上肢・下肢切断の後遺障害等級|義肢と住宅改修費の考え方 |神戸市(須磨・垂水・西神・北神)の弁護士|初回相談無料|弁護士法人ひょうご支所神戸みらい法律会計事務所

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上肢・下肢切断の後遺障害等級|義肢と住宅改修費の考え方

交通事故で腕や脚を切断するけがを負われた場合、ご本人はもちろん、ご家族も、退院後の生活や将来の費用について大きな不安を抱えることになります。義手や義足はどのくらい費用がかかるのか、将来の作り替えは賠償に含まれるのか、家の改修や車の改造まで請求できるのか、保険会社から示された金額が妥当なのか──こうした疑問は、けがの重さゆえに一つひとつの金額も大きく、判断に迷いやすい部分です。

この記事では、上肢・下肢の切断という重い後遺障害について、後遺障害等級の考え方、義肢・装具の費用、将来の交換費用、住宅改修費、自動車改造費、職場復帰や逸失利益、そして示談前に確認しておきたい資料を、ご本人とご家族に向けて整理します。結論からお伝えすると、切断の場合は複数の損害項目が同時に問題になり、そのいくつかは「必要性」「相当性」「事故との因果関係」を資料で示せるかどうかで結論が変わります。示談の前に、損害項目に漏れがないかを一度確認しておくことが大切です。

なお、本記事は一般的な解説であり、実際の等級や賠償の範囲は、診断書や見積書などの資料と個別の事情によって結論が異なります。医療・リハビリテーション・福祉・税務など弁護士以外の専門的な確認が必要な場面もありますので、その点もあわせてご説明します。

ご家族だけでの情報整理でも構いません。後遺障害等級、義肢、住宅改修、自動車改造、逸失利益など、確認すべき点が多い事案です。示談前に、資料に基づいて見通しを整理しておくことができます。

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上肢・下肢を切断したとき、賠償で問題になる損害の全体像

切断のような重度後遺障害では、慰謝料だけでなく、生活を立て直すための費用が幅広く問題になります。まず全体像を押さえておくと、後の見通しが立てやすくなります。

確認する項目 ポイント
切断部位・程度 どの関節より上で失ったか、片側か両側か、残っている機能はどうか。等級の出発点になります。
後遺障害等級 慰謝料・逸失利益・将来費用の検討に影響します。医師の後遺障害診断書と画像などの資料が前提です。
義肢・装具 初回作成費だけでなく、修理・調整・部品交換・将来の作り替えまで検討します。
住宅改修 段差解消、手すり、浴室・トイレ・玄関などの改修。必要性・相当性が問題になります。
自動車改造・移動手段 手動運転装置や乗降補助など。運転可否や免許条件の確認が必要な場合があります。
就労・逸失利益 休業損害、復職の可否、仕事内容の変更、通勤方法など、将来の収入への影響を整理します。
示談前の資料 後遺障害診断書、見積書、写真、給与資料、生活状況の資料などがそろっているか。

これらは互いに関連しています。たとえば、義足で歩行できるのか車椅子を併用するのかによって、住宅改修や自動車改造の内容も変わります。個別の事情により結論は変わりますので、資料を確認したうえで検討する必要があります。

切断による後遺障害等級の基礎知識

後遺障害等級は、自動車損害賠償保障法施行令の別表で定められています。介護を要する重い後遺障害は別表第一に、それ以外は別表第二に分類され、自賠責保険から支払われる限度額も異なります。切断による欠損は、切断した部位が「どの関節より上か」で級が大きく変わるのが特徴です。

上肢切断と等級の考え方

腕の切断は、ひじ関節より上で失ったか、手関節より上で失ったか、そして片腕か両腕かで、次のように級が分かれるのが基本的な枠組みです。

切断の状態 後遺障害等級(枠組み)
両上肢をひじ関節以上で失ったもの 第1級
両上肢を手関節以上で失ったもの 第2級
一上肢をひじ関節以上で失ったもの 第4級
一上肢を手関節以上で失ったもの 第5級

手のゆびだけを失った場合は、これとは別の等級の考え方になります。手指の欠損については、下記の関連記事もあわせてご確認ください。

下肢切断と等級の考え方

脚の切断も同様に、ひざ関節より上か、足関節より上か、片脚か両脚かで級が分かれます。

切断の状態 後遺障害等級(枠組み)
両下肢をひざ関節以上で失ったもの 第1級
両下肢を足関節以上で失ったもの 第2級
一下肢をひざ関節以上で失ったもの 第4級
一下肢を足関節以上で失ったもの 第5級

上の表は、あくまで代表的な枠組みです。実際の認定は、切断部位、残っている機能、後述する併合や既存障害の有無、そして医学的な資料の内容によって変わります。「この部位だから必ず何級になる」と単純に決まるものではない点にご注意ください。

併合・加重・既存障害で結論が変わること

切断に加えて他の部位にも後遺障害が残った場合、複数の障害を「併合」して等級を繰り上げる仕組みがあります。もっとも、繰り上げた結果が「両上肢を失った」などのより重い障害の程度に達しない場合には、そのまま繰り上げるのではなく調整されることがあります。また、事故前からあった障害と同一部位の程度が重くなった場合には「加重」として、増えた分に応じて算定される考え方があります。

このように、等級は一つの表だけで機械的に決まるわけではありません。後遺障害等級は、後遺障害慰謝料、逸失利益、将来費用の検討すべてに影響しますので、資料を確認したうえで慎重に判断する必要があります。

症状が固定した段階で、主治医に後遺障害診断書を作成してもらうことになります。切断の部位や残存機能、日常生活への影響が正確に記載されているかは、その後の検討に大きく関わります。記載内容に不安がある場合は、早めに資料を確認しておくことをおすすめします。

義肢・装具の種類と費用の考え方

切断後の生活では、義手・義足・装具が重要になります。費用は一度きりではなく、使い続ける中で修理・調整・作り替えが生じるため、将来にわたる費用として整理する必要があります。

義手・義足・装具の基礎

義手には、外見を補う装飾用のもの、特定の作業に用いるもの、体の動きで操作する能動式のもの、筋肉の電気信号を利用する筋電義手などがあり、どれが適するかは切断部位や生活・就労の状況によって異なります。義足も、下腿義足・大腿義足など切断部位に応じた種類があり、足部やひざの継手、体に合わせて作るソケットなど、複数の部品で構成されます。

どの義肢・装具が適切かは、医学的・技術的な判断を伴います。義肢の選定は、主治医、リハビリテーション担当者、義肢装具士とよく相談して決めるべき事項であり、法律事務所が特定の製品や機種を指定するものではありません。

初回作成費・交換費・修理費・調整費の区別

義肢の費用を賠償で検討する際は、次のように分けて考えると整理しやすくなります。

費用の種類 内容
初回作成費 症状固定後に作成する義肢・装具の費用。
交換費(作り替え) 耐用年数の経過により、将来にわたって繰り返し作り替える費用。
修理費・部品交換費 使用による摩耗・破損に対応する費用。
調整費・再作成費 体型や活動状況の変化、断端の状態の変化などに合わせて調整・作り直す費用。

具体的な金額は、義肢の種類、部品構成、使用状況、見積書の内容によって大きく変わります。義肢装具士の説明や医師の意見をふまえて算定するものであり、根拠なく金額を確定できるものではありません。

将来交換費用の考え方

義肢は永久に使えるものではなく、一定期間ごとに作り替えが必要になります。そのため、将来の交換費用も損害として検討の対象になり得ます。実務上は、一回あたりの費用に、平均余命までに見込まれる交換回数を考慮し、将来受け取る分について中間利息を控除して算定するのが一般的な考え方です。交換の周期や回数は使用状況などによって異なり、争いになりやすい部分でもあります。将来費用は必要性・相当性を資料に基づいて検討することになります。

障害者総合支援法にもとづく補装具費支給制度など、公的な支援制度も存在します。ただし、交通事故による損害賠償が受けられる場合には、損害賠償が公的制度に優先して適用される関係にあります。どの費用をどの制度・請求で賄うかは、全体を見て整理する必要があります。制度の利用可否や手続は、お住まいの市区町村や更生相談所にご確認ください。

住宅改修費(家屋改造費)の考え方

切断により歩行や動作に制限が生じた場合、自宅の改修が必要になることがあります。住宅改修費は、事故による障害と、その改修の必要性・相当性、事故との因果関係が問題になります。

検討の対象となりやすいのは、段差の解消、手すりの設置、浴室・トイレ・玄関・廊下・寝室の改修などです。車椅子を利用するのか、義足で歩行できるのかによって、必要な改修の範囲は変わります。改修の必要性を示すためには、改修前後の写真、図面、見積書、主治医やリハビリテーション担当者の意見、日常生活の状況がわかる資料が重要になります。

一方で、事故と関係のないリフォームや、ご家族の利便性だけを目的とする工事、過大な改修は、争点になり得ます。どこまでが事故によって必要になった改修かを、資料に基づいて整理することが大切です。結論は事案により異なります。

自動車改造費・移動手段の考え方

下肢や上肢の切断により、従来どおりの運転が難しくなる場合があります。自動車改造費や車両の買い替え費用も、必要性・相当性・因果関係が認められれば損害として検討の対象になります。

検討項目としては、手動運転装置、左アクセル、乗降を補助する装置、車椅子の積載装置などがあります。あわせて、通勤・通院にどの程度自動車が必要か、運転免許の条件はどうか、といった点も整理します。運転の可否や免許の条件については、医師や運転免許センターなどへの確認が必要になる場合があります。

自動車改造費・買い替え費用を請求する場合も、見積書、医師の意見、使用目的の整理が重要です。必要性や相当性を資料に基づいて検討することになります。

職場復帰・生活再建と逸失利益の視点

切断による影響は、身体の機能だけにとどまりません。仕事、家事、育児、通勤、趣味、社会参加など、生活の幅広い場面に及びます。賠償の面では、休業損害や後遺障害逸失利益の検討が重要になります。

逸失利益は、後遺障害によって将来の収入が減る可能性に対する補償で、基礎収入・労働能力の低下の程度・その影響が続く期間をふまえて算定するのが基本的な考え方です。ここでも、将来受け取る分について中間利息を控除する処理が行われます。

職場復帰に関しては、勤務先の資料、給与資料、休業損害証明書、職務内容の資料、復職の計画、産業医や主治医の意見などが判断材料になります。「復職できたから逸失利益はない」と単純に決まるわけではなく、仕事内容の変更や昇進・配置への影響など、具体的な事情により結論は変わります。反対に、復職の状況が有利に働く場面もあります。いずれも個別の事情をふまえて検討する必要があります。

保険会社対応・示談前に確認すべきポイント

重度後遺障害の事案では、示談の前の確認が特に重要です。示談が成立すると、その後に不足に気づいても追加の請求が難しくなる場合があるためです。示談内容を確認する際は、次のような点を整理しておくとよいでしょう。

確認する項目 確認の視点
後遺障害等級 切断部位・残存機能に照らして、認定内容が妥当か。
損害項目の網羅 慰謝料・逸失利益だけでなく、義肢の将来交換費、住宅改修費、自動車改造費などに漏れがないか。
将来費用 交換周期・改修範囲・介護の要否などが資料に基づいて検討されているか。
過失割合 事故態様に照らして妥当か。過失割合は賠償額に大きく影響します。
既払金・公的給付 既に受け取った金額や、社会保険・公的制度との調整が正しく反映されているか。
弁護士費用特約 ご自身やご家族の保険に弁護士費用特約が付いていないか。

提示された金額や説明が妥当かどうかは、資料を確認したうえで判断する必要があります。署名の前に、損害項目の漏れがないかを一度確認しておくことが重要です。

重度後遺障害でよく問題になるケース

切断の事案では、次のような点が一般的な争点になりやすいといえます。いずれも個別の事情により結論は変わります。

  • 保険会社が義肢の高額な部品や機種の必要性を認めない場合。
  • 将来の交換費用について、交換の周期や回数で見解が分かれる場合。
  • 住宅改修の範囲(どこまでが事故によって必要になったか)が争われる場合。
  • 自動車改造や車両の買い替えの必要性が争われる場合。
  • 復職しているため逸失利益が争われる場合。
  • 過失割合について見解が分かれる場合。
  • 医師の意見書や見積書など、必要性を裏づける資料が不足している場合。

これらは、資料をどれだけ整えられるかによって見通しが変わる部分です。早めに準備を進めておくことが、後の検討をしやすくします。

手続前チェックリスト

示談前、後遺障害の申請前、住宅改修の契約前、自動車改造の前、義肢の作成・交換前、保険会社への回答前に、次の資料がそろっているかを確認しておくと安心です。

  • 後遺障害診断書、診療録、画像(レントゲン・CT・MRIなど)
  • 切断部位・残存機能・日常生活への影響がわかる資料
  • 義肢・装具の見積書、義肢装具士の説明資料
  • 住宅改修の見積書・図面、改修前後の写真
  • 自動車改造の見積書、使用目的・通勤通院の状況がわかる資料
  • 給与明細、休業損害証明書、職務内容がわかる資料
  • ご家族による介助・介護の状況がわかる記録
  • 保険関係の資料(保険証券、弁護士費用特約の有無、既払金の明細)

弁護士に相談するタイミング

弁護士への相談は、結果を保証するものではありませんが、資料を確認して見通しや対応方針を整理する助けになります。切断の事案では、次のような場面が相談を検討しやすいタイミングです。

  • 事故直後や治療中で、今後の見通しに不安があるとき
  • 症状固定の前後で、後遺障害診断書の作成を控えているとき
  • 後遺障害の申請前、または等級の認定を受けた後
  • 保険会社から示談案の提示を受けたとき
  • 住宅改修・自動車改造・義肢の将来費用を見積もる段階

重度後遺障害の事案では、ご本人が入院・療養中であることも多く、ご家族が資料を整理して相談を進めるケースも少なくありません。ご家族だけでの相談準備でも構いません。

後遺障害等級、義肢、住宅改修、自動車改造、逸失利益など、確認すべき点が多い事案です。相談により、資料に基づいて対応方針を整理しやすくなります。

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よくあるご質問

上肢を切断した場合、後遺障害等級は何級になりますか。

ひじ関節より上か手関節より上か、片腕か両腕かによって級が分かれます。ただし、残存機能や併合・既存障害の有無、医学的資料の内容によって結論は変わります。個別の事情により異なりますので、資料を確認したうえで判断する必要があります。

下肢切断の場合、義足の費用は請求できますか。

義足の作成費用は損害として検討の対象になり得ます。金額は種類や部品構成、使用状況、見積書の内容によって変わります。必要性・相当性を資料に基づいて検討することになります。

義肢の将来交換費用も損害として請求できますか。

義肢は一定期間ごとに作り替えが必要になるため、将来交換費用も検討の対象になり得ます。交換の周期や回数は使用状況などによって異なり、争点になりやすい部分です。資料に基づいて必要性・相当性を検討します。

住宅改修費はどこまで認められますか。

事故による障害のために必要になった改修かどうか、その範囲が相当かどうかが問題になります。事故と無関係なリフォームや過大な改修は争点になり得ます。見積書・図面・写真・医師の意見などの資料が重要です。結論は事案により異なります。

自動車改造費や車両の買い替え費用は請求できますか。

必要性・相当性・因果関係が認められれば、検討の対象になり得ます。運転の可否や免許の条件については、医師や運転免許センターなどへの確認が必要になる場合があります。使用目的を資料で整理することが大切です。

職場に復帰できた場合でも逸失利益は問題になりますか。

復職できたことだけで逸失利益がなくなると単純に決まるわけではありません。仕事内容の変更や昇進・配置への影響など、具体的な事情により結論は変わります。資料をふまえて検討する必要があります。

保険会社から示談案を受け取ったら何を確認すべきですか。

後遺障害等級、損害項目の網羅、将来費用、過失割合、既払金や公的給付との調整、弁護士費用特約の有無などを確認するとよいでしょう。署名の前に、損害項目に漏れがないかを一度確認することをおすすめします。

家族だけで相談する場合、どの資料を持参すればよいですか。

後遺障害診断書、診療録や画像、義肢・住宅改修・自動車改造の見積書、給与資料、保険関係の資料などがあると、見通しの整理がしやすくなります。手元にあるものだけでも構いませんので、まずはご相談ください。

まとめ

  • 上肢・下肢の切断は、切断部位により後遺障害等級の枠組みが分かれます。実際の認定は残存機能や資料の内容により変わります。
  • 義肢・装具は、初回作成費だけでなく、修理・調整・将来の作り替えまで検討の対象になり得ます。
  • 住宅改修費・自動車改造費は、必要性・相当性・因果関係が問題になり、資料の整備が重要です。
  • 逸失利益は、復職の有無だけで単純に決まらず、具体的事情により結論が変わります。
  • 重度後遺障害では、示談前に損害項目の漏れがないかを確認することが特に大切です。
  • ご本人が療養中の場合、ご家族が資料を整理して相談を進めることもできます。

この記事は一般的な解説であり、個別事情により結論は異なります。医療・リハビリテーション・福祉・税務など、弁護士以外の専門的な確認が必要な場面もあります。示談や各種手続の前に、資料を確認したうえで見通しを整理しておくことをおすすめします。

神戸みらい法律会計事務所では、交通事故のご相談を承っています。重度後遺障害の事案では、ご本人・ご家族が資料を整理して、後遺障害等級・義肢・住宅改修・自動車改造・逸失利益などをまとめて確認できます。

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監修者

藤井 貴之(ふじい たかゆき)
弁護士・公認会計士
兵庫県弁護士会所属/日本公認会計士協会兵庫会(準会員)
神戸みらい法律会計事務所(弁護士法人ひょうご支所)

交通事故を含む各種事故対応のほか、相続、刑事事件、債務整理、離婚・家族の問題、労働問題、企業法務・会計税務を取り扱っています。

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