顧問弁護士を変更したいとき|契約の見直しと引継ぎの進め方 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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顧問弁護士を変更したいとき|契約の見直しと引継ぎの進め方

顧問弁護士からの回答に時間がかかる、顧問料の範囲でどこまで相談できるのか分かりにくい、担当者が替わって経緯が伝わりにくいといった状況が続くと、顧問弁護士の変更が選択肢に上ります。

結論からいえば、顧問弁護士の変更は可能です。ただし、先に現在の顧問契約の終了条件と、新しい相談先の利益相反・受任可否を確認し、進行中の訴訟や交渉の担当に空白が生じないよう準備する必要があります。不満の内容によっては、現在の顧問弁護士との改善協議、単発の相談(セカンドオピニオン)、複数の弁護士の併用で解消できる場合もあります。また、変更できるということは、条件や費用の負担なしに即日で契約を終えられるという意味ではなく、新しい顧問が進行中の案件を当然に引き継ぐという意味でもありません。

本記事は、会社が依頼者となっている顧問契約を前提に、選択肢の比較から、解約と精算、進行中の事件の扱い、引継ぎの手順までを説明します。代表者個人やグループ会社が依頼者となっている案件は、契約の当事者が異なるため区別して確認します。個別の契約条項や事件の状況によって結論は異なります。

変更を決める前に、不満の内容を整理する

回答・対応範囲・費用・担当体制を分ける

替えるべきかどうかは、何が問題になっているかによって変わります。まず、不満を次の四つに分けて具体的に書き出します。

  • 回答:回答までの時間、回答の具体性、経過報告の頻度
  • 対応範囲:顧問料の範囲で相談できる業務と、別に費用がかかる業務の区別
  • 費用:月額顧問料の水準、顧問料と個別事件の費用の区別、請求の内訳
  • 担当体制:担当弁護士、不在時の連絡先、事務所内での情報の共有

そのうえで、顧問契約書や覚書に回答の目安や対応範囲の定めがあるかを確認し、実際のメールや相談記録と照らし合わせます。返信があっても、それが受付の連絡なのか、実質的な回答なのかは区別が必要です。回答が遅れている理由が、追加資料の提出待ちや、法令・裁判例の調査を要する問いであることも考えられます。

弁護士職務基本規程は、受任した事件に速やかに着手して遅滞なく処理すること(第35条)、必要に応じて経過を報告し、依頼者と協議しながら処理を進めること(第36条)を定めていますが、回答の期限を一律に定めたものではありません。回答の目安は、顧問契約で定めるか、個別に取り決めることになります。

改善協議で解消できること、別の相談先が必要なこと

不満があるからといって、直ちに変更が必要になるとは限りません。回答の目安、連絡窓口、報告の頻度、費用の示し方といった運用の問題であれば、改善を求める事項と、改善を確かめる時期を具体的に決めて協議することで解消できる場合があります。協議の内容は、メールや議事メモに残しておきます。

また、弁護士の意見が期待した結論と違うことだけで、能力が不足していると判断するのは適切ではありません。不利な見通しにも、事実関係や証拠からみて相応の理由があり得ます。見通しの当否を確かめたいときは、次に説明するセカンドオピニオンが選択肢になります。

一方、提出期限や期日が迫っている案件がある場合や、利益相反のおそれがある場合は、改善協議がまとまるのを待たずに、対応できる弁護士を確保する必要があります。

改善協議・セカンドオピニオン・併用・変更を比較する

別の意見を聞くだけの場合と、担当を変える場合

現在の顧問契約を解約しなければ、他の弁護士に相談できないわけではありません。区別したいのは、別の弁護士に意見を聞くこと(セカンドオピニオン)と、交渉や裁判で会社を代理する弁護士を替えることです。意見を聞くだけであれば、相手方との交渉や裁判所への書面の提出を担当する弁護士は変わりません。

弁護士職務基本規程第40条は、受任している事件について依頼者が他の弁護士等に依頼しようとするとき、弁護士は正当な理由なくこれを妨げてはならないと定めています。複数の弁護士と顧問契約を結ぶこと(いわゆる二重顧問)も、一律に禁止されているわけではなく、一律に勧められるものでもありません。現在の顧問契約の定めと、相談先での利益相反の有無を確認したうえで判断します。

セカンドオピニオンは、提供した資料と説明を前提とした意見です。現在の弁護士の意見書や回答メール、契約書などの関係資料をそろえ、どの点について意見を求めるかを特定しておくと、意見の違いがどこから生じているかを確かめやすくなります。

併用するときは、役割と指示窓口を決める

特定の分野や案件だけを別の弁護士に任せる場合や、顧問を移行する期間に新旧の弁護士が並行する場合は、次の点を先に決めておきます。

  • 主担当:案件ごとに、処理の責任を持つ弁護士
  • 対外交渉の窓口:相手方や裁判所とのやり取りを担当する弁護士
  • 期限管理:期日や提出期限を管理する担当者
  • 社内決裁:弁護士の意見が分かれたときに方針を決める社内の責任者

同じ事件を担当する弁護士の間で処理の方針について意見が一致せず、依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、弁護士はその事情を依頼者に説明しなければならないとされています(弁護士職務基本規程第41条)。なお、セカンドオピニオンを求めただけで、新しい弁護士が書面の提出や期日への出頭を担当することにはなりません。代理を任せるには、その弁護士に別に依頼し、受任してもらう必要があります。

四つの選択肢を状況別に整理すると、次のとおりです。どれが優れているかを示すものではなく、状況に応じて選ぶものです。

顧問弁護士との関係を見直す四つの選択肢
選択肢 適する状況 先に決めること 費用・引継ぎの注意
改善協議 不満が回答の目安や連絡方法などの運用面にあり、信頼関係が保たれている 改善を求める事項、改善を確かめる時期、協議の記録の残し方 契約は続くため、引継ぎは生じない。業務範囲や回答の目安を変える場合は、変更内容を書面で確認する
単発相談・
セカンドオピニオン
現在の方針や見通しについて別の弁護士の意見を確かめたい、又は顧問の範囲外の案件を単発で相談したい 意見を求める論点、渡す資料の範囲、利益相反の確認に必要な情報 相談料は顧問料とは別に生じ得る。意見を聞くだけでは、代理人は替わらない
併用 特定の分野・案件だけを別の弁護士に任せたい、又は移行期間に新旧の弁護士が並行する 主担当、対外交渉の窓口、期限管理の担当、意見が分かれたときの社内決裁者 顧問料や個別事件の費用が重なる期間がある。共同で担当する案件は、情報共有の方法を決める
変更 改善協議では解消が見込めない、又は利益相反などにより現在の弁護士に依頼を続けられない 現在の契約の終了日、新しい顧問の受任可否と開始日、進行中の案件の担当 終了時の精算、原本・電子データの受渡し、個別事件の代理人の交代手続が必要になる

費用を比べるときは、月額顧問料の差だけでなく、新旧の顧問料が重なる期間、個別に依頼する事件の費用、資料の確認や社内の引継ぎにかかる負担も含めて検討します。顧問契約そのものを続けるかどうかから見直す場合は、顧問契約の必要性と費用対効果を確認するページも参考になります。

解約前に、契約条件と費用の精算を確認する

民法上の解除と、契約の解約予告・自動更新

顧問契約は、法律相談や助言などの事務を継続的に委ねる契約です。業務の内容に応じて、委任(法律行為の委託)又は準委任(法律行為でない事務の委託)の規律が問題になり、契約の名称だけで全ての業務の法的性質が一律に決まるわけではありません(民法第643条、第656条)。

民法第651条第1項は、委任は各当事者がいつでも解除できると定めており、この規定は第656条により準委任にも準用されます。ただし、解除できることと、費用や損害賠償の負担が残らないことは別の問題です。同条第2項は、相手方に不利な時期に解除したとき、又は委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除きます。)をも目的とする委任を解除したときは、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならないと定めています。有償の顧問契約であることだけで同項第2号に当たるわけではなく、残りの契約期間の顧問料の全額が当然に損害になるわけでもありません。条文は民法(第651条・第656条等)で確認できます。

実際の解約では、民法の原則と並んで契約書の定めを確認します。期間の途中で終了させる中途解約と、契約期間の満了時に更新しない更新拒絶を区別し、次の事項を契約書と覚書から抜き出します。

  • 解約の予告期間と、更新を拒絶できる期限
  • 通知先と通知方法(書面、電子メールなど)
  • 終了日の定め方と、最低契約期間の有無
  • 違約金や、中途解約時の顧問料に関する条項
  • 個別事件の取扱いや、資料の保管・返還に関する特約

予告期間の長さは契約によって異なり、全ての顧問契約に共通する日数はありません。違約金などの条項の効力や、解約によって損害が生じるかどうかは、条項の内容と事情によって個別に判断され、条項があれば当然に有効とも、一律に無効ともいえません。なお、令和2年(2020年)4月1日より前に締結された委任契約には、改正前の民法が適用される経過措置があります(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則第34条第1項)。長く続いている契約は、締結・更新・変更の経緯も確認します。

月額顧問料・個別事件の報酬・預り金を分ける

顧問契約を終了するときは、精算の対象を項目ごとに分け、明細で確認します。対象になり得るのは、最終月の顧問料、前払いの顧問料、未払いの報酬、個別事件の着手金と成功報酬、実費、預り金です。

民法上、委任が履行の途中で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できます(民法第648条第3項)。成果に対して報酬を支払う約束の場合は第648条の2と第634条、事務処理に必要な費用の償還は第650条が関係します。ただし、実際の精算は、報酬に関する特約、業務の内容、履行の状況によって決まります。

そのため、「相談がなかった月の顧問料は返金される」「着手金は常に返還されない」「弁護士を替えれば成功報酬は発生しない」といった一律の扱いはできません。月額顧問料は相談の件数だけで決まるとは限らず、月の途中で終了した場合の日割り計算が法律で定められているわけでもありません。弁護士は、受任の際に報酬と費用について適切な説明をし(弁護士職務基本規程第29条第1項)、委任の終了に当たっては委任契約に従って金銭を清算することとされています(同規程第45条)。顧問契約に基づく事件については委任契約書の作成を要しない場合もあるため(同規程第30条第2項)、顧問料の範囲で処理されている案件と、別に費用の定めがある案件を弁護士に確認します。

会社側では、帳簿上の前払いの金額や弁護士に預けている金銭の残高と、弁護士から受け取る明細を照らし合わせておくと、精算の漏れを防ぎやすくなります。

終了通知は対象と日付が分かる形で残す

意思表示は、原則として相手方に到達した時に効力を生じます(民法第97条第1項)。契約が通知の到達と発送のどちらを基準にしているか、予告期間や更新拒絶の期限、終了日の定め方を確認し、契約で定められた方法で通知します。口頭で伝えるだけで済ませず、通知の控えと受領の記録を残します。また、委任の解除は将来に向かってのみ効力を生じるため(民法第652条、第620条)、解除によって終了前に生じた報酬などが消えるわけではありません。

通知には、少なくとも次の事項が分かるように記載します。

  • 終了させる契約(契約の名称、締結日、変更の覚書があればその日付)
  • 中途解約か、期間満了時の更新拒絶か
  • 希望する終了日、又は合意した終了日
  • 終了後も現在の弁護士に継続を依頼する個別案件と、委任を終了させる個別案件
  • 精算明細の送付の依頼(最終月の顧問料、前払分、未払報酬、実費、預り金)
  • 原本・資料の返還と受渡しの方法、会社側の連絡窓口

「変更を検討しています」といった曖昧な連絡は、確定した終了通知の代わりになりません。先に協議したい場合は協議の申入れであることを明示し、終了を決めた段階で改めて通知します。通知の文面は、相手への評価を書き連ねるよりも、事実と事務的な事項に絞るほうが、その後の引継ぎを進めやすくなります。

新しい顧問の受任可否と、進行中の事件を先に確認する

機密資料の送付前に利益相反を確認する

新しい顧問の候補が決まっても、すぐに切り替えられるとは限りません。弁護士は、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件や、受任している他の事件の依頼者又は継続的な法律事務の提供を約している者を相手方とする事件などについて、職務を行えないとされています(弁護士職務基本規程第27条、第28条)。この制限は、同じ事務所の他の弁護士や、所属する弁護士法人との関係でも問題になります(同規程第57条、第63条から第66条まで)。依頼者等の同意による例外の範囲は規定ごとに異なり、関係者の同意があれば当然に受任できるわけではありません。

そのため、契約書や紛争の資料を詳しく送る前に、会社の正式名称、相手方の名称、主要な関係者(関係会社、役員など)と相談の概要を伝え、受任できるかどうかと、資料の送り方を確認します。相談の予約は、受任の承諾を意味するものではありません。

顧問契約の終了と、訴訟等の委任終了を分ける

顧問契約を終了しても、進行中の訴訟、調停、交渉などの個別事件の委任が当然に終了するとは限りません。反対に、全てを終わらせるつもりでも、案件ごとの委任の範囲によっては別の手続が必要になります。案件ごとに、現在の弁護士が引き続き担当するか、新しい弁護士に交代するか、一定期間は共同で担当するかを決め、双方の弁護士に受任の範囲を確認します。

訴訟の代理人を交代する場合は、現在の弁護士との委任を終了させる意思表示と、訴訟上の手続を区別します。訴訟代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ効力を生じません(民事訴訟法第59条、第36条第1項)。通知をした者は、その旨を裁判所に届け出なければならず(民事訴訟規則第23条第4項)、新しい代理人は自らの権限を証明する必要があります(同条第1項)。これらの通知や届出をどちらの弁護士が行うかは、双方の弁護士の間で調整します。なお、民法第655条が定める委任の終了事由の通知は、委任契約の相手方である弁護士に対するもので、訴訟の相手方への通知とは別のものです。

弁護士の変更だけで期限は止まらない

顧問弁護士や訴訟の代理人を替えても、それだけで、期日、書面の提出期限、判決などに対する不服申立ての期間、時効の期間が自動的に止まったり延びたりすることはありません。訴訟手続の中断は、当事者の死亡など民事訴訟法第124条が定める事由によって生じるもので、訴訟代理人の交代はこれに当たりません。

委任が終了した後も、急迫の事情があるときは、受任者は委任者が自ら事務を処理できるようになるまで必要な処分をしなければならないとされています(民法第654条、第656条)。ただし、これは急迫の事情がある場合に限られた義務であり、新しい弁護士が決まるまで、現在の弁護士が全ての業務を続けることを意味するものではありません。

期限が近い案件がある場合は、期限の日付とその根拠となる資料(期日の通知、相手方からの通知書、判決などの送達を受けた日の記録など)を案件ごとに確認し、期限までの対応を誰が担当するかを先に決めます。期限の直前に代理人を交代すると、新しい弁護士が記録を検討する時間が足りなくなるおそれがあります。

切替日から逆算して、資料と担当を引き継ぐ

継続顧問と個別事件を分けた引継表

ここでいう切替日は、新しい顧問体制が始まる日を指します。訴訟などの個別事件で代理人を交代する日は、案件ごとに別に決めます。次の表の順序は実務上の進め方の一例であり、法律で定められた日数や手順ではありません。

準備として、全ての未了案件を案件台帳にまとめます。台帳には、案件名、依頼者(会社か、代表者個人・グループ会社か)、相手方、担当者、期限とその根拠資料、次に行う作業、原本の所在、未精算の金額を記録します。そのうえで、解約予告の期限と各案件の期限を先に置き、切替日を調整します。

切替日から逆算した引継ぎの確認表
時点 継続顧問の終了・開始 訴訟等の個別委任の終了・継続 確認記録
切替候補日の前 契約期間、解約予告の期限、更新日を契約書から抜き出す 全ての未了案件について、裁判所・事件番号、期日、提出期限、不服申立ての期限などを整理する 契約一覧、案件台帳
予告期限の前 新しい顧問の利益相反・受任可否、開始日、業務範囲を確認する 現在の弁護士が継続するか交代するか、新しい弁護士が各案件を受任できるかを確認する 受任範囲と、移行中の担当者の記録
終了通知時 対象の契約と終了日を明記して通知し、到達を確認する 委任を終了させる案件だけを別に特定し、必要な通知・届出を担当者間で調整する 通知の控え、受領の記録、届出の状況
切替日まで 社内の相談窓口と資料の送付先を周知する 各案件の期限より前に、原本、訴訟書類、証拠、交渉経過、相手方との約束、次に行う作業を引き継ぐ 資料目録、受領の確認、期限ごとの担当
切替日 旧顧問契約の終了と、新しい契約の開始を確認する 案件ごとに継続・終了・新規受任を再確認し、全ての事件を一斉に終了扱いにしない 担当表、送達先や電子記録の閲覧などの設定
切替後 最終月の顧問料や前払分を精算し、新体制の運用を確認する 残っている資料、預り金、報酬・実費、次の期限を確認する 精算書、未完了事項の一覧

案件の期限が解約予告の期限より先に来る場合は、案件の期限を優先します。予告期限を過ぎていた場合や、新しい顧問がまだ決まらない場合は、切替日や移行期間中の担当を個別に調整します。全ての資料がそろうまで何も進めないのではなく、期限の近いものから順に引き継ぎます。

原本・電子データ・預り金の受渡しを確認する

受任者は、委任が終了した後、遅滞なく委任事務の経過と結果を報告し(民法第645条)、事務の処理に当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければなりません(民法第646条第1項)。弁護士職務基本規程も、預り金と預り品の保管(第38条、第39条)、委任終了時の処理結果の説明(第44条)、金銭の清算と預り金・預り品の返還(第45条)を定めています。

受渡しでは、次の点を資料目録にまとめ、受領を確認します。

  • 契約書などの原本の所在
  • 裁判所や相手方に提出済みの書面・証拠と、未提出の資料の区別
  • 電子データが最終版かどうか、添付資料がそろっているか
  • 交渉の経過と、相手方に約束している事項
  • 預り金の残高と、返還を受けていない資料

もっとも、弁護士が業務のために作成した内部メモを含め、全ての記録の引渡しを当然に求められるとは限りません。反対に、報酬の未払いがあることを理由に、全ての資料の返還を当然に拒めるともいえません。資料の返還や精算に争いがある場合は、期限のある手続への対応を先に確保し、争いのある点の整理を並行して進めます。

電子データについては、弁護士は依頼者について職務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならず(同規程第23条)、事件記録の保管・廃棄に際して秘密とプライバシーに関する情報が漏れないよう注意する必要があります(同規程第18条)。顧問料を会社が支払っていても、従業員や役員が個人として相談した記録を、会社の判断だけで一括して移すことは避け、依頼者が誰か、誰に開示できるかを確認します。元のデータと変更履歴を保存し、移管先・アクセス権限・受領を確認してから、共有フォルダなどの権限を整理します。現在の弁護士が業務上保存しておく必要のある記録まで、一律に削除を求めることは適切ではありません。

切替後の相談方法と追加費用を文書でそろえる

新しい顧問との間で同じ不満を繰り返さないよう、契約の段階で次の事項を文書にしておきます。

  • 業務範囲:顧問料の範囲で対応する業務と、別に費用がかかる業務の区別
  • 相談窓口:社内の担当者と、事務所側の連絡先
  • 回答の目安:通常の相談と、調査を要する相談の回答時期の考え方
  • 緊急時・不在時:緊急時の連絡方法と、担当弁護士が不在のときの対応
  • 追加費用:追加費用がかかる場合の見積りと、社内での承認の方法
  • 利益相反:利益相反が判明した場合の扱い

社内でも、弁護士に依頼できる担当者と、追加費用を承認する決裁者を決めておくと、窓口が分散せずに済みます。顧問契約で相談できる業務の例は、顧問弁護士に相談できる業務を確認するページで紹介しています。

よくあるご質問

現在の顧問との契約を続けたまま、別の弁護士に相談できますか。

相談できます。意見を聞くことと代理人を替えることは別で、相談しただけで現在の契約や代理人が変わることはありません。現在の顧問契約の定めを確認し、相談先には先に会社名や相手方の名称を伝えて、利益相反の確認を受けてください。当事務所でも、他の弁護士に相談中の案件や裁判所で審理中の案件のご相談をお受けしていますが、担当弁護士の判断により有料となる場合があります(他の弁護士に相談中の案件についての相談案内)。

裁判中でも顧問弁護士を変更できますか。

変更できますが、顧問契約の終了と訴訟の代理人の交代は分けて考えます。訴訟は現在の弁護士が続けて担当する、新しい弁護士に交代する、一定期間共同で担当するといった方法があり、案件ごとに双方の弁護士と確認します。代理人を交代する場合は、相手方への通知、裁判所への届出、新しい代理人の権限の証明が必要です。代理人を替えても、それだけで期日や提出期限が止まることはありません。

解約するとき、理由を詳しく説明する必要がありますか。

民法上、委任や準委任は各当事者がいつでも解除でき(民法第651条第1項、第656条)、理由を詳しく説明することが解除の要件として一律に求められているわけではありません。ただし、契約に解約の手続や理由の通知に関する定めがあれば、それに従います。また、やむを得ない事由があったことや、相手方の債務不履行を主張して損害賠償や違約金の負担を争う場合は、その事実と、裏付けとなるやり取りの記録などを整理しておく必要があります。

資料が全部そろっていなくても相談できますか。

相談できます。手元にある顧問契約書、請求書、進行中の案件の一覧などから確認を始め、足りない資料は確認しながら補います。期限が迫っている案件があるときは、資料がそろうのを待たずにご相談ください。

顧問契約の見直しについて相談する

相談の際は、次の資料や情報を用意いただくと、改善協議・併用・変更のどれが適するかを検討しやすくなります。

  • 顧問契約書と、変更の合意書・覚書
  • 進行中の案件の一覧と、それぞれの期限(期日、提出期限など)
  • 顧問料・個別事件の費用の請求書と、支払の記録
  • 困っている点と、希望する対応(改善、併用、変更のいずれを考えているか)

予約の段階では、会社名、相手方の名称、相談の概要と、期限が迫っている案件があればその日付をお知らせください。契約書や紛争の資料などの詳しい資料は、利益相反の確認が済んでからお送りください。

相談の予約

現在の顧問契約の条件と進行中の案件を確認しながら、改善協議、別の弁護士の併用、顧問の変更のいずれが可能か、どの範囲で進めるかを検討します。相談の方法と費用は、予約の際にご確認ください。お問い合わせフォームからの送信は相談予約の受付であり、ご依頼の承諾(受任)や期限への対応をお約束するものではありません。

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事務所・弁護士紹介

弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所は、神戸市須磨区の名谷センタービル7階(名谷駅から徒歩1分)にあり、会社の顧問契約や企業法務のご相談をお受けしています。

代表弁護士の藤井貴之は、弁護士と公認会計士の資格を有し、兵庫県弁護士会に所属しています。顧問契約の見直しでは、契約条項の確認とあわせて、顧問料と個別事件の費用の内訳、移行期間の資金負担、社内の承認手続や資料管理の整理も検討します。

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参考資料

情報基準日:令和8年(2026年)10月27日。本記事は、同日時点の法令・規程に基づく一般的な説明です。

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