窃盗事件の弁護活動について
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窃盗事件の弁護活動
はじめに
窃盗罪は、万引き、下着窃盗、置引き、ひったくり、住居侵入窃盗、事務所荒らし、自動車窃盗などの他人の物を故意に持ち去ったり、無断で使用する犯罪のことをいいます。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
窃盗罪のうち、住居侵入窃盗・自動車窃盗などは、逮捕・勾留されてしまうことが多いですが、逮捕・勾留段階における弁護活動のポイントは、被害弁償を行うことになります。
また、窃盗罪では保釈が認められることが多く、窃盗罪で起訴された場合の量刑においても、被害弁償・示談の有無が重要になり、また、被害金額がどの程度であるかも重要になります。
本コラムでは、窃盗事件の弁護活動について、淡路島の弁護士が解説いたします。
起訴前(逮捕・勾留)段階の弁護活動
1 逮捕・勾留されてしまうかどうか
万引きなどの比較的軽微なものとされる窃盗類型の場合、前科・前歴又は常習性がなければ逮捕・勾留されないことが多いです。
一方で、前科・前歴又は常習性がある場合、勾留が認められる危険性は一気に高まります。
前回勾留されなかったから、今回も勾留されないと考えている方もいますが、勾留されてしまうことを前提として見通しを立てておくことも必要です。
これに対して、住居侵入窃盗や自動車窃盗などの被害金額が高額になりやすい窃盗類型では、逮捕・勾留されてしまうことが多いです。
このような類型では、犯行態様が悪質として評価されるおそれがあり、共犯事件も多いため、検察官が勾留請求してくる可能性は高いと考えられ、裁判所も勾留請求を求める可能性が高いと考えられます。
このため、後述のとおり、被害者と示談交渉を行って、被害弁償を行い、示談を成立させることによって釈放・不起訴を目指すことになります。
2 起訴前(逮捕・勾留)段階における弁護活動のポイント
窃盗罪は財産犯(他人の財産を侵害する犯罪)であるため、被害弁償(=犯罪行為の被害者に対して、金銭等の賠償を行うこと)を行ったかどうか、示談が成立したかどうかが、起訴・不起訴の判断において大きく考慮されます。
同種前科・前歴があっても、示談が成立した場合、起訴されるリスクは相当減少します。
不起訴を勝ち取るためには、被害弁償の申出を行って、示談を成立させることが最も重要になります。
なお、示談を成立させるためには、実務上、弁護士に依頼した上で、示談交渉を行う必要があることが多いですが、万引きなどでは、親族による被害弁償が行われていることも多いです。
万引きなどでは、被害金額も比較的少額になることが多く、前科・前歴が複数あるなどでなければ不起訴や略式による罰金刑にとどまることが多いです。
一方で、住居侵入窃盗や自動車窃盗などでは、被害金額が高額になりやすく、犯行態様が悪質として評価されるおそれがあることから、速やかに被害弁償を行う必要があります。
示談できない場合には、起訴されることを覚悟しなくてはならず、被害弁償を行って示談をしたとしても、場合によっては起訴されてしまうことがあります。
起訴後(公判)段階の弁護活動
1 保釈が認められるかどうか
保釈請求には、➀権利保釈と➁裁量保釈がありますが、窃盗罪は権利保釈が認めれ得る犯罪であるため、除外事由に該当しない限り、被告人の権利として保釈が認められます。
権利保釈の却下事由(除外事由)としては、証拠隠滅行為が疑われること(「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること」)ですが、窃盗は、比較的保釈が認められやすい犯罪であす。
したがって、住居侵入窃盗などの事案であったり、執行猶予中の再犯であったりした場合でも、保釈請求が認められることが多いです。
ただし、共犯事件の場合、事実関係に争いがなくても、役割分担などが重要な情状事実になるため、共犯者の被告人質問又は証人尋問が終了するまで保釈が認められないことがあります。
また、余罪があることで、保釈が認められないことがあり、仮に保釈が認められた場合でも再逮捕されてしまうことがあります。
2 窃盗罪の量刑及び起訴後(公判)段階の弁護活動のポイント
窃盗罪では、略式起訴を含む簡易裁判所に対する起訴が多いことが特徴です。
また、懲役刑・禁固刑などではなく、罰金刑が選択されることが多いことも特徴です。
万引きなどで、被害金額も少額である場合、仮に起訴されても略式請求による罰金刑にとどまり、勾留満期に即日釈放されることがあります。
示談が成立し被害が回復していれば、前科・前歴が複数ある、常習性があるなどでなければ略式による罰金刑等にとどまることが多く、実刑になることはほぼありません。
一方で、被害金額が100万円を超えるような重大な事案では、「前科・前歴」がなく、余罪のない場合であっても、被害が回復されていない又は示談が成立していない場合、執行猶予が付されることなく実刑になってしまうこともあるため、被害弁償を行って示談を成立させることが非常に重要になります。
刑事事件・少年事件の弁護士費用
捜査弁護活動(起訴前弁護活動)
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公判弁護(起訴後弁護)
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