年金生活で借金返済が苦しいとき|高齢者の自己破産と差押え |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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年金生活で借金返済が苦しいとき|高齢者の自己破産と差押え

年金収入だけで借金の返済を続けていると、毎月の生活費や医療費、介護費に回すお金が足りなくなり、「このまま払い続けて大丈夫だろうか」と不安になることがあります。督促状や、裁判所からの書類が届いて、どうしてよいか分からないという方もいらっしゃいます。

この記事では、年金収入で返済が苦しいと感じている高齢者ご本人と、それを支えるご家族に向けて、年金と差押えの関係、年金が口座に振り込まれた後の注意点、自己破産を検討するときの考え方、財産やご家族・保証人への影響、法テラスの利用、相談前に準備しておきたい資料を、公的機関の情報をもとに整理します。結論を先にお伝えすると、年金生活であることだけを理由に手続ができなくなるわけではありませんが、財産や借金の内容、ご家族の状況によって取るべき方法は変わります。まずは無理に払い続ける前に、状況を整理することが大切です。

督促状や裁判所からの書類が届いている場合、年金や預金、家計の状況を一度整理することで、返済を続けるべきか、債務整理を検討すべきかの見通しを立てやすくなります。

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まず押さえたい結論と確認の順番

細かい説明に入る前に、年金生活で借金が苦しいときに押さえておきたい要点を整理します。いずれも個別の事情によって結論が変わるため、ご自身の状況に当てはめながら読み進めてください。

テーマ 押さえたい要点
年金と差押え 年金を受け取る権利は、法律により原則として差し押さえることができません。ただし税金や社会保険料の滞納には例外や注意があります。
口座振込後 年金が口座に振り込まれた後は「預金」として扱われ、差押えの対象になる場合があります。受給権そのものとは扱いが分かれます。
自己破産の可否 年金生活であること自体が妨げになるわけではありません。財産、借金の内容、免責されない借金などを確認して判断します。
ご家族の影響 ご家族が当然に返済義務を負うわけではありません。保証人や名義、相続などの事情で結論が変わります。
法テラス 収入や資産が一定基準以下などの条件を満たせば、費用の立替えを利用できる可能性があります。利用できるかどうかは個別の審査によります。
確認の順番 借入総額・生活費・医療費・介護費・財産・保証人の有無を整理し、必要な資料をそろえたうえで相談するとスムーズです。

年金と借金返済の基礎知識

はじめに、年金と借金返済を考えるうえで前提となる基本的な言葉と仕組みを確認します。

公的年金と個人年金は扱いが違う

年金には、国が運営する公的年金(国民年金や厚生年金など)と、保険会社などと契約して個人で備える私的年金(個人年金保険など)があります。両者は法律上の扱いが異なり、差押えや自己破産の場面でも分けて考える必要があります。公的年金を受け取る権利は手厚く保護されていますが、個人年金や生命保険などは、契約の内容によっては財産として扱われることがあります。

自己破産・任意整理・個人再生の違い

借金の整理(債務整理)には、主に次の三つの方法があります。どれが適しているかは、借金の額、収入、財産、住宅の有無などによって変わります。年金生活の場合は、毎月の返済に充てられる余裕がどの程度あるかも判断の材料になります。

方法 大まかな特徴 借金の扱い 検討の目安
任意整理 裁判所を通さず、各債権者と返済方法を話し合う方法です。 将来の利息のカットや分割回数の見直しなどを交渉します。元本は原則として残ります。 一定の返済原資を確保できる場合に検討されます。
個人再生 裁判所を通じて、借金を法律で定めた範囲まで減らし、原則として分割で返済する方法です。 借金を大幅に圧縮できる場合があります。継続的・反復的な収入の見込みが前提とされます。 住宅を残したい場合などに検討されることがあります。年金収入での適否は個別判断です。
自己破産 裁判所を通じて、支払不能の状態を前提に、免責の許可により返済義務を免除してもらう方法です。 免責が認められれば原則として返済義務がなくなります。ただし免責されない借金もあります。 収入や財産から返済が難しい場合に検討されます。

どの方法が適しているかは、資料を確認したうえで判断する必要があります。年金、預金、家計、財産、保証人の有無などを整理することで、返済を続けるべきか、どの手続を検討すべきかを見通しやすくなります。

督促・支払督促・訴訟・差押えの流れ

返済が滞ると、まず電話や郵便で督促が行われ、その後、裁判所を通じた手続に進むことがあります。裁判所から「支払督促」や「訴状」が届いた場合、放置すると相手の主張がそのまま認められ、最終的に給与や預金などの差押えにつながることがあります。これらの書類には対応の期限が定められていることが多いため、届いた段階で早めに内容を確認することが大切です。

年金は差し押さえられるのか

「年金は差し押さえられるのか」は、年金生活の方が最も不安に感じる点の一つです。ここは段階を分けて理解することが重要です。

「年金を受け取る権利」は原則差押禁止

公的年金を受け取る権利は、生活を支える基盤であることから、法律により原則として、譲り渡したり、担保に入れたり、差し押さえたりすることができないとされています。したがって、消費者金融や銀行などの民間の借金を理由に、年金を受け取る権利そのものが差し押さえられることは、原則としてありません。遺族年金や障害年金についても、手厚く保護されています。

税金・社会保険料の滞納には例外と注意がある

もっとも、税金や社会保険料などの滞納がある場合には、注意が必要です。これらの公的な負担については、民間の借金とは異なり、一定の範囲で差押えが認められる場合があるほか、裁判を経ずに差押えの手続が進むことがあります。年金生活では、国民健康保険料や介護保険料などの滞納が生じやすいため、こうした滞納がある場合は早めに役所や年金事務所に相談することが大切です。後で説明するとおり、税金や社会保険料は自己破産をしても免除されない点にも注意が必要です。

口座に振り込まれた年金は「預金」として扱われる

見落とされやすいのが、年金が口座に振り込まれた後の扱いです。年金は通常、金融機関の口座に振り込まれますが、振り込まれた時点で「年金を受け取る権利」から「預金」へと性質が変わると考えられています。預金は、年金そのものとは異なり、差押えが禁止される財産には当たらないとされているため、口座の中身がすべて年金に由来する場合であっても、預金として差押えの対象になることがあります。

大切なのは、「年金を受け取る権利」と「口座に振り込まれた後の預金」は、法律上の扱いが分かれるという点です。「年金だから絶対に差し押さえられない」と考えていると、口座差押えの場面で対応が遅れることがあります。

口座が差し押さえられたときに検討できる手続

年金が振り込まれた口座が差し押さえられ、生活に著しい支障が生じる場合には、裁判所に対して、差押えが禁止される範囲を変更してもらうための申立てを検討できる場合があります。ただし、この申立てには時間的な制約があり、債権者が取立てを終える前に手続を行う必要があるとされています。差押えの通知が届いた場合は、預金の出金を急ぐ前に、できるだけ早く弁護士などに相談し、対応を整理することをおすすめします。

年金生活者が自己破産を検討する場面

次のような状況では、返済を続けることが生活を圧迫していないかを一度立ち止まって確認し、自己破産を含む債務整理を検討する余地があります。あくまで一例であり、当てはまるからといって直ちに自己破産が適しているわけではありません。

  • 年金収入だけで返済を続けており、生活費や医療費が不足している
  • 医療費や介護費の不足を補うために借入れが増えてしまった
  • リボ払い、カードローン、消費者金融、銀行カードローンなどの残高がある
  • ご家族や親族への返済を抱えている
  • 保証人が付いている借入れがある
  • 住宅ローン、家賃、施設の費用が関係している
  • 税金、国民健康保険料、介護保険料、年金保険料、医療費、公共料金などの滞納がある
  • 督促状、支払督促、訴状、債権差押命令などの書類が届いている

年金生活者の自己破産で確認しておきたいこと

「年金生活だからできない」わけではない

自己破産は、収入が年金であることだけを理由に一律にできなくなるものではありません。返済できない状態(支払不能)にあるかどうか、どのような財産があるか、借金の内容はどうか、免責が認められない事情がないか、といった点を確認して判断します。なお、年金を受け取る権利は差押えが禁止された財産であり、自己破産の手続でも処分の対象となる財産(破産財団)には含まれないと考えられています。つまり、自己破産をしても、将来受け取る公的年金そのものが取り上げられるわけではありません。

自己破産で確認される主な財産(チェック)

自己破産では、申立てをする方の財産を確認します。高齢の方の場合、次のような財産が問題になりやすいため、相談の前に把握しておくとスムーズです。すでに口座に振り込まれた年金(預金)と、将来受け取る年金を受け取る権利は、扱いが分かれる点に注意してください。

  • 預貯金(年金が振り込まれた口座の残高を含む)
  • 生命保険や個人年金(解約したときに戻るお金があるもの)
  • 退職金に関する権利
  • 自動車
  • 自宅などの不動産
  • 価値のある家財
  • 介護施設などに預けている保証金

免責されない借金(非免責債権)に注意

自己破産で免責が認められると、原則として返済義務がなくなりますが、法律上、免責の対象とならない借金もあります。これを非免責債権といいます。代表的なものとして、税金や社会保険料などの公的な負担、養育費などの扶養に関する支払い、一定の損害賠償、罰金などが挙げられます。たとえば国民健康保険料や介護保険料の滞納分は、自己破産をしても残るのが原則です。こうした支払いについては、役所に事情を説明して分割や猶予を相談できる場合があります。

「自己破産をすれば、あらゆる支払いがなくなる」というわけではありません。どの借金が免除され、どの借金が残るのかは、内容を確認したうえで判断する必要があります。

手続の進み方は裁判所・事案で異なる

自己破産には、財産が少ない場合に比較的簡易に進む類型と、財産の調査などのために手続が進む類型があります。どの類型になるか、必要な書類や裁判所に納める費用がいくらになるかは、お住まいの地域の裁判所の運用や、財産・借金の状況によって異なります。具体的な金額や進め方は、資料を確認したうえで、弁護士に確認することをおすすめします。

家族が支援するときに確認したいこと

家族は当然には返済義務を負わない

高齢のご家族に借金があると分かったとき、「家族が代わりに払わなければならないのか」と不安になる方は少なくありません。しかし、ご家族であることだけを理由に、当然に本人の借金の返済義務を負うわけではありません。ただし、保証人や連帯保証人になっている場合、名義を貸している場合、家族カードを使っていた場合、相続が関係する場合などには、結論が変わります。ご本人名義の借金なのか、ご家族に法的な義務があるのかを、契約書などの資料で確認することが出発点になります。

一部だけ返済する前に確認したいこと

ご家族の財産が、当然に本人の借金の処分対象になるわけではありません。一方で、名義だけ家族にしている預金や、実質的に本人のものと見られる財産、財産を隠したと受け取られかねない行為には注意が必要です。また、自己破産を検討している段階で、特定の債権者(ご家族や親族を含む)にだけ返済をすると、手続のうえで問題になる場合があります。良かれと思って一部だけ返済する前に、その対応が手続に影響しないかを確認することが大切です。これらは資料を確認したうえで判断する必要があります。

判断能力に不安があるとき

ご本人の判断能力に不安がある場合には、成年後見や保佐、補助といった制度の利用や、親族の同席による相談が問題になることがあります。ご本人だけでは契約内容や借金の全体像を把握しきれないこともあるため、ご家族が資料の整理を手伝い、一緒に相談に臨むことが、現実的な対応につながります。

法テラスの利用を検討する

経済的に余裕がない場合、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助という制度を利用できる可能性があります。これは、収入や資産が一定の基準以下であることなどの条件を満たす場合に、弁護士・司法書士への相談や、依頼にかかる費用の立替えを受けられる制度です。立て替えられた費用は、原則として分割で返済し、利息はかからないとされています。

法テラスの公表する情報によると、利用には大きく次の三つの条件があります。いずれも満たす必要があり、利用できるかどうかは個別の審査によって判断されます。

  • 収入や資産が一定の基準以下であること
  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと(自己破産の場合は、免責の決定が見込まれること)
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること

自己破産を依頼する場合の費用の立替えについては、法テラスが債権者の数に応じた目安を公表しています。これとは別に、裁判所に納める費用(予納金)が必要になる場合があり、その全額が立替えの対象になるとは限りません。金額や対象は変更されることがあるため、最新の内容は法テラスの公式情報で確認してください。生活保護を受けている場合などには、返済の猶予や免除が問題になることもあり、これらも法テラスへの確認が必要です。

法テラスを利用できるかどうかは個別の審査によります。条件や費用は変動するため、本記事の内容だけで判断せず、公式情報の確認や相談のうえで検討してください。

相談の前に準備しておきたい資料

相談をスムーズに進めるために、次のような資料を、手元にある範囲でそろえておくと役立ちます。すべてが揃っていなくても相談は可能ですが、資料が多いほど、見通しを立てやすくなります。

  • 年金振込通知書、年金額改定通知書、年金証書など
  • 預金通帳、入出金の明細
  • 借入先の一覧(どこからいくら借りているかのメモでも可)
  • カードの利用明細
  • 督促状、催告書、訴状、支払督促、債権差押命令などの書類
  • 契約書、借用書
  • 家計の収支が分かるメモ(家計収支表)
  • 医療費、介護費、家賃、施設費の分かる資料
  • 保険証券、解約返戻金が分かる資料
  • 不動産、自動車、退職金、個人年金など財産に関する資料
  • 保証人、連帯保証人、家族名義の借入れに関する資料
  • 本人確認書類
  • 生活保護や各種福祉制度を利用している場合は、その資料

弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は、自己破産を勧められるためのものではありません。任意整理、個人再生、自己破産、時効の援用、福祉制度の利用なども含めて、現実的にどの方法が考えられるかを、資料に基づいて整理するための機会です。とくに、督促状や裁判所からの書類が届いたとき、口座が差し押さえられたとき、ご家族が立替払いを検討しているときは、対応に期限が関わることがあるため、早めに相談することで方針を整理しやすくなります。

年金、預金、家計、財産、保証人の有無を確認したうえで、返済を続けるべきか、どの手続を検討すべきかの見通しを整理できます。借金問題(債務整理)への対応方針を、資料をもとに検討したい方は、業務内容や費用の確認とあわせてご相談ください。

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よくある質問(FAQ)

年金生活でも自己破産はできますか。

年金生活であること自体が妨げになるわけではありません。返済できない状態にあるか、どのような財産があるか、免責が認められない事情がないかなどを確認して判断します。個別事情により結論は異なります。

自己破産をすると年金は止まりますか。

公的年金を受け取る権利は、差押えが禁止された財産であり、自己破産で処分の対象となる財産には含まれないと考えられています。将来受け取る公的年金そのものが、自己破産によって止まるわけではありません。

年金は差し押さえられますか。

公的年金を受け取る権利は、原則として差し押さえることができません。ただし、税金や社会保険料の滞納がある場合には、一定の範囲で例外が認められることがあります。

年金が振り込まれた口座は差し押さえられますか。

口座に振り込まれた後は「預金」として扱われ、差押えの対象になる場合があります。生活に著しい支障が生じる場合には、裁判所に差押えの範囲の変更を申し立てられることがありますが、時間的な制約があるため早めの相談をおすすめします。

家族が代わりに返済したほうがよいですか。

ご家族であることだけを理由に、当然に返済義務を負うわけではありません。保証人かどうか、本人名義の借金か、一部の返済が手続に影響しないかなどを確認したうえで判断する必要があります。立替えの前に確認することをおすすめします。

保証人がいる借金はどうなりますか。

本人が自己破産をしても、保証人の支払義務は原則として残ります。保証人に請求が及ぶ可能性があるため、保証人がいる場合は、その点も含めて方針を検討する必要があります。

税金や介護保険料も自己破産でなくなりますか。

税金や社会保険料などは、自己破産で免責の対象とならない借金(非免責債権)とされており、原則として残ります。役所に事情を説明し、分割や猶予を相談できる場合があります。

高齢の親の借金について、家族が相談できますか。

ご家族が資料の整理を手伝い、相談に同席することは可能です。ご本人の判断能力に不安がある場合は、成年後見などの制度が問題になることもあります。準備できる資料をそろえて相談すると、方針を整理しやすくなります。

まとめ

年金生活で借金の返済が苦しいときに、確認しておきたい点を整理します。

  • 無理に返済を続ける前に、借入総額・生活費・医療費・介護費・財産・保証人の有無を整理する
  • 年金を受け取る権利は原則差押禁止だが、口座に振り込まれた後の預金は差押えの対象になり得る
  • 督促状や裁判所からの書類、口座差押えの通知が届いたら、早めに資料を確認する
  • 自己破産は年金生活だから一律にできないわけではないが、財産・免責されない借金・家族や保証人への影響を確認する
  • 家族が立替払いをする前に、保証人の有無や手続への影響を確認する
  • 法テラスを利用できる可能性があるが、条件や費用は個別審査・公式情報の確認が必要
  • 任意整理、個人再生、自己破産、時効の援用、福祉制度の利用など、複数の選択肢を資料に基づいて整理する

督促や裁判所からの書類が届いた段階でも、年金・預金・家計・財産・保証人の状況を整理することで、これからの対応方針を検討できます。費用や弁護士についての確認とあわせて、まずはご相談ください。

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監修・執筆

本記事は、神戸みらい法律会計事務所の弁護士が監修しています。当事務所は、法律と会計の両面から、借金問題(債務整理)をはじめとするご相談に対応しています。担当弁護士の経歴や取扱分野については、弁護士紹介のページをご覧ください。

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