ゼロゼロ融資の返済ができない時の選択肢|再生・廃業・破産 |淡路島(淡路・洲本・南あわじ)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所

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ゼロゼロ融資の返済ができない時の選択肢|再生・廃業・破産

ゼロゼロ融資(コロナ禍で実施された実質無利子・無担保融資の通称)の据置期間が終わり、毎月の元本返済が本格化すると、「売上はコロナ前に戻ってきたのに、返済をすると手元に資金が残らない」「このまま返済を続けて、従業員の給与や仕入代金、税金、社会保険料を払えるだろうか」と不安を抱える経営者・個人事業主の方は少なくありません。

このようなとき、最初にしていただきたいのは、いきなり「廃業」や「破産」を決断することではなく、資金繰り表・借入一覧・返済予定表を手元に整理することです。返済が苦しい状況には、返済条件の見直しから事業再生、廃業、法人破産まで複数の選択肢があり、どれが適切かは資料を確認したうえで判断する必要があります。早すぎる決断も、相談が遅れて選択肢が狭まってしまうことも、できるだけ避けたいところです。

この記事では、ゼロゼロ融資の返済が難しくなったときに考えられる選択肢の全体像、相談先の役割、事業を続ける場合・閉じる場合それぞれの手続、代表者個人の保証債務の扱い、弁護士に相談するタイミングを整理します。なお、本記事は一般的な情報の整理であり、個別の事案の結論は、財務状況や債権者との関係などによって異なります。

まずは「数字」を整理することから始められます。資金繰り表・借入一覧・直近の決算書をご用意いただければ、返済継続・条件変更・事業再生・廃業・法人破産のうち、どの方向が現実的かを資料に基づいて一緒に検討できます。返済停止や廃業を決める前に、一度ご相談ください。

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Contents

結論|ゼロゼロ融資の返済が苦しいときの選択肢の全体像

ゼロゼロ融資の返済が難しい場合に考えられる主な方向性は、大きく次の6つに整理できます。

  • 返済条件の見直し(リスケジュール):金融機関と話し合い、一定期間、元本の返済額を減らす・据え置く方法です。
  • 借換え・公的支援の活用:複数の借入をまとめ直したり、公的な保証制度・融資制度を活用して返済負担を見直す方法です。
  • 経営改善・事業再生:経営改善計画を策定し、必要に応じて私的整理(再生型)やスポンサー・M&Aを検討して事業の立て直しを図る方法です。
  • 廃業(廃業型私的整理を含む):事業をやめる方向で、取引先や資産への影響をできるだけ抑えながら整理する方法です。
  • 法人破産・事業者破産:裁判所の手続により、会社や個人事業を清算する方法です。
  • 代表者個人の保証債務整理:連帯保証をしている代表者個人について、経営者保証に関するガイドライン等を活用して整理する方法です。

これらは二者択一ではなく、組み合わせたり、段階的に移行したりすることがあります。たとえば、まずリスケで時間を確保しながら経営改善を進め、改善が難しいと判断した段階で廃業や法人破産に移る、というケースもあります。いずれの場合も、個別事情により結論は異なります。資金繰り表、借入一覧、決算書などを確認したうえで検討することが出発点になります。

なお、中小企業庁の資料でも、円滑な経営改善・事業再生のために最も大切なことは「早期」に相談し、適切な支援につなげることであるとされています。返済の遅延や税金の滞納が始まる前のほうが、選択肢を整理しやすいのが実情です。

ゼロゼロ融資とは何か|まず仕組みを確認する

実質無利子・無担保で行われた融資

ゼロゼロ融資は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の資金繰りを支えるために実施された、実質無利子・無担保の融資の通称です。民間金融機関を通じて信用保証協会の保証を付けて行われたもの(いわゆる民間ゼロゼロ融資)と、日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関を通じて行われたもの(コロナ特別貸付など)があります。

多くの場合、当初の数年間は元本の返済を据え置く「据置期間」が設けられ、その間は利息のみ、あるいは利子補給により負担が軽減されていました。問題は、この据置期間が終わると元本の返済が始まり、毎月の返済額が一気に増える点にあります。据置期間の終了時期が事業者ごとに異なるため、返済の本格化による資金繰りへの影響も時期をずらして表れています。

民間ゼロゼロ融資と信用保証協会・経営者保証

民間ゼロゼロ融資の多くは、信用保証協会の保証(多くは100%保証)が付いた融資です。信用保証協会とは、事業者が金融機関に返済できなくなった場合に、事業者に代わって金融機関へ返済(代位弁済)する公的な保証機関です。ただし、代位弁済によって借入そのものがなくなるわけではなく、その後は保証協会が事業者に返済を求めることになります(詳しくは後述します)。

また、法人の借入では、代表者が会社の連帯保証人(経営者保証)になっているケースが多くあります。会社が返済できなくなると、代表者個人が保証債務の履行を求められる可能性があるため、法人の返済問題は代表者個人の問題と切り離して考えることができません。

据置期間後に資金繰りが悪化しやすい理由

「売上はコロナ前の水準に戻ってきたのに、資金繰りが楽にならない」という相談は珍しくありません。背景には、次のような事情が重なっていることがあります。

  • 原材料費・仕入価格・エネルギー価格の上昇により、売上が戻っても利益(手元に残るお金)が増えにくい。
  • 人手不足を背景とした人件費・賃金の上昇。
  • 金利環境の変化による支払利息の増加。
  • 据置期間中に先送りされていた元本返済の本格化。
  • 消費税・法人税などの税金、社会保険料の納付。

とくに「利益は出ているのにお金が残らない」という状態は、利益以上に借入の返済を行っていることが原因になっていることがあります。まずは数字で現状を把握することが重要です。

返済が苦しいとき、最初に確認すべき資料

選択肢を検討する前提として、次の資料を整理しておくと、金融機関や専門家との相談がスムーズになります。

  • 資金繰り表(今後数か月〜1年程度の入出金の見通し)
  • 借入一覧(金融機関名、残高、毎月の返済額、保証協会保証の有無、担保・連帯保証人の有無)
  • 返済予定表(各借入の返済スケジュール)
  • 決算書(直近2〜3期分)、直近の試算表
  • 売掛金・買掛金の一覧、在庫の状況
  • 税金・社会保険料の納付状況(滞納の有無と金額)
  • 従業員の給与・退職金の状況
  • 事務所・店舗・工場などの賃貸借契約、リース契約の内容
  • 担保(不動産等)の設定状況

金融機関に相談する前のチェックリスト

  • 今後の資金繰り表を作成し、いつ資金が不足しそうかを把握したか。
  • すべての借入について、残高・毎月の返済額・保証や担保の有無を一覧にしたか。
  • 税金・社会保険料の滞納の有無を確認したか。
  • 毎月の返済額をいくらにできれば資金繰りが回るのか、希望額を整理したか。
  • 売上・利益の見通しと、改善のために取り組めることを言葉にできるか。

これらは、リスケジュールを相談する際に金融機関から求められることのある「経営行動計画書」や経営改善計画の検討にもつながります。

返済が苦しいときの選択肢を比較する

主な選択肢の特徴を整理すると、次のとおりです。どれが適切かは資料を確認したうえで判断する必要があり、利用できる公的支援の内容や要件は時期により変わります。

選択肢 向いている可能性があるケース 主なメリット 注意点 主な相談先
返済条件の見直し(リスケ) 一時的に返済が苦しいが、事業継続の見込みがある 元本返済を一定期間減らし、資金繰りを立て直せる可能性 経営改善計画の策定や定期的な報告を求められることがある。利息は発生し続ける 取引金融機関、認定経営革新等支援機関
借換え・公的支援 複数の借入を整理し、返済期間を見直したい 返済負担を平準化できる場合がある 利用できる制度・要件は時期により変わる。最新の取扱いの確認が必要 取引金融機関、信用保証協会、商工会・商工会議所
経営改善・事業再生(再生型私的整理) 自助努力だけでは難しいが、事業に再生の見込みがある 法的整理より事業価値の毀損が小さい場合がある。取引先に知られにくい 対象債権者全員の同意などの要件がある 中小企業活性化協議会、弁護士、公認会計士・税理士
事業譲渡・M&A・スポンサー 引き継ぎ手やスポンサーが見込める 雇用や取引先を残せる可能性 相手探しや交渉に時間がかかる。条件は個別 弁護士、M&A支援機関、金融機関
廃業(廃業型私的整理) 事業継続は難しいが、計画的に整理したい 破産より資産・取引先への影響を抑えられる場合がある 対象債権者の同意やリース債権者への対応が必要 中小企業活性化協議会、弁護士、公認会計士・税理士
法人破産・事業者破産 支払不能・債務超過で、再建や私的整理が難しい 裁判所の手続により、債務関係を清算できる 弁護士費用・裁判所への予納金が必要。費用を確保できる段階での相談が望ましい 弁護士

表はあくまで一般的な整理です。実際には複数の選択肢を組み合わせることもあり、個別事情により結論は異なります

公的支援と相談先の役割を整理する

金融機関への早期相談とリスケジュール

返済が苦しくなったとき、まず相談先になるのは取引金融機関です。返済条件の見直し(リスケジュール)は、一定期間、元本の返済額を減らしたり据え置いたりして、資金繰りを立て直すための時間を確保する方法です。国は金融機関に対し、条件変更や借換えについて事業者の実情に応じた柔軟な対応を繰り返し要請しています。相談すること自体が直ちに不利になるわけではなく、早めの相談のほうが選択肢を確保しやすいのが一般的です。

信用保証協会と代位弁済・求償権の仕組み

保証協会の保証が付いた融資で返済ができなくなり、金融機関が回収できない状態になると、金融機関の請求に基づき信用保証協会が金融機関へ返済(代位弁済)します。ここで誤解されやすいのですが、代位弁済によって債務がなくなるわけではありません。代位弁済の後は、信用保証協会が立て替えた分について、事業者(主債務者)と連帯保証人に返済を求める権利(求償権)を持ちます。いわば、債権者が金融機関から信用保証協会に替わるイメージです。求償債務の返済が難しい場合も、保証協会との協議や、私的整理・法的整理の対象として整理を検討することになります。

中小企業活性化協議会・認定経営革新等支援機関の役割

中小企業活性化協議会は、各都道府県に設置された公的な相談窓口で、収益力改善・再生・再チャレンジの支援を行っています。金融機関との調整を含む私的整理の支援を受けられる場合があります。認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士・商工会・商工会議所等)は、経営改善計画の策定支援などを担います。これらの窓口は、強制力のある債務整理(裁判所の手続)そのものを行うものではない点に留意が必要です。

相談先 相談できること できないこと・注意点 相談前に準備する資料
取引金融機関 返済条件の見直し(リスケ)、借換え、公的支援制度の案内 債務の減免そのものの判断は単独では難しい。法的整理の代理はしない 資金繰り表、借入一覧、決算書、経営改善の方針
信用保証協会 保証付き融資に関する相談、条件変更 個別の経営判断や法的整理の代理はしない。代位弁済後は求償債権者になる 保証付き融資の内容、返済状況
中小企業活性化協議会 収益力改善・再生・再チャレンジの相談、私的整理の支援 強制力のある債務整理はできない。最終的な法的手続は別途 決算書、試算表、資金繰り表、借入一覧
認定経営革新等支援機関 経営改善計画の策定支援、各種制度の活用支援 債務整理手続そのものの代理はしない 決算書、試算表、事業計画
弁護士 法的整理(破産・民事再生等)や私的整理の代理、保証債務整理、債権者対応、契約・労務の整理 税務申告や会計監査の代行は業務範囲外(税理士・公認会計士の領域) 借入一覧、決算書、資金繰り表、契約書、督促状等

当事務所のように弁護士が公認会計士の資格を併せ持つ場合は、法務と会計・財務の両面から検討できることがあります。ただし、税務申告等は別途の対応となります。

制度の最新状況にご注意ください。コロナ禍で実施された支援策は、終了や後継制度への切替えが進んでいます。たとえば、民間ゼロゼロ融資の借換えに利用された「コロナ借換保証」は、令和6年(2024年)6月末で全国の申込受付が終了しています(令和6年能登半島地震の被害を受けた石川県内の一部地域を除く)。日本政策金融公庫の「コロナ特別貸付」も令和6年(2024年)12月で取扱いを終了し、借換えに対応する「危機対応後経営安定貸付」などへ移行しています。利用できる制度・要件・期限は変動するため、必ず取引金融機関・信用保証協会・中小企業庁などの最新情報をご確認ください。

事業を続ける場合の選択肢(経営改善・事業再生)

本業(営業)で利益が出ている、または改善の見込みがある場合は、事業を続けながら立て直す方向を検討できます。具体的には、リスケジュールで時間を確保したうえで経営改善計画を実行する、借換え・公的支援で返済負担を平準化する、といった方法があります。

自助努力だけでは難しいものの再生の見込みがある場合には、中小企業の事業再生等に関するガイドラインに基づく「再生型私的整理手続」を検討できる場合があります。これは、全国銀行協会を事務局とする研究会が策定した準則型私的整理手続の一つで、破産・民事再生などの法的整理によらず、金融機関等との合意により返済猶予や債務の減免等を受けて事業再生を図るものです。弁護士・公認会計士などの第三者支援専門家が関与し、法的整理に比べて事業価値の毀損や取引先への影響を抑えられる場合がある点が特徴です。また、引き継ぎ手やスポンサーが見込める場合は、事業譲渡・M&Aによって雇用や取引先を残しながら再建を図る道もあります。いずれも要件や進め方は事案により異なり、資料を確認したうえで判断する必要があります。

事業を閉じる場合の選択肢(廃業・私的整理)

事業の継続が難しいと判断した場合でも、いきなり破産だけが選択肢になるわけではありません。前述の「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」には、廃業型私的整理手続も定められています。これは、事業の継続可能性が見込まれない場合に、対象債権者の同意を得ながら、資産を換価して弁済し、残る債務について免除を受けて、計画的に事業を畳む手続です。廃業型では、金融機関だけでなくリース債権者も対象債権者に含まれる点が特徴です。手続後は、原則として通常清算により法人格を消滅させることが想定されています(特別清算等が用いられる場合もあります)。

廃業型私的整理を行う場合、代表者個人の保証債務についても、原則として後述の経営者保証に関するガイドラインを活用して、会社の債務と一体的に整理するよう努めることとされています。破産に比べて資産・取引先への影響を抑えられる場合がある一方、対象債権者全員の同意などの要件があるため、利用できるかは個別事情により異なります。

法人破産・事業者破産を検討すべきタイミング

再建や私的整理が難しく、支払不能(弁済期にある債務を一般的・継続的に弁済できない状態)や債務超過に至っている場合には、法人破産・事業者破産を検討することになります。複数の債権者からの督促が続いている、差押えのリスクがある、資金が近くショートする見込みである、といった状況は、検討を要するサインです。

破産は「終わり」ではなく、債務関係を清算して再出発するための法的手続です。ここで重要なのは、破産にも弁護士費用や裁判所への予納金などの費用がかかり、その費用を確保できる段階で相談することが望ましいという点です。費用の額は、事業規模・債権者数・財産や事業の状況などにより異なります(具体的な金額は事案により異なるため、相談時にご確認ください)。資金が完全に尽きてからでは、破産という選択肢すら取りにくくなることがあります。

なお、法人の破産と、個人事業主の破産、代表者個人の破産は、それぞれ別の手続として整理する必要があります。法人破産では会社の法人格が消滅しますが、個人事業主の場合は事業主個人の破産となり、代表者が連帯保証をしている法人破産では代表者個人の保証債務の整理が別途問題になります。どの手続をどう組み合わせるかは、資料を確認したうえで判断します。

確認項目 事業継続を検討しやすい事情 廃業・破産を検討すべき事情 主な確認資料
損益の状況 本業で利益が出ている、または改善の見込みがある 営業を続けるほど赤字が拡大している 試算表、損益計算書
資金繰り 一定期間の運転資金を確保できる見通しがある 近い将来に資金がショートする見込み 資金繰り表、預金残高
債務の状況 返済条件の見直しで返済を継続できる見込み 返済の見込みが立たない、債務超過が深刻 借入一覧、決算書
支援の見込み 金融機関の協力やスポンサー・引き継ぎ手が見込める 主要債権者の協力が得られず、督促・差押えのリスクがある 金融機関とのやり取り、督促状等
支払の優先順位 税金・社会保険料・給与の支払いを継続できる 税金・社会保険料・給与の支払いが困難になっている 納付状況、給与台帳
手続費用 再生・廃業・破産のいずれも費用を確保できる 費用が尽きると、選べる手続が限られる 預金残高、資金繰り表

いずれの項目も単独では判断できません。複数の事情を総合し、個別事情をふまえて検討する必要があります

「続けるべきか、畳むべきか」を一人で抱え込む必要はありません。資金繰り表・借入一覧・決算書を確認すれば、再生・廃業・法人破産のいずれが現実的かを資料に基づいて整理できます。費用が尽きる前の段階でご相談いただくほうが、選択肢を確保しやすくなります。

法人破産・事業者破産の取扱業務を見る

代表者個人の保証債務はどうなるか

連帯保証と保証債務の履行請求

法人の借入について代表者が連帯保証をしている場合、会社が返済できなくなると、代表者個人が会社に代わって返済を求められるのが原則です。従来は、会社が破産すると代表者個人も破産を選ぶケースが多くありました。しかし現在は、一定の場面で個人破産を回避できる可能性があります。

経営者保証ガイドラインで個人破産を回避できる可能性

経営者保証に関するガイドラインは、全国銀行協会と日本商工会議所が設置した研究会が策定した自主的なルール(準則)です。法的拘束力はありませんが、金融機関等に尊重・遵守されることが期待されています。一定の要件を満たす場合、保証債務の一部を弁済して残りの免除を受け、個人破産を回避できる可能性があります。主なメリットとして、次の点が挙げられます。

  • このガイドラインに基づいて保証債務を整理した場合、その事実は信用情報登録機関に報告・登録されない(いわゆる「ブラックリスト」に載らない)とされています。
  • 破産手続における自由財産(99万円)に加えて、一定の経済合理性が認められる場合には、一定期間の生計費(雇用保険の考え方を参考に、年齢等に応じて概ね約100万円〜360万円程度とされています)や、華美でない自宅等を手元に残すことを検討できる場合があります。

会社の債務(主債務)と代表者の保証債務を一体で整理する「一体型」が原則とされ、会社が法的整理による場合でも、保証債務は私的整理で整理することが想定されています。利用には、誠実な情報開示と表明保証、対象債権者にとっての経済合理性(破産による配当よりも多く回収できる見込みがあること等)、免責不許可事由がないことなどの要件があり、原則として対象債権者全員の同意が必要です。会社が廃業する場面については、「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」も示されています。

個人破産を避けられる場面と避けにくい場面

経営者保証ガイドラインを活用できるかどうかは、資産・負債の状況、債権者の同意、早期に着手できたか、などにより変わります。たとえば、自宅にすでに担保(抵当権)が設定されている場合は、自宅をそのまま残すことが難しいことがあります。また、住宅ローンやカードローンなど保証人個人固有の債務は、原則としてこのガイドラインの対象外です。要件を満たさない場合や、対象債権者の同意が得られない場合には、個人についても破産による整理を選ぶことになります。いずれにしても、早めに着手するほど要件を満たしやすい傾向があり、個別事情により結論は異なります。

税金・社会保険料・従業員給与・取引先債務の注意点

債務には「優先順位」や「破産しても残るかどうか」に違いがあります。とくに次の点に注意が必要です。

  • 税金・社会保険料:破産手続のなかでも優先的に扱われる債務です。さらに、代表者や個人事業主など「個人」が破産する場合、税金・社会保険料は破産をしても支払義務が残る債務(非免責債権)とされているのが原則です。法人破産では会社の法人格が消滅しますが、第二次納税義務など別の論点が生じる場合があります。
  • 従業員の給与・退職金:一定の範囲で優先的に扱われます。会社が支払えない場合、未払賃金について、国の制度により一定の範囲・割合で立替払を受けられる場合があります(上限や要件があります)。
  • 取引先への債務:一般の債権として扱われることが多く、特定の取引先にだけ返済すること(偏頗弁済)は後に問題となる可能性があります。
  • リース・賃貸借契約:契約の解約、原状回復、保証金の精算、リース物件の返還などの対応が必要になります。

これらの優先順位や非免責の扱いは、手続の選び方や進め方に大きく影響します。具体的な扱いは事案により異なるため、資料を確認したうえで検討する必要があります。

やってはいけない対応

資金繰りが苦しいときほど、後の手続で不利になる対応を避けることが重要です。次のような対応は、財産が取り戻される(否認される)、免責が認められにくくなる、といったリスクにつながります。

  • 偏頗弁済:特定の取引先・知人・親族にだけ優先して返済すること。
  • 財産隠し・直前の名義変更:自宅や車などを家族名義に移すこと。
  • 粉飾決算・虚偽資料での借入:事実と異なる資料で追加融資を受けること。
  • 返済のための無理な借入:高金利の借入や、いわゆる闇金融からの借入で当座をしのごうとすること。
  • 金融機関への虚偽説明
  • 従業員・取引先への場当たり的な対応:突然連絡を断つなど、後のトラブルにつながる対応。

避けるべき対応チェックリスト

  • 特定の債権者にだけ返済していないか。
  • 財産を家族や第三者の名義に移していないか。
  • 事実と異なる資料で融資を受けようとしていないか。
  • 返済のために高金利の借入をしようとしていないか。
  • 決算書・契約書・通帳など重要な資料を廃棄していないか。

判断に迷う場面では、行動する前に一度ご相談ください。示談・支払・名義変更・追加借入を行う前の確認が、後の選択肢を守ることにつながります。

弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は「最後の手段」になってから、と考えられがちですが、実際には早い段階のほうが、整理できる選択肢が多く残ります。次のいずれかのタイミングが、相談を検討する目安になります。

  • 返済の遅延が始まる前。
  • 税金・社会保険料の滞納が始まる前。
  • 従業員給与の遅配が始まる前。
  • 金融機関へリスケや返済停止について回答する前。
  • 廃業を決断する前。
  • 破産費用(弁護士費用・予納金)が尽きる前。

早めに相談した方がよいサイン

  • 据置期間が終わり、毎月の返済額が大きく増えた。
  • 返済のために、ほかの借入をしている。
  • 税金・社会保険料の納付が遅れがちになっている。
  • 役員報酬や従業員給与の支払いを遅らせている。
  • 金融機関から条件変更や面談を打診されている。
  • 督促状や一括請求の通知が届いた。

弁護士に相談する前の資料チェックリスト

  • 借入一覧(残高・毎月の返済額・保証や担保の有無)。
  • 決算書(直近2〜3期分)、直近の試算表。
  • 資金繰り表。
  • 税金・社会保険料の納付状況がわかるもの。
  • 主な契約書(賃貸借・リース・取引基本契約等)。
  • 督促状・通知書など、債権者から届いた書面。
  • 連帯保証・担保に関する書類。

相談により、返済継続・条件変更・事業再生・廃業・法人破産のうち、どの方向が現実的かを資料に基づいて整理できます。会社の数字(決算書・資金繰り)と法的整理の手続選択を一体で検討できることは、再生・廃業いずれの判断でも役立ちます。

よくある質問(FAQ)

Q1.ゼロゼロ融資の返済ができないと、すぐに倒産・破産になりますか。

必ずしもそうではありません。返済条件の見直し(リスケ)、借換え・公的支援、経営改善・事業再生など、事業を続けながら立て直す選択肢があります。まず資金繰り表や借入一覧を整理し、資料に基づいて検討することが出発点です。個別事情により結論は異なります。

Q2.金融機関にリスケジュールを相談すると、今後融資を受けられなくなりますか。

相談したこと自体が直ちに不利になるわけではありません。国も金融機関に柔軟な対応を繰り返し要請しています。むしろ、返済の遅延や滞納が起きる前に早めに相談するほうが、選択肢を確保しやすい傾向があります。

Q3.ゼロゼロ融資の借換え制度(コロナ借換保証)は今も使えますか。

「コロナ借換保証」は、令和6年(2024年)6月末で全国の申込受付が終了しています(被災地域の一部を除く)。現在は後継の保証制度や融資制度に切り替わっています。利用できる制度・要件・期限は変動するため、取引金融機関や信用保証協会、中小企業庁の最新情報をご確認ください。

Q4.信用保証協会に代位弁済されると、借金はなくなりますか。

なくなりません。代位弁済の後は、信用保証協会が立て替えた分について、事業者と連帯保証人に返済を求める権利(求償権)を持ちます。債権者が金融機関から保証協会に替わるイメージです。求償債務についても、協議や私的整理・法的整理による整理を検討することになります。

Q5.会社が破産すると、代表者個人も必ず自己破産しなければなりませんか。

必ずしもそうではありません。連帯保証をしている場合でも、「経営者保証に関するガイドライン」を活用して、個人破産を回避できる可能性があります。ただし一定の要件があり、早めに着手するほうが要件を満たしやすい傾向があります。個別事情により結論は異なります。

Q6.税金や社会保険料の滞納があると、破産しても支払い義務は残りますか。

代表者や個人事業主など「個人」が破産する場合、税金・社会保険料は破産をしても支払義務が残る債務(非免責債権)とされているのが原則です。破産手続のなかでも優先的に扱われます。具体的な扱いは事案により異なるため、早めにご相談ください。

Q7.法人破産にはどのくらいの費用がかかりますか。

弁護士費用と、裁判所への予納金などが必要です。金額は、事業規模・債権者数・財産や事業の状況などにより異なるため、一律には申し上げられません。費用が尽きる前の段階でご相談いただくことが重要です。詳しくは費用ページや個別相談でご確認ください。

Q8.弁護士に相談するのは、どのタイミングがよいですか。

返済の遅延・税金や社会保険料の滞納・給与の遅配が始まる前、金融機関へ回答する前、廃業を決断する前、破産費用が尽きる前が目安です。早い段階のほうが、整理できる選択肢が多く残ります。

まとめ|返済が苦しいときの次の一歩

  • まず資金繰り表・借入一覧・返済予定表・決算書を整理し、現状を数字で把握する。
  • 選択肢は「返済条件の見直し」「借換え・公的支援」「経営改善・事業再生」「廃業」「法人破産・事業者破産」「代表者個人の保証債務整理」に分かれる。
  • 代位弁済されても債務は消えず、債権者が保証協会に替わる。法人破産と代表者個人破産は別に整理する。
  • 連帯保証があっても、経営者保証ガイドラインで個人破産を回避できる可能性がある。
  • 税金・社会保険料・給与には優先順位や非免責の扱いがあり、偏頗弁済・財産隠し・粉飾は避ける。
  • 費用が尽きる前・決断の前に相談すると、選択肢を確保しやすい。個別事情により結論は異なります。

ゼロゼロ融資の返済にお悩みの中小企業・個人事業主・代表者の方へ。当事務所では、弁護士・公認会計士の視点から、資金繰り表・決算書などの資料に基づいて、事業の継続・廃業・法人破産・代表者個人の保証債務整理について方針を整理します。淡路島(南あわじ市・洲本市・淡路市)をはじめ、兵庫県内の事業者の方からのご相談に対応しています。初回のご相談は無料です。返済停止や廃業を決める前に、一度ご相談ください。

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監修者・執筆者

藤井 貴之(ふじい たかゆき)|弁護士・公認会計士

兵庫県弁護士会 所属。弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所(淡路島・南あわじ市)。企業法務、法人破産・事業者破産、私的整理、債権回収、M&A・事業承継などを取り扱い、会計・財務の観点も踏まえた検討に対応しています。

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