「自己破産や個人再生を考えているが、弁護士費用や裁判所の費用を一括では用意できない」——そうした不安から相談をためらう方は少なくありません。しかし、手続にかかる費用は一種類ではなく、支払う相手も支払う時期も異なります。費用の内訳を整理し、分割払いや法テラスといった確認ルートを知っておくと、見通しを立てやすくなります。
この記事では、自己破産・個人再生でかかる費用の種類、弁護士費用と裁判所に納める費用の違い、一括で払えない場合に確認したい支払方法、そして神戸市内(須磨区・垂水区・北区・西区など)でどの裁判所に申し立てるかという管轄の確認点を整理します。費用や分割の可否、裁判所の運用は、事案や手続の種類によって異なります。本記事は一般的な整理であり、具体的な見通しは資料を確認したうえで個別に判断する必要があります。
この記事の要点
- 費用は大きく「弁護士費用」と「裁判所に納める費用・実費」に分かれ、それぞれ別に確認します。
- 分割払いの可否は費用の種類によって異なります。弁護士費用と裁判所費用を同じには考えられません。
- 法テラス(民事法律扶助)を利用できる場合がありますが、予納金は原則として立替えの対象外になることがあります。
- 自己破産・個人再生は地方裁判所の手続です。神戸市西区は明石市と同じく神戸地方裁判所明石支部、須磨区・垂水区・北区などは神戸地方裁判所(本庁)の管轄区域として整理されます。
- 費用が不安な場合でも、申立前に相談し、支払方法と必要資料を整理しておくことが役立ちます。
費用を一括で準備できない場合でも、相談の場で費用の見込み・支払方法・申立先の確認点を整理することができます。まずは状況を整理したい方は、お問い合わせ内容の確認からご検討ください。
Contents
自己破産・個人再生の費用の全体像|まず確認したいこと
費用の話に入る前に、全体像を押さえておくと混乱を避けられます。自己破産・個人再生でかかる費用は、支払う相手によって性質が異なります。弁護士に手続を依頼する場合の「弁護士費用」と、裁判所に納める「申立費用・実費」は、別々に準備する必要があります。
一括で払えない場合に確認できるルートも一つではありません。弁護士費用については事務所の規定により分割払いに対応している場合があり、受任後に申立てまで費用を積み立てる運用もあります。さらに、収入や資産が一定の基準以下である場合には、法テラス(民事法律扶助)の利用を確認できることがあります。どのルートが使えるかは、収入・資産・債務の状況や手続の種類によって異なるため、早めに整理することが役立ちます。
自己破産・個人再生でかかる費用の種類
まず、費用の種類を「誰に支払うか」で分けて理解します。大きく分けると、弁護士に支払う費用と、裁判所に納める費用・実費、そして法テラスを利用する場合の立替えと償還があります。
弁護士費用(法律相談料・着手金・報酬金)
弁護士費用は、相談時の法律相談料、手続を依頼する際の着手金、手続終了時の報酬金などに分かれます。債務整理の分野では、報酬金の扱いが事案や事務所の規定により異なることがあります。金額・分割の可否・無料相談の有無は事務所ごとに異なるため、依頼を検討する際に確認することをおすすめします。
裁判所に納める費用・実費(申立手数料・予納郵券・官報公告費・予納金)
裁判所に納める費用には、申立手数料(収入印紙)、債権者への通知などに使う予納郵券(郵便切手)、官報に掲載するための官報公告費などがあります。さらに、自己破産が管財事件となる場合には、破産管財人の費用などにあてる予納金が必要になることがあります。個人再生でも、個人再生委員が選任される場合には、その費用の確認が必要になることがあります。これらの金額や運用は、手続の種類や裁判所によって異なるため、申立前に確認が必要です。
費用の種類の整理
| 費用の種類 | 誰に支払うか | 主な内容 | 支払時期の目安 | 分割可否の確認ポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 法律相談料 | 弁護士(法律事務所) | 相談時の費用 | 相談時 | 無料相談の有無は事務所により異なる | 掲載先で条件を確認 |
| 着手金 | 弁護士 | 手続を依頼する際の費用 | 受任時〜申立前 | 分割の可否・回数は事務所の規定による | 裁判所費用とは別に準備 |
| 報酬金 | 弁護士 | 手続終了時の費用 | 手続終了時 | 事案・事務所の規定による | 債務整理では扱いが異なることがある |
| 申立手数料(収入印紙) | 裁判所 | 申立てに必要な手数料 | 申立時 | 申立時に納付するのが原則 | 金額は手続・裁判所で確認 |
| 予納郵券(郵便切手) | 裁判所 | 通知などに使う郵便費用 | 申立時 | 申立時に納付 | 債権者数などで変わる |
| 官報公告費 | 裁判所(官報) | 官報掲載のための費用 | 申立時〜手続中 | 申立時に納付 | 手続の種類で異なる |
| 予納金(管財事件の場合) | 裁判所 | 破産管財人の費用などにあてる費用 | 申立時〜選任時 | 分割不可が原則。申立てまでの積立てで準備する方法がある | 同時廃止か管財かで大きく変わる |
| 個人再生委員の費用(選任される場合) | 裁判所 | 個人再生委員にかかる費用 | 申立後 | 裁判所の運用による | 選任の有無・運用は裁判所で確認 |
| 取得費用・実費 | 各発行機関など | 住民票・課税証明書・登記事項証明書・郵送費・記録取得費など | 準備〜手続中 | 都度発生 | 必要書類により変動 |
| 法テラスの立替・償還(利用する場合) | 法テラス | 弁護士費用などの立替えと分割償還 | 援助開始決定後 | 立替え後に分割で償還(利息なし) | 予納金は原則立替対象外(一定の例外あり) |
自己破産と個人再生で費用が変わる理由
同じ「費用を準備できない」という悩みでも、自己破産か個人再生か、また事案の内容によって、確認すべき費用は変わります。
自己破産(同時廃止と管財事件)
自己破産では、手続が「同時廃止事件」になるか「管財事件」になるかによって、必要になる費用が変わる可能性があります。一定の財産がある場合や、調査が必要な事情がある場合などには管財事件となり、予納金が必要になることがあります。同時廃止と管財のどちらになるかは、資産・家計・債務の内容や裁判所の運用によって判断されるため、申立前に見込みを確認しておくことが役立ちます。
個人再生(再生計画・住宅資金特別条項・個人再生委員)
個人再生では、再生計画案を作成し、その履行可能性が検討されます。住宅を残すために住宅資金特別条項を利用する場合などは、検討事項が増えることがあります。また、個人再生委員が選任される場合には、その費用の確認が必要になることがあります。これらの運用は裁判所によって異なるため、住宅ローンの有無や家計の状況とあわせて確認することが大切です。実際の費用は、裁判所の運用、資産、家計、債務総額、住宅ローン、事業の有無などにより変わります。
一括で払えない場合の支払方法と法テラスの確認
費用を一括で準備できない場合に確認できる方法は、いくつかに分かれます。混同しやすいので、順に整理します。
弁護士費用の分割払いと申立てまでの積立て
弁護士費用については、事務所の規定により分割払いに対応している場合があります。分割の可否・回数・金額は、事案、支払計画、事務所の確認によって変わるため、相談時に確認することをおすすめします。また、受任後に申立てまでの間、費用を積み立てながら準備を進める運用が用いられることもあります。これにより、依頼の時点でまとまった金額を用意できなくても、手続の準備を始められる場合があります。
法テラス(民事法律扶助)で確認できること
収入や資産が一定の基準以下である場合には、法テラスの民事法律扶助を利用できることがあります。民事法律扶助の利用には、収入と資産が基準以下であること、勝訴(自己破産では免責許可決定)の見込みがないとはいえないこと、制度の趣旨に適することといった条件があり、審査を経て援助開始決定がなされます。立て替えられた弁護士費用などは、原則として分割で返済します(利息はありません)。利用できるかどうかや返済額は、収入・資産・事案により異なるため、法テラスや弁護士に確認することが役立ちます。
予納金は法テラスの立替対象外になりうる点
法テラスを利用する場合でも、裁判所に納める予納金については注意が必要です。生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とならず、民事再生事件の予納金については、生活保護の受給の有無にかかわらず立替えの対象とならないとされています。つまり、法テラスを利用しても、管財事件の予納金などは別途準備が必要になる場合があります。費用・管轄・法テラスの利用条件・裁判所に納める費用は、いずれも最新の情報を確認する必要があります。
神戸市内で申立先(管轄)を確認する
自己破産・個人再生は、家庭裁判所ではなく地方裁判所の手続です。神戸市内にお住まいでも、区によって申し立てる裁判所が異なる場合があるため、申立前の確認が欠かせません。裁判所の管轄区域表によると、神戸市西区は明石市と同じく神戸地方裁判所明石支部の管轄区域として、須磨区・垂水区・北区・中央区・東灘区・灘区・兵庫区・長田区は神戸地方裁判所(本庁)の管轄区域として整理されています。
ただし、事件の種類などによっては、管轄区域表と申立書の提出先が異なる場合があるとされています。実際の申立先は、住民票上の住所、生活の本拠、裁判所の最新の運用、事件の類型などによって確認が必要です。申立前に、住民票上の住所と実際の居住地、管轄を確認しておくことをおすすめします。
神戸市内の申立先確認表
| 神戸市内の区分 | 確認すべき裁判所(自己破産・個人再生) | 注意点 |
|---|---|---|
| 中央区・東灘区・灘区・兵庫区・長田区・須磨区・垂水区・北区 | 神戸地方裁判所(本庁)の管轄区域として整理される | 自己破産・個人再生は地方裁判所の手続で、家庭裁判所ではない |
| 西区 | 明石市と同じく、神戸地方裁判所明石支部の管轄区域として整理される | 神戸市内でも区によって申立先が異なることがある |
| 共通の確認点 | 住所・生活の本拠・事件の類型・裁判所の最新運用により提出先が異なる場合がある | 申立前に住民票上の住所・実際の居住地・管轄を確認 |
よく問題になるケース
費用や手続について、相談前に迷いやすい場面を一般的な注意点として整理します。いずれも、結論は個別事情により変わります。
- 弁護士費用を一括で払えない:分割払いの可否や申立てまでの積立て、法テラスの利用可否を相談時に確認します。
- 裁判所に納める費用を準備できない:弁護士費用とは別に必要であり、特に管財予納金は分割が難しいため、準備方法を早めに整理します。
- 管財事件になりそう:資産や家計の状況により予納金が必要になることがあるため、見込みを確認します。
- 個人再生で毎月の返済原資が不安:再生計画の履行可能性が検討されるため、家計の状況を整理して相談します。
- 神戸市西区で申立先を間違えそう:本庁と明石支部のどちらかを、住所と管轄をもとに確認します。
- 差押えや訴訟が進んでいる:手続の選択や対応の優先順位が変わることがあるため、早めに相談します。
- 家族や保証人への影響が不安:保証人がいる債務の扱いなどは事案により異なるため、資料を確認して整理します。
- 住宅や自動車を残したい:個人再生の住宅資金特別条項の利用可否など、事案により検討事項が変わります。
申立前に準備しておきたい資料(チェックリスト)
相談や申立てをスムーズに進めるため、次の資料を整理しておくと、費用の見込みや手続の選択を検討しやすくなります。
- 債権者名、借入先、残高、契約日、最終返済日が分かる資料
- 督促状、催告書、訴状、支払督促、差押え関係の書類
- 給与明細、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書
- 家計収支表、通帳、クレジットカード明細
- 住民票、本人確認資料
- 不動産、自動車、保険、退職金、積立金、株式、暗号資産などの資料
- 住宅ローン、自動車ローン、保証人に関する資料
- 税金、国民健康保険料、養育費、罰金などの滞納に関する資料
- 浪費、ギャンブル、財産の処分や名義変更に関係する資料
- 個人事業主の場合は、事業収支、売掛金、買掛金、事業用資産、帳簿など
弁護士に相談するタイミング
費用が準備できてから相談するのではなく、費用の見込み、支払方法、法テラスの利用可否、申立先、手続の選択、督促への対応を、早めに整理しておくことに意味があります。受任の段階で債権者へ受任通知を発送すると、債権者からの直接の連絡が止まることが一般的です。どの手続が適しているか、費用をどう準備するかは、資料を確認したうえで個別に検討する必要があります。費用が不安な段階でも、相談によって対応方針を整理しやすくなります。
「費用を用意できるか分からない」という段階でも、相談の場で費用の見込み・分割や法テラスの可能性・申立先・必要資料を整理できます。手続の選択を比較しながら、次に何を準備すべきかを確認できます。
自己破産の弁護士費用を一括で払えなくても相談できますか。
相談自体は、費用を準備できていない段階でも可能です。相談の場で、分割払いの可否や申立てまでの積立て、法テラスの利用可否などを確認できます。具体的な費用や支払方法は、事案や事務所の規定により異なります。
個人再生の費用は自己破産より高くなりますか。
手続の内容が異なるため一概には比較できません。個人再生は再生計画案の作成や住宅資金特別条項の検討、個人再生委員の選任など、確認事項が増えることがあります。実際の費用は事案や裁判所の運用により変わります。
裁判所に納める費用も分割できますか。
弁護士費用と裁判所に納める費用は別であり、扱いが異なります。特に管財事件の予納金は分割が難しいのが一般的で、申立てまでに準備する方法を検討することになります。詳しくは裁判所の運用と事案を確認する必要があります。
神戸市西区に住んでいる場合、申立先は神戸地裁本庁ですか。
裁判所の管轄区域表では、神戸市西区は明石市と同じく神戸地方裁判所明石支部の管轄区域として整理されています。ただし、事件の類型や運用により提出先が異なる場合があるため、申立前に住所と管轄を確認することをおすすめします。
須磨区、垂水区、北区の場合はどこに申し立てますか。
これらの区は、神戸地方裁判所(本庁)の管轄区域として整理されています。自己破産・個人再生は地方裁判所の手続です。実際の提出先は、住所や事件の類型により確認が必要です。
法テラスを利用できる場合がありますか。
収入や資産が一定の基準以下であるなどの条件を満たす場合、法テラスの民事法律扶助を利用できることがあります。利用には審査があり、立て替えられた費用は原則として分割で返済します。ただし、予納金は原則として立替えの対象外になることがあります。
弁護士費用を準備している間、督促はどうなりますか。
弁護士が受任し、債権者へ受任通知を発送すると、債権者からの直接の連絡が止まることが一般的です。ただし、状況により対応が異なる場合があるため、督促や訴訟が進んでいる場合は早めに相談することをおすすめします。
相談時に何を持参すればよいですか。
債権者一覧や残高の分かる資料、督促状や訴状などの書類、給与明細や課税証明書、通帳、住民票などがあると、費用の見込みや手続の選択を検討しやすくなります。準備できる範囲で持参いただければ結構です。
まとめ
- 費用は「弁護士費用」と「裁判所に納める費用・実費」に分かれ、それぞれ別に確認します。
- 分割払いの可否は費用の種類により異なり、管財予納金は分割が難しいのが一般的です。
- 法テラスを利用できる場合がありますが、予納金は原則として立替対象外になることがあります。
- 神戸市西区は明石支部、須磨区・垂水区・北区などは本庁の管轄区域として整理されます。家庭裁判所ではなく地方裁判所の手続です。
- 費用が不安な段階でも、申立前に相談して支払方法と必要資料を整理することが、次の行動につながります。
自己破産・個人再生の費用、分割払いや法テラスの可能性、神戸市内の申立先について、資料を確認しながら見通しを整理したい方は、弁護士費用や取扱業務の内容とあわせてご確認いただけます。
監修者・執筆者情報
本記事は、神戸みらい法律会計事務所に所属する弁護士が内容を確認しています。弁護士の経歴や取扱分野については、弁護士紹介ページをご覧ください。
参考資料(公的・公式)

24時間365日受付