親権・監護権の判断基準|別居時の子の連れ出しと監護者指定 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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親権・監護権の判断基準|別居時の子の連れ出しと監護者指定

別居や離婚を考えるとき、多くの方が最も気にされるのが「子どもをどちらが育てるのか」という問題です。とくに、これから別居を検討している方は「子どもを連れて家を出てよいのか」と迷い、すでに子どもと離れてしまった方は「連れて行かれたが、どうすれば戻ってもらえるのか」と不安を抱えていらっしゃると思います。

親権や監護権は、親の一方的な希望だけで決まるものではなく、家庭裁判所は「子の利益」を中心に、これまでの監護の実績や現在の生活の安定、子の安全などをふまえて判断します。この記事では、親権と監護権の違い、家庭裁判所が考慮し得る主な事情、別居のときに気をつけたいこと、監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分といった手続の使い分けまでを、公的機関の情報をもとに整理します。

DV・虐待など、子どもやご自身の安全にかかわる事情がある場合は、まず安全の確保が最優先です。危険が差し迫っているときは、警察(110番)や、お住まいの自治体の配偶者暴力相談支援センターなどにご相談ください。安全を確保したうえで、家庭裁判所の手続や弁護士への相談を検討することができます。

別居前後の監護の状況、相手方とのやり取り、裁判所から届いた書類などを整理したうえでご相談いただくと、法律上の見通しや今後の方針を検討しやすくなります。

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結論|親権・監護権は「子の利益」を中心に判断される

親権・監護権をめぐる争いでは、「どちらの親が子どもと暮らすのがふさわしいか」を、家庭裁判所が子の利益(子の健全な成長)の観点から総合的に判断します。親の収入の多さや、どちらが先に子どもを連れて出たか、といった一つの事情だけで結論が決まるわけではありません。

先に押さえておきたい要点

  • 婚姻中は父母双方が親権者です。別居中(離婚前)にどちらが子どもを監護するかは、主に「監護者の指定」(民法766条)で問題になります。
  • 令和8年4月1日施行の改正民法により、離婚後の親権は「共同親権」か「単独親権」かを選べる制度になりました。
  • 家庭裁判所は、これまでの監護実績、現在の生活の安定、子の年齢・意思、双方の監護能力、DV・虐待の有無など、一切の事情を考慮して判断します。
  • 結論は個別事情により異なります。事案ごとに、資料を確認したうえで見通しを検討する必要があります。

別居前後に確認しておきたい大枠は、次のとおりです。詳しい資料リストは後半の「手続の前に確認・準備しておきたい資料」で整理します。

場面 確認・意識したいこと
別居を検討している 子の安全と生活の継続、学校・保育園や通院の継続、これまでの監護の記録、相手方との連絡方法
子と別居した/連れて出た 子の生活環境の安定、相手方への一方的な連絡遮断を避けること、監護の状況の記録
子を連れて行かれた 感情的な奪い返しを避けること、子の所在・監護状況の把握、早期の家庭裁判所手続・相談の検討

親権・監護権・監護者は何が違うのか

親権とは(子の利益のための権利義務)

親権とは、親が未成年の子について、身の回りの世話や教育(身上監護)を行い、財産を管理したりする権利であり、義務でもあります。親権は、子の利益のために行使しなければならないとされています(民法818条1項)。また、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は、子の人格を尊重し、その年齢や発達の程度に配慮して養育する責務などを負うものとされています(民法817条の12)。

令和8年4月からの共同親権・単独親権

令和6年に成立した「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)が、令和8年4月1日から施行されています。これにより、離婚後の親権について、父母の双方を親権者とする「共同親権」と、一方のみを親権者とする「単独親権」のいずれかを選べる制度になりました。協議離婚では父母の協議で定め、協議が調わないときは家庭裁判所が子の利益の観点から親権者を定めます。

もっとも、父母が共同して親権を行うことが難しいと家庭裁判所が判断する場合など、一定の場合には単独親権とされます。DVや虐待のおそれがある事案では、子の安全の確保が重視されます。共同親権となった場合でも、日常の子育てを必ず交替で行わなければならないわけではなく、子に関するすべての事項を常に父母が共同で決めなければならないわけでもありません。

監護権・監護者と「監護者指定」の意味

「監護権」は、親権のうち、子と一緒に暮らして身の回りの世話や教育を行う部分をさす言葉として使われます。別居中(離婚前)の父母や、共同親権で離婚した父母の間などで、子と同居し、身上監護全般について単独で決定できる立場の親を「監護者」として定めることができます。

共同親権のもとでは、原則として、居所の決定・重大な医療行為の決定・進学先の選択といった身上監護に関する重大な行為は父母が共同で決める必要があります。ただし、父母の一方が監護者として指定されると、これら重大な行為も含めて身上監護全般を単独で決定できるようになります。一方で、財産の管理に関する行為や、身分行為の法定代理などは、監護者であっても単独ではできません。

監護者を定める父母の協議が調わないとき、または協議ができないときは、家庭裁判所の調停・審判の手続を利用することができます(民法766条)。

家庭裁判所が考慮し得る主な事情

ここで挙げるのは、「必ずこの要素で決まる」というものではなく、実務上、問題になりやすい事情の例です。家庭裁判所は、これらを含む一切の事情を総合的に考慮して判断します。どの事情をどの程度重視するかは、事案により異なります。

監護実績・現在の監護状況・生活の安定

これまで主に誰が子どもの世話をしてきたか(食事、入浴、寝かしつけ、通院の付き添い、行事への参加など)、現在の監護の状況が安定しているか、といった点は重要な要素とされます。生活の場が頻繁に変わることは、子にとって負担になり得るため、生活環境の継続性にも配慮されます。

子の年齢・発達・意思、兄弟姉妹

子の年齢や発達の程度、健康状態のほか、子自身の意思や意向も考慮の対象になります。年齢が上がるほど子の意思が尊重される傾向がありますが、年齢だけで一律に決まるものではありません。また、兄弟姉妹が一緒に生活できるかどうかも、子の利益の観点から検討されることがあります。

DV・虐待・安全確保、面会交流への姿勢

DV・虐待・暴言などがある場合、子の安全の確保が重視されます。あわせて、他方の親と子との面会交流(親子交流)に対してどのような姿勢をとっているか、子と相手方との関係を不当に妨げていないか、といった点も考慮され得ます。双方の監護能力、就労状況、祖父母などの監護補助者の有無も、生活の安定を支える事情として検討されることがあります。

別居のときに子を連れて出るときの注意点

「子を連れて出れば必ず有利になる」「連れて出れば必ず違法になる」というのは、いずれも正確ではありません。DV・虐待からの避難など安全確保のための別居と、対立していることだけを理由に突然子どもの生活環境を変える別居とでは、評価が異なり得ます。

別居を検討するときに意識したいこと

  • 子の安全と生活の継続を最優先に考える。
  • 学校・保育園、通院・服薬などをできるだけ継続できるよう準備する。
  • 相手方との連絡を一方的に完全遮断することは、後の手続で問題とされる場合がある。
  • これまでの監護の状況や、別居に至った経緯がわかる資料を整理しておく。

なお、相手方の目を盗んで子を連れ去るような方法や、実力で子を確保するような行為は、かえって不利に働いたり、別の紛争を生じさせたりするおそれがあります。判断に迷う場合は、行動する前に一度、弁護士に相談することをおすすめします。

相手に子を連れて行かれたときの対応

子どもを連れて行かれた側は、強い不安から、実力で子を奪い返したくなることがあります。しかし、感情的な実力行使や無断での連れ戻しは、子に負担を与え、ご自身にとっても不利な事情と評価されるおそれがあります。次のような対応を検討することが考えられます。

  • 子の所在、現在の監護状況、危険性の有無、これまでの監護実績、相手方とのやり取りなどを、できる範囲で記録・資料化する。
  • 早い段階で、家庭裁判所の手続(監護者指定・子の引渡し・保全処分など)や弁護士への相談を検討する。
  • DV・虐待が疑われる場合は、警察、配偶者暴力相談支援センター、自治体、学校、医療機関などとの連携も検討する。

どの手続が適切かは、子の年齢や監護の状況、緊急性などによって変わります。個別事情により結論は異なりますので、資料を確認したうえで判断する必要があります。

監護者指定・子の引渡し・保全処分の使い分け

別居中に子どもの監護をめぐって争いになったとき、主に次の三つの手続が問題になります。それぞれ目的が異なり、事案に応じて併せて申し立てることもあります。「保全処分を申し立てれば必ず早く子が戻る」というものではなく、緊急性や必要性、子の安全、生活環境への影響などが慎重に検討されます。

手続 主な目的・使う場面 留意点
監護者指定の調停・審判 別居中(離婚前)の父母などの間で、子と同居して身上監護を行う「監護者」を定める(民法766条) 調停が不成立の場合は審判に移行し、裁判官が一切の事情を考慮して判断する
子の引渡しの調停・審判 監護者や親権者として子と同居していた親のもとから子が連れて行かれた場合などに、子を戻すことを求める 子の生活の場が変わることをふまえ、子の負担に配慮して判断される
審判前の保全処分 子に差し迫った危険があるなど、現状を放置すると審判による解決が困難になる場合に、仮の引渡しなどを求める 緊急性・必要性が求められ、申立てをすれば必ず認められるわけではない

これらの手続の申立先の家庭裁判所、収入印紙の額、連絡用の郵便切手、添付書類は、手続の種類や裁判所によって異なる場合があります。たとえば監護者指定の調停では、子ども1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手、未成年者の戸籍謄本などが必要とされていますが、郵便切手の額などは裁判所ごとに異なります。実際に申し立てる際は、申立先の家庭裁判所(例えば神戸家庭裁判所など)で、最新の費用・必要書類をご確認ください。

手続の前に確認・準備しておきたい資料

監護をめぐる手続では、これまでの監護の実態や子の生活環境を、資料で示すことが重要になります。必要な資料は事案により異なりますが、一般的には次のようなものが考えられます。

種類 資料の例
子の身分・健康 子の戸籍謄本、住民票、健康保険証、母子健康手帳
教育・保育 保育園・幼稚園・学校の連絡帳、出欠・送迎の記録、成績・行事の資料
医療・発達 通院記録、診断書、服薬・発達支援・療育に関する資料
日常監護の実態 食事・入浴・寝かしつけ・宿題・習い事・通院付き添いなどの記録、写真・動画
生活・経済 家計・支払いの記録、住居・収入・勤務・監護補助者・通学経路に関する資料
相手方とのやり取り LINE・メール・SMSなどの連絡履歴
安全にかかわる事情 DV・虐待・暴言・脅迫に関する資料、警察・児童相談所・学校・医療機関・自治体への相談記録
手続関係 相手方からの書面、調停申立書、裁判所から届いた書類

資料は、後から集めようとすると入手が難しくなるものもあります。どの資料が有用かは事案により異なりますので、迷う場合は早めに相談し、資料を確認したうえで判断することをおすすめします。

【場面別】確認・準備チェックリスト

別居を検討している段階

  • 子の安全と生活の継続を確保できるかを確認する
  • 学校・保育園、通院などの継続方法を検討する
  • これまでの監護の記録・資料を整理する
  • 別居後の相手方との連絡方法を考えておく

別居した直後

  • 子の生活環境を安定させる
  • 相手方への一方的な連絡遮断を避ける
  • 別居後の監護の状況を記録しておく

子を連れて行かれた直後

  • 感情的な奪い返し・実力行使を避ける
  • 子の所在・監護状況・危険性の有無を把握する
  • これまでの監護実績・相手方とのやり取りを資料化する
  • 早期に家庭裁判所手続・弁護士相談を検討する

調停・審判の申立て前

  • 申立先の家庭裁判所・費用・必要書類を確認する
  • 子の戸籍謄本など基本書類を準備する
  • 主張を裏づける資料を整理する

裁判所から書類が届いた後

  • 期日・回答期限を確認する
  • 届いた書類の内容を正確に把握する
  • 回答・対応の方針を検討する(必要に応じて弁護士に相談する)

弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は、「必ず親権を取れる」といった結果を保証するものではありません。もっとも、監護の状況や手元の資料を確認したうえで、法律上の見通しや今後の対応方針を整理しやすくなります。とくに、別居の前、家庭裁判所への申立ての前、相手方への回答の前など、方針が結論に影響しやすい場面では、早めに確認しておくことに意味があります。

別居前後の監護状況、相手方とのやり取り、裁判所から届いた書類を整理したうえでご相談いただくと、子の安全と生活の安定を前提に、今後の方針を検討しやすくなります。

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相談方法や費用の最新のご案内は、弁護士費用のページおよび各案内ページをご確認ください。

よくある質問(FAQ)

親権と監護権は何が違いますか?

親権は、子の身上監護と財産管理を含む権利義務の総称です。監護権は、そのうち子と暮らして世話や教育を行う部分をさす言葉として使われます。別居中は、監護をどちらが担うかを「監護者の指定」で定めることがあります。具体的な扱いは事案により異なります。

別居のときに子どもを連れて出ると不利になりますか?

「連れて出れば必ず有利」「必ず不利」と一律には言えません。DV・虐待からの避難などの事情がある場合と、対立を理由に突然生活環境を変える場合とでは評価が異なり得ます。判断に迷う場合は、行動する前に相談することをおすすめします。

相手に子どもを連れて行かれた場合、すぐ取り戻せますか?

必ずしもすぐに戻るとは限りません。監護者指定や子の引渡し、緊急性が高い場合の保全処分などの手続を検討することになります。感情的な奪い返しは避け、資料を整理したうえで、早めに家庭裁判所の手続や相談を検討してください。

監護者指定とはどのような手続ですか?

別居中の父母などの間で、子と同居して身上監護を行う「監護者」を定める手続です。父母の協議が調わないときは、家庭裁判所の調停・審判を利用できます。調停が不成立の場合は審判に移行し、裁判官が一切の事情を考慮して判断します。

保全処分を申し立てれば早く子どもを戻してもらえますか?

申立てをすれば必ず早く戻る、というものではありません。審判前の保全処分は、子に差し迫った危険があるなど、現状を放置すると解決が困難になる場合に検討されるもので、緊急性や必要性が求められます。事案により結論は異なります。

子どもの意思はどの程度考慮されますか?

子の意思や意向は考慮の対象になります。一般に、年齢が上がるほど尊重される傾向がありますが、年齢だけで一律に決まるわけではありません。家庭裁判所は、子の意思を含む一切の事情を総合的に考慮して判断します。

DVや虐待がある場合はどうすればよいですか?

まず安全の確保が最優先です。危険が差し迫っている場合は、警察や配偶者暴力相談支援センターなどにご相談ください。安全を確保したうえで、家庭裁判所の手続や弁護士への相談を検討することができます。関係機関との連携が必要になる場合もあります。

弁護士に相談するときは何を準備すればよいですか?

これまでの監護の状況がわかる資料、子の生活環境に関する資料、相手方とのやり取り、裁判所から届いた書類などがあると、状況を整理しやすくなります。手元にあるものだけでも相談は可能です。不足があっても、確認しながら方針を検討できます。

まとめ|次の一歩

親権・監護権をめぐる問題は、感情的になりやすい一方で、家庭裁判所は子の利益を中心に冷静に判断します。次の点を意識して、落ち着いて準備を進めることが大切です。

  • 親権・監護権は、親の希望だけでなく、子の利益を中心に総合的に判断される。
  • 別居中の監護は、主に「監護者の指定」(民法766条)で問題になる。
  • 「連れて出れば有利」「連れて行かれたら奪い返す」といった一律の対応は避ける。
  • 監護の実態や子の生活環境を示す資料を、早めに整理しておく。
  • 別居前・申立て前・相手方への回答前など、方針が結論に影響する場面では、早めに相談して見通しを検討する。

まずは、別居前後の監護状況・相手方とのやり取り・裁判所から届いた書類を整理することから始めてみてください。そのうえで相談いただくと、今後の方針を具体的に検討しやすくなります。

子の安全と生活の安定を前提に、監護の状況や資料を確認したうえで、今後の方針を一緒に整理します。

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監修・執筆

本記事は、神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご)の弁護士が内容を確認しています。当事務所の弁護士は公認会計士の資格も有し、兵庫県弁護士会に所属しています。離婚・男女問題のほか、相続、交通事故、労働、企業法務などに対応しています。担当弁護士の経歴・取扱分野は、弁護士紹介ページをご覧ください。

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