合同会社の設立|費用・必要書類・流れと注意点を弁護士が解説 |淡路島(淡路・洲本・南あわじ)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所

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合同会社の設立|費用・必要書類・流れと注意点を弁護士が解説

「個人事業から法人化したい」「一人で小さく会社をつくりたい」「仲間や家族と一緒に事業を始めたい」――そのようなときに、株式会社と並んで候補になるのが合同会社(ごうどうがいしゃ)です。合同会社は、株式会社よりも設立時の費用を抑えやすく、内部のルールを柔軟に設計できることから、近年、設立数が増えている会社形態です。

もっとも、「費用が安いから合同会社」という理由だけで決めてしまうと、資金調達、取引先や金融機関の受け止め方、許認可、将来の事業承継やM&Aの場面で、後から見直しが必要になることがあります。とくに、社員(出資者)が複数いる場合は、意思決定・利益配分・持分の扱い・退社や死亡時の対応を設立前に定款で決めておくことが、後々のトラブル防止につながります。

この記事では、淡路島(南あわじ市・洲本市・淡路市)で事業を営む方・これから起業する方に向けて、合同会社の特徴、株式会社・個人事業主との違い、設立費用、必要書類、手続の流れ、一人で設立する場合の注意点、定款設計、複数社員がいる場合の意思決定・利益配分・持分・退社・承継、設立後の手続、淡路島で設立する場合の提出先までを整理します。制度・費用・期限には、公的機関の公表情報に基づく2026年7月時点の内容を記載しています(費用や様式は改定されることがあるため、手続の前に最新情報をご確認ください)。

会社形態の選択や、共同経営を前提とした定款の設計には、法的な検討が必要になる場面があります。弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所では、設立前の論点整理や定款案・社員間のルールの確認についてご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。

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まず結論|合同会社の設立で最初に確認したいこと

合同会社を選ぶかどうかは、設立費用の安さだけでなく、誰と設立するか(一人か複数か)、資金調達の方法、許認可の有無、取引先・金融機関との関係、将来の承継やM&Aの見込みまで含めて判断する必要があります。まず全体像を整理します。

この記事の要点

  • 合同会社は、会社法上の「持分会社」の一種で、出資者である「社員」が会社を経営する形態です。一人でも設立できます。
  • 設立時の法定費用は、株式会社より抑えやすい傾向があります(後述の費用表を参照)。
  • 一人で始める場合は比較的シンプルですが、複数の社員で設立する場合は、意思決定・利益配分・持分・退社・死亡時の扱いを定款で設計しておくことが重要です。
  • 設立手続そのもの(登記申請)は司法書士、税務は税理士、社会保険は社会保険労務士、というように、専門職の役割は分かれています。
  • 結論は個別事情により変わります。迷う点は、署名・出資・登記の前に確認しておくと安全です。

合同会社が選択肢になりやすいケース

  • 一人、または家族・少人数で、当面は外部からの出資や上場を予定せずに事業を行う場合
  • 消費者向けサービス、専門サービス、資産管理など、会社の知名度より事業内容で評価されやすい事業
  • 設立時の費用や、設立後の維持の手間を抑えたい場合
  • 内部のルール(意思決定や利益配分)を出資比率にとらわれず柔軟に決めたい場合

株式会社などを検討した方がよいケース

  • 将来的に外部からの出資(増資)や株式上場を視野に入れている場合
  • 取引先・金融機関・許認可の関係で、株式会社であることを求められる可能性がある場合
  • 役員や出資者が多く、株式を用いた資本政策やストックオプションを使いたい場合
  • 対外的な信用や採用面で、株式会社の名称が有利に働くと見込まれる場合

いずれも一律の結論ではありません。同じ事業でも、資本金の額、共同出資者の有無、取引先の要望によって適切な形態は変わります。判断に迷う場合は、事業計画とあわせて検討することをおすすめします。

合同会社の設立前に最初に決める・確認する主な事項
項目 確認・決定する内容 つまずきやすい点
商号(会社名) 使用する文字・表記のルール、同一所在地の同一商号の有無 登記できても、他社の商標や不正競争防止法上の問題が別途生じ得る
本店所在地 事務所・店舗・自宅などの所在地。賃貸物件は使用可否も確認 賃貸借契約で事業利用・法人登記が制限されている場合がある
事業目的 行う事業の内容。許認可が必要な事業は目的の書き方も要確認 許認可の要件と目的の記載が整合していないと後で支障が出る
社員・出資額 誰が出資し、いくら出資するか。一人か複数か 「社員」は従業員ではなく出資者・経営者を指す(後述)
業務執行社員・代表社員 誰が業務を執行し、誰が会社を代表するか 全員が代表になるのか、一人に絞るのかを決めていない
資本金 いくらにするか。運転資金・許認可・信用面から検討 「1円でよい」と安易に決めると資金繰りや信用面で不利になり得る
事業年度・公告方法 決算期をいつにするか、公告の方法をどう定めるか 設立後の税務や事務の負担にも影響する

合同会社とは|会社法上の位置づけと「社員」の意味

会社法上の会社は4種類

会社法上の「会社」は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類です(会社法第2条第1号)。このうち、合名会社・合資会社・合同会社の3つをまとめて「持分会社(もちぶんがいしゃ)」と呼びます(会社法第575条)。合同会社は、持分会社の一種として位置づけられています。

なお、かつて設立できた「有限会社」は、現在は新たに設立できません(既存の有限会社は特例有限会社として存続しています)。合同会社は、2006年施行の会社法で新たに設けられた形態で、有限会社に代わる小規模会社の選択肢として利用されています。

「社員」は従業員ではなく出資者・構成員

合同会社で使われる「社員」とは、従業員のことではなく、会社に出資した構成員(オーナー)を指します。日常語の「社員(会社員)」とは意味が異なる点に注意が必要です。合同会社では、原則として、出資した社員が自ら会社の業務を執行します(会社法第590条)。株式会社が「出資する株主」と「経営する取締役」を分けて考えるのに対し、合同会社は出資と経営が結びついているのが特徴です。

合同会社の社員は、原則として有限責任です。会社が負った債務について、社員は出資した価額を限度として責任を負うにとどまります(会社法第580条第2項)。この点は株式会社の株主と同様で、個人事業主が事業上の債務について無限に責任を負う場合とは異なります。ただし、社員個人が会社の借入れの連帯保証人になっている場合など、契約によって別途責任を負うことはあります。

一人でも設立でき、業務執行社員・代表社員を定められる

合同会社は、社員が一人でも設立できます。社員が複数いる場合は、定款で特定の社員を業務執行社員(実際に業務を執行する社員)と定めることができ(会社法第591条)、さらにその中から会社を代表する代表社員を定めることもできます(会社法第599条)。法人が社員となり、その法人が代表社員となることも可能です(この場合、職務を行う者を選任します)。

日本の合同会社と外国のLLCは別物です

合同会社は、アメリカなどの「LLC」を参考に導入された制度ですが、税務上の取扱いは同じではありません。日本の合同会社は、原則として法人として課税されます(外国のLLCで見られる構成員課税(パススルー課税)とは異なります)。インターネット上の情報には両者を同一視するものもありますが、この記事は日本の会社法上の合同会社について解説しています。

合同会社・株式会社・個人事業主の違い

会社形態は、費用だけでなく、資金調達・意思決定・信用・承継まで含めて比較することが大切です。主な違いを整理します。

合同会社・株式会社・個人事業主の主な違い(2026年7月時点の一般的な整理)
比較項目 合同会社 株式会社 個人事業主
設立時の法定費用 抑えやすい(登録免許税は最低6万円。定款認証は不要) 合同会社より高い傾向(登録免許税は最低15万円。定款認証が必要) 開業届の提出のみで、登記費用はかからない
出資と経営 出資者(社員)が原則として自ら経営する 株主と取締役を分けられる 本人が事業主
役員の任期 社員・業務執行社員に任期はなく、重任の登記は不要(社員や持分が変動すればその都度登記が必要) 取締役には任期がある(原則として選任後2年、非公開会社は定款で最長10年まで伸長可能)。任期満了ごとに改選・重任登記が必要 該当なし
意思決定 原則として社員の過半数など、定款で柔軟に設計できる 株主総会・取締役会など、法定の機関設計に沿う 本人が決定
利益の分配 定款で定めれば出資比率と異なる配分も可能 原則として持株数(出資比率)に応じる 事業所得として本人に帰属
持分・株式の譲渡 持分の譲渡には原則として他の社員の承諾が必要 株式は原則として自由に譲渡できる(定款で制限も可能) 該当なし
資金調達・上場 外部からの出資や株式上場には向かない 増資・株式による資金調達や上場が可能 融資中心
決算公告 決算公告の義務はない 決算公告の義務がある 該当なし

よく「合同会社は信用が低い」「株式会社の方が必ず有利」と言われることがありますが、一概には言えません。有限責任である点は株式会社と同じであり、取引先・金融機関・許認可・採用・事業規模などによって評価は変わります。事業内容によっては合同会社が合理的な選択となる場合もあれば、資金調達や対外的信用を重視して株式会社が適する場合もあります。

合同会社の設立費用|法定費用と実費・報酬を分けて考える

設立費用は、国や公証役場に支払う「法定費用」と、専門職に依頼する場合の「報酬」を分けて考えると整理しやすくなります。まず法定費用を、株式会社と同じ条件(電子定款を前提)で比較します。

設立時の法定費用の比較(2026年7月時点・電子定款を前提とした最小構成の目安)
費用項目 合同会社 株式会社
定款認証手数料 不要(0円) 必要。資本金の額等により3万円・4万円・5万円。一定要件を満たす小規模な会社は1万5,000円
定款の収入印紙(紙の定款の場合) 4万円 4万円
定款の収入印紙(電子定款の場合) 不要(0円) 不要(0円)
設立登記の登録免許税 資本金の額×0.7%。6万円に満たないときは6万円 資本金の額×0.7%。15万円に満たないときは15万円
法定費用の目安(電子定款・最低区分) 6万円(登録免許税のみ) 16万5,000円~(登録免許税15万円+認証1万5,000円~)

上記は登録免許税を最低額に置いた最小構成です。資本金が大きい場合は、0.7%で計算した額が最低額を上回るため、その分費用は増えます(「資本金の額×0.7%」と「最低額」の高い方になります)。

費用を比較するときの注意点

  • 電子定款か紙の定款かをそろえて比較すること。紙の定款には合同会社・株式会社のどちらも収入印紙4万円がかかり、電子定款ならどちらも不要です。「合同会社は電子・株式会社は紙」で並べると、差が実際より大きく見えてしまいます。
  • 合同会社は定款の認証が不要ですが、株式会社は認証が必要です。株式会社の認証手数料は資本金の額等と会社の設計(発起人の人数・取締役会の有無など)によって変わります。
  • 電子定款で印紙が不要になるのは「割引」ではなく、電子データが印紙税の課税対象(紙の文書)に当たらないためです。
  • 司法書士・行政書士などに手続を依頼する場合の報酬は、上記の法定費用とは別に生じます。金額は依頼先・内容によって異なります。

合同会社を設立する流れ

合同会社の設立は、大きく次の流れで進みます。株式会社と違い、公証人による定款認証の手続がないのが特徴です。

  1. 基本事項を決める:商号、本店所在地、事業目的、社員、出資額、資本金、業務執行社員・代表社員、事業年度、公告方法などを決めます。許認可が必要な事業は、要件も確認します。
  2. 定款を作成する:社員になろうとする者全員で定款を作成し、署名または記名押印します(会社法第575条)。合同会社では公証人の認証は不要です。
  3. 出資を履行する:登記までに、金銭出資は全額を払い込み、現物出資は全部を給付します(会社法第578条)。払込みを証する書面を用意します。
  4. 登記書類を準備する:設立登記申請書と添付書類(後述)、代表社員の印鑑届書などをそろえます。
  5. 設立登記を申請する:本店所在地を管轄する法務局に、書面または郵送、あるいはオンラインで申請します。合同会社は設立の登記をすることによって成立します(会社法第579条)。
  6. 登記完了後の書類を取得する:登記事項証明書や印鑑証明書を取得し、設立後の各種手続に使います。

設立日は、原則として登記を申請した日になります。特定の日を設立日にしたい場合は、その日に申請できるよう逆算して準備します(法務局の閉庁日は申請できません)。手続にかかる期間は、準備状況や書類の補正の有無によって変わるため、余裕をもったスケジュールをおすすめします。

合同会社設立の必要書類

必要書類は、社員の構成、代表社員の決め方、法人が社員に含まれるか、現物出資の有無、申請方法(書面かオンラインか)によって変わります。すべての設立で同じ書類になるわけではありません。代表的な書類は次のとおりです(詳細・様式は法務局の最新の案内をご確認ください)。

合同会社の設立登記の主な書類(ケースにより異なる)
書類 内容・留意点
設立登記申請書 法務局の様式(合同会社設立登記申請書)に沿って作成する
定款 社員全員が作成・署名または記名押印。公証人の認証は不要
代表社員・業務執行社員に関する書面 代表社員の就任承諾書など。代表社員が法人の場合は、その法人の登記事項証明書や職務を行う者の選任書面などが必要になる
払込みを証する書面 出資金の払込みがあったことを証する書面
資本金の額の計上に関する証明書 現物出資などがある場合に必要。金銭出資のみの場合は不要とされている
印鑑届書 会社の実印を届け出る書面。代表社員個人の印鑑証明書(作成後3か月以内)を添付するのが原則
委任状 代理人に登記申請を依頼する場合に必要

オンラインで申請する場合は、登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトを使い、代表社員のマイナンバーカードなどで電子署名を行います。電子署名により一部の添付書類の提出を省略できる場合があります。どの書類が必要かは事案によって異なるため、申請前に法務局の案内で確認してください。

定款を作成するときに確認したい事項

定款には、必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)があります。合同会社では、目的、商号、本店の所在地、社員の氏名・名称および住所、社員が有限責任社員である旨、社員の出資の目的およびその価額などです(会社法第576条)。合同会社は、社員の全部が有限責任社員である会社です(同条第4項)。定款の一般的な位置づけについては、定款の記載事項について解説したコラムもあわせてご確認ください。

ひな形で対応しやすい場面と、個別に設計すべき場面

一人で設立し、当面は社員を増やす予定がない場合は、基本的な事項を定めるだけでも足りることが多く、市販・公開のひな形で対応しやすい場面です。一方で、複数の社員がいる場合や、将来の社員追加・承継が見込まれる場合は、ひな形そのままでは想定外の事態に対応できないことがあります。次のような事項は、設立前に検討しておくと後の紛争を防ぎやすくなります。

複数社員の合同会社で定款設計を検討したい主な事項
論点 会社法の原則 検討しておきたいこと
業務の意思決定 業務執行は社員の過半数で決定(業務執行社員を定めた場合はその過半数) 重要事項は全員一致とするか、頭数か出資比率か、といったルールの明確化
利益・損失の分配 定款に定めがなければ、出資の価額に応じて分配(会社法第622条)。配当は会社法第621条 労務や貢献度を反映した配分にするか。少数の社員の保護
持分の譲渡 持分の譲渡には原則として他の社員全員の承諾が必要(会社法第585条) 承諾のルール、共同経営を解消する場合の持分の受け皿、買取価格の決め方
社員の加入 新たな社員の加入は定款変更により効力を生じる(会社法第604条) どのような場合に加入を認めるか
社員の退社 任意退社(会社法第606条)・法定退社(会社法第607条)。退社に伴い持分の払戻しが生じ得る 退社の予告や、払戻しによる会社財産の流出への備え
社員の死亡・相続 社員の死亡は原則として退社事由。定款で定めれば相続人が持分を承継できる(会社法第608条) 承継を認めるか、遺言との関係、一人社員の死亡による解散リスクへの備え
定款の変更 原則として総社員の同意が必要(会社法第637条) 意見が割れると変更できず動けなくなる(デッドロック)事態への備え

「定款変更には専門知識が必要」と身構える必要はありませんが、複数の社員で事業を行う場合は、定款や社員間のルールが後の紛争を大きく左右します。定款だけで定めきれない事項は、社員間の合意書(社員間契約)で補うことも考えられます。どこまで定款で、どこから合意書で定めるかは、事業の実情に応じた検討が必要です。

共同経営を前提とした定款・社員間のルールづくりは、設立後に見直そうとすると、全社員の同意が必要になり調整が難しくなることがあります。設立前であれば、意思決定・利益配分・持分・退社・承継の取り決めを整理しやすい段階です。定款案や社員構成について、法的な観点から確認したい方はご相談ください。

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一人合同会社と複数社員の合同会社の違い

一人で設立する場合

一人で設立する場合、意思決定や利益配分をめぐる社員間の対立は生じません。手続もシンプルです。ただし、その社員に万一のことがあった場合、会社の事業をどう続けるか(承継)を考えておく必要があります。定款に相続人の持分承継の定めがないと、社員の死亡が退社事由となり、社員が一人だけの場合は会社の存続に関わることになります。事業を続けたい場合は、承継の定めや後継者の準備を検討します。

家族・仲間と複数で設立する場合

家族や友人、取引先などと複数で設立する場合は、出資額と業務の負担が異なる、一方だけが代表社員になる、意見が割れて決められなくなるといった場面が起こり得ます。とくに社員が二人(あるいは偶数)で、議決が同数で割れると、会社の意思決定が止まってしまう「デッドロック」が問題になります。設立前に、重要事項の決め方、対立時の解消方法(一方の持分を買い取る仕組みなど)、退社・除名の要件を取り決めておくことが、後の紛争予防につながります。

合同会社で後悔しやすい場面

合同会社を選んだこと自体が問題になるというより、確認や設計が不足していたために後から困るケースが見られます。よくある検討場面を整理します(いずれも一般的な例であり、実際の相談事例ではありません)。

  • 費用の安さだけで決めた:取引先や金融機関から株式会社を求められ、後で組織変更を検討することになった。
  • 許認可や取引条件の確認が不足:事業に必要な許認可の要件や、取引先の求める会社形態を設立後に知った。
  • 共同経営のルールが不足:意思決定・利益配分・持分の扱いを決めずに始め、方針をめぐって対立した。
  • 持分の移転や退社を想定していなかった:社員が抜けたい・持分を譲りたいという場面で、承諾や払戻しの取り決めがなく調整が難航した。
  • 将来の資金調達・承継を想定していなかった:増資やM&A、事業承継の段階で、当初の設計が制約になった。
  • 資本金や税務の確認不足:資本金を極端に少なくして口座開設や信用面で不利になった、消費税やインボイスの扱いを確認していなかった。

インターネット上でよく見かける「資本金は1円で十分」「設立後2年間は消費税が必ず免除される」といった説明は、いずれも条件つきで、一律には当てはまりません。資本金は運転資金・許認可・信用面から個別に検討すべきものであり、消費税の免税やインボイス(適格請求書発行事業者)の登録の要否は、要件と事業計画に照らして税理士に確認することをおすすめします。

設立後に確認する手続

登記が完了しても、それで終わりではありません。事業の内容や人を雇うかどうかによって、次のような手続が必要になります。すべての会社に一律に同じ届出が必要になるわけではありませんが、代表的なものを整理します(期限は2026年7月時点の公的機関の案内に基づきます)。

合同会社の設立後に確認したい主な手続(該当する場合)
区分 主な手続 提出先・目安
税務(国税) 法人設立届出書(設立の日以後2か月以内)、青色申告の承認申請書、給与を支払う場合の給与支払事務所等の開設届出書(開設から1か月以内)、源泉所得税の納期の特例(給与の支給人員が常時10人未満の場合) 納税地の税務署
消費税・インボイス 適格請求書発行事業者の登録は任意(登録できるのは課税事業者に限る)。課税事業者を選ぶ場合の届出 税務署。要否は事業計画に応じて検討
地方税 法人の設立・事務所設置の届出(法人県民税・事業税、法人市民税) 兵庫県の県税事務所(淡路島は洲本県税事務所)および所在地の市役所
社会保険 健康保険・厚生年金保険の新規適用届(事実発生から5日以内)。法人は原則として強制適用 年金事務所・事務センター
労働保険 従業員を雇用する場合の労働保険(労災・雇用保険)の手続 労働基準監督署・ハローワーク
その他 法人口座の開設、会計・請求書・契約の名義整備、個人事業から引き継ぐ資産・契約の確認、許認可の取得・名義変更 金融機関・取引先・所管官庁など

法人番号は、設立登記をすると国税庁から指定・通知されます(申請は不要です)。また、マイナポータルの法人設立ワンストップサービスを使うと、設立関連の手続の一部をまとめて行うことができます。税務は税理士、社会保険・労働保険は社会保険労務士など、手続ごとに相談先が異なる点にも留意してください。

淡路島で合同会社を設立する場合の確認点

設立登記の申請先(管轄)

会社の設立登記は、本店所在地を管轄する法務局に申請します。南あわじ市・洲本市・淡路市に本店を置く会社の商業・法人登記(登記申請)は、神戸地方法務局(本局・神戸市中央区)が管轄します。神戸地方法務局の洲本支局は、不動産登記や、登記事項証明書・印鑑証明書の交付、印鑑の提出などを取り扱いますが、商業・法人登記の申請そのものは取り扱っていません(本局に集約されています)。淡路島内の窓口で証明書は取得できても、設立登記の申請先は神戸市内の本局になる点に注意してください。実際の申請は、郵送やオンラインでも行えます。

創業支援と登録免許税の軽減

市区町村が行う特定創業支援等事業の支援を受け、その証明を受けると、会社の設立登記にかかる登録免許税が2分の1に軽減される制度があります(合同会社であれば最低6万円が3万円になります)。南あわじ市・洲本市・淡路市は、いずれも産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画の認定を受けています。もっとも、支援の内容や証明の発行要件、申請の時期は市や年度によって異なるため、利用を検討する場合は、各市の担当窓口や商工会に、現在の実施状況と要件を確認してください。創業融資や補助制度についても、各市・兵庫県・日本政策金融公庫などの窓口が相談先になります。

淡路島では、農業・食品・飲食・観光・宿泊・建設・不動産などの事業が多く、これらには許認可や農地の利用に関するルールが関係することがあります。会社を設立してから許認可でつまずかないよう、事業目的の決め方や設立と許認可の順序を、あらかじめ確認しておくと安全です。

設立手続の前に確認したいチェックリスト

決める・確認する

  • 商号、本店所在地、事業目的(許認可の要否を含む)
  • 社員、出資額、資本金の額(運転資金・信用面から検討)
  • 業務執行社員・代表社員を誰にするか
  • 事業年度、公告方法
  • 商号・商標・ドメインの重複や、賃貸物件の使用可否

共同経営者と話し合う(複数社員の場合)

  • 重要事項の決め方(全員一致か過半数か)
  • 利益・損失の分配のしかた
  • 持分の譲渡・退社・除名のルール
  • 社員に万一のことがあった場合の承継
  • 意見が割れたときの解消方法

専門職に確認する

  • 会社形態の選択・定款・社員間のルール(弁護士)
  • 登記申請の手続(司法書士)
  • 税務の届出・消費税・インボイス(税理士)
  • 社会保険・労働保険(社会保険労務士)
  • 許認可(所管官庁・行政書士など)

弁護士への相談を検討するタイミング

設立手続そのものは、ご自身で進めることもできます。一方で、次のような場合は、設立前に法的な観点から論点を整理しておくと安心です。弁護士への相談で得られるのは、資料を確認したうえでの見通しの整理や、契約・定款案の確認であり、結果を保証するものではありません。

  • 合同会社と株式会社のどちらにするか、資金調達・承継・許認可まで含めて判断したい
  • 共同経営者がいて、意思決定・利益配分・持分・退社のルールを決めたい
  • ひな形にない条項を定款に入れたい、社員間の合意書を作りたい
  • 許認可、賃貸借、事業承継、M&Aなどが関係する
  • すでに社員間で意見の対立がある

なお、当事務所は、会社設立に伴う法的な検討や定款・契約の確認といった企業法務を取り扱っています。登記申請の代理、税務申告、社会保険の手続、許認可申請は、それぞれ司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士など、担当する専門職の業務範囲となります。必要に応じて、適切な専門職と連携しながら進めることをおすすめします。

よくあるご質問

Q1.合同会社は一人でも設立できますか。

はい、社員が一人でも設立できます。その社員が業務執行社員・代表社員を兼ねる形になります。ただし、一人の社員に万一のことがあった場合の事業の承継について、定款の定めや後継者の準備を検討しておくと安心です。

Q2.合同会社の設立費用はいくらですか。

電子定款を前提とした最小構成では、法定費用は登録免許税の6万円が目安です(資本金の額×0.7%が6万円を超える場合はその額)。合同会社は定款の認証が不要で、紙の定款にすると別途4万円の収入印紙がかかります。司法書士などに依頼する場合の報酬は別に生じます。金額は資本金や設計により変わるため、事前の確認をおすすめします。

Q3.合同会社と株式会社のどちらを選ぶべきですか。

個別事情により異なります。費用や維持の手間を抑えたい、少人数で始めるといった場合は合同会社が選択肢になります。外部からの出資や上場を視野に入れる、取引先・金融機関から株式会社を求められる可能性がある場合は株式会社が適することもあります。資金調達・信用・承継まで含めて検討することをおすすめします。

Q4.合同会社の「社員」とは従業員のことですか。

いいえ。合同会社の「社員」は、会社に出資した構成員(オーナー)を指し、従業員のことではありません。原則として、社員が自ら会社の業務を執行します。日常語の「社員(会社員)」とは意味が異なります。

Q5.共同経営者と意見が割れた場合はどうなりますか。

業務の執行は原則として社員の過半数で決まりますが、社員が二人で同数に割れると意思決定が止まる「デッドロック」が生じ得ます。定款の変更は原則として総社員の同意が必要です。対立時の決め方や、持分の買取り・退社による解消方法を、設立前に取り決めておくことが予防になります。

Q6.社員が死亡した場合、会社はどうなりますか。

社員の死亡は、原則として退社の事由になります。定款で「相続人が持分を承継する」旨を定めておけば、相続人が持分を引き継ぐことができます。社員が一人の合同会社では、承継の定めがないと会社の存続に関わるため、事業を続けたい場合は事前の設計が重要です。

Q7.設立後は社会保険に加入する必要がありますか。

法人は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所となり、加入手続が必要です。新規適用の届出には期限があります(事実発生から5日以内とされています)。従業員を雇用する場合は、労働保険(労災・雇用保険)の手続も必要になります。詳細は年金事務所や社会保険労務士にご確認ください。

Q8.合同会社から株式会社に変更できますか。

できます。合同会社から株式会社への変更は「組織変更」という手続で、組織変更計画の作成や債権者保護の手続などが必要です。将来的に株式会社化する可能性がある場合は、その手間も踏まえて、当初どちらで設立するかを検討しておくとよいでしょう。

まとめ|設立前に確認しておきたいこと

  • 合同会社は持分会社の一種で、出資者である「社員」が経営します。一人でも設立できます。
  • 設立時の法定費用は株式会社より抑えやすい傾向がありますが、費用だけでなく資金調達・信用・承継まで含めて形態を選ぶことが大切です。
  • 必要書類や費用は、社員構成・現物出資の有無・申請方法によって変わります。数字や様式は手続前に最新情報を確認してください。
  • 複数の社員で設立する場合は、意思決定・利益配分・持分・退社・死亡時の扱いを、設立前に定款や社員間の合意で設計しておくことが紛争予防につながります。
  • 淡路島の会社の設立登記の申請先は神戸地方法務局(本局)です。特定創業支援等事業による登録免許税の軽減など、地域の支援制度は各市・商工会に確認してください。
  • 会社形態や定款・共同経営のルールに法的な検討が必要な場合は、出資・登記の前に一度確認しておくと安心です。

合同会社の設立を検討している方へ。弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所では、会社形態の選択、定款案や社員構成の確認、共同経営を前提としたルールづくりなど、設立前の論点整理についてご相談いただけます。資料を確認したうえで、対応方針を一緒に整理します。

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執筆者・監修者

藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所 代表弁護士・公認会計士
兵庫県弁護士会所属・日本公認会計士協会兵庫会所属

2012年(平成24年)司法試験合格、2013年弁護士登録。2020年(令和2年)公認会計士試験合格。個人のご相談から、企業法務・事業承継まで幅広く対応しています。会社の設立や定款、共同経営に関する法的な検討など、法律と会計・数字の両面からの整理を要する案件にも取り組んでいます。

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