交通事故に遭った後、相手方の保険会社から「今回の過失割合は7対3です」などと数字を示され、示談を進めるように求められて戸惑っておられる方は少なくありません。自分は青信号で進んでいた、相手が急に出てきた、それなのになぜ自分にも過失があるのか——そうした疑問や納得できない気持ちを抱えたまま、示談書への署名を迷っておられるのではないでしょうか。
この記事では、交通事故の過失割合と過失相殺について、意味、誰がどのように決めるのか、基本となる割合と修正要素の考え方、賠償額への影響、証拠、保険会社の提示に納得できない場合の対応、自賠責保険における減額の仕組み、そして示談前に確認しておきたいことまでを、順を追って整理します。
結論から申し上げると、保険会社が示す過失割合は交渉の出発点であって、それ自体で確定したものではありません。過失割合は事故の態様と証拠によって変わり得るものであり、示談に同意する前に、その根拠と手元の資料を一度確認しておくことが大切です。ここで示すのは一般的な考え方であり、個別の事情によって結論は変わります。ご自身の事故に当てはめて判断するには、資料を確認したうえでの検討が必要です。
過失割合の提示に迷ったら、署名の前に確認できます
相手方保険会社から示された過失割合について、その根拠や事故態様との整合を、資料を確認しながら整理いただけます。結果を保証するものではありませんが、示談に同意する前に見通しを検討する材料をご用意できます。
まず結論|交通事故の過失割合で最初に確認したいこと
細かな説明に入る前に、過失割合について最初に押さえておきたい要点を整理します。次の表の内容は、どのような事故類型であっても共通して当てはまる出発点です。
| 観点 | 確認したいこと |
|---|---|
| 提示の位置づけ | 保険会社が示す割合は交渉の出発点であり、当事者が合意して初めて確定します。提示された時点で決まったわけではありません。 |
| 検討の手順 | 事故の態様を特定し、参考となる事故類型と基本割合を確認し、速度・合図・見通しなどの修正要素を検討し、証拠と照らし合わせて判断します。 |
| 賠償額への影響 | 自分の過失割合の分だけ、受け取れる賠償額が減ります(過失相殺)。損害項目の計算とは別の検討です。 |
| 準備したい資料 | 相手方保険会社の提示書面、事故状況図、ドライブレコーダー映像、現場や車両の写真、交通事故証明書などが、検討の材料になります。 |
| 同意前の注意 | 示談は原則としてやり直しが難しくなります。割合の根拠と資料を確認してから署名するかを判断します。 |
ここで示す割合や手順は一般的な整理です。実際の結論は、事故の態様、道路状況、証拠の有無などによって変わります。ご自身のケースについては資料を確認したうえで検討する必要があります。
過失割合と過失相殺は何が違うのか
「過失割合」は実務で使われる言葉
「過失割合」とは、交通事故の当事者それぞれに、事故の発生についてどの程度の不注意(落ち度)があったかを、割合で表したものです。「7対3」「9対1」といった形で示されます。これは法律の条文に定義された用語ではなく、保険会社との交渉や裁判の実務で使われている言葉です。
「過失相殺」は民法上の仕組み
これに対して「過失相殺」は、民法に定められた考え方です。交通事故による損害賠償は、民法第709条の不法行為責任を根拠として請求します。そのうえで、民法第722条第2項は、被害を受けた側にも過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる、と規定しています。つまり、請求する側にも一定の落ち度があれば、その分だけ賠償額を減らすという調整が行われます。実務上の「過失割合」は、この過失相殺をどの程度行うかを当事者間で数値化したもの、と理解すると分かりやすいでしょう。
自分に過失があると、賠償はゼロになるのか
被害を受けた側に一定の過失があるからといって、直ちに請求できなくなるわけではありません。過失相殺は、損害額から自分の過失割合の分を差し引く調整であって、請求権そのものを失わせるものではないのが原則です。たとえば自分の過失が2割とされても、残る8割分については賠償を求められる余地があります。もっとも、過失割合が大きい場合には受け取れる金額が大きく減ることになり、後で述べる自賠責保険の扱いも関係してきます。どの範囲で請求できるかは、事案によって異なります。
過失割合は誰が、どのように決まるのか
「過失割合は警察が決めてくれる」と考えておられる方が少なくありませんが、これは実際とは異なります。民事上の過失割合は、原則として事故の当事者間の話し合い(示談交渉)で決まります。関わる立場ごとの役割を整理すると、次のとおりです。
| 立場 | 過失割合との関わり |
|---|---|
| 事故の当事者 | 最終的には当事者間の合意で過失割合が確定します。示談書に署名することで、その内容に同意したことになります。 |
| 任意保険会社 | 加入者に代わって相手方と交渉し、割合を提示します。あくまで一方当事者の立場からの提示であり、それだけで確定するものではありません。 |
| 弁護士 | 依頼を受けて当事者を代理し、事故態様や証拠に基づいて割合を検討・交渉します。合意できない場合の手続も検討します。 |
| 警察 | 刑事・行政上の観点から事故を捜査し、実況見分などを行います。民事上の過失割合を決める立場ではありません。 |
| ADR機関 | 裁判外で和解のあっせんや審査を行い、当事者間の話し合いを補助します。 |
| 裁判所 | 訴訟になった場合に、証拠に基づいて過失割合を認定します。 |
保険会社の提示は「確定した割合」ではない
相手方の保険会社は、相手方の立場で対応します。提示された割合が、事故の実際の態様に照らして妥当かどうかは、資料を確認して判断する必要があります。提示に納得できないまま署名する義務はありません。反対に、「納得できない」と伝えるだけで割合が変わるわけでもなく、事故態様・参考基準・修正要素・証拠に基づいた説明が重要になります。
警察が作成する資料と、民事の過失割合は別のものです。警察は過失割合を決めません。過失割合は、当事者の合意、あるいは最終的には裁判所の認定によって定まります。
過失割合が決まるまでの流れ
過失割合は、おおむね次のような順序で検討されます。ただし、事故ごとに検討する項目や順序は変わります。
- 事故の態様(どの車・人が、どのように衝突したか)を特定する
- 道路状況、信号、標識、進行方向、優先関係などを確認する
- 参考となる事故類型を検討する
- その類型で出発点となる基本の割合を確認する
- 速度違反、合図の有無、一時停止、見通しなどの修正要素を検討する
- ドライブレコーダーや現場資料などの証拠と、当事者の説明を照らし合わせる
- 相手方または保険会社と交渉する
- 合意できない場合に、ADR・調停・訴訟などの手続を検討する
大切なのは、これらが単純な計算ではないという点です。同じ「出合い頭の事故」でも、道路の広さ、信号の有無、速度、一時停止規制などによって結論は変わります。事故態様が特定できなければ、そもそも参考となる類型を選ぶこともできません。
基本過失割合と修正要素の考え方
参考となる基準(別冊判例タイムズ)
過失割合を検討する際には、裁判実務で参照される基準が手がかりになります。代表的なものが、判例タイムズ社が発行する別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」です。事故の類型ごとに、出発点となる基本の割合と、それを加減する修正要素が整理されています。
この基準は改訂を重ねており、現在の最新版は、2026年3月30日に発行された別冊判例タイムズ39号(全訂6版)です。以前の全訂5版(38号)は旧版にあたります。版が新しくなると、収録される事故類型や整理の仕方が見直されることがあります。たとえば全訂6版では、自転車同士の事故についての章が設けられています。過失割合を検討する際は、現行版に基づいて確認することが前提になります。
この基準はあくまで参考となる整理であり、すべての事故に機械的に当てはまるものではありません。具体的な割合は事故の態様や前提条件によって変わるため、個別の数値は資料を確認したうえで検討する必要があります。
基本割合と修正要素とは
「基本割合」は、その事故類型で標準的な状況を想定したときの出発点です。「修正要素」は、その事故に特有の事情を反映して基本割合を加減する要素で、たとえば著しい前方不注視、速度違反、幹線道路かどうか、夜間かどうか、児童や高齢者が関わるか、などが検討されます。実際の割合は、基本割合に修正要素を加減して導かれます。
基準に当てはまらない場合
現実の事故は、基準が想定する類型ときれいに一致するとは限りません。道路の形状が特殊であったり、複数の要因が重なっていたりする場合には、近い類型を参考にしつつ、事故の具体的な事情に応じて検討することになります。基準があるからといって、どの事故でも同じ割合になるわけではない、という点に注意が必要です。
過失割合は賠償額にどう影響するのか
過失相殺の簡単な計算例
過失割合は、受け取れる賠償額に直接影響します。仕組みを分かりやすくするために、単純化した計算例を挙げます(実際の金額を示すものではなく、考え方の説明です)。
仮に、あなたの損害の総額が100万円、あなたの過失割合が2割だとします。この場合、損害額100万円から過失分の2割(20万円)を差し引いた80万円が、相手方に請求できる金額の目安になります。過失割合が3割になれば、差し引かれる額は30万円に増え、請求できるのは70万円の目安となります。このように、過失割合が1割動くだけで、受け取れる金額が変わります。
物損と人身、双方に損害がある場合の注意
実際には、単純な引き算だけでは説明できない場面もあります。自分と相手方の双方に車の修理費などの物的損害があるケースでは、それぞれの損害について過失割合に応じた調整が行われ、結果として差額のやり取りになることがあります。また、物的損害と人身損害とで話し合いの進み方が異なることもあります。
損害項目の計算と過失割合は別の検討
そもそも損害の総額をどう算定するか(治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害が残った場合の逸失利益など)は、過失割合とは別の検討です。さらに、すでに受け取った既払金の控除、健康保険や労災などの給付との調整、素因減額といった論点は、過失相殺とは異なる問題として整理する必要があります。これらを混同すると見通しを誤りやすいため、注意が必要です。損害額の算定については、損害賠償額の算定基準についてのコラムを読むもご参照ください。
過失割合を判断するための証拠
過失割合は事故態様に基づいて検討されるため、事故の状況を裏づける証拠が重要になります。主な証拠と、それが何を示し得るのかを整理します。
| 証拠 | 示し得ること・留意点 |
|---|---|
| ドライブレコーダー映像・音声 | 衝突前後の車の動き、速度、信号や合図の状況などの手がかりになります。上書きされて消える場合があるため、早めの保存が必要です。 |
| 事故直後の現場写真 | 車両の停止位置、ブレーキ痕、散乱物などから事故態様を推測する材料になります。 |
| 車両・自転車などの損傷写真 | どの部分がどのように損傷したかは、衝突の方向や態様の検討に役立ちます。 |
| 道路形状・信号・標識・路面表示の写真 | 優先関係や一時停止規制などの前提を確認する材料になります。 |
| 目撃者の氏名・連絡先 | 第三者の証言が事故態様の裏づけになることがあります。連絡先はその場で確認しておくのが望ましいです。 |
| 相手方の提示書面・事故状況図 | 保険会社がどの類型・どの修正要素を前提に割合を出したのかを確認できます。 |
| 交通事故証明書 | 事故の発生日時・場所・当事者などを公的に確認できます。ただし、これ自体に過失割合は記載されません。 |
| 周辺の防犯カメラなど | 事故を記録している可能性がありますが、保存期間が短いことが多く、早期の確認が必要です。取得できるとは限りません。 |
交通事故証明書だけで過失割合が決まるわけではありません。証明書は事故があったことや当事者を示す資料であり、どちらにどれだけの過失があるかを示すものではありません。
なお、証拠を出せば必ず自分に有利になるとは限りません。客観的な資料が、かえって自分に不利な事情を示すこともあります。また、警察の資料や防犯カメラ映像などは、法令や運用上、必ず取得できるとは限りません。証拠は「集めれば有利」ではなく、「事故態様を正確に把握するための材料」と考えるのが実務的です。
提示された過失割合に納得できないときの対応
提示された割合に納得できない場合は、感情的に「おかしい」と伝えるだけでなく、段階を追って対応することが大切です。
- その場で安易に同意しない。示談書への署名を保留する。
- 提示された割合と、その根拠を書面で確認する。
- 保険会社が前提としている事故状況図が、自分の認識と一致しているかを確認する。
- どの事故類型と、どの修正要素を参照しているかを確認する。
- ドライブレコーダー映像や現場写真などの客観的証拠を保存する。
- 自分の認識している事故状況を、時系列で整理してメモにする。
- これらを踏まえて、保険会社に具体的な根拠を示して反論する。
- 話し合いでまとまらない場合に、ADRや調停、訴訟などの手続を検討する。
裁判以外の解決手続(ADR)
当事者間の交渉でまとまらない場合、裁判のほかに、裁判外紛争解決手続(ADR)を利用する方法があります。交通事故に関わる主な機関として、次のものがあります。対象となる紛争や手続、費用、法的効果はそれぞれ異なるため、利用を検討する際は各機関の公式情報を確認してください。
- 公益財団法人交通事故紛争処理センター(和解のあっせん・審査)
- 公益財団法人日弁連交通事故相談センター(相談・示談あっせん)
- 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(自賠責保険の支払いに関する紛争)
提示の根拠を、資料を見ながら整理できます
過失割合の提示書面や事故状況図がお手元にあれば、どの事故類型や修正要素を前提としているかを確認しながら、見直す余地があるかを検討いただけます。示談に同意する前の段階で、対応方針を整理する材料をご用意できます。
自賠責保険の「重大な過失による減額」と過失相殺の違い
民法上の過失相殺とは別に、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)には、被害者に重大な過失がある場合の「減額」という独自の仕組みがあります。両者は別の制度であり、混同しないよう注意が必要です。
自賠責保険は、被害者の救済を目的とする最低限の保険です。そのため、被害者に多少の過失があっても賠償額を細かく減らすことはせず、被害者の過失割合が7割以上になって初めて、一定の割合で減額する仕組みになっています。しかも、傷害に関する損害と、後遺障害・死亡に関する損害とで、減額の割合が異なります。国土交通省・金融庁の告示(自賠責保険の支払基準)に基づく減額の割合は、次のとおりです。
| 被害者の過失割合 | 傷害に係る損害 | 後遺障害・死亡に係る損害 |
|---|---|---|
| 7割未満 | 減額なし | 減額なし |
| 7割以上8割未満 | 減額なし | 2割減額 |
| 8割以上9割未満 | 2割減額 | 3割減額 |
| 9割以上10割未満 | 5割減額 | 5割減額 |
さらに、傷害に関する損害については、減額によって支払額が20万円を下回る場合の調整(損害額が20万円未満のときはその額とし、減額により20万円以下となる場合は20万円とする取扱い)が定められています。この減額の仕組みは、民法上の過失相殺とは考え方も適用される場面も異なります。実際にどう適用されるかは事案によって変わり、適用される基準は事故時点のものによります。詳しくは、国土交通省の支払基準で確認できます。
民法上の過失相殺は、過失割合に応じて損害額を細かく調整します。これに対して自賠責保険の減額は、被害者の過失が7割以上の場合にのみ、決められた割合で減額する仕組みです。両者は別の制度であり、同じ過失割合でも扱いが異なります。
過失割合でよく問題になるケース
過失割合をめぐっては、次のような場面で判断に迷われることが多くあります。いずれも結論は事案によって異なり、ここでの説明は考え方の整理です。
- 保険会社が前提とする事故状況が、自分の認識と食い違っている
- 相手方が、ウインカーや信号について自分と異なる説明をしている
- ドライブレコーダーを付けておらず、事故の状況を裏づける映像がない
- 「あなたにも過失がある」と言われたが、その根拠がよく分からない
- 自分は10対0を主張しているが、相手方が争っている
- 物的損害と人身損害とで、話し合いの進み方が違う
- 示談案が届き、回答を求められている
- 電話で口頭では割合に同意してしまったが、書面には署名していない
- 事故から時間が経ち、証拠が失われつつある
これらのうち、たとえばドライブレコーダーがない場合でも、実況見分の状況、車両の損傷、目撃者、周辺の防犯カメラなど、他の材料から事故態様を検討できることがあります。証拠がないから諦める、と決めつける必要はありませんが、逆に、何かがあれば必ず覆るというものでもありません。
「10対0」「9対1」と提示されたときに注意したいこと
「10対0」「9対1」といった数字は関心を集めやすいところですが、事故の態様を特定せずに「この事故は必ず10対0になる」「9対1は必ず10対0にできる」と断定することはできません。
特に注意したいのは、自分の過失が0とされる場合(10対0)の扱いです。自分に過失がまったくないケースでは、自分が加入する保険会社が示談交渉を代行できないことがあります(保険会社が代行できるのは、自分側にも賠償責任が生じ得る場合が基本となるためです)。その結果、相手方との交渉を自分で行う必要が生じることがあります。また、9対1のように自分に1割の過失があるとされる場合、その1割が受け取れる金額にどう影響するかを確認することが大切です。数字だけを見て安心したり落胆したりするのではなく、その割合の根拠を確認することが重要です。
示談に同意する前に確認したいこと
示談は、当事者の合意によって賠償の内容を確定させるものです。多くの示談書には清算条項(この件についてこれ以上請求しないという趣旨の条項)が含まれ、一度成立した示談は、原則としてやり直しや追加請求が難しくなります。署名の前に、少なくとも次の点を確認してください。
- 提示された過失割合の根拠が示されているか
- 前提となっている事故状況図が、自分の認識と一致しているか
- 参照された事故類型は、実際の事故に合っているか
- 修正要素の当てはめは適切か
- ドライブレコーダー映像などの証拠を保存したか
- 現場や車両の写真を確保したか
- 相手方の説明と自分の認識の違いを整理したか
- 損害額の計算に漏れがないか
- 物的損害と人身損害の処理状況を確認したか
- 清算条項の範囲(何について解決するのか)を確認したか
- 今後判明し得る損害(後遺障害など)への手当てがあるか
- 署名・押印の前に、疑問点を確認したか
示談成立後の追加請求が一切できないわけではなく、示談当時に予想できなかった重い後遺障害が後から判明した場合など、例外が問題になることもあります。判断は個別事情によって変わるため、署名の前に一度確認することをおすすめします。
弁護士に相談するタイミング
過失割合について弁護士への相談を検討したい場面としては、たとえば次のような段階があります。
- 保険会社から過失割合を提示されたとき
- 事故状況の認識が相手方と対立しているとき
- ドライブレコーダーなど客観的証拠の評価が必要なとき
- 示談案が届き、回答を求められたとき
- 損害額が大きいとき
- 後遺障害が残った、または死亡事故を含むとき
- ADR・調停・訴訟を検討するとき
弁護士に相談したからといって、過失割合が必ず変更されるわけではありません。相談によってできるのは、事故類型や修正要素の当てはめ、証拠の評価、今後の交渉方針などを、資料に基づいて整理することです。提示された割合を見直す余地があるかどうかを検討し、示談に同意する前の判断材料を整えることに意味があります。
相談の際に用意しておきたい資料
過失割合について相談する際は、次のような資料がお手元にあると、論点を具体的に検討しやすくなります。すべてが揃っていなくても差し支えありません。
- 相手方保険会社からの過失割合の提示書面
- 事故状況図
- ドライブレコーダーの映像データ
- 事故直後の現場写真
- 車両などの損傷写真
- 交通事故証明書
- 修理見積書
- 保険会社とのメールや書面
- 診断書(けがをした場合)
- 示談案(届いている場合)
淡路島で交通事故の過失割合について相談を検討されている方へ
弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所では、交通事故のご相談について初回無料の法律相談(予約制)を承っています。過失割合の提示書面や事故状況図、ドライブレコーダー映像などを確認しながら、事故態様との整合、修正要素、保存すべき証拠、示談前に確認すべき点を整理いただけます。結果を保証するものではありませんが、示談に同意する前の見通しを検討する材料をご用意できます。
ご予約は、お電話(0799-53-6782・受付9時~20時)または相談予約フォームから承っています。
よくあるご質問(FAQ)
過失割合は警察が決めるのですか。
いいえ。警察は刑事・行政上の観点から事故を捜査しますが、民事上の過失割合を決める立場ではありません。過失割合は、原則として当事者間の話し合いで決まり、まとまらない場合は最終的に裁判所が認定します。
保険会社が提示した過失割合には従わなければならないのですか。
従う義務はありません。提示は交渉の出発点であり、当事者が合意して初めて確定します。事故態様や証拠に照らして妥当かを確認したうえで、同意するかどうかを判断できます。
過失割合に納得できないときは、まず何をすればよいですか。
まずは示談書への署名を保留し、提示された割合の根拠と前提となる事故状況図を書面で確認してください。そのうえで、ドライブレコーダー映像などの証拠を保存し、具体的な根拠を示して反論することが考えられます。結論は事案により異なります。
ドライブレコーダーがない場合でも、過失割合を争えますか。
争える場合があります。実況見分の状況、車両の損傷、目撃者、周辺の防犯カメラなど、他の資料から事故態様を検討できることがあります。もっとも、必ず主張が認められるわけではなく、資料を確認したうえでの判断が必要です。
交通事故証明書を見れば、過失割合は分かりますか。
分かりません。交通事故証明書は、事故の発生日時・場所・当事者などを公的に証明する資料であり、過失割合は記載されていません。過失割合は事故態様と証拠に基づいて別途検討します。
自分にも過失があると、慰謝料などは請求できないのですか。
請求できなくなるわけではありません。過失相殺は、損害額から自分の過失割合の分を差し引く調整であり、残りの部分については請求できる余地があります。ただし、過失割合が大きいほど受け取れる金額は減ります。
自賠責保険でも、過失割合の分だけ同じように減額されるのですか。
異なります。自賠責保険では、被害者の過失割合が7割以上の場合にのみ、決められた割合で減額されます(重大な過失による減額)。しかも傷害と、後遺障害・死亡とで減額の割合が異なります。民法上の過失相殺とは別の仕組みです。
示談した後で、過失割合を争うことはできますか。
原則として難しくなります。示談には清算条項が含まれることが多く、成立後のやり直しや追加請求は容易ではありません。だからこそ、署名の前に割合の根拠と資料を確認しておくことが大切です。例外が問題になる場面もあり、判断は個別事情によります。
まとめ
交通事故の過失割合について、押さえておきたい点を整理します。
- 保険会社が示す過失割合は交渉の出発点であり、当事者の合意で確定します。
- 過失割合は警察ではなく、当事者間の話し合い、最終的には裁判所が判断します。
- 基本割合と修正要素は参考となる基準に基づき検討しますが、事故態様や証拠によって結論は変わります。
- ドライブレコーダー映像や現場写真などは早めに保存し、交通事故証明書だけで割合が決まらない点に注意します。
- 自分の過失割合の分だけ賠償額が減りますが(過失相殺)、自賠責保険の減額は別の仕組みです。
- 示談は原則としてやり直しが難しいため、署名の前に割合の根拠と資料を確認します。
- 個別の事情によって結論は変わります。判断に迷うときは、資料を確認したうえで検討することをおすすめします。
執筆者・監修者
藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所 代表弁護士・公認会計士
兵庫県弁護士会所属・日本公認会計士協会兵庫会所属
2012年(平成24年)司法試験合格、2013年弁護士登録。2020年(令和2年)公認会計士試験合格。兵庫県・山口県・東京都での実務経験を経て、2023年に淡路島(南あわじ市)で事務所を開設。交通事故をはじめ、相続・債務整理・離婚・労働問題などの個人のご相談から、企業法務・事業承継まで幅広く対応しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案における結論は、事故の態様、証拠の有無、適用される基準などによって異なります。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」(2026年7月確認)
- e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」(2026年7月確認)
- 国土交通省・金融庁「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(2026年7月確認)
- 国土交通省「自賠責保険(共済)の限度額と補償内容」(2026年7月確認)
- 判例タイムズ社「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕別冊判例タイムズ39号」(2026年7月確認)
- 自動車安全運転センター「交通事故証明書」(2026年7月確認)
- 公益財団法人交通事故紛争処理センター(2026年7月確認)
- 公益財団法人日弁連交通事故相談センター(2026年7月確認)
- 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(2026年7月確認)

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