「大学に通う子どもが大麻で警察に捕まった」——薬物事件では、ある日突然の警察からの連絡で、ご家族が初めて事態を知ることが少なくありません。「大麻は持っていなければ大丈夫だと思っていた」「使っただけでも捕まるのか」「大学は退学になるのか」「就職の内定はどうなるのか」。いくつもの不安が同時に押し寄せ、何から手をつけてよいか分からなくなる場面です。
結論の方向性を先にお伝えします。令和6年(2024年)12月12日に施行された法改正により、大麻は「所持」だけでなく「使用(法令上は施用)」も明確に処罰の対象となりました。他方で、逮捕された後の見通し——不起訴となるか、執行猶予が付くか、大学の処分や就職活動にどこまで影響するか——は、事案の内容や本人・ご家族の対応によって大きく変わります。早い段階で事実を確認し、対応方針を組み立てることが重要です。
この記事では、大麻の「使用罪(施用罪)」を定めた法改正の内容、大学生が逮捕された後の手続の流れ、初犯の場合の見通し、大学の処分・就職活動への影響、そしてご家族が落ち着いて初動を整えるために確認したいことを、神戸市須磨区の弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所が整理します。
お子さんやご本人が大麻事件で警察から連絡を受け、これから何をすべきか整理したい方へ。当事務所では刑事事件・少年事件についても初回のご相談を無料でお受けしています(事前のご予約をお願いしています)。逮捕後の流れ、学校・就職活動への対応、ご家族が準備すべき資料の整理にご利用いただけます。
Contents
結論と全体像——大麻は「使用(施用)」だけでも処罰の対象
従来、大麻については「所持」「譲渡」「譲受け」「栽培」などが処罰の対象とされる一方、覚醒剤などの他の規制薬物と異なり、使用そのものを直接処罰する規定はありませんでした。令和6年12月12日に施行された改正法(大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律)により、大麻とその有害成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は麻薬及び向精神薬取締法(以下「麻向法」といいます)上の「麻薬」に位置づけられ、不正な施用(使用)には罰則(7年以下の拘禁刑。麻向法第66条の2)が適用されることになりました。
お子さんやご本人が検挙・逮捕された段階では、①身柄の拘束と取調べへの対応、②大学・就職活動への影響、③再犯防止に向けた環境づくり、④弁護士への相談時期を、並行して考える必要があります。まずは次の点を落ち着いて確認してください。
最初に確認したいこと
- 本人が今どこにいるか(警察署名・担当部署)、逮捕されているのか、任意の取調べなのか
- 疑われている行為の内容(所持・使用・譲受けなど)、時期、場所、共犯関係の有無
- 本人の年齢(18歳・19歳か、20歳以上か)と、大学・専門学校・就職活動の状況
- 家宅捜索や押収の有無、スマートフォンや尿の任意提出の状況
- 本人の体調・精神状態、依存の傾向がないか
これらは、その後の弁護活動の方針や、学校・内定先への説明の要否を判断する出発点になります。結論を急ぐ必要はありませんが、正確に把握しておくことが大切です。
大麻の「使用罪(施用罪)」と法改正の基礎知識
「使用罪」と「施用罪」——呼び方と法令上の位置づけ
報道やインターネットでは「大麻の使用罪」という言葉がよく使われますが、麻向法の条文上の文言は「施用」です。「施用」とは、本来は医薬品である麻薬を身体に投与・使用することを指す語で、免許を受けた麻薬施用者(医師など)が治療目的で行う場合を除き、麻薬の施用と、施用を受けることは禁止されています(麻向法第27条第1項・第5項)。大麻が麻向法上の「麻薬」に位置づけられたことで、この禁止規定と罰則が大麻にも適用されるようになりました。一般に「使用罪」と呼ばれているものは、法令上は「施用罪」(麻向法第66条の2)に当たると理解すると分かりやすいでしょう。
なお、施用罪が適用されるのは、施行日である令和6年12月12日以後の使用行為です。実行の時に処罰規定がなかった行為を事後の法律で処罰することはできないためです(遡及処罰の禁止)。もっとも、施行日前の事案でも、所持や譲受けなど別の罪が問題となることはあります。
法改正の全体像——大麻が「麻薬」になった
今回の改正(令和5年法律第84号)の要点は、次のとおりです。
- 大麻・THCが麻向法上の「麻薬」に位置づけられ(麻向法第2条第1号)、所持・譲渡・譲受け・輸入等の規制も麻向法に移りました。あわせて、大麻の単純所持等の法定刑は5年以下から7年以下の拘禁刑に引き上げられています。
- 従来の「大麻取締法」は「大麻草の栽培の規制に関する法律」へと名称が変わり、主に大麻草の栽培免許に関する規制を定める法律となりました(栽培免許制度は令和7年3月1日施行)。
- 大麻草由来の製品については、部位による規制から成分に着目した規制へ移行し、THCが残留限度値を超える製品は「麻薬」として規制されます(限度値は後述)。
「海外では合法だから安全」「日本でも使用は罪にならない」といった情報は誤りです。国内では、令和6年12月12日以降、大麻の所持も使用も麻向法により明確に処罰の対象です。警察庁の統計資料(「令和7年における組織犯罪の情勢」・令和8年4月公表)によれば、令和7年の全国の大麻事犯検挙人員は6,832人(前年は6,078人)にのぼり、20歳代以下の若年層が全体の7割以上を占めるとされています。兵庫県警察も、県内の大麻事犯検挙人員が6年連続で過去最多を更新しているとして注意喚起を行っています(調査時点:令和8年7月)。
行為類型ごとの法定刑——所持・施用・譲渡・栽培・輸入
大麻事件と一口にいっても、問題となる行為の類型によって根拠条文と法定刑が異なります。現行の主な整理は次のとおりです。
| 行為の類型 | 主な根拠(罰則) | 法定刑 | 営利目的の場合 |
|---|---|---|---|
| 施用(使用)・施用を受けること | 麻向法第66条の2(第27条違反) | 7年以下の拘禁刑 | 1年以上10年以下の拘禁刑(情状により300万円以下の罰金を併科) |
| 所持・譲渡・譲受け | 麻向法第66条(第28条等違反) | 7年以下の拘禁刑(改正前の単純所持は5年以下) | 1年以上10年以下の拘禁刑(情状により300万円以下の罰金を併科) |
| 輸入・輸出・製造 | 麻向法第65条 | 1年以上10年以下の拘禁刑 | 1年以上の有期拘禁刑(情状により500万円以下の罰金を併科) |
| 栽培(無免許) | 大麻草の栽培の規制に関する法律第24条(第3条違反) | 1年以上10年以下の拘禁刑 | 1年以上の有期拘禁刑(情状により500万円以下の罰金を併科) |
いずれも未遂を処罰する規定があり、栽培には予備罪(5年以下の拘禁刑)も定められています。量や回数、入手経路(SNS・密売人・海外からの持込みなど)、共犯関係や余罪の有無によって、事件の評価と見通しは変わります。
CBD製品・「合法」をうたう商品への注意
大学生の相談で問題になりやすいのが、CBD(カンナビジオール)オイルやグミなど、大麻草由来成分を含む製品です。改正後は、製品に残留するTHCが次の限度値を超えるものは「麻薬」に該当し、所持等が処罰の対象となり得ます(厚生労働省公表の基準)。
- 油脂(常温で液体のもの)・粉末:10ppm
- 水溶液(飲料など):0.10ppm
- 上記以外のもの:1ppm
限度値以下の製品は麻薬規制の対象外ですが、海外から個人輸入した製品や、SNS・フリマアプリ等で入手した製品には、表示と異なりTHCが基準を超えて含まれるものが混在しているおそれがあります。「合法」「摘発例なし」といった販売側の説明を鵜呑みにせず、製造元・販売元や成分検査の有無を確認してください。判断に迷う製品を勧められた場合には、そもそも手を出さないことを強くおすすめします。
大麻事件はどのように発覚するのか——捜査と証拠
発覚の主な端緒
大麻事件は、実務上、たとえば次のような経緯で発覚することがあります。
- 職務質問・所持品検査や交通検問で発見される
- 密売人や共犯者・知人が検挙され、その捜査(スマートフォンの解析、取引記録・顧客情報の確認など)から特定される
- SNSや通信アプリでのやり取り、宅配便・国際郵便(税関検査)から発覚する
- 家族・学校関係者などからの相談・通報を契機とする
他人の事件の捜査から時間を置いて発覚することもあり、「その場で何も起こらなかったから終わり」とは限りません。発覚の可能性を推し量って行動するのではなく、疑いを持たれた段階で、事実関係を正確に整理して対応を組み立てることが現実的です。
尿検査・鑑定と「使用」の立証
施用罪(使用罪)では、尿や毛髪などの鑑定結果、本人の供述、スマートフォンの記録、目撃状況などが証拠となり得ます。捜査では、尿の任意提出を求められることが多く、任意の求めに応じる法律上の義務はありませんが、裁判官の発付する令状に基づいて強制的に採尿が行われる場合があります。検査や鑑定への対応、その結果の評価は事案により異なるため、判断に迷うときは、応じる前に弁護士に相談することをおすすめします。
スマートフォンの履歴の消去、関係者との口裏合わせ、尿のすり替えなど、証拠を隠したり作り替えたりする行為は、証拠隠滅等の別の罪に問われ得るだけでなく、身柄拘束の判断や処分の見通しにも不利に働きます。行ってはいけません。
大学生が逮捕された後の手続の流れ
逮捕から勾留・起訴までの時間制限
20歳以上の被疑者が逮捕された場合、法律で定められた時間の枠の中で手続が進みます。おおまかな流れは次のとおりです。どの段階まで進むか、身柄拘束が続くかは事案により異なります。
| 段階 | 期間の目安 | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 警察から検察官への送致 | 逮捕(身体拘束)から48時間以内 | 刑事訴訟法第203条 |
| 検察官による勾留請求・釈放の判断 | 送致を受けてから24時間以内、かつ身体拘束から通算72時間以内 | 刑事訴訟法第205条 |
| 勾留(引き続く身柄拘束) | 勾留請求の日から原則10日以内 | 刑事訴訟法第208条 |
| 勾留の延長 | やむを得ない事由があるとき、通じて10日以内 | 刑事訴訟法第208条 |
| 起訴・不起訴などの処分 | 逮捕から最長で23日程度が一つの目安 | 上記の各手続 |
逮捕直後の一定期間は、ご家族であっても面会が制限され、弁護士に限って本人と会える場面があります。勾留後も、薬物事件では共犯者との通謀防止などを理由に接見禁止(家族との面会等の禁止)が付くことがあります。だからこそ、早い段階で弁護士が本人と接見し、状況の確認と方針の組立てを始めることに意味があります。勾留を防ぐ観点からご家族が最初の72時間で確認しておきたいことは、家族が逮捕されたときに72時間で確認すべきことの解説もご参照ください。
当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の違い
弁護士に依頼する経路は、主に3つあります。
- 当番弁護士:弁護士会の制度で、逮捕された本人やご家族などの要請により、弁護士が1回無料で警察署に接見に行き、助言を行います。兵庫県内の警察署に留置されている場合は、兵庫県弁護士会の当番弁護士制度を利用できます。
- 国選弁護人:勾留された段階から、資力などの要件を満たす場合に、国の費用で弁護人が選任される制度です。自分で弁護士を選ぶことはできません。
- 私選弁護人:逮捕の前後を問わず、いつでも自由に選任できます。逮捕直後から接見や意見書提出などの初動対応を始められる点に特徴があります。
どの経路によるかで弁護活動の内容そのものが決まるわけではありませんが、勾留請求までの72時間は特に時間との勝負になりやすく、早く弁護士がつくほど選択肢を検討しやすくなります。
家族がしてよいこと・避けるべきこと
ご家族の初動として、事実の確認や生活面の支援は大切ですが、証拠隠滅や口裏合わせと受け取られかねない行動は、かえって本人の立場を悪くするおそれがあります。次の整理を参考にしてください。
| してよいこと・望ましいこと | 避けるべきこと |
|---|---|
| 本人の所在・担当部署・疑われている行為など、事実を落ち着いて確認する | 本人や関係者と、供述を合わせるようなやり取りをする |
| 弁護士(当番弁護士を含む)に連絡し、接見と今後の方針を検討する | 本人のスマートフォンやSNSの履歴を消すなど、証拠を隠す行為をする |
| 学生証、押収品目録、警察・検察からの書類、診断書・通院歴などを整理する | 取調べで「こう答えるように」と本人に指示する |
| 身元引受けの体制や再犯防止に向けた環境の見直しを検討する | 大学・内定先へ事実と異なる説明をする |
取調べへの対応については、黙秘権があること、供述調書は内容をよく確認したうえで署名するかどうかを判断でき、事実と異なる記載には訂正を申し出られること、そして弁護士に相談できることが基本になります。判断に迷う場面では、自己流で対応せず、まず弁護士に確認することをおすすめします。
18歳・19歳(特定少年)・未成年の場合
本人が20歳未満の場合には、少年法が適用されます。大学1年生・2年生であれば、この場合に当たることも多いはずです。少年事件では、捜査を経た事件は原則としてすべて家庭裁判所に送られ(少年法第41条・第42条)、家庭裁判所が調査・審判を経て、保護観察や少年院送致などの保護処分の要否を判断します。刑事処分が相当と判断された場合には、事件が検察官に送られ(逆送)、刑事裁判で扱われることがあります。
令和4年4月1日施行の改正により、18歳・19歳は「特定少年」と位置づけられ、原則として逆送すべき事件の範囲が「死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪」の事件まで広げられました(少年法第62条第2項)。大麻の単純な所持や施用(いずれも7年以下の拘禁刑で、短期の定めはありません)はこの原則逆送の対象そのものには当たらず、実際には保護処分となる例も少なくありません。ただし、営利性や常習性、共犯関係、量などによって結論は変わり得ます。また、特定少年が起訴された場合(略式手続を除く)には実名等の報道が可能となる特例(少年法第68条)にも留意が必要です。
初犯なら不起訴・執行猶予になる?——見通しを分ける要素
「初犯だから不起訴になる」「初犯なら必ず執行猶予がつく」といった情報を目にすることがありますが、正確ではありません。前科・前歴の有無は考慮される要素の一つにすぎず、実務では、次のような事情を総合して見通しが検討されます。
- 大麻の量、使用や所持の回数、常習性の有無
- 営利目的の有無、譲渡・譲受けや共犯関係の有無
- 入手経路(SNS・密売人・海外持込みなど)と余罪の有無
- 本人の反省の状況、家族による監督や生活環境の整備
- 依存の傾向の有無と、医療・相談機関との連携状況
- 証拠関係や本人の供述状況
起訴された場合でも、宣告される刑が3年以下の拘禁刑にとどまるときは、情状により刑の全部の執行を猶予できる枠組みがあります(刑法第25条)。もっとも、執行猶予が付くかどうか、保護観察が付くかどうかも事案次第であり、断定的にお約束できるものではありません。執行猶予制度の現在の枠組みは、拘禁刑の開始で執行猶予がどう変わったかの解説で詳しく説明しています。
逆にいえば、早い段階で再犯防止の環境(交友関係の整理、医療・相談機関との連携、家族の監督体制)を整え、必要な資料をそろえておくことは、不起訴や執行猶予の可能性を検討するうえで意味を持ち得ます。
大学の処分・就職活動への影響
退学・停学など大学の処分はどう決まるか
大学の懲戒処分(退学・停学・訓告など)は、各大学の学則や懲戒規程に基づき、事案の内容、刑事処分の結果、反省や再犯防止の状況などを踏まえて判断されます。多くの大学では、事実関係の調査や本人の弁明の機会を経て処分が決められ、懲戒処分ではなく自主退学を促す運用がとられる場合もあります。「大麻事件を起こせば必ず退学」と決まっているわけではなく、結論は大学ごと・事案ごとに異なります。
大学が事件を把握する経緯もさまざまで、報道、本人・家族からの申告、長期欠席を契機とする場合などがあります。学則上の届出義務の有無や処分の見通しを確認しないまま、慌てて大学へ連絡することは避け、事実確認と方針の検討を先行させることをおすすめします。その際も、大学へ事実と異なる説明をすることは避けてください。実習・留学・奨学金・資格試験への影響も、それぞれの制度の要件に照らした個別の確認が必要です。
「前科」と「前歴」の違い——不起訴なら前科は付かない
就職活動への影響を考える前提として、用語を整理します。一般に「前科」とは、罰金を含め、有罪の裁判が確定した経歴を指します(法令上の定義がある言葉ではありません)。これに対し、逮捕・捜査されたものの不起訴となった場合、前科は付きません(捜査機関の記録上「前歴」として残ります)。また、少年事件で保護処分(保護観察・少年院送致など)を受けた場合、これは刑罰ではないため前科には当たりません。少年のとき犯した罪により刑に処せられた場合についても、資格制限を緩和する特例があります(少年法第60条)。
就職活動・内定への影響
就職活動や内定への影響は、企業ごとの方針、提出書類や質問の内容、刑事処分の結果によって変わります。履歴書に賞罰欄がある場合の「罰」は、一般に確定した有罪判決を指すと理解されていますが、記載の要否や面接での受け答えは、処分の見通しや時期とあわせて個別に検討すべき事項です。内定取消しが有効かどうかも一律には決まりません。事実と異なる説明をすることは避けたうえで、説明の要否・時期・内容は、弁護士に相談して方針を整理することをおすすめします。
再犯防止と生活の立て直し
再犯防止に向けた取組みは、刑事手続上の評価という観点だけでなく、何よりご本人がもう一度学び、働き、生活を立て直していくために重要です。ご家庭でできることとしては、次のような環境の整備が考えられます。
- 家庭での見守り・監督の体制を整え、身元引受けの意思を明確にする
- 大麻に関わる交友関係や、SNS・購入経路との接点を断つ
- 通学・就労のリズムを整え、生活を安定させる
- 依存の傾向がある場合は、医療機関や公的な相談窓口と連携する
薬物への依存からの回復は医療・福祉の専門領域にわたるため、弁護士だけで完結するものではありません。兵庫県・神戸市には、アルコール・薬物などの依存症に関する相談を受け付ける「ひょうご・こうべ依存症対策センター」(兵庫県精神保健福祉センター内)が設けられているほか、各地の保健所・精神保健福祉センターでも相談できます。弁護士は、こうした機関との連携や、再犯防止の取組みを裏づける資料の整理をお手伝いする立場です。
相談・手続の前に確認したいことチェックリスト
弁護士への相談、接見の要請、大学への連絡、内定先への説明などを検討する前に、次の資料・情報を確認・整理しておくと、話がスムーズに進みます。
- 逮捕・連絡を受けた日時、警察署名、担当部署
- 本人の年齢(18歳・19歳か否か)、学生証、大学・学部・学年
- 大学の学則・学生懲戒規程(入手できる範囲で)
- 内定通知書や誓約書など、就職活動の状況が分かる資料
- 捜索差押許可状の写し、押収品目録など、警察・検察から交付された書類
- 診断書・通院歴(体調や依存に関するもの)
- 家庭での監督体制・身元引受けの体制が分かる資料
資料の整理は、事実を正確に把握するためのものです。履歴の消去や関係者との口裏合わせなど、証拠隠滅と受け取られる行為は行わないでください。かえって不利に働くおそれがあります。
弁護士に相談するタイミング
弁護士への相談は、次のような場面で検討する意味があります。相談によって結果が保証されるわけではありませんが、判断材料と対応の方針を整理しやすくなります。
- 警察から連絡を受けた直後、または逮捕の直後(当番弁護士の要請を含む)
- 家宅捜索や尿の任意提出を求められたとき
- 勾留請求の前後で、身柄拘束が長引きそうなとき
- 大学・アルバイト先・内定先への説明を検討するとき
- 起訴・不起訴の見通しを知りたいとき、保釈や少年審判への対応を検討するとき
「今、何をすべきか分からない」という段階のご相談でも構いません。逮捕後の流れ、学校・就職活動への対応、ご家族が準備すべき資料、再犯防止に向けた環境づくりを、資料を確認したうえで一緒に整理します。刑事事件・少年事件の取扱いの内容は、業務ページでご確認いただけます。
まとめ
- 令和6年12月12日以降、大麻は「所持」だけでなく「使用(施用)」も処罰の対象(7年以下の拘禁刑)。THCが残留限度値を超えるCBD製品等も「麻薬」として規制され得る。
- 逮捕後は、48時間・72時間・勾留(原則10日、延長あり)という時間の枠で手続が進み、家族の面会が制限される期間がある。当番弁護士・国選・私選の経路を早めに検討する。
- 初犯かどうかは考慮要素の一つにすぎず、不起訴・執行猶予の見通しは量・回数・入手経路・再犯防止の状況などの総合判断による。
- 大学の処分(退学・停学等)や就職活動への影響は一律に決まらない。不起訴であれば前科は付かないなど、前提の整理が重要。
- 家族は事実の確認と資料整理を行い、証拠隠滅や口裏合わせと受け取られる行為は避ける。
- 判断に迷う場面では、早い段階で弁護士に相談し、方針を整理することが大切。
よくある質問(FAQ)
大麻は使用しただけでも処罰されますか。
はい。令和6年12月12日以降、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」に位置づけられ、不正な施用(使用)には7年以下の拘禁刑が定められています(同法第66条の2)。施行日より前の使用行為そのものに施用罪は適用されませんが(遡及処罰の禁止)、所持など別の罪が問題となることはあります。具体的な評価は量・回数・態様などの事情により異なります。
大麻事件で子どもが逮捕されたら、家族はまず何をすべきですか。
本人の所在(警察署名)や疑われている行為などの事実を落ち着いて確認したうえで、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。兵庫県内の警察署であれば、兵庫県弁護士会の当番弁護士(1回無料の接見)を要請する方法もあります。履歴の消去や口裏合わせなど、証拠隠滅と受け取られる行為は避けてください。
警察から尿検査を求められたら、拒否できますか。
任意の求めに応じる法律上の義務はありませんが、裁判官の発付する令状に基づいて強制的に採尿が行われる場合があります。応じるかどうかの判断やその後の対応は事案により異なるため、判断に迷うときは弁護士に相談してください。尿のすり替えなどの工作は、別の罪や不利な評価につながるため行ってはいけません。
大麻の初犯なら、不起訴や執行猶予になりますか。
初犯かどうかは考慮される要素の一つにすぎません。量、回数、常習性、営利目的、共犯関係、反省や再犯防止の状況などを総合して判断されるため、「初犯なら大丈夫」と一律には言えません。資料を確認したうえで見通しを検討する必要があります。
大学を退学になりますか。
大学の処分は、学則や懲戒規程、事案の内容、刑事処分の結果などにより異なり、大学ごとに取扱いも異なります。必ず退学になるとは限らず、弁明の機会などの手続を経て判断されるのが通常です。大学への説明は、事実確認と弁護士への相談を経て方針を整えることをおすすめします。
就職活動や内定に影響しますか。前科になりますか。
不起訴となった場合、前科は付きません(前歴は残ります)。少年事件の保護処分も前科には当たりません。有罪判決が確定すると罰金を含め前科となりますが、内定・採用への影響は企業の方針や書類・質問の内容により異なります。説明の要否・時期・内容は個別に確認したうえで検討してください。
18歳・19歳の場合は、手続が違いますか。
20歳未満には少年法が適用され、事件は原則として家庭裁判所に送られ、保護処分の要否が判断されます。18歳・19歳は「特定少年」として、原則逆送の範囲拡大や起訴後の実名報道解禁などの特例がありますが、大麻の単純所持・施用は原則逆送の対象そのものではありません。実際の取扱いは事案により異なります。
CBD製品を持っているだけでも違法になりますか。
THCの含有量が残留限度値(油脂・粉末10ppm、水溶液0.10ppm、その他1ppm)以下の製品は麻薬規制の対象外です。他方、限度値を超えるTHCを含む製品は「麻薬」に該当し、所持等が処罰の対象となり得ます。個人輸入品やSNSで入手した製品は成分表示が正確とは限らないため、注意が必要です。
大麻事件では、最初の72時間の使い方がその後の見通しに影響することがあります。ご本人・ご家族のいずれからでもご相談いただけます。費用の目安は費用ページ、担当弁護士の経歴は弁護士紹介ページでご確認ください。
監修者・執筆者
藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士・公認会計士/兵庫県弁護士会所属・日本公認会計士協会兵庫会所属
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所 代表弁護士
刑事事件・少年事件(大麻などの薬物事件を含む)、交通事故、相続、離婚、債務整理、企業法務等に対応しています。逮捕直後の接見から、身柄解放に向けた対応、大学・勤務先への配慮、再犯防止に向けた環境整備までを見据えて、事案に応じた弁護活動を行います。刑事事件・少年事件についても初回のご相談は無料です(事前のご予約をお願いしています。事案により平日夜間・土日祝のご相談にも対応できる場合があります)。
所在地:兵庫県神戸市須磨区中落合2丁目2-5 名谷センタービル7階
参考資料(本文で参照した公的資料)
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言を行うものではありません。処分や学校・就職への影響の見通しは、行為の態様、量・回数、年齢、前歴その他の個別事情により異なります。実際のご対応にあたっては、最新の法令・公式情報をご確認のうえ、弁護士にご相談ください。記載の内容は作成時点(2026年7月)の情報に基づくものであり、その後の法改正等により変更される場合があります。

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