神戸市内やその周辺にある実家を相続したものの、誰も住む予定がなく「売却して、代金を相続人で分けたい」と考える方は少なくありません。このように、不動産を売って売却代金を分ける遺産分割の方法を「換価分割(かんかぶんかつ)」といいます。
換価分割は、単に「売って分ける」だけの手続ではありません。相続人全員の合意、遺産分割協議書の内容、相続登記、売買契約、そして譲渡所得の申告や税務上の特例まで、順序立てて整理しておく必要があります。この記事では、神戸の実家を換価分割で売却する場合の全体像として、遺産分割の進め方、譲渡所得税の基本、空き家の3,000万円特別控除や取得費加算の考え方、誰が譲渡所得を申告するのか、売却前に確認すべき資料と相談のタイミングを整理します。なお、個別の税額計算や特例の適用可否は、資料を確認したうえで税理士または税務署に確認する必要がある点を、あらかじめお伝えします。
相続した実家の売却は、分け方・登記・税務が絡み合うため、売り出す前に方針を整理しておくと安心です。遺産分割の進め方や協議書の内容について整理したい方は、弁護士へのご相談をご検討ください。
Contents
結論|神戸の実家を売って分けるとき、最初に押さえる3つのこと
詳しい説明の前に、換価分割で実家を売って分ける場合の要点を先にお伝えします。次の3点を、売り出しや署名の前に確認しておくことが重要です。
1.分け方と手続を先に合意する:誰が売却の窓口になり、代金をどの割合で分け、費用や税負担を誰が負担するかを、遺産分割協議書で明確にします。
2.誰がいくら申告するかを売却前に確認する:譲渡所得を誰がどの割合で申告するかは、遺産分割や換価代金の取得割合の状況によって変わります。売却後に自由に決め直せるわけではありません。
3.特例は「使える可能性」を資料で確認する:空き家の3,000万円特別控除や取得費加算は、相続した実家に常に使える制度ではありません。要件に当てはまるかは資料の確認が必要で、適用可否は税理士または税務署に確認します。
| 場面 | 確認・整理すること | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 売る前に決めること | 相続人全員の売却同意、分配割合、費用・税負担、代表者の権限、協議書への記載 | 弁護士 |
| 税務で確認すること | 誰がいくら申告するか、取得費、空き家特例・取得費加算の可否、確定申告の要否 | 税理士・税務署 |
| 手続で必要になること | 相続登記、査定・媒介契約、売買契約、代金精算、確認書の取得 | 司法書士・不動産会社・神戸市 |
換価分割とは|現物分割・代償分割・共有取得との違い
換価分割の意味
換価分割とは、相続財産である不動産などを売却し、その売却代金を相続人の間で分ける遺産分割の方法です。実家のように物理的に分けることが難しく、特定の相続人が単独で取得することも望まない場合に検討されます。売却を前提とするため、相続人間の合意、名義(相続登記)、売買契約、代金の分配、そして譲渡所得の申告までを一体として整理しておく必要があります。
現物分割・代償分割・共有取得との違い
遺産の分け方には、換価分割のほかにいくつかの方法があります。実家の分け方を検討する際は、それぞれの特徴を踏まえて比較します。
| 分割方法 | 内容 | 実家を分ける場合の特徴 |
|---|---|---|
| 換価分割 | 不動産を売却し、代金を分ける | 公平に分けやすいが、売却の合意・手続・譲渡所得の申告が必要 |
| 現物分割 | 不動産をそのまま特定の相続人が取得する | 住み続ける人がいる場合に向くが、他の相続人との公平性の調整が必要 |
| 代償分割 | 特定の相続人が取得し、他の相続人へ代償金を支払う | 不動産を残せるが、取得者に代償金の資力が必要 |
| 共有取得 | 相続人が持分を共有する | 合意は容易だが、将来の売却・管理・次の相続で意見が対立しやすい |
実家で換価分割が選ばれやすい理由
実家は、複数の相続人で公平に分けたいものの、誰も住まず、共有のまま持ち続けると管理費や固定資産税の負担、将来の再度の相続による権利関係の複雑化といった問題が生じやすい財産です。そのため、売却して代金を分ける換価分割が現実的な選択肢として検討されることが多くあります。ただし、売却価格や時期、費用負担について相続人間で意見が分かれることもあるため、合意内容を書面で整理しておくことが大切です。
神戸の実家を換価分割するときの基本的な流れ
神戸の実家を換価分割で売却する場合、おおむね次の流れで進みます。実際には、事案により順序や必要な手続が前後することがあります。
| 段階 | 主な内容 | 主に関わる専門職 |
|---|---|---|
| 1 相続人・遺言の確認 | 戸籍等で相続人を確定し、遺言書の有無を確認する | 弁護士・司法書士 |
| 2 相続財産・資料の調査 | 不動産の登記事項証明書、公図、固定資産税納税通知書などを確認する | 弁護士・不動産会社 |
| 3 売却方針の合意 | 換価分割とすること、分配割合、費用・税負担を相続人間で合意する | 弁護士 |
| 4 協議書または調停・審判 | 遺産分割協議書を作成する。合意できない場合は調停・審判を検討する | 弁護士・家庭裁判所 |
| 5 相続登記 | 売却の前提として、相続を原因とする所有権移転登記を行う | 司法書士 |
| 6 査定・売却活動・契約 | 査定、媒介契約、売買契約を行う | 不動産会社 |
| 7 代金精算・分配 | 売却代金を精算し、合意した割合で分配する | 弁護士・不動産会社 |
| 8 譲渡所得の申告 | 翌年に確定申告を行い、特例の適用可否を確認する | 税理士・税務署 |
相続登記をしてから売る(令和6年4月からの義務化)
不動産を売却するには、被相続人名義のままでは手続を進められず、相続を原因とする所有権移転登記(相続登記)が必要です。加えて、令和6年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請することが求められています。正当な理由なくこの義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。義務化前に相続したことを知っていた不動産も対象となり、令和9年3月末までに登記が必要とされています。売却を検討する段階で、登記が済んでいるかを早めに確認しておくとよいでしょう。
神戸市の空き家特例確認書に触れる場合の窓口
後述する空き家の3,000万円特別控除を検討する場合、確定申告の際に、不動産の所在地を管轄する市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要になることがあります。神戸市内の不動産については、神戸市の建築住宅局が申請を受け付けており、郵送での交付に一定の期間(おおむね2週間程度)を要するとされています。譲渡の時期によって使用する様式や必要書類が異なるため、最新の要件は神戸市の公式ページで確認してください。
譲渡所得税の基本|計算のしくみと確認資料
譲渡所得の計算式
不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、その利益に対して所得税・住民税がかかります。譲渡所得は、次の考え方で計算します。
譲渡所得=収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除
「収入金額」は売却代金、「取得費」は購入代金など取得にかかった費用(建物は減価償却相当額を差し引きます)、「譲渡費用」は仲介手数料や測量費、取壊し費用など売却のためにかかった費用です。特別控除には、後述する空き家の3,000万円特別控除などがあります。
取得費と取得時期は被相続人から引き継ぐ
相続で取得した土地・建物を売却する場合、その取得費と取得時期は、原則として被相続人(亡くなった方)が取得したときの購入代金や購入時期を引き継ぎます。相続した日を基準にするわけではありません。そのため、被相続人がその不動産をいつ、いくらで取得したかが分かる資料(購入時の売買契約書や領収書など)が重要になります。
取得費が分からないときの概算取得費
先祖代々の土地であるとか、取得した時期が古く購入時の資料が見つからない場合には、売却代金の5パーセントに相当する額を取得費とすることができます(概算取得費)。実際の取得費が売却代金の5パーセントを下回る場合も、この5パーセント相当額を使うことができます。ただし、概算取得費を用いると取得費が小さくなり、譲渡益が大きくなって税負担が増える傾向があります。まずは購入時の資料が残っていないかを確認することが大切です。
長期譲渡と短期譲渡の区分
譲渡所得は、売却した不動産の所有期間によって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分され、それぞれ扱いが異なります。相続した不動産の場合、前述のとおり取得時期を被相続人から引き継ぐため、「相続した日から5年を超えているかどうか」だけで長期・短期が決まるわけではない点に注意が必要です。具体的な区分や税額は、資料を確認したうえで税理士または税務署に確認してください。
換価分割では誰が譲渡所得を申告するのか
換価分割で最も間違いやすいのが、「誰がいくら譲渡所得を申告するのか」という点です。売却代金を分けた割合と、譲渡所得を申告する割合が必ずしも一致するとは限りません。国税庁の考え方では、換価の時点で換価代金の取得割合が確定しているかどうかによって、扱いが分かれます。
換価時に取得割合が確定している場合
売却(換価)の時点で、各相続人が換価代金をどの割合で取得するかが遺産分割によって確定している場合には、その取得割合に応じて各相続人が譲渡所得を申告します。売却前に分け方を合意し、協議書で明確にしておくことが、この扱いの前提になります。
取得割合が確定していない場合
遺産分割が終わる前に売却する場合など、換価の時点で取得割合が確定していない場合には、原則として法定相続分に応じて各相続人が譲渡所得を申告することになります。ただし、その年分の確定申告期限までに換価代金の分割が行われ、相続人全員がその取得割合に基づいて申告した場合には、その申告が認められるとされています。
注意したいのは、申告期限までに換価代金の分割を行っていない場合、いったん法定相続分で申告することになり、その後に代金を分割しても、法定相続分で申告した所得は変わらず、更正の請求(申告のやり直し)はできないとされている点です。「売った後で分け方を自由に決め直し、申告割合も後から変えられる」わけではありません。誰がいくら申告するかは、売却前に整理しておく必要があります。個別の申告方法は、税理士または税務署に確認してください。
空き家の3,000万円特別控除の使い方
相続した実家を売却する場面でよく話題になるのが、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、いわゆる空き家の3,000万円特別控除です。一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度ですが、相続した実家であれば常に使えるわけではありません。要件に当てはまるかを一つずつ確認する必要があります。
使える可能性があるケース・使えない可能性があるケース
| 主な要件 | 内容 |
|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること |
| 建物の種類 | 区分所有建物(マンションなど)でないこと |
| 相続前の居住状況 | 相続開始の直前に被相続人が居住し、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと |
| 相続後の利用 | 相続の時から売却の時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていないこと |
| 売却時期 | 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること(制度全体は令和9年12月31日までの譲渡が対象) |
| 売却価格 | 売却代金が1億円以下であること(一体の不動産を分けて売る場合や他の相続人が売る場合は合算して判定) |
| 家屋の状態 | 売却時に一定の耐震基準に適合していること、または家屋を取り壊して売ること(令和6年1月1日以後は、譲渡の翌年2月15日までに耐震改修・取壊しを行う場合も対象となることがあります) |
| 控除額 | 最高3,000万円。ただし令和6年1月1日以後の譲渡で、対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、1人あたり2,000万円まで |
これらの要件のいずれかを満たさない場合、この特例は使えません。たとえば、昭和56年6月以降に建てられた家屋、区分所有のマンション、相続後に人に貸していた家屋などは、対象外となる可能性があります。要件に当てはまるかは資料の確認が必要で、適用可否は税理士または税務署に確認してください。
神戸市の被相続人居住用家屋等確認書
この特例の適用を受けるには、確定申告書に、不動産の所在地の市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などの書類を添付する必要があります。神戸市内の不動産については、神戸市の建築住宅局が交付を行っており、申請書と必要書類一式、返信用封筒を提出して郵送で受け取る方法がとられています。交付までに一定の期間がかかること、譲渡の時期(令和6年1月1日の前後)によって使用する様式が異なることに注意が必要です。申請書類や最新の取扱いは、神戸市の公式ページで確認してください。
被相続人が老人ホーム等に入所していた場合
被相続人が亡くなる前に、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合には、一定の要件を満たせば、入所直前まで居住していた家屋を対象として特例を検討できることがあります。ただし、この場合は通常とは別の要件が定められているため、該当する可能性がある場合は、国税庁の該当情報を確認し、税理士または税務署に相談してください。
「相続人の間で売却の方針や分け方の意見が分かれている」「代表者名義で売ってよいか不安」という段階では、署名や売り出しの前に、資料を整理して方針を確認しておくことをおすすめします。遺産分割の合意内容や協議書の方向性について、弁護士がお手伝いできます。
取得費加算の特例|相続税を納めた場合に検討する
適用の要件と期間
相続税を納めた財産を一定期間内に売却した場合には、納めた相続税額のうち一定の金額を、売却した財産の取得費に加算できる制度があります(取得費加算の特例)。取得費に加算できれば譲渡益が小さくなり、譲渡所得税の負担が軽くなる可能性があります。主な要件は、相続や遺贈で財産を取得し、その人に相続税が課税されていること、そして相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却していることです(相続の開始からおおむね3年10か月以内が目安になります)。この特例の適用には、確定申告と一定の書類が必要です。
空き家特例との関係(同時併用はできません)
空き家の3,000万円特別控除と、この取得費加算の特例は、同じ不動産の譲渡について同時に併用することはできません(空き家特例の要件として、取得費加算の特例など他の特例の適用を受けていないことが定められています)。したがって、どちらを使うかは選択することになります。どちらが有利になるかは、取得費、相続税額、譲渡益などの個別の数値によって変わるため、本記事で一律に断定することはできません。税理士による試算を踏まえて判断することをおすすめします。
よく問題になるケース
代表相続人名義で売る場合
売却手続を進めやすくするため、便宜的に代表の相続人1人の名義に相続登記をしてから売却することがあります。この場合でも、実質が換価分割(売却代金を全相続人で分けること)であることを、遺産分割協議書などで明確にしておくことが重要です。合意内容が明確でないと、代表者が単独で取得したうえで他の相続人へ贈与したと誤解されるおそれがあります。代表者名義にする場合は、相続人全員の同意、売却代金の分配方法、費用・税負担などを協議書に明記しておくべきですが、どのような文言であれば税務上安全かは事案により異なるため、税務面は税理士または税務署に確認してください。
相続人の一部が売却に反対している場合
相続人の中に売却そのものに反対する人がいる場合や、売却価格に納得しない人がいる場合、換価分割を進められないことがあります。話し合いで合意できないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を利用し、それでもまとまらない場合には審判に移行することが考えられます。弁護士に相談することで、資料の整理、相続人間の合意に向けた方針、調停を見据えた対応を整理しやすくなります。
取得費の資料が見つからない場合
被相続人が古くに取得した実家では、購入時の契約書や領収書が見つからないことがあります。その場合は概算取得費(売却代金の5パーセント)を用いることが考えられますが、取得費が小さくなり税負担が増える傾向があります。購入時の資料、リフォーム時の資料、建築時の資料などが残っていないかを、売却前に確認しておくとよいでしょう。
相続登記が未了の場合
相続登記が済んでいないと、不動産を売却することはできません。前述のとおり相続登記は義務化されており、売却の有無にかかわらず期限内の登記が求められています。売却を検討する段階で、登記の要否と手続を司法書士に確認しておくことが大切です。
老人ホーム入所・相続後に貸した/住んだ/事業に使った場合
被相続人が老人ホームに入所していた場合や、相続後に実家を人に貸した、相続人の誰かが住んだ、事業に使ったといった事情がある場合、空き家特例の要件(相続の時から売却まで事業・貸付け・居住の用に供していないこと等)を満たさなくなる可能性があります。利用状況が分かる資料を整理し、適用可否を税理士または税務署に確認してください。
売却費用や固定資産税の負担でもめる場合
売却までの間の固定資産税、建物の管理費、解体費、測量費、仲介手数料などを誰がどのように負担するかで、相続人間の意見が分かれることがあります。これらの費用負担や、費用を差し引いた後の分配方法についても、あらかじめ協議書で整理しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
売却前・署名前に確認すること(手続前チェックリスト)
換価分割では、各段階で確認すべき資料と行動があります。次のチェックリストを、それぞれのタイミングの前に確認してください。
売却を検討し始めたとき
- 相続人が誰か(戸籍・法定相続情報一覧図)と、遺言書の有無
- 登記事項証明書・公図・地積測量図・固定資産税納税通知書・名寄帳
- 相続登記が済んでいるか、未了なら手続の要否
- 購入時の売買契約書・領収書など取得費が分かる資料の有無
遺産分割協議書に署名する前
- 換価分割とすること、売却の同意、分配割合が明記されているか
- 費用(固定資産税・管理費・解体費・測量費・仲介手数料等)と税負担の負担者
- 代表者名義で売る場合の権限と、実質が換価分割であることの記載
- 誰がいくら譲渡所得を申告するかの見通し
売買契約を結ぶ前
- 売却代金が特例の判定(1億円以下など)に影響しないか
- 空き家特例を使う場合の耐震改修・取壊しの要否と時期
- 神戸市の被相続人居住用家屋等確認書の要否と申請の段取り
確定申告の前
- 取得費・譲渡費用が分かる資料一式
- 相続税を納めている場合、取得費加算を検討する資料
- 空き家特例と取得費加算のどちらを選ぶかの試算(税理士に相談)
- 申告の期限と、誰がいくら申告するかの最終確認
弁護士に相談するタイミング
弁護士への相談は、税金を必ず減らすためのものではなく、相続人間の合意内容、遺産分割協議書の方向性、調停を見据えた対応方針を整理するためのものです。次のような場面では、手続を進める前に相談しておくと、方針を整理しやすくなります。相続人の間で売却方針や分配方法に意見の違いがあるとき、遺産分割協議書に署名する前、代表者名義で売却しようとしているとき、話し合いがまとまらず調停を検討しているときなどです。税額の計算や特例の適用可否といった税務判断は税理士・税務署の領域となるため、弁護士相談では、遺産分割・合意形成・協議書・相続人間の調整・売却前の法的整理に重点を置いてご相談いただけます。
相続した神戸の実家の売却でお悩みの方は、売り出しや署名の前に、分け方・登記・税務の整理を進めておくと安心です。遺産分割の進め方や協議書の内容、相続人間の調整について、弁護士がお手伝いします。費用や相談の流れもあわせてご確認いただけます。
よくある質問
換価分割とは何ですか。
相続財産である不動産などを売却し、その代金を相続人の間で分ける遺産分割の方法です。実家のように物理的に分けにくい財産で検討されます。売却の合意、相続登記、売買契約、譲渡所得の申告までを一体で整理する必要があります。
相続した実家を売って分ける場合、誰が譲渡所得を申告しますか。
換価の時点で換価代金の取得割合が確定している場合は、その割合に応じて各相続人が申告します。確定していない場合は原則として法定相続分で申告し、申告期限までに分割して全員がその割合で申告すれば認められるとされています。個別の申告方法は税理士または税務署に確認してください。
代表相続人名義にして売却してもよいですか。
便宜的に代表者名義で登記して売却することはありますが、実質が換価分割であることを遺産分割協議書で明確にしておくことが重要です。合意が不明確だと、単独取得後の贈与と誤解されるおそれがあります。税務面は税理士または税務署に確認してください。
空き家の3,000万円控除は、相続した実家にも使えますか。
相続した実家であれば常に使えるわけではありません。昭和56年5月31日以前の建築、区分所有でないこと、相続前に被相続人以外の居住者がいないこと、相続後に貸したり住んだりしていないこと、売却時期・価格などの要件を満たす必要があります。適用可否は資料を確認したうえで税理士または税務署に確認してください。
空き家特例と取得費加算は同時に使えますか。
同じ不動産の譲渡について、両方を同時に併用することはできません。どちらを使うかは選択することになります。どちらが有利かは個別の数値により異なるため、税理士による試算を踏まえて判断することをおすすめします。
取得費が分からない場合はどうなりますか。
購入時の資料が見つからない場合は、売却代金の5パーセントを取得費とすることができます(概算取得費)。ただし取得費が小さくなり税負担が増える傾向があるため、まずは購入時・建築時・リフォーム時の資料が残っていないかを確認することをおすすめします。
神戸市の被相続人居住用家屋等確認書は必要ですか。
空き家の3,000万円特別控除を受ける場合、確定申告の際にこの確認書などの書類が必要になります。神戸市内の不動産については神戸市の建築住宅局が交付しており、郵送での受け取りに一定の期間がかかります。譲渡時期で様式が異なるため、最新の要件は神戸市の公式ページで確認してください。
相続人の一部が売却に反対している場合はどうすればよいですか。
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用し、まとまらないときは審判に移行することが考えられます。弁護士に相談することで、資料の整理、合意に向けた方針、調停を見据えた対応を整理しやすくなります。
まとめ
- 換価分割は「売って分ける」だけでなく、売却前の合意、相続登記、売買契約、譲渡所得の申告までを一体で整理する必要があります。
- 誰がいくら譲渡所得を申告するかは、取得割合が確定しているかで変わり、売却後に自由に決め直せるとは限りません。売却前の確認が重要です。
- 空き家の3,000万円特別控除は、相続した実家に常に使える制度ではなく、要件の確認が必要です。神戸市では確認書の取得が必要になることがあります。
- 取得費加算は相続税を納めた場合などに検討する制度で、空き家特例との同時併用はできません。どちらが有利かは税理士の試算が必要です。
- 税額や特例の適用可否は税理士・税務署に、遺産分割・協議書・相続人間の調整は弁護士に相談し、登記は司法書士、売却は不動産会社にと、役割を分けて進めるとスムーズです。
- 相続人間で意見が分かれる場合や、代表者名義で売る場合、協議書に署名する前に、資料を整理して相談することをおすすめします。
監修者・執筆者
藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士・公認会計士/兵庫県弁護士会所属
神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご支所) 代表弁護士
相続・遺産分割、企業法務、M&A・事業承継などを取り扱っています。法務と会計・財務の双方の視点を踏まえた対応に努めています。プロフィールの詳細は、弁護士紹介ページをご覧ください。
参考資料
- 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
- 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国税庁 No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋
- 国税庁 未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告と更正の請求、修正申告等
- 神戸市 空き家対策等にかかる特別控除(被相続人居住用家屋等確認申請書)
- 法務省 相続登記の義務化
- 裁判所 遺産分割調停
- e-Gov法令検索 民法

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