| 管理・監督 | 現場巡回の制限、長時間の立位・歩行の制限 | 巡回頻度の低下、遠隔での確認への切替え | 現場責任者の新規配置 | 巡回記録、安全書類、配置に関する人事記録 | 管理職の増員に伴う人件費、品質・事故率の変化 |
経営に携わる立場では、身体的な制約よりも、易疲労性、痛みによる集中の持続困難、高次脳機能障害による記銘力・遂行機能の低下のほうが、事業への影響が大きい場合があります。これらは外形から分かりにくく、等級に対応する率だけでは説明が届きません。決裁件数の推移、会議への出席状況、判断を他の役員に委ねた記録、取引先とのやり取りの変化など、意思決定の質と量に生じた変化を記録として残しておくことが、検討の材料になります。
労働能力喪失期間の考え方
「原則として67歳まで」「第12級なら10年」「第14級なら5年」といった記述を見かけますが、これらを一律の法的ルールとして扱うことはできません。自賠責保険の支払基準の別表では、52歳未満の者は67歳とその者の年齢との差、52歳以上の者は生命表による平均余命の2分の1を就労可能年数とする取扱いが示されていますが、これは自賠責保険の支払における基準であり、前記の最高裁判決のとおり、民事上の損害額の算定を拘束するものではありません。
事業主・会社役員の場合、給与所得者と異なり定年が存在しないことが多く、実際に高齢まで就労を継続している例も少なくありません。他方で、後継者が育っている、事業を承継する予定がある、健康状態から就労の継続が見込みにくいといった事情は、期間を短く評価する方向に働きます。年齢、健康状態、後継者の有無、定年の有無、事業の継続性、役員として再任される見込み、職種、医学的な見通しを、それぞれ資料で示して検討することになります。
事故後に事業を縮小した場合・廃業した場合
症状固定後に事業を縮小した、役員を退任した、あるいは廃業したという場合、それが後遺障害によるものなのか、市況、取引先の事情、後継者への承継といった別の要因によるものなのかが争われます。縮小や廃業は、逸失利益を基礎づける事実にも、反対に「事故がなくても遠からず同じ結果になっていた」という反論の材料にもなり得ます。
そのため、事故前からの売上・利益の推移、取引先の異動、業界全体の動向、承継や退任の検討がいつから始まっていたかを示す資料を、あらかじめ整理しておく必要があります。縮小・廃業の時期と、症状固定や症状の推移との時間的な関係も、説明の材料になります。
代表者の負傷に伴う企業損害・間接損害
法人は代表者個人とは別の権利主体です。代表者が負傷したというだけで、法人の売上減少や利益減少が当然に賠償の対象になるわけではありません。
もっとも、最高裁は、交通事故により会社代表者を負傷させた者に対する会社の損害賠償請求を認めた事例があります(最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決、昭和40年(オ)第679号、民集22巻12号2614頁)。同判決の裁判要旨は、「甲が交通事故により乙会社の代表者丙を負傷させた場合において、乙会社がいわゆる個人会社で、丙に乙会社の機関としての代替性がなく、丙と乙会社とが経済的に一体をなす等判示の事実関係があるときは、乙会社は、丙の負傷のため利益を逸失したことによる損害の賠償を甲に請求することができる」というものです。
この事案では、もともと個人で薬種業を営んでいた被害者が、納税上、個人企業による経営は不利であるということから有限会社を設立したもので、社員は本人とその妻の二名にとどまり、妻は名目上の社員で取締役ではなく、本人が唯一の取締役でした。会社には本人のほかに薬剤師がおらず、本人は「余人をもつて代えることのできない不可欠の存在」であって、会社は「法人とは名ばかりの、俗にいう個人会社」であり、実権は従前どおり本人個人に集中し、経済的に本人と会社とは一体をなす関係にあった、という事実関係が前提とされています。
この判例は、右のような具体的事実関係のもとで相当因果関係を認めたものです。「一人会社であれば企業損害を請求できる」「同族会社なら会社も請求できる」と一般化することはできません。実際には、代表者の非代替性、実権の集中、会社と代表者の経済的一体性がどの程度認められるのかを、登記事項証明書、株主名簿、組織図、職務分掌、資格・許認可の名義、他の役員・従業員の職務内容などによって具体的に示す必要があります。なお、ここで扱っているのは、代表者又は役員本人が被害者となった場合です。従業員が負傷したことにより会社に損失が生じた場合は、会社と従業員の関係、代替可能性、賃金の支払の有無など、別の観点からの検討が必要になります。
法人側で区別すべき損害の内訳
法人側の損失を検討する際は、次の五つを混同しないことが重要です。
| 区分 | 内容 | 確認する資料 | 検討上の留意点 |
|---|---|---|---|
| 現実に負担した代替人件費・外注費 | 本人の職務を補うために追加で採用・委託した費用のうち、必要かつ相当な範囲 | 雇用契約書、賃金台帳、外注先との契約書・請求書、支払記録 | 過大な採用や、事故と無関係な増員が含まれていないかを確認する |
| 純利益の減少 | 事故がなければ得られた合理的な純利益と、実績との差 | 月次・年次の損益、部門別・顧客別の売上と粗利、受注・失注資料 | 売上減少額そのものではなく、回避された変動費を控除した後の利益で見る |
| 役員報酬の労務対価部分 | 役員個人の損害として構成される部分 | 役員報酬台帳、議事録、職務資料 | 法人の損害として重ねて計上しない |
| 会社が継続支給・立替えした部分 | 職務執行がない期間の役員報酬の支給、治療費等の立替え | 支給記録、立替えの経緯を示す資料、議事録 | 本人の損害を会社が填補した部分は、請求の構成を整理する必要がある |
| 別の法的構成を要する部分 | 代位、求償、債権譲渡等によることが考えられる部分 | 合意書、譲渡通知、保険関係の資料 | 構成を決めないまま合算すると、請求の整理がつかなくなる |
売上減少額をそのまま企業損害としない
会社の損害を検討する際、事故後の売上減少額をそのまま請求額とすることはできません。市場の変動、季節性、主要顧客の変化、競合の状況、価格の改定、他の役員・従業員の寄与、そして売上減少に伴って支出を免れた変動費を調整したうえで、事故がなかった場合に見込まれる合理的な正常利益と実績とを比較する必要があります。この作業を、事故前後の月次・年次の損益を並べて行うのが、いわゆる正常収益のブリッジです。
損害額の立証が極めて困難な場合について、民事訴訟法第248条は、損害が生じたことが認められる場合において損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所が口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて相当な損害額を認定することができると定めています。もっとも、これは損害額の立証の困難を救済する規定であり、損害の発生や事故との因果関係の立証を不要にする規定ではありません。
請求先・対象期間・請求手続が本人と異なる点
まず請求先です。自賠責保険の支払基準(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)が定める損害の区分は、傷害による損害、後遺障害による損害、死亡による損害、死亡に至るまでの傷害による損害であり、いずれも被害者本人の治療関係費、休業損害、逸失利益、慰謝料等を対象としています。法人自身の営業上の損失に対応する項目は設けられていません。そのため、法人側の損失を検討する場合は、任意保険会社との交渉、又は加害者本人に対する請求として組み立てることになります。
次に対象期間です。本人の後遺障害逸失利益が症状固定後の就労可能な期間を対象とするのに対し、法人側の損失をいつからいつまでとするかは、それ自体が独立した争点になります。代替する人員や体制が整うまでの期間として主張されることもあれば、より長期にわたるものとして主張されることもあります。いずれにせよ両者の対象期間は当然には一致しませんので、代替人員の採用時期、外注の開始時期、業績が回復した時期といった事実に即して、期間を画する根拠を用意しておく必要があります。
最後に請求手続です。法人が自ら請求する場合、本人の請求とは別に、法人としての委任関係を整える必要があります。本人が被害者であると同時に法人の代表者でもあるため、本人の請求額と法人の請求額の配分が対立し得る場面では、利益相反の有無を検討することになります。弁護士費用についても、本人が負担する分と法人が負担する分は別であり、本人の自動車保険に弁護士費用特約が付帯していても、法人の請求まで対象になるとは限りませんので、約款の確認が必要です。受け取った賠償金の会計処理と税務上の取扱いも、個人が受け取る場合とは異なります。
後遺障害の内容、実際の職務、役員報酬又は事業所得、会社側に生じた損失を対応させて整理することで、基礎収入、労働能力喪失率、企業損害のどこが争点になっているのかを把握しやすくなります。会社自身の営業上の損害の計算方法については、次の記事もご覧ください。
二重計上を防ぐための突合
本人の請求と法人の請求を並行して検討する場合、同じ経済的不利益を重ねて計上していないかを、一つの表で突合します。次の重複は、いずれも相手方から必ず指摘される点です。
- 同一の労務価値について、役員個人の逸失利益と法人の利益減少を重ねていないか
- 代替人員によって売上減少を防いだ場合に、同じ期間の代替人件費と、生じなかった売上減少とを重ねていないか
- 実績の損益計算にすでに含まれている外注費・人件費を、正常利益との差額の計算で再度加算していないか
- 役員報酬の減額を個人の損害として計上しながら、法人側で生じた費用の減少を企業損害の計算で無視していないか
- 症状固定前の休業損害と、症状固定後の逸失利益とで、対象期間が重なっていないか
突合の実務では、事故前の正常な損益、事故後の実績の損益、役員報酬の増減、法人側の費用の増減、代替費用、売上・粗利・純利益の増減を一覧にし、本人の請求額と法人の請求額がそれぞれどの行から導かれているのかを示します。この表は法令や会計基準で定められた様式ではなく、重複と漏れを確認するための道具です。
保険会社から想定される主張と、確認しておきたい事項
提示や説明の内容は、一般論としては筋の通ったものが少なくありません。そのまま受け入れるか、資料を示して再検討を求めるかは、その前提が自分の事案に当てはまるかどうかで決まります。
| 相手方の主張 | 確認する事実 | 対応する資料 | 再検討の着眼点 | 一律に結論を出せない理由 |
|---|---|---|---|---|
| 事故後も報酬・事業所得が減っていない | 収入が維持された理由、誰が負担したか、本人の稼働状況、減額しなかった理由 | 業務日報、賃金台帳、外注費の支払記録、通院記録、議事録 | 特別の努力、他者による代替、会社の配慮、税務上の制約、将来の減収可能性を具体化する | 減収の有無は考慮要素の一つであり、これだけで結論は決まらない |
| 役員報酬には利益配当的部分が含まれる | 職務内容、稼働の実態、報酬決定の経緯、持株割合との関係 | 議事録、報酬推移表、株主名簿、職務資料、賃金台帳、役員給与等の内訳書 | 同種の職務を担う人材の賃金水準と対比し、労務の実態を示す | 労務対価部分の割合に一律の基準はない |
| 報酬額が高額にすぎるので基礎収入を制限すべきである | 報酬額の決定経緯、職務内容との対応、同業同規模の水準、会社の業績との関係 | 報酬規程、議事録、報酬推移表、決算書、同等職務の求人条件 | 報酬額が労務の内容と対応していることを、職務資料と業績で裏付ける | 高額であること自体が基礎収入を否定する根拠になるわけではない |
| 経営判断中心の職務なので後遺障害の影響が小さい | 意思決定以外に担っていた業務、稼働時間、現場関与の程度 | 予定表、稟議・決裁記録、現場記録、商談記録 | 作業単位ごとに支障を分解して示す。判断・意思決定自体への影響も検討する | 職務の性質と後遺障害の内容の組合せにより評価が異なる |
| 等級に対応する喪失率・就労可能期間を超える根拠がない | 後遺障害の内容と実際の作業との対応関係 | 後遺障害診断書、診療録、画像・検査資料、職務分解の記録 | 医学的所見と職務上の支障を結び付けて説明する | 等級表は出発点であり、個別の職務との関係で検討される |
| 代表者の職務は他の役員・従業員で代替できる | 他の役員・従業員の職務内容、資格、経験、実際の分担 | 組織図、職務分掌、資格の名義、賃金台帳、人事記録 | 代替した場合の費用と品質の変化を具体的に示す | 代替可能性の程度は事業の内容と組織により異なる |
| 法人と代表者に経済的一体性がない | 株主構成、実権の所在、報酬決定の経緯、資産の帰属 | 登記事項証明書、株主名簿、議事録、決算書 | 判例が前提とした事実関係と自らの事案との異同を整理する | 一体性の評価は個別の事実関係に依存する |
| 売上・利益の減少は景気・季節性・競合による | 事故前からの推移、同業他社の動向、取引先の事情 | 月次試算表、顧客別売上推移、業界統計、取引先との連絡記録 | 事故以外の要因を先に調整したうえで差額を示す | 要因の切り分けは資料の粒度により結論が変わる |
| 売上総額から必要経費・回避費用が控除されていない | 変動費の構成、売上減少に伴って支出を免れた費用 | 総勘定元帳、原価計算資料、仕入・外注の支払記録 | 粗利益又は純利益ベースで再計算する | 費用構造により控除すべき範囲が異なる |
| 代替採用は不要又は過大である | 採用の時期、職務内容、賃金水準、採用しなかった場合の影響 | 雇用契約書、求人資料、賃金台帳、業務分担の記録 | 採用の必要性と相当性を、業務量と品質の面から示す | 必要かつ相当な範囲の判断は事案により異なる |
| 本人の逸失利益、法人の利益減少、代替費用が重複している | 各請求額の算定根拠と、その元になった数字の出所 | 突合表、月次損益、報酬台帳、代替費用の支払記録 | 重複部分を除いたうえで請求額を組み直す | 重複の有無は請求の構成の取り方により変わる |
| 申告・報酬決議・帳簿・入出金が整合しない | 各資料の作成時期、記載内容、相互の対応関係 | 申告書、議事録、総勘定元帳、預金通帳、請求書 | 不整合の理由を説明できる資料を揃える | 不整合の原因と程度により信用性の評価が分かれる |
提示書に現れにくい要素|過失相殺・遅延損害金・弁護士費用
逸失利益の金額そのものとは別に、最終的な受取額を左右する要素があります。示談交渉の段階の提示書には計上されていないことも多いため、示談するか、それ以外の手続を選ぶかを判断するうえで、あらかじめ把握しておくことが有益です。
| 要素 | 内容 | 根拠 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|---|
| 過失相殺 | 被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる | 民法第722条第2項 | 提示書の過失割合が前提とする事故態様が実際と合っているか。法人の請求についても、代表者の負傷を介して生じた損害である以上、本人の過失をどのように考慮するかが争点になり得る |
| 遅延損害金 | 不法行為に基づく損害賠償債務は、催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る | 最高裁昭和37年9月4日第三小法廷判決(昭和34年(オ)第117号、民集16巻9号1834頁) | 提示書に計上されていないことが通常。事故から時間が経っているほど影響が大きい。中間利息の控除とは別のものである |
| 弁護士費用相当額 | 訴訟を余儀なくされ弁護士に委任した場合、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、不法行為と相当因果関係に立つ損害とされる | 最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決(昭和41年(オ)第280号、民集23巻2号441頁) | 示談交渉の段階では通常計上されない。訴訟を選ぶかどうかの判断材料の一つになる |
このほか、既に支払を受けた治療費、内払金、自賠責保険からの支払、労災保険の給付などは、損害の填補として控除の対象になります。何が、いつ、いくら控除されているのかを、提示書の内訳で確認してください。
医療・職務・会計の三層で資料を整える
資料は、集めた順に提出するのではなく、何を立証するための資料かを整理してから提出したほうが、検討の見通しがよくなります。会計資料のどこを見るかは、前記「決算書・法人税申告書のどこを見るか」で整理しています。
| 層 | 主な資料 | 何を立証するか | どの期間を確認するか | 欠けた場合のリスク |
|---|---|---|---|---|
| 医療・後遺障害資料 | 等級認定票、後遺障害診断書、診断書、診療録、画像・検査資料、就労制限に関する記載 | 後遺障害の内容と程度、症状固定の時期、就労上の制約 | 受傷から症状固定まで、及び症状固定後の経過 | 等級は認定されても、職務との結び付きを示せず喪失率が低く評価される |
| 職務・稼働資料 | 業務日報、予定表、メール、商談・現場記録、担当契約、顧客別案件、組織図、職務分掌、稟議・決裁記録、運行記録、代替者の業務記録 | 事故前の職務内容と稼働量、事故後の変化、代替の有無 | 事故前1年以上と事故後の連続した期間 | 労務対価性と支障の程度を具体的に示せず、報酬額の議論に終始する |
| 会計・会社資料 | 確定申告書、青色申告決算書、法人税申告書、決算書、勘定科目内訳明細書、月次試算表、総勘定元帳、部門別・顧客別売上と粗利、役員報酬台帳、議事録、株主名簿、登記事項証明書、賃金台帳、代替人件費・外注費の資料 | 基礎収入の水準、事故前後の損益の変化、代替費用の額、会社と本人の関係 | 事故前3期以上と事故後の各期、及び月次の推移 | 正常収益との差を示せず、売上減少額をそのまま主張して否認される |
請求主体ごとに異なる期間制限
期間制限は、請求の相手方と損害の性質によって異なります。本人の人身損害、法人の経済的損害、自賠責保険への被害者請求を、同じ期間として扱うことはできません。
| 請求の種類 | 期間 | 起算点 | 根拠・留意点 |
|---|---|---|---|
| 本人から加害者への請求(人の生命又は身体を害する不法行為) | 5年 | 損害及び加害者を知った時 | 民法第724条、第724条の2。不法行為の時から20年の期間制限もある |
| 法人から加害者への請求(法人自身の経済的損害) | 個別の検討を要する | 損害及び加害者を知った時 | 民法第724条。人の生命・身体を害する不法行為に関する第724条の2が及ぶかを、本人の身体損害と同視して判断することはできない |
| 自賠責保険への被害者請求 | 3年 | 損害及び保有者を知った時 | 自動車損害賠償保障法第16条第1項、第19条。民法第724条の2による5年への延長は及ばない |
後遺障害に基づく損害賠償請求権の消滅時効について、最高裁は、症状固定の診断を受けてこれに基づき後遺障害等級の事前認定を申請したときは、その結果が非該当であり、その後の異議申立てによって等級認定がされたという事情があったとしても、消滅時効は遅くとも症状固定の診断を受けた時から進行する旨を判示しています(最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決、平成14年(受)第1355号、集民215号1109頁)。同判決は民法改正前の事案ですが、異議申立てを繰り返している間に期間が進行するという点は、現在も実務上重要です。もっとも、起算点や期間の進行は事案により異なり、完成猶予や更新の有無も影響します。令和2年4月1日より前に発生した事故については、経過措置の確認も必要です。
損害賠償・会社法・税務を混同しない
不法行為法上の損害額、会社法上の役員報酬の決定手続、企業会計上の収益・費用の処理、法人税法上の役員給与の損金算入、所得税法上の損害賠償金の取扱いは、それぞれ目的の異なる制度です。本記事で取り上げた使用人職務分の区分や定期同額給与の取扱いも、税務上の要件を定めたものであって、損害算定上の労務対価性を直接決めるものではありません。役員報酬の変更を検討する場合や、示談書の損害項目の内訳を決める場合には、損害算定とは別の問題として、事前に確認しておく必要があります。
受け取った賠償金や示談金の課税上の取扱いは、損害項目や受け取る主体によって異なります。詳しくは賠償金・示談金の課税関係の記事をご覧ください。
示談・資料提出の前に確認したいこと
- 提示書に、基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、係数、中間利息控除の前提が明示されているか
- 基礎収入が、役員報酬の全額か、労務対価部分か、事業所得か、どの資料のどの期間から算出されているか
- 後遺障害等級の認定結果と、後遺障害診断書の記載内容を確認したか
- 事故前の職務を作業単位に分解し、後遺障害による支障を対応させた記録を作成したか
- 事故前後の月次・年次の損益、部門別・顧客別の売上と粗利を並べたか
- 役員給与等の内訳書の常勤・非常勤の別、使用人職務分の有無と、実際の職務内容が整合しているか
- 法人としての請求を行うかどうか、行う場合の損害項目、法的構成、対象期間、委任関係を決めたか
- 本人の請求と法人の請求の間に、二重計上がないかを突合したか
- 症状固定前の休業損害と、症状固定後の逸失利益の期間が重なっていないか
- 過失割合の前提となる事故態様、既払金の控除内容を確認したか
- 本人の請求、法人の請求、自賠責保険への被害者請求のそれぞれについて、期間制限が迫っていないか
- 自動車保険に弁護士費用特約が付帯していないか、法人契約の特約が使えないかを確認したか
- 資料を提出する範囲と、取引先情報・機密情報の取扱いを決めたか
弁護士に相談するタイミング
相談によって結果が保証されるわけではありませんが、資料を確認したうえで、請求主体、損害項目、計算の根拠、必要な証拠、想定される反論を整理することはできます。事業主・会社役員の事案では、医療資料だけでなく、職務資料と会計資料をどう対応させるかが検討の中心になるため、早い段階で整理しておくと、記録の残し方が変わります。
検討しやすい時期は、後遺障害等級の認定結果が出た時、保険会社から逸失利益を含む提示を受けた時、会社の売上や利益に影響が出始めた時、役員報酬の改定を検討している時、そして示談書に署名を求められた時です。署名した後は内容を見直すことが原則として難しくなりますので、署名の前に確認することをおすすめします。
よくある質問
役員報酬は全額が後遺障害逸失利益の基礎収入になりますか。
全額が当然に基礎収入になるわけではありません。損害算定上は、報酬のうち本人の労務提供の対価と評価される部分を検討します。割合に一律の基準はなく、職務内容、稼働の実態、会社の規模、報酬決定の経緯、他の役員・従業員との比較などから個別に判断されます。なお、部長職などを兼ねる使用人兼務役員として使用人職務分が区分して支給されている場合は、その部分について労務の提供に対応する支給であることを説明しやすくなります。もっとも、代表取締役は税務上使用人兼務役員とされないため、区分がないこと自体が不利に働くものではありません。資料により結論は異なります。
事故後も役員報酬が減っていないと、逸失利益は認められませんか。
減収がないことは重要な事情ですが、それだけで結論が決まるわけではありません。最高裁は、後遺症の程度が比較的軽微で職業の性質からみて収入の減少も認められないときは特段の事情のない限り財産上の損害は認められないとする一方、本人が特別の努力によって収入を維持している場合や、昇給・昇任・転職等で不利益な取扱いを受けるおそれがある場合を特段の事情として挙げています。会社役員の場合、期の途中で役員報酬を減額することには税務上の制約もあります。誰の負担で収入が維持されたのか、なぜ減額しなかったのかを資料で示せるかが分かれ目になります。
会社役員の労働能力喪失率は、後遺障害等級どおりに決まりますか。
等級に対応する率は出発点であり、そのとおりに決まるとは限りません。等級別の労働能力喪失率表は自賠責保険の支払基準の別表であり、最高裁は支払基準が裁判所を拘束しない旨を判示しています。実際の職務のどの作業にどのような支障が生じたのかを具体的に示せるかどうかが問題になります。経営に携わる立場では、身体的な制約だけでなく、易疲労性や集中の持続困難、記銘力・遂行機能の低下が事業に影響することもあり、その場合は意思決定の質と量に生じた変化を記録で示すことになります。
個人事業主の基礎収入は、確定申告書の所得だけで決まりますか。
確定申告書は重要な出発点ですが、それだけで決まるわけではありません。税務上の所得の金額と、損害算定上の本人の労務に帰属する収益とは目的が異なります。本人・家族・従業員・設備の寄与の切り分け、複数年の推移、季節性、一時的要因、事業の継続性を、帳簿や原始資料と照合して検討する必要があります。
代表取締役の負傷で会社の売上が下がった場合、会社も請求できますか。
法人は代表者個人とは別の権利主体であり、当然に請求できるわけではありません。最高裁が会社の請求を認めた事例はありますが、代表者に会社の機関としての代替性がなく、代表者と会社が経済的に一体をなすという具体的な事実関係を前提としたものです。一人会社や同族会社であれば当然に認められるという性質のものではありません。また、自賠責保険の支払基準には法人自身の営業上の損失に対応する項目がないため、請求先の検討も必要になります。
会社が負担した代替人件費や外注費を、役員本人が請求できますか。
会社が現実に負担した費用は、まず会社の損害として検討すべきもので、役員個人の逸失利益にそのまま読み替えることはできません。役員個人の請求と会社の請求を分けて整理し、同じ労務価値を重ねて計上しないようにする必要があります。
役員個人の逸失利益と会社の企業損害を、両方請求できますか。
別の請求主体として、それぞれ検討すること自体は可能です。ただし、同じ経済的不利益を重ねて計上することはできません。役員報酬の労務対価部分、法人の純利益の減少、代替費用の三つが重複していないかを突合したうえで、それぞれの請求額を組み立てることになります。対象期間も当然には一致せず、委任関係や弁護士費用の負担も本人の請求とは別に整理する必要があります。
示談前に、どの決算書・医療資料・職務資料を準備すべきですか。
医療資料としては後遺障害等級認定票と後遺障害診断書、診療録、画像・検査資料。職務資料としては業務日報、予定表、担当案件、組織図、職務分掌、稟議・決裁記録。会計資料としては事故前3期以上の申告書・決算書、勘定科目内訳明細書の役員給与等の内訳書、月次試算表、部門別・顧客別の売上と粗利、役員報酬台帳、賃金台帳、株主名簿、議事録が中心になります。決算書は金額だけでなく、役職名、常勤・非常勤の別、使用人職務分の区分といった欄も確認します。すべてが揃っていなくても、何が不足しているかを整理するところから始められます。
まとめ
- 後遺障害逸失利益は、等級から逆算するのではなく、後遺障害が具体的な職務のどの作業にどう影響したのかを特定するところから検討します。
- 役員報酬は、全額が基礎収入になるわけでも、一定割合が当然に除外されるわけでもありません。労務提供の対価と評価される部分を、職務・稼働・報酬決定の経緯・他者との比較から検討します。
- 税務上の区分(使用人職務分の有無、定期同額給与の要件)は、損害算定上の労務対価性を直接決めるものではありません。区別して検討します。
- 事故後も報酬や所得が減っていない場合でも、誰の負担で維持されたのか、なぜ減額しなかったのかを示せれば、検討の余地があります。
- 法人に生じた損失は、役員個人の逸失利益とは別の権利主体の損害です。売上減少額をそのまま請求することはできず、請求先、対象期間、委任関係も本人の請求とは異なります。
- 本人の請求と法人の請求は、二重計上がないかを一つの表で突合します。
- 過失相殺、遅延損害金、弁護士費用相当額、既払金の控除は、提示書に現れていないことがあります。
- 期間制限は、本人の人身損害、法人の経済的損害、自賠責保険への被害者請求で異なります。
- 示談書に署名する前、資料を提出する前、役員報酬を変更する前に、計算の前提と証拠との対応関係を確認することをおすすめします。
後遺障害等級の認定結果、保険会社の提示書、確定申告書又は法人の決算書などを確認することで、役員個人の逸失利益と法人の損失を分けて整理し、対応方針を検討できます。弁護士・公認会計士が、法務と会計の両面から資料を確認します。
当事務所では、交通事故のご相談について初回相談を無料でお受けしています。着手金は原則として無料ですが、訴訟、2回目以降の異議申立て、相手方が無保険の場合などには追加着手金をいただくことがあります。弁護士費用特約が付帯している場合の取扱いを含め、費用は事前にご説明します。
監修者・執筆者について
代表弁護士・公認会計士 藤井貴之(弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所)
兵庫県弁護士会所属、日本公認会計士協会兵庫会所属。遺産相続、交通事故、労働、債務整理、企業法務、M&Aを取り扱い、決算書・申告書等の会計資料を踏まえた検討を行っています。
本記事は一般的な情報の整理であり、個別の事案については資料を確認したうえでの検討が必要です。記載した制度・基準・利率は、事故発生日や適用時点により異なることがあります。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
- e-Gov法令検索「会社法」
- e-Gov法令検索「民事訴訟法」
- e-Gov法令検索「法人税法」
- e-Gov法令検索「法人税法施行令」
- 法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」
- 国土交通省「労働能力喪失率表」
- 国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」
- 金融庁・国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
- 裁判所「最高裁昭和37年9月4日第三小法廷判決(昭和34年(オ)第117号)」
- 裁判所「最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決(昭和40年(オ)第679号)」
- 裁判所「最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決(昭和41年(オ)第280号)」
- 裁判所「最高裁昭和45年7月24日第二小法廷判決(昭和44年(オ)第882号)」
- 裁判所「最高裁昭和56年12月22日第三小法廷判決(昭和54年(オ)第354号)」
- 裁判所「最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決(平成14年(受)第1355号)」
- 裁判所「最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決(平成17年(受)第1628号)」
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(結果の概要)」
- 国税庁「役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
- 国税庁「勘定科目内訳明細書(令和6年3月1日以後終了事業年度用)」
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」

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