「昨夜お酒を飲んで運転し、検問で止められてしまった」「呼気検査で数値が出た」「同乗していただけの自分も呼ばれた」――飲酒運転で検挙されると、多くの方が、罰金はいくらになるのか、前科がつくのか、運転免許はどうなるのか、勤務先にどう説明すればよいのか、といった不安を一度に抱えます。神戸市内でも、三宮・元町・神戸駅周辺で飲んだ後の帰宅や、翌朝の運転をめぐるご相談は少なくありません。
飲酒運転は、刑事処分・行政処分・仕事や生活への影響という複数の問題が同時に生じる、重大な違反です。一方で、必要以上に不安を募らせるのではなく、事実関係と資料を整理し、手続の見通しを立てて対応することが大切です。
この記事で分かること
- 酒気帯び運転と酒酔い運転の違い(基準値・判断方法・処分)
- 運転者本人の刑事罰と、免許停止・免許取消などの行政処分
- 同乗者・車両提供者・酒類提供者の責任
- 検挙された後の流れと、取調べ前に整理しておきたいこと
- 勤務先への報告と仕事への影響の考え方
- 弁護士に相談するタイミング
先に結論の方向性をお伝えすると、刑事処分と行政処分は別々の手続として並行して進みます。そして、初犯であっても、前科・罰金・免許停止や取消につながる可能性があり、「初犯だから大丈夫」と一律に言えるものではありません。数値、運転の状況、事故の有無、前歴などによって結論は変わります。まずは全体像を確認しましょう。
飲酒運転で検挙され、処分の見通しや取調べ・勤務先への対応を整理したい方は、資料を確認したうえでの検討が有効です。神戸みらい法律会計事務所では、初回のご相談を無料でお受けしています。
Contents
飲酒運転で検挙されたら最初に確認すべきこと
飲酒運転で問題になる事柄は、大きく次の三つに分かれます。それぞれ手続も担当機関も異なるため、分けて考えることが対応の出発点になります。
| 問題の種類 | 主な内容 | 担当・手続 |
|---|---|---|
| 刑事処分 | 拘禁刑・罰金などの刑罰。前科の有無に関わる | 警察・検察・裁判所(略式命令または正式裁判) |
| 行政処分 | 違反点数に基づく免許停止・免許取消・欠格期間 | 公安委員会(意見の聴取などの手続) |
| 職場・生活への影響 | 勤務先への報告、懲戒、運転業務・資格への影響 | 就業規則・雇用契約などに基づく個別対応 |
刑事処分と行政処分は、別の制度に基づいて並行して進みます。刑事事件が不起訴になっても行政処分は行われることがあり、逆もあり得ます。「刑事が軽く済んだから免許も大丈夫」とは限りません。
酒気帯び運転と酒酔い運転の違い
飲酒運転は、道路交通法上「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分かれ、判断の方法が異なります。
酒気帯び運転の基準値
酒気帯び運転は、体内のアルコール濃度が一定の基準以上かどうかで、客観的に判定されます(道路交通法第65条第1項、道路交通法施行令第44条の3)。
| 区分 | 基準 |
|---|---|
| 呼気中アルコール濃度 | 呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上 |
| 血液中アルコール濃度 | 血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上 |
この基準は数値で決まるため、本人が「酔っていない」「もう抜けた」と感じていても、検出された数値が基準以上であれば酒気帯び運転となり得ます。
酒酔い運転の判断方法
酒酔い運転は、数値そのものではなく、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態かどうかで判断されます(道路交通法第117条の2)。歩行の状態、受け答えの様子、運転の状況、事故の態様、警察官の観察などが総合的に考慮される可能性があり、直線歩行などの検査が行われることもあります。そのため、呼気の数値が酒気帯びの基準前後であっても、状態によっては酒酔い運転と判断されることがあります。具体的な該当性は、事案の資料を確認して判断する必要があります。
翌朝・二日酔いの運転にも注意
前夜に飲んだお酒が翌朝まで残り、いわゆる二日酔いの状態で運転して基準値を超える例もあります。基準は「いつ飲んだか」ではなく「運転時の体内アルコール濃度」で判断されるため、翌朝の運転も注意が必要です。
飲酒運転の刑事処分と行政処分
運転者本人の刑事罰
運転者本人の法定刑は、次のとおりです(令和7年6月1日以降、刑法改正により「懲役・禁錮」は「拘禁刑」に一本化されています)。
| 違反 | 法定刑 | 根拠 |
|---|---|---|
| 酒酔い運転 | 5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 道路交通法第117条の2 |
| 酒気帯び運転 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 道路交通法第117条の2の2 |
なお、警察官の求めに応じず飲酒検査を拒否した場合には、飲酒検知拒否として3月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が定められています(道路交通法第118条の2)。
免許停止・免許取消などの行政処分
行政処分は、違反点数に基づいて決まります。前歴がなく、ほかに違反がない場合の基本的な扱いは次のとおりです(違反点数は警視庁「交通違反の点数一覧表」、処分は「行政処分基準点数」による)。
| 違反 | 基礎点数 | 前歴なしの場合の処分 |
|---|---|---|
| 酒気帯び運転(呼気0.15以上0.25ミリグラム未満) | 13点 | 免許停止90日 |
| 酒気帯び運転(呼気0.25ミリグラム以上) | 25点 | 免許取消・欠格期間2年 |
| 酒酔い運転 | 35点 | 免許取消・欠格期間3年 |
上の点数・欠格期間は、前歴や累積点数がなく、ほかの違反や事故がない場合を前提とした目安です。前歴や累積点数がある場合、事故が伴う場合には、点数が加算され、欠格期間がさらに長くなることがあります。実際の処分は個別事情により異なります。
事故を伴う場合に加わる別罪
飲酒運転で人身事故を起こした場合には、飲酒運転そのものとは別に、より重い犯罪が問題になります。代表的なものは次のとおりで、いずれも飲酒運転単体より格段に重くなります。
- 過失運転致死傷罪:7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)
- 危険運転致死傷罪:負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、死亡させた場合は1年以上の有期拘禁刑(同法第2条)
- ひき逃げ(救護義務違反):人を死傷させた事故で必要な措置をとらなかった場合、10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(道路交通法第117条第2項)
物損・人身・ひき逃げ・危険運転など、事故の内容によって成立する犯罪や見通しは大きく変わります。事故が関係する場合は、早めに資料を整理して確認することをおすすめします。
初犯の場合の見通しと注意点
「初犯なら罰金で終わる」「初犯なら逮捕されない」といった見方をされることがありますが、これらは一律には当てはまりません。初犯であっても、罰金の刑罰を受ければ前科として扱われ、免許停止や取消の対象にもなり得ます。数値、運転の態様、事故の有無、前歴、認否、再発防止の取り組みなどによって、略式命令による罰金となる場合もあれば、正式裁判となる場合もあります。罰金額も、事案により異なり、最終的には検察官・裁判所の判断によって決まります。本文で具体的な金額を断定することはできません。
「初犯だから」「事故がないから」と自己判断せず、数値・運転状況・前歴などの資料をもとに、刑事処分と行政処分の見通しを分けて確認することが大切です。神戸みらい法律会計事務所では、現状の整理と取り得る選択肢についてご説明します。
同乗者・車両提供者・酒類提供者の責任
飲酒運転で責任を問われる可能性があるのは、運転者本人だけではありません。周囲の人にも、道路交通法上の罰則が定められています。
| 立場 | 運転者が酒酔い運転の場合 | 運転者が酒気帯び運転の場合 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 車両を提供した人 | 5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 道路交通法第65条第2項ほか |
| 酒類を提供した人・同乗した人 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 | 道路交通法第65条第3項・第4項ほか |
車両を提供した人は、運転者本人と同じ重さの法定刑が定められている点に注意が必要です。飲食店、友人、家族、会社関係者など、立場によって問題になる場面は異なります。同乗については、運転者が飲酒していることを知りながら送るよう依頼して乗った場合などが対象とされており、成立の可否は事情によって変わります。「知らなかった」と述べれば必ず責任を免れるわけではなく、逆に、事情を偽って説明することは避けるべきです。周囲の方も処罰対象になり得るかどうかは、個別の事実関係を確認して判断する必要があります。免許をお持ちの同乗者には、運転者と同様に違反点数が加算される場合もあります。
検挙された後の流れと取調べ前の注意点
現場から処分決定までの大枠
飲酒運転で検挙された後は、おおむね次のような流れをたどります。ただし、事案により在宅で進むか身柄を拘束されるかが分かれます。
- 現場での飲酒検査、運転状況の確認、実況見分など
- 取調べ、供述調書の作成
- 在宅で捜査が進む場合と、逮捕・勾留される場合がある
- 検察官への送致、起訴・不起訴の判断
- 起訴の場合、略式命令(罰金)または正式裁判へ
- これらと並行して、公安委員会による行政処分の手続が進む
在宅で捜査が進む場合でも、事案が軽いと決まったわけではありません。また、逮捕・勾留された場合は、身柄拘束が続くことで生活や仕事への影響が大きくなるため、ご家族が早期に弁護士への相談を検討することが考えられます。
取調べ前に整理しておきたいこと
取調べでは、事実と異なる説明をしないことが基本です。記憶が曖昧な点を無理に断定せず、分かることと分からないことを整理しておくことが役立ちます。飲酒の状況、移動の経路、検査で示された数値、当日のやり取りなどを、思い出せる範囲で落ち着いて整理しておきましょう。口裏合わせや虚偽の説明は、かえって不利益につながる可能性があります。
勤務先への報告と仕事への影響
勤務先へ報告する義務があるかどうかは、雇用契約、就業規則、職務の内容、公務員か民間か、運転を業務に用いるか、社用車を使うかなどによって異なります。特に、営業車・配送車・タクシー・バス・トラックなど、運転が業務に直結する方は、免許停止・取消が仕事に与える影響が大きくなる可能性があります。懲戒処分の見通しも、就業規則の定めと具体的な事案によって変わります。
勤務先に対しても、事実と異なる説明をすることは避けるべきです。報告の前に、事実関係、想定される処分、必要な資料、説明の方針を整理しておくことで、落ち着いて対応しやすくなります。会社側がどのように対応すべきかという論点は、本記事とは別に検討することが適切です。
勤務先対応の前に確認したいこと
- 就業規則の懲戒・報告に関する定め
- 雇用契約の内容と職務における運転の位置づけ
- 免許停止・取消となった場合の業務への影響
- 事実関係と、現時点で分かっている処分の見通し
神戸で飲酒運転が問題になりやすい場面
神戸市内では、三宮・元町・神戸駅周辺の飲食店を利用した後の帰宅にまつわるご相談があります。終電を逃した後にタクシーや運転代行、家族の迎えを検討する場面、コインパーキングに置いた車を翌日取りに行く場面、須磨区・垂水区・西区・北区などから中心部へ出て飲酒した後の移動などです。また、前夜の飲酒が翌朝まで残り、通勤で運転して基準値を超えてしまうケースもあります。飲酒運転を避けるには、公共交通機関、タクシー、運転代行の利用や、あらかじめ車を使わない段取りが重要です。すでに検挙された場合には、当日の移動経路や飲酒の状況を整理しておくことが、その後の対応の助けになります。
手続前に確認したいことチェックリスト
取調べ前、勤務先への報告前、略式命令や行政処分への対応前に、次の資料・情報を整理しておくと、対応方針を検討しやすくなります。
- 運転免許証(種類・条件・有効期限)
- 検挙時に示された呼気の数値や検査の記録に関する記憶
- 当日の飲酒状況(時間・量・場所)と移動の経路
- 事故の有無と、ある場合はその状況・相手方の有無
- 過去の交通違反歴・行政処分歴・累積点数
- 受け取った書面(呼出し・出頭に関する連絡など)
- 勤務先の就業規則・雇用契約のうち懲戒・報告に関する部分
- 運転が業務に必要かどうか、社用車の利用の有無
- 同乗者・車両提供者・酒類提供者として関わった場合はその経緯
弁護士に相談するタイミング
弁護士への相談は、結果を保証するためのものではなく、事実関係を整理し、刑事処分・行政処分・勤務先対応の見通しと選択肢を検討するためのものです。次のような場面では、早めの相談を検討する意味があります。
- 検挙された直後、取調べを受ける前
- 逮捕・勾留され、ご家族が今後の対応に迷っているとき
- 同乗者・車両提供者・酒類提供者として事情聴取を受けるとき
- 数値や運転の状況、酒酔いの該当性に争いがあるとき
- 事故を伴うとき、前歴や累積点数があるとき
- 運転免許が仕事に必要で、免許への影響が大きいとき
- 勤務先への説明を控えているとき
- 略式命令に応じるか、正式裁判で対応するか迷うとき
ご相談の際は、上記チェックリストの資料をお持ちいただくと、状況の整理がより具体的になります。費用の目安については、費用ページをご確認ください。
神戸みらい法律会計事務所(名谷駅徒歩1分)では、飲酒運転で検挙された方やそのご家族からのご相談について、初回のご相談を無料でお受けしています。刑事処分・行政処分・勤務先対応を分けて整理し、現状と取り得る選択肢をご説明します。
よくある質問
酒気帯び運転と酒酔い運転は何が違いますか。
酒気帯び運転は、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上などの基準値で客観的に判断されます。酒酔い運転は、数値ではなく、アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態かどうかで判断されます。酒酔い運転の方が法定刑・行政処分ともに重く扱われます。
酒気帯び運転の初犯でも前科になりますか。
初犯であっても、罰金などの刑罰を受ければ前科として扱われます。前科になるかどうかは、起訴・不起訴の判断や科される処分によって変わります。個別事情により結論は異なります。
飲酒運転で検挙されたら必ず逮捕されますか。
必ず逮捕されるわけではなく、在宅で捜査が進む場合もあります。逮捕・勾留されるかどうかは、事案の内容によって異なります。在宅事件でも軽いと決まったわけではありません。
酒気帯び運転の行政処分はどうなりますか。
前歴やほかの違反がない場合、呼気0.15以上0.25ミリグラム未満で13点(免許停止90日)、0.25ミリグラム以上で25点(免許取消・欠格期間2年)が目安です。前歴や累積点数、事故の有無により結論は変わります。
同乗していただけでも処罰されますか。
運転者が飲酒していることを知りながら、運転を依頼して同乗した場合などには、罰則の対象となる可能性があります。成立の可否は具体的な事情により変わります。事実と異なる説明は避けてください。
お酒を提供した飲食店や友人も責任を問われますか。
運転をするおそれがある人にお酒を提供した場合などには、酒類提供として罰則の対象となり得ます。車両を提供した人は、運転者と同じ重さの法定刑が定められています。個別事情により結論は異なります。
勤務先には報告しなければなりませんか。
報告義務の有無は、就業規則、雇用契約、職務内容、運転業務や社用車利用の有無などによって異なります。まずは就業規則の定めと事実関係を確認し、説明の方針を整理することをおすすめします。
弁護士に相談するときは何を準備すればよいですか。
運転免許証、検挙時の数値の記憶、当日の飲酒状況と移動経路、事故の有無、過去の違反歴、受け取った書面、勤務先の就業規則などがあると、状況を具体的に整理できます。分かる範囲で問題ありません。
まとめ
- 飲酒運転では、刑事処分・行政処分・職場や生活への影響が同時に問題になり、刑事と行政は別々に並行して進みます。
- 酒気帯び運転は基準値で、酒酔い運転は状態で判断され、処分の重さが異なります。
- 初犯でも、前科・罰金・免許停止や取消につながる可能性があり、一律に「大丈夫」とは言えません。
- 同乗者・車両提供者・酒類提供者も処罰対象になり得ます。結論は個別事情により変わります。
- 取調べ前・勤務先への報告前には、事実関係と資料を整理し、事実と異なる説明をしないことが大切です。
- 数値や酒酔い該当性に争いがあるとき、事故があるとき、前歴があるとき、免許が仕事に必要なときなどは、早めの相談を検討しましょう。
飲酒運転で検挙され、今後の見通しや対応方針を整理したい方は、資料を確認したうえでの検討が有効です。神戸みらい法律会計事務所は、刑事事件・少年事件を取り扱い、初回のご相談を無料でお受けしています。刑事処分・行政処分・勤務先対応を分けて整理します。
監修者・執筆者
藤井貴之(弁護士・公認会計士)/兵庫県弁護士会所属
弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所(神戸市須磨区中落合2丁目2−5 名谷センタービル7階、神戸市営地下鉄名谷駅徒歩1分)。刑事事件・少年事件のほか、交通事故、遺産相続、離婚、債務整理、企業法務などを取り扱っています。
参考資料

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