神戸市内で労災(労働災害)の申請や、労働基準監督署(以下「労基署」ともいいます)への相談を考えるとき、「自分は神戸東と神戸西のどちらへ行けばよいのか」「東灘区や北区はどの署なのか」「労災の書類は労基署へ直接出せばよいのか、病院に出すものもあるのか」と迷うことがあります。神戸市は政令指定都市で区が多く、しかも神戸市内の区がすべて同じ署に属しているわけではないため、最初に管轄を正しく確認しておくことが大切です。
この記事では、神戸市内の区ごとに担当する労働基準監督署、労災申請の主な提出先、相談前に準備しておきたい資料、そして会社が労災申請に協力してくれない場合の相談先までを、公的機関の情報に基づいて整理します。けがや病気の状況によって結論が変わる点もありますので、最終的には資料を確認したうえで判断することをおすすめします。
申請の前に「どの署が管轄か」「会社にどう伝えるか」を整理しておきたい場合、資料を確認したうえで進め方を検討することができます。会社への対応や損害賠償の検討も必要なときは、労働問題に対応する弁護士への相談もご検討ください。
Contents
神戸市の労働基準監督署はどこ?まず結論
神戸市内の9つの区は、公式情報上、神戸東労働基準監督署・神戸西労働基準監督署・西宮労働基準監督署の3つの署に分かれて管轄されています。お住まいの区ではなく、原則として勤務先(事業場)の所在地で判断する点に注意しながら、まずは区ごとの管轄を確認してください。
| 神戸市内の区 | 管轄する労働基準監督署 |
|---|---|
| 中央区 | 神戸東労働基準監督署 |
| 灘区 | 神戸東労働基準監督署 |
| 東灘区 | 西宮労働基準監督署 |
| 兵庫区 | 神戸西労働基準監督署 |
| 北区 | 神戸西労働基準監督署 |
| 長田区 | 神戸西労働基準監督署 |
| 須磨区 | 神戸西労働基準監督署 |
| 垂水区 | 神戸西労働基準監督署 |
| 西区 | 神戸西労働基準監督署 |
ここがポイント
東灘区は神戸市内ですが、公式情報上の管轄は神戸東でも神戸西でもなく、西宮労働基準監督署です。神戸市内だからといってすべてが神戸東・神戸西になるわけではありません。最新の管轄は、必ず兵庫労働局の公式一覧で確認しましょう。
労働基準監督署とは|労災の相談窓口になる行政機関
労働基準監督署は、労働基準法や労働安全衛生法、労働者災害補償保険法(労災保険法)などに基づき、労働条件や職場の安全衛生、労災保険の給付などを扱う国の行政機関です。労災(業務や通勤が原因のけが・病気)について、申請を受け付け、給付の事務を行う窓口でもあります。
労基署が扱う主な事務
労基署では、労災保険の給付に関する手続のほか、労働時間や賃金不払などの労働基準に関する相談・申告、職場の安全衛生に関する事務などを扱っています。扱う内容が幅広いため、相談したい内容に応じて窓口(担当課)が分かれています。
署内の窓口の違い
署内には複数の窓口があります。どの窓口に連絡すればよいか迷うときの目安として、公式の組織区分を整理すると次のとおりです。具体的にどの窓口が対応するかは個別の事情によるため、迷う場合は管轄署に確認してください。
| 窓口(担当課等) | 主に関係しやすい相談内容 |
|---|---|
| 労災課 | 労災保険給付(労災申請)に関する手続・相談 |
| 方面(監督) | 労働基準法等に基づく相談・申告(労働時間、賃金不払など) |
| 安全衛生課 | 職場の安全・衛生に関する事項 |
| 総合労働相談コーナー | 解雇、いじめ・嫌がらせ、労働条件など個別の労働紛争に関する相談 |
労働基準監督署と弁護士の役割の違い
労基署は、労災保険の給付など行政手続を扱う窓口です。これに対して、会社に対する損害賠償の請求、安全配慮義務違反の主張、解雇・退職・未払い賃金・ハラスメントといった会社との紛争への対応、示談交渉や訴訟は、弁護士に相談する場面です。労基署に相談すれば必ず労災が認定される、弁護士に依頼すれば必ず給付や賠償を受けられる、というものではありません。労災申請と会社への請求は分けて考える必要があります。
神戸市内の区ごとの管轄|神戸東・神戸西・西宮
神戸東労働基準監督署(中央区・灘区)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 〒650-0024 神戸市中央区海岸通29 神戸地方合同庁舎3階 |
| 労災課(直通) | 078-332-5353 |
| 開庁時間 | 平日 午前8時30分〜午後5時15分 |
| 神戸市内の管轄区 | 中央区・灘区 |
神戸西労働基準監督署(兵庫区・長田区・須磨区・垂水区・北区・西区)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 〒652-0802 神戸市兵庫区水木通10-1-5 |
| 労災課(直通) | 078-576-1831 |
| 開庁時間 | 平日 午前8時30分〜午後5時15分 |
| 神戸市内の管轄区 | 兵庫区・長田区・須磨区・垂水区・北区・西区 |
東灘区は西宮労働基準監督署|神戸市内でも管轄が異なる点に注意
東灘区は神戸市内ですが、公式情報上の管轄は西宮労働基準監督署です。西宮労働基準監督署は、西宮市・芦屋市・宝塚市とあわせて神戸市東灘区を管轄しています。神戸市内だから神戸東・神戸西のいずれか、と思い込むと提出先を誤るおそれがあるため注意してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 〒662-0942 西宮市浜町7-35 西宮地方合同庁舎 |
| 労災課(直通) | 0798-24-8603 |
| 開庁時間 | 平日 午前8時30分〜午後5時15分 |
| 神戸市内の管轄区 | 東灘区 |
署の所在地・電話番号・開庁時間・管轄区域は変更される場合があります。手続の前に、兵庫労働局の公式ページで最新の情報を確認してください。各窓口の直通番号は署によって異なります。
どの労基署が管轄になる?判断のしかた
労災の請求書は、原則として、被災した労働者が直接所属する事業場(勤務先)の所在地を管轄する労働基準監督署長に対して提出します。つまり、自宅住所ではなく勤務先の所在地で判断するのが基本です。ただし、働き方によっては判断が分かれることがあり、次のような場合は管轄署または兵庫労働局に確認することをおすすめします。
管轄の判断で迷いやすい例
- 自宅と勤務先が別の区・市にある場合(原則は勤務先の所在地で判断します)。
- 派遣社員の場合(派遣元の事業場が基準となるのが原則です)。
- 出向・下請で働いている場合や、建設現場など事業場以外で作業している場合。
- 複数の事業場や、勤務地と事故発生場所が異なる場合。
これらは個別事情により取扱いが変わることがあります。判断に迷う場合は、自己判断で署を決めず、管轄署や兵庫労働局に確認してください。
労災申請の提出先|病院に出す書類と労基署に出す書類
労災の申請(請求)は、給付の種類や、治療を受けた医療機関が労災指定かどうか、業務災害か通勤災害かによって、使う様式と提出先が変わります。「労基署へ直接出すもの」と「病院の窓口に出すもの」がある点が、最初につまずきやすいところです。
労災指定医療機関で治療を受ける場合
労災病院や労災指定医療機関で治療を受けるときは、治療そのものを現物給付として受けられます(窓口で治療費を支払う必要が原則ありません)。この場合の療養(補償)等給付の請求書は、受診した指定医療機関を経由して所轄の労働基準監督署長に提出する仕組みで、実際には医療機関の窓口に提出します。業務災害は様式第5号、通勤災害は様式第16号の3を使用します。
指定医療機関以外で治療を受けた場合
労災指定でない医療機関で治療を受けた場合は、いったん治療費を立て替え、後日その費用の支給を受ける流れになります。この療養(補償)等給付(費用請求)の請求書は、所轄の労働基準監督署長に提出します。業務災害は様式第7号、通勤災害は様式第16号の5を使用します。
仕事を休んで賃金が出ないとき(休業補償給付)
労災による療養のため仕事を休み、賃金を受けられない場合は、休業した日の4日目から、休業(補償)等給付の対象になります。この請求書は、所轄の労働基準監督署長に提出します。業務災害は様式第8号、通勤災害は様式第16号の6を使用します。給付の具体的な計算方法や支給要件の詳細は、状況により異なりますので、管轄署や公的資料で確認してください。
通勤災害の場合
通勤途中のけがなど通勤災害の場合は、業務災害とは異なる様式を使います。給付の名称も、業務災害では「療養補償給付」「休業補償給付」、通勤災害では「療養給付」「休業給付」と呼び分けられています。提出先の考え方(指定医療機関か、労基署か)は業務災害と同じです。
| 状況 | 主な給付 | 様式 | 主な提出先 |
|---|---|---|---|
| 業務災害・労災指定医療機関で受診 | 療養補償給付(現物給付) | 様式第5号 | 受診した指定医療機関(経由して所轄労基署長) |
| 業務災害・指定医療機関以外で受診 | 療養補償給付(費用請求) | 様式第7号 | 所轄の労働基準監督署 |
| 業務災害・休業して賃金が出ない | 休業補償給付 | 様式第8号 | 所轄の労働基準監督署 |
| 通勤災害・労災指定医療機関で受診 | 療養給付(現物給付) | 様式第16号の3 | 受診した指定医療機関(経由して所轄労基署長) |
| 通勤災害・指定医療機関以外で受診 | 療養給付(費用請求) | 様式第16号の5 | 所轄の労働基準監督署 |
| 通勤災害・休業して賃金が出ない | 休業給付 | 様式第16号の6 | 所轄の労働基準監督署 |
様式は、労働基準監督署の窓口で受け取るほか、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。どの様式を使うべきか、提出先がどこになるかは、けがの状況や受診先により変わりますので、迷う場合は管轄署に確認してください。
窓口に相談する前に確認したい資料
労災の申請前や窓口相談の前に、次の資料を手元にそろえておくと、状況の説明や手続がスムーズになります。すべてが必ず必要というわけではありませんが、あてはまるものを準備しておくと安心です。
- 勤務先(所属事業場)の名称・所在地・電話番号
- 事故が起きた日・時刻・場所
- 事故やけがの状況、そのときの作業内容、通勤途中であれば通勤経路
- 診断書、治療費の領収書、診療明細書
- 休業した期間、賃金がわかる資料(給与明細、勤怠記録など)
- 会社とのやり取り(メール、チャット、報告書など)
- 現場の写真、目撃者の情報、防犯カメラやドライブレコーダーの記録がある場合はその有無
- 派遣・出向・下請や、複数の事業場が関係する場合は、その関係がわかる資料
よく問題になるケース
窓口や提出先で迷いやすいのは、次のような場面です。いずれも個別の事情によって結論が変わるため、自己判断せず、必要に応じて管轄署や弁護士に確認することをおすすめします。
自宅と勤務先で住所が違う場合
労災の請求書は、原則として勤務先(事業場)の所在地を管轄する署に提出します。自宅が東灘区でも勤務先が中央区であれば、勤務先の所在地で管轄を考えるのが基本です。
派遣・出向・建設現場で働いている場合
派遣社員は派遣元の事業場が基準になるのが原則です。出向・下請や建設現場での作業は、関係する事業場が複数になることがあり、管轄や労働保険番号の扱いが分かれる場合があります。判断に迷うときは管轄署に確認してください。
通勤途中でけがをした場合
通勤災害は業務災害と給付の名称・様式が異なります。通勤経路や立ち寄りの有無によって通勤災害に当たるかどうかの判断が分かれることもあるため、状況を整理して相談するとよいでしょう。
会社が「労災ではない」と言っている場合
会社が労災に当たらないと述べていても、業務や通勤との関係(業務起因性・通勤災害該当性)は、最終的には個別の事情に基づいて判断されるものです。会社の見解と結論が一致しないこともあるため、資料を整理したうえで相談することを検討してください。
会社が事業主証明に協力してくれない場合
請求書には会社が事故の状況などを証明する欄がありますが、会社が証明に応じないケースもあります。その場合の取扱いについては、管轄の労働基準監督署に相談することができます。会社の対応自体が問題となる場合や、損害賠償も検討したい場合は、弁護士への相談もご検討ください。
健康保険で受診してしまった場合
本来は労災となるけがを健康保険で受診してしまった場合、後から切替えの手続が必要になることがあります。状況により対応が変わるため、早めに管轄署へ確認してください。
精神疾患・過労・ハラスメントや交通事故が関係する場合
過労や精神疾患、ハラスメントが関係する労災、あるいは通勤中の交通事故のように第三者が関係する災害(第三者行為災害)は、判断の枠組みが複雑になりがちです。これらは本記事の範囲を超えるため、別途、個別の相談で整理することをおすすめします。
弁護士に相談を検討したほうがよい場面
労災の申請手続そのものは行政の窓口で進められますが、次のような場面では、申請と並行して、または申請とは別に、弁護士に相談して方針を整理する余地があります。弁護士への相談は、結果を保証するものではありませんが、資料を確認したうえで法律上の見通しや対応方針を検討するのに役立ちます。
- 会社が労災申請に協力してくれない、事業主証明に応じない。
- 業務との関係(業務起因性)、通勤災害該当性、症状との因果関係が争われている。
- 後遺障害や、休業による損害、慰謝料、逸失利益など、会社への損害賠償も視野に入れたい。
- 解雇、退職勧奨、配置転換、未払い賃金、ハラスメントなど、別の労働問題も同時に起きている。
- 会社への請求や示談交渉を検討しており、申請前・会社への回答前・示談書や退職合意書への署名前に方針を整理したい。
労災の申請と、会社への損害賠償や退職・解雇への対応は、分けて検討する必要があります。署名や回答の前に、資料を確認したうえで進め方を整理しておくと、選択肢を検討しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
神戸市中央区の労基署はどこですか?
中央区は神戸東労働基準監督署の管轄です。所在地は神戸市中央区海岸通29の神戸地方合同庁舎3階で、労災課の直通は078-332-5353です。最新の情報は公式ページで確認してください。
神戸市北区の労基署はどこですか?
北区は神戸西労働基準監督署の管轄です。所在地は神戸市兵庫区水木通10-1-5で、北区とは離れていますので、来署の際は所在地と開庁時間を確認してから向かうとよいでしょう。
東灘区は神戸東労働基準監督署ですか?
いいえ。東灘区は神戸市内ですが、公式情報上の管轄は西宮労働基準監督署です。神戸市内でも管轄が分かれるため、神戸東・神戸西と思い込まないよう注意してください。
労災申請は労基署へ直接出せばよいですか?
申請内容によります。労災指定医療機関で治療を受ける療養(補償)給付は、受診した医療機関の窓口に提出します。費用の請求や休業(補償)給付は、所轄の労働基準監督署に提出します。
労災課と総合労働相談コーナーは何が違いますか?
労災課は労災保険給付(労災申請)に関する手続を扱う窓口です。総合労働相談コーナーは、解雇やいじめ・嫌がらせ、労働条件など、個別の労働紛争に関する相談を受け付ける窓口です。相談したい内容で窓口が分かれます。
会社が労災申請に協力してくれない場合はどうすればよいですか?
会社が事業主証明に応じない場合の取扱いについては、管轄の労働基準監督署に相談することができます。会社の対応自体が問題となる場合や、損害賠償も検討したい場合は、労働問題に対応する弁護士への相談もご検討ください。
自宅住所と勤務先住所が違う場合、どちらの労基署ですか?
労災の請求書は、原則として勤務先(事業場)の所在地を管轄する署に提出します。ただし派遣などでは扱いが異なる場合があるため、迷うときは管轄署や兵庫労働局に確認してください。
労災申請と会社への損害賠償請求は同じ手続ですか?
別の手続です。労災申請は労働基準監督署に対して給付を請求するものであり、会社への損害賠償請求は会社に対して行うものです。両者は分けて検討する必要があります。
まとめ
- 神戸市内の区は、神戸東(中央区・灘区)、神戸西(兵庫区・長田区・須磨区・垂水区・北区・西区)、西宮(東灘区)の3署に分かれます。
- 東灘区は神戸市内でも西宮労働基準監督署の管轄です。神戸東・神戸西と思い込まないよう注意してください。
- 管轄は、原則として勤務先(事業場)の所在地で判断します。派遣・出向・現場作業などは扱いが分かれることがあります。
- 労災申請は、指定医療機関で受診する療養(補償)給付は病院の窓口、費用請求や休業(補償)給付は労基署が提出先です。
- 会社が協力しない、因果関係が争われる、損害賠償や他の労働問題も絡む場合は、申請前・署名前に弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
神戸市での労災や会社対応について、資料を確認したうえで進め方を整理したい場合は、ご相談ください。費用の目安は費用ページでご確認いただけます。
参考資料(公的機関・公式資料)

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