「親の店を継ぐことになったが、屋号や営業許可はそのまま使えるのか」「先代名義の賃貸借契約や借入金、保証はどうなるのか」――個人事業を引き継ぐとき、多くの方がこうした不安に直面します。淡路島(南あわじ市・洲本市・淡路市)でも、商店、飲食店、民宿や旅館、農家、直売所といった家族経営の事業を次の世代へ引き継ぐ場面は少なくありません。
この記事では、個人事業の承継で「何を・どの資料で・いつ確認すべきか」を、屋号、店舗・設備、契約、許認可、債務・保証、税務、相続人との調整という観点から整理します。結論から申し上げると、個人事業の承継は会社(株式)の承継とは異なり、事業用資産・契約・許認可・債務・税務・従業員・顧客情報などを一つひとつ個別に確認する必要があります。屋号や店舗をそのまま使えるように見えても、許認可や契約、税務上の届出は別問題として確認が必要です。なお、承継方法や業種、施設の状況、ご家族の状況など個別事情により結論は変わるため、最終的には契約書や資料を確認したうえで判断する必要があります。
親族の間で事業を引き継ぐ予定がある場合でも、屋号・許認可・契約・債務の扱いは事前の確認が欠かせません。契約書、許認可証、借入や保証の資料を整理したうえでご相談いただくと、承継方法を検討しやすくなります。
Contents
個人事業の承継で確認すべきものの全体像
まず、「承継する」と一言でいっても、その中身は性質の異なる複数の対象に分かれます。屋号、資産、契約、許認可、債務、税務、相続人との関係を切り分けて考えると、確認の漏れを防ぎやすくなります。
| 確認項目 | 具体例 | 主な確認資料 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 屋号・知的財産 | 屋号、ロゴ、商標、ドメイン、SNS、予約サイトのアカウント、メニュー、レシピ | 商標登録の有無、各サービスの契約・名義、商号登記の有無 | 屋号の使用と契約・許認可は別。商標登録があれば権利関係の確認が必要 |
| 事業用資産 | 店舗・事務所・土地建物、設備、什器、車両、農機具、在庫、原材料、預金口座 | 登記簿、固定資産税関係資料、財産目録、帳簿 | 名義・担保設定・リースかどうかを区別して確認 |
| 債権債務 | 売掛金、買掛金、未払金、前受金(予約・前売り) | 帳簿、請求書、契約書 | 誰に・いくら・いつまでかを一覧化する |
| 契約 | 賃貸借、仕入、販売、リース、予約サイト、業務委託、雇用 | 各契約書、覚書 | 契約上の地位の移転に相手方の承諾が要る場合がある |
| 許認可・届出 | 飲食店営業、旅館業、農地関係、酒類販売、古物商など | 許可証、届出控え | 業種・承継方法により手続が異なる。所管庁への事前確認が必要 |
| 債務・保証・担保 | 事業用借入、個人保証・連帯保証、不動産担保、リース残債 | 借入契約書、保証契約書、担保資料 | 金融機関・債権者との協議が必要になることがある |
| 税務 | 所得税(青色申告)、消費税(インボイス)、贈与税・相続税 | 確定申告書、青色申告決算書、各届出 | 廃業届・開業届・各種承認申請に期限がある。税理士確認が必要 |
| 人・顧客 | 従業員、社会保険、顧客リスト、会員・ポイント情報 | 従業員名簿、雇用契約書、就業規則、給与台帳 | 雇用は自動承継されない場合がある。個人情報の取扱いに留意 |
個人事業の承継は会社の承継と何が違うのか
会社(法人)の事業を引き継ぐ場合は、株式や持分を引き継ぐことで法人格が継続するため、会社が当事者となっている契約や許認可は原則としてそのまま会社に残ります(代表者変更の届出などは必要です)。これに対して個人事業では、契約や許認可、借入の当事者が「個人」であることが多く、後継者という別の個人に引き継ぐには、契約ごと・許認可ごとに移転や名義変更、承継の手続を個別に確認する必要があります。
そのため、「先代が使っていたから自分も使える」と考えるのではなく、許可証・契約書・届出の控えといった一次資料を一つずつ確認していくことが出発点になります。次の章から、対象ごとに確認のポイントを見ていきます。
屋号・店舗・設備・在庫・顧客情報の引継ぎ
屋号・商標・ドメイン・予約サイトの名義
屋号は店の信用やブランドと結びつきますが、屋号そのものには登録制度がなく、屋号を引き継いだからといって契約や許認可が当然に移るわけではありません。同じ屋号を使う場合でも、次の点を分けて確認しておくことをおすすめします。
- 屋号やロゴが商標登録されていないか(登録があれば権利の帰属・使用許諾の確認が必要)
- ドメイン、SNSアカウント、予約サイトやモール、決済サービスのアカウント名義
- 請求書・領収書の表示、責任主体、契約主体
- インボイス(適格請求書発行事業者)の登録番号は事業者ごとに取得が必要で、先代の番号をそのまま使うことはできません
顧客情報・個人情報の取扱い
顧客リスト、予約情報、会員・ポイント情報などは事業の重要な資産ですが、個人情報を含むため、承継に伴って引き継ぐ際は利用目的や取扱いの確認が必要です。第三者へ事業を譲渡する場合は特に、個人情報の移転の可否や手続を確認しておく必要があります。
設備・在庫・農機具・車両と財産目録
設備や車両、農機具が自己所有なのかリースなのか、担保が設定されていないか、在庫や原材料の数量と評価はどうかを整理し、財産目録として一覧化しておくと、承継方法の検討や税務の確認がしやすくなります。
飲食・宿泊・農家などの許認可は引き継げるのか
許認可は、業種・承継方法(相続・合併分割・事業譲渡)・自治体の運用・施設の同一性などによって取扱いが変わるため、一律に「引き継げる」「引き継げない」と判断することはできません。代表的な業種について整理しますが、いずれも所管の保健所・行政窓口への事前確認が前提です。
| 業種 | 確認すべき許認可・届出の例 | 主な確認先 | 承継時の注意点 |
|---|---|---|---|
| 飲食店・食品営業 | 飲食店営業許可(食品衛生法)、食品衛生責任者 | 保健所 | 相続・合併分割に加え、令和5年12月13日からは事業譲渡も「地位承継届」で承継できる扱い。ただし令和3年5月31日以前の許可は手続・様式が異なり、相続人が複数なら全員の同意書が必要。生前贈与は相続承継の届出の対象外。事前に保健所へ相談を |
| 旅館・ホテル・簡易宿所 | 旅館業許可(旅館業法)、消防・建築関係 | 保健所、都道府県・市 | 相続・合併分割・事業譲渡で承継可能だが、事業譲渡は効力発生前に都道府県知事等の承認申請が必要(飲食店の届出とは手続が異なる)。施設の同一性が失われる大幅な変更は新規許可になることも |
| 民泊 | 住宅宿泊事業の届出(住宅宿泊事業法) | 都道府県・市町村 | 旅館業とは別制度で年間提供日数の上限がある。承継の取扱いは別途確認が必要 |
| 農家・農業 | 農地の権利移転(農地法第3条)、相続時の届出(第3条の3)、転用(第4条・第5条)、認定農業者等 | 農業委員会、自治体 | 農地の権利移転は原則として農業委員会の許可が必要。相続による取得は許可不要だが届出が必要で期間制限がある。利用権設定や補助金の扱いも確認を |
| 酒類販売 | 酒類販売業免許(酒税法) | 税務署 | 相続の場合は相続申告による承継手続がある一方、生前の譲渡は原則として譲受人が新規に免許を取得する必要がある可能性。税務署・税理士への確認を |
| 古物商・その他 | 古物商許可(古物営業法)、運送・建設・産廃等 | 公安委員会(警察)、各所管庁 | 古物商許可は承継・譲渡の規定がなく、原則として承継者が新規許可を取得。業種ごとに事前相談が必要 |
飲食店営業許可(食品衛生法)
相続・合併分割の場合は届出で営業者の地位を承継でき、令和5年12月13日以降は事業譲渡(事業の全部譲渡で譲渡契約があること)でも届出による承継が可能とされています。ただし、令和3年5月31日以前に取得した許可は様式・手続が別であること、相続人が複数の場合は全員の同意書が必要であること、生前贈与は相続承継の届出の対象外で事業譲渡または新規申請の扱いになることなど、確認すべき点が多くあります。承継後に施設の調査が行われることもあるため、まずは保健所に相談してください。
旅館業・簡易宿所・民泊
旅館業も令和5年の改正で事業譲渡による承継ができるようになりましたが、飲食店の届出とは異なり、事業譲渡では譲渡の効力が生じる前に都道府県知事等の承認を受ける手続が必要です。施設の同一性が保たれない大幅な変更があると新規許可が必要になることもあります。民泊(住宅宿泊事業)は旅館業とは別の制度で、年間提供日数の上限などの確認が必要です。
農地・農業関係
農地は、売買や贈与による権利移転に原則として農業委員会の許可が必要です。一方、相続による取得は許可は不要ですが、農業委員会への届出が必要で、届出には期間制限があります。農地を農地以外に使う場合(転用)や、賃借権・利用権の設定、補助金や認定農業者の扱いも、個別に確認が必要です。
酒類販売業免許・古物商許可など
酒類販売業免許は相続の場合に承継の手続がありますが、生前の譲渡では原則として譲受人が新規に免許を取得する必要がある可能性があり、税務署への確認が必要です。古物商許可は承継・譲渡の規定がなく、原則として承継者が新規に許可を取得することになります。いずれも所管庁が異なるため、早めの事前相談をおすすめします。
取引契約・賃貸借契約・リース契約の確認
契約上の当事者の地位を後継者へ移すには、原則として相手方の承諾が必要になる場面が多くあります。とくに次の契約は、解除条項・名義変更・承諾条項・経営者の交代に関する条項を確認しておく必要があります。
- 店舗・事務所の賃貸借契約:賃借人の地位の移転には貸主の承諾が必要なことが多く、無断での移転は解除事由になり得ます
- リース契約:残債、契約者名義、中途解約の扱い
- 仕入・販売・業務委託契約:取引基本契約の地位承継・解除・経営者交代に関する条項
- 予約サイト・旅行代理店・EC・決済サービス:各サービスの規約と名義、アカウントの引継ぎ可否
- 雇用契約:従業員の雇用は当然には引き継がれない場合があり、転籍の同意や労働条件の確認が必要です
賃貸借契約、仕入契約、リース契約、借入契約、許認可証などがそろっていないと、承継後に手続が止まってしまうことがあります。署名前・名義変更前に、これらの資料を確認しておくことをおすすめします。資料の確認により、必要な手続や注意点を検討しやすくなります。
借入金・保証・担保・未払金の引継ぎ
「借金は当然に後継者が負う」と単純に考えるのは危険です。事業用の借入金、個人保証・連帯保証、不動産担保、リース残債、買掛金、税金や社会保険料の未納などは、それぞれ性質が異なり、債権者・金融機関・契約書・担保設定・相続関係を確認したうえで判断する必要があります。
- 生前の承継:借入や保証を後継者へ引き継ぐには金融機関との協議が必要です。経営者保証の扱いについても確認しておくとよいでしょう
- 相続が絡む場合:金銭債務などの分けられる債務は法定相続分に応じて当然に分割されるのが原則ですが、連帯保証など内容によって扱いが変わります。借入や保証の全体像を把握することが先決です
- 相続放棄・限定承認の検討:債務が大きい場合などには相続放棄や限定承認の検討が必要になることがあります。これらには期間制限があり、原則として相続の開始を知った時から一定期間内とされていますが、起算点や期間には例外・解釈があり、相続財産を処分すると単純承認とみなされる場合もあります。判断の前に必ず確認してください
承継方法の違い|贈与・相続・第三者への事業譲渡
同じ「承継」でも、生前の贈与、相続、第三者への事業譲渡では、必要な手続・税務・契約書の作り方・相続人との調整が変わります。どの方法が適しているかは、家族関係、資産、債務、許認可、税務を踏まえて検討する必要があります。
| 承継方法 | 主な場面 | 確認すべき法律・契約 | 税務上の注意 | 向いている可能性があるケース | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 贈与(生前) | 先代が元気なうちに後継者へ計画的に引き継ぐ | 贈与契約書、財産目録、各契約・許認可の移転、遺留分・特別受益 | 贈与税・所得税・消費税。個人版事業承継税制の検討(要件・期限の確認が必要) | 後継者が決まっており、時間をかけて準備できる場合 | 他の相続人との公平に配慮が必要。許認可は贈与でも別手続 |
| 相続 | 先代の死亡により事業用資産・債務を引き継ぐ | 遺言の有無、遺産分割協議、相続放棄・限定承認、債務・保証 | 相続税。準確定申告、後継者の青色申告承認申請の期限 | 生前の準備が間に合わなかった場合(ただし紛争予防のため遺言等の準備が望ましい) | 相続人が複数だと事業継続が不安定になりやすい。期限のある手続が多い |
| 第三者への事業譲渡 | 親族に後継者がおらず、従業員・知人・第三者・法人へ引き継ぐ | 事業譲渡契約書(譲渡対象・価格・表明保証・競業避止)、許認可、従業員、個人情報 | 譲渡所得・消費税など。価格と税務の整合の確認 | 後継者が親族外で、対価を伴う承継を行う場合 | 簿外債務や許認可の承継可否、従業員・取引先の承諾の確認が必要 |
贈与(生前)で承継する場合
生前の贈与は、時間をかけて計画的に準備できる点が利点です。贈与契約書や財産目録で承継対象を特定し、契約・許認可の移転、税務、他の相続人との公平(遺留分・特別受益)を確認します。個人版事業承継税制(事業用資産に係る贈与税・相続税の納税猶予・免除)の活用を検討する場合もありますが、青色申告であることなどの要件があり、個人事業承継計画の提出期限など期限の管理も必要で、制度が複雑です。適用の可否や税額は税理士への確認が必要です。
相続で承継する場合
相続による承継では、まず遺言の有無を確認します。遺言がなければ、相続人全員による遺産分割協議が必要になる場面があります。相続人が複数いると、事業用資産が分割未了のまま不安定な状態になり、事業継続に支障が出ることがあります。債務・保証・許認可・契約の確認、相続放棄や限定承認の検討も必要です。事業を続ける場合は、準確定申告、後継者の青色申告承認申請、許認可の承継届、預金口座や取引先への対応など、初動で確認すべき手続が多くあります。
第三者・従業員へ事業譲渡する場合
親族に後継者がいない場合は、従業員や第三者、法人への事業譲渡を検討することになります。事業譲渡では、譲渡対象資産の特定、譲渡価格、表明保証、競業避止、従業員の転籍同意、取引先の承諾、許認可の承継または再取得、個人情報の取扱い、簿外債務の有無などを契約書で整理する必要があります。事業承継・引継ぎ支援センターやM&A支援機関の利用も選択肢です。契約書の内容や債務・許認可の扱いで迷う場合は、署名前に弁護士に確認することをおすすめします。
法人化との違い
個人事業のまま承継する方法のほかに、法人を設立して株式・持分を承継する方法もあります。ただし、法人化は許認可の取り直し、契約の名義変更、資産の移転に伴う課税、社会保険、消費税などに影響するため、「法人化すれば必ず有利」とは限りません。会計・税務の影響が大きいため、税理士と連携して検討する必要があります。
承継前に集めておきたい資料チェックリスト
次の資料がそろっていると、承継方法の検討や相談がスムーズになります。署名前・申請前に確認しておくことをおすすめします。
- 確定申告書、青色申告決算書、帳簿
- 許認可証、各種届出の控え
- 賃貸借契約書、取引基本契約書、リース契約書
- 借入契約書、保証契約書、担保関係資料
- 登記簿、固定資産税関係資料、農地関係資料
- 従業員名簿、雇用契約書、就業規則、給与台帳
- 予約サイト・SNS・ドメイン・商標関係の資料
- 遺言書、相続人関係図、財産目録
| 資料 | 確認する理由 | 不足している場合の対応 |
|---|---|---|
| 確定申告書・青色申告決算書・帳簿 | 事業の規模・資産・損益・税務の前提を把握するため | 税理士・税務署で控えを確認。青色申告承認の状況も確認 |
| 許認可証・届出控え | 承継方法による許認可の手続を検討するため | 所管の保健所・行政窓口に許可内容と承継手続を相談 |
| 賃貸借・取引・リース契約書 | 地位の移転に承諾が必要かなどを確認するため | 相手方に控えを照会し、承諾の要否を確認 |
| 借入・保証・担保の資料 | 債務と保証の全体像を把握するため | 金融機関に残高・保証・担保の状況を照会 |
| 登記簿・固定資産税・農地関係資料 | 資産の名義・担保・農地の扱いを確認するため | 法務局・市町村・農業委員会で確認 |
| 遺言書・相続人関係図・財産目録 | 相続による承継や紛争予防の前提を整理するため | 戸籍を取得して相続人を確定。遺言の有無を確認 |
弁護士に相談するタイミング
弁護士への相談は、結果を保証するためのものではなく、判断材料を整理し、必要な手続やリスク、対応方針を検討するためのものです。次のような場面では、署名や申請の前に一度確認しておくと、後戻りを防ぎやすくなります。
- 契約書に署名する前、名義変更をする前
- 許認可の申請・届出をする前、金融機関と借入や保証の協議をする前
- 相続放棄や限定承認を検討している場合、遺産分割協議の前
- 事業譲渡の価格や債務・許認可の扱いで迷う場合
- 税理士、司法書士、行政書士、金融機関、保健所、農業委員会などとの連携が必要になる場合
よくある質問(FAQ)
親の個人商店を継ぐ場合、屋号はそのまま使えますか。
屋号自体に登録制度はないため、同じ屋号を使うこと自体は可能な場合が多いです。ただし、商標登録の有無、ドメインやSNS・予約サイトの名義、請求書の表示、インボイスの登録番号などは別に確認が必要で、屋号を引き継いでも契約や許認可が当然に移るわけではありません。個別事情により異なります。
飲食店営業許可は後継者にそのまま引き継げますか。
相続・合併分割に加え、令和5年12月13日からは事業譲渡でも届出による地位承継ができる扱いとされています。ただし、許可を取得した時期や承継方法、相続人の人数、施設の状況によって手続が異なり、生前贈与は相続承継の届出の対象外です。まずは保健所にご確認ください。
民宿や旅館を相続した場合、すぐ営業を続けられますか。
旅館業も相続による承継の手続がありますが、施設の状況や承継方法によって取扱いが変わります。とくに事業譲渡の場合は、効力発生前に承認を受ける手続が必要です。すぐに営業を続けられるかは個別の確認が必要なため、早めに保健所・都道府県等にご相談ください。
農家を継ぐ場合、農地も自由に引き継げますか。
農地の権利移転は原則として農業委員会の許可が必要です。相続による取得は許可は不要ですが、届出が必要で期間制限があります。農地以外への転用や利用権の設定、補助金の扱いも個別に確認が必要です。農業委員会・自治体にご確認ください。
親の事業用借入金も子どもが引き継ぐのですか。
借入金などの分けられる債務は、相続では法定相続分に応じて当然に分割されるのが原則ですが、連帯保証など内容によって扱いが変わります。債務が大きい場合は相続放棄や限定承認の検討が必要になることもあり、これらには期間制限があります。判断の前に債務の全体像を確認することをおすすめします。
贈与と相続では、どちらがよいですか。
一概にどちらがよいとは言えません。後継者が決まっており時間をかけて準備できるなら生前の贈与、そうでなければ相続という整理になりますが、税務、許認可、他の相続人との公平、債務の状況によって適した方法は変わります。資料を確認したうえで検討する必要があります。
従業員や取引先との契約は自動的に引き継がれますか。
自動的に引き継がれるとは限りません。雇用契約は転籍の同意が必要な場合があり、取引契約や賃貸借契約は相手方の承諾が必要なことが多くあります。各契約書の条項を確認しておく必要があります。
事業承継について、弁護士にはどの段階で相談すればよいですか。
契約書への署名前、名義変更前、許認可の申請前、金融機関との協議前、相続放棄を検討している場合、遺産分割協議の前などが目安です。早い段階で資料を整理して相談しておくと、承継方法を検討しやすくなります。個別事情により対応は異なります。
まとめ|承継方法を決める前に資料を整理しましょう
- 個人事業の承継では、屋号だけでなく、契約・許認可・債務・税務・相続関係を分けて確認する必要があります。
- 贈与・相続・第三者への事業譲渡では、必要な手続・税務・相続人との調整が異なります。
- 島の商店・飲食・宿泊・農家では、業種ごとの許認可と地域の取引関係の確認が重要になります。
- 確定申告書、契約書、許認可証、借入・保証の資料、遺言書などを整理したうえで、早めに相談することで、承継方法を検討しやすくなります。
- 最終的な結論は個別事情により変わるため、契約書や資料を確認したうえで判断する必要があります。
あわじみらい法律会計事務所では、淡路島周辺の個人事業、相続、契約、債務、企業法務に関するご相談に対応しています。事業承継の方法を決める前に、承継対象の資料を整理し、必要な手続やリスクを確認しておきましょう。資料を確認することで、見通しを検討しやすくなります。
監修者
【監修者名・要確認】弁護士(【所属弁護士会・要確認】)
あわじみらい法律会計事務所【正式名称・要確認】
取扱分野:交通事故、遺言・相続、債務整理、労働問題、離婚・男女問題、企業法務・事業承継、不動産
淡路島(南あわじ市・洲本市・淡路市)を中心に、個人・法人の幅広いご相談に対応しています。詳しくは弁護士紹介を見る、事務所案内・アクセスを確認するをご覧ください。
参考資料(公的機関・公式資料)
- e-Gov法令検索(民法、食品衛生法、旅館業法、住宅宿泊事業法、農地法、酒税法、古物営業法、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)
- 国税庁「個人版事業承継税制」「事業承継税制特集」、開業・廃業・青色申告・インボイス制度に関する各資料
- 中小企業庁「事業承継ガイドライン」「事業承継・引継ぎ支援センター」関連資料
- 厚生労働省「食品営業の事業譲渡・地位承継」「改正旅館業法」関連資料、所管保健所の案内
- 農林水産省・農業委員会・自治体の農地・農業関係資料
- 警察庁・都道府県警察の古物商許可関係資料
- 特許庁の商標・知的財産関係資料

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