狭い道路ですれ違い事故|止まっていた場合・道路幅と過失割合 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|

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狭い道路ですれ違い事故|止まっていた場合・道路幅と過失割合

狭い道路で対向車とすれ違う際に接触し、自分は止まっていたのに、保険会社から50対50(5対5)の過失割合を示されると、納得しにくいものです。結論からいえば、過失割合は、止まっていたかどうかだけで、過失ゼロとも50対50とも決まるものではありません。まず事故がどの類型に当たるかを確かめ、そのうえで、停止するまでの経過、道路の幅と車両の大きさ、待避できた場所、速度などの事情を資料で確認していきます。

この記事の前提

  • 対象は、同じ道路を対向方向から直進してきた四輪車同士が、狭い道路ですれ違う際に接触した事故です。普通乗用車や軽自動車による物損事故を主に想定しています。
  • 歩行者・自転車・二輪車が関わる事故、交差点での事故、駐車場内の事故、後退中の事故は対象としていません。
  • 過失割合は、個別の事故の事実関係と資料によって異なります。

狭い道のすれ違い事故は、まず事故類型を確認する

過失によって他人の権利を侵害し、損害を与えた者は、不法行為による損害賠償責任を負います(民法第709条)。そして、民法第722条第2項は、被害者にも過失があったときは、裁判所がこれを考慮して損害賠償の額を定めることができるとしています。これが過失相殺です。いわゆる過失割合は、この過失相殺の程度を割合で表したもので、どちらが悪いかを採点するものではありません。

基本の50対50が参考になる場面

過失割合の検討では、実務上、『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕』(別冊判例タイムズ39号、2026年3月刊。以下「認定基準」)が参照されます。認定基準の数値は実務上の参考基準であり、法律で定められた割合でも、個別の事故の結論をそのまま示すものでもありません(民法第722条第2項、認定基準1頁)。書誌情報は、出版社の別冊判例タイムズ39号〔全訂6版〕のページで確認できます。

狭い道でのすれ違い事故で主に参照されるのは、認定基準の【Ⅲ-53】(狭路等のすれ違いが困難な道路における事故)です。この類型は、左側部分の幅が安全な通行に十分でないなど、道路の中央から右側へのはみ出しが認められる道路で、対向方向から直進してきた車両同士が接触した場面を扱い、双方が走行していたことを前提に、基本の割合を50対50としています(認定基準288頁、291頁注①)。

道路交通法第17条第5項は、左側部分の幅がその車両の通行に十分でない場合(第2号)や、道路の損壊、工事その他の障害のために左側部分を通行できない場合(第3号)に、右側部分へのはみ出しを認めています。【Ⅲ-53】は、物理的に通れない場合だけでなく、安全な間隔を空けてすれ違えない場合や、電柱、道路の損壊、工事、駐車車両などで一部分だけすれ違いが難しくなっている場合も含むものとされています(認定基準291頁注①)。

他方で、中央線がない、道幅が何メートル未満である、ミラー同士が接触した、という事実だけで、この類型に当たるかどうかが決まるわけではありません。類型を確かめないまま「すれ違い事故だから50対50」とする説明は、正確ではありません。

センターオーバー事故との違い

車両は、道路の中央から左の部分(左側部分)を通行するのが原則で、道路標識等による中央線があるときは、その中央線が設けられた部分が中央となります(道路交通法第17条第4項)。左側部分の幅が足りない場合や障害がある場合に右側部分へはみ出すときも、はみ出し方はできるだけ少なくしなければなりません(同条第5項)。また、車両通行帯のない道路では、自動車は道路の左側に寄って通行するのが原則です(同法第18条第1項)。どこまで寄るかは、歩行者や側溝などの状況も踏まえて考えることになります。

認定基準は、【Ⅲ-52】(直進車とセンターオーバー車の事故)と【Ⅲ-53】を分けています。【Ⅲ-53】に当たる場面では、中央を越えたこと自体は原則として修正の要素とされない一方、必要以上に大きく右側へはみ出していた場合には、【Ⅲ-52】によることが検討されます(認定基準288頁~289頁、291頁注①)。左側部分を安全に通れる道路で中央を越えた事故と、左側部分の幅が足りないためのやむを得ないはみ出しを同一視して、「中央を越えた側が全面的に悪い」とする説明は正確ではありません。問題は、はみ出しが必要な範囲にとどまっていたかどうかです。なお、センターオーバー事故そのものの扱いは、この記事では取り上げていません。

止まっていた場合は、停止の時点と場所が重要

「止まっていた」という事情は重要ですが、いつ、どこで止まったかによって評価は変わります。

接触直前に止まった場合

認定基準は、一方が接触の直前に停止した場合も【Ⅲ-53】によることができるとし、周囲の道路状況からみて停止した位置が適切だったかどうかは、待避所や著しい過失などの事情として考慮される場合があるとしています(認定基準291頁注①)。

したがって、直前に止まったから当然に過失がない、あるいは当然に50対50になる、というわけではありません。停止するより前の段階で、手前の待避場所で待つなどして衝突を避けられたかどうかも検討されます。

余裕をもって停止していた場合

接触より前に余裕をもって、適切な場所で停止していた場合は、双方の走行を前提とする50対50を、そのまま出発点にできるとは限りません。相手方が停止している車を認識し、衝突を避けることができたか、停止するまでの自分の運転に問題がなかったかなどを、個別に検討することになります(民法第709条、道路交通法第70条参照)。

事情によっては、停止していた側に過失がないと評価される可能性もあります。ただし、直前に停止した場合も【Ⅲ-53】によることができるという認定基準の説明を反対に読んで、余裕をもって停止していれば一般に0対100になる、とまではいえません。停止から接触までの秒数だけで、一律に結論が決まるものでもありません。

道路幅・車幅・待避場所から何を確認するか

どちらが、どこで譲ることができたかを検討するため、道路と車両の条件をそろえて確認します。

道路幅と車幅を同じ条件で比べる

道路の幅は、地図や図面上の幅と、側溝、電柱、駐車車両などを踏まえて事故当時に実際に通行できた幅を分けて確認します。車両も、車検証やカタログの寸法だけでなく、ミラーなどの突出部を含む事故当時の外形を確認します。測る地点は、確認事項の表で整理します。こうした測定は実務上の資料づくりの工夫であり、交通のある車道で無理に行わず、安全を確保できる範囲で行います。

認定基準は、両車の幅や長さに相当の差があり、その差がその道路でのすれ違いを難しくした場合を、修正の事情としています(認定基準292頁注④)。もっとも、大型車であることや、普通車と軽自動車の組合せであることだけで、自動的に判断されるわけではありません。

待避場所と障害物の位置を確かめる

認定基準は、道路構造令第30条にいう待避所と、それ以外の待避可能な場所を分けています。待避所については、対向車を認識し、直前の待避所で待てば衝突を避けられたのに、そのまま進行したかどうかを問題にしています(認定基準291頁注②)。近くに待避所があったという事実だけで、評価が決まるわけではありません。待避所に当たらない場所についても、直前の待避可能な場所で待っていれば衝突を避けられたかどうかが検討されます(認定基準292頁注③)。

電柱などで一部分だけ道が狭くなっている場合は、その手前で停止していれば容易にすれ違えたかどうかが問題となり(認定基準292頁注③)、障害物がある側が常に全面的な責任を負うわけではありません。待避できたかどうかは事故当時の状況で確かめ、私有地への無断の進入や危険な後退を前提にはしません。坂道の場合も、勾配だけで割合が決まるわけではなく、待避できたかどうかなどを確認します。

停止までの時系列と速度・規制も含め、確認したい事項を整理すると次のとおりです。資料づくりのための実務上の目安であり、認定基準が定める証拠の要件ではありません。

狭い道のすれ違い事故で確認する事項と資料
確認事項 確認に使う資料 判断上の意味
道路の幅と
周囲の状況
現場の写真・動画(測った位置・方向・日時を記録したもの)、地図や道路の図面、ドライブレコーダーの映像 接触地点だけでなく、狭くなり始める地点、停止地点、待避場所までの幅と距離から、左側部分で安全に通れたか、はみ出しが必要な範囲だったかを検討します。事故当時と現在の状況の違いにも注意します。
車両の幅と
突出部
車検証、カタログの寸法、損傷部の写真、修理見積書 接触した部位の高さや擦過痕も含めて、その道路ですれ違えたか、車幅や車長の差がすれ違いを難しくしたかを検討します。寸法や損傷写真だけで、接触の余地、停止の有無、進行方向は断定できません。
待避場所 現場の写真・動画、地図、映像 幅と長さ、入口、障害物、各車からの距離、事故当時に実際に使えたかを確かめ、手前で待てば衝突を避けられたかを検討します。
停止までの
時系列
双方の映像(接触の前後を含めて保存したもの)、目撃者の説明、事故直後のメモ 相手を認識できた時点、実際に気付いた時点、減速、完全停止、接触を分けて確認します。当事者の説明と映像などで確認できる事実を区別し、停止位置と接触位置を同じと決めつけません。
速度と規制 事故当時の標識・標示の写真、道路の構造、映像上の距離と時間、警察署への確認 事故日、指定の有無、道路の区分から、事故当時の最高速度を確かめます。画角のゆがみ、時刻のずれ、測定の誤差があるため、映像だけで正確な速度は断定できません。

事故当時の最高速度と、安全にすれ違える速度は分ける

2026年9月1日前後と指定速度を確認する

2026年(令和8年)9月1日から、中央線などのない一般道路で、自動車の法定速度が時速60キロから時速30キロに引き下げられました(道路交通法施行令第11条)。改正の概要は、警察庁の生活道路の法定速度に関する案内で確認できます。ただし、狭い道路がすべて時速30キロになるわけではありません。普通乗用車や軽自動車による一般的な場面では、次の順に確認します。

1 事故日
2026年8月31日までの事故では、一般道路での自動車の法定速度は、原則として時速60キロでした(改正前の道路交通法施行令第11条)。新しい時速30キロの区分を、それ以前の事故にさかのぼって当てはめることはありません。

2 標識・標示による指定
道路標識や道路標示で最高速度が指定されている道路では、指定された速度が最高速度です(道路交通法第22条第1項)。法定速度が時速30キロとなる区分の道路でも、時速40キロの指定があれば、最高速度は時速40キロです。事故当時の指定を確認します。

3 指定がない場合の道路の区分
2026年9月1日以後の事故で指定がなければ、道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられた一般道路、道路の構造や柵などの工作物によって往復の方向別に分離された一般道路、自動車専用道路などは時速60キロ、それ以外の一般道路は時速30キロです(改正後の道路交通法施行令第11条)。

中央線のない道路が例外なく時速30キロになるわけではなく、「生活道路」という呼び方や道幅だけで決まるものでもありません。道路の端に引かれた白線を、中央線や車両通行帯と即断しないよう注意が必要です。事故当時の規制が分からない場合は、管轄の警察署などに確認する方法があります。なお、他の車両を牽引する場合や緊急自動車などには、別の定めがあります(同施行令第12条など)。

制限速度以下でも問題となる場合

徐行とは、車両が直ちに停止することができるような速度で進行することをいい(道路交通法第2条第1項第20号)、時速何キロ以下という一律の数値ではありません。運転者は、道路、交通及び車両の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならず(同法第70条)、最高速度を守っていたことだけで過失がないとはいえません。警察庁の案内も、決められた速度の範囲内であっても、道路や交通の状況などをよく考えて安全な速度で走るよう呼びかけています。

認定基準は、狭い道でのすれ違いでは徐行することを想定し、通常の速度のまま漫然と進行して接触した場合を、修正の事情としています(認定基準292頁注⑤)。もっとも、最高速度違反の有無と、民事上の事故の原因や衝突を避けられたかどうかの評価は、別の問題です。同じ事情を、速度違反と徐行の不足の両方として二重に評価していないかも確認します。

証拠を残し、保険会社の提示根拠を確認する

事故後に優先すること

事故が起きたら、まず運転を停止し、負傷者の救護と道路上の危険の防止を行い、警察官に事故を報告します(道路交通法第72条第1項)。負傷者がいる場合や危険が続いている場合は110番に通報し、必要に応じて119番にも連絡します。資料を集めるのは、これらを済ませてからです。

安全を確保したら、ドライブレコーダーの映像が上書きされないよう、機種の説明書に従って保存します。元のデータには手を加えずに保管し、内容の確認は複製で行います。保存の方法は、ドライブレコーダー映像の保存方法と確認のポイントで説明しています。あわせて、現場と損傷部の写真、目撃者の連絡先を残します。相手方や周辺の店舗などに早めに映像の保存をお願いすることも考えられますが、提供を受けられるとは限りません。

5対5という提示を検討する手順

保険会社から5対5と示されたときは、まず、どの基準書のどの版・どの類型(番号)を前提にしているか、基本の割合、停止の時点や道路状況をどう認定したか、どの修正の事情を検討し、どの資料に基づいているかを確認します。

反論するときは、止まっていたことだけでなく、手前で待避できなかった理由や停止した位置が適切だったことを、資料と対応させて示します。相手方からは、接触の直前に止まっただけである、手前の待避場所で待てた、必要以上に右側へはみ出していた、徐行していなかった、といった反論も考えられるため、自分の側の資料も同じ観点で点検します。

そのうえで、双方の損害額と請求の内容、証拠の見通し、費用と時間、ご自身の保険契約を確認し、交渉を続けるか、弁護士に相談するか、必要に応じて裁判手続を利用するかを検討します。弁護士費用特約の対象となる事故や人、限度額、保険会社の事前承認、自己負担の有無などは契約ごとに異なるため、保険会社や約款で確認してください。過失がないと考える事故で、ご自身の保険会社が示談交渉を行わない場面については、過失がない事故で自分の保険会社が示談交渉できない場合で説明しています。

相談や保険会社とのやり取りの前に、次の資料を確認しておくと検討を進めやすくなります。資料がすべてそろうまで相談を待つ必要はなく、手元にある資料から確認を始めることができます。

  • 事故の日時と場所(地図上の位置)
  • 双方の車種(車検証の記載など)
  • 道路の状況(幅、中央線の有無、電柱や駐車車両などの障害物、待避場所の位置)
  • 停止についての説明(相手に気付いた時点、減速・停止した位置、接触までの経過)
  • ドライブレコーダーなどの映像、現場や損傷部の写真、目撃者の連絡先
  • 保険会社から示された過失割合の書面やメール
  • 双方の修理見積書など修理に関する資料(相手方の分は分かる範囲で)
  • ご自身の自動車保険の契約内容(弁護士費用特約の有無を含む)

よくある質問

ドラレコがないと停止していたことは証明できませんか

ドライブレコーダーの映像がなくても、相手方の車両や周辺の防犯カメラの映像(適法に入手したもの)、目撃者の説明、事故直後の写真や記録、車両の損傷状況などを照らし合わせて検討できます。ただし、写真だけで停止していた時間までは確定できません。警察の実況見分調書などは、事故や捜査の状況によって作成の有無や取得の条件が異なり、物損事故で当然に作成されるものではありません。

ミラーだけの接触でも警察への報告は必要ですか

必要です。物の損壊だけの事故でも、運転者は運転を停止して危険を防止する措置をとり、警察官に事故の日時・場所や損壊の程度などを報告しなければなりません(道路交通法第72条第1項)。ミラーだけの接触だからといって、報告を省略してよいことにはなりません。

5対5なら、お互いに自分の車を直せばよいですか

そうとは限りません。過失割合が5対5(50対50)であることと、各自が自分の車の修理費を負担する合意(いわゆる自損自弁)は、別のものです。5対5は双方の損害額が同じという意味でもないため、双方の損害額や請求の内容を確認してから判断します。

狭い道路の事故について相談する際に

狭い道路でのすれ違い事故では、停止の時点、道路と車両の条件、待避できた場所など、資料で確かめる事情が多くあります。示された過失割合やその根拠を、資料を確認したうえで整理したい場合は、保険会社への回答や示談の前に、弁護士に相談することも一つの方法です。

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事務所紹介

弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所(兵庫県弁護士会所属)は、神戸市須磨区中落合2丁目2-5 名谷センタービル7階(名谷駅から徒歩1分)にある法律事務所で、交通事故の案件を取り扱っています。

所属弁護士の紹介

参考資料・情報基準日

情報基準日:2026年10月10日。この記事は、同日時点で施行されている法令と、同日に確認した資料に基づく一般的な説明です。個別の事故では、事故当時の法令と交通規制を確認する必要があり、結論は事実関係と資料によって異なります。

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