長年続けてきた会社をどうするか。子どもが継がない、社内にも引き継げそうな人が見当たらない、会社を売れるのか、それとも廃業するしかないのか。神戸の中小企業の経営者の方から、こうした事業承継のご相談をいただくことは少なくありません。民間調査でも、後継者が決まっていない中小企業は依然として珍しくないと報告されています。
大切なのは、後継者がいないからといって、選べる道が「廃業」だけではないということです。親族内承継、社内承継、第三者への承継、M&A、廃業のいずれが自社に合うかは、会社の状況、株式の持ち方、財務内容、借入や保証、従業員や取引先との関係、許認可などによって変わります。まずは自社の状態を整理し、選択肢を一つひとつ見比べることが出発点になります。
この記事では、後継者がいない場合に検討できる選択肢と、M&A・廃業を考えるときの判断の視点、そして相談前に準備しておきたい資料を整理します。なお、売却の可否や価格、税額、補助金の適用などは個別事情によって大きく異なるため、本記事では断定せず、確認すべきポイントとしてお示しします。
「うちの会社はどの選択肢を取り得るのか」を整理したい段階でも、ご相談いただけます。神戸みらい法律会計事務所では、定款・株主名簿・決算書・契約書などの資料を確認したうえで、対応方針を一緒に整理します。
Contents
後継者がいなくても、選択肢は「廃業だけ」ではありません
後継者不在の会社が取り得る道は、大きく分けて五つあります。親族(子・配偶者・甥姪など)に引き継ぐ「親族内承継」、役員や従業員に引き継ぐ「社内承継(従業員承継)」、社外の第三者や他社に引き継ぐ「第三者承継」、その手段の一つである「M&A」、そして事業を終える「廃業」です。
これらは優劣で決まるものではなく、会社の実情によって適否が変わります。たとえば、利益が出ていて従業員や取引先を引き継ぐ意義が大きい会社では第三者承継やM&Aが現実的な選択肢になり得ますが、株式が親族に分散していたり、借入や経営者保証の整理が難しかったりする場合には、先に法務・財務の課題を整理する必要があります。逆に、事業を続ける合理性が乏しい場合には、早めに廃業の準備に入ったほうが、従業員や取引先への配慮を尽くしやすいこともあります。
後継者不在は、早めに選択肢を比較することで、取り得る道が広がる可能性があります。判断を先送りにするほど、M&Aの買い手探しや保証の整理に使える時間が短くなり、選べる道が狭まりやすくなります。
まず確認したい八つのこと
どの選択肢が現実的かを考える前に、自社の「現在地」を把握することが欠かせません。次の八項目は、いずれの選択肢を検討するうえでも出発点になります。
- 後継者候補:親族・役員・従業員に、継ぐ意思と適性のある人がいるか
- 株式(所有):誰が何株持っているか。株主名簿は整っているか。分散・名義株・所在不明株主はないか
- 定款:株式譲渡制限の有無、種類株式の有無、役員構成のルール
- 財務内容:決算書・試算表で、利益・純資産・キャッシュフローの状況
- 借入:金融機関からの借入の残高・返済条件
- 経営者保証・担保:経営者個人の保証や担保提供の有無
- 従業員・取引先:雇用条件、主要取引先との契約関係
- 許認可・資産:事業に必要な許認可、不動産・リース・知的財産の状況
これらは、後で説明する「相談前に準備する資料」と直結します。手元の資料を一通り集めておくだけでも、選択肢の検討は大きく前に進みます。
事業承継とは|「経営」と「株式」を分けて考える
事業承継とは、会社の経営を次の世代や第三者に引き継ぐことをいいます。中小企業の事業承継を考えるときに最初に押さえておきたいのが、「誰が経営するか」と「誰が株式(会社の所有権)を持つか」は、別々に整理する必要があるという点です。
経営の承継と所有(株式)の承継は別の問題
「経営の承継」は、代表取締役などの立場を引き継ぎ、日々の経営判断を担う人を決めることです。一方「所有の承継」は、株式を引き継ぎ、株主総会で議決権を行使できる立場を移すことを指します。中小企業では、経営者が大株主を兼ねていることが多いため両者が一体に見えますが、実際には次のようなずれが生じることがあります。
- 後継者に経営を任せても、株式が先代や他の親族に残っていると、重要な決定で意見が割れる可能性があります。
- 株式が複数の親族に分散していると、後継者が経営の主導権を握りにくくなることがあります。
- 第三者承継やM&Aでは、株式を引き継ぐのか(株式譲渡)、事業だけを引き継ぐのか(事業譲渡)で、手続も影響も大きく変わります。
誰に経営を託すか、株式をどう集約・移転するかを分けて考えることが、後の紛争や手続のつまずきを防ぐ第一歩になります。株式の集約や少数株主への対応、所在不明株主の整理などは個別性が高く、定款や株主名簿などの資料を確認したうえで判断する必要があります。
五つの選択肢の違い
それぞれの選択肢は、引き継ぐ相手と進め方が異なります。概要は次のとおりです。
- 親族内承継:子や配偶者、親族に経営と株式を引き継ぐ方法。心理的な納得は得やすい一方、他の相続人との公平や、株式・税務の整理が課題になります。
- 社内承継(従業員承継):役員や従業員に引き継ぐ方法。事業への理解は深い一方、後継者が株式を買い取る資金や、経営者保証の引き継ぎが課題になりがちです。
- 第三者承継:社外の個人や他社に引き継ぐ方法。後継者不在でも事業を残せる可能性がありますが、相手探しと条件交渉が必要です。
- M&A:第三者承継の代表的な手段で、株式譲渡や事業譲渡などにより会社や事業を引き継ぎます。買い手の有無や条件は個別事情により異なります。
- 廃業:事業を終える方法。清算の手続やコスト、従業員・取引先への対応、借入や保証の整理が必要です。事業の一部だけを譲渡する選択肢もあります。
後継者不在時の選択肢を比較する
五つの選択肢を、検討の出発点として中立的に比較すると次のように整理できます。実際の適否は会社ごとに異なりますので、あくまで全体像をつかむための目安としてご覧ください。
| 選択肢 | 主な引き継ぎ先 | 主なメリット | 主な注意点 | 特に確認したい資料 |
|---|---|---|---|---|
| 親族内承継 | 子・配偶者・親族 | 関係者の心理的納得を得やすい | 他の相続人との公平、株式の集約、税務の整理 | 株主名簿、決算書、遺言・相続関係資料 |
| 社内承継 | 役員・従業員 | 事業内容への理解が深い | 株式取得の資金、経営者保証の引き継ぎ | 株主名簿、借入・保証契約書、決算書 |
| 第三者承継 | 社外の個人・他社 | 後継者不在でも事業を残せる可能性 | 相手探し、条件交渉、秘密保持 | 定款、決算書、主要取引契約書 |
| M&A | 買い手企業など | 従業員・取引先の引き継ぎを図りやすい場合がある | 買い手の有無・条件は個別事情で異なる、仲介の選定 | 定款、株主名簿、決算書、契約書一式 |
| 廃業 | (事業を終える) | 関係を整理して区切りをつけられる | 清算コスト、従業員・取引先対応、借入・保証の整理 | 決算書、借入・保証契約書、資産・契約資料 |
この表はあくまで一般的な整理です。M&Aが適する場合もあれば、親族内承継・社内承継・廃業を含めて検討すべき場合もあります。どの道が現実的かは、事業の状況、株主構成、借入、保証、従業員や取引先との関係によって変わります。
後継者がいない場合のM&A|基本的な流れと考え方
後継者がいない会社では、第三者承継の手段としてM&A(合併・買収などによる事業の引き継ぎ)が候補になります。ここでは、検討を始める前に知っておきたい基本的な手法と流れを概観します。手続の細部は事案により異なるため、概要として捉えてください。
主な手法(株式譲渡・事業譲渡・会社分割)の概観
会社や事業を引き継ぐ主な方法には、株式そのものを譲渡する「株式譲渡」、事業の全部または一部を譲渡する「事業譲渡」、会社を分割して特定の事業を切り出す「会社分割」などがあります。どの方法を取るかによって、引き継がれる資産や負債の範囲、必要な手続、従業員や契約の取扱いが変わります。
- 株式譲渡:株主が変わるかたちで会社全体を引き継ぐ方法。会社の権利義務は原則として会社にそのまま残ります。株式譲渡制限がある会社では、定款に基づく承認手続の確認が必要です。
- 事業譲渡:特定の事業を選んで引き継ぐ方法。契約や許認可の引き継ぎ、従業員の処遇を個別に整理する必要があります。
- 会社分割:会社を分けて事業を移す方法。手続や債権者への対応など、会社法上の整理が必要です。
いずれの方法でも、株主構成や定款の定め、契約の内容によって取り得る手段が変わります。どの方法が適切かは、株主名簿・定款・契約書などの資料を確認したうえで判断する必要があります。
M&Aの一般的な流れ
中小企業のM&Aは、おおむね次のような段階を踏みます。各段階の名称や順序は、関与する支援機関や案件によって異なります。
| 段階 | 主な内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 準備・整理 | 自社の資料整理、課題の洗い出し | 定款・株主名簿・決算書・契約書の状況 |
| 秘密保持 | 情報を開示する前の秘密保持契約の締結 | 開示範囲、情報管理の方法 |
| 相手探し・打診 | 企業概要書の作成、買い手候補への打診 | どこまで情報を出すか、開示の同意 |
| 基本合意 | 大枠の条件を確認する基本合意書の取り交わし | 独占交渉や費用の定め、拘束力の範囲 |
| デューデリジェンス(DD) | 買い手による調査(法務・財務・税務など) | 簿外債務・未払債務・契約上のリスクの有無 |
| 最終契約 | 譲渡条件を定める最終契約の締結 | 表明保証・補償・競業避止などの条項 |
| クロージング | 譲渡の実行、代金の決済 | 前提条件の充足、経営者保証の取扱い |
| PMI(統合) | 引き継ぎ後の経営・業務の統合 | 従業員・取引先への説明、引き継ぎの段取り |
「DD」はデューデリジェンスの略で、買い手が会社の状況を調べる調査のことです。「PMI」は引き継いだ後に経営や業務をなじませていく統合の取り組みを指します。これらの段階で、簿外債務や未払賃金、契約上の制約などが見つかると、条件や成否に影響することがあります。買い手が見つかるか、価格がいくらになるかは個別事情により異なり、事前に保証されるものではありません。
仲介会社・金融機関に相談する前に整理しておきたいこと
M&Aを進めるときは、M&A仲介会社やFA(売り手・買い手の一方に立って助言する立場)、金融機関などの支援機関に相談することが一般的です。その際、契約内容や手数料、利益相反、秘密保持の点を事前に確認しておくことが重要です。国も、中小企業向けに支援機関が守るべき事項を整理した指針を公表しており、手数料や提供業務の説明、広告・営業のルール、利益相反の防止などが示されています。
相談前に、次の点を自分の中で整理しておくと、提示された条件を冷静に検討しやすくなります。
- 手数料の体系(何に対して、いつ、いくら発生するのか)と、契約終了後の取扱い
- 仲介とFAの違い、利益相反が生じ得る場面
- 秘密保持の範囲と、従業員・取引先への情報管理
- 経営者保証を、解除するのか買い手に引き継ぐのか
- 提示内容に疑問があるときに、別の立場から意見を聞く(セカンドオピニオン)余地
M&A仲介会社や金融機関と本格的に話を進める前に、契約書・手数料・秘密保持・経営者保証の点を法務・財務の観点から確認しておくと、判断材料を整理しやすくなります。神戸みらい法律会計事務所では、こうした事前確認のご相談にも対応しています。
M&Aと廃業、どちらを検討するか|判断の視点
後継者がいない場合、M&Aと廃業のどちらを軸に検討するかは、いくつかの視点を組み合わせて考えることになります。次の判断軸は、どちらが正解かを決めるものではなく、自社の状況を当てはめて考えるための材料です。
| 判断の視点 | M&A・承継を検討しやすい状況 | 廃業・清算も視野に入れたい状況 |
|---|---|---|
| 事業の収益・将来性 | 利益が出ており、将来の見込みもある | 継続の合理性が乏しく、改善も難しい |
| 従業員・取引先 | 引き継ぐ意義が大きい | 引き継ぎ手の確保が難しい |
| 借入・保証・担保 | 整理の見通しが立てやすい | 整理が難航する見込み |
| 株式・親族関係 | 大きな紛争がない、集約の余地がある | 分散・対立があり調整が難しい |
| 経営者の状況 | 準備に充てる時間がある | 体調や時期の事情で猶予が少ない |
ここで強調しておきたいのは、廃業が悪い選択とは限らないということです。関係者への影響を整理し、区切りをつける合理的な手段になることもあります。一方で、利益が出ている会社(黒字の会社)であっても、後継者不在のまま時間が経つと、事業を続けられなくなる場合があります。早めに検討を始めることで、M&Aや一部事業の譲渡など、廃業以外の選択肢を確保できる可能性が高まります。
借入や経営者保証がある場合、廃業の検討は債権者との調整を伴います。事業の継続が難しく、債務の整理が必要になる場面では、法人や個人の債務整理を検討すべきこともあります。いずれも個別事情により結論が変わるため、早い段階で資料を確認したうえで方針を検討することが大切です。
法務・財務で確認しておきたい資料
どの選択肢を取るにしても、判断の土台になるのが資料です。次の資料は、承継・M&A・廃業のいずれを検討する場合でも確認の対象になります。手元にあるものから集めておくと、相談がスムーズになります。
| 区分 | 主な資料 | 確認のねらい |
|---|---|---|
| 会社の基本 | 定款、登記事項証明書、株主名簿 | 株式の持ち方、譲渡制限、役員構成 |
| 財務・税務 | 決算書、試算表、税務申告書 | 利益・純資産・キャッシュフローの状況 |
| 借入・保証 | 借入契約書、保証契約書、担保資料 | 返済条件、経営者保証・担保の有無 |
| 資産 | 不動産登記、リース契約、知的財産資料 | 引き継ぎ・処分の対象と権利関係 |
| 契約 | 主要取引契約書、賃貸借契約書 | 引き継ぎの可否、解約条件 |
| 労務 | 雇用契約書、就業規則、従業員名簿 | 雇用条件、未払賃金の有無 |
| 許認可・その他 | 許認可資料、未払債務・訴訟・クレーム資料 | 事業継続に必要な要素、潜在的リスク |
これらの資料は、財務・会計の数字と法務上の権利関係の両面から見て初めて、選択肢の現実性が見えてきます。なお、株式の評価額や税務上の取扱いは個別性が高く、税理士等への確認が必要です。登記実務については司法書士等への確認が必要になる場合があります。
よくある相談パターンと考え方
後継者不在のご相談では、似た悩みが繰り返し見られます。いずれも、結論は個別事情によって変わります。ここでは考え方の方向性のみをお示しします。
- 子はいるが継ぐ意思がない:親族内にこだわらず、社内承継や第三者承継も含めて比較する余地があります。早めに本人の意向を確認することが出発点です。
- 従業員に継がせたいが資金や株式の問題がある:後継者が株式を取得する資金、経営者保証の引き継ぎが課題になります。資金・保証の整理を含めて検討する必要があります。
- 株式が親族に分散している:誰が会社を動かせるのかを確認するため、株主名簿と定款の整理が先決です。集約の可否は個別事情により異なります。
- 借入と経営者保証がある:後継者や買い手に保証をどう引き継ぐか、または解除できるかが論点になります。金融機関との調整を要します。
- 黒字だが後継者がいない:第三者承継やM&Aが選択肢になり得ますが、買い手の有無や条件は個別事情によります。時間的な余裕があるうちの検討が有利に働きやすい面があります。
- 赤字または債務超過がある:M&Aが難しい場合もあり、債務の整理や一部事業の譲渡を含めた検討が必要です。
- 仲介会社から提案を受けている:契約前に手数料・利益相反・秘密保持・経営者保証の点を確認することが重要です。
- 廃業を決める前に一部譲渡を検討したい:事業の一部だけを譲渡する選択肢が残っていないか、廃業を確定する前に確認する価値があります。
場面別・手続前に確認しておきたいこと
事業承継やM&Aは、いったん動き出すと後戻りが難しい場面があります。次の各場面では、進む前にいったん立ち止まって確認することをおすすめします。
- 相談を始める前:定款・株主名簿・決算書・借入や保証の資料を手元に集める
- 親族に話す前:誰に何を伝えるか、株式や相続の論点を整理しておく
- 従業員に話す前:説明の時期と範囲、雇用への影響の整理
- M&A仲介会社と契約する前:手数料・契約期間・利益相反・秘密保持・契約終了後の取扱いの確認
- 基本合意書に署名する前:独占交渉や費用の定め、どこに拘束力があるかの確認
- 最終契約を締結する前:表明保証・補償・競業避止などの条項と、経営者保証の取扱いの確認
- 廃業を決める前:清算コスト、従業員・取引先対応、借入・保証の整理、一部譲渡の余地の確認
弁護士に相談するタイミング
弁護士への相談は、結果を保証するためではなく、判断材料や対応方針を整理するために役立ちます。とくに次のような場面では、早めの相談が選択肢を広げることにつながりやすいといえます。
| 場面 | 整理しやすくなること |
|---|---|
| M&A仲介会社との契約前 | 契約条件・手数料・利益相反・秘密保持の確認 |
| 秘密保持契約や基本合意書に署名する前 | 拘束力の範囲、後の交渉への影響 |
| 買い手候補から条件提示を受けたとき | 条件の妥当性を検討するための論点整理 |
| 株式や相続で親族間の対立がありそうなとき | 株式の集約や承継の進め方の整理 |
| 借入や保証の整理が必要なとき | 経営者保証の取扱いの見通しの検討 |
| 従業員や取引先への説明を始める前 | 説明の時期・範囲・契約上の留意点の整理 |
| 廃業や債務整理を検討し始めたとき | 取り得る手続と関係者対応の整理 |
なお、事業承継では弁護士のほか、税務は税理士、登記は司法書士など、複数の専門職が関わることが一般的です。財務・会計の視点と法務の視点の両面から資料を確認することで、検討の精度が高まります。神戸では、公的な相談窓口として兵庫県事業承継・引継ぎ支援センターや、神戸市内事業者を対象とするこうべ産業・就労支援財団の支援事業なども利用できます。
よくあるご質問
後継者がいない会社は廃業するしかありませんか?
いいえ。親族内承継、社内承継、第三者承継、M&A、廃業の選択肢があります。どれが現実的かは会社の状況により異なるため、まず資料を確認して比較することをおすすめします。
親族内承継と社内承継は何が違いますか?
引き継ぐ相手が異なります。親族内承継は子や配偶者など親族へ、社内承継は役員や従業員へ引き継ぎます。社内承継では、後継者の株式取得資金や経営者保証の引き継ぎが課題になりやすい傾向があります。
従業員に会社を継がせることはできますか?
可能な場合があります。ただし、株式をどう引き継ぐか、取得資金をどう用意するか、経営者保証をどう扱うかなどの整理が必要です。個別事情により進め方は変わります。
中小企業でもM&Aで会社を譲渡できますか?
中小企業でもM&Aは選択肢になります。もっとも、買い手が見つかるか、どのような条件になるかは会社の状況により異なり、事前に保証されるものではありません。
M&Aと廃業はどちらを先に検討すべきですか?
一概には決まりません。事業の収益性、従業員・取引先、借入・保証、株式・親族関係などを踏まえて比較します。廃業を確定する前に、M&Aや一部譲渡の余地を確認しておくと選択肢を広げやすくなります。
M&A仲介会社と契約する前に何を確認すべきですか?
手数料の体系と契約終了後の取扱い、利益相反が生じ得る場面、秘密保持の範囲、経営者保証の取扱いなどです。契約前に法務・財務の観点から確認しておくと、提示条件を検討しやすくなります。
株式が親族に分散している場合、事業承継はできますか?
できる場合もありますが、まず株主名簿と定款を確認し、誰がどれだけ株式を持っているかを把握することが先決です。集約の可否や方法は個別事情により異なります。
事業承継では弁護士にいつ相談すべきですか?
仲介会社との契約前、秘密保持契約や基本合意書への署名前、親族間で対立がありそうなとき、借入や保証の整理が必要なときなどが目安です。早めに相談することで、判断材料を整理しやすくなります。
まとめ|後継者不在は「早めに比較」が選択肢を広げます
後継者がいない場合でも、取り得る道は廃業だけではありません。次の点を意識して、早めに検討を始めることが大切です。
- 選択肢は、親族内承継・社内承継・第三者承継・M&A・廃業の五つがあり、優劣ではなく適否で考える。
- 「経営の承継」と「株式(所有)の承継」は分けて整理する。
- 定款・株主名簿・決算書・借入・保証などの資料が、判断の土台になる。
- M&Aでは、買い手の有無や価格は個別事情により異なり、仲介の選定や経営者保証の取扱いの確認が重要。
- 廃業は悪い選択とは限らないが、早めに比較することでM&Aや一部譲渡の余地を確保しやすくなる。
- 税務は税理士、登記は司法書士など、専門職と連携して資料を確認する。
後継者不在の選択肢を整理したい、M&A仲介会社や金融機関と話す前に法務・財務の確認事項を整理したい、廃業を決める前に他の選択肢を確認したい——いずれの段階でもご相談いただけます。定款・株主名簿・決算書・契約書などの資料を確認したうえで、対応方針を一緒に整理します。
監修・執筆
本記事は、神戸みらい法律会計事務所に所属する弁護士が、公開前に内容を確認しています。担当弁護士の経歴・取扱分野は、弁護士紹介ページをご覧ください。
参考資料(公的機関・公式資料)

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