センターオーバーの過失割合|過失ゼロを主張する証拠 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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センターオーバーの過失割合|過失ゼロを主張する証拠

相手の車がセンターライン(中央線)を越えてきて正面衝突などが起きたのに、衝突地点を争われたり、「避けられた」「速度が出ていた」と自分の過失を指摘されたりしたとき、過失ゼロを主張できるかが問題になります。

自分の車が道路の左側を通行し、相手の車が中央を越えて対向車線へはみ出してきた典型的な事故では、実務で参照される基準上、自分0・相手100が基本の過失割合です。ただし、狭い道路でのすれ違いは別の基準で検討され、危険に気づいてすぐに制動するなどすれば容易に避けられた事情などがあれば、修正が問題になります。まず衝突地点と双方の車の動きを資料で確かめ、相手の反論に備えることが大切です。結論は、事故の状況と資料によって異なります。

この記事の前提

  • 四輪車同士が同じ道路を対向して直進し、一方の車が道路の中央を越えたかどうかが争われる事故を対象にしています。
  • 右折・転回・道路外への出入りの際の事故、接触のない事故、二輪車・自転車・歩行者が関係する事故は検討の前提が異なるため、この記事の説明をそのまま当てはめることはできません。
  • 損害額の算定や、刑事・行政上の処分は扱っていません。

センターオーバーの過失割合と過失ゼロの前提

左側を通行する車と対向車線に逸脱した車の基本割合

センターオーバーは、道路の中央を越えて対向車線側へはみ出すことを指す一般的な呼び方です。道路交通法第17条第4項は、車両は道路の中央から左の部分(左側部分)を通行しなければならないと定め、道路標識等による中央線が設けられているときは、その位置を中央としています。中央線のない道路でもこの原則は変わらず、歩道や路側帯と車道の区別がある道路では、車道の中央が基準になります。

同法第18条第1項は、車両通行帯のない道路で自動車が道路の左側に寄って通行することを定めていますが、これは中央を越えたかどうかとは別の規律です。左端に寄り切って走ることまで求めるものではなく、追越しをするときなどの例外もあります。

実務で参照される『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕』(別冊判例タイムズ39号。以下「認定基準」といいます。)は、左側部分を通行していた四輪車と、センターオーバーした対向の四輪車との事故について、基本の過失割合を「左側部分を通行していた車0:センターオーバーした車100」としています(認定基準288~290頁【Ⅲ-52】)。

損害賠償では、相手に賠償責任(民法第709条など)が認められても、自分にも過失があれば、それを考慮して賠償額が減らされることがあります(同法第722条第2項の過失相殺)。この記事でいう「過失ゼロ」は、自分の過失割合が0とされ、過失相殺による減額がされないことを指します。

もっとも、認定基準の割合は法律で定められたものではなく、個別の裁判の結論でも、保険会社を拘束する規則でもありません。左側部分を通行していた車に著しい過失や重過失がある場合などには修正が検討されます。また、前部同士がぶつかった正面衝突という損傷の形だけで、この類型に当たるかが決まるわけではありません。

狭い道路でのすれ違いは分けて考える

道路の幅が足りない、工事などの障害があるといった理由ではみ出したことが問題となる事故は、通常の対向車線への逸脱と分けて考えます。道路交通法第17条第5項は、左側部分の幅員が通行に十分でないときや、道路の損壊・道路工事などの障害で左側部分を通行できないときなどに、右側部分へのはみ出しを認めています。

認定基準は、狭い道路などで対向車とのすれ違いが困難な事故について、別の基準を置いています(認定基準【Ⅲ-53】)。物理的には左側部分を通行できても、安全な間隔をとってすれ違えない道路も含まれ、双方が払っていた注意、待避場所の有無、車幅、徐行の有無などが検討されます。中央線がないから当然に50対50になるわけでも、中央を越えた車が常に100になるわけでもありません。

左側部分の幅が足りていて、はみ出しが許されない道路でも、幅員がそれほど広くなく中央線もない場合には、左側を通行する車にも対向車の進路への相当の注意が求められます。左側を通行する車が前方をよく見ていなかったために、わずかに中央を越えてきた対向車と接触したような場合には、その事情による修正が検討されます。

反対に、はみ出しが許される場合でも、はみ出し方はできるだけ少なくしなければならず(道路交通法第17条第5項)、必要以上に大きくはみ出していれば、通常のセンターオーバーとして【Ⅲ-52】を参照するかが問題になります。追越しのためのはみ出しにも、左側部分の幅員が6メートルに満たないこと、右側部分を見通すことができ、反対方向の交通を妨げるおそれがないこと、道路標識等ではみ出しが禁止されていないことといった条件があります(同項第4号)。追越し中だったというだけで、適法になったり、この基準の対象外になったりするわけではありません。

衝突地点と双方の進路を確かめる

どの基準を参照するかも、避けられたかどうかも、どこで衝突し、双方の車がどう動いていたかが前提になります。

衝突した場所と事故後の停止位置は違う

衝突地点を考えるときは、最初に接触・衝突した地点、事故後に車が止まった位置、安全のために移動した後の位置を分けます。衝突後に車が回転したり押し戻されたりすることもあるため、事故後に車が自分の車線側に止まっていたことや、双方の前部が壊れていることだけでは、衝突地点は決まりません。

道路の中央や、電柱・縁石などの固定物との位置関係、接触前の車体の位置と進行方向、路面の痕跡、車両の損傷を照らし合わせて検討します。中央を越えていたかどうかは、タイヤの位置だけでなく、車体のはみ出しも含めて確認します。

資料ごとに分かることと限界

衝突地点や進路は、1つの資料だけで断定せず、複数の資料が同じ事実を示しているかを確かめます。ドライブレコーダー(ドラレコ)の映像をはじめ、主な資料と、それぞれで確かめる事実、限界は次のとおりです。

資料ごとに確かめる事実と限界
資料 確かめる事実 限界・保存時の注意
ドラレコ等の映像 衝突前後の双方の位置と進路、相手の車のはみ出しが映り始めた時点、自車の速度や操作 日時のずれ、カメラの位置・画角、映っていない範囲、表示速度と実際の速度に差がないかを確かめ、見た目だけで車線や速度、危険を認識できた時点を断定しない。利用できるカメラの元のファイルを、安全な場所で取扱説明書に従って上書き防止・複製し、編集や静止画の切り出しはコピーで行う
現場写真・路面痕跡 中央線、道路の端、電柱などの固定物と、擦過痕・タイヤ痕・破片との位置関係 破片は飛散・移動し、事故と無関係の痕跡もあるため、単独で衝突地点を決めない。全景と接写を組み合わせて撮影し、車道の中で計測しない
車両の損傷 接触箇所の位置・高さ、変形の向き、双方の損傷の対応関係 損傷だけから速度・衝突角度・進路を断定しない。修理・廃車の前に車体の全周を撮影し、修理工場や保険会社の写真・見積りも保管する
道路の形状・幅員 幅員、中央線・区画線の種類、カーブ、見通し、障害物、待避場所、双方の車幅(参照する類型や、避けられたかの判断に関係する) 事故後の写真や地図は、撮影日や工事などによる変化を確かめ、事故当時と同じと決めつけない
目撃者の説明 目撃した位置、時刻、直接見た内容 同意を得て連絡先と説明の内容を記録する。答えを誘導したり、関係者の説明を合わせたりしない
警察関係の資料 事故の発生(交通事故証明書)、現場の位置関係・痕跡や当事者の説明(実況見分調書など) 交通事故証明書は、事故の原因や過失を明らかにするものではない。調書では、警察官が確認した事実と当事者の指示説明を分けて読む

交通事故証明書は、自動車安全運転センターが交付する、事故の発生を証明する書面であり、事故の原因や過失の有無・程度などを明らかにするものではありません。詳しくは、同センターの交通事故証明書の案内をご覧ください。当事者が「甲」「乙」のどちらの欄に記載されているかで加害者・被害者や過失割合が決まるわけでもなく、警察の記録や保険会社の査定によって民事上の過失割合が当然に確定するわけでもありません。刑事記録が作成されているか、いつ、どの範囲で取得できるかは事件の処理段階などによって異なるため、実況見分調書などの刑事記録を取得する方法と注意点もあわせてご確認ください。

「避けられた」「速度が出ていた」という反論の検討

相手のセンターオーバーが認められても、「危険に気づけば避けられた」「速度が出ていた」として、左側部分を通行していた側の過失が主張されることがあります。

危険を認識できた時点から回避可能性を考える

認定基準は、自分の車線を通行する運転者には、一般に、対向車のセンターオーバーをあらかじめ予想して運転する注意義務までは求められないとしています(認定基準289頁)。ただし、はみ出しを具体的な危険として認識し、すぐに制動するなどすれば容易に避けられたのに、相手が戻るだろうと思い込んだり、前方をよく見ていなかったために発見が遅れたりした事情は、過失の判断に関係します。

避けられたかどうかは、次の順に確かめます。

  1. 危険を認識できた時点:まず、映像にはみ出しが映り始めた瞬間をそのまま基準にするのではなく、運転していた位置から具体的な危険として認識できた時点と、そのときの双方の位置を確かめます。危険を具体的に認識するまでの若干の時間的余裕も考慮されます。
  2. 衝突までの時間と距離:次に、その時点から衝突までの距離、双方の速度とその根拠、衝突に至るまでの動きを確かめます。
  3. 現実的な回避手段:そのうえで、減速、制動、ハンドル操作の余地を検討します。瞬間的な反応まで求められるわけではありません。
  4. 周囲の安全:最後に、左へ避ける場合の路肩、歩行者、後続車、自車の安全を考慮します。危険な回避操作まで求められるわけではありません。

事故後に映像を繰り返し再生したり、スロー再生したりして気づけることと、運転中に認識できたことは同じではありません。自分に不利に見える部分や、説明と食い違う部分も削除せずに検討します。また、道路交通法第70条は、道路や交通の状況などに応じて他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転する義務(安全運転義務)を定めていますが、この義務があるというだけで、過失割合が直ちに一定の率で修正されるわけではありません。

速度違反と事故との因果関係を分ける

認定基準は、左側部分を通行していた車の「著しい過失」や「重過失」を、基本の過失割合の修正要素としています。ただし、「前方不注視」と指摘されたことだけで機械的に修正要素に当たるとされるわけではなく、いつ気づけたのか、認識が遅れたのか、その遅れが回避にどう影響したのかを具体的に確かめる必要があります。走行中だったというだけで、自分にも過失があることにはなりません。

速度違反は、対向車が追越しのために中央を越えてきた事故かどうかで分けて考えます。認定基準は、追越し中の対向車との事故では左側部分を通行していた車の速度違反を特に考慮し、それ以外の場面でも事故の結果と因果関係がある限り考慮するものの、一般には通常の過失の程度として評価するとしています(認定基準289頁)。

そのため、自分の車に速度違反があっても、当然に自分の過失割合が加算されるわけではありません。事故当時に適用されていた速度規制、速度の根拠(映像の表示、記録、推計の方法)、その速度が制動・回避や事故の結果に具体的にどう影響したのかを確かめます。

証拠の保存から保険会社への確認まで

消える資料と修理前の状態を先に保存する

事故の直後は、直ちに車を止めて負傷者を救護し、道路上の危険を防止したうえで、警察官に事故を報告します(道路交通法第72条第1項)。必要に応じて119番や110番に連絡し、医療機関を受診してください。撮影のために車を危険な位置に残したり、救護や通報を遅らせたりしてはいけません。安全のために車を動かしたときは、動かしたことと、動かす前後の位置を記録します。事故直後の流れは、交通事故直後の安全確保・連絡・記録の手順で説明しています。

安全を確保した後は、失われやすい資料から保存します。ドライブレコーダーの映像は上書きされることがあり、路面の痕跡や破片は清掃や車の通行で消え、車両の損傷は修理や廃車によって確かめられなくなります。資料ごとの保存の注意点は、「資料ごとに分かることと限界」にまとめています。

周辺の防犯カメラに事故が映っている可能性があるときは、管理者に場所と時間帯を特定して伝え、早めに保存への協力を求めます。保存の依頼に当然に強制力があるわけではなく、保存期間も一律ではありません。映像の提供を受ける方法は、適法な手続によることを前提に、弁護士に相談しながら検討します。衝突の状況を工学的に解析するかどうかも、資料の精度や費用を踏まえて検討します。

相手の説明を具体化し、示談前に確認する

保険会社から過失割合を示されたときは、数字だけでなく、次の前提を確認します。

  • 示された割合が、どちらの車について、どの順序で書かれているか
  • 想定している衝突地点と、双方の車の進路
  • 参照している事故類型と、基準の版
  • 自分のどの行為を過失としているか(いつ、何をすべきだったという主張か)
  • その主張の根拠となる資料と、その行為が事故の発生や結果に与えたとする影響

「避けられた」と主張されている場合は、「危険を認識できた時点から回避可能性を考える」で挙げた4つの点について具体的な説明を求め、争点を整理します。ただし、求めれば当然にすべての資料が開示されるとは限りません。

示談は、どの範囲の請求を終わらせる合意なのかを理解したうえで判断します。資料の散逸や期限が気になる場合は、資料を集め終わる前でも相談を検討してください。

過失ゼロと認められることと、損害額の全額が認められ、実際に支払を受けられることは別の問題です。また、相手の運転者や同乗者のけがについて、自分が運行供用者(自己のために自動車を運行の用に供する者)として賠償を求められた場合、責任を免れるには、自分及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと、自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことの証明が必要です(自動車損害賠償保障法第3条ただし書)。同条は人身損害についての規定であり、物損には適用されません。

なお、自分に過失がない事故では、自分の保険会社が示談交渉を代わりに行えない場合があります。その場合の対応は、過失ゼロの事故で自分の保険会社が示談交渉できない場合の対応で解説しています。

よくある質問

ドラレコがなくても過失ゼロを主張できますか

主張すること自体はできます。現場写真や路面の痕跡、車両の損傷、道路の形状、目撃者の説明、警察関係の資料などを組み合わせて、衝突地点と双方の進路を検討します。ただし、衝突の前後を連続して記録した資料がない分、立証が難しくなることはあります。周辺の防犯カメラなども含め、資料が失われる前に確認を進めることが大切です。

走行中だっただけで自分にも過失が付くのですか

走行中だったというだけで、過失があることにはなりません。典型的なセンターオーバーの事故では自分0・相手100が基本の過失割合とされ、自分の車線を通行する運転者には、一般に、対向車のはみ出しをあらかじめ予想する注意義務までは求められないとされています。問題になるのは、具体的な危険を認識できた時点ですぐに制動するなどすれば容易に避けられたのに、相手が戻ると思い込んだり発見が遅れたりした場合などです。自分の車に速度違反があった場合も、対向車が追越し中だったかを分けたうえで、その違反が事故の結果に影響したかを確かめます。

過失割合に疑問がある方へ

保険会社から示された過失割合や事故状況の説明に疑問があるときは、資料が揃うのを待たずに相談することができます。手元の資料から、衝突地点や相手の主張のどこが争点になっているかを整理し、追加で確保すべき資料や、示談の前に確認すべき点を検討します。

相談の際は、次の資料のうち手元にあるものをご用意ください。

  • ドライブレコーダーの元のファイル(前後のカメラがあれば、その両方)
  • 事故現場と、修理前の車両の写真
  • 修理見積りと、修理工場や保険会社が撮影した写真
  • 交通事故証明書(取得している場合)
  • 保険会社から示された過失割合と、その説明が分かる書面やメール
  • 目撃者の連絡先と、説明を記録したメモ
  • 弁護士費用特約の有無が分かる自動車保険の保険証券など

弁護士費用特約を使えるか、補償の上限額、保険会社の事前の承認の要否は、契約ごとに確認が必要です。

相談の予約は、お問い合わせページのフォームで受け付けています。フォームの送信は予約のお申込みであり、相談の実施や事件の受任をお約束するものではありません。相談の方法や条件は、初めての方への案内でご確認ください。

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交通事故の取扱いと弁護士費用

事務所紹介

弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所(兵庫県弁護士会所属)は、神戸市須磨区の名谷駅から徒歩1分の場所にある法律事務所です。交通事故は、当事務所の取扱業務の一つです。

所属弁護士については所属弁護士の紹介を、所在地と交通手段については事務所案内・アクセスをご覧ください。

参考資料と法律情報の基準日

法律情報の基準日:2026年10月10日

この記事は、同日時点で施行されている法令と、同日に確認した資料に基づく一般的な説明です。個別の事故では、事故当時の法令と交通規制の状況を確認する必要があり、結論は事実関係と証拠によって異なります。

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