退職金の財産分与と税務|受給前後で変わる評価と課税を解説 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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退職金の財産分与と税務|受給前後で変わる評価と課税を解説

退職金は、住宅とならんで金額が大きくなりやすく、熟年離婚や定年前後の離婚では「退職金を分けるのか」「いくらで評価するのか」「税金は誰にかかるのか」が大きな争点になりやすい財産です。すでに受け取った退職金なのか、これから受け取る退職金なのかによって、評価の考え方も税務の確認点も変わります。

この記事では、退職金の財産分与について、受給前と受給後で何が変わるのか、評価と税務の両面から整理します。結論の方向性を先にお伝えすると、退職金は財産分与の対象として検討できる場合がありますが、その全額が当然に2分の1になるわけではなく、婚姻期間・勤続期間・別居時期・退職時期・勤務先の制度などによって結論は変わります。税務も、退職金を受け取る本人、財産分与を受け取る側、不動産などで調整する場合とで、確認すべき点が異なります。

この記事で分かること

  • 退職金が財産分与の対象として検討される理由と、対象になりやすい部分の考え方
  • すでに受け取った退職金(受給後)と、まだ受け取っていない退職金(受給前)で評価がどう変わるか
  • 退職金の評価・計算で参照される複数の考え方
  • 退職所得・贈与税・譲渡所得という税務の確認点が、受給前後や分与方法でどう変わるか
  • 協議・調停・離婚協議書への署名の前に確認しておきたい資料

退職金を含む財産分与は、勤務先の退職金規程や源泉徴収票などの資料を確認したうえで、評価と税務の見通しを整理していく必要があります。まずは手元の資料を整理するところから始めると、争点を確認しやすくなります。

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退職金の財産分与と税務の全体像|まず押さえたい要点

退職金の財産分与を考えるときは、まず「すでに受け取ったのか、これから受け取るのか」を区別することが出発点になります。受給後か受給前かで、評価の対象になる財産の姿が変わり、確認すべき資料も変わるためです。

区分 評価の主な考え方 主に確認する資料
受給後(すでに受け取った退職金) 別居時(基準時)に残っている退職金相当額が対象になり得る。生活費などで使われた部分は対象外になることがある。不動産や株式に変わっていれば、その財産を基準に考える。 退職所得の源泉徴収票、通帳、証券口座資料、不動産資料、住宅ローン資料
受給前(まだ受け取っていない退職金) 支給の確実性と退職までの期間が問題になる。確実性が高ければ、婚姻期間に対応する部分を評価して対象にできる場合がある。 退職金規程、就業規則、退職金見込証明書、給与明細、勤続年数が分かる資料

「退職金は常に半分」ではありません。財産分与では、婚姻期間中の夫婦の協力によって形成された部分が対象として検討されます。勤続期間が長く婚姻期間が短い場合などは、退職金の全額ではなく、婚姻期間に対応する部分が問題になります。分与の割合も、改正後の民法では原則として相等しいものと明文化されていますが、個別事情により結論は変わります。

あわせて、退職金の財産分与は、厚生年金の年金分割とは別の制度です。名前や場面が似ているため混同されがちですが、後半で違いを整理します。

退職金は財産分与の対象になるのか

退職金の性格と「婚姻期間に対応する部分」

退職金は、長年の勤務に対する後払いの賃金という性格、勤続に対する功労への報償という性格、退職後の生活を支えるという性格をあわせ持つと考えられています。婚姻期間中に配偶者の協力を得ながら働いて積み上げてきた部分については、夫婦が協力して形成した財産として、財産分与の対象として検討できる場合があります。

ここで重要なのは、対象になり得るのは原則として婚姻期間(実質的な婚姻関係にあった期間)に対応する部分だという点です。結婚前の勤務期間に対応する部分や、別居後の勤務に対応する部分は、夫婦の協力によって形成された部分とは言いにくいため、通常は対象から外れる方向で考えられます。したがって、勤続期間・婚姻期間・別居時期を資料で確認することが出発点になります。

退職金・企業年金・確定拠出年金・年金分割の違い

「退職金を分ける」という場面では、退職金・企業年金・確定拠出年金・年金分割が混同されがちです。制度が異なると、分ける対象も手続も税務も変わるため、まず整理しておくことが大切です。

制度 分ける対象のイメージ 主な確認先
退職金(退職一時金) 勤務先から支給される一時金。財産分与の対象財産として評価する。 退職金規程、就業規則、退職金見込証明書、源泉徴収票
企業年金・確定拠出年金 制度により一時金・年金の形がある。確定拠出年金の一時金は税務上退職所得として扱われる。分与の扱いは制度内容の確認が必要。 企業年金・確定拠出年金の加入資料、規約
年金分割(厚生年金) 退職金という現金ではなく、婚姻期間中の厚生年金の記録(標準報酬)を当事者間で分けるしくみ。財産分与とは別の請求。 年金分割のための情報通知書(日本年金機構)

年金分割は、退職金というお金そのものを分けるのではなく、厚生年金の記録を分ける制度です。退職金の財産分与とは請求の中身が異なりますので、両方が問題になる場合はそれぞれ検討する必要があります。年金分割の請求期限についても後半で触れます。

すでに受け取った退職金(受給後)の評価

預貯金として残っている場合

すでに退職金を受け取り、それが預貯金として残っている場合は、別居時(基準時)に残っている金額が財産分与の対象として問題になり得ます。財産分与は、原則として別居時を基準に対象財産を確定すると考えられているため、別居時点で口座に残っている退職金相当額を通帳などで確認することが出発点になります。

ただし、勤続期間が長く婚姻期間が短いなど、勤続期間と婚姻期間が大きく異なる場合には、受け取った退職金の全額ではなく、婚姻期間に対応する部分だけを対象として考えることがあります。この点は個別事情により結論は変わります。

生活費や住宅ローン返済に使われた場合

受け取った退職金が、別居までの生活費や住宅ローンの返済などに使われ、別居時には手元に残っていないという場合もあります。この場合、使われてしまった部分は分与の対象にならないことがあります。一方で、退職金の使い道の中に、一方に有利な支出や不自然な費消がある場合には、その内容を確認する必要が出てきます。何にいくら使ったのかを裏づける資料の有無が問題になりやすい場面です。

不動産や株式に変わっている場合

退職金でそのまま貯金しているのではなく、退職金を原資に不動産を購入したり、株式などで運用したりして、別居時には不動産や株式に変わっているというケースもあります。この場合は、退職金そのものではなく、別居時に存在する不動産や株式といった対象財産を基準に評価していくことになります。住宅ローンが残っている場合には、その残額との関係も確認します。退職金がどの財産に変わったのかを追えるよう、取得の経緯が分かる資料を整理しておくことが役立ちます。

まだ受け取っていない退職金(受給前)の評価

支給の確実性と退職までの期間

まだ退職しておらず退職金を受け取っていない場合でも、将来の退職金が財産分与の対象として検討できる場合があります。ポイントは、退職金が支給される確実性と、退職までの期間です。勤務先に退職金の制度があり、支給される見込みが高いと考えられる場合には、婚姻期間に対応する部分を評価して対象にできる場合があります。

反対に、退職までに相当の期間があり、転職・制度変更・退職理由などによって金額が変わり得る場合には、評価が難しくなります。将来の退職金をどこまで、どのように評価するかは、裁判実務でも見解が分かれており、機械的に決まるものではありません。

公務員・大手企業など退職金規程が明確な場合

公務員や、退職金・企業年金の制度が整備された企業に勤務している場合は、退職手当の条例や退職金規程、退職金見込証明書などによって、見込額を資料で確認しやすいことがあります。神戸市内・兵庫県内でも、官公庁、大手企業、医療機関、教育機関、金融機関、製造業などにお勤めの方は、これらの資料を早めに確認しておくと、評価の前提を整理しやすくなります。

もっとも、公務員だから必ず退職金が分与されるということではなく、あくまで婚姻期間に対応する部分について、資料を確認したうえで検討することになります。具体的な支給額・支給率・条例の内容は、勤務先の制度や最新の資料によって異なりますので、規程や見込証明書で確認する必要があります。

退職理由や制度変更の影響

退職金は、自己都合退職か会社都合退職かによって金額が変わることが多く、懲戒事由がある場合には減額・不支給とされることもあります。将来の退職金を評価する場面では、現時点で自己都合退職したと仮定して考えることが一般的ですが、退職理由や勤務先の制度変更によって、実際の支給額は変わり得ます。将来の退職金を分与の対象とした後で実際の支給額が変動しても、原則として再計算は行わないという考え方が一般的である一方、事情によっては扱いが分かれ得ます。

退職金の評価方法・計算の考え方

まだ受け取っていない退職金をいくらと評価するかについては、裁判実務で参照される複数の考え方があり、どれを採るかはケースバイケースです。代表的な考え方を整理すると次のとおりです。いずれも一般的な枠組みであり、事案により結論は変わります。

考え方 概要 特徴
別居時に自己都合退職したと仮定する方法 別居時に自己都合退職した場合の退職金相当額を基礎に、婚姻期間に対応する部分を算定する。 実務で用いられることが多い。定年退職時より金額が低くなりやすい。分与を待たずに清算しやすい。
将来の見込額から中間利息を控除する方法 定年退職時などの退職金見込額のうち婚姻期間に対応する部分を算定し、前倒しで受け取る分の利息を控除して現在の価値に引き直す。 定年が近い場合に用いられることがある。計算が複雑になりやすい。
支給時に清算する方法 実際に退職金が支給された時に清算する。 支給の確実性が将来失われ得るため、用いられる場面は限られる。

婚姻期間に対応する部分の考え方

いずれの方法でも、退職金額のうち婚姻期間に対応する部分を取り出す点は共通します。一般的な整理としては、退職金額に、勤続期間に占める同居期間(別居期間を除いた実質的な婚姻期間)の割合を乗じ、そこに分与の割合を反映させる、という考え方が用いられます。たとえば勤続30年・そのうち同居期間20年という前提で説明すると、退職金額に20年÷30年を乗じた部分が対象として問題になり、その部分に原則2分の1という割合を反映させる、というイメージです。

ここで示した割合の考え方は、あくまで一般的な枠組みを説明するためのものです。実際には、退職金規程の内容、別居時期、退職時期、支給の確実性、寄与の程度などによって、評価の方法も割合も変わり得ます。機械的に金額が決まるものではありませんので、具体的な数字は資料を確認したうえで検討する必要があります。

税引前で考えるか、税引後で考えるか

退職金には税金がかかるため、評価の際に税引前の金額で考えるのか、税引後の金額で考えるのかが問題になることがあります。すでに受け取った退職金であれば、実際に手元に残っている税引後の金額が対象財産になりやすい一方、まだ受け取っていない退職金の見込額は、規程上の金額をどう扱うかという問題が出てきます。税の影響をどこまで評価に反映させるかは、支給時期や資料によって考え方が変わり得るため、税務の確認とあわせて検討することが実務的です。

退職金にかかわる税務|受給前後で確認点が変わる

退職金の財産分与では、法律上の評価だけでなく、税務の確認も欠かせません。ここでは、退職金を受け取る本人、財産分与を受け取る側、不動産などで調整する場合に分けて、確認点を整理します。以下は国税庁が公表している一般的な取扱いにもとづく整理であり、個別の税額や申告の要否は資料を確認したうえで判断する必要があります。

場面 主に問題になる税金 確認の方向性
退職金を受け取る本人 退職所得(所得税・住民税) 退職所得控除と2分の1課税、分離課税。受給に関する申告書の提出の有無で申告要否が変わる。
財産分与としてお金や財産を受け取る側 原則として贈与税はかからない ただし分与が過大な場合や租税回避目的と認められる場合は例外。
不動産・株式などで調整して渡す側 譲渡所得(所得税・住民税) 渡す側に課税され得る。分与時の時価が基準になる。

退職金を受け取る本人の退職所得課税

退職金を受け取る本人には、退職所得として所得税・住民税がかかります。退職所得は、収入金額から退職所得控除額を差し引いた残額の2分の1が課税対象となり、ほかの所得と分けて計算される分離課税です。退職所得控除額は、勤続年数に応じて計算され、勤続年数が20年以下の部分は1年あたり40万円(合計が80万円に満たない場合は80万円)、20年を超える部分は1年あたり70万円で計算されます。たとえば勤続30年の場合の退職所得控除額は、国税庁の示す計算例では、800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円となります。

「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していれば、勤務先が税額を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。提出していない場合は、支払金額の20.42パーセントが源泉徴収され、本人が確定申告で精算することになります。ここで押さえておきたいのは、退職金を財産分与として相手方に分けたとしても、退職金そのものにかかる退職所得課税は、退職金を受け取った本人に生じるという点です。分与したことによって本人の退職所得課税がなくなるわけではありません。

財産分与を受け取る側の贈与税

離婚に伴う財産分与として相手方から財産を受け取った場合、通常は贈与税がかかりません。これは、贈与を受けたのではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権にもとづいて受け取ったものと考えられるためです。もっとも、分与された財産が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他いっさいの事情を考慮してもなお多すぎる場合には、その多すぎる部分に贈与税がかかることがあります。また、贈与税や相続税を免れるために行われた離婚と認められる場合には、受け取った財産すべてに贈与税がかかることがあります。

不動産や株式で調整する場合の譲渡所得課税

退職金の代わりに、不動産などで財産分与を行う場合には注意が必要です。土地や建物などを財産分与として渡したときは、渡した人に譲渡所得の課税が行われることがあり、その場合は分与した時の時価が譲渡所得の収入金額として扱われます。受け取った側は、分与を受けた日にその時の時価で取得したものとして扱われ、将来売却する際の長期・短期の判定は財産分与を受けた日を基準に行われます。株式などその他の資産で調整する場合も、渡す側の譲渡所得課税が問題になり得ますが、資産の種類や個別事情によって取扱いが異なるため、確認が必要です。

「分ける方法」で税務の確認点が変わる

同じ「退職金を分ける」でも、本人が退職金を受給したうえで金銭で分与するのか、不動産や株式など他の財産で調整するのかによって、確認すべき税務が変わります。金銭で分与する場合は、受け取る側の贈与税(原則非課税・例外あり)が中心になりますが、不動産や株式で調整する場合は、渡す側の譲渡所得課税もあわせて確認する必要があります。さらに、確定拠出年金の一時金は税務上退職所得として扱われ、複数の退職金や一時金の受け取り方によって税額が変わる場面もあります。個別の税額、申告の要否、住民税、社会保険、企業年金・確定拠出年金、国外資産などが関係する場合は、税理士等による確認が必要になり得ます。

よく問題になるケース

退職金の財産分与では、次のような場面で判断に迷いやすくなります。いずれも一般的に問題になりやすい場面の整理です。

  • 退職直前に離婚する場合:退職金の支給が近く見込額を確認しやすい一方、自己都合退職・定年退職のどちらを前提に考えるか、見込額をどう入手するかが問題になりやすい。
  • 退職後に退職金が使われている場合:別居時に手元に残っている金額や、何に使われたかを裏づける資料が問題になりやすい。
  • 相手が退職金資料を出さない場合:退職金規程や見込証明書の開示が問題になる。改正後は、裁判所が必要と認めるときに当事者へ財産に関する情報の開示を命じることができる制度も設けられています。
  • 公務員・大手企業勤務で見込額が分かる場合:資料で見込額を確認しやすい一方、婚姻期間に対応する部分をどう算定するかが問題になる。
  • 退職金と年金分割を混同している場合:退職金の財産分与と厚生年金の年金分割は別の請求であり、それぞれ検討が必要になる。
  • 退職金の代わりに不動産や株式で調整する場合:渡す側の譲渡所得課税など税務の確認点が加わる。
  • 離婚協議書に退職金の条項を入れる場合:対象・金額・支払時期・支払方法をどう定めるか、税務の扱いを含めて整理しておく必要がある。

協議・調停・署名の前に確認したい資料チェックリスト

退職金を含む財産分与では、資料がそろっているほど、評価と税務の見通しを整理しやすくなります。協議前・調停前・離婚協議書への署名前・退職金の受給前後・税務の申告前に、次の資料を確認しておくと役立ちます。

  • 退職金規程、就業規則
  • 退職金見込証明書、退職手当支給見込に関する資料
  • 源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票
  • 退職所得の受給に関する申告書(提出の有無)
  • 給与明細、賞与明細、雇用契約書
  • 勤続年数が分かる資料
  • 婚姻日・別居日・離婚予定日が分かる資料
  • 通帳、証券口座資料
  • 住宅ローン資料、不動産資料
  • 企業年金・確定拠出年金の資料
  • 離婚協議書の案
  • 相手方とのメール・メッセージなどのやり取り
  • 調停申立書・裁判所からの書類(手続中の場合)

退職金規程・退職金見込証明書・源泉徴収票・離婚協議書の案などがそろっていると、退職金の評価と税務の争点を整理しやすくなります。資料の一部しかそろっていない段階でも、何から確認すればよいかを整理することができます。

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弁護士・公認会計士に相談するタイミング

退職金の財産分与は、法律上の評価と税務の確認が重なり合う分野です。退職金が対象になるか、いくらと評価するか、税金は誰にどのように関係するかは、勤務先の退職金規程、勤続期間、婚姻期間、別居時期、退職時期、受給の状況、分与の方法、資料、申告の状況によって変わります。相談によって、これらの前提を資料で確認しながら、評価と税務の見通しや対応方針を整理しやすくなります。

特に、離婚協議書や合意書に署名する前、調停で条件を詰める前は、退職金と税務の扱いを一度整理しておくことが重要です。退職金規程や見込証明書、源泉徴収票、離婚協議書の案などを確認することで、後から「こんなはずではなかった」となりにくくなります。神戸みらい法律会計事務所では、弁護士・公認会計士の視点から、資料を確認したうえで退職金を含む財産分与の進め方を検討します。相談の条件・費用・受付の方法は、最新の案内をご確認ください。

よくある質問

退職金は離婚のときに必ず財産分与の対象になりますか。

必ず対象になるとは限りません。婚姻期間中の夫婦の協力によって形成された部分が対象として検討されます。勤続期間・婚姻期間・別居時期・支給の確実性などによって結論は変わりますので、資料を確認したうえで判断する必要があります。

まだ退職していなくても退職金を分けてもらえることはありますか。

支給される確実性が高いと考えられる場合には、将来の退職金のうち婚姻期間に対応する部分を評価して対象にできる場合があります。ただし、退職までの期間が長い場合などは評価が難しく、裁判実務でも考え方が分かれます。

退職金は税引前と税引後のどちらで考えますか。

すでに受け取った退職金は、手元に残っている税引後の金額が対象になりやすい一方、まだ受け取っていない見込額の扱いは事案により考え方が分かれます。税の影響をどこまで評価に反映させるかは、支給時期や資料によって変わり得ます。

財産分与で退職金を受け取ると贈与税がかかりますか。

通常、財産分与として受け取った財産に贈与税はかかりません。ただし、分与された財産が事情を考慮してもなお多すぎる場合や、租税回避目的と認められる離婚の場合には、贈与税がかかることがあります。

公務員の退職金は財産分与でどう評価しますか。

退職手当の条例や規程、退職金見込証明書などで見込額を確認しやすいことがあります。もっとも、公務員なら必ず分与されるということではなく、婚姻期間に対応する部分について資料を確認したうえで検討します。具体的な支給額・支給率は制度や資料により異なります。

退職金と年金分割は同じものですか。

別の制度です。退職金の財産分与は退職一時金などを対象財産として評価するもので、年金分割は婚姻期間中の厚生年金の記録を分けるものです。両方が問題になる場合は、それぞれ検討する必要があります。

相手が退職金の資料を出さないときはどうすればよいですか。

まずは退職金規程や見込証明書などの開示を求めることが考えられます。話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所の手続の中で対応することになり、裁判所が必要と認めるときに当事者へ財産に関する情報の開示を命じることができる制度もあります。

離婚協議書に退職金の条項を入れるべきですか。

退職金を財産分与の対象とする場合は、対象・金額・支払時期・支払方法を明確にしておくことが大切です。税務の扱いを含めて整理しておくと、後のトラブルを避けやすくなります。署名の前に一度確認することをおすすめします。

まとめ

  • 退職金は財産分与の対象として検討できる場合があるが、全額が当然に2分の1になるわけではなく、婚姻期間に対応する部分が問題になる。
  • すでに受け取った退職金は別居時に残っている金額、まだ受け取っていない退職金は支給の確実性と婚姻期間対応部分が問題になる。
  • 評価方法は複数あり、裁判実務でも考え方が分かれる。機械的には決まらない。
  • 税務は、退職金を受け取る本人の退職所得課税、受け取る側の贈与税(原則非課税・例外あり)、不動産等で渡す側の譲渡所得課税を、場面ごとに確認する。
  • 退職金の財産分与と年金分割は別制度であり、それぞれ検討する。
  • 協議・調停・署名の前に、退職金規程・見込証明書・源泉徴収票・離婚協議書の案などの資料を整理しておくと、争点を確認しやすい。

離婚協議書に署名する前に、退職金規程・見込額・源泉徴収票・税務に関する資料を整理しておくと、財産分与と税務の争点を確認しやすくなります。神戸みらい法律会計事務所では、資料を確認したうえで、退職金を含む財産分与の進め方を検討します。相談の条件・費用・受付の方法は最新の案内をご確認ください。

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監修・執筆

本記事は、神戸みらい法律会計事務所の弁護士・公認会計士が監修しています。退職金を含む財産分与や、その税務の確認についてのご相談を受け付けています。

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