「離婚の話し合いがまとまらないので調停を申し立てたい。でも、神戸のどこの裁判所に出せばよいのか分からない」——そのように迷う方は少なくありません。神戸市内にお住まいでも、申立先は必ずしも神戸家庭裁判所の本庁とは限らず、お住まいの区によっては明石支部が申立先になります。
この記事では、神戸で離婚調停(正式には「夫婦関係調整調停(離婚)」)を申し立てるときの、申立先の決まり方、神戸家庭裁判所本庁と明石支部の管轄の違い、神戸市西区の扱い、申立てから調停期日までの流れ、そして申立て前に準備しておきたい資料を、裁判所の公表情報をもとに整理します。結論の方向性を先にお伝えすると、申立先は「申立人(あなた)の住所」ではなく、原則として「相手方の住所地」または「当事者の合意」で決まります。
申立先や必要書類は、事案やお住まいの区によって変わります。どこに申し立てるのか、何を準備すればよいのかを整理したいという方は、資料を確認したうえで方針をご説明します。
Contents
神戸で離婚調停を申し立てるときの要点(全体像)
細かい説明に入る前に、まず全体像を整理します。以下は神戸で離婚調停を検討する際の出発点です。個別の事情により結論は変わりますので、最終的にはご自身のケースに即して確認してください。
神戸での離婚調停・申立先の要点
- 正式名称は「夫婦関係調整調停(離婚)」で、家庭裁判所に申し立てます。
- 申立先は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です(家事事件手続法第245条第1項)。
- 「自分が神戸市民だから神戸家庭裁判所」とは限りません。相手方がどこに住んでいるかが基本になります。
- 神戸市内でも、西区にお住まいの方は神戸家庭裁判所明石支部、それ以外の区は本庁が管轄です。
- 申立てには収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手、夫婦の戸籍謄本などが必要です。
相手方の住所地別・申立先の早見表
離婚調停は相手方の住所地が基準になるため、下表は相手方がどこに住んでいるかで整理しています。神戸市内の区の分かれ方は、裁判所が公表する管轄区域表にもとづくものです(市町村名は令和元年5月1日現在の行政区画によります)。事件の種類等によっては提出先が異なる場合があるため、申立ての際は申立先の家庭裁判所にご確認ください。
| 相手方の住所地 | 申立先(家庭裁判所) |
|---|---|
| 神戸市(中央区・東灘区・灘区・兵庫区・長田区・須磨区・垂水区・北区) | 神戸家庭裁判所 本庁 |
| 神戸市西区 | 神戸家庭裁判所 明石支部 |
| 明石市 | 神戸家庭裁判所 明石支部 |
| 尼崎市・西宮市・芦屋市 | 神戸家庭裁判所 尼崎支部 |
| 伊丹市・宝塚市・川西市・川辺郡(猪名川町) | 神戸家庭裁判所 伊丹支部 |
| 上記以外・兵庫県外 | 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(要確認) |
相手方が兵庫県外に住んでいる場合は、その住所地を管轄する家庭裁判所が申立先になるのが原則です。ただし、当事者間で申立先の家庭裁判所を合意している場合には、その家庭裁判所に申し立てられることがあります。
離婚調停(夫婦関係調整調停)とはどんな手続か
協議離婚・調停・裁判の違い
離婚には、当事者の話し合いで離婚届を提出する「協議離婚」、家庭裁判所で話し合う「調停離婚」、裁判所の判決による「裁判離婚」などがあります。協議で合意できない場合や、そもそも話し合いができない場合に、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。調停は非公開で、裁判官と調停委員で構成される調停委員会を介して話し合いを進めます。
離婚調停で話し合える主なこと
離婚調停では、離婚そのものの合意だけでなく、次のような事項もあわせて話し合うことができます。未成年のお子さんがいる場合は、離婚後の親権者を定める必要があります。
- 離婚するかどうか
- 未成年の子の親権者
- 面会交流の方法
- 養育費
- 財産分与
- 年金分割の割合
- 慰謝料
調停前置主義(訴訟の前にまず調停)
離婚について裁判(離婚訴訟)を起こすには、原則として、まず家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。これを調停前置主義といいます(家事事件手続法第257条第1項)。相手方が行方不明であるなど一定の場合には例外もありますが、本記事では訴訟の詳細には立ち入りません。まずは調停での話し合いから始まる、という流れをおさえておいてください。
申立先は「相手方の住所地」が基本
離婚調停の申立先は、原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です(家事事件手続法第245条第1項)。ここで重要なのは、申立人(申し立てるあなた自身)の住所地は、原則として申立先の基準に含まれないという点です。「自分が神戸市に住んでいるから神戸家庭裁判所」と考えてしまいがちですが、基本となるのは相手方がどこに住んでいるかです。
別居していて相手方が神戸市外や県外に住んでいる場合、申立先はその相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になるのが原則です。管轄のない裁判所に申し立てると、後で管轄のある裁判所に移送されることがあります。申立て前に、相手方の住所地からどの家庭裁判所になるかを確認しておくとスムーズです。
当事者の合意で申立先を決める場合
当事者間で「この家庭裁判所に申し立てる」という合意ができている場合には、その家庭裁判所に申し立てることができます。もっとも、この合意は書面等によることが必要とされています(家事事件手続法第245条第2項が民事訴訟法の規定を準用)。合意で申立先を決めたい場合は、どのような形で合意すればよいかを含め、事前に確認しておくとよいでしょう。
神戸家庭裁判所本庁と明石支部の違い
神戸市内で離婚調停を申し立てる場合、お住まいの区(相手方の住所地)によって、本庁になるか明石支部になるかが分かれます。裁判所が公表する管轄区域表にもとづくと、神戸市内では西区が明石支部、その他の区が本庁の管轄です。
| 裁判所 | 主な管轄区域(神戸市内) | 所在地の目安 |
|---|---|---|
| 神戸家庭裁判所 本庁 | 中央区・東灘区・灘区・兵庫区・長田区・須磨区・垂水区・北区(ほか三木市・三田市) | 神戸市兵庫区荒田町(市営地下鉄大倉山駅・JR神戸駅方面) |
| 神戸家庭裁判所 明石支部 | 西区(ほか明石市) | 明石市天文町(JR明石駅・山陽人丸前駅方面) |
神戸家庭裁判所(家裁)と神戸地方裁判所(地裁)は別の裁判所です。離婚調停は家庭裁判所に申し立てます。また、神戸家庭裁判所の本庁は三宮ではなく神戸市兵庫区にあります。所在地やアクセス、連絡先は変わることがあるため、出向く前に裁判所の公式情報で最新の内容を確認してください。
申立てに必要な書類と費用
主な必要書類
離婚調停の申立てに必要な主な書類は次のとおりです。事案の内容によっては、追加の書類の提出を求められることがあります。
- 申立書およびその写し1通
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 事情説明書(夫婦関係調整)
- 子についての事情説明書
- 進行に関する照会回答書
- 送達場所等届出書
- 年金分割の割合を求める場合は、年金分割のための情報通知書(発行から一定期間内のもの。請求手続は年金事務所等の窓口で確認します)
神戸家庭裁判所では、調停の進行に応じて、親権(監護)に関する照会書や財産目録の作成・提出をお願いされることがあります。また、未成年のお子さんがいる場合は、初回の調停期日の前に、裁判所が案内する動画の視聴をすすめられることがあります。
費用の目安
申立てにかかる費用は、収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です。郵便料(切手の金額)は裁判所ごとに、また時期によって異なるため、申立ての際に申立先の家庭裁判所の案内で確認してください。このほか、戸籍謄本の取得費用などがかかります。
申立てから調停期日までの流れ
申立てから調停が終わるまでの大まかな流れは次のとおりです。かかる期間や回数は、事案の内容や裁判所の状況によって異なりますので、目安として捉えてください。
- 必要書類・資料を準備する
- 申立先の家庭裁判所に申立書を提出する
- 裁判所から連絡があり、初回の調停期日が指定される
- 初回の調停期日に出席し、話し合いを行う
- 必要に応じて継続の期日が重ねられる
- 合意に至れば調停成立、まとまらなければ調停不成立となる
初回調停期日で行われること
調停期日は非公開で行われ、裁判官と調停委員で構成される調停委員会を介して、当事者が交互に事情を説明する形で進むのが一般的です。調停では、原則として、呼び出しを受けた当事者本人が期日に出席することになります。離婚の調停では、弁護士に依頼している場合でも、本人の出席を求められることが多い点に留意してください。初回期日には、申立ての内容や希望する条件、これまでの経緯を整理して臨むとよいでしょう。
ウェブ会議の利用
遠方に住んでいる、相手方と同じ場所にいることに不安がある、などの事情がある場合、家庭裁判所が相当と認め、当事者の意見を聴いたうえで、ウェブ会議を利用して調停期日に参加できる場合があります(家事事件手続法第258条第1項等)。また、令和7年3月1日以降は、離婚の調停について、ウェブ会議の方法で調停を成立させることもできるようになりました(電話会議の方法では成立させられません)。ウェブ会議を利用できるかどうかは、実際に調停を行う裁判所が、事情をうかがったうえで判断します。神戸家庭裁判所では、本庁と各支部で運用が異なる場合があるため、希望する場合は申立先の裁判所に確認してください。
神戸で迷いやすいケースと注意点
実際のご相談で迷いやすい場面を整理します。いずれも個別事情や裁判所の判断によって結論が変わるため、資料を確認したうえで検討することが大切です。
- 相手方が神戸市外・県外に住んでいる:原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が申立先になります。
- 相手方が神戸市西区に住んでいる:管轄区域表にもとづくと、神戸家庭裁判所明石支部が申立先になります。
- 相手方の住所が分からない:住所の調査や、住所が分からない場合の手続について検討が必要になります。まずは裁判所の家事手続案内や弁護士にご相談ください。
- 相手方と顔を合わせたくない、DV・モラハラで現住所を知られたくない:待合室を分けるなどの配慮や、送達場所等の届出、住所等を相手方に知られないための申出(非開示を求める申出)などを検討できる場合があります。どのような配慮を受けられるかは、事案の内容や裁判所の判断によって異なりますので、早めにご相談ください。
- 子ども・養育費・親権・面会交流もあわせて話したい:離婚調停の中で、これらの事項をあわせて話し合うことができます。
- 財産分与・年金分割・慰謝料もまとめて話したい:これらも離婚調停で取り上げることができます。年金分割の割合を求める場合は、年金分割のための情報通知書が必要になります。
申立て前に確認しておきたいことチェックリスト
申立ての前に、次の資料や確認事項をそろえておくと、手続や話し合いを進めやすくなります。すべてが必ず必要というわけではなく、事案によって変わります。
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 相手方の住所が分かる資料
- 収入資料(源泉徴収票・給与明細・確定申告書など)
- 預貯金・不動産・保険・退職金など、財産が分かる資料
- 年金分割のための情報通知書の要否
- お子さんの監護状況・学校・通院・生活状況が分かる資料
- 相手方とのメッセージ・メール・手紙など
- DV・モラハラ・不貞・浪費などを裏付ける資料
- 住所を知られたくない場合の送達場所等届出・非開示の申出の要否
- 申立先・費用・提出方法の確認
弁護士に相談するタイミング
離婚調停は、ご本人で申し立てることもできます。そのうえで、弁護士に相談すると、結果を保証するものではありませんが、判断材料や対応方針を整理しやすくなります。
申立ての前に相談すると、申立先の確認、必要書類の準備、主張の整理、住所を知られたくない場合の対応、子どもや財産に関する資料の整理などを、まとめて検討しやすくなります。すでに申立てや期日が進んでいる段階でも、期日での対応や主張の整理についてご相談いただけます。
申立先の確認や必要書類の整理、期日での進め方など、離婚調停は準備によって見通しを検討しやすくなります。資料を確認したうえで対応方針を整理したいという方は、ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
神戸市に住んでいれば、神戸家庭裁判所に申し立てられますか?
必ずしもそうとは限りません。離婚調停の申立先は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。ご自身が神戸市民であることだけでは決まらず、相手方がどこに住んでいるかが基本になります。
離婚調停の申立先は、誰の住所で決まりますか?
原則として相手方の住所地です(家事事件手続法第245条第1項)。申立人自身の住所地は、原則として申立先の基準には含まれません。当事者間で合意した家庭裁判所に申し立てられる場合もあります。
神戸市西区の場合は、本庁と明石支部のどちらですか?
裁判所が公表する管轄区域表にもとづくと、神戸市西区は神戸家庭裁判所明石支部の管轄です。その他の区は本庁の管轄です。ご自身のケースにあたる申立先は、申立ての際に裁判所の公式情報で確認することをおすすめします。
神戸家庭裁判所の本庁は三宮にありますか?
本庁は三宮ではなく、神戸市兵庫区にあります。また、神戸家庭裁判所と神戸地方裁判所は別の裁判所です。所在地やアクセスは変わることがあるため、出向く前に最新情報をご確認ください。
離婚調停の申立てには何が必要ですか?
申立書とその写し、夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、事情説明書、子についての事情説明書、進行に関する照会回答書、送達場所等届出書などが必要です。年金分割の割合を求める場合は情報通知書も必要になります。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。事案により追加書類を求められることがあります。
相手方に現在の住所を知られたくない場合はどうすればよいですか?
送達場所等の届出や、住所等を相手方に知られないための申出(非開示を求める申出)などを検討できる場合があります。どのような配慮を受けられるかは、事案の内容や裁判所の判断によって異なります。DV・モラハラなどの事情がある場合は、早めに裁判所の家事手続案内や弁護士にご相談ください。
ウェブ会議で調停に参加できますか?
家庭裁判所が相当と認め、当事者の意見を聴いたうえで、ウェブ会議を利用して期日に参加できる場合があります。令和7年3月1日以降は、離婚の調停をウェブ会議の方法で成立させることもできるようになりました。利用できるかは実際に調停を行う裁判所が判断します。
弁護士には申立ての前に相談した方がよいですか?
前後どちらでも相談は可能です。申立ての前に相談すると、申立先の確認、必要書類の準備、主張の整理、資料の整理などをまとめて検討しやすくなります。申立て後でも、期日での対応や主張の整理についてご相談いただけます。
まとめ
- 神戸で離婚調停を申し立てる場合、申立先は原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。
- 「申立人が神戸市民だから神戸家裁」とは限りません。相手方の住所地が基本になります。
- 神戸市内では、西区は神戸家庭裁判所明石支部、その他の区は本庁が管轄です(申立時に公式情報で確認)。
- 本庁は三宮ではなく兵庫区にあり、神戸地方裁判所とは別の裁判所です。
- 申立てには収入印紙1,200円分・郵便切手・戸籍謄本などが必要で、郵便料は申立先で確認します。
- 迷ったら、申立先の確認・必要書類・住所を知られたくない場合の対応などを、資料を確認したうえで整理することが大切です。
神戸市須磨区・垂水区・西区・北区や明石方面で離婚調停をご検討の方へ。申立先や準備資料の確認から、現在の状況を整理することができます。事案により結論は異なりますので、戸籍謄本や資料をお持ちのうえ、ご相談をご検討ください。
監修・執筆
神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご支所)は、神戸市須磨区・名谷駅前に所在し、離婚・男女問題に関するご相談に対応しています。本記事は、当事務所の弁護士が内容を確認しています。担当弁護士の経歴・取扱分野は弁護士紹介ページをご覧ください。
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