ご家族や身近な方が犯罪の被害に遭われたとき、「まず警察に行くべきか」「被害届と告訴はどう違うのか」「加害者側から示談の連絡が来たが、どう答えればよいのか」と迷われる方は少なくありません。事件そのものによる負担に加えて、慣れない刑事手続への不安が重なる時期でもあります。
この記事では、犯罪被害に遭われた方やご遺族に向けて、被害届と告訴・告発の違い、被害届を出す際に準備しておきたい資料、加害者側から示談の申入れがあった場合に確認したいポイント、そして被害者参加制度を検討する場面を整理します。手続の進み方や結論は事案によって異なるため、「必ずこうなる」という形ではなく、ご自身の状況を整理し、次に確認すべきことがわかるようにまとめています。
この記事で分かること
- 被害届・告訴・告発の違いと、それぞれの位置づけ
- 被害届を出す際に整理・準備しておきたい情報や資料
- 加害者側から示談の申入れがあったときに確認したいポイント
- 被害者参加制度など、刑事裁判に関与するための制度の概要
被害届や告訴を出すべきか、加害者側からの示談にどう応じるべきか迷われている段階でも、資料を確認しながら対応の方向性を整理することができます。手続を進める前に状況を整理しておきたい方は、一度ご相談ください。
Contents
犯罪の被害に遭ったときにまず確認したいこと
被害に遭われた直後は、気持ちの整理がつかないまま、さまざまな判断を迫られることがあります。まずは安全の確保と、後の手続に備えた記録が基本になります。
安全の確保と証拠の記録
身の危険が続いている場合や急を要する場合は、まず110番通報や医療機関の受診など、安全と体調の確保を優先してください。落ち着いて対応できる状況になったら、事件の日時・場所・被害の内容・相手方に関する情報などを、思い出せる範囲でメモに残しておくと、その後の相談や手続の際に役立ちます。
けがをした場合は写真を撮り、医療機関で診断書を受け取っておく、被害にかかった費用の領収書を保管しておく、相手方とのやり取り(メッセージ・録音・スクリーンショットなど)を残しておく、といった記録が考えられます。ただし、証拠を意図的に加工したり、事実と異なる形に作り替えたりすることは避けてください。また、相手方に直接連絡して威圧的なやり取りをすることや、被害内容をSNSで公開することは、かえってご自身に不利に働く場合があります。
刑事手続と民事の損害賠償は目的が異なる
犯罪被害への対応は、大きく分けて、加害者の刑事責任を問う刑事手続と、被害の弁償を求める民事上の損害賠償、そして公的な被害者支援制度の利用という、目的の異なる複数の場面があります。被害届や告訴は刑事手続に関わるもの、示談や損害賠償請求は民事に関わるもの、というように整理すると、それぞれで確認すべきことが見えやすくなります。どの手続をどの順序で検討するかは、事案の内容や優先したいこと(処罰・弁償・安全確保など)によって異なります。
被害届・告訴・告発の違い
刑事手続の入口としてよく登場するのが、被害届・告訴・告発です。名前が似ていますが、それぞれ意味と法的な位置づけが異なります。
被害届とは
被害届は、犯罪の被害に遭ったことを警察に届け出るものです。犯罪捜査規範第61条は、警察官が犯罪による被害の届出を受理しなければならないことを定めています。被害届は、被害に遭った事実を申告するものであり、それ自体には「加害者を処罰してほしい」という意思表示までは含まれていないと理解されています。届出を受けた捜査機関が、捜査を開始するかどうか、どの程度捜査を進めるかは、事案の内容によって異なります。
告訴とは
告訴は、犯罪の被害者などが、犯罪事実を捜査機関に申告したうえで、加害者の処罰を求める意思表示を行うものです(刑事訴訟法第230条ほか)。被害届が「被害の申告」であるのに対し、告訴は「被害の申告+処罰を求める意思表示」である点が大きな違いです。
告訴をすることができる人(告訴権者)は、法律で定められています。犯罪により害を被った被害者本人(第230条)のほか、被害者の法定代理人(第231条第1項)、被害者が亡くなったときはその配偶者・直系の親族・兄弟姉妹(第231条第2項。ただし被害者が明示した意思に反することはできません)などが挙げられます。告訴は、書面又は口頭で、検察官又は司法警察員(警察)に対して行います(第241条)。口頭の場合は調書が作成され、警察が告訴を受理したときは、速やかに書類・証拠物を検察官に送付することとされています(第242条)。
告訴を受理してもらえた場合でも、その後に必ず逮捕・起訴されるとは限りません。捜査の結果や証拠関係により、検察官が起訴・不起訴を判断します。告訴=処罰の確約ではない点にご注意ください。
告発とは
告発は、被害者や告訴権者以外の第三者が、犯罪事実を捜査機関に申告して処罰を求めるものです(刑事訴訟法第239条)。誰でも行うことができ、公務員がその職務を通じて犯罪があると考えたときは、告発をしなければならないとされています。被害者ご自身が行うのは、通常は被害届か告訴になります。
被害届・告訴・告発の比較
| 項目 | 被害届 | 告訴 | 告発 |
|---|---|---|---|
| 主な内容 | 被害に遭った事実の申告 | 被害の申告+処罰を求める意思表示 | 第三者による事実の申告+処罰を求める意思表示 |
| 行う人 | 被害を受けた方など | 被害者本人・法定代理人・一定の遺族など(告訴権者) | 被害者・告訴権者以外の第三者 |
| 主な根拠 | 犯罪捜査規範第61条 | 刑事訴訟法第230条ほか | 刑事訴訟法第239条 |
| 処分結果の通知 | 制度上の通知の対象は限定的 | 検察官から結果が通知される(不起訴理由の告知を求められる場合がある) | 告訴と同様に通知の対象となる |
どれを選ぶべきかは、処罰を求めたいのか、まず被害を届け出て捜査を求めたいのか、また証拠の状況がどの程度整っているかによって変わります。個別事情により適切な選択は異なるため、迷う場合は資料を確認したうえで検討することをおすすめします。
被害届の出し方と準備しておきたい資料
被害届は警察署の窓口などで行いますが、事前に情報や資料を整理しておくと、状況を正確に伝えやすくなります。
相談前に整理しておくとよい情報
事件の日時・場所、被害の具体的な内容、相手方に関する情報(氏名・特徴・連絡先など分かる範囲)、目撃者の有無、被害の前後の経緯などを、時系列でメモにまとめておくと、警察への説明がスムーズになります。分からない部分は無理に埋めず、「不明」と記しておけば十分です。
集めておきたい証拠の例
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 身体の被害 | けがの写真、医療機関の診断書、通院記録 |
| 金銭・物の被害 | 被害品の資料、購入時の領収書、修理費用の見積り・領収書 |
| やり取りの記録 | メッセージ・メールの履歴、通話の録音、スクリーンショット |
| 状況の記録 | 現場や被害状況の写真・動画、防犯カメラに関する情報 |
すべてがそろっていなくても届出や相談はできます。どの資料が重要になるかは事案によって異なるため、手元にあるものを整理したうえで、不足分をどう補うかを検討していくことになります。
性犯罪・DV・ストーカーなどで配慮が必要な場合
性犯罪、配偶者や交際相手からの暴力(DV)、ストーカー被害、お子さまが被害に遭った事案などでは、安全の確保や心身への配慮が特に重要になり、専用の相談窓口や支援制度が用意されている場合があります。相手方に知られたくない、身の安全に不安があるといった事情があるときは、無理にご自身だけで対応しようとせず、警察の相談窓口や被害者支援の窓口、弁護士に早めに相談することが考えられます。
告訴を検討する場面と注意点
被害を届け出るだけでなく、加害者の処罰を明確に求めたいという場合には、告訴を検討することになります。
告訴を検討するのはどのようなときか
処罰を求める意思をはっきり示したい場合や、被害届の提出だけでは捜査が進みにくいと感じられる場合などに、告訴が選択肢となります。もっとも、告訴には犯罪事実を特定して申告することが求められ、どの証拠が必要になるかは事案によって異なります。事実と異なる申告や誇張、相手方への報復目的と受け取られかねない書き方は避ける必要があります。
親告罪と告訴期間
犯罪の中には、起訴のために告訴が必要とされるもの(親告罪)があります。親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過するとできなくなります(刑事訴訟法第235条)。なお、平成29年の刑法改正により、強制わいせつ罪・強制性交等罪などは親告罪ではなくなっており、この告訴期間の制約は及びません。ご自身の事案が親告罪にあたるか、告訴期間がどうなるかは、罪名や事実関係によって異なるため、確認が必要です。
告訴状の作成と受理をめぐる留意点
告訴状には決まった書式があるわけではありませんが、作成者、日付、提出先、犯罪事実、処罰を求める意思などを記載し、関係する証拠を整理して示すのが一般的です。警察や検察でそのまま受理されるか、追加の資料を求められるか、どのような書面が必要になるかは、事案の内容や証拠の状況によって異なります。作成の段階で内容を整理しておくことが、その後のやり取りを進めやすくすることにつながります。
加害者側から示談の申入れがあったとき
加害者本人やその家族、加害者側の弁護士から、示談や謝罪の申入れの連絡が来ることがあります。突然の連絡に戸惑い、その場で返答を求められて困る、という声も少なくありません。
示談書に署名する前であれば、損害の範囲や清算条項、宥恕・処罰感情に関する文言などを確認したうえで、応じるかどうかを検討することができます。署名を求められて判断に迷うときは、一度弁護士にご確認ください。
その場で署名しないという基本姿勢
示談に応じるかどうか、いくらで、どのような条件で応じるかは、被害の内容や今後の生活への影響を踏まえて慎重に判断する必要があります。連絡を受けたその場で署名・押印を求められても、内容を十分に確認しないまま応じる必要はありません。加害者本人やご家族と直接会うことも、当然の前提ではありません。安全面や心理的な負担、後の証拠化の観点から、連絡の方法(弁護士を介する、書面でやり取りするなど)を含めて検討することが考えられます。
示談書で確認したい主なポイント
| 確認項目 | 確認の視点 |
|---|---|
| 損害の範囲 | 治療費・修理費・休業損害・慰謝料など、どの損害が対象に含まれているか |
| 支払方法・時期 | 一括か分割か、支払期限、支払われなかった場合の取り決め |
| 清算条項 | 「今後一切の請求をしない」といった条項の有無と、その範囲 |
| 接触禁止 | 今後の接触・連絡を禁止する条項が入っているか |
| 口外禁止 | 事件や示談の内容を第三者に話さない義務が課されていないか |
| 宥恕・処罰感情 | 「加害者を許す」「処罰を求めない」といった文言が含まれていないか |
清算条項がある示談書に署名すると、後から別の損害が判明しても追加の請求が難しくなる場合があります。署名の前に、損害項目・支払条件・清算条項・接触禁止・口外禁止・違約時の取り決めなどを確認しておくことが大切です。
宥恕・処罰感情に関する条項の意味
示談書には、加害者を許す趣旨の文言(宥恕条項)や、処罰を求めない旨の文言が盛り込まれることがあります。こうした文言は刑事処分の判断に影響し得るものであり、示談金の支払いとは別の意味を持ちます。署名の前に、その文言が入っているのか、入れるとどのような意味を持つのかを確認したうえで判断する必要があります。
示談と刑事処分・給付制度の関係
示談が成立し、被害の弁償や宥恕の意思が示された場合、それが検察官の処分や裁判所の量刑判断で考慮されることがあります。もっとも、それによって必ず不起訴になる、必ず刑が軽くなる、といった結論が決まるわけではありません。最終的な処分は検察官が、量刑は裁判所が判断するものであり、被害者がその結論を自由に決められるものではない点に留意が必要です。また、示談などで損害賠償を受けたり、損害賠償請求権を放棄したりすると、犯罪被害給付制度の給付金が調整(減額・不支給)される場合があります。示談と公的給付の関係も、あわせて確認しておくとよいでしょう。
示談金・慰謝料の考え方
示談金や慰謝料の金額は、被害の内容、治療の状況、精神的な苦痛の程度、休業による損害、財産的な損害、証拠の状況などによって異なり、一律の相場として示せるものではありません。提示された金額が妥当かどうかは、これらの事情や資料を確認したうえで検討する必要があります。
刑事裁判に関与するための制度
加害者が起訴され刑事裁判になった場合、被害者やご遺族が裁判に関与するための制度が用意されています。利用できるかどうかは、事件の種類や手続の段階によって異なります。
被害者参加制度
被害者参加制度は、一定の事件で、被害者やご遺族などが刑事裁判に参加できる制度です(刑事訴訟法第316条の33以下)。対象となるのは、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、不同意わいせつ・不同意性交等の罪、逮捕・監禁、過失運転致死傷などの一定の罪で、窃盗や詐欺といった財産犯は対象になりません。参加を希望する場合は、事件を担当する検察官にあらかじめ申し出て、検察官が意見を付して裁判所に通知し、裁判所が相当と認めて許可したときに「被害者参加人」として参加できます。参加した場合、公判期日への出席、検察官の活動に関する意見表明、一定の証人尋問や被告人質問、事実・法律の適用についての意見陳述などができます。もっとも、参加すれば必ず希望どおりの判決になるわけではありません。
心情等の意見陳述
被害者参加制度とは別に、被害に関する心情その他の意見を法廷で述べる制度もあります(刑事訴訟法第292条の2)。こちらは対象となる事件の限定がなく、被害者参加の対象にならない事件でも利用が検討できます。述べた内容は量刑の判断材料とされることはあっても、犯罪事実の認定のための証拠とはされないものと理解されています。
国選被害者参加弁護士と旅費等の支給
被害者参加をする際は、弁護士に委託して援助を受けることができます。経済的に余裕がない場合には、被害者参加人の資力が法令で定める基準額(現在は200万円)に満たないときに、裁判所に国選の被害者参加弁護士の選定を求めることができ、その費用を国が負担する制度があります。利用を希望する場合は、日本司法支援センター(法テラス)に申し出ます。また、被害者参加人として公判期日等に出席した場合には、旅費・日当・宿泊料が法令の基準に従って支給される制度もあります(傍聴にとどまる場合などは対象外です)。具体的な金額や要件は、法テラスや裁判所で確認してください。
損害賠償命令制度
損害賠償命令制度は、一定の刑事事件について、刑事裁判を担当した裁判所に対して損害賠償を求める申立てを行い、刑事裁判の結果を利用して迅速に賠償の判断を受けられる制度です(犯罪被害者保護法第23条以下)。別途、民事訴訟を起こす場合に比べて負担が軽くなる場合があります。対象となる事件は被害者参加の対象事件と重なりますが、業務上過失致死傷・重過失致死傷・交通事故の罪は対象から除かれています。利用できるか、どの手続を選ぶべきかは事案により異なります。
そのほかの被害者支援制度
刑事手続の進み方や結果を知るための制度、経済的な支援制度もあります。ここでは概要を紹介します。
被害者等通知制度
被害者等通知制度は、事件の処分結果や裁判の結果、加害者の処遇状況などについて、希望する被害者・ご遺族に通知する制度です。通知を希望する場合は、担当の検察官や検察事務官などに申し出ます。事件の性質などにより、通知されない場合もあります。
刑事記録の閲覧・謄写
一定の要件のもとで、被害者やご遺族が刑事事件の記録を閲覧・謄写できる場合があります。損害賠償請求を検討する際などに、記録を確認しておくことが役立つことがあります。対象や手続は事案により異なるため、検察庁や裁判所で確認してください。
犯罪被害給付制度
犯罪被害給付制度は、故意の犯罪行為により亡くなられた方のご遺族や、重傷病・障害という重大な被害を受けた方に対し、国が給付金を支給する制度です。遺族給付金・重傷病給付金・障害給付金の3種類があります。過失による事故(交通事故など)は対象外とされ、その場合は自動車損害賠償保障法などによる別の枠組みが用いられます。申請は、住所地を管轄する都道府県公安委員会に対して行い、受付は警察本部や警察署で行われます。申請には期間の制限があり、被害の発生を知った日から2年、又は被害が発生した日から7年を経過するとできなくなります。金額や要件の詳細は変わり得るため、最新の情報を警察の窓口で確認してください。
手続前に確認したいことチェックリスト
被害届の提出前、告訴を検討する前、示談書に署名する前、被害者参加を申し出る前、弁護士に相談する前に、次のような点を確認しておくと、状況を整理しやすくなります。
- 事件の日時・場所・被害内容・相手方情報を時系列で整理したか
- けがの写真・診断書・領収書など、被害を裏づける資料を保管しているか
- メッセージ・録音・スクリーンショットなど、やり取りの記録を残しているか
- 警察・検察から受け取った書類を保管しているか
- 加害者側から示談の連絡が来ている場合、示談案・謝罪文の内容を確認したか
- 示談書に清算条項・接触禁止・口外禁止・宥恕などの文言がないか確認したか
- 親告罪にあたる可能性がある場合、告訴期間に注意しているか
- 被害者参加や給付制度を利用したい場合、対象や申出先を確認したか
すべてがそろっていなくても、相談を始めることはできます。手元の資料を整理したうえで、不足分をどう補うかを検討していくことになります。
弁護士に相談するタイミング
犯罪被害への対応では、被害届や告訴を出す前、告訴状の作成を検討するとき、警察・検察とのやり取りで困ったとき、加害者側から示談の連絡が来たとき、示談書に署名する前、被害者参加や損害賠償請求を検討するときなど、判断に迷う場面が節目ごとに生じます。
弁護士に相談することで、結果を保証してもらえるわけではありませんが、資料を確認したうえで、どの手続を検討すべきか、示談にどう対応するか、といった方針を整理しやすくなります。特に、示談書への署名を求められている場合や、告訴期間が問題になり得る場合は、判断の前に一度確認しておくことが考えられます。
犯罪被害に関するご相談では、被害届・告訴の検討、加害者側との示談への対応、被害者参加制度の利用など、事案に応じて確認すべき資料を整理し、今後の対応方針を検討します。手続を進める前に状況を整理しておきたい方は、ご相談ください。
よくある質問
- 被害届と告訴は何が違いますか。
- 被害届は被害に遭った事実を届け出るもので、それ自体には処罰を求める意思表示は含まれないと理解されています。告訴は、事実の申告に加えて加害者の処罰を求める意思表示を含む点が異なります。どちらを選ぶべきかは事案により異なります。
- 被害届はどこに出せばよいですか。
- 一般的には警察署の窓口で行います。事件の日時・場所・被害内容・相手方情報などを整理し、けがの写真・診断書・領収書・やり取りの記録などを準備しておくと、状況を伝えやすくなります。
- 告訴すれば必ず起訴されますか。
- そうとは限りません。告訴が受理された場合でも、捜査の結果や証拠の状況を踏まえて、検察官が起訴・不起訴を判断します。告訴は処罰を確約するものではありません。
- 加害者側から示談の連絡が来たら、すぐ返事をすべきですか。
- その場で返答したり署名したりする必要はありません。損害の範囲・支払条件・清算条項・宥恕の文言などを確認したうえで、応じるかどうかを検討することが考えられます。判断に迷う場合は、返事の前に弁護士に確認する方法があります。
- 示談書に署名する前に何を確認すべきですか。
- 損害項目、支払方法・時期、清算条項の範囲、接触禁止・口外禁止の有無、宥恕や処罰感情に関する文言の有無などです。清算条項があると、後から判明した損害の請求が難しくなる場合があります。
- 示談すると刑事処分は必ず軽くなりますか。
- 必ずしもそうではありません。示談や被害弁償が処分・量刑で考慮されることはありますが、結論が決まるわけではなく、最終的な判断は検察官や裁判所が行います。
- 被害者参加制度は誰でも使えますか。
- 一定の事件に限られ、窃盗・詐欺などの財産犯は対象になりません。対象事件かどうか、どの段階で申し出るかは事案により異なります。まず担当検察官に確認することになります。
- 弁護士に相談するときは何を準備すればよいですか。
- 事件の経緯を整理したメモ、けがの写真・診断書・領収書、やり取りの記録、警察・検察から受け取った書類、加害者側から示談案が届いている場合はその書面などがあると、話が進めやすくなります。すべてそろっていなくても相談は可能です。
まとめ
犯罪被害に遭われたときの対応は、次のように整理できます。
- まず安全の確保と、被害を裏づける記録・証拠の保管を優先する。
- 被害届は被害の申告、告訴は処罰を求める意思表示を含むもので、位置づけが異なる。
- 親告罪にあたる場合、告訴期間(犯人を知った日から6箇月)に注意する。
- 加害者側から示談の申入れがあっても、その場で署名せず、清算条項や宥恕の文言などを確認する。
- 被害者参加制度・損害賠償命令制度・犯罪被害給付制度などは、対象や要件が事案により異なるため、公式の窓口で確認する。
手続の結論は事案によって変わります。示談書への署名前、告訴の検討前、被害者参加の申出前などの節目で、資料を確認して方針を整理しておくことが、その後の判断につながります。
監修者・執筆者
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所
代表弁護士 藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士(兵庫県弁護士会所属)・公認会計士
交通事故、相続・遺言、離婚・男女問題、刑事事件、借金・債務整理、企業法務など、個人・法人の幅広い法律問題に対応しています。犯罪被害に関するご相談についても、被害届・告訴の検討、加害者側との示談対応、被害者参加制度の利用などの観点から、資料を確認したうえで対応の方針を整理します。

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