ご家族が犯罪に巻き込まれたり、ご自身が被害に遭われたとき、多くの方が「加害者はきちんと処罰されるのか」「治療費や慰謝料など、被害の弁償はどうなるのか」「刑事裁判で自分たちは何ができるのか」といった不安を抱えられます。捜査や裁判は、加害者を処罰するための手続であって、被害者やご遺族のための手続ではない、と感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし実際には、犯罪被害者やご遺族が、刑事手続の中で被害の内容を知り、意見を述べ、被害の回復や弁償につなげていくための制度が複数用意されています。この記事では、被害の回復・弁償を求める場面で利用が検討できる主な制度として、(1)刑事裁判記録の閲覧・謄写、(2)刑事裁判への参加、(3)被害者等通知制度、(4)損害賠償命令制度、(5)不起訴事件記録の開示、(6)不起訴処分告知書、(7)検察審査会への申立ての7つを取り上げ、それぞれの概要と、利用の前に確認しておきたいポイントを整理します。
制度は数が多く、利用できる時期や対象となる事件が異なります。どの制度をどの順番で使うのがよいかは、事件の内容やお持ちの資料によって変わりますので、早い段階で見通しを整理しておくことが大切です。
どの制度が使えるか、何から準備すればよいかを一度整理したい方は、資料をお手元にご相談いただくと、対応の方針を検討しやすくなります。
Contents
まず押さえたい全体像|被害回復・弁償のために使える7つの制度
犯罪被害者が利用できる制度は、大きく「事件の内容や進み方を知るための制度」「刑事裁判に関与するための制度」「弁償・損害賠償につなげるための制度」「不起訴に納得できないときの制度」に分けて考えると整理しやすくなります。本記事で扱う7つの制度を一覧にすると、次のとおりです。
| 制度 | 主な目的 | 根拠・性質 | 主に使えるタイミング |
|---|---|---|---|
| ①刑事裁判記録の閲覧・謄写 | 事件内容の把握、損害賠償のための証拠収集 | 法律(犯罪被害者保護法・刑事確定訴訟記録法) | 公判係属中から裁判確定後まで |
| ②刑事裁判への参加(被害者参加・意見陳述) | 公判期日への出席、被告人質問、意見陳述 | 法律(刑事訴訟法) | 起訴後の公判段階 |
| ③被害者等通知制度 | 処分結果・裁判結果・加害者の処遇や出所情報の把握 | 運用(被害者等通知制度実施要領) | 捜査中から受刑・保護観察中まで |
| ④損害賠償命令制度 | 刑事手続の成果を利用した損害賠償請求 | 法律(犯罪被害者保護法) | 起訴後から審理終結までに申立て |
| ⑤不起訴事件記録の開示 | 不起訴事件の証拠(実況見分調書等)の確認 | 運用(検察庁の取扱い) | 不起訴処分後 |
| ⑥不起訴処分告知書(処分通知・理由告知) | 不起訴となった事実と理由の確認 | 法律(刑事訴訟法) | 処分後(告訴・告発をした場合等) |
| ⑦検察審査会への申立て | 不起訴処分の当否の審査 | 法律(検察審査会法) | 不起訴処分後 |
最初に押さえておきたいポイント:これらは、いずれも主に刑事手続に関わる制度です。加害者からの実際の金銭的な弁償(治療費・慰謝料などの支払い)は、示談、損害賠償命令、民事の損害賠償請求訴訟といった民事的な救済を通じて実現されるのが基本です。刑事手続でできることと、金銭の回収を実現する手段とは区別して考える必要があります。
前提|刑事手続と、被害の弁償(民事的救済)の関係
刑事手続でできること
犯罪が起きると、通常は警察が捜査を行い、事件は検察官に送致されます。検察官が捜査の結果を検討して起訴・不起訴を決め、起訴されれば裁判所で公判が開かれます。この一連の刑事手続の目的は、加害者に対して犯した罪にふさわしい刑罰を科すことにあります。被害者やご遺族は、この手続の中で、記録を見たり、意見を述べたり、加害者の処遇に関する情報を受け取ったりすることができます。
弁償・金銭回復を実現する手段
一方で、被害者が受け取る治療費・休業損害・慰謝料などの弁償は、刑罰そのものとは別の民事的な問題です。主な実現手段としては、加害者との示談(和解)、後述の損害賠償命令、通常の民事訴訟があります。刑事手続で和解(示談)が成立した場合、これを刑事裁判所に申し立てて公判調書に記載してもらうと、民事裁判上の和解と同じ効力が与えられ、加害者が支払わないときに強制執行の手続をとることができます(刑事和解)。
加害者が有罪となっても、それによって自動的に賠償金が支払われるわけではありません。損害賠償命令や民事訴訟で支払いを命じる判断を得ても、加害者に資力がなければ、現実の回収は別の課題として残ります。この点は、制度を選ぶ際にあらかじめ理解しておくことが大切です。
「法律上の権利」と「運用上の取扱い」の違い
本記事で扱う制度には、法律に根拠を持つものと、通達・実施要領などの運用に基づくものがあります。運用に基づく取扱いは、法律上の権利とは性質が異なり、対象や範囲が変更される場合があります。以下では、それぞれの根拠の違いにも触れながら説明します。
①刑事裁判記録の閲覧・謄写
刑事裁判の記録には、事件の経過や証拠が含まれており、被害の内容を確認したり、損害賠償請求の準備をしたりするうえで重要な資料になります。記録の閲覧・謄写(コピー)は、裁判が進行中か、確定した後かによって、根拠となる法律や窓口が異なります。
公判係属中の記録の閲覧・コピー
刑事事件が裁判所で審理されている間は、被害者やご遺族等からの申出により、正当でない理由による場合や相当と認められない場合を除いて、その裁判所が保管する公判記録を閲覧・コピーすることが認められています(犯罪被害者保護法に基づく制度)。希望する場合は、記録を保管する裁判所に申し出ます。さらに、被害に遭った事件と同種の犯罪に関する同じ被告人の事件についても、損害賠償請求の必要があり相当と認められるときは、閲覧・コピーが認められる場合があります。
ただし、裁判の進行に支障がある場合や、関係者のプライバシーを侵害するおそれがあると裁判所が判断した場合には、閲覧・コピーが制限されることがあります。
裁判確定後の記録の閲覧
裁判が終了して確定した事件の記録や裁判書は、検察庁で保管され、刑事確定訴訟記録法に基づいて閲覧することができます。もっとも、裁判書以外の記録の閲覧が可能な期間は、原則として事件が終結した後3年間とされています。確定後に記録の確認を検討する場合は、この期間に留意し、具体的な手続は各検察庁の記録事務担当者に確認する必要があります。
②刑事裁判への参加|被害者参加制度と二つの意見陳述
被害者参加制度
被害者参加制度は、一定の事件の被害者やご遺族等が、刑事裁判に参加して、公判期日に出席したり、被告人質問などを行ったりすることができる制度です。参加を許可された方は「被害者参加人」と呼ばれます。対象となるのは、殺人・傷害・危険運転致死傷など故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、不同意性交等・不同意わいせつなどの性犯罪、逮捕・監禁、略取・誘拐・人身売買、過失運転致死傷などの交通事故に関する罪などです。
手続としては、あらかじめ事件を担当する検察官に参加を申し出ます。検察官が意見を付して裁判所に通知し、裁判所が被告人・弁護人の意見を聴いたうえで相当と認めて許可した場合に、被害者参加人として参加できます。被害者参加人ができることは、主に次のとおりです。
- 原則として公判期日に出席し、法廷で検察官の隣などに着席すること
- 検察官の訴訟活動(証拠調べの請求など)に関して意見を述べ、説明を求めること
- 情状に関する証人の供述の証明力を争うために必要な事項について証人を尋問すること
- 意見を述べるために必要と認められる場合に、被告人に質問すること
- 証拠調べの後、事実または法律の適用について法廷で意見を述べること
二つの「意見陳述」の違い
被害者が法廷で意見を述べる制度には、性質の異なる二つのものがあり、混同されがちです。両者は対象も効果も異なります。
| 区別 | 心情等の意見陳述 | 弁論としての意見陳述 |
|---|---|---|
| 主な根拠 | 刑事訴訟法第292条の2 | 刑事訴訟法第316条の38 |
| 述べる人 | 被害者等・被害者の法定代理人(被害者参加をしていなくても利用可) | 被害者参加人(被害者参加が前提) |
| 内容 | 被害に関する心情その他の事件についての意見 | 事実または法律の適用についての意見(検察官の論告・求刑に相当) |
| 位置づけ | 述べた事実は量刑の資料にはなり得るが、犯罪事実認定の証拠にはならない | 訴因として特定された事実の範囲内で行う意見の陳述 |
弁護士の援助と費用の補助
被害者参加にあたっては、弁護士(被害者参加弁護士)に委託して援助を受けることができます。経済的に余裕のない方については、裁判所が弁護士を選定し国が費用を負担する国選被害者参加弁護士の制度があり、被害者参加人の資力(現金・預金等。6か月以内に犯罪行為を原因として治療費などを支出する見込みがあればその費用は控除されます。)が200万円に満たないときに、選定を求めることができます。希望する場合は日本司法支援センター(法テラス)に申し出ます。また、被害者参加人として公判期日等に出席した方には、法テラスから旅費・日当など(被害者参加旅費等)が支払われる制度があり、請求には裁判終了後30日以内という期限が設けられています。
③被害者等通知制度
被害者等通知制度は、被害者や親族等が、事件の処分結果や裁判の結果、加害者の受刑中の処遇状況、刑務所からの出所時期などについて情報を受け取ることができる制度です。これは法律そのものではなく、検察庁等の運用(被害者等通知制度実施要領)に基づく制度であり、対象や範囲は変更され得る点に留意が必要です。
通知の対象となる主な事項には、次のようなものがあります。
- 事件の処分結果(公判請求、略式命令請求、不起訴、家庭裁判所送致など)
- 裁判を行う裁判所と裁判の日時
- 裁判結果(主文、上訴・確定の有無)
- 加害者の身柄の状況、起訴事実、不起訴の理由の概要など
- 有罪裁判確定後の加害者に関する事項(収容先、満期出所予定時期、受刑中の処遇状況、釈放年月日など)
不起訴の理由の概要や、有罪裁判確定後の加害者に関する一定の事項などは、被害者・その親族・親族に準ずる方に限って通知されます。通知を希望する場合は、担当する検察官・検察事務官または被害者支援員に申し出ます。ただし、事件の性質などから通知しない方がよいと検察官が判断した場合には、希望しても通知されない、または一部にとどまることがあります。
不起訴の「理由の概要」を通知で知ることができる場合があります。後述の不起訴処分告知書や検察審査会への申立てを検討する際の手がかりになりますので、通知制度の利用もあわせて検討する余地があります。
④損害賠償命令制度
損害賠償命令制度は、刑事手続の成果を利用して、被害者やご遺族等の損害賠償請求を簡易・迅速に進めることを目的とした制度です(犯罪被害者保護法に基づく制度)。刑事裁判の起訴状に記載された犯罪事実に基づいて損害賠償を請求するもので、申立てを受けた刑事裁判所は、有罪判決の後、刑事裁判の訴訟記録を証拠として取り調べ、原則として4回以内の審理期日で審理を終え、損害賠償命令の申立てについて決定をします。
制度の主な特徴は次のとおりです。
- 刑事手続の成果を利用するため、被害の事実の立証がしやすく、基本的に賠償額を中心とした審理となる
- 申立ての手数料は、請求額にかかわらず一律で2,000円とされている
- 決定に対して当事者のいずれかから異議の申立てがあったときは、通常の民事訴訟の手続に移る(この場合でも、審理に必要な刑事裁判の訴訟記録が民事の裁判所に送付される)
対象となるのは、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(殺人・傷害など)、不同意性交等・不同意わいせつなどの性犯罪、逮捕・監禁、略取・誘拐・人身売買などです。被害者参加制度とは対象犯罪の範囲が異なり、過失運転致死傷などの過失犯は損害賠償命令の対象に含まれていません。申立ては、対象となる刑事事件が起訴された時から、審理手続(判決の宣告を含みません。)が終結するまでの間に行う必要があります。この期間を過ぎると申立てができなくなるため、起訴後の早い段階で検討を始めることが望まれます。
損害賠償命令で支払いを命じる決定が出ても、加害者が任意に支払わない場合には、あらためて強制執行などの手続が必要になります。加害者の資力の有無によって、現実の回収可能性は変わります。示談や民事訴訟を含め、どの手段が適切かは、事案により異なります。
⑤不起訴事件記録の開示
不起訴処分となった事件の記録は、原則として閲覧できません。もっとも、検察庁の運用により、一定の場合には被害者等が実況見分調書等の証拠の開示(閲覧)を受けられることがあります。
具体的には、被害者参加制度の対象となる事件の被害者等については、「事件の内容を知ること」などを目的とする場合でも、捜査・公判への支障や関係者のプライバシー侵害が生じない範囲で、実況見分調書等を閲覧できるとされています。それ以外の事件の被害者等についても、民事訴訟等において損害賠償請求権その他の権利を行使するために必要と認められる場合には、同じく支障のない範囲で閲覧できるとされています。これらは運用に基づく取扱いであり、開示の対象や範囲は事案により異なります。損害賠償請求のための証拠収集を考えている場合には、検討に値する制度です。
⑥不起訴処分告知書|処分の通知と理由の告知
告訴・告発をした事件について、検察官が起訴・不起訴などの処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人・告発人・請求人に通知しなければならないとされています(刑事訴訟法第260条)。この不起訴処分の通知は、一般に「不起訴処分告知書」と呼ばれます。
さらに、不起訴処分をした事件について、告訴人・告発人・請求人から請求があったときは、検察官は速やかにその理由を告げなければならないとされています(刑事訴訟法第261条)。もっとも、告知される理由は「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」といった裁定の区分(主文)にとどまり、そこに至った詳しい判断の説明まで受けられるとは限りません。
不起訴処分告知書や理由の告知は、次に述べる検察審査会への申立てを検討する際の出発点になります。不起訴に納得がいかない場合は、まず処分の内容と理由を確認することが第一歩です。
⑦検察審査会への申立て
検察官の不起訴処分に納得できない場合には、検察審査会に審査を申し立てることができます(検察審査会法に基づく制度)。検察審査会は、選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が、不起訴処分のよしあしを審査する機関で、地方裁判所内に置かれています。
申立てができるのは、被害者本人のほか、告訴人・告発人・請求人、被害者が亡くなった場合のご遺族などです。審査申立書のほかに、意見書や資料を提出することができます。審査の結果として、次の三つの議決のいずれかがなされます。
| 議決の種類 | 意味 | その後の主な流れ |
|---|---|---|
| 起訴相当 | 起訴すべきであるという判断(議決には11人中8人以上の多数が必要) | 検察官が再度捜査を行う。なお不起訴とした場合は再審査へ |
| 不起訴不当 | 不起訴の判断は不当であるという判断 | 検察官が再度捜査を行う |
| 不起訴相当 | 不起訴の判断は相当であるという判断 | 原則として手続は終了 |
起訴相当の議決の後、検察官が再度捜査した結果なお不起訴とした場合、検察審査会は再審査を行い、起訴をすべき旨の議決(起訴議決)をすることができます。起訴議決には11人中8人以上の多数が必要です。起訴議決がされると、裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって事件を起訴し、公判でも検察官の役割を果たします。
審査の申立てそのものに明確な期間の定めはありませんが、公訴時効が完成すると起訴ができなくなります。公訴時効の期間は罪によって異なるため、時間的な余裕が常にあるとは限りません。不起訴に納得できない場合は、早めに見通しを整理することをおすすめします。
よく問題になるケース
不起訴に納得できない
不起訴の連絡を受けても、その理由がよく分からず納得できないことがあります。この場合は、まず不起訴処分告知書や理由の告知(刑事訴訟法第260条・第261条)で処分の内容と区分を確認し、必要に応じて検察審査会への申立てを検討します。申立ての際にどのような意見書・資料を出すかによって審査の見通しが変わり得るため、資料を確認したうえで方針を検討することが重要です。
加害者に資力がない
加害者に十分な資力がない場合、損害賠償命令や民事訴訟で支払いを命じる判断を得ても、現実の回収が難しいことがあります。示談の可能性、加害者の資産状況、犯罪被害者等給付金など損害賠償とは別枠の公的支援の利用可否も含め、どの手段を組み合わせるかを検討する必要があります。結論は個別事情により異なります。
加害者側から示談を持ちかけられた
加害者やその弁護人から示談を打診されることがあります。示談は被害回復の有力な手段ですが、金額や文言(今後の請求を放棄する条項の有無、宥恕(ゆうじょ)の文言など)によっては、後日の請求や刑事処分に影響することがあります。署名・押印の前に、条件が適切かどうかを資料とあわせて確認しておくことをおすすめします。
賠償請求の期限(消滅時効)が心配
不法行為に基づく損害賠償請求権には、消滅時効があります。一般には、被害者等が損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年とされていますが、人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償請求権については、「損害および加害者を知った時から」の期間が5年に伸長されています(民法第724条・第724条の2)。時効の起算点や完成時期は事案により異なりますので、期限が心配な場合は早めに確認する必要があります。
手続前チェックリスト
各制度の利用や申立て、示談への回答を検討する前に、次のような資料・情報を整理しておくと、方針を検討しやすくなります。
- 事件を特定できる情報(事件番号、担当した警察署・検察庁、担当検察官の氏名など)
- 被害の内容を示す資料(診断書、治療費・通院交通費の領収書、休業を証明する資料など)
- 被害届・告訴状の控え、これまでに受け取った通知(処分結果の通知、不起訴処分告知書など)
- 損害の内容が分かる資料(見積書、請求書、修理費用、破損物の写真など)
- 加害者・相手方とのやり取りの記録(示談の打診に関するメール・書面、通話の記録など)
- 各制度の期限に関する情報(損害賠償命令の申立ては審理終結まで、被害者参加旅費等の請求は裁判終了後30日以内、確定記録の閲覧は原則3年、消滅時効の期間など)
- 加害者の身柄・処遇に関する情報(保釈・釈放の有無、被害者等通知制度の利用状況)
弁護士に相談するタイミング
これらの制度は、利用できる時期や対象が制度ごとに異なり、選択や準備によって結果が変わり得ます。特に、損害賠償命令の申立期限、検察審査会への申立てと公訴時効の関係、示談の条件、消滅時効などは、時期を逃すと選択肢が狭まることがあります。
弁護士に相談することで、結果を保証するものではありませんが、いま利用できる制度の整理、必要な資料の洗い出し、想定される相手方の対応を踏まえた対応方針の検討がしやすくなります。示談前・申立前・回答前の段階で一度確認しておくことで、見通しを立てやすくなります。
被害の回復・弁償に向けて、どの制度をどのように使うかを整理したい方は、お手元の資料とあわせてご相談ください。ご相談により、対応の方針を検討しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
加害者が起訴されるかどうかは、被害者が決められるのですか。
起訴するかどうかを決めるのは検察官です。被害者の意思そのもので決まるわけではありませんが、告訴や意見を通じて処罰を求める意思を示すことはできます。不起訴に納得できない場合は、検察審査会への申立てを検討できます。結論は事案により異なります。
刑事裁判で被害者が意見を述べることはできますか。
できる場合があります。被害に関する心情その他の意見を述べる制度(刑事訴訟法第292条の2)と、被害者参加人が事実や法律の適用について述べる制度(同法第316条の38)があり、対象や効果が異なります。利用できるかは事件の内容によります。
損害賠償命令は、どの事件でも使えますか。
対象となる犯罪は限られています。殺人・傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、不同意性交等・不同意わいせつなどの性犯罪、逮捕・監禁などが対象で、過失運転致死傷などの過失犯は含まれていません。申立ては審理終結までに行う必要があります。
不起訴になった事件の記録を見ることはできますか。
不起訴事件の記録は原則として閲覧できませんが、検察庁の運用により、被害者参加対象事件の被害者等や、損害賠償請求などのために必要と認められる被害者等は、支障のない範囲で実況見分調書等を閲覧できる場合があります。範囲は事案により異なります。
加害者が刑務所を出る時期を知ることはできますか。
被害者等通知制度を利用すると、満期出所予定時期、受刑中の処遇状況、実際に釈放された年月日などの通知を受けられる場合があります。これは運用に基づく制度で、事件の性質により通知されないことや範囲が限られることがあります。
被害の弁償を請求できる期限はありますか。
不法行為に基づく損害賠償請求権には消滅時効があり、一般には損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年です。人の生命・身体を害する場合は前者が5年に伸長されています(民法第724条・第724条の2)。起算点は事案により異なるため、早めの確認をおすすめします。
弁護士に頼む費用が心配です。何か補助はありますか。
被害者参加については、資力が200万円に満たない場合に国選被害者参加弁護士の選定を求められる制度があります。また、損害賠償命令などで、経済的理由により弁護士費用の支払いが困難な方は、法テラスの民事法律扶助による費用立替制度を利用できる場合があります。利用の可否は要件により異なります。
まとめ
犯罪被害者やご遺族が被害の回復・弁償を求める場面では、目的や時期に応じて複数の制度を組み合わせて考えることが大切です。要点は次のとおりです。
- 刑事手続でできること(記録の閲覧、裁判への参加、通知の受領など)と、実際の金銭回収の手段(示談・損害賠償命令・民事訴訟)は区別して考える。
- 制度には、法律に基づくものと運用に基づくものがあり、運用は変更され得る。
- 損害賠償命令の申立期限、被害者参加旅費等の請求期限、確定記録の閲覧期間、消滅時効など、期限のある手続は時期を逃さない。
- 不起訴に納得できない場合は、不起訴処分告知書・理由の確認、検察審査会への申立てを検討する。
- 結論は個別事情により変わるため、示談前・申立前・回答前に、資料を確認したうえで方針を整理する。
「どの制度が使えるのか」「何から準備すればよいのか」を整理したい方は、お手元の資料とあわせてご相談ください。神戸みらい法律会計事務所では、刑事事件に関するご相談をお受けしています。ご相談により、対応の方針や見通しを検討しやすくなります。
監修者・執筆者情報
神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうごあわじみらい法律会計事務所) 弁護士・公認会計士 藤井 貴之
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