自転車同士の事故の過失割合は、「どちらも自転車だから5対5」と一律に決まるものではありません。事故の類型ごとの基本割合を出発点に、信号や一時停止の規制、通行場所、速度などの事情を踏まえて検討します。この記事では、裁判実務で参照される過失相殺率の認定基準をもとに、出合い頭・正面衝突・追い越しの事故で確認したい点と、示された割合の根拠の確かめ方を整理します。基準の基本割合は、原則として一方だけがけがをし、双方が通常の速度で走行していた場面を想定したもので、実際の割合は事故の状況と資料によって異なります。事故の直後であれば、まず負傷者の救護と警察への報告を行ってください。
自転車同士の過失割合は何で決まるか
故意又は過失によって他人の権利を侵害した人は、損害を賠償する責任を負い(民法第709条)、被害を受けた側にも過失があるときは、裁判所はそれを考慮して賠償額を定めることができます(同法第722条第2項)。これを過失相殺といい、過失割合はその程度を示すものです。
自転車同士の事故について、法律に「何対何」と定めた規定はありません。実務では、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕』(別冊判例タイムズ39号。以下「認定基準」といいます)が事故類型ごとに示す基本割合を出発点に、個別の事情による修正を検討します。認定基準は法律ではなく、すべての事件を拘束する判決でもありません(全訂6版・22頁)。保険会社などが示した割合も、それだけで確定するものではありません。
基本割合を使う前に確認する前提
認定基準の自転車同士の事故についての基準は、原則として、一方の当事者にだけ人身損害が生じた場面を対象とし、道路では時速15キロメートル程度又はそれ以下、歩道ではそれより遅い速度での走行を前提としています(全訂6版・466頁)。双方がけがをした事故、物損だけの事故、通常を大幅に上回る速度の事故では、基本割合を機械的に当てはめず、具体的な事故の態様と修正の趣旨に照らして検討します。
時速15キロメートルは、法律上の速度の上限でも、安全を保証する数字でもありません。また、ロードバイクであることだけを理由に基準が使えなくなったり、割合が加算されたりするものではなく、実際の速度や走り方が問題になります。なお、自転車を押して歩いている人は、道路交通法の適用上、原則として歩行者とされるため(同法第2条第3項第2号)、歩行者との事故として検討します。
信号・進行方向・道路区分から事故類型を選ぶ
基本割合は類型ごとに異なるため、最初に次の点を確認します。
- 相手の車両:相手も法律上の自転車か。電動キックボードなど原動機で走行する車両を、当然に自転車として扱うことはしません(法令の基準に該当する電動アシスト自転車は自転車に含まれます。道路交通法第2条第1項第11号の2)。
- 事故の型:直進同士の出合い頭、対向して直進する自転車同士の衝突、同じ方向に進む自転車の追い抜きのどれか。
- 交通規制と道路:信号機、一時停止の規制、優先道路(標識による指定や交差点内の中央線など)の有無、道路の幅の差。
- 通行場所:車道、路側帯、歩道のどこを通行していたか。
- 双方の動き:交差点に入った時点、速度、ふらつきや進路変更の有無。
丁字路での事故、右左折中の事故、歩道から道路を横断しようとした際の事故、止まっていた自転車への衝突は、それぞれ別の類型であり、十字路で直進同士が衝突した場合の基準をそのまま当てはめることはできません(全訂6版・466・530・533・536頁)。
出合い頭の事故の過失割合
交差点での出合い頭の事故では、まず信号機の有無を確認し、信号機がなければ、優先道路かどうか、一時停止の規制、道路の幅の差を確認して、対応する基本割合を選びます。
信号がある交差点
信号機により交通整理が行われている交差点で直進する自転車同士が衝突した場合、基本割合は、青信号で進入した側0:赤信号で進入した側100です。信号の色は、原則として、停止線の直前(停止線がない場合は交差点に入る直前)の表示で判断します。自転車が従うべき信号(道路交通法第7条)は常に車両用の信号機とは限らないため、事故当時どの信号に従うべきだったかを確認します。
青信号側であっても、通常の前方注視をしていれば赤信号で進入してくる相手に気付き、容易に避けることができたのに、これを怠ったという事情があれば、修正される余地があります。また、一方が黄色の点滅信号、他方が赤色の点滅信号だった交差点は、通常の信号の組合せとは扱いが異なり、原則として、一時停止の規制がある交差点の類型を参照して検討します(以上につき全訂6版・466~468・478頁)。
信号がない交差点と一時停止
信号機のない交差点では、「同じ程度の幅の道路」「一方が明らかに広い道路」「一方が優先道路」「一方に一時停止の規制」の4つを区別します。以下の基本割合は、原則として、見通しの悪い交差点に双方がほぼ同じ速度で進入した場面を想定しています。
同じ程度の幅の道路が交わり、優先道路や一時停止の規制がない交差点では、基本割合は、左方から来た側45:右方から来た側55です(全訂6版・473~474頁)。「左方から来た側」は、相手から見て左側の道路から来た自転車をいい、道路の左側を走っていたという意味ではありません。例えば、自分から見て相手が右側の道路から来た場合は、自分が「左方から来た側」に当たります。信号機がないからといって、50:50になるわけではありません。
一方の道路の幅が客観的に明らかに広い場合は、広い道路側40:狭い道路側60が基本で、わずかな幅の違いでは足りません。一方が法律上の優先道路である場合は、優先道路側20:優先道路でない側80が基本です(全訂6版・31・477・480頁)。優先道路とは、標識で優先道路として指定された道路や、交差点の中まで中央線や車両通行帯が設けられた道路をいい(道路交通法第36条第2項)、単に広い道路や交通量の多い道路とは異なります。優先道路側にも、交差点の状況に応じて注意し、できる限り安全な速度と方法で進行する義務があります(同条第4項)。
一方に一時停止の規制がある場合は、規制のない側30:規制のある側70が基本で、狭い道路側に規制がある場合も、原則としてこの類型によります。規制に違反した側が当然に100%の責任を負うわけではなく、実際に停止したかどうかは修正の事情になります。ただし、停止すれば足りるわけではなく、停止線の直前(停止線がない場合は交差点の直前)で一時停止したうえで、交差道路を通行する車両等の進行を妨げないことが求められます(道路交通法第43条)。停止した位置、停止後の安全確認、再び走り出した時点の相手の位置や速度を確認します(全訂6版・477~479頁)。
見通しの悪い交差点では、優先道路を通行している場合を除き、規制のない側や広い道路側にも徐行が求められます(道路交通法第42条)。見通し、減速の有無、明らかな速度差などによって修正を検討します。
次の表は、全訂6版・466~468・473~474・477~480頁の各類型を要約したものです。いずれも、一方だけがけがをし、双方が通常の速度で走行していた場面を前提とする修正前の基本割合で、信号機のない交差点の類型は、見通しの悪い交差点に双方がほぼ同じ速度で進入した場面を想定しています。
| 事故条件 | 当事者の順番 | 基本割合 | 特に確認すること |
|---|---|---|---|
| 信号あり(青信号と赤信号) | 青信号側:赤信号側 | 0:100 | 従うべき信号はどれか、停止線の直前での信号の色、青信号側が相手に気付いて避けられたか |
| 信号なし・同じ程度の幅 | 左方から来た側:右方から来た側 | 45:55 | 相手から見てどちらの道路から来たか、見通し、徐行や減速の有無 |
| 信号なし・一方が明らかに広い | 広い道路側:狭い道路側 | 40:60 | 幅の差が客観的に明らかか、一時停止の規制がないか |
| 信号なし・一方が優先道路 | 優先道路側:優先道路でない側 | 20:80 | 標識による指定や、交差点内の中央線・車両通行帯があるか |
| 信号なし・一方に一時停止規制 | 規制のない側:規制のある側 | 30:70 | 停止した位置、停止後の安全確認、再び走り出したときの相手の位置と速度 |
正面衝突の過失割合は車道と歩道で分けて考える
対向して進んできた自転車同士の正面衝突は、車道・路側帯でも歩道でも基本割合は双方50:50ですが、修正で重視する事情が異なります。
車道・路側帯での対向直進
車道や路側帯での対向直進の事故は、互いに相手を認識して避けることができる関係にあることを前提に、双方50:50が基本です。自転車は、道路の左側部分を、左側端に寄って通行するのが原則で(道路交通法第17条第4項、第18条第1項)、路側帯を通行できるのも、道路の左側部分に設けられた路側帯に限られます(同法第17条の3)。
そのため、道路の右側を通行していたこと(いわゆる逆走)は、その自転車に不利な修正の事情になります。認定基準は、この修正に10~30ポイントの幅を設け、幹線道路のように左側通行が強く期待される状況では30ポイントまでの加算を示しています。右側を通行していた側の割合が、常に80%に固定されるわけではありません(全訂6版・530~531頁)。
道路を横断するためなどに道路の中央から右側にはみ出した際の事故は、対向直進とは別の類型です。また、双方が左右どちらに避けようとしたか、速度、見通しも検討します。
歩道での対向直進
歩道上の対向直進の事故も、基本割合は双方50:50です。ただし、車道での右側通行を前提とした修正を、そのまま歩道の事故に持ち込むことはしません。主に次の点を確認します。
- その歩道を通行できる場合だったか(普通自転車は、標識で認められているとき、運転者が児童・幼児など政令で定める者であるとき、車道や交通の状況からやむを得ないときに、歩道を通行できます。道路交通法第63条の4第1項)
- 歩道の中央から車道寄りの部分(普通自転車通行指定部分があるときはその部分)を通行していたか
- 徐行していたか、双方の速度に明らかな差があったか
認定基準の「歩道を通行できない」ことによる修正は、一方だけが歩道の通行を許されていなかった場合のもので、双方とも通行できなかった場合には使いません。また、普通自転車通行指定部分では、そこを通行し、又は通行しようとする歩行者がいないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行できるという例外がありますが(道路交通法第63条の4第2項ただし書)、歩道であれば自由な速度で走行してよいという意味ではありません(以上につき全訂6版・50~51・530・532頁)。
追い越しの事故と先行自転車のふらつき
認定基準の「追抜き」は、後ろから来た自転車が前の自転車の側方を通過して前に出ようとする場面を指し、道路交通法上の「追越し」(進路を変えて追い付いた車両等の側方を通過し、その前方に出ること。同法第2条第1項第21号)とは範囲が完全には一致しません。見出しでは一般的な表現として「追い越し」としていますが、本文では、認定基準の場面を「追い抜き」、道路交通法上の概念を「追越し」と書き分けます。
追い抜く側に求められる注意
後ろから追い抜こうとした自転車が、十分な間隔をとらないまま横に並んで前の自転車と接触した場面や、横を通り過ぎた直後に前の自転車の進路に入って接触した場面などでは、車道などでも歩道でも、基本割合は前を走っていた側0:追い抜こうとした側100です。左右どちらから追い抜いた場合にも当てはまります(全訂6版・533~536頁)。ただし、これは左側からの追越しが一般に許されるという意味ではありません。追越しは、原則として前の車両の右側を通行して行います(道路交通法第28条)。
追い抜く側は、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転する義務(同法第70条)を踏まえ、減速し、十分な間隔をとり、危険があるときは追い抜かないことが基本です。自転車のベル(警音器)は、法令で鳴らすべきとされている場合を除き、危険を防止するためやむを得ないときにしか鳴らすことができないため(同法第54条)、ベルで前の自転車をよけさせることを前提にはできません。
通常のふらつきと進路変更を区別する
認定基準では、通常予想される程度の左右のふらつきは基本割合に織り込まれているため、それだけを理由に、前を走っていた側に過失を加えることはしません。
通常の程度を超えるふらつきがあったものの、独立した進路変更とまではいえない場合は、中間的な評価が問題になります。後ろの自転車が十分な間隔をとっていたのに、前の自転車が進路を変えて接触した場合は、進路変更の事故として別の類型を検討します。道路交通法第26条の2第2項も、変更後の進路を後方から進んでくる車両等の速度や方向を急に変えさせるおそれがあるときの進路変更を禁止しています。また、前を走っていた側に著しい過失がある場合など、修正の余地もあり、「前を走っていれば何をしても過失はない」というわけではありません(以上につき全訂6版・533~536頁)。どれに当たるかは、事故の前後を含む映像、自転車の損傷部位、目撃者の説明などから確認します。
割合を変え得る事情と賠償額への影響
修正の事情は、事故との関係や適用の条件を確認して用いるもので、当てはまりそうな事情を足し合わせたり、同じ事情を重ねて評価したりするものではありません。
速度や年齢についての修正
認定基準の「高速度」による修正は、普通の速度を大幅に上回る走行を道路の状況などに照らして評価するもので、一律の速度の基準があるわけではありません。追い抜きの事故では、追い抜く側が速いことがもともと前提になっているため、速かったことだけで重ねて修正することもしません。ロードバイクでの長距離走行や隊列走行中の事故については、アワイチ中の自転車事故と保険の確認事項でも整理しています。
児童や高齢者を保護するための修正は、その人がけがをした側である場合のものです。双方がけがをした場合は、損害ごとに、誰が保護の対象となるのかを区別します。また、認定基準の修正要素の表は、図の一方の当事者を基準に「+」「-」で加減を示しているため、相手方の提示を確認するときは、どちらの当事者に何ポイントを加減しているのかを確かめます(以上につき全訂6版・23~24・35・50・466・531~535頁)。
過失割合が賠償額に与える影響
過失割合は、認定された損害額を減らす割合として働きます。
仮定の計算例(実際の事件ではなく、説明のための設例です)
過失相殺前の損害額が100万円、請求する人の過失が30%で、既に支払われた金額などを考慮しない場合、過失相殺後の額は、100万円×(1-0.30)=70万円となります。
反対に、過失割合が0%であっても、請求した項目や金額のすべてが認められるとは限りません。損害や事故との因果関係の立証、既に受け取った金額の扱い、相手から実際に支払いを受けられるかは、過失割合とは別の問題です。
双方がけがをした場合の整理
双方が相手に賠償を求める場合は、それぞれの請求を別々に整理します。人の生命や身体の侵害による損害賠償の債務を負う側は、自分の請求権と一方的に相殺して支払いを拒むことができないため(民法第509条第2号)、双方の計算額の差額だけを支払えば足りるとは、当然にはいえません。過失相殺(割合に応じて賠償額を減らすこと)、債権同士の相殺、示談で清算の方法を合意することは、それぞれ別のものです。
過失割合に納得できないときに確認すること
示された割合に納得できないときは、数字だけを争うのではなく、前提とされた事故類型、参照された基準の版・頁・図番号、双方をどの立場(例えば「規制のある側」)に当てはめたか、どの修正をどの理由で加えたか、その根拠となる資料を、分けて確認します。
事故の直後に必要な対応
道路で交通事故があったときは、自転車の運転者も、直ちに運転を止めて負傷者を救護し、道路における危険を防止する措置をとり、警察官に事故を報告しなければなりません(道路交通法第72条)。自転車同士の事故であることや、けがが軽いことを理由に省略できるものではありません。必要に応じて救急車を呼び、医療機関を受診してください。なお、警察への報告や違反の取締りと、民事上の過失割合は別の問題です。
争点ごとに確認する資料
資料は、どの争点を説明するためのものかを意識して整理します。
| 争点 | 確認資料 | 分かることと限界 |
|---|---|---|
| 信号・規制・通行場所 | 事故当時の標識・停止線・交差点全体の写真、映像 | 規制の有無や通行場所を示せます。現在の写真だけでは、事故当時も同じだったとは断定できません。 |
| 動き・接触位置 | 事故の前後を含む映像、自転車の損傷部位、目撃者の説明 | 進行方向や、ふらつきか進路変更かを検討できます。接触後に止まった位置だけでは、接触した位置は決まりません。 |
| 速度・回避の可能性 | 連続した映像、サイクルコンピューター・GPS機器の元データ、道路の幅・見通し | 速度や位置の推移を検討できます。位置や時刻には誤差があるため、表示された数値をそのまま正確な値とはみなせません。 |
| けがと損害 | 診断書、治療の経過、領収書、修理見積り | 損害額の根拠になります。けがの重さだけで過失割合が決まるわけではありません。 |
| 相手方の提示 | 示談案や回答書面に記載された割合、基準の版・頁・図番号、双方の当てはめ、修正項目と理由、根拠資料 | どの類型と修正を前提にしたかが分かります。根拠が示されていない部分は、説明を求めて確認します。 |
自分の記憶と客観的な資料は分けて整理し、映像や記録の元データは手を加えずに保存します。防犯カメラなど第三者が管理する映像は、上書きされることがあるため、早めに管理者へ保存と提供を依頼します。ただし、提供を受けられるとは限りません。危険な場所での現場の再現や、他人の敷地への無断の立入りは避けてください。証拠の集め方や保存の手順は、自転車事故の過失割合を争うための証拠整理で詳しく説明しています。
合意できないときの進め方
合意できない場合は、資料をもとに改めて交渉するほか、必要に応じて、民事調停や訴訟などの手続も含めて検討します。損害賠償を請求できる期間(消滅時効)は、請求の内容や事故の日などに応じて確認が必要で、相手方が示した回答期限とは別のものです。
自転車同士の事故で確認したい保険
自動車損害賠償保障法の運行供用者責任、自賠責保険、政府保障事業は、自動車(原動機付自転車を含みます)の運行による事故を対象とする仕組みです(同法第2条・第3条・第5条・第72条)。そのため、法律上の自転車だけが関係する自転車同士の事故には、自賠責保険は使えません。自動車などが事故の原因に関わっている場合や、相手の車両が原動機付きで自転車に当たらない場合は、別に検討します。
兵庫県の「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」第13条は、自転車の利用者、未成年者の保護者、自転車を業務で利用する事業者などに、自転車損害賠償保険等への加入を義務付けています(平成27年(2015年)10月1日施行)。対象は、自転車の利用によって他人の生命や身体に生じた損害を補償する保険や共済で、既に加入している契約で必要な補償が確保されていれば、重ねて加入することまでは求められていません(兵庫県「『自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例』について」)。
もっとも、加入が義務付けられていることから、相手が実際に加入している、すべての損害が補償される、相手から全額の支払いを受けられる、とはいえません。反対に、相手が保険に加入していなくても、相手の賠償責任がなくなるわけではありません。
保険は、次の3つを分けて確認します。
- 相手への賠償を補償する保険(個人賠償責任保険など)
- 自分のけがを補償する保険(傷害保険など)
- 相手に請求する際の弁護士費用を補償する特約(弁護士費用特約)
家族の契約で補償されるか、業務中の事故や自転車事故が対象か、示談交渉のサービスの有無、弁護士に依頼する前に保険会社の承認が必要かは、契約によって異なるため、保険証券や約款で確認します。
よくある質問
自転車同士の事故なら、過失割合は5対5ですか。
一律に5対5と決まっているわけではありません。例えば、信号機がなく、優先道路や一時停止の規制もない、見通しの悪い同じ程度の幅の交差点での出合い頭の事故は、左方から来た側45:右方から来た側55が基本です。事故の型、信号機、一時停止の規制、優先道路、道路の幅の差によって基本割合が異なり、通行場所によって当てはめる類型や修正も変わります。
相手が一時停止違反なら、必ず10対0ですか。
いわゆる10対0(相手の過失が100%で、自分は0%)になるとは限りません。一方に一時停止の規制がある交差点の基本割合は、規制のない側30:規制のある側70です。実際に停止したかどうか、見通し、双方の速度などによって修正されることはありますが、規制に違反した側が当然に100%の責任を負うわけではありません。
前の自転車が少しふらついた場合も、前の人に過失がありますか。
追い抜きの事故で、ふらつきが通常予想される程度であれば、基本割合(前を走っていた側0:追い抜こうとした側100)に織り込まれているため、それだけで前の人に過失は加えません。通常を超えるふらつきや、独立した進路変更があった場合は別に検討するため、映像などで実際の動きを確認します。
双方がけがをした場合も、基本割合の表をそのまま使えますか。
認定基準の基本割合は、原則として一方だけがけがをした場面を想定しているため、機械的には当てはめず、それぞれの損害ごとに、保護のための修正の趣旨を区別して検討します。また、けがの賠償債務を負う側からは一方的に相殺できないため(民法第509条第2号)、双方の計算額の差額を支払えば足りるとは当然にはいえません。
神戸で自転車事故の過失割合を相談するには
相手方や保険会社から過失割合を示されたときや、示談書への署名を求められたときは、示談の前に一度、示された割合の前提を確認することをおすすめします。回答の期限が迫っている場合や、映像などの資料が消えるおそれがある場合は、資料がそろうのを待たずにご相談ください。ご相談の際は、次の資料をお手元にご用意いただくと、確認がしやすくなります。
- 事故の日時・場所と、双方の進行方向が分かるメモや図
- 相手方や保険会社から届いた書面(示された過失割合とその説明)
- 事故現場や自転車の写真、映像、サイクルコンピューター・GPS機器の記録
- 診断書、領収書、修理見積りなど、損害に関する資料
- ご自身やご家族が加入している保険の証券
示された過失割合の根拠を、示談の前に確認したい方へ
ご相談では、弁護士が事故の状況とお手元の資料を確認し、示された割合が前提とする事故類型や修正の理由を整理したうえで、今後の対応を一緒に検討します。相談方法・弁護士費用をご確認のうえ、ご予約ください。
同じ事故の相手方からすでにご相談を受けている場合など、利益相反に当たるときはご相談をお受けできません。また、ご予約の受付は、事件のご依頼(委任契約)の成立を意味するものではありません。
事務所紹介
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所/兵庫県弁護士会所属
神戸市須磨区中落合にあり、名谷駅から徒歩1分です。交通事故についてのご相談をお受けしています。
参考資料と情報基準日
- 菊池憲久・堂園幹一郎・伊東智和編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕』(別冊判例タイムズ39号、判例タイムズ社、令和8年(2026年)3月30日)。リンク先は出版社の書誌情報です。裁判実務で参照される基準書で、法令や判決ではありません。参照頁:22~24・31・35・50~51・466~468・473~474・477~480・530~536頁。
- 民法(明治29年法律第89号)第509条・第709条・第722条
- 道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条・第7条・第17条・第17条の3・第18条・第26条の2・第28条・第36条・第42条・第43条・第54条・第63条の4・第70条・第72条
- 自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)第2条・第3条・第5条・第72条
- 兵庫県「『自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例』について」(同条例第13条)
本記事の法令・資料の内容は、令和8年(2026年)10月10日時点で確認したものです。事故の時点の法令が問題になる場合は、事故の日に適用される規定を確認する必要があります。本記事は一般的な情報の提供を目的とするもので、個別の事故の過失割合や賠償額は、事故の状況と資料によって異なります。

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