相続放棄をご自身で進めるか、弁護士に依頼するかを検討する段階では、「いくらかかるのか」「どこまで任せられるのか」「依頼した後、自分は何をすればよいのか」が分からないまま、日数だけが過ぎてしまうことがあります。この記事では、神戸市内で相続放棄の依頼先を検討している方に向けて、弁護士費用と加算の条件、家庭裁判所に納める費用と実費、依頼できる業務の区分、相談から家庭裁判所の手続と受理後の対応までの役割分担を整理します。相続放棄は、親族に「遺産はいらない」と伝えることではなく、家庭裁判所に申述する手続です。期限の起算点や、これまでに相続財産をどのように扱ったかによって結論が変わりますので、記載の内容は一般的な整理としてお読みください。個別の事情により結論は異なります。
この記事で分かること
- 相続放棄の弁護士費用と、相続人が複数の場合・熟慮期間が切迫している場合・経過している場合の加算の考え方
- 家庭裁判所に納める費用(収入印紙・郵便料)と戸籍等の実費を、弁護士費用と分けて把握する方法
- ご自身で申述する場合と弁護士に依頼する場合で、判断と作業がどう変わるか
- 依頼できる業務の区分と、契約前に見積書・委任契約書で確認する項目
- 予約から受理後の対応までの、事務所が行うことと依頼者が行うこと
- 相談前に整理しておく時系列と資料、予約時に伝えるとよい内容
相続放棄は、期限の起算点と、これまでに相続財産をどのように扱ったかによって、検討すべき内容が変わります。手元の資料と、亡くなったことを知った時期などの時系列を整理したうえでご相談いただくと、方針と費用の見通しを検討しやすくなります。
早めに相談を検討したい四つの場面
次の四つの場面では、確認すべき事項と残しておくべき資料が、通常の場合と異なります。当てはまるものがあるかどうかを最初にご確認ください。いずれの場面も、結論をお約束できるものではありませんが、早い段階で資料を確認することで、選択肢と手順を整理しやすくなります。
| 場面 | まず確認すること | 残しておきたい資料 |
|---|---|---|
| 熟慮期間の残りが少ない | いつの時点を起算点として考えているか。手元にある戸籍で足りるか。申述先の家庭裁判所はどこか。 | 死亡が分かる資料、被相続人の最後の住所が分かる資料、すでに取得した戸籍 |
| 亡くなってから三か月以上が経っている | 亡くなったことをいつ知ったか。自分が相続人になったことをいつ知ったか。債務の存在をいつ知ったか。これらは別の事実です。 | 請求書、督促状、封筒の消印、先順位の相続人からの連絡の記録 |
| 亡くなった方の財産を使った・処分した | いつ、何を、いくら、誰に対して、どの資金から支払ったか。資料が残っているか。 | 通帳、取引明細、領収書、契約書、解約書類、やり取りの記録 |
| 訴状・支払督促・督促状が届いた | 書類の種類は何か。いつ受け取ったか。同封された書面に記載された提出期限や期日はいつか。 | 届いた書類一式、同封物、封筒(受け取った日が分かるもの) |
三か月の期限は「死亡の日」から数えるとは限りません
民法第915条第1項本文は、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない、と定めています。死亡の日、死亡を知った日、自分が相続人になったことを知った日、債務の存在を知った日は、いずれも別の事実です。特に、先順位の相続人が相続放棄をしたことで自分が相続人になった場合や、疎遠であった親族について債権者からの請求で初めて事情を知った場合には、起算点そのものが検討の対象になります。
また、最高裁判所第二小法廷昭和59年4月27日判決(昭和57年(オ)第82号)は、相続人が死亡等の事実を知った場合であっても、三か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、そう信ずるについて相当な理由があると認められるときは、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきである、と判示しています。裁判所の裁判手続に関する質問と回答でも、このような場合に相続財産の全部又は一部の存在を認識したときから三か月以内に申述すれば受理されることもある、と案内されています。
もっとも、この判決は、被相続人が連帯保証をしていた事案について判断したもので、死亡から三か月を過ぎた場合に常に起算点が後ろにずれることを認めたものではありません。また、「死亡から三か月を過ぎたら相続放棄はできない」とも、「借金を知った時から当然に三か月の期間が与えられる」とも言えません。どの事実をいつ知ったか、その時点で調査を期待できる状況であったかを、資料に基づいて確認する必要があります。
相談・予約・受任・戸籍の請求だけでは期限は延びません
弁護士への相談、相談の予約、委任契約の締結、戸籍の請求、債権者との交渉のいずれによっても、熟慮期間そのものは延びません。期間を延ばすには、相続の承認又は放棄の期間の伸長という別の家庭裁判所の手続が必要です。これは民法第915条第1項ただし書に基づくもので、裁判所の案内によれば、申立人は利害関係人(相続人を含みます。)又は検察官、申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所、費用は相続人一人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便料とされています。申立てをすれば当然に期間が延びるものではなく、また、すでに経過した期間を当然に回復させる制度でもありません。
なお、期限までに求められるのは申述をすることであり、三か月以内に受理まで終わらせる必要があるわけではありません。戸籍等について、申述前に入手が不可能なものは申述後に追加提出することでも差し支えないと案内されていますが、これはすべての書類が不要になるという意味ではありません。期限が迫っている場合は、到達日、提出方法、不足書類の取扱いを、申述先の家庭裁判所に確認してください。期限の起算点と必要書類の詳しい整理は、相続放棄の期限と必要書類の記事で解説しています。
訴状・支払督促が届いている場合は、別に期限があります
相続放棄の手続を進めても、別に係属している訴訟や督促の手続が自動的に止まるわけではありません。書類の種類によって、対応の期限が異なります。
- 支払督促 民事訴訟法第386条第2項により、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができます。同法第391条第1項は、債務者が支払督促(条文上の呼称は「電子支払督促」です。)の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、債権者の申立てにより仮執行の宣言をしなければならない、と定めています。
- 仮執行の宣言を付した支払督促 同法第393条により、仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から二週間の不変期間を経過すると、督促異議の申立てをすることができなくなります。前の二週間とは、起算点も効果も異なる別の期間です。
- 訴状 答弁書の提出期限や第一回の期日は、条文で一律に決まっているものではなく、送達された書類に記載されています。同法第159条第1項・第3項により、相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合や、期日に出頭しない場合には、その事実を自白したものとみなされることがあります。
相続放棄の受理を待つために、届いた裁判書類をそのままにしておくことは避けてください。相続放棄の検討と、届いた書類への対応は、並行して進める必要があります。
神戸で相続放棄を依頼する場合の費用
費用は、弁護士費用、別途費用が生じる業務、家庭裁判所に納める費用と実費の三つに分けて把握すると、見積書と委任契約書を確認しやすくなります。次の表は、当事務所の遺言・相続の取扱業務ページに掲載されている表示を、そのまま整理したものです(2026年9月15日確認)。
| 費用項目 | 取扱業務ページの表示 | 適用される場面と読み方 |
|---|---|---|
| 相続放棄の基本となる弁護士費用 | 5万5000円~(消費税込) | 「~」は下限を示すもので、総額が固定されているという意味ではありません。実費や、この表の他の行に記載した加算・別途費用は含まれていません。 |
| 同一の被相続人について放棄する相続人が複数いる場合 | 追加一名あたり5万5000円(消費税込)~ | 人数分の費用が生じる前提で、見積りの対象人数を確認してください。 |
| 申述期限(熟慮期間)が切迫している場合 | 一名あたり5万5000円(消費税込)~を加算することがある | 「加算することがある」という表示です。どの程度の残り日数から切迫として扱われるかは表示されていませんので、相談時に確認してください。 |
| 申述期限(熟慮期間)が経過している場合 | 一名あたり5万5000円(消費税込)~を加算する | 「加算する」という表示で、前項とは表現が異なります。経過しているかどうかは起算点の検討を経て判断されますので、死亡から三か月が過ぎているというだけで直ちに該当するとは限りません。 |
| 相続財産調査・相続人調査が必要となる場合 | 相続放棄の欄の表示は「相続財産調査・相続人調査が必要となる場合、別途費用をいただきます。」で、金額の表示はありません。同じページの別の項目として、相続財産調査は11万円~(消費税込。別途、登記情報・預貯金取引履歴等の取得費用が生じます。)、相続人調査は11万円~(消費税込。別途、戸籍・住民票等の取得費用が生じます。)と表示されています。 | 申述に必要な戸籍をそろえる作業と、独立した調査業務とは区別されています。どちらに当たるか、また、相続放棄の依頼の中で調査が必要になった場合にこれらの金額がそのまま適用されるかは、見積書でご確認ください。 |
費用の表示を読むときの注意
取扱業務ページの相続放棄の欄には報酬金の記載がありませんが、記載がないことから報酬が生じないと判断することはできません。報酬の有無と名目、支払の時期、実費の預り金、終了時・解除時の精算方法は、見積書と委任契約書でご確認ください。また、同じページに記載されている「着手金無料プランあり」や、着手金について「ご事情によって月額5.5万円からの分割払にも対応いたします」との記載は、「遺産分割案件における当事務所の対応体制」の見出しの下に掲載されているものです。相続放棄について同じ取扱いがされるかどうかは、契約前に確認してください。
家庭裁判所に納める費用と実費
弁護士費用とは別に、家庭裁判所に納める費用と、書類の取得に要する実費が生じます。次の表は、裁判所の案内と神戸家庭裁判所が公表している郵便切手及び予納金の一覧に基づく整理です(2026年9月15日確認)。
| 費用の種類 | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 申述人一人につき800円分 | 裁判所「相続の放棄の申述」 |
| 連絡用の郵便料 | 神戸家庭裁判所の一覧では、相続の放棄の申述について、郵便切手で納める場合は110円切手5枚(合計550円)、予納金として現金又は電子納付で納める場合は1,000円と案内されています。同一覧には、予納金の額は郵便料を現金・電子納付する場合の金額であり、郵便切手で納付する際は不要と明記されています。両方を合算して用意するものではありません。 | 神戸家庭裁判所「郵便切手及び予納金一覧」(家庭裁判所) |
| 戸籍等の取得費用 | 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、住民票除票、戸籍附票などの手数料。必要な範囲は、申述人が配偶者か、子か、直系尊属か、兄弟姉妹かによって変わります。 | 本籍地・住所地の市区町村 |
| 相続放棄申述受理証明書の交付 | 申請書に必要事項を記入し、収入印紙150円分(郵送の場合は返信用の郵便切手を添えて)、受理をした家庭裁判所に申請します。交付を受けるには申請が必要です。 | 裁判所「裁判手続に関する質問と回答(家事事件)」 |
| 期間の伸長を申し立てる場合 | 収入印紙は相続人一人につき800円分。神戸家庭裁判所の一覧では、相続の承認又は放棄の期間の伸長について、郵便切手で納める場合は110円切手5枚(合計550円)、予納金として納める場合は1,000円と案内されています。 | 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」、神戸家庭裁判所の一覧 |
郵便料の額と納付の方法は裁判所ごとに異なりますので、申述先が神戸家庭裁判所以外になる場合は、その裁判所の案内をご確認ください。申述人が複数いる場合の郵便料の取扱いを含め、提出前に一覧表で確認しておくと行き違いを避けられます。
契約前に確認する費用と業務の範囲
相続放棄の依頼で誤解が生じやすいのは、金額そのものよりも「その金額でどこまでやってもらえるのか」という点です。次の四つの項目は、見積書と委任契約書を受け取ったときに、事務所を問わず確認しておきたい事項です。以下は当事務所の標準料金にすべて含まれることを示す表ではありません。
| 確認する項目 | 確認する内容 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 基本料金に含まれる業務 | 申述書の作成、事情説明の整理、戸籍等の取得、家庭裁判所への提出、照会書への対応のうち、どこまでが基本料金の範囲か。 | 見積書の内訳と委任契約書の委任事項の記載を照らし合わせ、記載のない業務については口頭ではなく書面で確認する。 |
| 別途費用が生じる業務 | 期間の伸長の申立て、期限経過に関する事情説明、独立した相続財産調査・相続人調査、債権者との紛争への対応が、追加費用の対象かどうか。 | 追加費用が生じる条件(着手する前の説明の有無、金額の算定方法)を契約書で確認する。 |
| 依頼者に必要な作業 | 本人確認、相続放棄の意思の確認、事情の説明、資料の提出、書類内容の確認と必要な署名のうち、依頼後も自分で行う必要があるもの。 | 照会書が届いた場合の対応、署名が必要な書類の種類と時期を、契約の前に確認する。 |
| 手続終了後の対応 | 受理の報告、受理通知書等の書類の交付、受理証明書の取得、債権者への説明、後日に請求を受けた場合の連絡先と委任の範囲。 | 委任契約がいつ終了するのか、終了後に請求を受けた場合は改めて依頼が必要かを確認する。 |
- 見積書の金額が、加算(相続人の追加、熟慮期間の切迫・経過)を含んだ金額かどうか
- 実費の概算と、預り金の取扱い(精算の時期と方法)
- 費用の支払時期(着手時か、受理後か、分割の可否)
- 委任事項に、受理証明書の取得と債権者への通知が含まれているか
- 途中で解除した場合、期限に間に合わなかった場合の費用の取扱い
- 相続人が複数いる場合、誰と誰について委任契約を締結するのか
ご自身で申述する場合と、弁護士に依頼する場合
相続放棄の申述は、ご本人が行うことができる手続です。裁判所のウェブサイトには申述書の書式と記載例が掲載されており、必要書類と費用も案内されています。弁護士に依頼した場合に変わるのは、判断・書類作成・窓口対応の負担をどこまで代わりに担うかという点です。ご依頼によって受理されることをお約束できるものではありませんし、審理に要する期間が短くなることをお約束できるものでもありません。
| 確認項目 | ご自身で行う場合 | 弁護士に依頼する場合 | 依頼後もご本人の協力が必要なこと |
|---|---|---|---|
| 期限・起算点の判断 | どの事実をいつ知ったかを自分で整理し、起算点を判断します。 | 資料と経緯を確認したうえで、起算点の考え方と、期間の伸長を検討すべきかを整理します。 | いつ、誰から、何を聞いたかという事実は、ご本人しか分かりません。記憶と資料の突き合わせが必要です。 |
| 申述先(管轄)の確認 | 被相続人の最後の住所地を資料で確認し、管轄する家庭裁判所を調べます。 | 住民票除票・戸籍附票等で最後の住所を確認し、申述先を特定します。 | 被相続人の最後の住所が分かる資料の提供が必要です。 |
| 戸籍等の収集 | 本籍地の市区町村に請求します。兄弟姉妹が相続人の場合は、必要な戸籍の範囲が広くなります。 | 委任の範囲に応じて取得します。取得費用は実費として別に生じます。 | 本籍の変遷など、手元にある情報の提供が必要になることがあります。 |
| 申述書と事情の説明 | 書式に沿って記入します。期限経過が問題になる場合は、経緯の説明が重要になります。 | 事情を聴取したうえで、申述書と説明の内容を整理します。 | 申述書に記載する事実の確認と、必要な署名はご本人が行います。 |
| 家庭裁判所からの照会 | 照会書が届いた場合、記載された期限までに回答します。 | 回答の趣旨と記載方法を整理します。 | 照会は申述の意思と事情を確認するものですので、ご本人の認識に基づく回答が必要です。 |
| 債権者への対応 | 受理後、自分で請求元に連絡します。 | 委任の範囲に応じて、判明している債権者への通知や、その後の交渉・訴訟の対応を行います。 | どこから、いつ、いくらの請求を受けているかという情報の提供が必要です。 |
| 費用の負担 | 収入印紙、郵便料、戸籍等の実費が生じます。 | 上記の実費に加えて、弁護士費用が生じます。 | 実費の預り金や、加算の有無について確認が必要です。 |
申述先は、相談する場所ではなく被相続人の最後の住所地で決まります
相続放棄の申述先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。相談者の住所地、本籍地、亡くなった病院の所在地で決まるものではありません。神戸市内の事務所で相談することと、神戸家庭裁判所へ申述することは、別の事柄です。
裁判所が公表している兵庫県内の家庭裁判所の申立書提出先一覧では、神戸市の中央区、東灘区、灘区、兵庫区、長田区、須磨区、垂水区、北区、三木市及び三田市は神戸家庭裁判所本庁、明石市及び神戸市西区は神戸家庭裁判所明石支部、洲本市、淡路市及び南あわじ市は神戸家庭裁判所洲本支部とされています(同一覧には、管轄区域が神戸市西区である場合に限り、神戸家裁本庁に申立書を提出して本庁で手続を進めることも可能である旨の備考があります。2026年9月15日確認)。同じ神戸市内でも区によって提出先が異なりますので、被相続人の最後の住所を資料で確認したうえで、提出先一覧をご確認ください。
戸籍の集め方には、立場による違いがあります
戸籍証明書等の広域交付により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになっていますが、法務省の案内では、請求できるのは本人、配偶者、直系尊属(父母・祖父母など)及び直系卑属(子・孫など)とされ、郵送や代理人による請求はできない、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外である、顔写真付きの身分証明書の提示が必要である、と案内されています。したがって、兄弟姉妹やおい・めいの立場で被相続人の戸籍を集める場合は、この方法を利用できません。第三順位の相続人として相続放棄を検討している場合は、必要な戸籍の範囲も広くなりますので、早めに手順を確認してください。
なお、裁判所の案内では、戸籍等に代えて法定相続情報一覧図の写しを提出できる場合があるとされています(申述される家庭裁判所に確認することとされています)。また、神戸家庭裁判所は、家事事件に必要な戸籍謄本等について写し(コピー)を提出しても差し支えないと案内し、原本の返却を希望する場合の申出書の書式を掲載しています。これは神戸家庭裁判所の案内ですので、他の家庭裁判所に申述する場合は、その裁判所の取扱いを確認してください。
依頼できる業務と、基本料金に含まれる業務
ここで区別が必要なのは、弁護士が受任して行い得る業務、当事務所で受任できる業務、当事務所の基本料金に含まれる業務の三つです。法律上可能であることと、その事務所で受けていること、その料金に含まれていることは、それぞれ別の事柄です。次の表の「依頼前に確認すること」の列は、ご依頼の前に確認していただきたい事項として整理しています。
| 業務 | 内容 | 依頼前に確認すること |
|---|---|---|
| 戸籍等の取得 | 申述に必要な戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、住民票除票、戸籍附票の取得。 | 基本料金に含まれるか。取得費用(実費)の扱いと預り金の有無。 |
| 申述書・事情説明書の作成 | 相続放棄申述書の作成と、起算点や経緯についての説明の整理。 | 期限が経過している場合の事情説明が、加算の対象になるかどうか。 |
| 家庭裁判所への提出 | 申述書と添付書類の提出、費用の納付。 | 提出方法(持参・郵送)と、提出後の連絡の方法。 |
| 照会書への対応・補正 | 家庭裁判所からの照会書への回答の整理、不足書類の追完。 | 照会書がご本人宛てに届いた場合の連絡の方法。 |
| 期間の伸長の申立て | 相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立て。相続放棄の申述とは別の手続です。 | 別途費用の対象かどうか。どの段階で判断するか。 |
| 相続放棄申述受理証明書の取得 | 受理をした家庭裁判所への申請と受領。 | 委任事項に含まれるか。何通取得するか。 |
| 判明している債権者への通知 | 相続放棄の申述が受理されたことを、請求元に連絡すること。 | 通知する相手方の範囲をどう決めるか。相手方が判明していない債権者は対象外であること。 |
| 受理後の交渉・訴訟対応 | 債権者が相続放棄の効力を争ってきた場合の交渉、訴訟の対応。 | 相続放棄の申述とは別の委任事項になるかどうか。着手の条件と費用。 |
家庭裁判所からの照会は、申述の意思と事情を確認するためのものですので、ご本人の認識に基づく確認が必要になります。裁判所からご本人宛てに書類が届くこともありますので、郵便物は漏れなくご確認ください。また、判明している債権者への通知と、争いが生じた場合の交渉・訴訟の代理は、別の業務です。
費用と業務範囲は、事案の内容(相続人の人数、期限までの残り、財産や債務の調査の要否、すでに行った行為の有無)によって変わります。初回のご相談では、手元の資料を確認したうえで、想定される手順と費用の見通しを整理してお伝えします。ご相談の際は、亡くなったことを知った時期、放棄を希望する方の人数、届いている請求や裁判書類の有無をお知らせください。
相談から手続終了までの流れと役割分担
次の表は、標準的な進み方を段階ごとに整理したものです。照会の有無、審理に要する期間、受理までの日数は事案により異なりますので、「何日で完了する」「来所は一回で済む」といった見込みを前提にしないでください。
| 段階 | 事務所が行うこと | 依頼者が行うこと | 必要資料・確認事項 |
|---|---|---|---|
| 予約 | 相談日時の調整と、当日お持ちいただく資料のご案内。 | 氏名、連絡先、相談の概要を伝え、日時を決める。 | 予約の段階では、まだ申述業務を受任していません。この時点で期限が止まることもありません。 |
| 初回相談 | 時系列と資料を確認し、起算点の考え方、選択肢、想定される手順と費用の見通しを整理する。 | 事実関係を説明し、手元の資料を提示する。 | 死亡が分かる資料、被相続人の最後の住所が分かる資料、請求書・裁判書類、財産を扱った経緯のメモ。 |
| 方針・見積りの確認と委任契約 | 委任事項、費用、実費の取扱いを記載した見積書・委任契約書を提示する。 | 委任事項と費用を確認し、契約するかどうかを判断する。 | 相続人が複数いる場合、誰について委任契約を締結するか。利益が対立し得るかの確認。 |
| 資料収集・申述の準備 | 委任の範囲に応じて戸籍等を取得し、申述書と説明の内容を整理する。 | 手元資料を提出し、記載内容を確認する。必要な署名を行う。 | 不足する戸籍の範囲。申述前に入手が不可能なものの取扱い。 |
| 申述と裁判所対応 | 申述書と添付書類を提出し、費用を納付する。照会や補正の指示に対応する。 | 照会書が届いた場合、内容を確認して事実に基づき回答する(記載方法は事務所と確認する)。 | 郵便物の確認。回答期限。事実と異なる記載をしないこと。 |
| 受理結果の確認と書類の交付 | 結果を報告し、受理通知書等の書類を交付する。必要に応じて受理証明書を取得する。 | 受け取った書類を保管する。 | 受理証明書が必要かどうか。必要な場合は何通か。 |
| 必要に応じた受理後の対応 | 委任の範囲に応じて、判明している債権者への通知や、効力が争われた場合の対応を行う。 | 新たな請求や書類が届いたら、速やかに連絡する。 | 受理後の対応が委任事項に含まれるか。含まれない場合の依頼方法。 |
期間の伸長の申立て、訴状や支払督促への対応は、相続放棄の申述と並行して進める別の手続です。いずれも別に期限がありますので、申述の準備と同時に検討する必要があります。
判断が分かれやすい場面
次の整理は、一般的な考え方を示すものであり、当事務所の取扱事例や結果を示すものではありません。民法第921条第1号は、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定め、ただし書で保存行為及び民法第602条に定める期間を超えない賃貸を除いています。処分に当たるかどうかは、行為の性質、原資、時期によって異なります。
| 場面 | 出発点となる考え方 | 判断を左右する事情 | 見落とされやすい点 |
|---|---|---|---|
| 葬儀費用を支払った | 誰の財産から支払ったかが出発点になります。「葬儀費用であれば当然に問題にならない」とは言えません。 | 原資が相続財産か自己資金か。支払の時期。金額と内容。領収書と入出金の記録が残っているか。 | いったん相続財産から支払った後に自己資金で補填した場合など、資金の流れが複数あると説明が必要になります。 |
| 賃貸住宅の遺品整理・解約 | 保存に当たる行為と、処分に当たる行為は区別されます。 | 持ち帰った物の価値。廃棄した物の内容。解約書に署名したか。賃貸人からの要請の内容。 | 「片付けただけ」と考えていても、価値のある物を持ち帰ったり処分したりしていると、説明が必要になります。 |
| 被相続人名義の預金を解約した | 払戻しを受けたこと自体と、その資金を何に使ったかは、別に確認されます。 | 解約・払戻しの時期。金額。入金先。その後の使途。 | 手続のために一時的に移したつもりでも、使途の説明ができなければ疑義が残ります。資料を廃棄しないでください。 |
| 家族の代表者がまとめて相談したい | 相続放棄は相続人ごとに判断し、申述も相続人ごとに行う手続です。 | 各人の意思の確認。誰と委任契約を締結するか。相続人の間で利益が対立し得るか。未成年者が含まれるか。 | 代表者一人の依頼で全員の相続放棄が当然に完了するわけではありません。裁判所の案内では、未成年者は法定代理人が代理して申述し、未成年者と法定代理人が共同相続人であって未成年者のみが申述するときなどは特別代理人の選任が必要とされています。 |
なお、事実を隠したり、資料を廃棄したりすることは避けてください。家庭裁判所からの照会に対して事実と異なる記載をすることも同様です。事情を整理して説明することと、事実を変えることは別です。処分に当たり得る行為の詳しい整理は、相続放棄前の法定単純承認の記事で解説しています。借金の有無を調べる方法や限定承認との比較は、相続放棄・限定承認・債務整理の違いと選び方の記事をご覧ください。
相談前に整理しておく時系列と資料
相続放棄の相談では、日付の整理が判断を大きく左右します。次の項目を、分かる範囲で時系列に並べておいてください。分からない項目があっても構いません。
- 亡くなった日
- 亡くなったことを知った日と、知った経緯(誰から、どのように)
- 自分が相続人になったことを知った日(先順位の方の相続放棄を知った日を含みます。)
- 借金や保証債務の存在を知った日と、知った経緯
- 債権者から請求書・督促状・訴状・支払督促を受け取った日
- 亡くなった方の財産に触れた日時と、その内容(預金の入出金、遺品の持ち帰り、解約、支払など)
資料は、そろってから相談するのではなく、手元にあるものからお持ちください。期限が迫っている場合、資料をそろえている間に日数が過ぎることが、最も避けたい事態です。
- ご本人の本人確認書類
- 亡くなった方の最後の住所が分かる資料(住民票除票、戸籍附票など)
- すでに取得している戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
- 家族関係のメモ(相続人になり得る方の氏名、続柄、連絡先が分かる範囲で)
- 債権者からの請求書、督促状、封筒
- 訴状、支払督促、これらに同封されていた書類一式
- 亡くなった方の預金通帳、入出金明細、キャッシュカード
- 領収書、契約書、解約書類、賃貸借契約書
- 不動産の資料(固定資産税の納税通知書、名寄帳など)、車検証、保険証券
必要な戸籍の範囲や、期限までにそろわない場合の考え方は、相続放棄の期限と必要書類の記事で詳しく整理しています。
受理された後に確認すること
家庭裁判所が相続放棄の申述を受理すると、民法第939条により、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます。もっとも、受理されたことと、債権者との関係で相続放棄の効力が最終的に確定することとは、同じではありません。債権者が効力を争ってくる可能性は残りますので、受理後も次の点を確認してください。
- 受理通知書と受理証明書は別の書面です。 受理証明書は、申請書に収入印紙150円分(郵送の場合は返信用の郵便切手を添えて)、受理をした家庭裁判所に申請して交付を受けるものです。自動的に交付されるものではありません。
- 家庭裁判所がすべての債権者へ通知するわけではありません。 裁判所の案内では、債権者から債務の請求をされている場合には、債権者に対して家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されたことを連絡するのがよい、とされています。連絡は、ご本人又は代理人が行うものです。受理されれば、すべての請求が自動的に止まるわけではありません。
- 相続放棄は撤回できません。 民法第919条第1項により、相続の承認及び放棄は、民法第915条第1項の期間内であっても撤回することができません。同条第2項は、総則及び親族の規定による相続の承認又は放棄の取消しを妨げないとしていますが、その取消権には期間の制限があり(同条第3項)、取消しをするには家庭裁判所への申述が必要です(同条第4項)。適用される場面は限られます。
- 現に占有している財産がある場合は、保存義務が問題になります。 民法第940条第1項は、相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならないと定めています。放棄をした方が全員、無期限に管理責任を負うわけではありませんが、「放棄したのだから一切関わらなくてよい」ともいえません。占有の有無、引渡しの相手方、引渡しの時期を確認してください。
- ご自身固有の債務は、相続放棄では消えません。 ご自身が保証人として締結した契約に基づく債務、ご自身が当事者となっている契約上の債務、ご自身の行為による責任は、相続によって承継したものではありませんので、相続放棄の対象ではありません。請求書に記載された債務が、承継したものか、ご自身固有のものかを確認してください。
- 次順位の相続人に影響しますが、お子さまが代わって相続人になるわけではありません。 子が全員相続放棄をした場合には、民法第889条第1項により、直系尊属、次いで兄弟姉妹が相続人となります(配偶者は民法第890条により常に相続人となり、この順位の移動とは別に扱われます。)。他方、相続放棄は代襲相続の原因ではありません。民法第887条第2項が代襲の原因として挙げているのは、相続の開始以前の死亡、相続欠格及び廃除であり、相続放棄は含まれていませんので、放棄をした方のお子さまがその方に代わって相続人となることはありません。なお、民法第889条第2項は民法第887条第2項のみを準用していますので、兄弟姉妹の代襲は、おい・めいの代までです。誰が次に相続人となるかは戸籍を確認しなければ判断できませんので、通知の要否と方法を含めて整理してください。
また、被相続人について相続放棄・限定承認の申述をした相続人がいるかどうかを確認する手続として、家庭裁判所への照会があります。神戸家庭裁判所は、被相続人に対して利害関係を有する者が、相続放棄・限定承認の申述をした相続人の有無を知るための照会の書式を掲載しています。ご自身以外の相続人の状況を確認したい場合や、債権者から確認を求められた場合に、確認先の一つになります。
神戸みらい法律会計事務所への相談方法
当事務所は、神戸市須磨区中落合2丁目2-5 名谷センタービル7階にあります。神戸市営地下鉄西神・山手線の名谷駅から徒歩1分で、須磨区・垂水区のほか、西区、長田区、北区などからもお越しいただけます。お車でお越しの場合は、須磨パティオなどの近隣の駐車場(有料)をご利用ください。
初回相談の条件
当事務所では、初回の法律相談を無料としています(事前予約制です。)。初めての方へのご案内では、離婚・男女問題・子ども・ハラスメント・消費者問題に関する相談は原則として無料相談の対象外とされていますが、相続に関するご相談はこの除外に含まれていません。あわせて、次の点をご確認ください。
- オンライン相談・出張相談は、無料相談の対象外とされています。「オンラインでも初回無料」ではありませんので、ご希望の方法と費用を予約時にご確認ください。
- 出張相談は、原則として、けがや病気で入院中、高齢である、身体が不自由であるなどのご事情がある場合に限られ、原則として出張費用がかかります。
- 弁護士費用特約が利用可能でご本人のご負担がない場合には、相談料を請求させていただきます。
- 初めての方へのご案内では、無料相談のご予約は原則として平日営業時間にご予約いただいた場合に限られ、予約状況等によってはご対応できない場合があるとされています。
- 夜間・土日祝については、事務所案内のページで、ご予約いただいた場合にお電話でご相談内容を確認のうえ対応する旨が案内されています。この場合に初回無料の取扱いの対象となるかどうかは、ページによって案内が分かれていますので、ご予約の際にご確認ください。
- お電話でのご相談については、サイト内で案内の記載が分かれています。電話でのご相談をご希望の場合は、対応の可否と相談の条件を、ご予約の際にご確認ください。なお、電話でのご予約と、電話による法律相談は別のものです。
無料相談の対象と条件は、初めての方へのご案内に掲載しています。弁護士費用の全体像は弁護士費用のご案内を、相続放棄を含む取扱業務と費用の表示は遺言・相続の取扱業務ページをご確認ください。
ご予約の方法と、お伝えいただきたいこと
ご予約は、お電話(078-797-5227。電話受付は9:00~20:00)、相談予約フォーム、LINE公式アカウントから承っています。フォーム及びメールからのご予約は24時間受け付けていますが、これは受付の時間であり、弁護士が24時間ご相談に回答するという意味ではありません。フォームの送信や自動返信は、受任(委任契約の成立)ではありません。また、ご相談やお問い合わせによって、熟慮期間その他の期限が止まったり延びたりすることはありません。
ご予約の際には、氏名、連絡先、相談の概要(相手方の氏名等)をお伝えください。フォームからご予約の場合は、「ご相談の種類」で「法律相談のご予約」を選び、次の事項を「ご相談内容」の欄に分かる範囲でご記入ください。フォームに相続放棄専用の入力欄や資料の添付機能はありませんので、資料は相談の当日にご持参ください。
- 亡くなった方との続柄と、亡くなった方の最後の住所(市区町村まで分かれば結構です。)
- 亡くなったことや、ご自身が相続人になったことを知った時期
- 相続放棄を希望している方の人数(ご家族で複数名の場合はその内訳)
- 請求書、督促状、訴状、支払督促などが届いているかどうか
- 亡くなった方の財産を使ったり、処分したりしたことがあるかどうか
よくある質問
相続放棄の費用は、結局いくらになりますか。
当事務所の取扱業務ページでは、相続放棄の弁護士費用は5万5000円~(消費税込)と表示されています。これは下限を示すもので、総額が固定されているという意味ではありません。相続人が複数の場合の追加、熟慮期間が切迫している場合・経過している場合の加算、相続財産調査・相続人調査が必要な場合の別途費用は、これとは別です。あわせて、収入印紙800円分(申述人一人につき)、連絡用の郵便料、戸籍等の取得費用といった実費が生じます。総額は、資料を確認したうえで見積書でお示しします。
家族で複数名が相続放棄をしたい場合、費用はどうなりますか。
同一の被相続人について放棄する相続人が複数いる場合、追加一名あたり5万5000円(消費税込)~と表示されています。家族一式の料金や人数割引の表示はありません。相続放棄は相続人ごとに判断し、申述も相続人ごとに行う手続ですので、代表の方おひとりのご依頼で全員の手続が当然に完了するわけではありません。各人の意思の確認、委任契約の締結、相続人の間で利益が対立し得るかの確認が必要です。
戸籍は自分で集める必要がありますか。
ご自身で集めることもできますし、委任の範囲に応じて事務所が取得することもできます。どちらの場合も、戸籍等の取得費用は実費として別に生じます。なお、本籍地以外の市区町村の窓口でまとめて請求できる広域交付は、本人、配偶者、直系尊属及び直系卑属が窓口で請求する場合に限られ、郵送や代理人による請求はできないと案内されています。兄弟姉妹やおい・めいの立場では利用できませんので、必要な戸籍の範囲と手順を早めにご確認ください。
弁護士に依頼すれば、家庭裁判所に行かなくてよいのですか。
相続放棄の申述は書面によって行う手続ですので、当然に出頭を要するものではありません。もっとも、家庭裁判所から照会書が届くことがあり、その回答にはご本人の認識と意思の確認が必要になる場合があります。裁判所からご本人宛てに書類が届くこともありますので、郵便物は漏れなくご確認ください。「依頼後は何もしなくてよい」「裁判所から本人には連絡が来ない」ということはありません。
亡くなってから三か月以上経っていますが、相談できますか。
ご相談いただけます。民法第915条第1項本文の三か月は、死亡の日ではなく、自己のために相続の開始があったことを知った時から起算されます。最高裁判所第二小法廷昭和59年4月27日判決(昭和57年(オ)第82号)は、一定の要件のもとで、相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常認識しうべき時から起算すべきであると判示しています(要件は本文で整理しています。)。ただし、死亡から三か月が過ぎていれば当然にこの考え方が適用されるわけではなく、どの事実をいつ知ったかを資料で確認する必要があります。なお、当事務所の費用表示では、申述期限(熟慮期間)が経過している場合には一名あたり5万5000円(消費税込)~を加算するとされています。
亡くなった方が県外に住んでいた場合も、神戸で相談できますか。
ご相談は神戸の事務所で承れますが、申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。相談する場所と申述先は別の事柄ですので、県外の家庭裁判所が申述先になることがあります。県外の家庭裁判所への提出方法や対応の可否、費用の取扱いは事案により異なりますので、ご予約の際に被相続人の最後の住所をお知らせいただき、相談時にご確認ください。
受理された後に債権者から請求が来たら、どうすればよいですか。
家庭裁判所がすべての債権者へ通知するわけではありません。裁判所の案内では、債権者から債務の請求をされている場合には、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されたことを債権者に連絡するのがよいとされています。請求を受けた場合は、請求元、請求額、請求の根拠となる書面を確認してください。請求されている債務がご自身固有のものである場合や、債権者が相続放棄の効力を争ってきた場合は、対応が異なります。受理後の交渉や訴訟への対応が委任事項に含まれるかどうかは、契約前にご確認ください。
電話やオンラインでも相談できますか。
ご予約はお電話、相談予約フォーム、LINEから承っています。電話によるご相談については、サイト内で案内の記載が分かれていますので、対応の可否と条件を予約時にご確認ください。オンライン相談・出張相談は、初めての方へのご案内において無料相談の対象外とされていますので、ご希望の方法と費用をあわせてご確認ください。
まとめ
- 相続放棄は家庭裁判所に申述する手続で、親族に「遺産はいらない」と伝えることや、遺産分割で取得をゼロにすることとは別です。原則として、その相続の資産と負債の双方を承継しないことになります(民法第938条・第939条)。
- 当事務所の相続放棄の弁護士費用は、基本となる費用が5万5000円~(消費税込)と表示され、相続人の追加、熟慮期間の切迫・経過、相続財産調査・相続人調査については、別に加算又は別途費用の表示があります。総額固定ではありません。
- 弁護士費用とは別に、収入印紙800円分(申述人一人につき)と連絡用の郵便料、戸籍等の取得費用が生じます。神戸家庭裁判所の一覧では、郵便料を郵便切手で納める場合と予納金で納める場合が示され、予納金は現金・電子納付の場合の金額で、郵便切手で納付する際は不要とされています。
- ご自身で申述することもできます。依頼によって変わるのは受理の可否ではなく、判断・書類作成・窓口対応の負担です。依頼した後も、事実の確認、照会への回答、必要な署名はご本人にお願いすることになります。
- 申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。神戸市の須磨区・垂水区は神戸家庭裁判所本庁、西区と明石市は明石支部とされています。相談する場所とは別に決まります。
- 相談・予約・受任・戸籍の請求だけでは熟慮期間は延びません。期間の伸長は別の家庭裁判所の手続です。訴状や支払督促には、それぞれ別に期限がありますので、並行して対応してください。
- 受理後も、受理証明書の申請、債権者への連絡、現に占有している財産の保存義務(民法第940条第1項)、次順位の相続人への影響を確認する必要があります。
- 次の一歩としては、時系列と手元の資料を整理し、届いている書類の期限を確認したうえで、相談をご予約ください。資料がそろうまでお待ちになる必要はありません。
当事務所では、初回の法律相談を無料で承っています(事前予約制。オンライン相談・出張相談は無料相談の対象外です。)。ご予約の際は、亡くなった方との続柄と最後の住所、亡くなったことやご自身が相続人になったことを知った時期、相続放棄を希望している方の人数、請求書や裁判書類が届いているかどうか、亡くなった方の財産を使ったり処分したりしたことがあるかどうかを、分かる範囲でお知らせください。資料を確認したうえで、想定される手順と費用の見通しを整理してお伝えします。
相談予約フォームへ進む/078-797-5227へ電話する(電話受付9:00~20:00)/無料相談の対象・条件を確認する
弁護士紹介
代表弁護士・公認会計士 藤井 貴之(ふじい たかゆき)
兵庫県弁護士会所属・日本公認会計士協会兵庫会所属
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所
遺言・相続、交通事故、借金問題(債務整理)、労働問題、企業法務等のご相談に対応しています。相続の分野では、遺言書の作成支援、遺産分割、遺留分侵害額請求、相続放棄・限定承認の申述手続の支援、相続財産調査・相続人調査などを取り扱っています。
所在地:〒654-0154 兵庫県神戸市須磨区中落合2丁目2-5 名谷センタービル7階
参考資料
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言を行うものではありません。熟慮期間の起算点、法定単純承認に当たるかどうか、相続放棄の効力が債権者との関係でどのように扱われるかは、事実関係と資料により結論が異なります。費用、相談の条件、裁判所の運用は変更されることがありますので、実際のご対応にあたっては、最新の法令・公式情報をご確認のうえ、弁護士にご相談ください。記載の内容は令和8年9月時点の情報に基づきます。

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