実家に住み続ける相続人へ|明渡しと賃料相当額請求の可否 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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実家に住み続ける相続人へ|明渡しと賃料相当額請求の可否

神戸のご実家について、「親が亡くなった後、きょうだいの一人がそのまま住み続けていて話し合いが進まない」「自分は実家に入れないのに、固定資産税だけは負担している」「せめて家賃相当のお金を受け取れないか」――このようなご相談は少なくありません。逆に、実家に住んでいる側から「急に出て行けと言われて困っている」というご相談を受けることもあります。

結論から申し上げると、実家に住み続ける相続人に対してすぐに退去を求められるか、あるいは家賃に相当する金銭を請求できるかは、ひとことでは決まりません。誰が、いつから、どのような経緯で住んでいるのか、遺言があるか、遺産分割が終わっているか、登記名義はどうなっているか――こうした事情によって、法律上の結論は変わります。個別事情により結論が変わる問題ですので、権利関係と証拠関係を確認したうえで判断する必要があります。

この記事で分かること

  • 遺産分割の前と後で、明渡しや使用対価の請求可否がどう変わるか
  • 親と同居していた相続人が住み続けている場合の、法律上の考え方
  • 亡くなった親の配偶者が住んでいる場合の違い(配偶者短期居住権・配偶者居住権)
  • 賃料相当額(使用対価)を請求できる可能性と、費用負担との調整
  • 協議・調停・売却など、解決までの選択肢と準備したい資料

実家に住み続ける相続人への対応でお悩みの場合、まずは権利関係と資料を整理することで、次の一手の見通しを検討しやすくなります。神戸みらい法律会計事務所では、初めての方の初回相談を無料で承っています。

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Contents

神戸の実家に相続人が住み続けているとき、まず押さえたい結論

実家をめぐるご相談では、感情の対立が先に立ちがちですが、法律上の見通しを立てるには、まず「いまどの段階にあるか」「誰が住んでいるか」を切り分けることが出発点になります。おおまかな整理は次のとおりです。

場面 明渡しを求められるか 使用対価(家賃相当額)を請求できるか
遺産分割前・住んでいるのが相続人(親と同居していた) 当然には難しいことが多い 使用貸借が推認される場面では、原則として難しいことが多い
遺産分割前・住んでいるのが相続人(死亡後に入居等) 当然には難しいが、事情により余地がある 「別段の合意」がなければ、持分を超える使用の対価を求められる余地がある
遺産分割後・実家を単独取得した人がいる 取得者が明渡しを求めうる(居住権等の有無により異なる) 取得後の占有については使用対価を求めうる余地がある
住んでいるのが亡くなった親の配偶者 短期・長期の居住権が問題となり、慎重な検討が必要 配偶者短期居住権の期間中は原則として無償
住んでいるのが相続人でない第三者 占有権原の有無により判断が分かれる 権原がなければ請求できる余地があるが、内縁配偶者等は別途配慮を要する

いずれも「事案により異なります」という留保が付きます。表はあくまで方向性の目安であり、実際の見通しは、同居の経緯・遺言・合意・登記・費用負担などの資料を確認したうえで判断することになります。

「出て行かせられるか」「家賃を請求できるか」は前提しだいで変わる

ここで重要なのは、明渡し(退去)の問題使用対価(家賃相当額)の問題は、別々の論点だということです。「退去は求めにくいが、使用対価は請求できる余地がある」という組み合わせもあれば、「同居の経緯から、どちらも当面は難しい」という場合もあります。以下では、まず遺産分割前の実家がどのような状態にあるのかを確認し、そのうえで明渡しと使用対価をそれぞれ検討します。

遺産分割前の実家はどのような状態か(遺産共有)

相続人が複数いる場合、被相続人(亡くなった方)の遺産は、遺産分割が終わるまでの間、相続人全員の共有となります。これを遺産共有といいます。実家の不動産についても、各相続人が自分の相続分に応じた持分を持っている状態です。たとえば相続人が子二人であれば、遺産分割前は、実家について二分の一ずつの持分を持つイメージになります。

この「共有」という状態が、明渡しや使用対価の議論の土台になります。共有物である以上、一人の相続人が単独で使っているからといって、直ちに「不法占有だから出て行け」とはならない一方で、他の相続人の持分を無償で使い続けてよいわけでもない、という微妙なバランスが生じます。

登記名義が親のままか、相続登記が済んでいるか

実務では、実家の登記名義が亡くなった親のままになっているケースが多く見られます。名義が親のままでも、法律上は相続開始と同時に相続人の共有(遺産共有)になっていますので、「名義が変わっていないから何もできない」ということではありません。もっとも、売却や担保設定など具体的な手続を進める段階では、相続登記が必要になります。

相続登記は義務化されています。令和六年(二〇二四年)四月一日から、不動産を相続で取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から三年以内に相続登記を申請することが義務づけられました。正当な理由なくこれを怠ると、一〇万円以下の過料の対象となる場合があります(不動産登記法第七六条の二・第一六四条)。施行日より前に開始した相続も対象で、この場合は令和九年(二〇二七年)三月三一日までに登記することが求められます。遺産分割がまとまらない場合には、簡易な手続として相続人申告登記も設けられています。詳しくは法務省・法務局の案内をご確認ください。

遺言・遺産分割協議・調停・審判の有無で変わる

実家が誰のものになるかは、次のような順序で確定していきます。遺言があれば、その内容が優先されます。遺言で「実家は長男に相続させる」と定められていれば、実家は遺産共有を経ずに長男が取得することがあり、この場合は後述する共有を前提とした判例の考え方が直接あてはまらないことがあります。遺言がなければ、相続人全員で話し合う遺産分割協議により決めます。話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停、それでも合意できなければ審判へと進みます。どの段階にあるかによって、取れる手続が変わります。

住み続ける相続人の占有は、当然に違法といえるのか

共有者には持分に応じた使用権限がある(民法二四九条一項)

共有物については、各共有者が「共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」とされています(民法二四九条一項)。つまり、実家に住み続けている相続人も、共有者の一人として一定の使用権限を持っているのが原則です。この点があるため、他の相続人が「持分を持っている」というだけで、住んでいる相続人に対して当然に退去を求められるわけではありません。

親と同居していた相続人には使用貸借が推認されることがある(最判平成八年一二月一七日)

特に問題になるのが、被相続人の生前から、その許諾を得て実家に同居していた相続人が、亡くなった後もそのまま住み続けているケースです。この点について最高裁判所は、「共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り」、被相続人との間で、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借(無償で使わせる合意)が成立していたと推認される、と判断しました(最判平成八年一二月一七日)。

この考え方によると、親と同居していた相続人は、特段の事情がない限り、少なくとも遺産分割が終わるまでは無償で住み続けることが認められやすく、その反面、他の相続人がこの期間について家賃相当額(使用対価)を請求することは、原則として難しいことになります。

ただし、この判例には射程(あてはまる範囲)があります。(ア)居住用の建物であること、(イ)被相続人の許諾を得た同居であったこと、(ウ)遺産共有の状態にあることが前提です。たとえば、遺言で特定の相続人に相続させる形になっていて遺産共有にならない場合、被相続人の死亡後に初めて入居した場合、無償で使わせない意思が明確だった場合などは、結論が異なる可能性があります。どの類型にあたるかは、同居の経緯や資料を確認したうえで判断する必要があります。

亡くなった親の配偶者が住んでいる場合(配偶者短期居住権・配偶者居住権)

住んでいるのが亡くなった方の配偶者である場合には、別の制度が関わります。相続開始の時に、配偶者が被相続人の建物に無償で住んでいたときは、遺産分割によって建物の帰属が確定する日か、相続開始から六か月を経過する日か、いずれか遅い日まで、無償でその建物を使い続けることができます(配偶者短期居住権)。さらに、遺産分割や遺贈などによって、終身または一定期間、居住を継続できる配偶者居住権が認められる場合もあります。これらは令和二年(二〇二〇年)四月一日から施行された制度です。配偶者が住んでいる実家について明渡しや使用対価を検討する際は、これらの居住権を踏まえた慎重な検討が必要です。

明渡しを求められる場面と、難しい場面

遺産分割前は、当然の退去を求めにくい(最判昭和四一年五月一九日)

共有物を単独で使っている共有者に対して、他の共有者が明渡しを求められるかについて、最高裁判所は、多数の持分を持つ共有者であっても、少数持分の共有者に対して当然に明渡しを求められるわけではなく、明渡しを求める理由を主張・立証する必要がある、という趣旨の判断を示しています(最判昭和四一年五月一九日)。実家に住み続ける相続人が共有者である以上、遺産分割前の段階で「持分があるから出て行ってほしい」という主張だけで退去を実現するのは、一般に容易ではありません。

遺産分割で取得者が確定した後の明渡し

他方で、遺産分割協議・調停・審判によって、実家を特定の相続人が単独で取得すると確定した場合には、状況が変わります。取得者は、実家に住み続ける他の相続人に対して、明渡しを求めうる立場になります。ただし、この場合でも、居住している側に使用貸借や居住権が認められるか、明渡しを求めることが権利の濫用にあたらないか、立退料の提供が相当かといった点が問題となることがあり、事案により結論は異なります。

占有者が相続人でない第三者の場合

住んでいるのが相続人ではない第三者(たとえば相続人の家族や、被相続人と生活していた内縁の配偶者など)である場合には、その人にどのような占有権原があるかによって判断が分かれます。占有を正当化する権原がなければ明渡しや使用対価を求められる余地がありますが、内縁配偶者など、居住の保護が問題となる立場の方については、裁判所が居住の利益に配慮することもあり、単純に明渡しが認められるとは限りません。

鍵の交換・荷物の処分・ライフライン停止(自力救済)の危険性

「話し合いにならないので、鍵を交換して入れないようにしたい」「残っている荷物を勝手に処分したい」「水道や電気を止めたい」といったご相談を受けることがあります。しかし、正式な手続によらずに実力で相手の占有を排除する行為(自力救済)は、原則として法律上認められておらず、かえって損害賠償責任や刑事上の問題を生じさせるおそれがあります。感情的な対立が強い場面ほど、実力行使ではなく、書面・協議・裁判所の手続という順序で進めることが重要です。

賃料相当額・使用対価を請求できる可能性

使用対価の償還義務と「別段の合意」(民法二四九条二項)

令和五年(二〇二三年)四月一日施行の改正民法により、「共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う」という規定が明文化されました(民法二四九条二項)。これは遺産共有の場合にもあてはまると考えられています。つまり、実家に一人で住み続ける相続人は、「別段の合意」がない限り、他の相続人の持分に対応する分について、使用の対価(家賃相当額)を支払うべき立場になり得ます。

そして、前に述べた同居相続人の使用貸借の推認(最判平成八年一二月一七日)は、この「別段の合意(無償で使わせる合意)」の一類型と位置づけられます。したがって、同居の経緯から使用貸借が認められる場面では対価を請求しにくく、そうした合意が認められない場面では、持分を超える使用の対価を求められる余地がある、という整理になります。

請求の法的構成(不当利得・損害賠償・遺産分割内の調整)

使用対価を求める場合の法的な組み立てとしては、民法二四九条二項の償還請求のほか、不当利得返還請求損害賠償(不法行為)請求という構成が考えられ、事案に応じて選択されます。また、こうした使用の清算を、独立の金銭請求としてではなく、遺産分割の手続の中で調整することもあります。どの構成が適切かは、当事者関係・証拠・時期などを踏まえた検討が必要です。なお、実家を第三者に賃貸して賃料が発生している場合、相続開始後・遺産分割前の賃料は、各相続人が法定相続分に応じて取得すると解されており(最判平成一七年九月八日)、後の遺産分割の結果に左右されないとされています。

いつから・どこまで請求できるか

「いつから請求できるのか」も、しばしば問題になります。無償で使わせる合意(使用貸借など)が認められる期間については、そもそも対価を請求しにくいのが原則です。合意が認められない場合には、事情に応じて過去の一定期間についても対価を求める余地がありますが、始期や範囲は、占有の開始時期・使用状況・他の相続人が使用から排除されていたか・請求(通知)の時期などによって変わります。請求にあたっては、内容証明郵便などで意思を明確に伝えておくことが、後の交渉・手続で意味を持つことがあります。

固定資産税・修繕費・保険料・ローン等の費用負担との調整

実家をめぐっては、「住んでいない自分が固定資産税を払っている」「住んでいる相続人が修繕費を負担している」といった費用負担の不均衡もよく生じます。使用対価を請求する場面では、これらの費用負担との調整が問題になります。固定資産税・都市計画税、建物の修繕費、火災保険料、住宅ローンの返済、光熱費などを誰が・いくら負担してきたかを整理し、使用対価と併せて清算・調整することが実務では多く見られます。これらは領収書・振込記録などの資料で裏づけることが重要です。

賃料相当額を検討する際の主な確認要素 確認の視点
持分割合(相続分) 他の相続人がどれだけの持分を持つか(=請求できる割合の目安)
近隣の賃料相場・募集賃料 同種・近隣物件の相場。不動産会社の資料等で確認
不動産会社の査定・固定資産評価 建物の状態・立地を踏まえた金額の目安
使用状況・排除の有無 単独で全部を使っているか、他の相続人が使えない状態か
費用負担の実績 固定資産税・修繕費・保険料・ローン等を誰が負担してきたか
合意の有無 無償で使わせる合意(使用貸借等)があると評価できるか

具体的な金額は、これらの要素と資料によって変わりますので、一律の相場を示すことはできません。資料を確認したうえで判断する必要があります。

神戸の実家をめぐって、よく問題になるケース

ご相談で迷いやすい場面を、いくつか整理します。いずれも結論は個別事情により変わりますので、あくまで検討の入口としてご覧ください。

  • 親と同居していた相続人が住み続けている:使用貸借が推認される場面では、遺産分割まで無償居住が認められやすく、その間の家賃相当額は請求しにくいことが多いです。
  • 介護をしていた相続人が住み続けている:介護の負担は、寄与分などの形で遺産分割の中で考慮を求めることが考えられます。ただし、相続開始から一〇年を経過すると、特別受益や寄与分の主張が原則として制限されるため(民法九〇四条の三)、時期に注意が必要です。
  • 亡くなった親の配偶者が住んでいる:配偶者短期居住権・配偶者居住権を踏まえた検討が必要で、他の子が単純に明渡しや家賃を求められるとは限りません。
  • 他の相続人が実家に入れない:単独で全部を使用し、他の相続人を事実上排除している状態かどうかが、使用対価の検討で意味を持ちます。
  • 固定資産税を一人が払っている:使用対価の請求と費用負担の清算を、あわせて整理することが多い場面です。
  • 家賃を請求したいが話し合いにならない:まず書面(内容証明郵便など)で意思を明確にし、必要に応じて調停へ進む順序を検討します。
  • 売りたい相続人と住み続けたい相続人が対立している:後述する代償分割・換価分割・共有物分割など、複数の解決手段を比較して検討します。
  • 荷物が残っていて売却できない:荷物の扱いは占有・所有の問題と絡むため、勝手な処分は避け、手続の中で整理します。

協議・通知・調停・訴訟の前に準備したい資料

方針を検討し、交渉や手続を有利に進めるためには、早い段階で資料を整えておくことが有効です。示談・通知・調停・売却の前に、次のような資料を確認・準備しておくことをおすすめします。

  • 被相続人・相続人の戸籍(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍)、法定相続情報一覧図
  • 遺言書の有無とその内容(自筆証書・公正証書等)
  • 遺産分割協議書(すでに作成されている場合)
  • 実家の不動産登記事項証明書(登記名義・持分の確認)
  • 固定資産評価証明書・固定資産税の課税明細(納税通知書)
  • 建物図面・写真(建物の状態・使用状況の確認)
  • 誰が・いつから・どのような経緯で居住しているかが分かる資料
  • 被相続人との同居状況・許諾の有無に関する事情
  • 近隣の賃料相場・不動産会社の査定書(使用対価の検討用)
  • 修繕費・火災保険料・住宅ローン・光熱費などの負担を示す領収書・振込記録
  • 相手方とのやり取り(手紙・メール・SNSのメッセージ等)、送付した(する予定の)内容証明郵便

解決までの選択肢(協議・調停・審判・代償分割・換価分割・共有物分割)

実家をめぐる問題の解決には、いくつかの道筋があります。対立の程度や、実家を残したいか手放したいかによって、適した方法は変わります。

解決方法 概要 向いている場面
相続人間の話し合い(協議) 使用ルール・退去時期・使用対価などを合意し、遺産分割協議書にまとめる 感情的対立が深刻でなく、合意形成の余地がある場合
書面での申入れ(内容証明郵便等) 明渡しや使用対価の意思を明確に伝え、交渉の起点とする 口頭では進まない、意思表示の時期を明確にしたい場合
遺産分割調停・審判 家庭裁判所で話し合い、まとまらなければ審判で判断 当事者だけでは合意できない場合
代償分割 実家を特定の相続人が取得し、他の相続人に代償金を支払う 住み続けたい相続人がいて、資金を用意できる場合
換価分割(売却) 実家を売却し、代金を相続分に応じて分ける 誰も住み続けず、公平に分けたい場合
賃貸活用・共有解消 賃貸に出す、共有物分割によって共有関係を解消する 収益化や、共有状態そのものを解消したい場合
明渡し・金銭請求の訴訟 取得者による明渡請求や、使用対価の金銭請求を訴訟で求める 権利関係が確定し、任意の解決が難しい場合

なお、遺産共有の解消は、原則として遺産分割の手続によることとされていますが、相続開始から一定期間が経過した場合など、一定の要件のもとで共有物分割の手続によることができる場面もあります(民法二五八条の二)。どの手続が適切かは、事案により異なります。

神戸で遺産分割調停を申し立てる場合、管轄は原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となり、神戸家庭裁判所では、必要書類一覧表・書式・法定相続情報一覧図の取扱いなどが案内されています。事情によっては、ウェブ会議を利用して調停期日に参加できる場合もあります。申立てにあたっては、戸籍等の身分関係資料や、不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書などの遺産に関する資料が必要になります。詳しくは裁判所・神戸家庭裁判所の案内をご確認ください。

また、実家の売却・登記・税務が絡む場合には、弁護士だけでなく、司法書士(登記)・税理士(相続税・譲渡所得税等)・不動産会社(査定・売却)との連携が必要になることがあります。具体的な税額・登記費用・売却価格は、事案により異なりますので、それぞれの専門家に確認することをおすすめします。

弁護士に相談するタイミング

「まだ揉めていないから相談は早い」と考えて先送りにされる方は少なくありません。しかし、相続人間の対立が深まってからでは、資料の確保も合意形成も難しくなりがちです。弁護士への相談は、「必ず勝てる」「必ず回収できる」といった結果をお約束するものではありませんが、権利関係と証拠関係を整理し、取り得る手続とその見通しを検討するうえで役立ちます。

特に、次のような場面では、早めに相談することで対応方針を整理しやすくなります。示談・協議に入る前に権利関係を確認したいとき、内容証明郵便を出す前に文面と根拠を整理したいとき、調停や訴訟を検討しているとき、実家の売却や登記・税務が絡むときなどです。

実家をめぐる話し合いが進まない場合でも、書面・資料・手続の順番を整理することで、対立が深まる前に見通しを立てやすくなります。神戸みらい法律会計事務所は、遺産相続について、遺言書の作成から遺産分割調停・審判、相続関係訴訟まで対応しています。

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よくある質問(FAQ)

相続人の一人が実家に住み続けています。すぐに出て行かせることはできますか。

遺産分割前の段階では、住んでいる相続人も共有者として使用権限を持つため、当然に退去を求めるのは一般に容易ではありません。遺産分割で実家の取得者が確定した後は、取得者が明渡しを求めうる立場になりますが、居住権の有無などにより結論は異なります。個別事情により結論が変わりますので、資料を確認したうえで判断する必要があります。

実家に住む相続人に家賃を請求できますか。

「別段の合意」がなければ、持分を超える使用の対価を求められる余地があります(民法二四九条二項)。もっとも、被相続人と同居していた相続人については、無償で使わせる合意(使用貸借)が推認される場面があり、その場合は請求しにくいことが多いです。同居の経緯によって結論が変わります。

賃料相当額はいつから請求できますか。

無償使用の合意が認められる期間は、そもそも請求しにくいのが原則です。合意が認められない場合は、占有の開始時期・使用状況・請求(通知)の時期などにより、対象となる期間が変わります。始期や範囲は事案により異なるため、資料を確認したうえで検討します。

固定資産税を払っている相続人がいる場合、使用料と相殺できますか。

使用対価の請求と、固定資産税や修繕費などの費用負担の清算は、あわせて調整することが多い問題です。誰が・いくら負担してきたかを資料で整理したうえで、相殺・調整の可否や範囲を検討します。事案により結論は異なります。

親と同居して介護していた相続人でも、明渡しを求められますか。

同居や介護の経緯があると、無償居住が認められやすい場面や、寄与分などを遺産分割で考慮すべき場面があり、単純に明渡しを求められるとは限りません。なお、相続開始から一〇年を経過すると特別受益や寄与分の主張が原則制限されるため、時期にも注意が必要です。

亡くなった親の配偶者が住んでいる場合は違いますか。

配偶者については、配偶者短期居住権や配偶者居住権が問題となります。相続開始時に無償で住んでいた配偶者は、遺産分割で帰属が確定する日か相続開始から六か月を経過する日のいずれか遅い日まで、無償で住み続けられるのが原則です。他の相続人が単純に明渡しや家賃を求められるとは限りません。

鍵を交換したり、荷物を処分したりしてもよいですか。

正式な手続によらずに実力で相手の占有を排除する行為(自力救済)は、原則として認められておらず、かえって損害賠償や刑事上の問題を生じさせるおそれがあります。実力行使ではなく、書面・協議・裁判所の手続という順序で進めることが重要です。

神戸で遺産分割調停を申し立てる場合、何を準備すればよいですか。

戸籍等の身分関係資料(または法定相続情報一覧図)、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書などの遺産に関する資料が必要になります。神戸家庭裁判所では必要書類一覧表や書式が案内されており、事情によりウェブ会議を利用できる場合もあります。詳しくは裁判所の案内をご確認ください。

まとめ

  • 遺産分割前の実家は相続人全員の共有(遺産共有)であり、住み続ける相続人にも持分に応じた使用権限があるため、当然に退去を求めるのは一般に容易ではありません。
  • 被相続人と同居していた相続人には、遺産分割まで無償で住める使用貸借が推認される場面があり(最判平成八年一二月一七日)、その間の家賃相当額は請求しにくいことが多いです。
  • 「別段の合意」がなければ、持分を超える使用の対価を求められる余地があります(民法二四九条二項)。費用負担との調整もあわせて検討します。
  • 配偶者が住んでいる場合は、配偶者短期居住権・配偶者居住権を踏まえた慎重な検討が必要です。
  • 鍵交換や荷物処分などの自力救済は避け、書面・協議・調停・審判・売却といった手続を、順序立てて検討することが大切です。
  • まずは同居の経緯・遺言・登記・費用負担の資料を整理し、必要に応じて専門家に相談することで、次の一手の見通しを立てやすくなります。

神戸の実家をめぐる明渡しや家賃相当額のご相談について、神戸みらい法律会計事務所では、初めての方の初回相談を無料で承っています。遺産相続については、お電話での初回無料相談にも対応しています。事前のご予約により、平日夜間や土日祝日のご相談にも可能な範囲で対応いたします。まずは現状と資料を整理するところから、見通しを検討してみませんか。

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監修者・執筆者情報

弁護士法人ひょうご支所 神戸みらい法律会計事務所
藤井貴之(弁護士・公認会計士・通知税理士/兵庫県弁護士会所属)

遺産相続について、遺言書の作成から遺産分割調停・審判、相続関係訴訟まで対応しています。法律面に加え、会計・税務の観点も踏まえて、相続全体を見通したご提案を心がけています。

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参考資料(公的機関)

  • e-Gov法令検索「民法」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「遺産分割調停の申立書」
  • 神戸家庭裁判所「遺産分割調停」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」/法務局「相続登記が義務化されました」

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