中小企業のM&Aの流れ|契約・DD・価格評価の確認ポイント |淡路島(淡路・洲本・南あわじ)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所

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中小企業のM&Aの流れ|契約・DD・価格評価の確認ポイント

後継者が見つからない、同業から買収の打診を受けた、取引銀行やM&A仲介会社から事業譲渡をすすめられた――。会社や事業の引継ぎを考え始めると、多くの経営者がまず「何から手を付ければよいのか」で迷われます。

M&Aは、買い手探しや価格交渉だけで完結する手続ではありません。秘密保持契約(NDA)、企業価値評価、基本合意、デューデリジェンス(DD)、最終契約、クロージング、そしてM&Aの後に残る経営者保証・借入金・従業員・取引先・許認可まで、法務・財務・税務・労務が幅広く関係します。一つひとつの判断が、最終的な手取りや引継ぎ後のトラブルの有無に影響します。

この記事では、中小企業のM&Aの全体像を時系列で整理したうえで、「基本合意書に署名する前」「DD資料を開示する前」「最終契約に署名する前」に確認しておきたい点を、売り手・買い手の双方の視点からまとめます。なお、最適な進め方や契約内容は個別事情により異なり、資料を確認したうえで判断する必要があります。本記事は一般的な解説であり、個別の結論を示すものではありません。

「提示された条件や契約書に署名してよいか」「どの段階で相談すべきか」を整理したい段階でしたら、資料を確認したうえで今後の進め方をご一緒に整理できます。淡路島(南あわじ市・洲本市・淡路市)や兵庫県周辺で事業承継・M&Aをご検討の方は、お気軽にご相談ください。

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Contents

M&Aの全体像|検討から成約・統合までの流れ

まず全体像を押さえておきましょう。中小企業のM&Aは、おおむね次の流れで進みます。各段階で「確認すべき資料」と「専門職に相談を検討したい場面」がある点が重要です。実際の順序や期間は、スキームや相手方の状況により前後します。

段階 主な内容 確認・準備すべきこと 相談を検討したい場面
1 検討・準備 目的の整理、社内資料の棚卸し 定款・登記・株主名簿・決算書・契約書・許認可・借入/保証 方針整理、進め方の選択
2 候補探索・打診 ノンネームでの打診、相手方の選定 仲介契約・FA契約の内容、情報管理 仲介契約に署名する前
3 NDA締結 秘密保持契約、実名開示 秘密情報の範囲、開示範囲、有効期間 実名・資料を開示する前
4 企業価値評価・条件交渉 価格・スキームの検討 評価の前提、調整項目、希望条件 提示価格に疑問があるとき
5 基本合意(LOI・MOU) 主要条件の確認、排他的交渉権 拘束力のある条項とない条項 基本合意書に署名する前
6 DD(デューデリジェンス) 法務・財務・税務等の調査 資料準備、指摘事項への対応 DDを受ける/実施する前
7 最終契約 株式譲渡契約等の締結 表明保証・補償・前提条件・価格調整 最終契約書を提示されたとき
8 クロージング 代金決済、株式・資料の引渡し 前提条件の充足、経営者保証の扱い クロージング前後
9 PMI(統合) 引継ぎ・経営統合 従業員・取引先・許認可・契約の承継 引継ぎ後にトラブルが生じたとき

以下、各段階を具体的に見ていきます。

そもそもM&Aとは|中小企業で使われる手法と承継の選択肢

合併・買収の意味

M&Aは「合併と買収(Mergers and Acquisitions)」の略で、会社や事業の経営権・資産を移転する取引の総称です。後継者不在の中小企業にとっては、廃業を避けて従業員の雇用や取引先との関係を引き継ぐ「第三者承継」の手段として用いられます。

中小企業で問題になる主なスキーム

中小企業のM&Aでは、次のスキームが主に検討されます。どれを選ぶかにより、承継される範囲、必要な手続、税務上の取扱いが変わります。

スキーム 概要 主な特徴・留意点
株式譲渡 オーナーが保有株式を譲渡 会社がそのまま移転。許認可・契約・従業員は原則維持されるが、簿外債務も引き継がれやすい。譲渡制限株式は会社の承認が必要
事業譲渡 事業の全部又は一部を個別に譲渡 承継する資産・負債・契約を選べる一方、契約・許認可は個別の同意・取り直しが必要になることが多い。会社法上、株主総会の特別決議が必要となる場合がある
会社分割 事業を他社へ包括的に承継 労働契約の承継は労働契約承継法の適用を受ける。手続が比較的重い
合併 複数の会社が一つになる 権利義務を包括承継。中小企業同士では事例は限られる

どのスキームが適切かは、許認可の承継可否、簿外債務や保証の有無、税務上の影響、相手方の意向などにより異なります。具体的な選択は、資料を確認したうえで検討する必要があります。

売り手と買い手で目的が異なる

売り手は「雇用と取引先の維持」「経営者保証からの解放」「納得できる売却条件と手取り」を重視することが多く、買い手は「事業シナジー」「実態収益」「引き受けるリスクの範囲」を重視します。同じ契約条項でも、売り手と買い手では有利・不利が逆になります。立場に応じて確認すべき点が異なる点を、後半で整理します。

親族内承継・従業員承継・第三者承継・廃業との違い

事業承継には、親族へ引き継ぐ「親族内承継」、役員・従業員へ引き継ぐ「従業員承継」、社外の第三者へ引き継ぐ「第三者承継(M&A)」があります。後継者がいない場合でも、廃業の前にM&Aによる引継ぎを検討する余地があります。廃業と比較する際は、売却代金だけでなく、廃業に伴う費用や従業員・取引先への影響も含めて検討することが大切です。

M&Aの準備段階|目的の整理と資料の棚卸し

目的と譲れない条件を整理する

準備段階で最初に行いたいのは、「何のためにM&Aを行うのか」「絶対に譲れない条件は何か」の整理です。たとえば、従業員の雇用維持、屋号の存続、取引先との関係維持、一定額以上の手取り、経営者保証の解除などです。優先順位を明確にしておくと、交渉や条件提示を受けた際の判断基準になります。

関係者を確認する

株主、役員、後継者候補、従業員、主要取引先、金融機関、保証人を確認します。特に、株式が複数の親族や元役員に分散していないか、名義株や所在不明株主がいないかは、後のDDや最終契約で問題になりやすい点です。

準備すべき資料

早い段階で次の資料を整えておくと、評価や交渉、DDがスムーズに進みます。

分類 主な資料
会社の基本情報 定款、登記事項証明書、株主名簿、株主総会・取締役会議事録
財務・税務 決算書(複数期)、税務申告書、勘定科目内訳明細書、試算表
借入・保証 金銭消費貸借契約書、借入残高、担保・保証の一覧、経営者保証の状況
契約・取引 主要な取引基本契約、賃貸借契約、リース契約
許認可 許認可・登録・免許の一覧と有効期限
労務 就業規則、賃金台帳、勤怠記録、社会保険関係資料、雇用契約書
資産 不動産関係資料、知的財産(商標・特許等)の一覧
係争 訴訟・クレーム・行政指導の有無に関する資料

売り手による事前整理(セルサイドDD)

売り手側でも、買い手のDDを受ける前に自社の課題を点検しておく「セルサイドDD」が有効な場合があります。あらかじめ問題点を把握し、是正できるものは整え、説明できるものは整理しておくことで、交渉での不利益や価格の引下げ材料を減らせる可能性があります。

「まず何を準備すればよいか」「自社にどのスキームが向くか」を整理したい段階でも、資料を確認したうえでご一緒に検討できます。

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秘密保持契約(NDA)|情報を開示する前に

ノンネームと実名開示の違い

M&Aの初期段階では、会社が特定されないよう業種・地域・規模などを抽象化した「ノンネーム・シート」で打診が行われます。相手方が関心を示すと、秘密保持契約(NDA)を締結したうえで、社名や詳細資料を開示する段階に進みます。実名・詳細資料を開示する前に、NDAの内容を確認することが重要です。

NDAで確認すべき条項

項目 確認のポイント
秘密情報の範囲 口頭情報や交渉の事実自体も含むか
利用目的 本件検討目的に限定されているか
開示範囲 相手方のどの役職員・専門家まで共有可能か
返還・廃棄 交渉が中止した場合の資料の返還・廃棄義務
有効期間 契約終了後も一定期間は義務が残るか
違反時の責任 差止め・損害賠償の定め

情報漏えいのリスクと開示範囲のコントロール

M&Aを検討している事実が、従業員、取引先、金融機関に意図せず伝わると、人材の流出や取引条件の変更につながるおそれがあります。誰に・いつ・どこまで情報を開示するかは慎重に設計する必要があり、NDAの内容を確認しないまま重要資料を開示することは避けるべきです。

企業価値評価と買収価格の考え方

企業価値・株主価値・純有利子負債の関係

買収価格を考えるうえで、用語の関係を押さえておくと交渉が理解しやすくなります。一般に、事業から生み出される価値(事業価値)に非事業用資産を加えたものが企業価値、そこから有利子負債を差し引いたものが株主価値(株式の価値)に対応すると整理されます。手元現金等を控除した純有利子負債(ネットデット)の考え方も用いられます。

三つの評価アプローチ

企業価値評価の手法は、大きく三つのアプローチに整理されます。日本公認会計士協会の企業価値評価ガイドライン(経営研究調査会研究報告第32号)でも、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、ネットアセット・アプローチが示されています(実務では「コスト・アプローチ」とも呼ばれます)。なお、同ガイドラインは「基準」ではなく実務上の参考となる「研究報告」です。

アプローチ 代表的な手法 考え方
インカム・アプローチ DCF法 など 将来生み出すと見込まれるキャッシュ・フローを現在価値に割り引く。割引率にWACC等を用いる
マーケット・アプローチ 株価倍率法、類似取引比準法、株式市価法 など 類似する上場会社や取引事例の指標と比較する
ネットアセット・アプローチ(コスト・アプローチ) 修正純資産法 など 資産・負債を時価等で評価し直して純資産を算定する

いずれの手法にも長所・短所があり、前提の置き方で結果が大きく変わります。一つの数値が機械的に「正解」として決まるわけではなく、前提条件と裏付け資料の確認が欠かせません。

中小企業で特に見直したい調整項目

中小企業では、決算書上の利益をそのまま使うと実態とずれることがあります。次のような項目は、評価や交渉の前に確認しておきたいポイントです。

  • オーナーへの役員報酬や地代家賃が、相場と比べて高い・低い場合の調整
  • オーナーからの貸付金・借入金、経営者保証の有無
  • 本業と関係の薄い遊休資産・保険・有価証券
  • 特定の人物(キーマン)への依存度
  • 許認可の承継可否、特定取引先への売上集中
  • 未計上の債務(簿外債務)や退職給付の見込み

税務上の株価評価との違い

M&Aの交渉で用いる企業価値評価と、相続税・贈与税の計算で用いる「財産評価基本通達」に基づく株価評価とは、目的も計算方法も異なる場合があります。混同すると判断を誤るおそれがあります。税務上の取扱いは個別性が高く、具体的な税額・評価額の検討は税理士・税務署にご確認ください。本記事では税務上の詳細には立ち入りません。

基本合意(LOI・MOU)|署名前に確認すべきこと

基本合意書とは|拘束力のある条項とない条項

基本合意書(LOI=意向表明書、MOU=覚書)は、DDや最終契約に進む前に、当事者が主要な条件の認識を確認する書面です。注意したいのは、基本合意書には法的拘束力のある条項とない条項が混在することが多い点です。一般に、価格やスキームは「現時点の認識」として拘束力を持たせない一方、排他的交渉権、秘密保持、費用負担などには拘束力を持たせることが少なくありません。

基本合意書の主な条項

条項 内容 確認のポイント
価格レンジ 想定する買収価格の幅 DDの結果による調整余地が確保されているか
スキーム 株式譲渡・事業譲渡等の前提 後で変更できる前提になっているか
排他的交渉権 一定期間、他の候補と交渉しない義務 期間の長さ、拘束力の有無
DD協力義務 調査への協力 協力範囲、負担の所在
善管注意義務 合意後の会社運営に関する配慮 通常の経営判断がどこまで制約されるか
クロージング前提条件 取引実行の条件 充足できる見込みか
有効期限・解除 合意の有効期間、解除事由 離脱できる条件が確保されているか
違約金・損害賠償 違反時の責任 金額・要件が過大でないか

「基本合意だからまだ大丈夫」と考えない

「最終契約ではないから、まだ気軽に署名してよい」と考えるのは禁物です。排他的交渉権や違約金など、拘束力のある条項に署名すれば、その後の交渉の自由度が制約されます。どの条項に拘束力があるのかを確認したうえで署名するかどうかを判断するため、署名前に内容を確認することをおすすめします。

基本合意書・秘密保持契約・株式譲渡契約書などを提示された段階でしたら、署名前に、拘束力の有無や確認すべき条項を整理できます。

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DD(デューデリジェンス)|何を調べ、結果をどう反映するか

DDの目的と種類

DD(デューデリジェンス)は、対象会社のリスクや実態を、契約前に調査・把握する手続です。買い手が「想定どおりの会社か」を確認し、価格や契約条件に反映するために行います。調査の対象により、次のように分かれます。

種類 主な調査対象
法務DD 株式・契約・許認可・係争・コンプライアンス
財務DD 実態純資産、収益力、簿外債務、運転資金
税務DD 申告の適正性、税務リスク
ビジネスDD 事業の将来性、市場、取引先の状況
労務DD 未払残業代、社会保険、労務管理
IT・知財・人権DD システム、知的財産の管理、人権に関する配慮

買い手のDDと売り手のセルサイドDD

DDは通常、買い手が実施しますが、売り手があらかじめ自社を点検する「セルサイドDD」も有効な場合があります。問題を先に把握しておけば、交渉での不意打ちを避け、説明資料を準備できます。

DDの進め方

一般的には、調査計画の策定、必要資料の請求、質疑応答(Q&A)、経営陣へのインタビュー(マネジメント・インタビュー)、中間報告、追加調査、最終報告という流れで進みます。

中小企業のDDで見つかりやすい問題

中小企業のDDでは、次のような点が指摘されやすく、価格や契約条件に影響します。

  • 株主や持株数が不明確、名義株や所在不明株主がいる
  • 譲渡制限株式の譲渡承認手続が整っていない
  • 株主総会・取締役会の議事録が作成・保管されていない
  • 重要な契約に、支配権の移動を理由とする解除条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)がある
  • 事業に必要な許認可が承継できない、又は取り直しが必要
  • 未払残業代や、社会保険・労務管理の不備
  • 簿外債務、保証債務、係争・クレーム
  • 個人情報や知的財産の管理が不十分
  • 借入金と経営者保証の整理が必要

DD結果の反映

DDで見つかった事項は、買収価格の調整、クロージングの前提条件、表明保証・補償条項、解除条件などに反映されます。リスクが大きい場合には買収を見送る判断もあり得ます。逆に、是正可能な問題であれば、対応方法を契約上どう定めるかが交渉のポイントになります。

最終契約とクロージング|契約書で確認すべき要点

契約類型の比較

選択したスキームに応じて、株式譲渡契約書、事業譲渡契約書、合併契約書、会社分割契約書などが用いられます。

契約 移転の対象 主な留意点
株式譲渡契約書 株式(会社全体) 譲渡制限株式の承認、株主名簿の書換え、表明保証の範囲
事業譲渡契約書 個別の資産・負債・契約 契約・許認可の移転手続、競業避止、必要に応じ株主総会決議
会社分割契約書 事業の包括承継 労働契約承継法に基づく手続、債権者保護手続

主要条項

最終契約では、表明保証(一定の事実が真実であることの保証)、誓約事項(一定の行為を行う・行わない約束)、前提条件、補償条項、価格調整、解除、競業避止などが定められます。これらの条項は、DDで見つかったリスクを誰がどこまで負担するかを決めるもので、売り手・買い手の利害が最も対立する部分です。

経営者保証・借入・許認可・取引先・従業員

中小企業のM&Aでは、契約書の文言だけでなく、次の実務的な事項の段取りが重要です。

  • 経営者保証を、解除するのか、買い手へ移行するのか、いつ・どう手続するのか
  • 借入金の取扱いと金融機関への説明・同意
  • 事業に必要な許認可の承継・取得
  • 重要な取引先からの同意取得
  • 役員・従業員の引継ぎ条件

中小M&Aガイドライン(第3版)でも、経営者保証の解除又は移行を確実に実施するため、最終契約での位置づけの検討や、金融機関・専門家・事業承継引継ぎ支援センターへの事前相談の重要性が示されています。経営者保証が想定どおりに移行されないといったトラブルも指摘されており、契約と段取りの両面で確認が必要です。

クロージングでの受け渡し

クロージングでは、代金決済とあわせて、株券(発行している場合)、株主名簿、議事録、印鑑、通帳、重要契約書、許認可関係書類などの引渡しが行われます。前提条件が充足されているか、必要書類がそろっているかを確認したうえで実行します。クロージング後に問題が表面化することもあるため、補償の手続や期間も事前に確認しておくと安心です。

売り手が特に確認すべきこと

売り手の立場では、次の点に注意が必要です。

  • 仲介・FA契約の内容:専任の有無、契約終了後も報酬が発生し得るテール条項、成功報酬や最低手数料、業務範囲、利益相反、買い手候補名を開示する際のネームクリアの取扱いを確認します。中小M&Aガイドライン(第3版)では、手数料・提供業務の説明や、希望しない場合の営業・広告の停止などが求められています。
  • 経営者保証:解除・移行の見込みと、契約上の位置づけを確認します。
  • 説明のタイミング:従業員・取引先・金融機関へ、いつ・どこまで説明するかを設計します。
  • 手取りの検討:売却代金だけでなく、税金、借入返済、廃業に伴う費用、専門家費用、退職金まで含めて、最終的な手取りを試算します(税額は税理士にご確認ください)。

買い手が特に確認すべきこと

買い手の立場では、次の点が中心になります。

  • 期待する事業シナジーが、実現可能な前提に基づいているか
  • 対象会社の実態収益(一時的な要因を除いた収益力)
  • 簿外債務・保証債務・係争の有無
  • キーマンへの依存度と、引継ぎ後の体制
  • 許認可の承継、従業員の承継、重要契約の継続
  • 個人保証・担保の処理
  • 買収後の経営統合(PMI)の計画
  • DDで見つかったリスクを、価格・表明保証・補償・前提条件にどう反映するか

弁護士に相談するタイミング

M&Aでは、早い段階で相談しておくと、契約内容や進め方を整理しやすくなります。次のような場面は、相談を検討したいタイミングです。相談は、結果を保証するものではなく、判断材料や対応方針を整理するためのものです。

  • 仲介会社・金融機関からM&Aの提案を受けた段階
  • 秘密保持契約(NDA)を締結する前
  • 実名開示・資料開示をする前
  • 基本合意書に署名する前
  • DDを受ける、又は実施する前
  • 買収価格や評価方法に疑問があるとき
  • 株式譲渡契約書・事業譲渡契約書・最終契約書を提示されたとき
  • 経営者保証・借入・許認可・従業員・取引先への影響が心配なとき
  • クロージングの前
  • M&Aの後にトラブルが生じたとき

当事務所では、代表弁護士が公認会計士でもあり、財務資料・決算書・株式・契約・労務・許認可・経営者保証などを横断して検討できる場合があります。資料を確認したうえで、M&Aの進め方、契約書、DD対応、企業価値評価の前提などを、法務・財務の両面から整理します。

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相談前チェックリスト

ご相談の際に次の資料があると、より具体的な検討ができます。すべてそろっていなくても差し支えありません。お手元にあるものからご用意ください。

  • 定款、登記事項証明書
  • 株主名簿、株主総会・取締役会の議事録
  • 決算書(複数期)、税務申告書、勘定科目内訳明細書
  • 借入・担保・保証に関する資料(経営者保証の状況を含む)
  • 主要な契約書(取引基本契約、賃貸借、リース等)
  • 許認可・登録・免許の一覧
  • 就業規則、賃金台帳、勤怠資料、社会保険関係資料
  • 不動産・知的財産に関する資料
  • 訴訟・クレームに関する資料
  • M&A仲介契約書、NDA、基本合意書、最終契約書案(提示されている場合)

よくあるご質問(FAQ)

M&Aは何から始めればよいですか。

まずは目的と譲れない条件の整理、関係者の確認、社内資料の棚卸しから始めるのが一般的です。仲介契約やNDAに署名する前に、内容を確認しておくことをおすすめします。

基本合意書に署名した後でも条件を変更できますか。

基本合意書には拘束力のある条項とない条項が混在します。価格やスキームはDDの結果により調整され得る一方、排他的交渉権などは拘束力を持つことがあります。どの条項に拘束力があるかは契約内容によるため、署名前の確認が重要です。

DDではどのような資料を求められますか。

定款・登記・株主名簿・議事録・決算書・税務申告書・契約書・許認可・労務関係資料・借入や保証の資料などが対象になります。調査の範囲は案件により異なります。

企業価値評価と税務上の株価評価は同じですか。

目的も計算方法も異なる場合があります。M&Aの交渉で用いる評価と、相続税・贈与税の計算で用いる評価は別のものとして整理する必要があります。税務上の取扱いは税理士・税務署にご確認ください。

M&A仲介会社から契約書を渡されたら弁護士に相談すべきですか。

署名前にご相談いただくことをおすすめします。仲介・FA契約では、専任条項、テール条項、手数料体系、利益相反などを確認しておくことが大切です。

売り手側でもDDをした方がよいですか。

事案によりますが、買い手のDDを受ける前に自社を点検する「セルサイドDD」が有効な場合があります。問題点を先に把握し、説明資料を整えておくことで、交渉での不利益を減らせる可能性があります。

株式譲渡と事業譲渡はどちらがよいですか。

承継したい範囲、許認可の承継可否、簿外債務や保証の有無、税務上の影響などにより異なります。一律にどちらが有利とはいえず、資料を確認したうえで検討する必要があります。

経営者保証はM&Aで外れますか。

自動的に外れるわけではありません。解除又は買い手への移行について、金融機関や専門家へ事前に相談し、最終契約での位置づけを検討することが重要です。個別事情により結論は異なります。

従業員や取引先にはいつ説明すべきですか。

早すぎる開示は人材流出や取引条件の変更につながるおそれがあり、遅すぎる説明は不信を招くことがあります。スキームや進捗に応じて、開示のタイミングと範囲を設計することが大切です。

淡路島外の買い手候補とのM&Aも相談できますか。

対応できる場合があります。買い手の所在地にかかわらず、契約内容・DD対応・企業価値評価の前提などを整理できます。詳細はお問い合わせください。

まとめ

  • M&Aは、準備・NDA・企業価値評価・基本合意・DD・最終契約・クロージング・PMIという流れで進み、各段階に確認すべき資料と注意点があります。
  • 基本合意書には拘束力のある条項とない条項が混在します。署名前に内容を確認することが重要です。
  • DDで見つかった事項は、価格・表明保証・補償・前提条件などに反映されます。売り手は事前点検(セルサイドDD)も検討に値します。
  • 企業価値評価は前提の置き方で結果が変わります。税務上の株価評価とは目的が異なる場合があります。
  • 経営者保証・借入・許認可・従業員・取引先の取扱いは、契約と段取りの両面で確認が必要です。
  • 署名前・資料開示前・クロージング前に確認することが、後のトラブルを防ぐ鍵になります。判断に迷う場面では、早めに専門職へ相談することをおすすめします。

弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所では、淡路島(南あわじ市・洲本市・淡路市)や兵庫県周辺の中小企業の経営者の皆さまから、企業法務・事業承継・M&Aのご相談に対応しています。資料を確認したうえで、進め方・契約書・DD対応・企業価値評価の前提・経営者保証や従業員対応などを、法務・財務の両面から整理します。

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監修者・執筆者

弁護士法人ひょうご あわじみらい法律会計事務所
代表弁護士・公認会計士 藤井 貴之

所属:兵庫県弁護士会、日本公認会計士協会兵庫会(【要確認】)
取扱分野:企業法務、M&A、事業承継、法律顧問、債権回収、労働法務 ほか

監査法人・コンサルティング会社における財務諸表監査やM&Aにおける財務DDの経験を踏まえ、法務と財務の両面から検討できる場合があります。

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参考資料(公的機関・公式資料)

  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」
  • 経済産業省「『中小M&Aガイドライン』を改訂しました」
  • 中小企業庁「M&A支援機関登録制度」
  • 中小企業庁「事業承継・M&A補助金」
  • 事業承継・引継ぎ支援センター
  • e-Gov法令検索「会社法」
  • e-Gov法令検索「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)」
  • 公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」
  • 日本公認会計士協会「経営研究調査会研究報告第32号 企業価値評価ガイドライン」

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