借金の返済が難しくなり債務整理を検討するとき、多くの方が「加入している生命保険は解約されてしまうのか」「まだ受け取っていない退職金まで取られるのか」「銀行の預貯金はどこまで手元に残せるのか」という不安を抱えます。生活の支えである保険や、将来の生活設計に関わる退職金、当面の生活費である預貯金は、いずれも手放したくない財産です。
この記事では、生命保険(とくに解約返戻金)、退職金・退職金見込額、預貯金が、任意整理・個人再生・自己破産の各手続でどのように扱われ、返済額や手続選択にどう影響するかを、一般の方向けに整理します。結論を先にお伝えすると、これらの財産の扱いは手続によって大きく異なり、同じ手続でも財産の種類・金額・ご家庭の状況・裁判所の運用によって結論が変わります。そのため、自己判断で保険を解約したり預金を動かしたりする前に、現状を整理して見通しを立てておくことが大切です。
保険・退職金・預貯金を含めた財産状況を整理することで、どの手続が取りやすいか、返済額がどの程度になりそうかの見通しを検討しやすくなります。神戸みらい法律会計事務所では、借金問題(債務整理)に関するご相談を承っています。
Contents
生命保険・退職金・預貯金の扱いは手続によって変わります
まず全体像です。生命保険・退職金・預貯金は、選ぶ手続によって扱いの考え方が異なります。おおまかな違いは次の表のとおりですが、いずれも「事案により異なる」「裁判所の運用により異なる」点を含みますので、最終的には資料を確認したうえで判断する必要があります。
| 財産 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
|---|---|---|---|
| 生命保険(解約返戻金) | 裁判所が財産を換価する手続ではありません。ただし返済原資や将来の手続選択を踏まえた確認が必要です。 | 解約返戻金が清算価値に算入され、返済総額に影響する可能性があります。 | 解約返戻金が財産評価の対象になります。保険を維持できるかは自由財産拡張などの判断によります。 |
| 退職金・退職金見込額 | 直接の換価対象ではありませんが、返済計画上の検討対象になります。 | 一定の範囲が清算価値に算入される可能性があります。範囲は手続・退職時期・裁判所の運用により異なります。 | 一定の範囲が財産評価の対象になります。範囲は退職時期や裁判所の運用により異なります。 |
| 預貯金 | 借入先と同じ銀行の口座は、受任通知後に凍結・相殺される可能性があります。 | 預貯金が清算価値に影響する可能性があります。 | 預貯金が財産として扱われます。現金とは扱いが異なります。 |
先に確認しておきたい資料
- 生命保険:保険証券、解約返戻金額が分かる資料(解約返戻金証明書など)、契約者貸付の有無
- 退職金:退職金見込額が分かる資料、退職金規程・就業規則、勤続年数の分かる資料
- 預貯金:すべての口座の通帳・取引履歴、給与や年金の振込先、公共料金などの引落先
- 共通:債権者一覧(借入先・残高)、督促状、給与明細、源泉徴収票、家計の収支
債務整理の3つの手続と、財産に関わる基本用語
任意整理・個人再生・自己破産の違い
債務整理には、主に次の3つの手続があります。財産の扱いを理解するうえで、まず手続の性質の違いを押さえておくと整理しやすくなります。
- 任意整理:裁判所を通さず、債権者と直接交渉して将来利息のカットや分割返済などを取り決める方法です。裁判所が財産を換価する手続ではありませんが、返済原資の確保や銀行口座の扱いを考える必要があります。
- 個人再生:裁判所の手続により、借金を法律で定められた範囲まで減額し、原則として分割で返済していく方法です。財産を直ちに処分する手続ではありませんが、後述する清算価値保障原則により、保有財産が返済総額に影響することがあります。
- 自己破産:裁判所の手続により、原則としてすべての借金の支払義務を免除してもらう方法です。一定の財産は処分(換価)して債権者への配当に充てられますが、生活に必要な範囲の財産は手元に残せる仕組みがあります。
どの手続が向いているかは、借金額・収入・財産・住宅の有無・家族構成などにより異なります。手続選択そのものについては、任意整理・個人再生・自己破産の違いと選び方もあわせてご確認ください。
解約返戻金・退職金見込額・清算価値・自由財産・破産財団・相殺とは
本記事で繰り返し登場する用語を、先に簡単に整理します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 解約返戻金 | 生命保険を解約したときに払い戻されるお金。貯蓄性のある保険ほど大きくなりやすく、掛け捨て型では生じないか少額のことがあります。 |
| 退職金見込額 | 現時点で退職した場合に支給される見込みの退職金額。勤務を継続中でも、財産評価や清算価値の資料として確認を求められることがあります。 |
| 清算価値 | 仮に自己破産をしたら債権者に配当されたであろう財産の総額。個人再生の返済額に関わります。 |
| 自由財産 | 自己破産をしても手元に残せる財産。法律上当然に残せるものと、裁判所が範囲を広げて認めるもの(自由財産の拡張)があります。 |
| 破産財団 | 自己破産で処分(換価)の対象となる財産の総称。破産手続開始時に持っていた財産が原則として含まれます。 |
| 相殺 | 借入先と同じ銀行に預金がある場合などに、預金と借金を差し引きして帳消しにすること。預金が借金の返済に充てられます。 |
生命保険は債務整理でどう扱われるか
問題になるのは「解約返戻金」の有無と金額
債務整理で問題になるのは、保険に加入していること自体ではなく、主に解約したときに戻ってくるお金(解約返戻金)の有無と金額です。解約返戻金は財産的な価値があるため、手続によっては財産評価や清算価値の対象になります。一方、掛け捨て型のように解約返戻金がない、または少額の保険では、扱いが異なる可能性があります。
そのため、まずはご自身の保険に解約返戻金があるか、あるとしていくらかを、保険会社が発行する解約返戻金額の分かる資料で確認することが出発点になります。
手続別の扱い(任意整理・個人再生・自己破産)
- 任意整理:裁判所が財産を換価する手続ではないため、保険そのものが直ちに問題になるわけではありません。ただし、返済原資をどう確保するか、将来的に個人再生・自己破産に移行する可能性も含めて検討する必要があります。
- 個人再生:解約返戻金は清算価値に算入され、返済総額に影響することがあります。保険を解約しなくても、解約返戻金相当の価値が清算価値として計算されうる、という点が重要です。
- 自己破産:解約返戻金は財産評価の対象になります。保険を維持できるかどうかは、自由財産の拡張が認められるか、裁判所や破産管財人がどう判断するかなどによって変わります。医療保障の必要性が高く再加入が困難といった事情が考慮される場合もありますが、結論は事案により異なります。
解約返戻金が一定額以下であれば処分・換価の対象としない運用がみられる一方、その基準は裁判所によって異なります。具体的な基準額や扱いは、裁判所の運用や事案により異なるため、弁護士による資料確認が必要です。
契約者・被保険者・受取人・契約者貸付の確認
保険は「誰が契約者か」「保険料を誰が負担しているか」「受取人は誰か」によって扱いの検討が変わります。たとえば、契約者がご本人であれば解約返戻金はご本人の財産として検討対象になりますが、家族が契約者・保険料負担者である保険は事情が異なります。また、すでに契約者貸付(保険の解約返戻金を担保に保険会社から借入れをする仕組み)を利用している場合は、その残高も確認が必要です。
これらは保険証券や契約内容の確認が前提となります。自己判断で名義を変更したり、契約者貸付を利用したり、親族へ移したりすると、後の手続で不利に評価される可能性がありますので、動かす前に確認することをおすすめします。
退職金・退職金見込額は債務整理でどう扱われるか
受領済み・退職予定・勤務継続中で扱いが異なる
退職金は、現在どの段階にあるかによって扱いが大きく変わります。整理すると次のとおりです。
- すでに受け取った退職金:受領後は預貯金や現金として手元にあるため、預貯金・現金の問題として扱われます。
- 近く退職予定で受け取る見込みの退職金:受け取りが具体的に見込まれるため、財産評価・清算価値に反映される範囲が比較的大きくなりやすい傾向があります。
- 勤務を継続中で当面退職予定がない退職金:実際に受け取るのは将来であり、退職しなければ受け取れないため、財産評価・清算価値に反映される範囲は限定される運用が一般的です。
退職金見込額のうちどの範囲が財産評価や清算価値に反映されるか(その割合)は、手続・退職時期・裁判所の運用により異なります。具体的な割合や金額は、裁判所の運用や事案により異なるため、弁護士による資料確認が必要です。なお、勤務継続中の退職金をすぐに受け取るために退職を急ぐ必要は、通常はありません。
必要になりうる資料(退職金見込額証明書など)
自己破産や個人再生では、退職金の見込額を確認するために、退職金見込額が分かる資料の提出を求められることがあります。代表的には、勤務先が発行する退職金見込額証明書のほか、退職金規程・就業規則、勤続年数や給与の分かる資料(給与明細・源泉徴収票など)が確認の手がかりになります。
勤務先に知られたくない場合の考え方
「退職金見込額証明書を会社に頼むと、債務整理を知られてしまうのではないか」という不安はよく聞かれます。これは多くの方が気にされる点ですが、「会社に必ず知られない」と断定することはできません。一方で、退職金規程や就業規則から見込額を算定できる場合など、証明書以外の資料で対応できる余地があるケースもあります。どの資料で対応できるか、取得方法をどう工夫するかは事案により異なりますので、勤務先に依頼する前に弁護士に相談しておくと、進め方を整理しやすくなります。
退職金見込額の資料の集め方や、保険を解約してよいかどうかは、自己判断で動く前に確認しておくと安心です。神戸みらい法律会計事務所では、財産状況を整理したうえで手続の見通しを検討するご相談を承っています。
預貯金は債務整理でどう扱われるか
本人名義の預貯金と「現金」との違い
預貯金は、ご本人名義の口座残高や通帳の入出金履歴、入出金の理由が確認の対象になります。自己破産では預貯金は財産として扱われ、個人再生では清算価値に影響することがあります。
ここで誤解が多いのが、現金と預貯金の違いです。自己破産では、現金のうち99万円以下は法律上当然に手元に残せる自由財産とされています(破産法第34条第3項第1号、民事執行法・同法施行令)。もっとも、ここでいう「現金」に預貯金は含まれません。預貯金は、現金とは別の枠組み(自由財産の拡張など)で扱われ、その基準は裁判所によって異なります。「預金も99万円まで当然に残せる」と考えるのは誤りですので、注意が必要です。
預貯金が一定額以下であれば処分・換価の対象としない運用がみられますが、その基準額は裁判所により異なります。また、申立て直前に預金を引き出して現金化しても、当然に現金としての扱いを受けられるとは限りません。具体的な基準や扱いは、裁判所の運用や事案により異なるため、弁護士による資料確認が必要です。
借入先と同じ銀行に口座がある場合(口座凍結・相殺)
実務上とくに注意が必要なのが、借入れのある銀行に預金口座も持っている場合です。弁護士が債務整理を受任して銀行に受任通知を送ると、その銀行の口座が凍結され、口座に残っていた預金が借金と相殺される(借金の返済に充てられる)ことがあります。これは任意整理・個人再生・自己破産のいずれでも起こりえます。
さらに注意したいのは次の点です。
- 銀行は「名寄せ」により同一人の口座を支店をまたいで把握しているため、別支店の預金口座も凍結の対象になることがあります。
- 口座凍結後に振り込まれた給与や年金は、相殺の対象にはならないと考えられていますが、凍結が解除されるまでは引き出しにくくなります。凍結は、保証会社による代位弁済などを経て解除されるまで一定期間続くことがあります。
- 同じ銀行で借入れの保証人になっている方の口座が凍結・相殺される可能性もあります。
そのため、給与や年金の振込先、公共料金などの引落先が借入先の銀行になっている場合は、受任通知を送る前に振込先・引落先を別の金融機関に変更しておくなどの準備が重要になります。任意整理では、口座凍結のおそれがある銀行を手続の対象から外すといった調整が可能な場合もあります。どのタイミングで何を変更すべきかは、弁護士に相談しながら進めると安全です。
給与口座・年金口座・引落先・家族名義口座
給与振込口座、年金受取口座、公共料金や家賃の引落口座、事業用口座などは、それぞれ生活への影響が大きいため、個別に扱いを確認する必要があります。家族名義の口座は原則として手続の対象となるご本人の財産ではありませんが、実質的にご本人の資金が入っている場合などは確認の対象になりえます。いずれにせよ、口座を整理する前に資料を確認しておくことが大切です。
なぜ保険・退職金・預貯金が返済額に影響するのか
個人再生の清算価値保障原則
個人再生では、再生計画で定める返済総額が、仮に自己破産をしたら債権者に配当されたであろう金額(清算価値)を下回ってはならないというルールがあります。これを清算価値保障原則といい、再生計画が「再生債権者の一般の利益に反するとき」は認可されないという形で定められています(民事再生法第174条第2項第4号)。
そのため、解約返戻金・退職金見込額・預貯金などの財産が多いほど清算価値が大きくなり、返済総額が引き上げられる可能性があります。個人再生では、借金額に応じて定まる最低弁済額の基準と、この清算価値の基準のうち、高い方が返済総額の目安になります。借金額に応じた最低弁済額の考え方については、個人再生の最低弁済額の考え方もあわせてご確認ください。また、住宅をお持ちの場合は住宅の価値も清算価値に関わるため、住宅ローンがある場合の個人再生も参考になります。
清算価値の算定方法(自由財産に相当する額を控除するかどうかなど)には、裁判所による運用の違いがあります。具体的な計算は、裁判所の運用や財産状況により異なるため、弁護士による資料確認が必要です。
自己破産の配当と自由財産
自己破産では、破産手続開始時に持っていた財産が原則として破産財団となり(破産法第34条第1項)、処分(換価)して債権者への配当に充てられます。もっとも、生活の再建に必要な範囲の財産は自由財産として手元に残せます。具体的には、99万円以下の現金(破産法第34条第3項第1号)、差押えが禁止された財産(同項第2号)、破産手続開始後に新たに取得した財産(新得財産)などです。さらに、生活の状況などを考慮して、裁判所が自由財産の範囲を広げて認める自由財産の拡張という仕組みもあります(破産法第34条第4項)。
任意整理での返済原資への影響
任意整理は裁判所が財産を換価する手続ではないため、保険・退職金・預貯金が直ちに処分されるわけではありません。ただし、毎月の返済を続けられるかどうか(返済原資の確保)や、前述の口座凍結・相殺の問題、将来的に個人再生・自己破産を選ぶ可能性まで含めて、財産状況を踏まえた検討が必要になります。
手続前に確認したい資料と、避けるべき行動
保険・退職金・預貯金ごとの必要資料
相談前に次の資料を整理しておくと、方針を検討しやすくなります。すべてが直ちに必要というわけではありませんが、手元にあるものから準備しておくとスムーズです。
- 生命保険:保険証券、解約返戻金額が分かる資料、契約者貸付の有無が分かる資料
- 退職金:退職金見込額が分かる資料、退職金規程・就業規則、勤続年数の分かる資料
- 預貯金:すべての金融機関の通帳・取引履歴、給与・年金の振込先、公共料金や家賃の引落先
- 共通:債権者一覧(借入先・残高)、督促状や請求書、給与明細、源泉徴収票、家計の収支が分かるもの
通帳や取引履歴は一定期間分の提出を求められることがありますが、必要な期間は裁判所や事案により異なります。具体的な必要期間は、弁護士による確認が必要です。
相談前にやってよいこと・避けるべきこと
相談前は、現状を「動かさずに整理する」ことが基本です。とくに次の行動は、自己破産の免責の判断や管財事件化、個人再生の清算価値の算定などに影響する可能性があるため、自己判断で行う前に相談することをおすすめします。
- 生命保険を自己判断で解約する
- 退職金を受け取るために退職を急ぐ
- 預金をまとめて引き出す、または不自然に資金を移動する
- 財産を家族名義に変更する
- 一部の債権者・親族・勤務先だけに返済する
- 通帳・保険証券・退職金資料などを隠す
- SNSや匿名掲示板の情報だけで判断する
一方で、借入先と別の銀行に給与振込先を変更しておく、必要な資料を集めておく、家計の収支を把握しておくといった準備は、相談を進めやすくする方向に働きます。どこまで進めてよいか迷う場合は、動かす前に確認するのが安全です。
弁護士に相談するタイミング
保険の解約、退職金資料の取得、口座の変更、債権者への返済、そして申立ての前――これらの「動かす」前が、相談に適したタイミングです。いったん保険を解約したり預金を移したりしてしまうと、後から元に戻すことが難しく、手続上不利に評価される場合もあるためです。
弁護士への相談は、結果を保証するものではありませんが、保険・退職金・預貯金を含む財産状況を整理し、どの手続が取りやすいか、返済額や生活への影響がどの程度になりそうかという見通しを検討するために役立ちます。ご自身の状況を整理したうえで、納得して手続を選ぶための判断材料を得ることができます。
よくある質問
Q.債務整理をすると生命保険は必ず解約されますか。
A.必ず解約されるわけではありません。問題になるのは主に解約返戻金の有無と金額で、手続や金額、裁判所の運用により扱いが異なります。掛け捨て型など解約返戻金がない保険では扱いが異なる可能性があります。資料を確認したうえで判断する必要があります。
Q.解約返戻金がない保険も問題になりますか。
A.解約返戻金がない、または少額の保険は、財産的価値が小さいため問題になりにくい傾向があります。ただし、契約者や保険料負担者、契約者貸付の有無などにより検討が変わることがあるため、保険証券で内容を確認することをおすすめします。
Q.退職金をまだ受け取っていなくても申告が必要ですか。
A.勤務を継続中であっても、退職金見込額が財産評価や清算価値の資料として確認を求められることがあります。ただし、勤務継続中で当面退職予定がない場合は、反映される範囲が限定される運用が一般的です。具体的な範囲は事案や裁判所の運用により異なります。
Q.退職金見込額証明書を勤務先に頼めない場合はどうすればよいですか。
A.退職金規程や就業規則から見込額を算定できる場合など、証明書以外の資料で対応できる余地があるケースもあります。会社に必ず知られないと断定はできませんが、取得方法や代替資料は事案により異なりますので、依頼する前に弁護士に相談することをおすすめします。
Q.個人再生では保険や退職金が返済額に影響しますか。
A.影響する可能性があります。個人再生には清算価値保障原則があり、解約返戻金や退職金見込額などの財産が多いほど、返済総額が引き上げられることがあります。具体的な金額は財産状況や裁判所の運用により異なります。
Q.預貯金はどこまで残せますか。
A.自己破産では預貯金は財産として扱われ、現金とは扱いが異なります。一定額以下なら処分対象としない運用もありますが、基準は裁判所により異なります。「現金99万円まで」と同じ基準が預金にそのまま当てはまるわけではないため、資料を確認したうえで判断する必要があります。
Q.借入れのある銀行口座は使い続けられますか。
A.借入先と同じ銀行の口座は、受任通知後に凍結され、預金が借金と相殺される可能性があります。給与や年金の振込先・引落先になっている場合は、事前に別の金融機関へ変更しておくなどの準備が必要です。タイミングを含め、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
Q.手続前に保険を解約したり預金を移したりしてよいですか。
A.自己判断で行うことはおすすめしません。保険の解約、預金の移動、家族名義への変更、一部の債権者への返済などは、免責の判断や清算価値の算定に影響する可能性があります。動かす前に弁護士に相談することで、不利な評価を避けやすくなります。
まとめ
- 生命保険・退職金・預貯金の扱いは、任意整理・個人再生・自己破産で異なり、同じ手続でも財産の種類・金額・裁判所の運用により結論が変わります。
- 生命保険は、保険そのものではなく解約返戻金の有無と金額が中心的な問題です。
- 退職金は、受領済み・退職予定・勤務継続中のどの段階かで扱いが変わります。具体的な評価の範囲は事案や運用により異なります。
- 預貯金は、現金とは扱いが異なり、借入先と同じ銀行の口座は凍結・相殺に注意が必要です。
- 個人再生では清算価値保障原則により、保有財産が返済総額に影響する可能性があります。
- 保険の解約、退職、預金の移動、名義変更、一部返済などは、自己判断で行う前に相談することが大切です。
- 相談前に保険証券・退職金資料・通帳・債権者一覧などを整理しておくと、方針を検討しやすくなります。
生命保険・退職金・預貯金を含めた財産状況を整理することで、手続選択や返済額の見通しを検討しやすくなります。自己判断で動かす前に、一度状況を整理してみませんか。神戸みらい法律会計事務所では、借金問題(債務整理)に関するご相談を承っています。
監修者・執筆者情報
神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご支所)
弁護士・公認会計士 藤井 貴之
所属:兵庫県弁護士会/日本公認会計士協会兵庫会
取扱分野:借金問題(債務整理)ほか
弁護士の紹介は弁護士紹介ページをご覧ください。

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