びまん性軸索損傷とMRI|画像に写らない高次脳機能障害を解説 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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びまん性軸索損傷とMRI|画像に写らない高次脳機能障害を解説

頭部を打つ交通事故のあと、病院でCTやMRIを受けて「画像に異常はありません」と説明されたのに、事故の前とは明らかに様子が違う——。記憶があいまいになった、集中が続かない、怒りっぽくなった、すぐに疲れる、仕事や家事、学業が以前のようにこなせない。こうした変化に、ご本人よりもご家族が先に気づくことも少なくありません。

このようなケースでは、「びまん性軸索損傷」という頭部外傷が関係していることがあります。画像に写りにくい一方で、認知・行動・感情の面に影響が残ることがあり、後遺障害の申請や示談の場面で立証が難しくなりやすい類型です。

この記事では、びまん性軸索損傷という受傷の仕組み、事故直後の画像と時間が経ってからの画像所見の違い、神経心理学的検査の一般的な位置づけ、画像所見が乏しい場合の立証上の課題、そして示談・後遺障害申請の前に整理しておきたい資料を、交通事故を取り扱う弁護士の視点から整理します。

なお、症状や検査の要否といった医学的な判断は医師が行うものであり、この記事は診断や治療方針を示すものではありません。賠償や後遺障害申請の見通しについては、集めた資料を確認したうえで弁護士が検討することになります。両者を切り分けて考えることが、遠回りを避ける第一歩になります。

「異常なし」と言われても症状が続く場合、まずは事故直後の記録と手元の資料を整理しておくと、医師に伝えるべきことや、弁護士に見てもらうべき資料が見えてきます。ご不安があれば、資料を確認したうえで見通しを検討することができます。

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「異常なし」と言われても症状が続くとき|まず押さえたい結論

最初に、この記事の要点を整理します。CTやMRIで明確な異常が指摘されなくても、症状が続く場合には、その経過や日常生活上の変化を記録し、医師に具体的に伝えることが大切です。自賠責保険の高次脳機能障害の認定や裁判実務では、画像所見だけでなく、意識障害の有無や程度、症状の経過、神経心理学的検査、日常生活の状況、医療記録などを総合的に確認するという整理がされています。

画像所見が乏しいことは、「必ず非該当になる」ことも「必ず認定される」ことも意味しません。損害保険料率算出機構の説明でも、画像所見が認められないケースであっても、症状の経過や検査所見を併せて慎重に審査するとされています。過度に悲観する必要はない一方で、立証のハードルが上がりやすいことも事実であり、資料の整理が重要になります。

確認する項目 確認の方向性
意識障害 事故直後の意識消失や、その持続時間・程度が記録されているか
画像データ 急性期と、時間が経ってからの画像の両方が保管されているか
症状の経過 いつから、どのような症状が、どの程度続いているか
神経心理学的検査 記憶・注意・遂行機能などの検査を受けているか(要否は医師の判断)
日常生活の変化 仕事・家事・学業・対人面での支障を、家族も含めて記録しているか
医療記録 診断書・診療録・検査結果がそろっているか

びまん性軸索損傷とは|頭部外傷で脳の神経線維に広く生じる損傷

受傷機序|回転する力(剪断力)で軸索が傷つく

びまん性軸索損傷(DAI)は、頭部に回転するような力が加わったときに、脳の神経線維(軸索)が広い範囲でダメージを受けると説明される頭部外傷です。「びまん性」は、一か所ではなく広範囲に及ぶという意味で、「軸索」は、神経細胞どうしをつなぐ情報伝達の線維を指します。

医学的には、頭が急に回転することで、性質の異なる灰白質と白質の境目などに「ずれ」の力(剪断力)が生じ、軸索が引き伸ばされたり切れたりすると説明されます。損傷は、脳梁や大脳の深部白質、脳幹などに生じやすいとされています。交通事故は、こうした受傷が起こりやすい典型的な場面の一つです。

頭部CTや通常のMRIで分かりにくいことがある理由

びまん性軸索損傷は、頭蓋内に大きな出血のかたまりを作るとは限らず、微細な損傷が広く散らばるため、事故直後のCTでは明らかな異常として写りにくいことがあると説明されています。強い意識障害があるのに画像上は所見が乏しい、という食い違いが特徴とされることもあります。MRIでも、撮影の時期や条件によっては変化を捉えにくい場合があります。

したがって、「画像で異常が指摘されなかった=脳に問題がない」と即断できるわけではありません。症状が続く場合には、経過を記録し、医師への相談を続けることが大切です。

急性期の画像と経時的な画像所見の違い

事故直後の画像と、時間が経ってから撮影する画像とでは、確認できる所見の意味合いが異なる場合があります。

事故直後の画像で確認しやすい所見

急性期(受傷直後)の画像は、頭蓋内の出血や脳の腫れ(浮腫)など、緊急の対応が必要かどうかを判断するために撮影されます。この段階では、脳挫傷や血腫がはっきり写ることもあれば、びまん性軸索損傷のように所見が乏しいこともあります。

時間が経ってから問題になる所見|脳室拡大・脳萎縮・脳梁の変化

一方、時間が経ってから問題になりやすいのが、脳室の拡大、広範な脳の萎縮、脳梁の萎縮といった、慢性期に現れることがある変化です。国立障害者リハビリテーションセンターの解説でも、びまん性(広範性)脳損傷後の所見として、脳室拡大や脳萎縮、脳梁の萎縮などが挙げられています。ただし、急性期にはむくみだけで、慢性期には萎縮のみが残る、あるいは明らかな異常が残らないこともあるとされ、画像だけで一律に判断できるものではありません。撮影の要否や種類は、医師の判断を前提にしてください。

時期 主な着目点 留意点
急性期 出血・脳挫傷・脳の腫れの有無 所見が乏しくても症状が続くことがある
慢性期 脳室拡大・脳萎縮・脳梁の変化 急性期の画像と併せて経過をみる必要がある

DTI・SWI・SPECT等の位置づけ|過度な期待は禁物

びまん性軸索損傷に関連して、拡散テンソル画像(DTI)、磁化率強調画像(SWI)、SPECT、PET、MRスペクトロスコピー(MRS)などの検査が話題になることがあります。これらは研究や臨床で用いられることがありますが、後遺障害の認定や裁判実務でどのように評価されるかは単純ではなく、「この検査を受ければ必ず証明できる」というものではありません。

先進的な画像検査を受けたからといって、それだけで因果関係や後遺障害等級が決まるわけではありません。検査の要否・種類は医師の判断によります。過度な期待を前提に検査だけを進めるのではなく、症状の経過や日常生活の記録、医療記録の整理と併せて考えることが大切です。

高次脳機能障害と神経心理学的検査の位置づけ

記憶・注意・遂行機能・社会的行動の障害

びまん性軸索損傷などの脳外傷のあとに残ることがあるのが、高次脳機能障害です。損害保険料率算出機構や国立障害者リハビリテーションセンターの説明では、主に次のような症状が挙げられています。

  • 記憶障害|新しいことを覚えられない、約束や出来事を忘れる
  • 注意障害|気が散りやすい、集中が続かない、複数のことを同時にこなせない
  • 遂行機能障害|段取りを立てて物事を進めることが難しい
  • 社会的行動障害|意欲や自発性の低下、怒りっぽさ(易怒性)、衝動的な言動など

外見からは分かりにくく、本人も自覚しづらいことがあるため、家族が気づく変化が重要な手がかりになります。

神経心理学的検査でわかること・わからないこと

神経心理学的検査は、記憶・注意・遂行機能・処理速度などを、標準化された方法で評価する手がかりになります。記憶や注意を測る検査などが用いられることがありますが、検査結果だけで事故との因果関係や後遺障害等級が決まるわけではありません。あくまで、全体像を整理するための材料の一つと位置づけられます。

日常生活状況と家族の記録が持つ意味

検査の数値と同じくらい重視されるのが、事故前後で日常生活がどう変わったかです。仕事・家事・学業・対人関係でどのような支障が出ているか、いつからどの程度続いているかを、家族の観察も含めて具体的に記録しておくことが、症状の一貫性を示すうえで役立ちます。

画像所見が乏しいケースの立証課題

自賠責保険の高次脳機能障害の認定や裁判実務では、画像所見だけでなく、意識障害の有無・程度、症状の経過、神経心理学的検査、日常生活の状況、医療記録などを総合的に確認するとされています。したがって、画像所見が乏しいこと自体が結論を決めるわけではありませんが、器質的な損傷の裏づけが乏しいと、立証のハードルは上がりやすくなります。

また、症状が高次脳機能障害によるものなのか、それとも別の原因によるものなのかが争点になることがあります。たとえば、むち打ちに伴う症状、事故前からあった症状や既往症、加齢による変化などとの区別が問題になり得ます。こうした点は個別事情により結論が変わるため、資料を確認したうえで検討する必要があります。

「異常なし」と言われた場合の次の一手

「異常なし」と言われても症状が続く場合に、整理しておきたいことを挙げます。

  • 気になる症状を、いつから・どのような場面で・どの程度かをメモにまとめ、医師に具体的に伝える
  • 家族が、事故前と比べて変わった点(言動・感情・生活面)を、日付とともに記録する
  • 診断書・診療録・画像データ・検査結果を保管し、コピーの取得方法を確認する
  • 事故直後の意識障害の有無、救急搬送の状況、事故態様、ドライブレコーダー、警察の資料を整理する
  • 神経心理学的検査や専門的な外来について、医師に相談する(要否は医師の判断)
  • 保険会社から示談や後遺障害申請の話が出たら、回答する前に、資料を持って弁護士に相談する

医師に相談すべきこと(症状や検査、治療方針など)と、弁護士に相談すべきこと(賠償や後遺障害申請の見通し、保険会社への対応など)は分けて考えると整理しやすくなります。医学的な判断は医師が、賠償・手続の見通しは資料を確認して弁護士が担う、という役割分担が基本です。

神戸市内・兵庫県内で交通事故後の症状が続く場合の確認ポイント

神戸市内や兵庫県内で交通事故に遭い、救急対応を受けた後に症状が続くケースでは、実務上いくつか注意したい場面があります。急性期に入院した医療機関と、その後に通院する医療機関が異なり、画像データや診療録が複数の機関に分かれて保管されることがあります。また、ご本人よりご家族が変化に気づいているのに、保険会社から治療の終了や示談を急がれる、という状況も生じ得ます。

こうした場合、どの資料がどこにあるかを早めに把握し、散らばった記録を一つに整理しておくことが、後の検討をスムーズにします。神戸みらい法律会計事務所では、交通事故を取り扱っており、資料を確認したうえで対応方針を整理することができます。

どの資料を集め、何を医師に伝え、どのタイミングで申請や示談を検討すべきか——判断に迷う場面では、手元の資料を確認したうえで見通しを整理することができます。

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示談前・後遺障害申請前に確認したい資料

示談や後遺障害申請の前に、次のような資料を整理しておくと、見通しの検討に役立ちます。

資料 確認の観点
交通事故証明書 事故の日時・当事者・態様
診断書・後遺障害診断書 傷病名・症状・経過
診療報酬明細書(レセプト) 検査・治療の内容
診療録(カルテ) 受傷時からの記録・意識障害の記載
画像データ(CT・MRI) 急性期と、時間が経ってからのもの
神経心理学的検査の結果 記憶・注意・遂行機能等の評価(受けている場合)
救急搬送記録 搬送時の状態・意識レベル
家族の記録 事故前後の変化を、日付とともに
勤務先・学校の資料 就労・学業への支障を示すもの
保険会社とのやり取り・示談案 提示内容と経緯

弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は、結果を保証するためのものではなく、判断材料や対応方針を整理するためのものです。次のような場面では、早めに資料を確認しておくと、選択肢を検討しやすくなります。

  • 後遺障害の申請をすべきか、どのように準備するか迷っているとき
  • 保険会社から示談案や治療終了の話が届いたとき
  • 家族が事故前後の変化を記録していて、それをどう活かせるか知りたいとき
  • 画像所見が乏しく、非該当になるのではないかと不安なとき

相談の際は、手元の診断書・画像データ・検査結果・家族の記録などを持参いただくと、資料を確認したうえで見通しを検討しやすくなります。弁護士費用を確認する弁護士紹介を見るもあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q.MRIで「異常なし」でも高次脳機能障害の可能性はありますか?

可能性がないとは言い切れません。公的な医療支援機関の解説でも、MRIで異常が認められなくても高次脳機能障害を呈することがあるとされています。症状が続く場合は医師への相談を続け、経過を記録しておくことが大切です。認定されるかどうかは、個別事情により異なります。

Q.びまん性軸索損傷はCTで分かりますか?

びまん性軸索損傷は、微細な損傷が広く散らばるため、事故直後のCTでは明らかな異常として写りにくいことがあると説明されています。CTで所見が乏しくても症状が続く場合があり、撮影や検査の要否は医師の判断によります。

Q.神経心理学的検査を受ければ後遺障害は認定されますか?

検査結果だけで後遺障害等級が決まるわけではありません。自賠責の認定や裁判実務では、画像、意識障害、症状経過、日常生活状況、医療記録などを総合的に確認するとされています。検査は、そのための材料の一つと位置づけられます。

Q.家族は何を記録すればよいですか?

事故前と比べて変わった点を、日付とともに具体的に記録しておくと役立ちます。物忘れ、集中の続かなさ、怒りっぽさ、仕事や家事の支障などが例です。本人が自覚しにくいことも多いため、家族の観察が重要な手がかりになります。

Q.保険会社から示談案が届いたらどうすればよいですか?

回答する前に、内容と手元の資料を確認することをおすすめします。症状が続いている場合、示談後に追加の請求が難しくなることがあります。判断に迷うときは、資料を確認したうえで見通しを整理するとよいでしょう。

Q.画像所見がないと後遺障害申請はできないのですか?

画像所見が乏しくても、申請ができないわけではありません。ただし、器質的損傷の裏づけが乏しいと立証のハードルは上がりやすいため、症状経過・検査・日常生活の記録・医療記録などを整理することが重要になります。結論は個別事情により異なります。

Q.弁護士に相談するときは何を持参すればよいですか?

交通事故証明書、診断書、診療録、画像データ、検査結果、救急搬送記録、家族の記録、保険会社とのやり取りや示談案などがあると、資料を確認したうえで見通しを検討しやすくなります。すべてそろっていなくても、まずはある資料からご相談ください。

まとめ|画像に写りにくくても、記録と資料の整理が要になる

  • CT・MRIで「異常なし」と言われても、症状が続く場合は医師への相談と記録が大切です。
  • びまん性軸索損傷は画像に写りにくいことがあり、意識障害や症状の経過も重要な手がかりになります。
  • 高次脳機能障害の立証は、画像・検査・日常生活の状況・医療記録などを総合的に整理する必要があります。
  • 家族による事故前後の変化の記録が、症状の一貫性を示すうえで役立ちます。
  • 示談や後遺障害申請の前に、資料を確認したうえで見通しを検討することが大切です。
  • 医学的な判断は医師、賠償・手続の見通しは資料を確認して弁護士、という役割分担で考えます。

頭部外傷後に「異常なし」と言われても症状が続く場合、資料の整理と記録が、その後の検討の土台になります。後遺障害の申請前、示談の前、保険会社へ回答する前に、手元の資料を確認したうえで見通しを整理することができます。神戸みらい法律会計事務所では、交通事故を取り扱っています。

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監修・執筆 弁護士・公認会計士 藤井 貴之(神戸みらい法律会計事務所/弁護士法人ひょうご支所)

兵庫県弁護士会所属。交通事故のほか、相続、離婚、債務整理、刑事事件、企業法務・会計などを取り扱っています。弁護士の詳しい紹介は、弁護士紹介を見るをご覧ください。

参考資料

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