持ち家がある場合の債務整理|家を残すか手放すかで選ぶ手続 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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持ち家がある場合の債務整理|家を残すか手放すかで選ぶ手続

住宅ローンの残る持ち家がありながら、カードローンやリボ払い、消費者金融、銀行ローン、事業の借入などの返済が苦しくなると、「自己破産をすると家を失うのか」「個人再生なら家を残せるのか」「そもそもどの手続を選べばよいのか」と、不安が重なりやすいものです。

持ち家がある場合の債務整理では、最初に「住宅を残したいのか」「手放して生活再建を優先するのか」を整理することが出発点になります。どちらを選ぶかによって、検討すべき手続(任意整理・個人再生・自己破産・任意売却・競売など)が変わってくるためです。この記事では、両方向の選択肢と住宅ローンとの関係を整理し、相談前に準備しておきたい資料までをまとめます。

なお、住宅を残せるかどうかは、住宅ローンの状況、家計の収支、不動産の価値、担保の内容、保証人や共有者の有無などにより変わります。一律に決まるものではなく、資料を確認したうえで判断する必要がある点を、はじめにお伝えします。

家を残すか手放すかを決める前に、住宅ローンの残高がわかる資料と借入の状況を一度整理しておくと、取り得る選択肢を検討しやすくなります。

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持ち家がある場合の債務整理|まず「残す・手放す」を切り分ける

結論として、持ち家がある場合の手続選択は、次の三つの方向に整理すると考えやすくなります。いずれに当たるかは、資料を確認したうえで判断する必要があります。

住宅を残す方向:住宅ローンは支払いを続けられる見込みがあり、住宅ローン以外の借金を整理できれば家計が立て直せそうな場合。個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)や、任意整理が検討対象になります。

住宅を手放す方向:返済の原資が乏しく、住宅ローンや維持費の負担が家計を圧迫している場合。自己破産や、その前段としての任意売却が検討対象になります。

判断を保留して資料を整える方向:滞納や届いた書類の状況がはっきりせず、まず事実関係を確認する必要がある場合。

この記事で分かること

  • 住宅を残す場合と手放す場合で、手続がどう変わるか
  • 任意整理・個人再生・自己破産・任意売却・競売の大まかな違い
  • 住宅ローン特則の位置づけと、住宅ローン自体は当然には減らない点
  • 滞納・代位弁済・競売開始決定など、急ぎやすい場面
  • 相談前に準備しておきたい資料

住宅を残す場合と手放す場合の比較

大枠を整理すると、次のように対比できます。あくまで一般的な整理であり、どちらが適するかは個別事情により異なります。

観点 住宅を残す方向で検討 住宅を手放して生活再建を優先
主に検討する手続 個人再生(住宅ローン特則)、任意整理 自己破産、任意売却、競売対応
住宅ローンの扱い 原則として支払いを継続(特則利用時) 支払いを継続しない(売却・処分へ)
住宅ローン以外の借金 圧縮または条件見直しを検討 免責・整理の対象として検討
向いている可能性がある状況 継続的な収入があり、住宅ローンを払い続けられる 返済原資が乏しく、維持費の負担が重い
主な注意点 担保・滞納・共有・保証人の状況、財産価値による返済額への影響 残債(オーバーローン)、引越し時期、偏頗弁済と見られない処分
確認すべき資料 住宅ローン契約書、残高証明、家計収支、登記事項証明書 査定資料、残高証明、督促・代位弁済通知、裁判所からの書類

基礎知識|任意整理・個人再生・自己破産・任意売却・競売

まず、手続の大まかな違いを押さえておくと、自分がどの方向を検討すべきか整理しやすくなります。手続の詳しい比較は、任意整理・個人再生・自己破産の違いを確認するもあわせてご覧ください。

各手続の概要

  • 任意整理:裁判所を通さず、弁護士などが債権者と返済条件を交渉する方法です。対象とする債権者を選べる一方、元本そのものを大きく減らす制度ではありません。
  • 個人再生:裁判所の手続で、再生計画に従って一定額を返済し、残りの返済義務の免除を受けることを目指す方法です。継続的・反復的な収入があることなどが前提になります。
  • 自己破産:返済が困難な場合に、裁判所の手続を通じて、免責許可を得ることで返済義務を免れることを目指す方法です。持ち家などの財産は原則として処分の対象になります。
  • 任意売却:住宅ローンを担保する金融機関などの同意を得て、競売によらずに不動産を売却する方法です。
  • 競売:担保権者の申立てにより、裁判所が不動産を売却して債権回収を行う手続です。

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは

個人再生のなかには、住宅を手元に残しながら、住宅ローン以外の借金を整理することを目指す仕組みがあります。これを住宅資金特別条項(住宅ローン特則)といいます。住宅ローンについては原則として従来どおり支払いを続け、それ以外の借金を圧縮する再生計画を立てる、というのが基本的な考え方です。

住宅ローン特則は、住宅ローンそのものを当然に減額する制度ではありません。減るのは住宅ローン以外の借金であり、住宅ローンは原則として支払いを続ける前提になります。また、住宅ローン特則は個人再生で用いられる仕組みであり、自己破産で利用するものではありません。

知っておきたい用語

  • 期限の利益喪失:返済を一定程度滞納すると、分割払いの権利を失い、残額の一括請求を受け得る状態になることをいいます。
  • 代位弁済:住宅ローンを滞納した場合に、保証会社が金融機関へ残額を立て替えて支払うことをいいます。以後は保証会社が請求主体になります。
  • 清算価値:仮に財産を処分した場合に得られる価値の総額を指します。個人再生では、返済総額がこの清算価値を下回らないことが求められます。
  • オーバーローン・アンダーローン:住宅ローン残高が不動産の価値を上回る状態がオーバーローン、下回る状態がアンダーローンです。

住宅を残したい場合の手続選択

住宅を残せる可能性があるかは、住宅ローンを払い続けられるか、住宅ローン以外の借金を整理すれば家計が再建できるか、担保や滞納の状況がどうか、といった点で変わります。

任意整理で対応できる可能性と限界

住宅ローンは約定どおり支払えており、苦しいのは住宅ローン以外の借金だという場合、まず任意整理で家計が改善する可能性があります。任意整理は対象とする債権者を選べるため、住宅ローンはそのまま支払いを続け、ほかの借入の返済条件を見直す、という整理が考えられます。

ただし、住宅ローンと同じ金融機関のカードローンや、保証人が付いている債務を対象に含めるかどうかは、口座や保証人への影響を確認したうえで判断する必要があります。元本の返済見通しが立たないほど負担が大きい場合には、任意整理だけでは難しいこともあります。

個人再生と住宅ローン特則

住宅ローン以外の借金が大きく、任意整理では返済が難しい一方で、住宅は残したいという場合、個人再生と住宅ローン特則の利用可能性を検討することになります。利用できるかは、住宅や担保の状況、収入の安定性、家計収支などにより変わります。

住宅ローン特則を利用するには、対象が居住用の自宅であることや、住宅に設定されている担保が住宅ローンのためのものに限られることなど、いくつかの前提があります。住宅に住宅ローン以外の抵当権が付いている場合や、税金の滞納による差押えがある場合、マンションの管理費・修繕積立金の滞納がある場合などは、利用が難しくなることがあります。詳しくは住宅ローンがある場合の個人再生について確認するをご覧ください。

なお、個人再生では、住宅などの財産価値が高いと、清算価値保障の考え方によって返済額が上がることがあります。返済額がどの程度になりそうかは、財産や家計の資料を確認して見積もる必要があります。返済額の考え方は、個人再生が向くケースと返済額の考え方を確認するも参考になります。

住宅ローンを滞納している場合の注意点

住宅ローンの滞納が続くと、期限の利益を失い、やがて保証会社による代位弁済へと進むことがあります。代位弁済が行われると、その後に住宅ローン特則を利用できる期間に制限が生じるとされており、期間を過ぎると住宅を残す選択肢が取りにくくなる可能性があります。代位弁済通知が届いた場合は、進行状況を早めに確認することが大切です。

さらに進むと、担保不動産の競売が申し立てられることがあります。競売が始まっていても、状況によっては対応の余地が残ることもありますが、進行段階によって取り得る手段が変わるため、届いた書類の内容を確認する必要があります。

住宅ローンの滞納、保証会社からの代位弁済通知、裁判所からの競売開始決定などが届いている場合は、進行状況によって取り得る対応が変わります。書類が手元にある段階で、一度ご確認ください。

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共有・ペアローン・保証人・別担保がある場合

自宅が配偶者などとの共有名義である場合や、夫婦それぞれが住宅ローンを組むペアローンの場合、連帯債務・連帯保証が付いている場合は、一方の手続が他方に影響することがあります。また、住宅に住宅ローン以外の抵当権や根抵当権が設定されていると、住宅を残す前提が崩れることもあります。これらは個別事情により結論が大きく変わるため、契約書や登記の内容を確認したうえで判断する必要があります。

住宅ローンを払い続けられるかの家計確認

住宅を残す方向で検討する場合、最も重要なのは「住宅ローンを払い続けられるか」です。住宅ローンに加えて、固定資産税、管理費・修繕積立金、修繕費などの維持費も継続して生じます。これらを踏まえた家計収支を確認し、無理なく住み続けられる見込みがあるかを見極める必要があります。

住宅を手放す場合の手続選択

返済の原資が乏しく、住宅ローンや維持費の負担が重い場合は、住宅を手放して生活再建を優先する選択肢も含めて検討します。手放し方によって、その後の残債や生活への影響が変わります。

任意売却と競売の違い

住宅を手放す場合、担保権者の同意を得て市場で売却する任意売却と、裁判所の手続で売却される競売があります。一般に、任意売却のほうが市場価格に近い金額で売却できることが多く、引越し費用を売却代金のなかから調整できる場合もあるとされています。一方、競売は手続が定型的に進むため、売却価格や時期について本人の調整余地が小さくなりがちです。どちらが適するかは、残高や進行状況、生活の事情により異なります。

自己破産との関係(管財事件・同時廃止)

自己破産を選ぶ場合、持ち家は原則として処分の対象になります。財産の状況によっては、破産管財人が選任される管財事件として進むのが一般的です。もっとも、住宅ローン残高が不動産の価値を明らかに上回るオーバーローンの場合などは、運用によって、より簡易な手続で進むこともあります。どの手続で進むかは、最終的には裁判所が判断します。

「家だけは残したい」と考えて、自己破産の前に住宅ローンだけを優先して返済することには注意が必要です。特定の債権者にだけ返済する行為は偏頗弁済とみなされ、免責などの判断に影響することがあります。処分や返済の進め方は、自己判断で動く前に確認することをおすすめします。

残債(オーバーローン)の扱いと売却後

売却してもなお住宅ローンが残る場合、その残債をどう整理するかが問題になります。売却後に残った債務を含めて、自己破産や個人再生などの手続で整理することを検討します。売却の前後で、どの手続をどの順序で進めるかによって扱いが変わるため、売却を急ぐ前に弁護士へ確認することが大切です。

引越し・生活再建・家族への影響/親族買取り・リースバックの注意

住宅を手放す場合は、引越しの時期、子どもの就学先、家族の生活への影響もあわせて考える必要があります。親族に買い取ってもらう、リースバックを利用して住み続ける、といった方法が話題になることもありますが、適正な価格でないと、不当な財産処分や偏頗弁済と見られるおそれがあります。これらを検討する場合も、進める前に確認することをおすすめします。

手続を選ぶ判断基準

どの手続が向いているかは、次のような要素を総合して判断します。一つの基準だけで決まるものではありません。

  • 収入の安定性と家計収支(住宅ローンと維持費を払い続けられるか)
  • 住宅ローン以外の借金の総額
  • 住宅ローンの残高と不動産の価値(オーバーローンかアンダーローンか)
  • 住宅に設定されている担保の内容(住宅ローン以外の抵当権の有無)
  • 保証人・連帯債務者・共有者・ペアローンの有無と、その人への影響
  • 税金・社会保険料・管理費・養育費など、整理しても残りやすい債務の有無
  • 滞納・代位弁済・競売・訴訟など、手続の進行状況
  • 職業・資格・事業継続への影響

よく問題になるケース

相談の現場で迷いやすい場面を整理します。いずれも、資料を確認しなければ結論は出せませんが、検討の入り口として参考になります。

  • 住宅ローンは払えているがカードローンが苦しい:任意整理や個人再生で、住宅を残しながら整理できる可能性があります。
  • 住宅ローンもその他の借金も滞納している:滞納の程度と維持費の負担を踏まえ、残すか手放すかを早めに整理する必要があります。
  • 保証会社から代位弁済通知が届いた:住宅を残す選択肢に期間の制約が生じ得るため、進行状況の確認を急ぐ場面です。
  • 競売開始決定が届いた:進行段階により取り得る手段が変わります。書類を確認したうえで対応を検討します。
  • 共有名義・ペアローンになっている:相手方への影響を含めて検討する必要があります。
  • 自宅兼事務所で自営業をしている:居住部分の割合や事業継続への影響を確認する必要があります。
  • 住宅の価値が高い:個人再生では返済額が上がることがあるため、財産の評価を確認します。
  • 税金や管理費の滞納がある:住宅を残す前提に影響することがあるため、確認が必要です。
  • 親族買取り・リースバックを考えている:価格と進め方によっては問題となるため、事前に確認します。

相談前に準備しておきたい資料

すべてがそろっていなくても相談はできますが、資料があると見通しを整理しやすくなります。手元にあるものから集めておくと、相談がスムーズです。

  • 住宅ローンの契約書、返済予定表、残高証明書
  • 督促状、催告書、期限の利益喪失通知、代位弁済通知
  • 競売開始決定通知など、裁判所から届いた書類
  • 登記事項証明書、固定資産税の評価証明書・納税通知書
  • 不動産会社の査定資料
  • マンションの管理費・修繕積立金の滞納がわかる資料
  • 借入先の一覧と、各社の残高がわかる資料
  • 給与明細、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書
  • 家計収支のわかるもの、通帳
  • 保険証券・解約返戻金がわかる資料、退職金見込額の資料
  • 車検証・自動車ローンの資料
  • 保証人・連帯保証人・共有者・ペアローンに関する資料
  • 税金・社会保険料・養育費などの滞納がわかる資料

弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は、結果を保証するためのものではなく、資料を整理して取り得る選択肢と方針を検討するためのものです。住宅を残す場合と手放す場合のそれぞれについて、見通しと注意点を整理しやすくなります。

とくに、住宅ローンの滞納、保証会社からの代位弁済通知、競売開始決定、訴状や支払督促、差押えの予告などが届いている場合は、進行状況によって取り得る対応が変わるため、早めの確認が役立ちます。借金問題(債務整理)の取扱内容は、借金問題(債務整理)の取扱業務を見るからご確認いただけます。

よくあるご質問

自己破産をすると持ち家は必ず失いますか。

持ち家は原則として処分の対象になり、手放すことになるのが一般的です。ただし、財産や担保の状況により手続の進み方は変わり、最終的には裁判所が判断します。個別事情により異なるため、資料を確認したうえでの検討が必要です。

個人再生をすれば住宅は必ず残せますか。

必ず残せるわけではありません。住宅ローン特則を利用できるか、住宅ローンを払い続けられるか、担保や滞納の状況がどうかなどにより結論は変わります。利用できるかは資料を確認したうえで判断する必要があります。

住宅ローン特則を使うと住宅ローンも減額されますか。

住宅ローン特則は、住宅ローンそのものを当然に減額する制度ではありません。減額の対象になるのは住宅ローン以外の借金で、住宅ローンは原則として支払いを続ける前提になります。

住宅ローンを滞納していても個人再生はできますか。

滞納があっても検討できる場合がありますが、保証会社の代位弁済が行われると、住宅を残す前提に期間などの制約が生じることがあります。状況により取り得る手段が変わるため、早めの確認が大切です。

ペアローンや共有名義の住宅でも債務整理できますか。

検討は可能ですが、一方の手続が他方に影響することがあり、扱いが複雑になりやすい場面です。契約書や登記の内容を確認したうえで、個別に判断する必要があります。

競売開始決定が届いた後でも相談できますか。

相談は可能です。競売の進行段階によって取り得る対応は変わるため、届いた書類を確認したうえで検討することになります。早い段階での確認が役立ちます。

家を手放す場合、自己破産と任意売却のどちらを先に考えるべきですか。

事案により順序は変わります。残債の状況や進行段階、生活の事情によって適切な進め方が異なるため、売却を急ぐ前に確認することをおすすめします。

相談時には何を準備すればよいですか。

住宅ローンの残高がわかる資料、督促や代位弁済の通知、裁判所からの書類、借入先の一覧、収入と家計がわかる資料などがあると、見通しを整理しやすくなります。すべてそろっていなくても相談は可能です。

まとめ

  • 持ち家がある場合は、まず「住宅を残す」か「手放して生活再建を優先する」かを切り分けることが出発点です。
  • 残す方向では、任意整理や個人再生(住宅ローン特則)が検討対象になります。住宅ローン自体は当然には減りません。
  • 手放す方向では、任意売却や自己破産が検討対象になります。残債の整理と引越し時期もあわせて考えます。
  • 滞納・代位弁済・競売開始決定など、届いた書類によって急ぎ方が変わります。
  • 共有・ペアローン・保証人・別担保・税金や管理費の滞納は、結論に影響します。
  • 結論は個別事情により異なります。まずは資料を整理し、選択肢を比較することが大切です。

住宅を残す場合と手放す場合の選択肢を比較し、見通しを整理したい方は、ご相談ください。資料の確認を通じて、取り得る対応を検討できます。

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監修者・執筆者

本記事は、神戸みらい法律会計事務所に所属する弁護士が、借金問題(債務整理)の実務を踏まえて作成・確認しています。担当弁護士の経歴や取扱分野は、弁護士紹介ページをご覧ください。

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参考資料

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