所得税や住民税、固定資産税、自動車税、消費税、国民健康保険料、国民年金保険料などを滞納したまま、カードローンやリボ払い、消費者金融、事業資金の返済にも行き詰まっている――。そんなとき、多くの方が「自己破産すれば税金も消えるのか」「弁護士に頼めば税金の差押えも止まるのか」と考えます。しかし、税金は民間の借金とは性質が異なり、債務整理で当然に減額・免除されるわけではありません。
この記事では、税金滞納がある場合に、任意整理・個人再生・自己破産で税金がどう扱われるのか、差押えはどう進むのか、納税の猶予などの制度をどう使うのかを整理します。あわせて、相談前にご自身で確認できるチェック項目や準備資料も示します。結論の方向性として、税金滞納があっても債務整理を検討できる場合はありますが、税金そのものは別枠で納付計画を考える必要がある、という点を最初に押さえてください。なお、見通しは税目・滞納額・滞納期間・差押えの状況・収入・財産・事業の有無などにより異なり、個別事情により結論は変わります。
税金滞納と借金返済の両方でお困りの方へ
税金滞納がある場合でも、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理を検討できる場合があります。もっとも、税金や一部の保険料は、消費者金融やカードローンのように当然に減額・免除されるものではありません。神戸みらい法律会計事務所では、税金滞納・民間債務・家計収支・差押えの状況を整理し、生活再建に向けた対応方針を検討します。
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※初回相談・電話相談・夜間/土日対応・オンライン/出張相談・法テラス利用・分割払いの可否は、対象分野・事案・予約状況により異なる場合があります。最新の案内をご確認ください。
※税務申告・修正申告・税務代理や社会保険手続は、必要に応じて税理士・社会保険労務士等への確認が必要になる場合があります。
Contents
- 税金滞納と借金が重なったとき、まず知っておきたい結論
- 税金は消費者金融やカードローンと何が違うのか
- 自己破産をすれば税金は免除されるのか
- 個人再生をすれば税金は減額されるのか
- 任意整理で税金を分割整理できるのか
- 税金滞納で差押えが進む流れ
- 弁護士の受任通知で税金の督促・差押えは止まるのか
- 納税の猶予・換価の猶予・徴収猶予・減免制度
- 税金と民間の借金、どちらを優先すべきか
- 税金滞納がある場合の家計収支チェック
- 個人事業主・フリーランス・会社代表者の場合
- 住宅・自動車・生命保険・不動産があるとき
- 税金の時効(消滅時効)に関する注意
- 税金滞納がある場合の手続選択
- 税金滞納があるときにやってはいけないこと
- 差押通知が届いたときに確認すること
- 弁護士に相談するタイミング
- 相談前に準備したい資料
- 弁護士費用・法テラス・分割払い
- よくある質問
- まとめ
- 監修・執筆者
税金滞納と借金が重なったとき、まず知っておきたい結論
細かい制度に入る前に、判断の土台となる要点を先に整理します。いずれも個別事情により変わり得るため、資料を確認したうえで検討する必要があります。
- 税金滞納があっても、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理を検討できる場合があります。
- 税金は、民間の借金と同じように減額・免除されるものではありません。
- 自己破産をしても、税金(租税等の請求権)は非免責債権として残る可能性があります。
- 個人再生をしても、税金は減額の対象とならず、原則として再生計画とは別に支払う必要があります。
- 任意整理では、民間の借金を整理して税金の納付原資を確保するという視点が重要です。
- 弁護士の受任通知で、税金の督促や差押え(滞納処分)が当然に止まるわけではありません。
- 税務署・自治体・年金事務所などへの納付相談・猶予申請と、弁護士への相談を並行して検討することが現実的です。
つまり、税金滞納がある場合は「債務整理で借金を整理する」ことと「税金の納付計画を立てる」ことを分けて考え、両方を組み合わせて生活再建を図るのが基本の考え方です。
税金は消費者金融やカードローンと何が違うのか
税金や社会保険料は、私人間の貸し借りである借金とは法律上の性質が異なります。この違いが、債務整理での扱いや差押えの進み方に直結します。
公租公課・租税等の請求権という性質
所得税・住民税・固定資産税・自動車税・消費税などの税金や、国民健康保険料・国民年金保険料・社会保険料などは、まとめて「公租公課」と呼ばれます。これらは国や自治体が公の収入を確保するために徴収するもので、破産法では「租税等の請求権」として、民間の借金とは別に取り扱われます。
裁判手続を経ずに差押えが進むことがある
消費者金融などが財産を差し押さえるには、原則として訴訟や支払督促などの裁判手続を経て、判決などの債務名義を得る必要があります。これに対し、税金や保険料は、納期限・督促を経たうえで、裁判手続を経ずに「滞納処分」として差押えが進む場合があります(国税徴収法など)。この点が、放置のリスクが借金より早く現実化しやすい理由です。ただし「何日で必ず差し押さえられる」と一律に決まっているわけではなく、税目・自治体・事案により運用は異なります。
延滞税・延滞金・加算税の負担
税金を滞納すると、本税のほかに延滞税(国税)や延滞金(地方税・保険料)が加算され、申告漏れなどがあれば加算税が課されることがあります。時間の経過とともに負担が増えるため、放置せず、早めに納付相談や猶予制度の検討を行うことが大切です。延滞税・延滞金の利率や軽減の範囲は税目・年度・制度により異なるため、具体的な数字は税務署・自治体や税理士に確認してください。
自己破産をすれば税金は免除されるのか
結論として、自己破産(免責)をしても、税金は原則として免除されません。順を追って説明します。
免責で免れる債務と免れない債務
自己破産では、免責許可決定が確定すると、破産手続による配当を除き、破産債権について支払う責任を免れます(破産法第253条第1項本文)。これにより、カードローンや消費者金融などの一般的な借金は支払義務を免れるのが原則です。ただし、すべての債務が免責されるわけではありません。
破産法第253条第1項第1号の租税等の請求権
破産法第253条第1項は、一定の請求権を「非免責債権」として、免責の効力が及ばないものと定めています。その第1号が「租税等の請求権」です。したがって、滞納している税金は、自己破産をしても支払義務が残るのが原則です。なお、税金のうち破産手続開始前後の取扱いによっては「財団債権」となるものもあり、これはそもそも破産債権ではないため、やはり免責の対象になりません。いずれにせよ、自己破産をしても滞納税金が当然に消える・差押えがすべて解除される、とはいえない点に注意が必要です。具体的にどの範囲が非免責・財団債権・優先的破産債権に当たるかは、債権の発生時期などにより変わるため、資料を確認して個別に判断する必要があります。
国民健康保険料・国民年金保険料・社会保険料の扱い
国民健康保険料・国民年金保険料・社会保険料などの公的な保険料も、徴収の優先権が法律で定められた公租公課として扱われ、自己破産をしても当然には免除されない方向で検討されます。これらが残る可能性がある以上、自己破産後も、年金事務所や自治体の窓口で納付相談・減免・猶予の検討が必要になります。各保険料の具体的な取扱いは条文と公的資料で確認する必要があります。
自己破産後も税金の納付相談が必要
以上のとおり、自己破産で民間の借金を整理できても、税金や保険料は残る可能性があります。免責決定後は、税務署・自治体・年金事務所などと、残った税金・保険料の分納や猶予について相談することになります。「破産すれば税金も含めてすべて解決する」という理解は誤りです。
個人再生をすれば税金は減額されるのか
個人再生は、再生計画に基づいて借金の一部を返済し、残りの免除を目指す手続です。ただし、税金は減額の対象にならない点に注意が必要です。
税金は一般優先債権として随時弁済する
税金や社会保険料などの公租公課は、個人再生では「一般優先債権」に当たります(民事再生法第122条第1項)。一般優先債権は、再生手続によらないで随時弁済するものとされており(同条第2項)、再生計画で減額される再生債権とは別に、原則として全額を支払う必要があります。つまり、個人再生をしても税金そのものは減りません。また、個人再生では特定の債権者だけを優先して返済する「偏頗弁済」が問題になりますが、税金などの一般優先債権の支払いはこれとは区別して扱われるのが一般的です。
税金を支払いながら再生計画を履行できるか
個人再生で重要になるのは、再生計画に基づく返済と、税金の納付(または猶予に基づく分納)の両方を継続できるか、という履行可能性です。滞納税金が大きいまま申立てを行うと、税金の納付計画が不明確で、計画の遂行可能性に影響することがあります。さらに、個人再生の手続中であっても、税金を滞納していれば滞納処分(差押え)が進む可能性があるため、税金側の対応を並行して進める必要があります。「個人再生なら税金も減額できる」「税金滞納があると個人再生は絶対にできない」と一律に決めつけることはできず、いずれも個別事情により結論は異なります。
住宅ローン特則を使う場合の注意
住宅を残すために住宅ローン特則付きの個人再生を検討する場合でも、固定資産税・都市計画税・管理費・修繕積立金・国民健康保険料などの滞納を含めた家計全体の確認が欠かせません。住宅ローンは約定どおり支払いを続ける一方で、これらの滞納が残っていると、固定資産税の滞納による差押えなどで住宅維持の前提が崩れることもあるためです。
任意整理で税金を分割整理できるのか
任意整理は、主に貸金業者・カード会社・銀行などの民間債権者と、将来利息のカットや分割回数などの返済条件を個別に交渉する手続です。税務署・自治体・年金事務所に対する税金や保険料は、貸金業者との任意整理のように元本を減額交渉する対象ではありません。
もっとも、任意整理によって民間債務の毎月の返済額を調整できれば、その分、税金の納付に充てる原資を確保しやすくなります。税金については、別途、税務署・自治体・年金事務所の窓口で、納税の猶予・換価の猶予・徴収猶予・分納・減免などを検討することになります。「任意整理で税金もまとめて減額できる」という理解は誤りです。なお、税務代理や申告に関わる対応が必要な場合は、弁護士単独で対応できる範囲と、税理士・社会保険労務士との連携が必要な範囲を確認する必要があります。
税金と借金を分けて整理しましょう
税金滞納がある場合は、税務署・自治体への納付相談や猶予申請と、民間債務の債務整理を分けて検討する必要があります。督促状・差押通知・納税通知書・債権者一覧・家計収支表を整理することで、任意整理・個人再生・自己破産のどれを検討すべきか判断しやすくなります。
税金滞納で差押えが進む流れ
滞納処分は、おおむね次の流れで進みます。下表は国税(税務署)の一般的な流れの例で、地方税(市県民税・固定資産税・自動車税など)も同様の構造ですが、実際の段階・期間は税目・自治体・事案により異なります。「必ずこの日数で差し押さえられる」という意味ではありません。
| 段階 | 主な内容 | 関係する規定の例 |
|---|---|---|
| 納期限 | 期限までに納付がない | ― |
| 督促 | 督促状の送付(国税は納期限から原則50日以内に発する) | 国税通則法第37条 |
| 差押えが可能になる時点 | 督促状を発した日から起算して10日を経過しても完納がないとき、差押えが可能になる | 国税徴収法第47条第1項第1号 |
| 財産調査 | 預貯金・給与・不動産・保険・売掛金などの調査 | 国税徴収法など |
| 差押え | 給与・預貯金・生命保険(解約返戻金)・不動産・売掛金・自動車などを差押え | 国税徴収法 |
| 取立て・換価(公売) | 差し押さえた財産の取立て・売却 | 国税徴収法 |
| 充当 | 取り立てた金銭を滞納税金へ充当 | ― |
差押禁止財産の範囲(給与の一部や一定の年金など)は法令で定められていますが、その範囲は国税徴収法・民事執行法などにより異なります。差押通知書・債権差押通知書・公売通知などが届いた場合は、すぐに内容と期限を確認することが重要です。民事執行による給与差押えなどが届いている場合の初動は、給料差押えの通知が届いたら確認することもあわせてご確認ください。
弁護士の受任通知で税金の督促・差押えは止まるのか
弁護士が貸金業者などに受任通知を送ると、貸金業法上の規制により、債務者本人への直接の取立てが止まる場合があります。一方で、税務署・自治体・年金事務所による税金・保険料の滞納処分は、貸金業者向けの受任通知と同じ効果で当然に止まるものではありません。
税金については、所管窓口への納付相談、納税の猶予・換価の猶予などの申請、差押解除の申請、分納計画の協議などを別途検討する必要があります。「受任通知を出せば税金の差押えも公売も必ず止まる」という理解は誤りです。もっとも、税金滞納と民間の借金の両方がある場合に、弁護士が家計全体と手続の方針を整理し、税金側の窓口対応と民間債務の整理を並行して進める道筋を立てられる場合があります。
納税の猶予・換価の猶予・徴収猶予・減免制度
税金や保険料を一度に納められない場合に検討できる主な制度を整理します。いずれも申請すれば必ず認められるものではなく、要件・期間・申請期限・必要書類・担保の要否は公式資料で確認が必要です。延滞税・延滞金の軽減や免除の範囲は税目・年度・制度により異なります。法的な猶予制度と、窓口での事実上の分納相談は別である点にも注意してください。
| 制度 | 申請先(窓口)の例 | 主な要件・場面 | 主な効果 | 期間・担保・必要資料の例 |
|---|---|---|---|---|
| 換価の猶予(申請) 国税徴収法第151条の2 |
所轄の税務署(徴収担当) | 一時に納付すると事業継続・生活維持が困難となるおそれ、誠実な納税意思、猶予を受ける国税以外に滞納がない、納期限から6か月以内に申請 | 原則として延滞税が軽減、猶予期間中は換価(公売)が猶予される | 原則1年以内(やむを得ない場合は延長で最長2年)。原則担保が必要(猶予額100万円以下、期間3か月以内、提供できる担保がない場合は不要)。猶予申請書+財産収支状況書(100万円以下)/財産目録・収支の明細書(100万円超) |
| 換価の猶予(職権) 国税徴収法第151条 |
所轄の税務署(徴収担当) | 既に滞納がある場合や申請期限経過後など、税務署長の職権による場合 | 換価の猶予と同様 | 窓口で要確認 |
| 納税の猶予 国税通則法第46条 |
所轄の税務署(徴収担当) | 災害・盗難、本人や生計を同じくする家族の病気、事業の休廃業、事業の著しい損失などにより一時に納付が困難。猶予を受ける国税以外に滞納があっても申請できる | 延滞税が免除または軽減される | 原則1年以内(延長で最長2年)。担保の要否は換価の猶予と同様の基準 |
| 市税・県税の徴収猶予・換価の猶予・減免 地方税法・各自治体の制度 |
神戸市の市税窓口・兵庫県税事務所などの納付相談窓口 | 災害・病気・休廃業・著しい損失、生活困窮など | 延滞金・換価への影響は制度・事案による | 各制度・窓口で確認 |
| 国民健康保険料の徴収猶予・換価の猶予・減免 国民健康保険法・神戸市の制度 |
住所地の区役所などの国保窓口・神戸市のコールセンター | 災害・病気・休廃業・著しい損失など | 神戸市の例:徴収猶予は原則6か月(最長1年)、換価の猶予は原則1年(最長2年)。担保が必要な場合がある | 区役所などの窓口で確認 |
| 国民年金保険料の免除・納付猶予 日本年金機構 |
年金事務所・市区町村の国民年金窓口 | 本人・配偶者・世帯主の所得が一定以下、失業など(納付猶予は50歳未満が対象) | 全額・4分の3・半額・4分の1の免除、または納付猶予。後から追納できる | 年度は7月〜翌年6月。申請時点から最大2年1か月前まで遡れる。申請書・離職票など |
| 社会保険料(厚生年金保険料など)の猶予 日本年金機構 |
年金事務所 | 一時に納付が困難な場合など | 換価の猶予など | 年金事務所で確認 |
| 分納(納付計画)の相談 | 税務署・市県税窓口・年金事務所など | 一括納付が難しい場合 | 法的な猶予とは別の、事実上の分割納付。延滞税・延滞金は別途発生し得る | 収支がわかる資料を準備 |
税金と民間の借金、どちらを優先すべきか
税金や保険料は、裁判手続を経ずに滞納処分が進む可能性があるなど、民間の借金より差押えが現実化しやすい面があります。この点では税金への対応を優先的に考える必要があります。一方で、生活費・住居費・医療費・養育費・住宅ローン・事業継続費用なども踏まえ、現実に支払える範囲で優先順位を組み立てることが欠かせません。
注意したいのは、税金を払うために高金利の借入れ、ヤミ金融、いわゆる給与ファクタリング、クレジットカードの現金化などに頼ることは避けるべきだという点です。これらは状況を悪化させます。また、特定の民間債権者や親族、保証人付きの債務だけを優先して返済すると、後の手続で偏頗弁済が問題になることがあります。税金・社会保険料の支払いと、一般債権者への偏頗弁済は区別して考える必要があるため、優先順位の整理は弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
税金滞納がある場合の家計収支チェック
税金滞納がある場合は、通常の債務整理以上に、家計全体の支払順位と返済可能性を細かく確認する必要があります。次の区分で、毎月の収入と支出、滞納の状況を整理してみてください。無理に税金の納付計画を組むと生活費や再生計画の返済が破綻し、逆に税金を放置したまま民間債務だけ整理すると差押えで生活再建が崩れることがあります。
| 区分 | 例 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 収入 | 給与・賞与・事業収入・年金など | 手取りで安定して見込める額 |
| 住居費 | 家賃・住宅ローン・管理費・修繕積立金 | 固定資産税の滞納の有無 |
| 税金 | 所得税・住民税・固定資産税・自動車税・消費税など | 税目ごとの滞納額・延滞税 |
| 社会保険料 | 国民健康保険料・国民年金保険料・介護保険料など | 滞納額・減免や猶予の利用状況 |
| 民間債務 | カードローン・消費者金融・リボ払い・自動車ローンなど | 毎月の返済額・残高 |
| 生活費ほか | 食費・光熱費・通信費・教育費・医療費・車両費・事業費・養育費・保険料 | 削減できる費目と削れない費目 |
| 滞納の整理 | 滞納税金の総額/延滞税・延滞金/毎月納付できる額/今後発生する税金/差押えのリスク | 納付可能額の見極め |
これらは、後述する財産収支状況書・財産目録・収支の明細書・家計収支表の作成にもつながります。早めに数字を可視化しておくと、相談がスムーズになります。
個人事業主・フリーランス・会社代表者の場合
個人事業主やフリーランスでは、所得税・消費税・住民税・個人事業税・国民健康保険料・国民年金保険料・予定納税・源泉徴収義務に加え、事業資金の借入れが重なることがあります。とくに消費税や源泉所得税の滞納は、事業の資金繰りや継続に大きく影響する可能性があります。
会社代表者の場合は、法人税・消費税・源泉所得税・社会保険料・労働保険料といった法人の税金・保険料と、法人の借入れに対する代表者保証が問題になることがあります。ここで注意したいのは、法人の税金滞納と、代表者個人の債務整理は別の問題だという点です。「法人の税金も代表者の自己破産で消える」という理解は誤りです。事業を続けるか、廃業するか、法人の破産を検討するかは、本記事とは別に、税理士・社会保険労務士との連携も視野に入れて検討する必要があります。
住宅・自動車・生命保険・不動産があるとき
固定資産税を滞納している場合、自宅や不動産の差押え・公売が問題になることがあります。住宅ローン特則付きの個人再生で自宅を残したい場合は、住宅ローンに加え、固定資産税・都市計画税・管理費・修繕積立金・国民健康保険料などを含めた家計収支の確認が重要です。
自動車については、自動車税・軽自動車税の滞納、自動車ローンの所有権留保、車検、事業用車両の必要性なども確認します。生命保険は、解約返戻金が財産目録や清算価値に影響することがあります。なお、不動産・保険・自動車の名義を家族に移したり、財産を隠したりすることは、後の手続で重大な問題になります。絶対に行わないでください。住宅を残したい場合の検討点は、住宅ローンがある場合の個人再生に関する記事もあわせてご確認ください(公開状況は事務所サイトでご確認ください)。
税金の時効(消滅時効)に関する注意
税金にも徴収権の消滅時効が問題になる場合があります。もっとも、督促・差押え・納付・承認・猶予などにより、時効の更新や完成猶予が生じ得るため、「放置すれば時効で消える」と安易に考えるのは危険です。税金の時効は、税目・納期限・督促・滞納処分・納付相談・猶予・分納・差押えの有無などにより変わります。
なお、民間の借金では消滅時効の援用が問題になりますが、これは税金の徴収権とは別に整理する必要があります。時効を狙って税金を放置することはおすすめできません。時効・除斥期間・不服申立て・審査請求に関わる点は、国税通則法・国税徴収法・地方税法などを踏まえた個別の確認が必要です。
税金滞納がある場合の手続選択
税金滞納がある場合、債務整理だけで問題が完結するわけではなく、税務署・自治体・年金事務所との納付計画とあわせて検討するのが基本です。下表は考え方の整理であり、どの方法が適切かは個別事情により異なります。
| 手続・制度 | 税金が減額・免除されるか | 民間債務への効果 | 税金の差押えへの影響 | 向いている可能性があるケース/主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 任意整理 | 対象外(減額・免除なし) | 将来利息のカット・分割で月額を圧縮できる場合がある | 直接の影響はない(別途、納付相談が必要) | 安定収入があり民間債務が中心。税金は窓口へ別途相談 |
| 自己破産 | 原則として残る(非免責債権) | 民間の借金は原則免責 | 滞納処分は当然には止まらない | 返済が困難で財産が乏しい。免責不許可事由・残る税金の納付相談を確認 |
| 個人再生 | 減額されず随時弁済が必要 | 民間債務を大幅に圧縮し分割 | 滞納処分は止まらない/履行可能性に影響 | 住宅を残したい・一定の収入がある。税金と再生計画の両立可否が鍵 |
| 住宅ローン特則付き個人再生 | 同上 | 住宅ローンは約定どおり継続 | 固定資産税などの滞納に注意 | 住宅を残したい。固定資産税・管理費を家計に織り込む |
| 納税の猶予・換価の猶予・徴収猶予 | 原則として税額自体は減らない | ― | 換価・差押えが猶予される可能性 | 一時的に納付が困難。要件・延滞税は要確認 |
| 減免制度 | 要件を満たせば減額・免除の可能性 | ― | ― | 災害・著しい困窮など。自治体の要件を確認 |
| 生活保護・生活困窮者自立支援制度 | ―(生活基盤の確保) | ― | ― | 生活維持が困難な場合。役所・支援機関へ |
| 法テラスの利用 | ―(費用面の支援) | 弁護士・司法書士費用の立替など | ― | 収入・資産が一定以下。要件・償還を確認 |
| 時効援用 | 税金の徴収権は別問題 | 民間債務では問題になり得る | ― | 督促・差押え・納付・猶予で時効が更新・完成猶予され得る。放置による時効狙いは不適切 |
税金滞納があるときにやってはいけないこと
状況を悪化させやすい行動を整理しました。心当たりがある場合ほど、早めの相談をおすすめします。
- 税金の滞納を弁護士に伝えない。
- 税務署・市役所・年金事務所からの通知を捨てる。
- 督促状・催告書・差押通知・公売通知を放置する。
- 民間債務だけを整理し、税金滞納を家計に入れない。
- 税金を払うために高金利の借入れをする。
- ヤミ金融・個人間融資・給与ファクタリング・違法業者を利用する。
- クレジットカードの現金化をする。
- 親族・勤務先・保証人付きの債務だけを優先して返済する。
- 財産を家族名義に移す。預金を引き出して隠す。
- 生命保険・自動車・不動産・退職金見込額を隠す。
- 売掛金や事業収入を別口座に移して隠す。
- 税金の時効だけを期待して放置する。
- SNSや匿名掲示板の情報だけで判断する。
- 生活費を削りすぎて、無理な分納計画を組む。
- 事業継続が難しいのに、消費税や源泉所得税の滞納を増やし続ける。
- 家族に知られたくないために、虚偽の説明をする。
差押通知が届いたときに確認すること
差押えに関する通知が届いたら、慌てず、まず次の点を確認してください。期限が迫っていることが多いため、早めの対応が重要です。
- 差押通知書の差出人(税務署・市役所・年金事務所など)。
- 税目・年度・期別。
- 本税・延滞税・延滞金・加算税・滞納処分費の内訳。
- 差押えの対象財産(給与・預金・生命保険・不動産・売掛金など)。
- 第三債務者(勤務先・金融機関・取引先など)。
- 差押日・取立予定・公売予定。
- すでに充当された金額。
- 他の差押えや、民間債権者の差押えとの競合の有無。
- 税務署・市役所・年金事務所への連絡状況、納付相談の履歴。
- 納税の猶予・換価の猶予などの申請が可能か。
- 民間債務の返済状況・家計収支。
- 弁護士に相談すべき状況かどうか。
弁護士に相談するタイミング
次のような場面では、早めに相談を検討してください。相談により、資料を確認したうえで、任意整理・個人再生・自己破産と、税金の納付相談・猶予申請・家計改善を組み合わせた対応方針を整理できる場合があります。
- 税金と、カードローン・リボ払い・消費者金融の返済が両立できない。
- 税金の督促状・催告書・差押予告が届いた。
- 給与・預金・生命保険・不動産・売掛金を差し押さえられた。
- 国民健康保険料や国民年金保険料も滞納している。
- 滞納額が大きく、分納計画が立てられない。
- 税務署・市役所・年金事務所へどう説明すべきか分からない。
- 自己破産しても税金が残ると知り、不安がある。
- 個人再生の返済計画に税金の納付を組み込めるか分からない。
- 住宅ローンや固定資産税の滞納がある。
- 個人事業主・会社代表者で、消費税や源泉所得税を滞納している。
- 訴状・支払督促・給料差押え・債権差押命令も届いている。
- 任意整理・個人再生・自己破産のどれがよいか分からない。
- 法テラスの利用や弁護士費用を確認したい。
なお、弁護士への相談は方針を整理するためのものであり、税金の免除・差押えの停止・督促の停止・免責や認可・家族に知られないことなどを保証するものではありません。見通しは個別事情により異なります。
相談前に準備したい資料
すべてそろっていなくても相談は可能です。ただし、税金関係の通知・差押関係の書類・債権者一覧・収入資料・家計収支表は、優先して準備していただくと、より具体的な検討ができます。
| 区分 | 資料の例 |
|---|---|
| 本人・世帯 | 本人確認資料、住民票、家族構成が分かる資料 |
| 収入 | 給与明細、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書、帳簿・売上資料 |
| 家計・財産 | 預貯金通帳、家計収支表・家計簿、保険証券・解約返戻金証明書、退職金見込額の資料、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、車検証・自動車ローン資料 |
| 民間債務 | 債権者一覧、借入残高の分かる書類、督促状・催告書、支払督促・訴状・判決・和解調書、債権差押命令 |
| 税金・保険料 | 納税通知書・納付書、督促状・催告書、差押予告・差押通知書、公売通知・配当計算書、納税証明書・課税明細書、固定資産税納税通知書、国民健康保険料納入通知書、国民年金保険料納付書、社会保険料の滞納通知 |
| 窓口対応・猶予 | 税務署・市役所・年金事務所との相談記録、分納計画書、猶予許可通知書・猶予申請書、財産収支状況書・財産目録・収支の明細書 |
| 事業(該当する方) | 売掛金・買掛金・請求書・契約書、源泉所得税・消費税・法人税などの申告書 |
| 法テラス検討時 | 収入・資産が分かる資料 |
弁護士費用・法テラス・分割払い
相談料や、任意整理・個人再生・自己破産の費用は、事務所により異なります。神戸みらい法律会計事務所の費用については、弁護士費用を確認するのページで最新の内容をご確認ください。費用額・初回相談無料・電話相談・分割払い・法テラス利用・夜間/土日対応・オンライン/出張相談については、対象分野・事案・予約状況により異なる場合があります。
収入・資産が一定の基準以下の場合、法テラスの民事法律扶助(無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度など)を利用できる場合があります。利用には収入・資産の要件や償還などの条件があるため、詳細は公式の案内でご確認ください。税金滞納がある場合、家計収支や事件の方針に影響することもあるため、断定はできません。また、税務代理・申告書の作成・税務調査対応などが必要な場合は、弁護士が対応できる範囲と、税理士・社会保険労務士との連携が必要な範囲を確認します。
神戸市須磨区・垂水区・西区・北区周辺で、税金滞納と債務整理にお悩みの方へ
税金滞納がある場合、債務整理だけで問題がすべて解決するとは限りません。自己破産でも税金が残る可能性があり、個人再生でも税金を支払いながら再生計画を履行できるかが重要になります。税務署・自治体への納付相談や猶予制度、民間債務の整理、家計改善を一体で検討することが必要です。督促状・催告書・差押通知が届いている場合は、資料を整理して早めにご相談ください。
よくある質問
税金を滞納していても債務整理はできますか。
税金滞納があっても、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理を検討できる場合があります。ただし、税金そのものは債務整理で当然に減額・免除されるわけではなく、税務署・自治体・年金事務所への納付相談や猶予制度とあわせて検討する必要があります。結論は個別事情により異なります。
自己破産をすれば税金も免除されますか。
原則として免除されません。税金(租税等の請求権)は非免責債権とされており(破産法第253条第1項第1号)、自己破産をしても支払義務が残る可能性があります。免責後も、残った税金について納付相談が必要になります。
個人再生をすると税金は減額されますか。
減額されません。税金などの公租公課は一般優先債権に当たり(民事再生法第122条)、再生計画とは別に、原則として随時弁済する必要があります。税金の納付計画を含めて、再生計画を履行できるかが重要になります。
任意整理で税金も分割にできますか。
任意整理は民間の債権者との交渉手続であり、税金は対象外です。税金の分割は、税務署・自治体・年金事務所での納税の猶予・換価の猶予・分納相談などで検討します。任意整理で民間債務の月額を抑え、税金の納付原資を確保するという考え方が役立ちます。
弁護士に依頼すれば税金の差押えは止まりますか。
貸金業者への取立ては受任通知で止まる場合がありますが、税金の滞納処分は当然には止まりません。税金については、納付相談・猶予申請・差押解除の申請などを別途検討する必要があります。
国民健康保険料や国民年金保険料も自己破産で免除されませんか。
これらの公的な保険料も、徴収の優先権が法律で定められた公租公課として扱われ、自己破産をしても当然には免除されない方向で検討されます。年金事務所や自治体での減免・猶予・納付相談を検討することになります。具体的な扱いは資料で確認が必要です。
納税の猶予と換価の猶予はどう違いますか。
納税の猶予(国税通則法第46条)は、災害・病気・休廃業・著しい損失などの事情で一時に納付できない場合の制度で、延滞税が免除または軽減されます。換価の猶予(国税徴収法第151条の2など)は、一時に納付すると事業継続・生活維持が困難になるおそれがある場合の制度で、原則として納期限から6か月以内の申請が必要です。いずれも申請が必要で、要件・期間・担保は公式資料で確認してください。
相談のときは何を準備すればよいですか。
すべてそろっていなくても相談は可能です。優先していただきたいのは、税金関係の通知・差押関係の書類・債権者一覧・収入資料・家計収支表です。手元にあるものから整理してお持ちください。
まとめ
- 税金滞納があっても、債務整理を検討できる場合があります。ただし税金そのものは別枠で考えます。
- 自己破産でも税金は残る可能性があり(破産法第253条第1項第1号)、個人再生でも税金は減額されず随時弁済が必要です(民事再生法第122条)。
- 任意整理では、民間債務を整理して税金の納付原資を確保するという視点が重要です。
- 受任通知で税金の滞納処分は当然には止まりません。納税の猶予・換価の猶予などの制度を窓口で検討します。
- 督促状・差押通知・納税通知書・債権者一覧・家計収支表を整理し、税務署・自治体・年金事務所への相談と弁護士への相談を並行して進めるのが現実的です。
- 見通しは税目・滞納額・差押えの状況・収入・財産・事業の有無などにより異なります。早めに資料を整理してご相談ください。
まずは資料を整理して、方針を一緒に検討しましょう
督促状や差押通知が届いている場合は、対応の選択肢が時間とともに狭まることがあります。神戸みらい法律会計事務所では、税金滞納と民間債務、家計収支、差押えの状況を整理し、任意整理・個人再生・自己破産・納付相談を比較しながら対応方針を検討します。
お電話:078-797-5227
監修・執筆者
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所
弁護士・公認会計士 藤井 貴之(兵庫県弁護士会所属)
借金問題(債務整理)をはじめ、相続、交通事故、企業法務、不動産、刑事事件などに対応しています。財務・税務の視点も踏まえ、必要に応じて税理士・社会保険労務士等と連携しながら対応します。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な対応は、資料を確認のうえ個別にご相談ください。
参考資料(公的機関・公式資料)
- e-Gov法令検索(破産法・民事再生法・民法・国税通則法・国税徴収法・地方税法・国民健康保険法・国民年金法・民事執行法・貸金業法ほか):https://laws.e-gov.go.jp/
- 国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」:https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0021001-141_05.pdf
- 裁判所「自己破産・個人再生などの手続案内」:https://www.courts.go.jp/(申立書式・必要書類・予納金は管轄裁判所でご確認ください)
- 法テラス(日本司法支援センター):https://www.houterasu.or.jp/
- 神戸市「保険料の納付が遅れたとき」:https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/kurashi/support/insurance/kinainofu.html
- 神戸市「国民健康保険料の納付の猶予制度」:https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/kurashi/support/insurance/yuuyoseido.html
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html

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