自営業・会社役員の交通事故|休業損害と逸失利益の収入の立証 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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自営業・会社役員の交通事故|休業損害と逸失利益の収入の立証

交通事故でけがをして仕事を休んだとき、会社員であれば給与明細や勤務先が作成する休業損害証明書で減収を説明できます。これに対して、自営業者・個人事業主・フリーランスの方や、会社役員・オーナー経営者の方は、「そもそも休業損害を請求できるのか」「確定申告の所得だけで金額が決まってしまうのか」「役員報酬は全額が対象になるのか」といった収入の立証で行き詰まりやすい立場にあります。保険会社から確定申告書や決算書の提出を求められ、提示された金額の根拠がよく分からないまま示談を迫られている、という段階でご相談に来られる方も少なくありません。

この記事では、交通事故に遭った自営業者・会社役員の方に向けて、治療期間中の休業損害と、症状固定後に問題となる後遺障害逸失利益を中心に、基礎収入の考え方、休業や労働能力への影響、事故との因果関係、そして「どの会計資料の、どこを見て、何を立証するのか」を、弁護士・公認会計士の視点から整理します。あわせて、請求の期間制限と、受け取った賠償金の税務上の取扱いにも触れます。読み進めると、ご自身が自営業者ルートと会社役員ルートのどちらで検討すべきか、誰の・どの期間の・どの損害を請求するのか、資料提出や示談の前に何を確認すべきかが分かるように構成しています。

結論の方向性を先にお伝えすると、自営業者と会社役員では、基礎収入の出発点も、請求する主体も異なります。自営業者は本人の事業所得を出発点に本人の減収を検討し、会社役員は役員報酬のうち労務提供の対価と評価される部分を検討します。いずれも、確定申告書や決算書だけで結論が決まるわけではなく、事故がなければ得られたはずの収入と、事故後の実績と、事故以外の要因を、資料で切り分けて説明できるかどうかが分かれ目になります。個別の事情により結論は変わりますので、資料を確認したうえで判断する必要があります。

確定申告書・決算書・役員報酬に関する資料は、示談や資料提出の前に一度整理しておくことで、休業損害や逸失利益の見通しを検討しやすくなります。

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自営業者・会社役員の休業損害と逸失利益の結論

自営業者は確定申告書上の事業所得を、会社役員は役員報酬のうち労務提供の対価と評価される部分を、それぞれ基礎収入の出発点として検討するのが基本です。もっとも、いずれの立場でも、その出発点の数字がそのまま損害額になるわけではなく、本人の労務による寄与、事故による現実の影響、事故以外の変動要因を資料で説明できるかどうかで結論が変わります。

まず、「誰が・どの損害を・どの期間について・何を出発点に請求し、どこが争われ、どの資料で説明し、何と重ねてはいけないのか」を一覧にします。ご自身がどの行に当てはまるかを確認するところから始めてください。

請求主体・損害項目・立証資料の対応
立場・請求主体 損害項目 対象期間 基礎となる金額の出発点 中心になりやすい争点 主な立証資料 二重計上の注意
自営業者・個人事業主・フリーランス(本人) 休業損害 事故日から症状固定まで 確定申告書上の事業所得などの申告所得 申告所得と実際の稼働の関係、本人の労務による寄与、休業日数・部分休業の程度 確定申告書、青色申告決算書・収支内訳書、総勘定元帳、売上台帳、通帳、請求書、契約書 利益の減少額と、外注費・代替人員費を重ねて請求しない。売上減少に伴って支出を免れた変動費は差し引く
自営業者・個人事業主・フリーランス(本人) 後遺障害逸失利益 症状固定後の将来 本人の労務による事業所得 労働能力喪失率・喪失期間、事業継続の蓋然性、後遺障害による具体的な業務への支障 複数年の申告書・決算書、職務内容資料、後遺障害診断書、稼働記録 症状固定前の休業損害と期間が重ならないようにする
会社役員・オーナー経営者(役員個人) 休業損害 事故日から症状固定まで 役員報酬のうち労務提供の対価と評価される部分 労務対価部分と利益配当的部分の切り分け、事故後の報酬の推移、現実の収入減の有無 法人税申告書・決算書、勘定科目内訳明細書、役員報酬台帳、源泉徴収票、株主総会・取締役会議事録、稼働資料 会社が負担した代替人件費・外注費を、役員個人の休業損害へ読み替えない
会社役員・オーナー経営者(役員個人) 後遺障害逸失利益 症状固定後の将来 役員報酬の労務対価部分 労務対価性、報酬が将来も継続する蓋然性、業務執行への具体的な支障 複数年の決算書・報酬資料、職務内容資料、後遺障害診断書 会社側の企業損害と重ねない。症状固定前の休業損害と期間が重ならないようにする
法人(会社そのもの) 売上・利益の減少、追加で発生した費用 事故後、影響が続いた期間 会社の売上・利益の減少額、実際に負担した代替費用 役員個人の損害との区別、会社の直接損害か代表者の負傷に伴う間接損害か 法人税申告書・決算書、月次試算表、代替人件費・外注費の支払資料 利益の減少と代替費用は、同じ不利益について重ねて計上しない

この表で最も重要なのは、役員個人の損害と、法人(会社そのもの)の損害は、別の権利主体の損害として分けて考えるという点です。同じ一つの経済的な不利益を、役員報酬の減少としても、会社の利益減少としても、代替費用としても重ねて計上することはできません。この振り分けは記事の後半で改めて整理します。

休業損害・後遺障害逸失利益・慰謝料・会社の損害はどう違うか

収入に関わる賠償は、症状固定の前か後か、そして請求する主体が本人か法人かによって、損害項目の名前も計算方法も変わります。項目を取り違えると、二重計上や請求漏れの原因になりますので、最初に区別を確認しておきます。

損害項目ごとの内容と混同されやすい点
損害項目 何に対する賠償か 主な対象時期 混同されやすい点
傷害慰謝料 入通院を要したことによる精神的な苦痛 事故から症状固定まで 収入の減少とは別の項目であり、休業損害と重ねて評価するものではない
休業損害 働けなかったことによる現実の収入減、または事故により追加で生じた相当な費用 事故から症状固定まで 症状固定後の期間は対象外となり、逸失利益として検討する
後遺障害慰謝料 後遺障害が残ったことによる精神的な苦痛 症状固定後 逸失利益とは別の項目であり、減収の有無とは区別して評価される
後遺障害逸失利益 後遺障害による労働能力の低下に対応する将来の減収 症状固定後の将来 等級が認定されれば当然に一定額が認められる、という性質のものではない
死亡逸失利益 死亡により失われた将来の収入 死亡後の将来 生活費控除や相続人による請求など、別の論点を伴う
会社の営業損害・追加費用 会社自身の売上・利益の減少、会社が負担した代替人件費・外注費 事故後、影響が続いた期間 役員個人の休業損害と混同されやすく、請求主体を分けて検討する必要がある

この記事は、傷害の休業損害と、症状固定後の後遺障害逸失利益を中心に扱います。慰謝料の考え方については、交通事故の傷害慰謝料の考え方を確認するとあわせてご覧ください。死亡逸失利益は、生活費控除、就労可能期間、相続人による請求、死亡退職金、生命保険、自社株の相続など、別の論点を伴いますので、ここでは定義上の区別を示すにとどめます。会社そのものの営業損害は、役員個人の損害とは分けて検討する必要があり、後半で入口を説明します。

休業損害を検討する共通の手順

自営業者でも会社役員でも、休業損害を検討する手順の骨格は共通しています。次の九つの要素を順に確認していくと、自分の事案で何が争点になっているのか、どの資料が足りないのかが具体的に見えてきます。

  1. 事故と受傷・休業との因果関係。事故によるけがのために働けなかった、または業務が制限されたという関係を説明できるか。
  2. 休業や業務制限の必要性。けがの内容や治療の状況から、その休み方が必要だったと説明できるか。
  3. 事故前の基礎収入。事故がなければ得られていたはずの収入の水準を、資料でどう示すか。
  4. 現実の収入減、または追加で生じた相当な費用。売上・利益の減少額や、代替人員費など事故により増えた費用。
  5. 休業日数または部分休業の程度。終日休業か、時短・現場業務のみ停止・通院中抜けなど一部制限か。
  6. 本人の具体的な職務と、けがによる支障。どの業務を担っていて、どこに支障が出たか。
  7. 代替可能性と損害の拡大防止。他の人や外注で補えたか、損害を抑える措置をとったか。
  8. 事故以外の売上・利益の変動要因。季節性・景気・取引先の変動などを切り分けられるか。
  9. 過失割合・既払金・他の損害項目との関係。賠償全体の中での位置づけ。

通院日数と休業日数は必ずしも一致しません。終日休業だけでなく、時短、通院のための中抜け、現場業務だけの停止、管理業務は継続といった部分休業も、実態に応じて説明の対象になります。医師による就労制限や安静の指示は重要な資料になり得ますが、それだけで全てが決まるわけではありません。逆に、実際にはなかった就労制限を後から書き加えてもらう、記録を作り替えるといった対応は、けっして行うべきではありません。

自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準(弁護士基準)の違い

休業損害の金額は、どの基準で考えるかによって水準が変わります。保険会社から提示を受けたときは、その金額がどの基準によるものか、そして基礎収入と日数をどう置いているかを確認することが、見直しの余地があるかを検討する出発点になります。

休業損害に関わる三つの基準の位置づけ
基準 位置づけ 休業損害の考え方の目安 提示を受けたときの確認点
自賠責基準 被害者への最低限の補償を定める基準 休業損害は原則として1日6,100円。これ以上の収入減の立証があれば1日19,000円を限度に実額。傷害による損害は被害者1名につき120万円が限度。 実額の立証を試みたか、限度額の枠内で頭打ちになっていないか
任意保険会社基準 各保険会社が内部的に用いる基準 会社ごとに考え方が異なり、計算の根拠を確認する必要がある。 基礎収入をどの資料・どの期間で算出したか、日数をどう数えたか
裁判基準(弁護士基準) 裁判実務上参照される水準 実際の基礎収入や休業の実態に即して個別に検討される。実務資料(いわゆる赤い本・青本など)が参照される。 本人の労務による寄与や部分休業が反映されているか

自賠責基準の傷害による損害の限度額120万円は、あくまで自賠責保険の傷害部分の枠であって、民事上の損害賠償全体の上限ではありません。治療費・休業損害・慰謝料などの合計がこの枠を超える場合は、加害者側の任意保険や加害者本人に対して超過分を請求することを検討します。なお、自賠責の日額や限度額は、事故発生日により適用される内容が異なることがあるため、実際の事案では事故日を基準に確認する必要があります。

自営業者・個人事業主・フリーランスの休業損害

自営業者の休業損害は、確定申告書上の事業所得などを重要な出発点としつつ、本人の労務によってどれだけの収益が生まれていたか、事故でそれがどれだけ失われたかを、資料で説明できるかどうかで決まってきます。申告所得が低い、赤字である、開業直後で前年の申告書がないといった場合でも、直ちに請求できないわけではありませんが、その分だけ客観的な資料による説明が求められます。以下、つまずきやすい論点を順に整理します。

確定申告書と実際の事業収入

確定申告書(控え)、青色申告決算書、収支内訳書は、事故前の収入水準を示す重要な出発点です。もっとも、確定申告は税務上の所得を計算するための書類であり、損害賠償上の基礎収入の評価とは目的が異なります。申告所得だけでは、本人がどの程度稼働していたか、事故でどれだけ影響が出たかを十分に説明できない場合があります。そのため、総勘定元帳・仕訳帳・売上台帳・請求書・領収書・通帳・契約書などを併せて確認し、申告書の数字が実際の事業の動きとどうつながるかを示していくことになります。

売上ではなく所得・利益を見る理由

休業損害で問題になるのは、原則として売上そのものではなく、そこから必要経費を差し引いた後の利益・所得の減少です。売上高・粗利益・営業利益・事業所得・キャッシュフローは、それぞれ意味が異なります。売上が同じでも、経費構造によって手元に残る利益は変わりますし、入出金の時期(キャッシュフロー)は損害額そのものとは一致しません。キャッシュフローは資金繰りの説明や帳簿との照合には役立つ補助資料ですが、それ自体を休業損害額とすることはできません。

本人の労務による寄与と、資本・家族・従業員の寄与

事業の収益は、本人の労務だけでなく、設備・資本・家族・従業員・外注先などの寄与によっても生まれています。休業損害や逸失利益で評価されるのは、原則として本人の労務によって生み出されていた部分です。従業員が多く、本人が休んでも事業が回っていた場合と、本人がいなければ事業が止まる場合とでは、評価が変わってきます。誰の・どの寄与による収益なのかを分けて考える必要があります。

固定費・変動費・減価償却費・専従者給与の扱い

費用は、その性質によって扱いが分かれます。ポイントは、損害の過大計上と二重計上をいずれも避けることです。

  • 固定費(家賃・リース料・保険料など)は、休業中も支払わざるを得ず、事業の継続に必要だった費用であれば損害として考慮される場合があります。ただし、自動的に全額を申告所得へ上乗せするのではなく、休業中も本当に不可避だったか、予想利益と実績利益の差にすでに反映されていないかを確認します。
  • 変動費(仕入・材料費など)は、売上の減少に伴って支出を免れた分を、損害から差し引いて考えます。
  • 減価償却費は現金支出を伴わない費用であり、青色申告特別控除や貸倒引当金などの評価性・非現金の項目とともに、損害の評価にあたって性質を確認する必要があります。
  • 専従者給与や家事按分の扱いも、本人の労務対価との関係で整理が必要です。

外注費・代替人員費と二重計上の注意

事故で本人が働けない間、外注や臨時の人員で売上を維持した場合、その外注費・代替人員費は、事故により追加で発生した相当な費用として検討の対象になり得ます。ただし、外注などで売上が維持されたのであれば、その分は利益が減っていないことになりますから、「利益の減少」と「追加費用」を重ねて請求することはできません。どちらの枠で説明するのかを、あらかじめ整理しておくことが重要です。

休業日数と部分休業の記録

何日休んだか、どの程度業務が制限されたかは、後から立証しにくい部分です。終日休業だけでなく、時短営業、受注制限、通院のための中抜け、現場業務だけの停止などを区別し、予約のキャンセル・失注・納期延期・営業時間短縮などの記録を、日付とともに残しておくことが説明の助けになります。

所得が低い・赤字・開業直後・未申告の場合

申告所得が少ない、赤字である、開業直後で前年の申告書がない、といった場合でも、休業損害を請求できる可能性はあります。ただし、「請求できる可能性がある」というだけでは足りず、事業を継続していた実態、受注の状況、開業の準備状況、事故がなければ得られたはずの収益、本人の寄与について、客観的な資料で具体的に説明する必要があります。統計上の賃金(賃金センサス)を基礎収入の参考とすることが許容される場面もありますが、これは通常の代替手段ではなく、使用できる場面や最新の資料を確認したうえで慎重に検討すべきものです。

申告額を上回る所得を主張する場合は、申告内容との不整合により信用性が厳しく問われることがあり、整合的な帳簿・原始資料・入出金・取引先資料などによる立証が必要になり得ます。未申告や過少申告があった場合の税務上の対応(期限後申告・修正申告など)は、損害賠償とは別に検討すべき問題です。いずれの場合も、後付けの帳簿、架空の請求書、売上や取引日付の改変といった資料の作成は、けっして行ってはいけません。信用性を失うだけでなく、別の重大な問題を生じさせます。

業種ごとに残しておきたい資料

稼働を示す資料は業種によって異なります。ご自身の業種に近い行を参考に、事故前後の売上・報酬、休業や業務制限、代替のために増えた費用、事故以外の変動要因を説明できる資料を整理してみてください。

業種別・確認しておきたい主な資料の例
業種の例 売上・報酬を示す資料 休業・業務制限を示す資料 代替費用を示す資料 事故以外の変動要因 主な注意点
飲食店 POSデータ、日次売上、予約記録 休業・時短の記録、シフト表、貼り紙・告知 臨時スタッフの給与台帳、人材派遣の請求書 季節性、曜日変動、近隣の工事・催事、価格改定 仕入(変動費)の減少分を差し引く。代替人件費と利益減少を重ねない
美容・理容・ネイル・エステ等の施術業 予約システムの記録、施術台帳、売上日報 予約キャンセル・受入制限の記録 応援スタッフへの支払、業務委託の請求書 指名客の異動、競合店の出店、季節性 本人施術の割合とスタッフ施術の割合を区別する
建設業・一人親方・職人 請負契約、注文書、出来高調書、入金記録 現場の中断・延期の連絡、稼働日の記録 応援職人・外注先への支払資料 天候、資材価格、元請の受注状況 現場作業と管理業務を区別する。外注で施工を継続した分は利益減少と重ねない
配送・配達・運送 配達アプリの稼働ログ、運行記録、報酬明細 稼働時間・件数の減少記録、休車の記録 代務ドライバーへの支払、傭車費用 単価改定、配送エリアの変更、燃料費 歩合部分と固定部分、車両費・リース料の扱いを分ける
WEB制作・デザイナー・ライター等のフリーランス 業務委託契約、請求書、納品記録 納期延期・失注のやり取り記録 再委託先への支払記録 取引先の予算変更、継続案件の終了 受注の継続性を示す。本人稼働と外注を区別する
士業・コンサルタント・講師 顧問契約、報酬明細、登壇・受任記録 面談・登壇の中止記録、期日の変更記録 他の同業者への依頼費用、代講料 顧問先の解約、報酬改定 継続報酬と単発報酬を分ける。代替の可否を説明する
医療・歯科・整体・鍼灸・接骨・介護 レセプト、施術録、予約記録 休診・受入制限の記録、掲示の記録 代診・応援スタッフへの支払 診療報酬改定、感染症の流行、季節性 本人施術の割合を示す。スタッフによる代替の範囲を区別する
小売・EC POS・受注データ、在庫・出荷記録 受注制限・出荷停止の記録、休業告知 臨時人員・外部倉庫・発送代行の費用 仕入価格、季節要因、販促の有無 仕入(変動費)の増減を反映する。在庫評価との関係を確認する
農業・漁業 出荷伝票、共同出荷の精算書、販売記録 作業・出荷の停止記録、作業日誌 作業委託・臨時雇用への支払 天候、市況、作付・出漁の計画 収穫期・出漁期との時期的な対応を示す
不動産賃貸業 賃貸借契約、賃料入金記録、管理報告書 管理業務・現地対応の停止記録 管理会社への委託費用の増加分 空室率、賃料改定、修繕の時期 資本(賃料)による収益と本人労務による部分を区別する

ご自身の業種で、事故がなければ得られたはずの収入と、事故後の実績と、事故以外の要因を、どの資料でどう説明するか。示談や資料提出の前に整理しておくことをおすすめします。

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会社役員の休業損害はどのように考えるか

会社役員の休業損害は、役員報酬の額をそのまま基礎とするのではなく、報酬のうち労務の対価にあたる部分(労務対価部分)を基礎として検討するのが、裁判実務上参照される一般的な考え方です。労務対価部分の割合について一律の数値基準はなく、実際の職務内容、会社の規模、他の役員・従業員との比較、報酬額が決まった経緯などを資料で説明していくことになります。

役員報酬のうち「労務対価部分」とは何か

取締役の報酬等は、定款に定めがない場合、株主総会の決議によって定めることとされています(会社法第361条第1項)。会社法上は、報酬の全体が「役員としての職務執行の対価」と整理されます。

これに対して、損害賠償の場面では、事故によって働けなくなったことで失われた収入がどれだけあるかを見ます。そのため、支給されている報酬のうち、実際に労務を提供していたことに対応する部分と、出資者・オーナーとしての地位に基づく利益の分配に近い性格をもつ部分とを、評価として区別して検討することになります。前者が労務対価部分、後者が損害算定上の「利益配当的部分」と呼ばれるものです。

用語の整理
損害算定上の「利益配当的部分」は、会社法上の剰余金の配当そのものではなく、税務上の所得区分でもありません。損害額を検討するための評価上の区分です。したがって、「利益配当的部分がある」と評価されたからといって、その部分の支給が会社法上または税務上問題になるという意味ではありません。逆に、税務上すべてが損金算入されている(役員給与として認められている)からといって、損害算定上も全額が労務対価部分になるとは限りません。

労務対価部分と利益配当的部分をどう切り分けるか

切り分けの根拠となるのは、報酬という「結果の数字」ではなく、その報酬が支払われるに至った実態です。具体的には、次のような要素を資料で示していくことになります。どの要素をどこまで重視するかは事案により異なり、あらかじめ何割と決められるものではありません。

  • 職務の内容と関与の度合い――現場作業、営業、仕入・発注、見積・積算、施工管理、資金繰り、採用・労務管理など、具体的に何をどの程度担っていたか
  • 実際の稼働状況――出社日数、稼働時間、出張・現場往訪の頻度、対外的な折衝の頻度
  • 会社の規模と組織――売上高、従業員数、役員の人数、代替できる人材の有無、事業所の数
  • 他の役員・従業員との比較――同種の職務を担う従業員の給与水準、他の役員の報酬水準、役職ごとの報酬の差
  • 報酬額の決定経緯と改定履歴――報酬額がどのような理由で決まり、過去にどのような改定を経てきたか
  • 出資関係と報酬額の関係――持株比率と報酬額が連動していないか、利益の変動に応じて報酬が上下していないか

会社の規模が大きく、職務が明確で、同種の職務を担う従業員の給与水準と比較できる場合ほど、労務対価部分の説明はしやすくなります。反対に、役員が一人しかおらず、報酬額が会社の利益の変動に連動して決められているような場合には、利益配当的部分があると評価されやすくなります。

事故後も役員報酬が減額されていない場合

事故後も従前どおりの役員報酬が支払われている場合、保険会社から「現に収入が減っていないので休業損害はない」という説明を受けることがあります。もっとも、支給が継続している事実だけで結論が決まるわけではなく、支給を継続した理由と、その負担が実質的にどこに生じているかを確認する必要があります。

  • 支給を継続した理由と、社内でどのように決定されたか
  • 支給の継続が一時的な措置か、恒常的な取扱いか
  • その支給によって会社の資金繰りや利益にどのような影響が生じたか
  • 本人の職務を、他の役員・従業員が負担したか、外注に切り替えたか
  • 後日の減額、返還、賞与での調整などが予定されていないか
  • 役員報酬の減額改定を行った場合は、その決議の時期と理由

報酬が支払われ続けている場合であっても、それが本人の労務提供に対応しない支給であると説明できるときは、損害として評価される余地があります。他方で、支給が継続していることを理由に、休業損害が認められない、あるいは減額されると判断される事案もあります。いずれに評価されるかは、支給の理由、会社の実態、資料の内容によって変わりますので、示談前に個別に確認することをおすすめします。

同族会社・一人会社・代表取締役の場合

役員が本人と家族だけ、あるいは本人一人という会社では、報酬額を本人が事実上決められる立場にあります。そのため、報酬額そのものよりも、実際にどのような労務を提供していたかを示す資料が重要になります。

また、こうした会社では、本人が働けなくなることが会社の売上減少に直結しやすく、本人の休業損害と会社の損失とが混ざりやすいという特徴があります。請求できる主体が誰か(本人か、会社か)を最初に整理しておかないと、同じ損失を二重に計上してしまうことになりかねません。この点は次の項目で改めて整理します。

複数の法人から報酬を得ている場合

複数の会社の役員を兼任している場合は、法人ごとに、職務内容、稼働状況、報酬額、事故後の支給状況を分けて整理します。事故によって稼働できなくなった業務がどの法人のものかを説明できないと、報酬の総額だけを基礎に主張しても、労務対価部分の裏付けが弱くなります。

兼任している法人の一部でのみ報酬が減額された場合には、減額された法人での職務内容と、減額の理由を示す資料(議事録、決算への影響、代替した人員の記録など)を併せて確認します。

代替者を置いた場合・外注した場合・一部だけ稼働できた場合

本人が稼働できない間に、代替の人員を採用した、既存の従業員に手当を支給した、外部に業務を委託したという場合、その費用は原則として会社が負担した費用です。本人の休業損害とこれらの費用の双方を、同じ労務の対価として重ねて計上することはできません。どちらの構成で請求するかを整理したうえで、対応する資料を揃えることになります。

また、事故後も一部の業務は継続できていた場合には、全休として主張するのではなく、稼働できた業務と、できなくなった業務とを分けて説明したほうが、実態に沿った検討ができます。

労務の実態を示す資料

役員の休業損害では、報酬額を示す資料(源泉徴収票、給与支払明細、株主総会議事録など)だけでなく、実際に働いていたことを示す資料が重要になります。次のような日常的な記録が、労務対価部分を説明する材料になります。

業務日報や作業記録、スケジュール帳やカレンダーの控え、取引先とのメール・チャット・ファクシミリの送受信記録、現場の写真や施工記録、見積書・発注書・請求書の作成者欄、契約交渉や打合せの議事メモ、稟議書・決裁記録、社用車の運行記録や高速道路・給油の利用履歴、出張旅費の精算書、社内会議の出席記録、資格や許認可に関する本人の関与を示す書面などです。事故前後で、これらの記録がどのように変化したかを対比できる形にしておくと、稼働の実態と休業の程度を説明しやすくなります。

会社法第361条は役員報酬の決定手続を、法人税法第34条は役員給与の損金算入の要件を定めた規定であり、いずれも損害賠償における労務対価部分を直接定めたものではありません。もっとも、報酬額の決定経緯や改定の理由を説明する資料としては、株主総会議事録・取締役会議事録が重要になります。なお、事故後に日付をさかのぼって議事録や帳簿を作成し直すことは、証拠としての信用性を失わせるだけでなく、別の法的問題を生じさせます。事故時点で存在する資料をそのまま整理してください。

会社の売上減少や代替費用は、役員個人の休業損害とは別に考える

代表者や役員が負傷したことによって会社の売上が減少した場合、その減少分は、原則として会社に生じた損失であって、役員個人の休業損害とは請求の主体も損害の性質も異なります。会社自身が加害者に対して賠償を求められる範囲は限定的に考えられており、認められるかどうかは事案により結論が変わります。

整理の順序としては、まず本人(役員個人)の損害として何を請求するかを確定し、そのうえで、本人の損害では回収できない会社の損失について、別途検討するという流れになります。会社の売上減少分と本人の休業損害を単純に合算すると、同じ労務の対価を二重に計上することになりかねません。

会社が支出した代替人件費や外注費についても同様で、その費用を会社の損害として構成するのか、本人の休業損害の裏付け資料として用いるのかを、あらかじめ決めておく必要があります。

会社としての損失をどう扱うかは、事業の内容、会社の規模、本人と会社の関係によって検討の方向が変わります。会社側の損失については、別の記事で整理しています。

交通事故による営業損害の考え方を確認する

後遺障害逸失利益はどのように計算するか

後遺障害逸失利益は、症状固定後に後遺障害が残ったことによって、将来にわたり労働能力が制限され、収入が減少すると見込まれる分の賠償です。実務上は、基礎収入に労働能力喪失率と労働能力喪失期間に対応する係数を乗じ、将来分をまとめて受け取ることに対応する中間利息を控除する方法で計算します。

基礎収入をどう設定するか

自営業者の場合は、原則として事故前年の申告所得を出発点としつつ、青色申告特別控除、専従者給与、減価償却費、固定費の性質などを踏まえて調整を検討します。会社役員の場合は、役員報酬のうち労務対価部分が出発点になります。

事故前年が特殊な事情で低い場合や、事業を始めて間もない場合には、複数年の平均、事故前後の月次の推移、同種同規模の事業者の水準、賃金構造基本統計調査(賃金センサス)の平均賃金などを参照して検討することがあります。どの方法によるかは事案により異なり、資料の裏付けが必要です。

労働能力喪失率をどう考えるか

労働能力喪失率は、後遺障害の等級に対応する目安が実務上参照されますが、等級が認定されれば自動的に決まるものではありません。実際の職務内容との関係で、どの作業がどの程度できなくなったのかを説明できるかどうかが問題になります。

自営業者や役員の場合、身体を使う作業の比重が高い業種では、等級に対応する目安より実際の支障が大きいと主張できる場合があります。反対に、事故後も従前と同様に事業を継続できている場合には、喪失率を低く評価すべきだという反論を受けることがあります。

労働能力喪失期間をどう考えるか

労働能力喪失期間は、症状固定時の年齢を起点に、就労可能とされる年限までの期間を基本とします。ただし、症状の内容によっては、期間を限定して評価される取扱いがあり、特に神経症状にとどまる場合には、期間が短く評価されることがあります。

高齢の自営業者や役員については、実際に就労を継続する見込みがあることを、事業の継続状況、後継者の有無、健康状態、同業者の就労実態などから説明できるかが問題になります。

中間利息の控除と法定利率

将来にわたって生じる減収をまとめて受け取るため、その分の利息相当額を控除します(民法第417条の2)。控除に用いる法定利率は、民法第404条により3年ごとに見直される変動制です。

法定利率は、令和8年4月1日から令和11年3月31日までの期間について年3パーセントとされています(令和7年法務省告示第73号)。適用される利率は、損害賠償請求権が生じた時点(不法行為時)を基準に判断されますので、事故の時期によって適用される利率が異なります。ご自身の事案でどの利率が適用されるかは、事故日を前提に個別に確認してください。

自営業者・会社役員に特有の論点

減収が生じていない場合でも、後遺障害逸失利益が一切認められないとは限りません。事業を維持するために本人が無理をしている、家族や従業員の負担が増えている、受注できる仕事の範囲が狭まった、将来の事業拡大の見込みが失われたといった事情を、資料とともに説明できるかどうかが問題になります。

一方で、事故後に事業を縮小した、あるいは廃業したという場合には、その原因が後遺障害にあるのか、市況や取引先の事情など別の要因によるものかが争われます。事故前からの売上の推移、取引先の変動、業界全体の状況などを併せて整理しておく必要があります。

会計資料のどこを、どのように確認するか

休業損害と逸失利益の検討では、確定申告書や決算書に記載された数字をそのまま用いるのではなく、その数字がどのように作られているかまで踏み込んで確認します。以下では、区分ごとの着眼点、資料ごとの確認事項、想定される反論への向き合い方を整理します。数値の当てはめは事案により異なりますので、実際の検討では資料の原本を確認する必要があります。

区分ごとの確認の着眼点

区分別・会計資料の確認の着眼点
区分 決算書・申告書で最初に確認する箇所 数字の調整を検討することがある項目 裏付けとして併せて確認する資料 会計・経理の面で併せて確認する点 説明を組み立てるときの着眼点 確認しておきたい期間
自営業者・個人事業主 確定申告書第一表の所得金額、青色申告決算書または収支内訳書の売上・経費・所得 青色申告特別控除、専従者給与、減価償却費、固定費と変動費、家事関連費 総勘定元帳、預金通帳、売上台帳、請求書控え、外注先への支払記録 消費税の課税事業者か免税事業者か、家事関連費の按分の状況、事業用と私用の口座の区分 申告書の数字がどの実態に対応しているかを、元帳と入出金で追って説明する 事故前3年分と、事故後の月次推移
会社役員 源泉徴収票・給与支払明細の報酬額、法人の損益計算書の役員報酬 労務対価部分と利益配当的部分の区分、事故後の減額改定の有無 株主総会議事録・取締役会議事録、賃金台帳、業務日報、稼働記録 事故後に報酬を減額する場合の決議の時期と理由、源泉徴収済みの金額との対応 職務内容と稼働の実態を資料で示し、他の役員・従業員の水準と比較する 事故前後の各事業年度と、報酬改定の履歴
法人(会社自身の損失) 損益計算書の売上高・売上総利益、販売費及び一般管理費 代替人件費、外注費、キャンセル・失注の影響、固定費の負担 受注記録、取引先とのやり取り、代替人員の雇用契約・支払記録 代替人件費・外注費をどの科目で処理したか、受け取る賠償金の計上時期 本人の休業損害との重複を排除したうえで、会社固有の支出を切り分ける 事故前後の各事業年度と、月次の売上推移

資料ごとの確認事項

主な会計資料と確認事項
資料名 主に確認する内容 主に用いる立場 確認する期間・項目 その資料だけでは分からないこと 照合する他の資料 提出時の注意
確定申告書(第一表・第二表) 所得金額、所得の種類、控除の内容 自営業者、役員(給与所得の確認) 事故前3年分と事故年分 売上と経費の内訳、月ごとの変動 青色申告決算書、収支内訳書、総勘定元帳 受付印または電子申告の受信通知が確認できる控えを用意する
青色申告決算書・収支内訳書 売上、経費科目の内訳、青色申告特別控除、専従者給与、減価償却費 自営業者 事故前3年分と事故年分、月別売上欄 各科目の中身、固定費と変動費の別 総勘定元帳、固定資産台帳、賃金台帳 月別売上欄が空欄の場合は、元帳や売上台帳で補う
総勘定元帳・仕訳帳 科目ごとの取引内容、計上時期、相手先 自営業者、法人 事故前後の該当科目 取引の実態、業務のどの部分に対応するか 請求書控え、預金通帳、契約書 必要な科目・期間を特定して抜粋する
試算表・月次推移表 月ごとの売上・経費・利益の推移 自営業者、法人 事故前1年以上と事故後 変動の原因が事故によるものか 受注記録、取引先とのやり取り、業界統計 季節変動が大きい業種では、前年同月との対比を添える
売上台帳・請求書控え・領収書控え 個々の受注・請求の内容と時期 自営業者、法人 事故前後の連続した期間 受注できなかった案件の存在 見積書、問合せ記録、取引先との連絡記録 取引先名の取扱いについて、事前に方針を決めておく
預金通帳・入出金明細 入金・支払の実際の時期と金額 自営業者、役員、法人 事故前後の該当期間 入金の原因、売上との対応関係 売上台帳、請求書控え、総勘定元帳 事業と無関係の記載が含まれる場合の取扱いを確認する
法人税確定申告書・決算書 売上高、役員報酬、当期純利益、貸借対照表の内容 役員、法人 事故前後の各事業年度 役員報酬の内訳、労務の実態 勘定科目内訳明細書、議事録、賃金台帳 事業年度と事故の時期の対応関係を明示する
勘定科目内訳明細書 役員報酬、外注費、給料手当などの内訳 役員、法人 事故前後の各事業年度 各支給の理由と決定経緯 議事録、雇用契約書、外注先との契約書 役員ごとの内訳が分かる部分を特定する
株主総会議事録・取締役会議事録 役員報酬の決定・改定の内容と時期、理由 役員、法人 報酬改定の履歴全体 実際の職務内容と稼働状況 業務日報、スケジュール、賃金台帳 事故後にさかのぼって作成しない。原本の保管状況を確認する
給与支払明細・源泉徴収票・賃金台帳 支給額、支給の継続・停止、他の役員・従業員の水準 役員、法人 事故前後の各月 支給を継続した理由 議事録、資金繰り表、決算書 本人分と他の役員・従業員分の対比が分かる形にする
業務日報・スケジュール・受注記録・現場記録 事故前後の稼働内容と稼働量の変化 自営業者、役員 事故前後の連続した期間 収入との金額的な対応関係 売上台帳、診断書、通院記録 事故前から継続して作成していた記録であることが分かる形で示す

想定される説明・反論への向き合い方

保険会社からの説明には、一般論としては筋の通ったものが少なくありません。そのまま受け入れるか、資料を示して再検討を求めるかは、前提となる事実が自分の事案に当てはまるかどうかで決まります。

想定される説明・反論と、確認しておきたい事項
想定される説明・反論 確認すべき前提 確認する資料 再計算・再説明の着眼点 一律に断定できない理由
申告所得が低いので、その金額を基礎とする 申告額が事業の実態に対応しているか、控除や償却の影響がないか 申告書、決算書、元帳、通帳 青色申告特別控除、減価償却費、専従者給与などの性質を個別に確認する 調整が認められる範囲は科目の性質と資料の裏付けによって変わる
赤字なので休業損害は生じない 赤字の原因、固定費の内訳、本人の労務が事業に与えていた寄与 決算書、月次推移表、固定資産台帳 赤字の内訳を分解し、休業により追加的に生じた負担を切り分ける 赤字の内容と事業の継続性により評価が分かれる
売上が減っていないので損害はない 売上維持のために誰が何を負担したか、外注や家族の稼働が増えていないか 売上台帳、外注費の支払記録、賃金台帳、業務日報 売上維持のために生じた追加費用と、本人の負担の増加を確認する 誰の負担で売上が維持されたかにより、請求の構成が変わる
役員報酬は全額が利益配当的部分である 職務内容、稼働実態、会社の規模、他の役員・従業員との比較 議事録、業務日報、賃金台帳、組織図 労務の実態を具体的に示し、同種職務の給与水準と対比する 労務対価部分の割合に一律の基準はなく、実態により異なる
報酬が支払われ続けているので損害はない 支給を継続した理由、会社の負担、後日の調整の有無 議事録、資金繰り表、決算書、給与支払明細 支給の性格(労務の対価か、恩恵的な支給か)を確認する 支給継続の理由と会社の実態により結論が分かれる
固定費は事故がなくても発生するので加算できない 各費用が休業中も現に支出されたか、事業の維持に必要だったか 賃貸借契約、リース契約、保険料の支払記録、元帳 費用の性質を科目ごとに分け、休業期間に対応する部分を特定する 固定費を一律に全額加算することも、一律に否定することもできない
家族専従者がいるので本人の寄与は小さい 専従者の職務内容、稼働時間、支給額、本人との役割分担 賃金台帳、業務日報、専従者給与の届出、決算書 本人と専従者の役割を分けて示し、事故後の負担の変化を確認する 寄与の程度は事業の内容と分担の実態により異なる
開業直後で実績がないので平均賃金は使えない 開業後の売上の推移、受注の見込み、事故前の職歴や資格 開業届、月次売上、契約書、見積書、前職の源泉徴収票 開業後の実績と、将来の見込みを裏付ける資料を組み合わせる 参照する統計や基礎収入の設定は、資料の内容により変わる
減収がないので後遺障害逸失利益は認められない 本人の負担の増加、受注できる範囲の変化、事業の将来の見込み 業務日報、受注記録、診断書、後遺障害診断書 収入以外の面に生じた不利益を、具体的な事実として示す 減収の有無は考慮要素の一つであり、これだけで結論は決まらない

資料と損害額をつなぐ確認項目

資料を集めただけでは金額になりません。次の要素それぞれについて、どの資料でどこまで説明できるかを確認していきます。

損害額の算定に必要な要素と確認資料
確認する要素 内容 主な確認資料 注意点
基礎収入の単価 1日あたり、または1か月あたりの収入をいくらと見るか 申告書、決算書、源泉徴収票、月次推移表 どの期間の実績を用いるかで金額が変わる。根拠を明示する
休業した期間 いつからいつまで、どの程度働けなかったか 診断書、通院記録、業務日報、スケジュール 治療期間と休業期間は必ずしも一致しない
就労制限の程度 全く働けなかったのか、一部は働けたのか 業務日報、受注記録、売上台帳、診断書 部分休業は割合で評価される。記録がないと説明が難しい
事故以外の変動要因 取引先の事情、季節変動、市況、設備投資など 月次推移表、契約書、業界統計、取引先との連絡記録 反論として指摘されやすい。あらかじめ整理しておく
代替費用・外注費 本人の代わりに要した費用の額と、その負担者 雇用契約書、外注先との契約書、支払記録、賃金台帳 本人の休業損害と重ねて計上しない
固定費の取扱い 休業中も支出した費用のうち、どこまで加算するか 賃貸借契約、リース契約、保険料の支払記録、元帳 科目ごとに性質を確認する。一律の加算はしない
労働能力喪失率・喪失期間 症状固定後にどの作業がどの程度できなくなったか 後遺障害診断書、等級認定結果、業務日報、受注記録 等級だけでなく、実際の職務との関係を説明する

資料を証拠として整えるときの手順

資料は、集めた順に提出するのではなく、何を説明するための資料かを整理してから提出したほうが、検討の見通しがよくなります。

  • 事故日、症状固定日、休業した期間を時系列で一覧にする
  • 各資料について、原本・写し・電子データのいずれで保管しているかを確認する
  • 電子データは、作成日時や更新履歴が分かる形で保存し、上書きしない
  • 資料ごとに、それが何を示すための資料かを一行で書き添える
  • 数字を集計する場合は、集計前の元データを併せて残す
  • 取引先名など、第三者の情報が含まれる部分の取扱いを決めておく
  • 提出した資料の一覧と提出日を記録し、控えを手元に残す

表計算ソフトやAIを使って集計・整理すること自体は差し支えありませんが、出力された数値をそのまま主張の根拠にすることは避けてください。集計の元になった資料を必ず残し、数値が資料のどこから導かれたかを追えるようにしておく必要があります。また、事業上の機密情報や取引先の情報を外部のサービスに入力する場合は、事前に取扱いを確認してください。

保険会社から資料の提出を求められた場合

保険会社から確定申告書や決算書の提出を求められた場合、求められるままにすべてを提出する必要はありませんが、収入を裏付ける資料の提出を不合理に拒むことも適切ではありません。提出の目的と必要な範囲を確認したうえで、何をどこまで出すかを決めるのが基本です。

確認しておきたいのは、その資料で何を判断しようとしているのか、どの期間の資料が必要なのか、原本の提示が必要か写しで足りるか、提出した資料がどの範囲で共有されるのか、という点です。事業上の機密情報や取引先の情報が含まれる場合は、必要な部分を特定して提出する、該当部分の取扱いについて事前に協議するといった方法を検討します。

また、資料を提出する前に、自分の側でその資料をどう読むかを整理しておくことをおすすめします。同じ決算書でも、どの数字に着目し、どのように調整するかによって、導かれる結論は変わります。説明を添えずに資料だけを提出すると、相手方の読み方だけが前提になってしまうことがあります。

提出した資料は、後の交渉や手続の前提になります。提出した書面の一覧と提出日を記録し、控えを必ず手元に残してください。なお、事故後に帳簿や議事録を作り直したり、日付をさかのぼって書面を整えたりすることは避けてください。資料全体の信用性が失われるだけでなく、別の法的な問題を生じさせるおそれがあります。

休業損害や逸失利益を否認された、または低く評価された場合

保険会社の提示額に疑問がある場合、まず確認すべきは、その金額がどの基準により、どの数字を基礎に、どの計算方法で算出されたのかという点です。計算の前提が示されないまま総額だけが提示されている場合は、内訳の提示を求めることから始めます。

内訳を確認すると、基礎収入の設定、休業日数、労働能力喪失率、喪失期間、中間利息の控除、既払金の控除、過失割合のいずれかに、自分の理解と異なる前提が置かれていることが分かる場合があります。どの前提について争うのかを特定したうえで、対応する資料を示して再検討を求めるという順序になります。

交渉で折り合わない場合、示談以外の方法として、自賠責保険の後遺障害等級認定について異議を申し立てる方法、損害保険会社との紛争について外部の相談・紛争解決機関を利用する方法、民事調停や訴訟による方法などがあります。利用できる手続、要件、費用、期間は事案により異なりますので、どの方法を選ぶかは、争点と資料の状況を踏まえて検討することになります。

提示額に納得できないまま示談書に署名すると、後から覆すことは原則として困難です。金額の当否だけでなく、示談の対象範囲(後遺障害が確定していない段階での示談か、将来の再手術や再発をどう扱うか)についても、署名前に確認してください。

時効・期間制限と、休業中に利用できる制度

損害賠償の請求には期間の制限があり、期間が経過すると請求が認められなくなることがあります。また、休業している間の生活を支える制度として、健康保険の傷病手当金などを利用できる場合がありますが、損害賠償との調整が必要になります。

請求の種類ごとの期間

主な請求の期間制限
請求の種類 期間 起算点 根拠・注意点
加害者に対する損害賠償請求(人の生命・身体の侵害) 5年 損害および加害者を知った時 民法第724条・第724条の2。不法行為の時から20年の期間制限もある
加害者に対する損害賠償請求(物的損害) 3年 損害および加害者を知った時 民法第724条。人身損害とは期間が異なるため、車両の修理費等は別に管理する
自賠責保険への被害者請求(傷害分) 3年 事故が発生した日 自動車損害賠償保障法第16条・第19条
自賠責保険への被害者請求(後遺障害分) 3年 症状固定の日 自動車損害賠償保障法第16条・第19条
自賠責保険への被害者請求(死亡分) 3年 死亡した日 自動車損害賠償保障法第16条・第19条
仮渡金の請求 被害者請求と同じ 被害者請求と同じ 自動車損害賠償保障法第17条。死亡は290万円、傷害は程度に応じて40万円・20万円・5万円

期間の計算は、事故の日付や症状固定の日付だけで一律に決まるものではありません。後遺障害による損害の起算点、加害者が判明した時期、示談交渉の経過、時効の完成猶予や更新の有無などにより、結論が変わることがあります。期間が迫っている可能性がある場合は、早めに確認してください。なお、令和2年4月1日より前に発生した事故については、同日の時点で改正前の期間が経過していたかどうかにより取扱いが分かれますので、個別の確認が必要です。

休業中の生活と、他の給付との関係

自営業者や会社役員が長期に休業する場合、賠償金が支払われるまでの生活費や事業資金が問題になります。利用を検討できる制度と、賠償との関係を整理しておきます。

会社役員など健康保険の被保険者が、業務外の事由による負傷で働けなくなった場合、健康保険の傷病手当金の対象となることがあります。連続する3日間の待期を経たうえで、4日目以降の労務に服することができなかった期間について支給され、支給期間は支給を開始した日から通算して1年6か月が上限とされています。給与の支払がある間は支給されず、支払額が傷病手当金の額より少ないときは差額が支給される扱いです。なお、市町村が運営する国民健康保険では、傷病手当金は法律上の任意給付とされており、実施の有無は保険者により異なります。

労災保険は労働者を対象とする制度であるため、事業主や役員は原則として対象になりませんが、中小事業主等、一人親方等、特定作業従事者など、労働者以外の一定の方については特別加入の制度が設けられています。特別加入していた場合には、通勤災害や業務災害に当たるかを確認します。

これらの給付を受けた場合、同じ損害を填補する部分については、加害者に対する損害賠償との間で調整(損益相殺的な調整)や、保険者からの求償が問題になります。給付を受けたこと自体が不利になるわけではありませんが、賠償額の計算に影響しますので、受給の有無と金額を必ず整理しておいてください。

傷病手当金は業務外の事由による傷病を対象とする制度であり、通勤中の事故など労災保険の対象となる場合には取扱いが異なります。また、事故が第三者の行為によるものである場合には、保険者への届出(第三者行為による傷病届など)が必要になります。制度の内容や取扱いは加入している保険者により異なりますので、具体的には保険者へご確認ください。

休業損害や逸失利益に対する税金の取扱い

個人が交通事故によって受け取る人身損害の賠償金は、原則として所得税の課税対象になりません。ただし、個人事業者が受け取る賠償金のうち、必要経費を補填する部分は事業所得の収入金額に算入されるなど、性質によって取扱いが分かれます。

賠償金の税務上の主な取扱い
受け取る主体・賠償金の性質 原則的な取扱い 根拠 注意点
個人が受け取る、心身に加えられた損害に対する賠償金(治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益など) 所得税は非課税 所得税法第9条第1項第18号、所得税法施行令第30条 損害賠償金として支払われるものであっても、実質が他の所得に当たる場合は取扱いが異なる
個人事業者が受け取る、必要経費を補填するための賠償金 事業所得等の総収入金額に算入 所得税法施行令第94条 休業期間中の家賃・人件費など、必要経費を補填する部分が対象となる
法人が受け取る賠償金 益金に算入 法人税法第22条第2項 会社の損害として受け取る場合。個人が受け取る賠償金とは取扱いが異なる
消費税の取扱い 心身または資産につき加えられた損害に対する賠償金は、原則として課税の対象外 消費税法基本通達5-2-13から5-2-15まで 実質的に資産の譲渡等の対価に当たると認められる場合は、課税の対象となることがある

実務上、注意が必要なのは、個人事業者が受け取る賠償金の内訳です。本人の収入減を填補する部分と、休業中も支出した固定費を補填する部分とでは、税務上の取扱いが分かれ得ます。示談の際に総額だけを合意し、内訳を明らかにしないままにしておくと、後の申告で説明が難しくなることがあります。示談書の記載内容と、社内・事業上の経理処理を対応させておくことをおすすめします。

また、事故により役員が職務を執行できなくなったことを理由に役員報酬を減額する場合には、法人税法上の役員給与の取扱い(法人税法第34条)との関係を確認しておく必要があります。減額の理由、時期、決議の内容によって取扱いが異なりますので、決議を行う前に確認してください。

税務上の取扱いと、損害賠償における評価は別の問題です。役員報酬の全額が税務上損金に算入されているからといって、損害算定上も全額が労務対価部分と評価されるとは限りませんし、その逆も同様です。二つを混同したまま主張を組み立てると、いずれの説明も通りにくくなります。個別の税務処理については、事案の内容に応じて申告前に確認することをおすすめします。

示談・資料提出の前に確認したいこと

示談書に署名する前、あるいは保険会社へ資料を提出する前に、次の項目を確認しておくと、後から気付く不利益を減らすことができます。

  • 自分は自営業者として検討するのか、会社役員として検討するのか、両方の立場があるのかを整理したか
  • 請求の主体は本人か会社か。両方ある場合、それぞれの損害を切り分けられているか
  • 休業損害(症状固定前)と後遺障害逸失利益(症状固定後)の対象期間が重複していないか
  • 基礎収入の出発点と、そこから調整した項目・その理由を、資料に基づいて説明できるか
  • 休業した期間と、就労制限の程度(全休か、部分的な稼働か)を示す資料があるか
  • 事故以外の売上変動要因について、あらかじめ整理し、説明を準備しているか
  • 代替人件費・外注費と本人の休業損害を、二重に計上していないか
  • 固定費を加算する場合、科目ごとに性質を確認したか
  • 提示された金額が、どの基準・どの計算方法によるものか、内訳を確認したか
  • 提出する資料の範囲と、機密情報・取引先情報の取扱いを決めたか
  • 消滅時効や自賠責保険への被害者請求の期間が迫っていないか
  • 受け取る賠償金の税務上の取扱いと、示談書の内訳の記載を確認したか

弁護士に相談するタイミング

相談することで結果が保証されるわけではありませんが、資料を確認したうえで、請求できる損害項目、基礎収入の考え方、必要な資料、想定される反論を整理することはできます。特に自営業者や会社役員の場合、収入の立証に会計資料の読み方が関わるため、早い段階で整理しておくと、記録の残し方が変わります。

相談の時期として検討しやすいのは、治療が長引きそうだと分かった時、保険会社から資料の提出を求められた時、症状固定や後遺障害の申請が話題になった時、示談金額の提示を受けた時、事業の売上に影響が出始めた時です。示談書に署名した後は、内容を見直すことが原則として難しくなりますので、署名の前に確認することをおすすめします。

相談の際は、事故証明書、診断書、通院の記録、確定申告書または決算書、役員報酬に関する資料、保険会社からの提示書面など、手元にある資料をお持ちいただくと、具体的な検討がしやすくなります。すべてが揃っていなくても、何が不足しているかを整理するところから始められます。

当事務所では、交通事故のご相談を初回相談無料・着手金0円でお受けしています。弁護士・公認会計士が、確定申告書・決算書・役員報酬に関する資料をふまえて、休業損害・逸失利益の見通しと対応方針を整理します。

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よくある質問

自営業者でも休業損害を請求できますか。

請求できる可能性があります。給与所得者のように給与明細で減収を示すことはできませんが、確定申告書、決算書、元帳、売上台帳などから、事故がなければ得られたはずの収入と、事故後の実績を説明していくことになります。資料の内容により結論は異なります。

確定申告の所得が少ない、赤字である、開業して間もない場合はどうなりますか。

申告額がそのまま結論になるとは限りません。青色申告特別控除、減価償却費、専従者給与など、申告上の数字と実際の収入との差を説明できる場合があります。開業直後で実績が乏しい場合は、開業後の推移、受注の見込み、事故前の職歴や資格などを組み合わせて検討します。ただし、調整が認められる範囲は資料の裏付けによって変わります。

売上が減っていなくても、休業損害は認められますか。

売上が維持されている場合でも、家族や従業員の稼働が増えた、外注に切り替えた、本人が無理をして稼働したといった事情があれば、損害として検討できる場合があります。誰の負担で売上が維持されたのかを、資料で説明できるかどうかが分かれ目になります。

会社役員の役員報酬は、全額が休業損害の基礎になりますか。

全額が当然に基礎になるわけではありません。役員報酬のうち労務提供の対価と評価される部分が基礎となり、利益の分配に近い性格をもつと評価される部分は除かれる傾向があります。割合に一律の基準はなく、職務内容、会社の規模、他の役員・従業員との比較などから個別に検討します。

事故後も役員報酬が支払われている場合はどうなりますか。

役員個人に現実の減収があるといえるかが問題になります。報酬が支払われ、返還や減額の予定もない場合には、個人の減収が認められにくい傾向があります。もっとも、支給を継続した理由や会社の負担の実態によっては、別の構成で検討できる場合がありますので、示談前に確認することをおすすめします。

会社が負担した代替人件費は、役員個人が請求できますか。

会社が負担した代替人件費や外注費は、まず会社の損失として検討すべきもので、役員個人の休業損害にそのまま読み替えることはできません。役員個人の損害と会社の損失を分けて整理し、同じ労務の対価を二重に計上しないようにする必要があります。

後遺障害が残った場合、逸失利益はどのように計算しますか。

基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間、中間利息の控除を組み合わせて計算します。基礎収入の考え方は休業損害と共通します。喪失率や喪失期間は等級だけで機械的に決まるものではなく、実際の職務内容との関係を説明できるかどうかが問題になります。

保険会社へ、決算書や帳簿をすべて提出する必要がありますか。

求められるままにすべてを提出する必要はありませんが、収入を裏付ける資料の提出を不合理に拒むことも適切ではありません。提出の目的、必要な期間、原本か写しか、機密情報の取扱いを確認したうえで、範囲を決めることが基本です。

受け取った休業損害や慰謝料に税金はかかりますか。

個人が受け取る、心身に加えられた損害に対する賠償金は、原則として所得税の課税対象になりません(所得税法第9条第1項第18号)。ただし、個人事業者が受け取る賠償金のうち必要経費を補填する部分は事業所得の収入金額に算入され、法人が受け取る賠償金は益金に算入されます。示談書の内訳の記載と経理処理を対応させておくことをおすすめします。

請求に期限はありますか。

あります。人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から5年(民法第724条・第724条の2)、自賠責保険への被害者請求は原則として3年(自動車損害賠償保障法第19条)とされています。起算点や期間の進行は事案により異なりますので、期間が迫っている可能性がある場合は早めに確認してください。

まとめ

交通事故に遭った自営業者・会社役員の収入立証について、次の点を確認しておくことをおすすめします。

  • 自分は自営業者として検討するのか、会社役員として検討するのか。基礎収入の出発点が異なります。
  • どの損害を、誰が、どの期間について請求するのか。休業損害(症状固定前)と後遺障害逸失利益(症状固定後)、役員個人の損害と会社の損失を分けて考えます。
  • どの資料が、どの争点を裏付けるのか。確定申告書や決算書の数字だけで決まるものではなく、複数の資料を照合して説明します。
  • 代替人件費や外注費と本人の休業損害を、二重に計上していないかを確認します。
  • 資料の提出前・示談前に、計算の前提、証拠との対応関係、消滅時効までの期間、税務上の取扱いを確認します。

提示された金額や説明に疑問がある場合は、示談前・資料提出前に一度、資料を整理して確認することが、見通しを立てるうえで役立ちます。

監修者・執筆者について

弁護士・公認会計士 藤井 貴之(弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所 代表弁護士)

兵庫県弁護士会所属、日本公認会計士協会兵庫会所属。交通事故、相続・遺言、離婚・男女問題、債務整理、刑事事件、企業法務などに対応し、財務・税務の視点をふまえた検討を行っています。

本記事は一般的な情報の整理であり、個別の事案については、資料を確認したうえでの検討が必要です。記載した制度・数値・基準は、事故発生日や適用時点により異なることがあります。

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