不貞慰謝料の請求書、内容証明郵便、通知書、LINE、メールなどが突然届くと、「すぐに払わなければならないのか」「無視してよいのか」「家族や職場に知られるのではないか」と不安になる方は少なくありません。
不貞慰謝料の請求書が届いた場合、感情的に返信したり、事実関係を十分確認しないまま謝罪・自認したり、すぐに支払を約束したりすることは避けるべきです。一方で、無視すればよいというものでもありません。
まずは、請求者、代理人弁護士の有無、回答期限、請求金額、請求根拠、証拠の有無、不貞行為の有無、既婚者と知っていたか、相手夫婦の婚姻関係の状況、時効、示談条項を確認しましょう。支払義務の有無や妥当な金額は、個別事情により異なります。
この記事で分かること
- 不貞慰謝料の請求書や内容証明郵便が届いた直後に確認すべきこと
- 本人名義の請求書、弁護士名義の通知書、LINE・メールでの請求の違い
- 不貞慰謝料を支払う義務が問題になる主な条件
- 請求額を左右し得る事情と、減額・反論を検討できる可能性があるケース
- 時効、債務承認、共同不法行為、求償権、求償権放棄の注意点
- 示談書に署名する前に確認すべき条項
- 弁護士に相談するタイミングと、相談前に準備したい資料
不貞慰謝料を請求された方へ
請求書に回答する前に、請求内容、証拠、時効、示談条件を整理しましょう。神戸みらい法律会計事務所では、不貞慰謝料請求を受けた側のご相談について、資料を確認したうえで対応方針を整理します。
相談条件、費用、受付方法は、対象分野・事案・予約状況により異なる場合があります。最新の案内をご確認ください。
Contents
- 不貞慰謝料の請求書が届いたときにまず確認したい結論
- 届いた書面・連絡で確認すべき項目
- 請求書・内容証明郵便・弁護士名義通知・LINEの違い
- 回答前チェックリスト
- 不貞慰謝料を支払う義務が問題になる主な条件
- 請求額が妥当かを判断する事情
- 請求書に回答する前にやってはいけないこと
- 減額・反論を検討できる可能性があるケース
- 離婚慰謝料と不貞慰謝料は区別して確認する
- 共同不法行為、二重填補、求償権、求償権放棄を確認する
- 時効と債務承認に注意する
- 職場や家族へ連絡すると言われた場合の対応
- 示談書に署名する前に確認すべき条項
- 交渉でまとまらない場合の流れ
- 弁護士に相談すべきケース
- 相談前に準備したい資料
- 不貞慰謝料請求を受けた場合の弁護士費用
- よくある質問
- まとめ
- 監修者・執筆者
- 参考資料
不貞慰謝料の請求書が届いたときにまず確認したい結論
請求書が届いた直後に大切なのは、届いた資料を保存し、回答期限を確認し、事実関係と証拠を整理したうえで、回答方針を決めることです。
請求書に記載された金額や主張が、そのまま確定した支払義務になるわけではありません。他方で、何も回答しないまま放置すると、相手方が再通知、交渉打切り、訴訟提起などを検討する可能性があります。
まずは、次の初動を意識してください。
- 請求書、封筒、内容証明郵便、通知書、LINE、メールを削除せず保存する
- 到着日と回答期限を確認する
- 請求者が相手配偶者本人か、代理人弁護士かを確認する
- 請求金額、請求理由、支払先、示談書案の有無を確認する
- 不貞行為の有無、時期、回数、相手との関係を時系列で整理する
- 既婚者と知った時期、または知り得た事情を整理する
- 相手夫婦が同居していたか、別居していたか、離婚協議中だったかを確認する
- 時効、求償権、求償権放棄、示談条項が問題にならないか確認する
回答期限が短い場合でも、事実関係を確認しないまま「支払います」「全額認めます」と返信することは避けましょう。期限までに方針を決められない場合は、回答期限の延長や、確認中であることを伝える方法を検討することがあります。具体的な文面は、資料を確認したうえで慎重に判断する必要があります。
届いた書面・連絡で確認すべき項目
不貞慰謝料の請求書を受け取ったら、まず書面の内容を項目ごとに分解して確認します。特に、差出人、代理人弁護士、回答期限、請求金額、証拠、示談書案は重要です。
| 確認項目 | 確認する内容 | 回答前の注意点 |
|---|---|---|
| 差出人 | 相手配偶者本人、代理人弁護士、法律事務所、その他の第三者のいずれか | 代理人弁護士が付いている場合、相手本人へ直接連絡することは慎重に判断します。 |
| 代理人弁護士 | 弁護士名、法律事務所名、住所、電話番号、通知書の名義 | 通知書に記載された連絡先が実在するか、不自然な点がないか確認します。 |
| 到着日・回答期限 | いつ届いたか、いつまでに回答を求められているか | 期限が短い場合でも、内容未確認のまま支払約束をしないよう注意します。 |
| 請求金額 | 慰謝料、弁護士費用、調査費用、遅延損害金などの内訳 | 請求額がそのまま妥当な金額とは限りません。事情ごとの検討が必要です。 |
| 請求理由 | いつ、誰と、どのような不貞行為があったと主張されているか | 時期、回数、相手との関係、事実と異なる点を整理します。 |
| 請求対象期間 | いつからいつまでの関係を問題にしているか | 時効、婚姻関係破綻、既婚者認識の時期に関係することがあります。 |
| 証拠の有無 | 写真、調査報告書、ホテル利用、LINE、メール、SNS、通話履歴など | 証拠の内容により、反論可能性や減額を検討できる可能性が変わります。 |
| 支払先 | 本人名義口座、法律事務所の預り金口座など | 支払先が不自然な場合や本人確認ができない場合は、慎重に確認します。 |
| 示談書案 | 金額、支払期限、分割払い、接触禁止、守秘義務、違約金、求償権放棄など | 署名後は撤回が難しくなることがあります。条項ごとの確認が必要です。 |
請求書・内容証明郵便・弁護士名義通知・LINEの違い
不貞慰謝料の請求は、紙の請求書、内容証明郵便、弁護士名義の通知書、LINE・メールなど、さまざまな形式で届くことがあります。形式だけで支払義務が決まるわけではありませんが、対応の優先度を判断する材料になります。
| 種類 | 特徴 | 回答前の注意点 |
|---|---|---|
| 本人名義の請求書 | 相手配偶者本人から送られてくる請求書です。 | 感情的なやり取りになりやすいため、電話やSNSで直接反論する前に内容を整理します。 |
| 弁護士名義の通知書 | 相手方に代理人弁護士が付いていることが多い形式です。 | 相手本人ではなく、代理人宛ての回答方法を検討します。回答文の表現にも注意が必要です。 |
| 内容証明郵便 | どのような内容の文書を、いつ送ったかを証明しやすい郵便です。 | 内容証明郵便自体が不貞行為の真実性を証明するものではありません。ただし、請求時期や時効との関係で重要な資料になります。 |
| LINE・メール | 相手本人や関係者から、簡易な形で請求や連絡が来ることがあります。 | 削除せず、送受信日時、相手の表示名、本文、添付画像が分かる形で保存します。 |
| 電話・口頭での請求 | 書面がないまま、電話や対面で支払を求められることがあります。 | その場で支払約束をせず、日時、相手、内容をメモに残します。録音の可否や方法は状況により慎重な判断が必要です。 |
回答前チェックリスト
請求書に回答する前に、次の項目を確認してください。すべてを自分だけで判断する必要はありませんが、相談前に整理しておくと、対応方針を検討しやすくなります。
- 請求書の差出人は誰か
- 代理人弁護士が付いているか
- 請求書の到着日はいつか
- 回答期限はいつか
- 請求金額はいくらか
- 請求の根拠として何が記載されているか
- 請求対象期間はいつからいつまでとされているか
- 相手との関係の内容は、書面の記載と一致しているか
- 既婚者と知った時期はいつか
- 既婚者と知り得た事情があったか
- 相手夫婦は同居していたか、別居していたか
- 交際開始時点で相手夫婦の婚姻関係が破綻していた可能性があるか
- 不貞行為を裏付ける証拠が示されているか
- LINE、メール、写真、ホテル利用、通話履歴、SNS等の資料があるか
- 自分から送ったメッセージに、事実の自認や支払約束と読める内容がないか
- 相手配偶者とのやり取りが保存されているか
- すでに支払った金銭があるか
- 配偶者側との示談や支払があるか
- 職場や家族への連絡を予告されているか
- 示談書案が届いているか
- 時効の可能性があるか
- 弁護士へ相談する前に整理する資料がそろっているか
チェックした結果、「事実と違う」「金額が高い」「時期が古い」「相手が既婚者だと知らなかった」「相手夫婦はすでに別居していた」などの事情がある場合は、回答前に慎重な検討が必要です。
不貞慰謝料を支払う義務が問題になる主な条件
不貞慰謝料は、一般に不法行為に基づく損害賠償請求として問題になります。民法上、不法行為責任、精神的損害、共同不法行為、時効などが関係します。
もっとも、請求書が届いたからといって、直ちに請求額全額を支払う義務が確定するわけではありません。支払義務の有無は、事実関係と証拠を確認して判断する必要があります。
| 確認する条件 | 確認内容 | 説明 |
|---|---|---|
| 不貞行為の有無 | 肉体関係またはそれに準じる関係があったか | 単なる食事、連絡、好意だけで慰謝料責任が認められるとは限りません。具体的な事実と証拠を確認します。 |
| 故意・過失 | 相手が既婚者であることを知っていたか、または知り得たか | 既婚者だと知らなかった場合でも、注意すれば知り得た事情があったかが問題になります。 |
| 婚姻関係の状況 | 交際開始時点で相手夫婦の婚姻関係が破綻していたか | 単に「夫婦仲が悪い」と聞いていたというだけでは足りないことがあります。別居期間、離婚協議、生活実態などを確認します。 |
| 証拠 | 写真、調査報告書、メッセージ、宿泊資料等があるか | 証拠の有無や内容は、支払義務や金額の検討に影響します。 |
| 損害との関係 | 不貞行為により夫婦関係にどのような影響があったと主張されているか | 夫婦が離婚した場合、別居した場合、夫婦関係を継続している場合で、検討される事情が異なります。 |
既婚者だと知らなかった場合
相手が既婚者であることを本当に知らず、かつ注意しても知り得なかったといえる場合には、支払義務の有無や金額について反論を検討できる可能性があります。
ただし、「知らなかった」と説明するだけでは足りないことがあります。相手の説明、SNSの表示、指輪の有無、休日の過ごし方、家族の話、住居の状況、周囲への紹介状況、メッセージの内容などを確認する必要があります。
相手夫婦がすでに破綻していた場合
交際開始時点で、相手夫婦の婚姻関係がすでに実質的に破綻していた場合には、慰謝料責任や金額に影響する可能性があります。
もっとも、婚姻関係破綻は、単なる不仲や一時的な別居だけで簡単に認められるものではありません。別居時期、離婚協議の有無、生活費の分離、夫婦間の交流、家庭内での生活実態など、客観的な事情を確認します。
請求額が妥当かを判断する事情
不貞慰謝料の金額は、一定の金額表だけで機械的に決まるものではありません。裁判や交渉では、婚姻期間、不貞期間、不貞回数、発覚後の対応、別居・離婚の有無、証拠の内容、既に支払われた金銭の有無など、複数の事情を総合して検討します。
そのため、本記事では「不貞慰謝料の相場は〇万円から〇万円」といった金額レンジは断定しません。具体的な見通しは、請求書、証拠、時系列、相手夫婦の状況を確認したうえで判断する必要があります。
| 事情 | 確認する内容 | 検討の方向性 |
|---|---|---|
| 不貞期間・不貞回数 | 関係がどの程度継続したか、回数がどの程度か | 長期・反復的な関係と評価されるかが問題になります。 |
| 既婚者認識 | 既婚者と知っていたか、知り得たか | 故意・過失の有無に関係します。 |
| 婚姻期間 | 相手夫婦の婚姻期間がどの程度か | 婚姻関係への影響を判断する一事情になります。 |
| 子どもの有無 | 相手夫婦に子どもがいるか | 家族関係への影響として主張されることがあります。 |
| 夫婦関係の状況 | 同居、別居、離婚協議、夫婦関係破綻の有無 | 特に、交際開始時点の婚姻関係が重要です。 |
| 別居・離婚の有無 | 不貞発覚後に別居や離婚に至ったか | 不貞行為との因果関係を含めて検討します。 |
| 発覚後の対応 | 謝罪、接触継続、虚偽説明、証拠削除等があったか | 交渉上の評価に影響することがあります。 |
| 証拠の内容 | 不貞行為を裏付ける証拠がどの程度具体的か | 反論可能性や交渉方針に関係します。 |
| 既払金の有無 | 配偶者側から相手配偶者に支払があるか | 損害が既に一部填補されているかを確認します。 |
| 求償権放棄の有無 | 示談で求償権放棄を求められているか | 後日の負担関係に影響するため、金額とセットで検討します。 |
| 示談条件 | 謝罪、接触禁止、守秘義務、違約金等の条件 | 金額だけでなく、将来の行動制限や違約金リスクも確認します。 |
請求書に回答する前にやってはいけないこと
請求書が届いた直後は、強い不安や怒りから、すぐに返信したくなることがあります。しかし、回答内容は後の交渉や訴訟で資料として扱われることがあります。次の対応は慎重に避けましょう。
- 感情的な返信をする
- 事実関係を確認しないまま謝罪する
- 「全額支払います」「分割で払います」などと支払を約束する
- 不貞行為を認める内容を安易に送る
- 相手本人や相手配偶者に直接連絡する
- SNSで反論、投稿、匂わせ投稿をする
- 勤務先や相手方の自宅周辺で接触する
- LINE、メール、写真、通話履歴などの証拠を削除する
- 示談書の意味を確認せずに署名・押印する
特に、時効が問題になり得る場合、「支払います」「責任を認めます」「少し待ってください」「分割なら払えます」などの表現が、事案により債務を認めたものと評価される可能性があります。回答文を作成する前に、時期、相手方の認識、これまでのやり取りを確認しましょう。
減額・反論を検討できる可能性があるケース
不貞慰謝料を請求された場合でも、事情によっては、支払義務そのものや請求額を見直す余地があります。もっとも、結論は証拠と個別事情により変わります。
| 検討できる可能性があるケース | 確認すべき資料・事情 |
|---|---|
| 既婚者だと知らなかった | 相手の説明、婚姻状況を隠していた事情、SNS表示、生活状況、メッセージ内容 |
| 既婚者と知り得なかった可能性がある | 指輪、同居状況、子どもの話、休日の過ごし方、周囲への紹介状況 |
| 交際開始時点で夫婦関係が破綻していた可能性がある | 別居時期、離婚協議、調停、生活費の分離、夫婦関係の実態 |
| 不貞行為の証拠が弱い | 写真、調査報告書、メッセージ、宿泊資料の内容と時期 |
| 請求額が事情に照らして高い | 不貞期間、回数、婚姻期間、別居・離婚の有無、既払金の有無 |
| 相手配偶者が既に支払を受けている | 配偶者側との示談書、領収書、支払履歴、清算条項 |
| 時効の可能性がある | 相手配偶者が損害と加害者を知った時期、不貞行為の時期、請求時期 |
| 請求内容が離婚慰謝料中心になっている | 不貞行為自体の慰謝料か、離婚に至ったことの慰謝料か、請求原因の記載 |
離婚慰謝料と不貞慰謝料は区別して確認する
相手配偶者からの請求には、不貞行為自体による精神的損害を理由とする慰謝料と、離婚に至ったことを理由とする慰謝料が含まれていることがあります。
最高裁平成31年2月19日第三小法廷判決は、不貞相手に対する離婚慰謝料請求について、単に不貞行為があっただけで当然に離婚慰謝料の責任を負うわけではなく、離婚に至らせることを意図して婚姻関係に不当に干渉したなどの特段の事情が問題になると判断しました。
そのため、請求書に「離婚したため高額の慰謝料を請求する」と記載されている場合でも、どの損害を理由に請求しているのか、不貞行為との関係がどのように主張されているのかを確認する必要があります。
共同不法行為、二重填補、求償権、求償権放棄を確認する
不貞慰謝料では、不貞相手と配偶者側の責任関係として、共同不法行為が問題になることがあります。相手配偶者が、既に配偶者側から慰謝料の支払を受けている場合、損害がどの程度填補されているかを確認する必要があります。
また、不貞相手が相手配偶者へ慰謝料を支払った場合、内部負担に応じて配偶者側へ求償できる可能性があります。示談書で求償権放棄を求められている場合、後から配偶者側へ負担を求めにくくなるため、金額だけでなく、求償権の扱いも確認しましょう。
| 論点 | 確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 共同不法行為 | 不貞相手と配偶者側がどのような関係で責任を負うか | 相手配偶者からの請求だけでなく、配偶者側との内部負担も問題になります。 |
| 既払金 | 配偶者側から相手配偶者へ既に支払があるか | 損害の二重填補になっていないかを確認します。 |
| 求償権 | 支払後に配偶者側へ負担を求められる可能性があるか | 求償権を残すかどうかは、示談金額や今後の関係に影響します。 |
| 求償権放棄 | 示談書で求償権を放棄する条項があるか | 求償権放棄を受け入れる場合、その分を金額や条件に反映できるか検討します。 |
時効と債務承認に注意する
不法行為に基づく損害賠償請求権は、原則として、被害者または法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき、または不法行為の時から20年間行使しないときに、時効により消滅することがあります。
ただし、時効の起算点は、相手配偶者が何をいつ知ったか、不貞行為の内容、相手方とのやり取り、過去の請求の有無によって変わります。時効が問題になり得る場合は、回答前に慎重な検討が必要です。
特に、「支払います」「責任を認めます」「少し待ってください」「分割なら払えます」などの表現は、事案により債務承認に関係することがあります。時効を主張できる可能性がある場合、自分で回答文を作る前に資料を確認することをおすすめします。
職場や家族へ連絡すると言われた場合の対応
相手配偶者や関係者から、「職場に言う」「家族に知らせる」「勤務先へ行く」などと言われることがあります。この場合でも、感情的に反論したり、相手の職場や自宅へ行ったり、SNSで反論したりすることは避けましょう。
まず、相手からの連絡内容、日時、媒体、相手の表示名、発言内容を保存します。職場や家族への連絡が、名誉、プライバシー、業務への影響などの問題を生じさせる可能性がある場合もありますが、違法性の有無は具体的な内容や状況により異なります。
勤務先や家族への連絡を示唆されている場合は、回答前にやり取りを整理し、必要に応じて弁護士へ相談してください。
職場・家族への連絡や示談書案で迷っている方へ
直接反論する前に、届いた通知書、LINE、メール、示談書案を保存し、時系列を整理しましょう。示談書には、金額だけでなく、接触禁止、守秘義務、違約金、求償権放棄など、将来に影響する条項が含まれることがあります。
相談条件、費用、受付方法は最新の案内をご確認ください。
示談書に署名する前に確認すべき条項
示談書は、一度署名すると、その内容に拘束される可能性があります。金額だけを見て判断せず、次の条項を確認してください。
| 条項 | 確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 金額 | 慰謝料、調査費用、弁護士費用、遅延損害金が含まれるか | 内訳が不明確な場合は確認が必要です。 |
| 支払期限 | 一括払いか、いつまでに支払うか | 期限に間に合わない場合の扱いを確認します。 |
| 分割払い | 回数、支払日、振込先、遅れた場合の期限の利益喪失 | 支払可能性を前提に合意する必要があります。 |
| 清算条項 | 本件に関して今後追加請求しない内容になっているか | 清算範囲が不明確だと、後日の紛争が残ることがあります。 |
| 守秘義務・口外禁止 | 誰に、何を、どこまで話してはいけないか | 弁護士、税理士、家族などへの必要な相談まで制限されていないか確認します。 |
| 接触禁止 | 相手本人、相手配偶者、家族への連絡禁止の範囲 | 業務上やむを得ない連絡がある場合は、例外が必要になることがあります。 |
| 違約金 | 違反した場合の金額、対象行為、証明方法 | 過度に広い条項や不明確な条項は慎重に確認します。 |
| 求償権 | 配偶者側への求償を放棄するか | 求償権放棄は、示談金額とセットで検討する必要があります。 |
| 謝罪文 | 提出義務、文面、提出先、使用範囲 | 不必要に広い自認表現になっていないか確認します。 |
| 職場や家族への連絡禁止 | 相手方が第三者へ口外しない内容が入っているか | 相互の口外禁止や連絡禁止を検討することがあります。 |
交渉でまとまらない場合の流れ
回答後、相手方との交渉で金額や示談条件がまとまらない場合、相手方が再通知や訴訟提起を検討することがあります。もっとも、交渉がまとまらないからといって、必ず訴訟になるとは限りません。
| 段階 | 主な内容 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 通知受領 | 請求書、内容証明、示談書案が届く | 差出人、回答期限、請求額、証拠、示談条件を確認します。 |
| 回答方針の検討 | 認める範囲、否定する範囲、資料開示を求める範囲を整理する | 不用意な自認や支払約束を避けます。 |
| 交渉 | 金額、支払方法、接触禁止、守秘義務、求償権などを協議する | 金額だけでなく、将来の行動制限や違約金も確認します。 |
| 示談成立 | 示談書を作成し、合意内容に従って履行する | 清算条項、求償権、支払条件、違約金を確認してから署名します。 |
| 訴訟対応 | 交渉がまとまらない場合、訴訟になることがあります | 不貞行為、故意・過失、婚姻関係、損害、金額、時効などが証拠に基づいて確認されます。 |
弁護士に相談すべきケース
次のような場合は、回答前に弁護士へ相談することを検討してください。
- 回答期限が近い
- 請求額が高いと感じる
- 弁護士名義の通知書が届いている
- 内容証明郵便が届いている
- 職場や家族への連絡を示唆されている
- 訴訟を予告されている
- 示談書案が届いている
- 時効が問題になりそうである
- 求償権や求償権放棄の意味が分からない
- 自分で回答文を作るのが不安である
弁護士に相談すると、請求内容、証拠、反論可能性、減額を検討できる事情、示談条件、回答文の方向性を整理しやすくなります。ただし、具体的な見通しは資料確認が必要です。
回答期限が近い方・示談書案が届いている方へ
すべての資料がそろっていなくても、まずは届いた書面、回答期限、相手とのやり取りを整理することが重要です。請求額をそのまま受け入れるべきか、反論や減額を検討できる事情があるかは、個別事情により異なります。
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相談前に準備したい資料
相談前には、次の資料をできる範囲で準備してください。すべてがそろっていなくても相談は可能ですが、資料が多いほど事実関係を整理しやすくなります。
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 届いた請求書、通知書、内容証明郵便、封筒 | 請求者、到着日、回答期限、請求内容を確認します。 |
| 相手方代理人の名刺、通知書 | 代理人の有無と連絡先を確認します。 |
| 回答期限が分かる資料 | 回答方針とスケジュールを整理します。 |
| 相手とのLINE、メール、SNS、通話履歴 | 交際の経緯、既婚者認識、不貞行為の有無を確認します。 |
| 交際開始時期、既婚者と知った時期を整理したメモ | 故意・過失や時系列を確認します。 |
| 相手夫婦の別居、離婚、夫婦関係に関する情報 | 婚姻関係破綻の有無を検討します。 |
| 証拠として示されている写真、調査報告書、ホテル関係資料 | 請求側の証拠の内容を確認します。 |
| これまでの謝罪、支払、合意、示談書案 | 債務承認、清算条項、求償権の扱いを確認します。 |
| 収入、支払可能額、分割希望がある場合の資料 | 分割払いの可否や現実的な支払条件を検討します。 |
| 職場や家族への連絡に関するやり取り | 第三者への連絡リスクと対応方針を整理します。 |
不貞慰謝料請求を受けた場合の弁護士費用
不貞慰謝料請求を受けた場合の弁護士費用は、相談のみで方針を整理するのか、回答書作成を依頼するのか、交渉代理を依頼するのか、訴訟対応まで必要になるのかによって異なります。
また、相談条件、相談料、着手金、報酬金、電話相談、オンライン相談、夜間・休日相談の可否は、対象分野・事案・予約状況により異なる場合があります。最新の費用情報は、弁護士費用ページおよび離婚・男女問題の取扱業務ページをご確認ください。
よくある質問
不貞慰謝料の請求書が届いたら無視してもよいですか?
無視はおすすめできません。回答しないことで、相手方が再通知や訴訟提起を検討する可能性があります。ただし、急いで支払約束をする必要があるとは限りません。まずは請求内容、証拠、回答期限を確認しましょう。
回答期限までに支払わないとどうなりますか?
回答期限までに支払わない場合でも、直ちに支払義務が確定するわけではありません。ただし、相手方が法的手続を検討する可能性はあります。期限内に支払えない場合や判断できない場合は、回答方針を整理することが重要です。
不貞行為を認める返信をしてもよいですか?
事実関係を確認しないまま不貞行為を認める返信をすることは避けましょう。後の交渉や訴訟で、自認内容として扱われる可能性があります。認める範囲、否定する範囲、留保する範囲を整理してから回答する必要があります。
既婚者だと知らなかった場合でも慰謝料を支払う必要がありますか?
既婚者だと知らなかった場合でも、それだけで当然に支払義務がなくなるとは限りません。知っていたか、注意すれば知り得たかが問題になります。相手の説明、生活状況、メッセージ内容などを確認する必要があります。
相手夫婦がすでに破綻していた場合はどうなりますか?
交際開始時点で相手夫婦の婚姻関係が実質的に破綻していた場合、慰謝料責任や金額に影響する可能性があります。ただし、単に不仲だったというだけでは足りないことがあります。別居、離婚協議、生活実態などの資料確認が必要です。
請求額が高すぎると感じる場合、減額交渉はできますか?
請求額を見直す余地がある場合はあります。不貞期間、回数、婚姻期間、別居・離婚の有無、証拠、既払金、求償権放棄の有無などを踏まえて検討します。ただし、減額できるかどうかは個別事情により異なります。
相手の配偶者が職場や家族に連絡すると言っている場合はどうすればよいですか?
感情的に反論したり、直接会いに行ったりすることは避け、やり取りを保存してください。職場や家族への連絡は、内容や方法によって別の問題が生じる可能性があります。回答前に、連絡内容と状況を整理して相談することをおすすめします。
示談書に署名する前に何を確認すべきですか?
金額、支払期限、分割払い、清算条項、守秘義務、口外禁止、接触禁止、違約金、求償権、求償権放棄、謝罪文、職場や家族への連絡禁止を確認してください。署名後は撤回が難しくなることがあるため、条項ごとの意味を確認しましょう。
まとめ
不貞慰謝料の請求書が届いた場合、まずは落ち着いて内容を保存し、回答前に次の点を確認しましょう。
- 請求者と代理人弁護士の有無
- 到着日、回答期限、請求金額
- 請求理由と証拠の内容
- 不貞行為の有無、時期、相手との関係
- 既婚者と知っていたか、知り得たか
- 相手夫婦の婚姻関係が破綻していた可能性
- 離婚慰謝料と不貞慰謝料の区別
- 時効、債務承認、求償権、求償権放棄
- 示談書の金額、支払条件、接触禁止、守秘義務、違約金
支払義務の有無や妥当な金額は、個別事情により異なります。請求書に回答する前、示談書に署名する前、支払約束をする前に、資料を整理して対応方針を検討しましょう。
不貞慰謝料を請求された方へ
神戸みらい法律会計事務所では、不貞慰謝料請求を受けた側の対応について、届いた請求書、証拠、時効、示談条件を確認したうえで、対応方針を整理します。
相談条件、費用、受付方法は、最新の案内をご確認ください。
監修者・執筆者
弁護士・公認会計士 藤井貴之
兵庫県弁護士会所属。神戸みらい法律会計事務所の代表弁護士・公認会計士として、相続、交通事故、企業法務、労働問題、損害賠償、離婚・男女問題など、個人・法人双方の法律相談に対応しています。
詳細は、弁護士紹介ページをご確認ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」
- 裁判所「最高裁平成31年2月19日第三小法廷判決」
- 裁判所裁判例検索
- 神戸みらい法律会計事務所「離婚・男女問題」
- 神戸みらい法律会計事務所「弁護士費用」
- 神戸みらい法律会計事務所「弁護士紹介」
本記事は、不貞慰謝料請求を受けた場合の一般的な解説です。
支払義務の有無、請求額の妥当性、時効、求償権、示談条項の有効性、職場や家族への連絡に関する対応は、個別事情により異なります。
具体的な事案については、届いた請求書、証拠、相手方とのやり取り、示談書案などの資料を確認したうえで弁護士にご相談ください。

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