役員貸付金・役員借入金の税務と法務|解消方法と相続の注意点 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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役員貸付金・役員借入金の税務と法務|解消方法と相続の注意点

決算書(貸借対照表)や勘定科目内訳明細書に並ぶ「役員貸付金」「役員借入金」は、単なる勘定科目の名称ではありません。会社と役員(多くは代表者)との間に実在する債権債務を表しています。両者は、会社の貸借対照表から見た名称であり、貸し借りの向きが逆です。役員貸付金は会社が役員へ貸している状態(会社の資産・役員の債務)、役員借入金は役員が会社へ貸している状態(会社の負債・役員の債権)を指し、向きにより税務・法務・相続上のリスクも異なります。

この向きを取り違えると、利息を誰が負担するのか、どちらの側に課税の問題が生じるのか、代表者が亡くなったときに相続財産になるのか相続債務になるのか、といった判断をすべて誤ってしまいます。最初に確認すべきことは、「誰が誰に貸したのか」です。

役員貸付金・役員借入金は、契約・承認・返済・会計税務処理が適切に行われていれば、それ自体が直ちに違法・不適切となるものではありません。もっとも、発生原因や条件が不明なまま長期間放置されると、利息相当額の課税や給与課税、債権放棄、会社法上の利益相反取引、役員責任、返還請求と消滅時効、金融機関・事業承継・M&Aでの説明、代表者死亡時の相続・評価など、複数の問題が連鎖することがあります。結論は資料と個別の事情により異なりますので、実際のご対応は資料を確認したうえで判断する必要があります。

この記事では、同族会社の経営者・後継者・相続人・株主・経理担当者に向けて、次の点を、方向を混同せずに整理します。

  • 役員貸付金(会社から役員)と役員借入金(役員から会社)の違いと発生原因
  • 会社と役員の金銭貸借で必要な契約・会社法上の承認・証拠
  • 役員貸付金を放置したときの利息相当額・給与課税・回収の問題
  • 役員から会社への無利息貸付けと、近時の裁決から見た注意点
  • 役員貸付金・役員借入金それぞれの解消方法と、その副作用
  • 代表者死亡時の相続・評価・遺産分割で起こりやすいトラブル
  • 見直し前に集めるべき資料と、相談を検討するタイミング

まずは「会社が貸しているのか、役員が貸しているのか」を、決算書・勘定科目内訳明細書・総勘定元帳で確認することが出発点です。向きと発生原因、契約・返済の資料を整理することで、税務・会社法・相続のどの問題が関係するかを検討しやすくなります。

なお、会社の案件では、利益相反の確認前に決算書・申告書・通帳・契約書などの機密資料をフォームへ添付せず、まず会社名・ご相談者名・相手方名・概要・期限をお知らせください。

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結論|役員貸付金・役員借入金は「誰が貸主か」から確認する

役員貸付金と役員借入金は、いずれも会社の帳簿から見た名称です。会社を基準に「会社が貸している(資産)」のか「会社が借りている(負債)」のかで、向き・権利義務・リスク・最初に確認する資料が変わります。まず次の表で全体像を押さえてください。

役員貸付金・役員借入金の向きと主なポイント(会社を基準にした整理)
勘定科目 資金の向き 会社側の表示 役員個人の権利・義務 主な税務・法務・相続リスク 最初に確認する資料
役員貸付金 会社 → 役員 資産(会社の債権) 会社への債務(返す立場) 無利息・低利による利息相当額の益金算入と役員側の給与課税、源泉徴収、回収可能性・役員責任、融資審査・M&Aでの説明 決算書、勘定科目内訳明細書、総勘定元帳、金銭消費貸借契約書、取締役会・株主総会議事録、通帳
役員借入金 役員 → 会社 負債(会社の債務) 会社への貸付金債権(返してもらう立場) 無利息・低利のとき同族会社の行為計算否認による個人への利息相当額課税の可能性、債権放棄時の債務免除益・みなし贈与、代表者死亡時の相続財産・評価 決算書、勘定科目内訳明細書、総勘定元帳、借用書・契約書、通帳、返済予定表

混同しやすい三つの区別を最初に固定してください。

①「会社から役員」か「役員から会社」か(向き)、②「会社側」か「個人側」か(誰の税負担か)、③「法務(会社法・民法)」「税務(法人税・所得税・相続税・源泉)」「会計」「相続」のどの問題か。以下では、この区別を保ったまま解説します。

役員貸付金・役員借入金とは|違いと発生原因

役員貸付金(会社から役員へ)

役員貸付金は、会社が役員(多くは代表者)へ資金を貸している状態です。会社にとっては資産(債権)、役員個人にとっては債務です。発生原因としては、役員の生活資金や個人的支出の立替え、役員個人の支払を会社が肩代わりした未精算分、使途の説明がつかない出金を貸付金として計上したもの、仮払金・立替金が精算されないまま貸付金に振り替えられたものなどがあります。

役員借入金(役員から会社へ)

役員借入金は、役員が会社へ資金を貸している状態です。会社にとっては負債(債務)、役員個人にとっては会社に対する貸付金債権です。中小の同族会社では、資金繰りのために代表者が私財を会社へ投入し、その残高が役員借入金として積み上がっている例が少なくありません。契約書・利息・返済期限を定めていないことも多く、後日、税務・相続の場面で問題になりやすい項目です。

立替金・仮払金・未払役員報酬・資本取引との区別

貸借対照表に「役員貸付金」「役員借入金」と計上されていることと、私法上の債権債務が当然にその金額・条件で確定していることは、同じではありません。実際には、立替金、仮払金、未収入金、未払役員報酬、預り金、あるいは資本金・配当・賞与として整理すべきものが、貸付金・借入金に混在していることがあります。総勘定元帳・仕訳帳・法人と個人双方の通帳・振込記録・領収書・契約書・返済表・利息計算・税務申告書などから、発生原因と残高を取引単位で照合することが出発点になります。また、貸借対照表上の表示(流動・固定の区分)や勘定科目内訳明細書との整合は、決算や融資審査の場面で確認されるポイントです。

会社と代表者の金銭貸借で整えるべき法務と証拠

会社と役員の金銭貸借は、会社法上の利益相反取引に当たり得るため、私人間の貸し借りとは異なる手続と証拠の整備が必要です。

契約・利息・返済時期

金銭の消費貸借は、原則として金銭を受け取ることによって成立しますが(民法第587条)、書面でする場合は交付前でも成立します(民法第587条の2)。利息は、特約がなければ請求できないのが原則です(民法第589条)。利息を付す場合は、利息制限法の上限(元本10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%。利息制限法第1条)にも留意します。返還時期を定めていないときは、貸主は相当の期間を定めて返還を催告できます(民法第591条第1項)。契約書・返済予定表・利息計算・実際の資金移動の記録をそろえ、貸付けの実在と条件を後から説明できるようにしておくことが重要です。

会社法上の利益相反取引と承認・議事録

役員が会社と金銭消費貸借をする行為は、会社法上の利益相反取引(直接取引。会社法第356条第1項第2号)に当たり得ます。承認機関は、取締役会設置会社では取締役会、取締役会を設置していない会社では株主総会で、重要な事実を開示して承認を受け、取引後は遅滞なく重要な事実を報告します(会社法第356条・第365条)。取締役会では、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができません(会社法第369条第2項)。なお、役員から会社への貸付けのうち、無利息・無担保で会社に不利益を及ぼさないものは、利益相反取引としての承認を要しないと解した判例があるとされていますが、利息や担保を付す場合には承認手続を前提に整理しておくのが実務的です。

承認を経ずに、又は記録を欠いたまま行われると、後日その必要性・相当性の説明が難しくなり、利益相反取引によって会社に損害が生じた場合には任務懈怠が推定される(会社法第423条第3項)など、役員責任のリスクが高まり得ます。特に、自己のために会社と直接取引をした取締役は、責めに帰することができない事由によることをもって責任を免れることができず、責任の一部免除の対象にもならないとされています(会社法第428条)。役員責任と株主代表訴訟の詳細は、取締役の責任と株主代表訴訟への備えを解説した記事もあわせてご確認ください。

なお、合同会社などの持分会社では、業務を執行する社員の利益相反取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を要する(定款で別段の定めが可能)など、株式会社と規律が異なります(会社法第594条・第595条)。本記事は株式会社を中心に解説しており、持分会社では定款・社員構成に応じた個別確認が必要です。

帳簿残高だけでなく取引の実在と残高を照合する

帳簿上の残高が、返済済み・振替後の実際の残高と一致しているとは限りません。役員報酬・立替金・仮払金との振替が正しく処理されているか、借用書や通帳の資金移動など裏付けがあるかを確認します。なお、既に行われた取引について契約書・議事録を遡って作成したり、実体のない相殺・返済を記帳したりすることは避けるべきです。修正が必要な場合は、事実確認、正規の社内承認、実際の資金移動、適正な会計処理、修正申告・源泉対応の要否を順に検討します。

返済期限・催告・相殺・消滅時効

役員貸付金の回収や役員借入金の整理では、返還請求の可否と時効の管理が問題になります。債権の消滅時効は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年です(民法第166条第1項)。時効は、権利の承認があれば、その時から新たに進行を始めます(民法第152条)。相殺は、互いに同種の債務を負担し、双方の債務が弁済期にあるときにできます(民法第505条第1項)。もっとも、貸付けの時期によっては改正前の民法・商法が適用される場合があるほか、決算書への継続計上や残高確認、一部弁済が「承認」に当たるかは事案により議論があり、時効の結論が一律に決まるわけではありません。個別事情により結論は変わります。

  • 金銭消費貸借契約書(貸付日・金額・利息・返済期限)
  • 取締役会・株主総会議事録(利益相反取引の承認・報告)
  • 会社と役員個人双方の通帳・振込記録(資金移動の裏付け)
  • 返済予定表・返済実績・利息計算表
  • 総勘定元帳・仕訳帳・勘定科目内訳明細書(残高の推移)

役員貸付金を放置する税務・経営・法務リスク

ここからは向きを「会社 → 役員(役員貸付金)」に固定して、放置した場合のリスクを整理します。役員から会社への貸付け(役員借入金)とは税務の枠組みが異なる点に注意してください。

無利息・低利による利息相当額と経済的利益

会社が役員へ無利息又は低い利率で貸し付けた場合、法人側では通常収受すべき利息(いわゆる認定利息)の益金算入が問題となり(法人税法第22条第2項)、役員個人側ではその利息相当額が経済的利益(給与)として課税の対象になり得ます(所得税法第36条、法人税基本通達9-2-9(7)、国税庁タックスアンサーNo.2606・No.5202)。利息相当額の計算に用いる利率は、会社が他から借り入れた資金を貸し付けたことが明らかな場合はその借入金の利率、その他の場合は貸付けを行った日の属する年の利子税特例基準割合による利率とされています(所得税基本通達36-49)。この利率は貸付けを行った年により異なり、令和4年から令和7年中に貸付けを行ったものについては年0.9%とされています(No.2606。令和8年7月時点の同資料による)。令和8年以降の貸付けに適用される利率は、国税庁の最新の公表資料で確認する必要があります。

なお、①災害・病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員への合理的な期間内の貸付け、②会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる利率を定めている場合、③それ以外で利息相当額との差額が年5,000円以下の場合には、給与として課税しなくて差し支えないとされています(所得税基本通達36-28)。また、実務上、認定利息は元本についてだけ計算し、未収利息の集積額に重ねて利息を認定することはしないという古い個別通達(昭和29年9月15日「認定利息の取扱について」)もあります。会社が受け取る貸付金の利子は、消費税では非課税とされています(No.6221)。

給与課税・役員給与・源泉徴収の関係

役員に対する経済的利益が給与と扱われる場合でも、継続的に供与される経済的利益で毎月おおむね一定のものは定期同額給与に該当し、損金算入が認められる余地があります(法人税法第34条第1項・第4項、法人税基本通達9-2-11、No.5202)。他方、臨時・多額のものは損金不算入となり得るほか、給与としての源泉徴収の問題も生じ得ます。もっとも、「役員貸付金が長期間残っているだけで、元本全額が自動的に賞与(いわゆる認定賞与)になる」というものではありません。「認定賞与」は法令上の用語ではなく、原則として問題になるのは利息相当額です。元本部分が給与・貸倒れ等として扱われるかは、返済の予定や実態、回収可能性など個別事情により異なります。

実質が貸付けか、賞与・債務免除・私的流用かという問題

形式的に貸付金として処理されていても、返済の予定も実体もない資金移動であれば、給与(賞与)や私的流用と評価される余地があります。会社が役員貸付金を放棄・免除すると、貸倒れに該当する場合を除き、その金額は役員への経済的利益(給与)とされ(法人税基本通達9-2-9(4))、損金不算入や源泉徴収の問題が生じ得ます。また、回収不能として貸倒損失に計上するには、法律上の貸倒れ(書面による債務免除は、債務超過の状態が相当期間継続し弁済を受けることができないと認められる場合。同9-6-1)又は全額が回収できないことが明らかな場合(同9-6-2)といった要件を満たす必要があります。取引停止後1年以上経過した場合等の形式基準(同9-6-3)は売掛債権が対象で、貸付金その他これに準ずる債権は含まれないと明記されています(No.5320)。帳簿上で消すだけでは損金にはならない点に注意が必要です。役員による私的流用・使途不明金が疑われる場合の会社側の対応は、役員の使途不明金・私的流用への対応を解説した記事で扱っています。

会社資金の流出・回収可能性・株主や役員の責任

回収可能性を検討せずに会社資金を役員へ流出させた場合、任務懈怠として会社に対する損害賠償責任(会社法第423条)や株主代表訴訟(会社法第847条)が問題になり得ます。また、会社の資金繰りが悪化した局面で、代表者への返済・相殺・担保設定・債権放棄を先行させると、詐害行為取消し(民法第424条)や倒産手続における否認の対象となり得るほか、他の債権者との公平の観点から問題とされる場合があります。融資審査・M&A・事業承継の場面では、多額の役員貸付金について発生原因と回収方針の説明を求められることがあり、残高の整理を先送りしないことが望まれます。

役員借入金は無利息でよいか|近時の裁決から見る注意点

ここでは向きを「役員 → 会社(役員借入金)」に固定します。会社から役員への貸付け(前章)とは、根拠となる税務の枠組みが異なります。

私法上の無利息と、税務上の否認は別問題

役員が会社へ無利息で貸し付けること自体は、私法上は可能です(民法第589条は特約がなければ利息を請求できないとしています)。無利息であれば、役員個人に受け取るべき利息はなく、原則として所得も生じません。また、無利息で借りた会社の側で直ちに課税上の問題が生じることは多くありません。もっとも、税務上は、同族会社の行為又は計算の否認(所得税法第157条第1項)により、貸し手である役員個人に利息相当額の所得(雑所得)が認定される場合があります。「役員借入金は無利息で問題ない」「自己資金だから利息を取らなくてよい」と一律に言い切ることはできません。会社から役員への認定利息(前章のNo.2606の枠組み)とは、適用条文の系統が異なる点に注意してください。

なお、利息を実際に支払う場合、個人に支払う貸付金の利息は預貯金の利子(利子所得)と異なり、支払時の源泉徴収は原則として不要と解されますが(所得税法第181条・第23条参照)、受け取った役員側では雑所得等としての申告の要否を確認する必要があります。

リーディングケース|平和事件(最高裁平成16年7月20日判決)

個人から同族会社への無利息貸付けに所得税法157条(当時)の適用があるかが争われた事案として、最高裁平成16年7月20日判決(いわゆる平和事件)があります。同判決は、株主等から同族会社に対する金銭の無利息貸付けに同条の適用があるかどうかは、「当該貸付けの目的、金額、期間等の融資条件、無利息としたことの理由等を踏まえた個別、具体的な事案に即した検討を要する」と判示しました。事案は、3,455億円を超える多額の金員を、返済期限・利息を定めず、担保も取らないまま貸し付けたというもので、否認が認められています。あわせて、過少申告加算税についても「正当な理由」を認めず、賦課を維持する判断がされています。重要なのは、無利息貸付けが一律に否認されるとしたのではなく、個別事情に即した検討が必要とされた点です。

近時の裁決|国税不服審判所令和7年3月7日裁決

近時の公表裁決として、国税不服審判所令和7年3月7日裁決があります。株式等の保有を目的とするいわゆる資産管理会社である同族会社に対し、その取締役が、金融機関からの借入金の弁済に充てる資金として約23億円を無利息・無担保・返済期限の定めなく貸し付けた事案で、所得税法第157条第1項の適用の可否と、利息相当額の計算に用いる利率が争われました。

審判所は、無利息貸付けが経済的合理性を欠くかどうかは、貸付けの目的、金額、期間等の融資条件、無利息としたことの理由等の諸事情を総合的に考慮して判断すべきであるという枠組み(前記最高裁判決と同様の考え方)を前提に、①多額の金銭を無利息・無期限・無担保で貸し付ける条件は、独立かつ対等で相互に特殊の関係のない当事者間で通常行われる取引とは大いに異なること、②会社は貸付け当時は債務超過であったものの、保有株式から相応の配当収入が見込まれ、実際に貸付け直後の事業年度から資産超過に転じていることなどから、無利息としなければ会社に倒産の危険があったとはいえず、無利息とする合理的な理由は見出せないとして、同項の適用を認めました。「役員の同族会社に対する貸付けは無利息で行われるのが一般的である」「自己資金による貸付けである」という納税者の主張は、判断を左右しないとして採用されていません。利息相当額の計算についても、会社が実際に金融機関から借り入れた際の、条件の類似する融資契約の利率を基礎とすることには合理性があるとされました。

なお、この裁決では原処分の一部が取り消されていますが、それは先物取引に係る損失の繰越しという別の争点によるものであり、無利息貸付けに関する行為計算否認の争点については課税庁の処分が維持されています。過少申告加算税も維持されました。裁決は裁判所の判決と異なり一般的拘束力を持たず、当該事案限りの判断です。資産管理型の同族会社への多額・無利息・無担保・無期限の貸付けという個別事情の集積が前提であり、この裁決をもって「すべての役員借入金が否認される」と一般化することはできません。その後の取消訴訟の有無は、公表情報からは確認できていません。

役員から会社への無利息・低利貸付けの点検表

目的(何のための貸付けか)、金額の規模、期間、担保の有無、返済期限の定め、会社の財務状況と返済可能性、無利息とした理由、独立した第三者との取引条件との比較、利率を付ける場合のその根拠(会社が金融機関から借りる場合の利率との比較)。これらを説明できる形で整理しておくことが、後日の検討に役立ちます。「無利息なら常に安全」「無利息なら常に課税」という二者択一ではなく、個別事情により結論が変わります。

役員貸付金の解消方法

役員貸付金(会社 → 役員)の主な解消方法を比較します。いずれも名称だけで安全策として選べるものではなく、会社法上の手続、法人・個人双方の税務、資金繰り、相続への影響を個別に確認する必要があります。「仕訳を振り替えるだけ」で解消できるものではありません。

役員貸付金(会社→役員)の解消方法の比較
方法 仕組み・現金負担 主な会社法・手続 税務上の主な確認点(法人/個人) 適する場面と主なリスク
実際の返済(返済計画) 役員が会社へ現金で返済する。役員個人に資金負担 返済自体に特別の決議は原則不要(当初の貸付けは利益相反として承認を要し得る) 返済により残高が減少。滞留期間中の利息相当額の問題は別途残り得る 送金の証跡と役員個人の支払能力が必要。最も基本的で説明しやすい
役員報酬・賞与等との相殺 適法に決定された報酬等の支払債務と相殺する 報酬の決議、相殺の要件(民法第505条) 相殺に充てる報酬・賞与も給与として源泉徴収・損金算入判定(法人税法第34条)の対象。社会保険の取扱いも確認 実在する反対債権と弁済期の到来が必要。実体のない相殺は不可
役員退職金との整理 退職に伴う退職金の支払債務と相殺・充当する 退職の実態、株主総会等の決議、相当額の算定 退職所得課税・源泉。不相当に高額な部分は損金不算入。分掌変更の場合は退職の実態を個別判断 退職の実態と金額の相当性が前提。承継・引退の局面に限られる
個人資産の売却・代物弁済 役員の不動産等を適正な時価で会社へ譲渡し、代金債権と相殺又は代物弁済する 利益相反取引としての承認、登記 役員側に譲渡所得。時価との差額は給与・寄附金等の問題。登録免許税・不動産取得税、消費税の課否も確認 適正な時価の立証が必須。高額・低額の売買は否認リスク
金融機関等からの借換え 役員が個人で借り入れて会社へ返済する 個別の金銭消費貸借契約 個人側の利息負担。会社側は残高消滅 役員個人の返済可能性・担保保証の検討が必要。金融機関の審査が前提
債権放棄・貸倒処理 会社が役員貸付金を放棄する。現金負担なし 承認機関の決議。会社の状況によっては他の債権者への配慮 貸倒れに該当しない限り役員給与(損金不算入となり得る)・源泉徴収。貸倒れは法人税基本通達9-6-1・9-6-2の厳格な要件(形式基準は貸付金に適用なし) 「帳簿から消すだけ」では損金にならない。給与課税・源泉の負担に注意

役員借入金の解消方法

役員借入金(役員 → 会社)の主な解消方法を比較します。こちらも、債権放棄・DESを「税負担なく残高を消せる方法」として選ぶことはできません。会社側の債務免除益、既存株主への価値移転(みなし贈与)、議決権の変動などを個別に確認する必要があります。

役員借入金(役員→会社)の解消方法の比較
方法 仕組み・現金負担 主な会社法・手続 税務上の主な確認点(法人/個人・相続) 適する場面と主なリスク
計画返済 会社が資金繰りに応じて役員へ分割返済する。会社に資金負担 特別の決議は原則不要。金融機関との融資契約上の制限に注意 元本の返済自体は役員の所得ではない。利息を付す場合は前章の検討が必要 会社の資金繰りと両立するかが前提。相続財産の圧縮にもつながる
反対債権との相殺 会社が役員に対して有する債権(役員貸付金等)と相殺する 相殺の要件(民法第505条)。双方の債権の実在確認 相殺の対象となる債権債務の性質に応じた課税関係の確認 実在する反対債権と弁済期の到来が必要。帳簿上の付け替えだけの「相殺」は不可
債権放棄(債務免除) 役員が会社への貸付金債権を放棄する。現金負担なし 役員から会社への意思表示。書面化と機関の関与を整理 会社に債務免除益(法人税。繰越欠損金との関係を確認)。株価が上昇する場合、他の同族株主への贈与とみなされる可能性(相続税法第9条・相続税法基本通達9-2(3)) 「税負担なく消える」わけではない。株主構成・欠損金の状況により結論が変わる
DES(債務の資本化) 役員の貸付金債権を現物出資し、株式に振り替える。現金負担なし 募集株式の発行手続(会社法第199条〜第207条)、検査役調査の要否(弁済期到来済み債権の券面額以下の例外=第207条第9項第5号)、増資登記 適格現物出資に該当しない限り債権は時価評価され、券面額と時価の差額について会社に債務消滅益が生じ得る(国税庁文書回答事例参照)。株式評価・議決権比率の変動、他の株主へのみなし贈与の検討も必要 手続・課税・評価が複雑で個別検討が必須。債務超過会社では特に時価評価が問題になりやすい
贈与・相続対策との連動 貸付金債権の生前贈与、生命保険による納税資金準備等と併せて整理する 贈与契約、遺言・遺産分割の設計 債権の贈与には贈与税。遺留分・特別受益、相続税評価(額面ベース)への影響を確認 相続・事業承継全体の設計が前提。単独では判断しない

役員報酬・配当・退職金の決議と損金算入、適正時価、譲渡所得、消費税、登録免許税、債務免除益、寄附金、株式価値、既存株主の希薄化、金融機関との契約、債権者保護など、確認すべき事項は方法ごとに異なります。なお、会社が資力を喪失している場合の私財提供や債務免除については、債務超過額に相当する部分につき贈与として取り扱わないとされる例外がありますが、一時的な債務超過はこれに該当しないとされています(相続税法基本通達9-3)。会社の株式集約や経営者保証を含む事業承継の観点は、同族会社の株式集約と経営者保証の整理を解説した記事もあわせてご確認ください。

解消方法を決める7つの手順

解消方法は、名称ではなく、次の順序で会社の実情に当てはめて選ぶことが現実的です。

  1. 残高の実在と発生原因を、総勘定元帳・通帳・契約書で取引単位に確認する。
  2. 契約条件(利息・返済期限)、社内承認(利益相反取引の議事録)、消滅時効の状況を確認する。
  3. 役員個人の返済可能性と、会社の資金繰りを確認する。
  4. 会社側・役員側の法務・税務・会計への影響を、方法ごとに比較する。
  5. 株主、金融機関、他の債権者、相続への影響を確認する。
  6. 必要な決議・契約・合意を行い、実際に資金移動・相殺・譲渡などを実行する(帳簿処理だけで済ませない)。
  7. 帳簿、申告、源泉、残高確認に反映し、再発防止のルールを整える。

再発防止としては、月次・四半期ごとの残高照合、貸付金・借入金の年齢表の作成、会社と役員双方での残高確認書の取り交わし、利息計算と返済予定・実績の管理、取締役会・株主総会議事録の整備、関連当事者取引の台帳管理、法人カードと個人カードの区分などが考えられます。

実行前の確認が重要です。返済、相殺、債権放棄、資産売買、退職金、DESは、いずれも実行してしまうと後戻りが難しく、法人税・所得税・相続税・源泉・登記など複数の影響が同時に生じます。実行前に、選択肢と必要な手続を整理することをおすすめします。税額の確定・申告・税務代理は、税理士等による個別の確認が必要です。

返済・相殺・債権放棄・退職金・DESなどを実行する前に、会社法・税務・資金繰り・相続への影響を並べて比較することで、副作用の少ない順序を検討できます。決算書・総勘定元帳・契約書・議事録を整理したうえで、方針の選択肢を確認しておくことをおすすめします。

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相続発生時に起こりやすいトラブル

代表者や役員が亡くなると、役員貸付金・役員借入金は相続の問題に転化します。向きによって、相続財産になるのか相続債務になるのかが正反対になります。

死亡した代表者が会社に貸していた場合(役員借入金)

会社側は負債、代表者側は会社に対する貸付金債権です。この貸付金債権は相続財産となり、相続税の課税対象にもなります(民法第896条、国税庁タックスアンサーNo.4105)。相続人が複数のときは遺産共有となり(民法第898条)、法定相続分を超える権利の承継は、対抗要件を備えなければ第三者に対抗できません(民法第899条の2)。会社(債務者)の側では、誰にいくら支払うべきかを、遺言の有無、相続人の範囲、遺産分割の状況を確認したうえで判断しないと、二重払いの危険があります。相続人間に争いがあり弁済の相手方を確知できないなどの場合には、供託(民法第494条)の利用を検討することもあります。

死亡した代表者が会社から借りていた場合(役員貸付金)

会社側は債権、代表者個人は債務です。相続人はこの債務を承継し得るため、相続放棄・限定承認(熟慮期間は自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月。民法第915条第1項)との関係が問題になります。相続放棄をすると、その相続に関して初めから相続人でなかったものとみなされます(民法第939条)。他方、相続放棄を検討している間に相続財産を処分すると、単純承認をしたものとみなされるおそれがあります(民法第921条)。会社の側では、相続人の調査、請求・催告、時効の管理といった債権管理が必要になります。

返済余力が乏しい会社への貸付金と相続税評価

会社への貸付金債権は、原則として元本(返済されるべき金額)と課税時期現在の既経過利息との合計額により評価されます(財産評価基本通達204)。例外として、会社について手形交換所の取引停止処分、会社更生・民事再生・特別清算・破産の手続開始、業況不振による事業廃止・6か月以上の休業といった事実が生じている場合や、その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときは、その部分を元本に算入しないとされています(同205)。もっとも、会社が債務超過又は業績不振であるというだけで、貸付金債権の相続税評価が当然にゼロになるわけではありません。この例外の適用は厳格に判断される傾向があり、公表裁決でも争いが続いている論点です。評価の時点は相続開始時であり(相続税法第22条)、相続開始後の解散・清算・債権放棄によって、相続開始時の評価が当然に遡って下がるものでもありません。回収可能性・担保・会社の資産や事業継続の状況など、個別の事情により評価は変わります。

なお、相続税の申告・納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法第27条第1項、No.4205)。遺産分割がまとまらない場合でも、法定相続分等で計算した申告が必要になることがあります(No.4208)。

後継者と非後継者の利害対立

後継者が会社株式を承継し、非後継者が会社への貸付金債権を取得したり、会社に返済を求めたりすると、会社の資金繰りと遺産分割が衝突する場面が生じます。また、同じ相続財産に非上場株式と会社への貸付金債権がある場合、会社の借入金(役員借入金)が株式の純資産価額の計算上負債となることと、貸付金債権を別個に評価することは区別して考える必要があり、「当然に二重課税になる」「当然に相続税が増える」とはいえません。株式・相続・税務を同時に整理する視点は、事業承継で株式・相続・税務を同時に整理する理由を解説した記事で扱っています。

契約書・残高・返済条件が不明な場合と、生前・死亡直後の対応

契約書がない、会社帳簿と被相続人の資料が一致しない、相続開始後に帳簿が変更された、といった証拠上の問題は、遺産分割や相続税申告の場面で紛争の火種になります。死亡前・死亡直後・遺産分割前に、決算書・勘定科目内訳明細書・総勘定元帳・通帳・契約書・議事録などを保全し、会社・相続人・後継者それぞれの初動を整理しておくことが望まれます。

生前の対応としては、計画的な返済による残高圧縮、貸付金債権の後継者への生前贈与、債権放棄、DES、生命保険による納税資金・返済原資の準備などが検討されます。ただし、代表者が生前に会社への債権を放棄して株価が上がると、他の同族株主への贈与とみなされる可能性(相続税法第9条・相続税法基本通達9-2(3))と会社の債務免除益が問題となり、贈与には贈与税・特別受益・遺留分の問題が、資金繰り悪化時の返済には詐害行為・否認の問題があり得ます。いずれも単独では判断できず、相続・事業承継の全体設計の中で確認する必要があります。代表取締役死亡後の後任選任・登記・株式の手続は、代表取締役が死亡した場合の手続を解説した記事で扱っています。

見直し前に集める資料チェックリスト

役員貸付金・役員借入金を見直す前に、少なくとも次の資料を集めておくと、向きと発生原因、条件、残高、影響を整理しやすくなります。

  • 直近数期の決算書、法人税申告書、勘定科目内訳明細書
  • 総勘定元帳、仕訳帳、試算表
  • 会社及び代表者個人の通帳・振込記録
  • 金銭消費貸借契約書、返済予定表、残高確認書、利息計算表
  • 株主総会・取締役会の議事録
  • 役員報酬・配当・退職金の決議・規程・支払資料
  • 資産売買・相殺・債権放棄などに関する契約・評価資料
  • 定款、登記事項証明書、株主名簿
  • 遺言書、相続関係図、財産目録、相続税申告資料(相続が関係する場合)
  • 税理士・金融機関・株主・相続人とのやり取り

機密資料の共有前の注意。これらの資料をいきなり問い合わせフォームへ添付・送信することは避けてください。まず会社名・ご相談者名・相手方名・概要・期限をお伝えいただき、利益相反の確認を経たうえで、安全な方法で共有していただくのが適切です。

弁護士・税務担当者へ相談するタイミング

次のような場面では、実行前に相談することで、判断材料と対応方針を整理しやすくなります。相談により結果が保証されるものではありませんが、資料を確認することで法律関係と見通しを検討しやすくなります。

  • 決算、税務申告、税務調査の前後で、役員貸付金・役員借入金の残高について説明を求められたとき
  • 返済、相殺、債権放棄、役員退職金、DESなどを実行する前
  • 株主や相続人から、使途の説明・返還を求められたとき
  • 代表者の高齢化、事業承継、M&A、廃業を検討するとき
  • 会社の資金繰りが悪化しているとき
  • 契約書と帳簿、又は会社と個人の認識が一致しないとき

役割分担の目安として、会社法上の手続・契約・返還請求・紛争は弁護士、税額計算・申告・税務代理は税理士、登記は司法書士が中心になります。当事務所は、弁護士が公認会計士の資格も有しており、決算書・総勘定元帳などの会計資料の確認と、会社法・相続の法的論点の整理を一体的に行うことができます。税務申告・税務代理は行っておらず、税額の確定・申告は税理士等による個別の確認が必要です。

よくある質問

役員貸付金と役員借入金は何が違いますか。

いずれも会社の帳簿から見た名称で、貸し借りの向きが逆です。役員貸付金は会社が役員へ貸している状態(会社の資産・役員の債務)、役員借入金は役員が会社へ貸している状態(会社の負債・役員の債権)です。向きにより、利息を誰が負担するか、どちらに課税の問題が生じるか、相続で財産になるか債務になるかが正反対になります。

会社が社長にお金を貸す場合、無利息でもよいですか。

無利息・低利で貸すと、法人側で利息相当額の益金算入が、役員個人側で経済的利益(給与)としての課税が問題になり得ます(国税庁タックスアンサーNo.2606・No.5202)。災害等の場合、合理的な利率を定めている場合、差額が年5,000円以下の場合などの例外もあります。貸付年に応じた利率で利息を定めて貸すことが基本で、個別事情により結論は変わります。

社長が同族会社へ貸す場合、無利息でも問題ありませんか。

無利息とすること自体は私法上可能ですが、税務上は、同族会社の行為又は計算の否認(所得税法第157条第1項)により、社長個人に利息相当額の雑所得が認定される場合があります。令和7年3月7日裁決でも、資産管理会社への多額・無利息・無担保・無期限の貸付けについて否認が維持されました。貸付けの目的・金額・期間・担保・会社の財務状況などの個別事情により結論が変わり、「無利息なら常に安全」とも「常に課税」とも言い切れません。

役員貸付金を長期間返済しないと、元本全額が認定賞与になりますか。

長期滞留というだけで元本全額が自動的に賞与になるわけではありません。原則として問題になるのは利息相当額です。元本部分が給与や貸倒れとして扱われるかは、返済の予定・実態や回収可能性など個別事情によります。資料を確認したうえで判断する必要があります。

契約書がなくても貸付金・借入金として認められますか。

契約書がないことが直ちに債権債務の不存在を意味するわけではありませんが、貸付けの実在・金額・条件を後から説明することが難しくなります。総勘定元帳・通帳・振込記録・返済の経緯などから実態を確認することになります。逆に、決算書に計上されているというだけで、金額や条件、返済の合意が当然に確定するわけでもありません。

債権放棄やDESをすれば、税負担なく残高を消せますか。

いいえ。役員貸付金を会社が放棄すれば役員給与としての課税・源泉徴収の問題が、役員借入金を役員が放棄すれば会社の債務免除益や他の株主へのみなし贈与(相続税法第9条・相続税法基本通達9-2)の問題が生じ得ます。DESでも、債権の時価と券面額の差額により会社に債務消滅益が生じ得ます。いずれも実行前の確認が必要です。

役員借入金を残したまま代表者が死亡した場合、会社は誰に返済しますか。

代表者の会社に対する貸付金債権は相続財産となり、相続人へ承継されます(民法第896条ほか)。遺言の有無、相続人の範囲、遺産分割の状況、対抗要件(民法第899条の2)を確認せずに支払うと、二重払いの危険があります。相続人間に争いがある場合には供託の検討を含め、事案に応じた対応が必要です。

役員貸付金・役員借入金に消滅時効はありますか。

あります。債権の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年が原則です(民法第166条第1項)。ただし、権利の承認があれば時効は更新され(民法第152条)、貸付けの時期により適用される規定が異なる場合もあります。決算書への継続計上や一部弁済が承認に当たるかは事案により議論があり、「一律に5年で消える」と単純化することはできません。

まとめ

  • 役員貸付金(会社→役員)と役員借入金(役員→会社)は向きが逆で、税務・法務・相続の扱いも正反対です。まず「誰が貸主か」を決算書で確認します。
  • 会社から役員への貸付けは、無利息・低利による利息相当額・経済的利益・給与課税・源泉の問題が中心です。長期滞留イコール全額認定賞与ではありません。
  • 役員から会社への貸付けは、所得税法第157条第1項による否認の可能性が論点で、平和事件最高裁判決も令和7年3月7日裁決も、個別事情に即した判断を前提としています。
  • 解消方法(返済・相殺・退職金・資産売却・借換え・債権放棄・DES)は、会社法・税務・資金繰り・相続への影響を比較し、実行前に確認します。「仕訳の振替だけ」「税負担なしで消す」ことはできません。
  • 代表者死亡時は、貸付金債権が相続財産、会社からの借入が相続債務となり、評価(財産評価基本通達204・205)・遺産分割・相続放棄・後継者と非後継者の利害が交錯します。まず資料を保全し、次の行動を整理してください。

役員貸付金・役員借入金は、決算書・総勘定元帳・通帳・契約書・議事録・相続資料を確認し、向きと発生原因を切り分けることで、税務・会社法・相続のどの問題が関係するかを整理できます。返済・相殺・債権放棄・退職金・DES・相続手続の前に、一度、資料を整理して方針を検討することをおすすめします。当事務所は、弁護士・公認会計士として法律と会計の双方の視点からご相談に対応しています(税務申告・税務代理は行いません)。初回のご相談は無料です。

会社の案件では、利益相反の確認前に決算書・申告書・通帳・契約書などの機密資料を送信せず、まず会社名・ご相談者名・相手方名・概要・期限をお知らせください。

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監修者・執筆者

藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士・公認会計士/兵庫県弁護士会所属/日本公認会計士協会兵庫会所属
弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所 代表弁護士

同族会社の企業法務と、相続・事業承継に関わるご相談を、法律と会計の双方の視点から取り扱っています。役員貸付金・役員借入金の発生原因の確認、会社法上の手続、返還・時効、相続・株式評価との交錯について、資料の確認を踏まえた対応方針の検討をお手伝いします。税務申告・税務代理は行っておらず、税額の確定・申告は税理士等による個別の確認が必要です。

所在地:兵庫県神戸市須磨区中落合2丁目2-5 名谷センタービル7階
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本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言・税務助言を行うものではありません。役員貸付金・役員借入金の取扱い、会社法上の手続、税務上の取扱い、相続・評価は、契約書・帳簿・通帳・返済経緯などの資料の内容と個別の事情により結論が異なります。実際のご対応にあたっては、最新の法令・公式情報をご確認のうえ、弁護士・税理士等にご相談ください。記載の内容は作成時点(令和8年7月)の情報に基づくものであり、その後の法令改正・通達改正・裁判例等により変更される場合があります。

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